以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
また、本願発明は、頭部と首部とを有する支持体部材の首部を挟む一対の部材を有する取付器具を対象とするものであって、一対の部材のうちの支持体部材Hの頭部Hhを収容する第1の部材を構成する部品の形態は任意であり得る。例えば、第1の部材を構成する部品は、単一部品から構成されてもよいし、2部品以上から構成されていてもよい。
〔本願発明の第1の取付器具〕
本発明は、金型作製の複雑化や加工設備の大型化を招くことなく、強度(特に引張強度)の向上が可能な取付器具を得ることを課題とし、
被取付部材を支持体部材に取り付けるための取付器具であって、
支持体部材は、頭部と首部とを備え、
取付器具は、第1の部材と第2の部材とを備え、
第1の部材は、本体部品と補助部品とを備え、
本体部品は、第1の基部と、第1の基部に接続された支持部とを備え、
補助部品は、第2の基部と、第2の基部に接続された支持体部材を掴むための第1の掴み部とを備え、
支持部は第1の掴み部を支持し、
第2の部材は、支持体部材を掴むための第2の掴み部を備え、
第1の掴み部および第2の掴み部によって首部を挟持するように構成され、
第2の基部は、支持部が第1の基部に接続された位置とは異なる位置で第1の基部に固定されている、取付器具を提供することにより、上記の課題を解決したものである。
従って、本発明の取付器具は、第1の部材が、第1の基部および支持部を含む本体部品と、第2の基部および第1の掴み部を含む補助部品とを備え、本体部品の支持部が補助部品の第1の掴み部を支持するものであって、本体部品の支持部が第1の基部(本体部品の基部)に接続された位置とは異なる位置で、第1の掴み部が接続された第2の基部(補助部品の基部)が第1の基部(本体部品の基部)に固定されているものであれば、その他の構成は、特に限定されるものではない。
このように第1の掴み部が接続された第2の基部(補助部品の基部)は、支持部が第1の基部(本体部品の基部)に接続された位置とは異なる位置で、第1の基部(本体部品の基部)に固定されているため、支持体部材から受ける引張荷重に対して第1の掴み部にかかる荷重を受ける第1の部材での位置と、第1の掴み部を支持する支持体にかかる荷重を受ける第1の部材での位置とが重なるのを回避できる。このため、引張荷重が本体部品の基部で集中するのを回避して本体部品の基部の変形を抑制することができる。
これにより、補強リブを形成したり部材の折り曲げ成形を複雑にしたりすることなく、強度(特に、引張強度)向上が可能となる。その結果、金型作製の複雑化や加工設備の大型化を回避することが可能となる。
以下、本発明の第1の取付器具の特徴を説明する。
(第1の取付器具10の利用形態)
図1は、本発明の取付器具10を説明するための斜視図であり、この取付器具10を支持体部材(下地材Rの一部)Hに固定した状態を示す。図1(a)は、取付器具10を構成する第1の部材10aおよび第2の部材10bを示し、図1(b)は、第2の部材10bを透視して第1の部材10aを示す。
本発明の第1の取付器具10は、図1に示すように、第1の部材10aと第2の部材10bとを備え、第1の部材10aと第2の部材10bとで支持体部材(下地材の一部)Hを掴むように構成されており、第1の部材10aと第2の部材10bとが支持体部材Hを掴むことにより取付器具10が支持体部材H(つまり、下地材Rの一部)に固定される。ここで、支持体部材Hは頭部Hhと首部Hnとを有しており、支持体部材Hの首部Hnが第1の部材10aと第2の部材10bとで挟まれる。
例えば、下地材が折板屋根Rである場合は、支持体部材は、折板屋根Rの一部であるハゼ部Hである。また、下地材は折板屋根Rに限定されず、その他の屋根、例えば、コンクリート製の屋根、瓦葺の屋根でもよく、その場合は、支持体部材は、これらの屋根の一部であって頭部と首部とを有するもの(例えば、ボルト)でもよい。
また、被取付部材Sは、取付器具を介して支持体部材Rに取り付けられるものであれば任意であり得る。例えば、支持体部材が建造物の屋根の一部である場合は、被取付部材は、屋根上に設置される設備(屋根上設備)である。このような屋根上設備には、例えば、太陽電池モジュール(ソーラーパネル)、空調装置、アンテナ、避雷針、緑化屋根用プランターなどがある。しかし、本発明では被取付部材はこれらに限定されない。
特に、本発明の取付器具が2層構造の折板屋根に用いられる場合は、支持体部材は、下屋根のハゼ部であり、被取付部材は上屋根である。
(本発明の第1の取付器具10の構成)
本発明の取付器具10では支持体部材Hの首部Hnを掴む一対の部材10aおよび10bのうちの支持体部材Hの頭部Hhを収容する第1の部材10aは、本体部品P1と補助部品P2とを含む。
本体部品P1は、支持部11と基部(支持部以外の部分)とを含み、補助部品P2は、第1の掴み部12と第1の掴み部12とは異なる面を有する基部(第1の掴み部12以外の部分)とを含む。支持部11は第1の掴み部12を下側から支持するように構成され、第2の基部(補助部品P2の基部)は支持部が第1の基部(本体部品P1の基部)に接続された位置とは異なる位置で第1の基部に固定されている。第1の基部と支持部12とは1つの部材であってもよいし、二つの部材からなり接続された位置で両者が連結されていてもよい。第1の基部と第2の基部とは、別体でありそれぞれが連結固定されている。
なお、本願明細書では、説明の都合上、本体部品P1の基部を第1の基部ともいい、補助部品P2の基部を第2の基部ともいう。
(第1の取付器具10での引張荷重分散の原理)
図2は、本発明の第1の取付器具10における引張荷重分散の原理を説明するための平面図であり、図2(a)は、図1(a)に示す第1の取付器具10の第1の部材10aと第2の部材10bとが支持体部材Hを掴んだ状態を示し、図2(b)は、支持体部材Hから受ける第1の部材10aにかかる引張荷重Pfが第1の掴み部12と支持部11とに分散される様子を示す。
図1(a)および図2(a)に示すように、取付器具10の第1の部材10aと第2の部材10bとで支持体部材Hの首部Hnを掴んでいる状態で、台風などの強風で被取付部材(屋根上設備)に上側に持ち上げようとする力が生じると、支持体部材Hの頭部Hhに下側から当接する第1の部材10aの第1の掴み部12には、上記の上向きに生じる力Cfに対して相対する下向きの引張荷重Pfが作用することになる。その際に、支持体部材Hからの引張荷重Pfは、第1の掴み部12を含む補助部品P2と、この第1の掴み部12を下側から支える支持部11を含む本体部品P1との両方が受けることになり、引張荷重Pfが2部品に分散される。
なお、図2(b)に示すように、補助部品P2は、本体部品P1における支持部11が接続される位置K1とは異なる位置K2で本体部品P1に固定されている。
具体的には、第1の部材10aは、第1の掴み部12を支持する支持部11を含む本体部品P1と、第1の掴み部12を含む補助部品P2との2部品を含んでいるが、第1の部材10aを構成する2部品P1およびP2が、図1(a)に示すように、締付ボルトBtおよび締付ナットNtからなる締結手段60で第2の部材10bとともに固定されると、2つの部品P1およびP2が一体となる(図1(a)参照)。
これにより、支持体部材Hから受ける引張荷重Pfは、その一部が第1の掴み部12を有する補助部品にかかり、残りが第1の掴み部12を下側から支える支持部11に分散してかかるようになる。したがって、支持体部材Hから受ける第1の部材にかかる上述の引張荷重Pfは、本体部品P1の支持部12と補助部品P2の掴み部11との両方で分割されて受け止めることが可能となる。
すなわち、第1の部材10aにかかる引張荷重Pfが一か所に集中してかかることがなくなるために、第1の部材10a(特に、第1の掴み部101aおよび/または支持部110a)の変形を抑制することが可能となる。
また、本発明の第1の取付器具10では、補助部品P2の第1の掴み部12が接続された補助部品の基部(第1の掴み部以外の部分)12aが、本体部品P1の支持部11が本体部品の基部(支持体11以外の部分)11aに接続された位置K1とは異なる位置K2で、本体部品の基部11aに固定されている。このため、この取付器具10では、本体部品P1で受け止めた荷重と、補助部品P2で受け止めた荷重とが、補助部品P2が固定される本体部品P1の基部の一か所に集中するのを回避できる。
具体的には、図2(b)に示すように、第1の掴み部12が接続された第2の基部(補助部品P2の基部)12aは、支持部11が第1の基部(本体部品の基部)11aに接続された位置K1とは異なる位置K2で、第1の基部(本体部品の基部)11aに固定されているため、支持部11に分散された荷重が第1の基部(本体部品の基部)11aにかかる位置K1が、第1の掴み部12に分散された荷重が補助部品(第1の掴み部12および第2の基部12a)を介して第1の基部(本体部品の基部)11aにかかる位置K2と重なるのを回避できる。このため、引張荷重が本体部品の一か所に集中するのを回避でき、本体部品(特に、支持体部材Hから直接受ける第1の掴み部および/または第1の掴み部12を支持する支持部11)の変形を抑制することができる。
なお、第1の部材は、掴み部を含む複数の補助部品を含み、これらの補助部品を引張荷重Pfの方向に掴み部が重なるように組み合わせて用いてもよい。その場合、第1の部材での引張荷重に対する強度をより向上させることが可能である。
また、ここで、第1の部材10aの掴み部12を含む部品(補助部品)P2の構成は、掴み部12と掴み部12が固定される第2の基部12a(掴み部12以外の部分)とを含むものであれば、補助部品P2の基部の構成は限定されるものではない。例えば、補助部品は、1つの板部材であって、掴み部12と第2の基部12aとは異なる方向の面を備える。また、第1の部材10aの支持部11を含む部品(本体部品)P1の構成も、支持部11と支持部11が取り付けられる第1の基部11a(支持部以外の部分)を含むものであれば、本体部品P1の基部の構成も限定されるものではない。
例えば、本体部品の基部(第1の基部)は、第2の部材に対向する壁部と、壁部の下方に位置する開口部とを備え、補助部品の基部(第2の基部)は、壁部のうちの第2の部材とは反対側の面に固定され、補助部品の第1の掴み部は、開口部を介して第1の基部よりも第2の部材側に突出するように配置されていてもよい。
あるいは、本体部品の基部(第1の基部)は、第2の部材に対向する壁部を備え、補助部品の基部(第2の基部)は、壁部のうちの第2の部材側の面に固定されていてもよい。
さらに、補助部品の掴み部(第1の掴み部)は、その先端部に下方に突出するストッパ部を備えていてもよい。このストッパ部は、第1の掴み部を本体部品の支持部の支持体部材側の面に当接させるようにすることが可能である。
また、本体部品の支持部は、第2の部材側に突出する鍔部を備えていてもよく、その場合、鍔部が補助部品の掴み部(第1の掴み部)に重なるように構成されていてもよい。
さらに、本体部品では、第1の基部と支持部とが別体であってもよいし、1つの板材の折り曲げ成形により第1の基部と支持部とが一体化されていてもよい。また、補助部品では、第2の基部と第1の掴み部とを別体であってもよいし、1つの板材を折り曲げ成形により第2の基部と第1の掴み部とが一体化されていてもよい。好ましくは、本体部品および補助部品は、それぞれ一体成型である。それにより製造コストを安くすることが可能となる。板材の構成材料は任意の材料であり得る。例えば、鉄、銅、ステンレスなどの金属材料である。
さらには、第1の部材10aの本体部品P1を構成する第1の基部は、第2の部材10bに対向する壁部(正面壁)に加えて、正面壁の上下左右に設けられた、天板、底部、側壁などを有するものでもよい。
このような本発明の第1の取付器具10が適用される典型的な屋根構造1は、図3に示すように、建造物の屋根の基材Bと、基材B上に設置された2重構造の折板屋根Rと、2重構造の折板屋根Rを基材B上で支持するタイトフレームTfとを有する。ここで、2重構造の折板屋根Rは、図2に示すように下屋根R1と上屋根R2とを有する。下屋根R1は、建造物の屋根の基材Bに固定されたタイトフレームTfに取り付けられ、上屋根R2は、下屋根R1の上に取り付けられている。
また、屋根構造1は、下屋根R1と上屋根R2との間に挿入された断熱材(図示せず)を有し、日射により上屋根R2が過熱された場合でも、下屋根R1に上屋根R2の熱が伝わりにくくなっている。ここでは、下屋根R1および上屋根R2は、例えば、ハゼ式の折板屋根である。本発明の取付器具10は、このような2重構造の折板屋根Rの下屋根R1に上屋根R2を取り付けるのに用いられる。
ただし、取付器具が用いられる屋根構造は2重葺きの構造に限定されず、被取付部材は、例えば、複数のソーラパネルや複数のアンテナなどの複数の屋根上設備を載置するための架台であってもよい。
また、支持体部材を挟む一対の部材を有する取付器具10における引張荷重Pfに対する強度向上を実現したものは、上述した本願発明の第1の取付器具のように、支持体部材Hからの引張荷重Pfがかかる第1の部材10aを2部品以上の部品で構成したものに限らず、第1の部材を構成する部品が単一部品からなる取付器具を本願発明の第2の取付器具として説明する。
〔本願発明の第2の取付器具〕
本発明は、金型作製の複雑化や加工設備の大型化を招くことなく、強度(得に、引張強度)の向上可能な取付器具を得ることを課題とし、
被取付部材を支持体部材に取り付けるための取付器具であって、
支持体部材は、頭部と首部とを備え、
取付器具は、第1の部材と第2の部材とを備え、
第1の部材は、基部と、支持体部材を掴むための第1の掴み部と、第1の掴み部を支持する支持部とを備え、
第1の掴み部と支持部とは、基部の異なる位置でそれぞれ基部に固定されており、
第2の部材は、支持体部材を掴むための第2の掴み部を備え、
第1の掴み部および第2の掴み部によって、支持体部材の首部を挟持するように構成されている、取付器具を提供することにより、上記の課題を解決したものである。
従って、本発明の取付器具は、第1の部材が、基部と、支持体部材を掴むための第1の掴み部と、第1の掴み部を支持する支持部とを備え、第1の掴み部と支持部とが、基部の異なる位置でそれぞれ基部に固定されているものであれば、その他の構成は、特に限定されるものではない。
この場合、第1の部材では、支持体部材から第1の部材にかかる引張荷重が第1の掴み部と支持部の両方に分散することとなり、第1の部材にかかる引張荷重が一か所に集中しなくなるため、各部の変形を抑制することが可能となる。その結果、第1の部材の引張強度を向上させることが可能となる。
また、第1の掴み部が基部に接続された位置は、支持部が基部に接続された位置とは異なる位置であることから、支持部に分散された荷重が基部にかかる位置が、第1の掴み部に分散された荷重が基部にかかる位置と重なるのを回避できる。このため、引張荷重が本体部品の基部の一か所に集中するのを回避して基部の変形を抑制することができる。
これにより、補強リブを形成したり材料の曲げを複雑にしたりすることなく、荷重(特に引張荷重)に対する強度の向上が可能となる。その結果、金型作製の複雑化や加工設備の大型化を回避することが可能となる。
以下、本発明の第2の取付器具の特徴を説明する。
第2の取付器具30の利用形態は、図1、3を用いて説明した本発明の第1の取付器具10の利用形態と同一である。
(本発明の第2の取付器具30の構成)
図4は、図1に示す下地部材Rの支持体部材Hに第1の取付器具10と同様に装着した状態の第2の取付器具30を示す図であり、図4(a)は、取付器具30を構成する第1の部材30aおよび第2の部材30bを示し、図4(b)は、第2の部材30bを透視して第1の部材30aを示す。
本発明の第2の取付器具30は、持体部材Hの首部を掴む一対の部材30aおよび30bのうちの支持体部材Hの頭部Hhを収容する第1の部材30aが、1部品(単一部品)P0で構成されている点で本発明の第1の取付器具10と異なる。
ここで、第1の部材30aの第1の掴み部32および支持体31を含む部品(単一部品)P0の構成は、第1の掴み部32および支持体31と、これらが固定される基部(第1の掴み部32および支持体31以外の部分)33とを含むものであれば、単一部品P0の基部の構成は限定されるものではなく、任意であり得る。
この取付器具30は、図4(a)に示すように、第1の部材30aと第2の部材30bとを備えている。
第1の部材30aは、基部33と、支持体部材Hを掴むための第1の掴み部32と、第1の掴み部32を支持する支持部31とを備えている。ここで、基部33は、第1の部材30aにおける第1の掴み部32および支持体31以外の部分である。
また、第2の部材30bは、支持体部材Hを掴むための第2の掴み部31bを備えている。第2の部材30bは、第1の取付器具10における第2の部材10bと同一であり得る。そして、取付器具30は、第1の掴み部32および第2の掴み部31bによって、支持体部材Hの首部Hnを挟持するように構成され、さらに、第1の掴み部32と支持部31とは、基部33の異なる位置でそれぞれ基部33に固定されている。
また、第1の部材30aの基部は、図4(b)に示すように、第2の部材30bに対向する正面壁33aを含んでいてもよく、さらに、正面壁の左右に一対の側壁33bが設けられ、あるいは正面壁の下側に底部が設けられていてもよし、さらに、第1の部材30aの基部は、正面壁の両側に形成された一対の側壁(内側側壁)33bに加えて、一対の内側側壁の外側に形成された一対の外側側壁33cを含んでいてもよい。
例えば、基部が、第2の部材に対向する正面壁33aと、正面壁33aの両側に形成された一対の内側側壁33bと、一対の内側側壁33bの外側に形成された一対の外側側壁33cとを含む場合、図4(b)に示すように、支持部31は、一対の内側側壁33bに固定され、第1の掴み部32は、一対の外側側壁33cに固定されていてもよい。
この場合、支持部31は、一対の内側側壁に固定されており、第1の掴み部32が一対の外側側壁33cに固定されていることにより、基部の補強と、第1の掴み部32およびその支持部31にかかる引張荷重の基部33内での分散とを同時に実現することができる。
図4に示す本発明の第2の取付器具30においても、第1の部材30aにかかる引張荷重Pfを第1の部材30a内で分散させる効果は、図1に示す本発明の第1の取付器具10(第1の部材10が2部品からなるもの)における場合と同様であり得る。
(第2の取付器具30での引張荷重分散の原理)
図5は、本発明の第2の取付器具30における引張荷重分散の原理(第1の部材30aが1部品で構成されている場合)を説明するための平面図であり、図5(a)は、図4(a)に示す取付器具30の第1の部材30aと第2の部材30bとが支持体部材Hを掴んだ状態を示し、図5(b)は、図4の第1の部材30aにかかる引張荷重Pfが掴み部31と支持部32とに分散される様子を示す。
図5(a)に示すように、取付器具30の第1の部材30aと第2の部材30bとで支持体部材Hの首部Hnを掴んでいる状態で、台風などの強風で被取付部材(屋根上設備)に上側に持ち上げようとする力が生じると、支持体部材Hの頭部Hhに下側から当接する第1の部材30aの第1の掴み部30aには、上記の上向きに生じる力Cfに対して相対する下向きの引張荷重Pfが作用することになる。
その際に、支持体部材Hからの引張荷重は、第1の掴み部32とこの第1の掴み部32を下側から支える支持部31とが受けることにより、引張荷重Pfが2つの部分に分散する。これにより、第1の部材30aにかかる引張荷重Pfは、第1の掴み部32とその支持部31との両方で受け止められることとなる。
これは、この取付器具の第1の部材では、掴み部32を支持する支持部31が設けられていることから、引張荷重Pfを受ける掴み部32の変形を、掴み部32を支持する支持部も変形することで抑制しようとするからである。支持部31が掴み部32の引張荷重Pfによる変形を抑制する作用は、例えば、支持部31が掴み部32に対して引張荷重の方向に沿って重なるように配置されていることにより実現される。
第1の部材30aが、掴み部32とその支持部31とを含む1つの部品P0で構成されている場合(図5(a)、(b)参照)は、掴み部32とその支持部31とが一体化されており、第1の部材30にかかる引張荷重Pfは、掴み部32とその支持部31の両方で受けることとなり、これにより、第1の部材30aにかかる引張荷重Pfは、図5(b)に示すように、第1の部材30aの掴み部32と支持部31とに分散される。
その結果、第1の部材30aを構成する単一部品のうちの特に力のかかる第1の掴み部32、支持体31に生ずる変形応力を低減させることができ、第1の掴み部32および支持部31の変形を抑制することができる。
また、本発明の取付器具30では、支持部31と第1の掴み部32とは、基部33の異なる位置K3と位置K4でそれぞれ固定されている。基部33の位置K3は、内側側壁33bのうちの支持部31が接続される部分であり、基部33の位置K4は、外側側壁33cのうちの第1の掴み部32が接続される部分である。このため、掴み部32およびその支持部31が固定される基部33においても、掴み部32にかかる荷重と支持部31にかかる荷重とが1か所に集中することはない。
その結果、第1の部材30aにおける掴み部32と支持部31とに生ずる変形応力、さらには基部内部で生ずる変形応力は引張荷重Pfに比べて小さくなり、掴み部32および支持部31の変形、さらには基部33の変形を抑制することができる。
このような本発明の取付器具(第1の取付冶具、第2の取付冶具)は、第1の部材および第2の部材に加えて、断熱部品としての第3の部材を有するものでもよい。
このような断熱部品を含む取付器具も、被取付部材を支持体部材に取り付けるための取付器具であって、被取付部材および支持体部材は特に限定されるものではないが、取付器具を取り付ける下地が図3で説明したような屋根構造である場合がある。
さらに、上述した第2の取付器具30では、第1の部材は、上述した第1の取付器具10のように2部品で構成されたものには限定されず、単一部品で構成されていてもよいし、2部品で構成されていてもよい。例えば、第1の部材が単一部品で構成されている場合は、単一部品は、基部33と第1の掴み部31とが一体化され、かつ、基部33と支持部32とが一体化されるように、折り曲げられた1つの板材から構成されていてもよい。あるいは、第1の部材は、図1および図2で説明した取付器具のように第1の部材は2部品で構成されていてもよい。ここで、第2の取付器具30において、第1の掴み部32が基部33に固定される位置、あるいは支持部31が基部33に固定される位置は限定されるものではなく、これらの位置が基部における異なる位置であれば、任意であり得る。
以下の実施形態の説明では、図3に示すように、支持体部材は2重構造の折板屋根Rを構成する下屋根R1のハゼ部とし、被取付部材は2重構造の折板屋根Rを構成する上屋根R2とし、下屋根R1、上屋根R2はそれぞれ、薄板鋼板を折り曲げて作製された屋根材R1a、R2aを接合して施工されたハゼ式折板屋根とする。ただし、下屋根R1および上屋根R2はハゼ式の折板屋根に限定されるものではなく、その他の形式の折板屋根であってもよい。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1では、上述した本願発明の第1の取付器具10の一例として取付器具100を挙げる。
〔取付器具100〕
図6は、本発明の実施形態1による取付器具100を説明するための図であり、図6(a)は、取付器具100が2重構造のハゼ式折板屋根Rの下屋根R1に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図6(b)は図6(a)のY-Y線を含む縦断面の構造を示す断面図である。図7は、図6(a)に示す取付器具100を説明するための平面図であり、図7(a)~図7(e)は、図6(a)の取付器具100をA~E方向から見た構造を示す。図8は、図6(a)に示す取付器具100を4つの部品110、120、103、102に分解して示す斜視図である。なお、図6(a)のF方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右反転した構造であり、図7では図示していない。
実施形態1の取付器具100は、図6に示すように、被取付部材R2を支持体部材H1に取り付けるための取付器具である。支持体部材H1は、頭部Hhと首部Hnとを備えており、具体的には2層構造の屋根構造Rにおける下屋根R1のハゼ部H1である。なお、図6中、R2は上屋根、H2は上屋根R2のハゼ部である。
この取付器具100は、図6に示すように、第1の部材101と第2の部材102とを備え、第1の部材101は、図8に示すように、本体部品110と補助部品120とを備えている。本体部品110は、第1の基部110bと、第1の基部110bに接続された支持部110aとを備え(図10(a)参照)、支持部110aが第1の掴み部101aを支持するように構成されている。補助部品120は、第2の基部120aと、第2の基部120aに接続された、支持体部材H1を掴むための第1の掴み部101aとを備えている(図11(a)参照)。
第2の部材102は、支持体部材Hを掴むための第2の掴み部102aを備え、取付器具100は、第1の掴み部101aおよび第2の掴み部102aによって支持体部材H1の首部Hnを挟持するように構成されている。
そして、この取付器具100では、支持体部材H1からの引張荷重Pfがかかる補助部品120の第1の掴み部101aと、第1の掴み部101aを支持する、本体部品110の支持部110aとは、引張荷重の方向に沿って重なるように配置されている。
また、この取付器具100では、第2の基部(補助部品120の基部)120aは、本体部品110の支持部110aが第1の基部(本体部品110の基部)110bに接続された位置K1とは異なる位置K2で第1の基部110bに固定されている(図9(b)参照)。ここで、第1の基部110bは、第1の部材101の本体部品110における支持部110a以外の部分であり、第2の基部120aは、第1の部材101の補助部品120における第1の掴み部101a以外の部分である。
また、取付器具100は、上屋根R2から下屋根R1への熱の伝達を遮断する断熱部品である第3の部材103をさらに有している。この第3の部材103の上には、上屋根R2のハゼ部H2に固定される吊り子(図示せず)が固定ボルトBfと固定ナット(図示せず)により固定される。
このような構成の実施形態1の取付器具100では、第1の部材101にかかる引張荷重Pfが分散されることとなり、以下、具体的に説明する。
図9は、実施形態1の取付器具100における引張荷重Pfを説明するための図であり、図9(a)は、図6(a)に示す取付器具100の第2の部材102および第3の部材103を取り除いた状態を示し、図9(b)は図9(a)のY-Y線を含む縦断面の構造を示す断面図である。図10は、図9(a)に示す第1の部材101を説明するための平面図であり、図10(a)~図10(e)は、図9(a)の第1の部材101をA~E方向から見た構造を示す。なお、F方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右反転した構造であり、図10では図示していない。
第1の部材101は、第1の掴み部101aを含む補助部品120と、第1の掴み部101aを支持する支持部110aとを含む本体部品110とで構成されており、補助部品120および本体部品110はそれぞれ、折り曲げられた1つの板材で構成されている。
第1の部材101では、補助部品120および本体部品110は、補助部品120の第1の掴み部101aと本体部品110の支持部110aとが支持体部材H1から第1の部材101への引張荷重Pfの方向に重なって配置されるように組み合わせられることにより、支持体部材H1からの引張荷重Pfが第1の掴み部101aおよび支持部110aの両方で受け止められて分散されることとなる。
その結果、補助部品120のうちの特に力のかかる第1の掴み部101a、および本体部品110のうちの特に力のかかる支持体110aに生ずる変形応力を低減させることができ、掴み部101aおよび支持部110aの変形を抑制することができる。
また、図9(b)に示すように、第1の掴み部101aが接続された第2の基部(補助部品120の基部)120aは、支持部110aが第1の基部(本体部品の基部)110bに接続された位置K1とは異なる位置K2で、第1の基部(本体部品の基部)110bに固定されているため、図2(b)で説明したように、支持部110aに分散された荷重が第1の基部(本体部品の基部)110bにかかる位置K1が、第1の掴み部101aに分散された荷重が補助部品(第1の掴み部101aおよび第2の基部120a)を介して第1の基部(本体部品の基部)110bにかかる位置K2と重なるのを回避できる。このため、引張荷重が本体部品の基部の一か所で集中するのを回避して本体部品の基部に接続する支持部および補助部品(第1の掴み部)の変形を抑制することが可能となる。
以下、この取付器具100を構成する各部材の構造を具体的に説明する。
(第1の部材101の本体部品110)
図10は、図8に示す第1の部材101の本体部品110を説明するための平面図であり、図10(a)~図10(e)は、図8に示す第1の部材101の本体部品110をA~E方向から見た構造を示す。なお、F方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右を反転した構造であり、図10では図示していない。
第1の部材101の本体部品110は、プレス加工で所定の形状の打ち抜いた1つの金属板(例えば、鉄板、銅板、ステンレス板など)を曲げ加工で折り曲げて形成したものであり、1部品で構成されている。本体部品110は、第1の掴み部101aを支持する支持部110aと、支持部110aが固定される基部(支持部110a以外の部分)110bとで構成されている(図10(a)参照)。以下、説明の都合上、本体部品110の基部110bは第1の基部110bともいう。
ここで、本体部品110の基部(第1の基部)110bは、第2の部材102に対向する正面壁111と、正面壁111の上側に位置する天板112と、正面壁111の両側に位置する左右一対の側壁113と、正面壁111の下側に位置する底板114とを有している。天板112は正面壁111の上端に屈曲部を介して一体に接合されており、側壁113は正面壁111の両側端に屈曲部を介して一体に接合されている。
また、一対の側壁113の下端部の間には支持部110aが配置されており、支持部110aの一端は一方の側壁113の側端に屈曲部を介して一体に接合され、支持部110aの他端は他方の側壁113の側端に屈曲部を介して一体に接合されている。また、底板114は、支持部110aの下端に屈曲部を介して一体に接合されている。
ここで、正面壁111と支持部110aとの間には、ハゼ部H1を収容する開口部(正面開口)111aが形成されており、この正面開口111aは、補助部品120の第1の掴み部101aを、開口部(正面壁)111aのハゼ部H1とは反対側からハゼ部H1側へ突出させるための開口にもなっている。さらに、正面壁111には、締付ボルトBtを通すボルト挿通孔H1aが形成されている。また、一対の側壁113の下端部には補強リブ113aが形成されている。また、正面壁111の中央上部には、第1の部材101と第2の部材102とを締め付けたときに、第2の部材102に当接して第1の部材101と第2の部材102との間にハゼ部H1の厚みに相当するスペースを確保するためのスペーサ片111bが形成されている。このスペーサ片111bは、正面壁111の一部を打ち抜いて折り曲げることにより形成されており、屈曲部を介して正面壁111に一体に接合されている。
(第1の部材101の補助部品120)
図11は、図8に示す第1の部材101の補助部品120を説明するための平面図であり、図11(a)~図11(e)は、図8の第1の部材101の補助部品120をA~E方向から見た構造を示す。なお、F方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右反転した構造であり、図11では図示していない。
第1の部品101aの補助部品120は、プレス加工で所定の形状の打ち抜いた1つの金属板(例えば、鉄板、銅板、ステンレス板など)を曲げ加工で折り曲げて形成したものであり、1部品で構成されている。この補助部品120は、第1の掴み部101aと、第1の掴み部101aが固定される基部(第1の掴み部101a以外の部分)120aとで構成されている(図11(a)参照)。以下、説明の都合上、補助部品120の基部120aは第2の基部120aともいう。
ここで、補助部品120の基部(第2の基部)120aは、平坦部122と、平坦部122の下側に位置する湾曲部121とを有している。湾曲部121の上端は、平坦部122の下端に屈曲部を介して一体に接合されており、湾曲部121の下端は、屈曲部を介して第1の掴み部101aと一体に接合されている。
ここで、平坦部122は、締結手段60(図6参照)により本体部品110の正面壁111とともに第2の部材102に締結される部分であり、平坦部122の中央には締付ボルトBtを通すボルト挿通孔H1bが形成されている。この平坦部122は、本体部品110の正面壁111のうちのハゼ部H1とは反対側の面に、第1の掴み部101aが本体部品110の正面開口111aを介して正面壁111のハゼ部H1側に突出するように正面壁111に対して固定される。また、第1の掴み部101aを形成する板状部には、補助部品120の幅方向(図11(c)の紙面左右方向)の中心部に位置するように凹部が形成されており、この凹部は、本体部品110の支持部110aに当接して、第1の部材101と第2の部材102とがハゼ部H1を挟持する際に生ずる反力に対抗するストッパ部101bとなっている。
(第2の部材102)
次に、第2の部材(対向部品)102を具体的に説明する。
図12は、図8に示す第2の部材(対向部品)102を説明するための平面図であり、図12(a)~図12(e)は、図8の第2の部材102をA~E方向から見た構造を示す。F方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右反転した構造であり、図12では図示していない。
この第2の部材102は、プレス加工で所定の形状の打ち抜いた1つの金属板を曲げ加工で折り曲げて形成したものである。なお、この金属板には、鉄、銅、ステンレスなどの金属板が用いられる。
第2の部材102は、第1の部材101における正面壁111、天板112、一対の側壁113、底板114および第1の掴み部101aのそれぞれに相当する正面壁21、天板22、一対の側壁23、底板24、および第2の掴み部102aを有しているが、1部品で構成されている。すなわち、天板22は正面壁21の上縁部に一体に接合され、一対の側壁23はそれぞれ、正面壁21の左右の側縁部に一体に接合され、底板24は正面壁21の下端縁に一体に接合されている。
ここで、正面壁21には、第1の部材101と第2の部材102とを締め付ける締付ボルトBtのボルト挿通孔H2aが形成されており、正面壁21のうちの第1の掴み部101aに対向する下端部は、第1の掴み部101aとともにハゼ部Hを掴む第2の掴み部102aとなっている。
ただし、第2の部材102は、第1の部材101とは異なり、ハゼ部H1を収容せず、ハゼ部H1からの引張荷重Pfを実質的に受けない部材であり、第1の部材101のように、補助部品120の第1の掴み部101aと本体部品110の支持部110aとが引張荷重Pfの方向に配置された構造を有していない。また、この第2の部材102は、第1の部材101とは異なり、被取付部材Sが固定される部材であり、このため、第2の部材102の天板22には、被取付部材Sをこの取付器具101に固定するための固定ボルトBfのためのボルト挿通孔H2bが形成されている。さらに、第2の部材102は、被取付部材Sが直接固定されない第1の部材101より高さ寸法の小さい部材となっている。これは、被取付部材Sと第2の部材102との間にはこれらを固定するための固定部材(例えば、被取付部材が上屋根R2(折板屋根)場合の吊り子)の配置されることから、固定部材の配置スペースを確保するためである。
(第3の部材103)
次に第3の部材103である断熱部品を説明する。
図13は、図8に示す第3の部材(断熱部品)103を説明するための平面図であり、図13(a)~図13(e)は、図8の第3の部材103をA~E方向から見た構造を示す。なお、F方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右反転した構造であり、図13では図示していない。
第3の部材103は、2重構造の折板屋根Rの下屋根R1と上屋根R2との間に取付器具100が配置された状態で上屋根R2から取付器具100を介して下屋根R1に熱が伝導するのを阻止する断熱部品であり、樹脂で構成されている。
この第3の部材103は、頭部131と胴体部132とを有し、頭部131は、第1の部材101の天板112上にスライド可能に位置する可動部分131aと、第2の部材102の天板22に固定される固定部分131bとを有している。
ここで、頭部131および胴体部132は樹脂の一体成形により形成されている。頭部131の固定部分131bには固定ボルト孔H3bが形成され、胴体部132には締付ボルト孔H3aが形成されている。なお、断熱部品の材質は、樹脂に限定されず、熱を遮断する機能を有する任意の材料であり得る。例えば、多孔質などのセラミック材料などであってもよい。
このような構造の実施形態1の取付器具100は、図3に示すように、例えば、2重構造の折板屋根Rの下屋根R1に上屋根R2を固定するのに用いられる。
すなわち、取付器具100は、図6に示すように、第1の部材101および第2の部材102により下屋根R1のハゼ部H1を掴むことにより下屋根R1に固定され、取付器具100の第2の部材102には、上屋根R2を支持する吊り子(図示せず)が固定ボルトBfと固定ナット(図示せず)により固定される。
このように実施形態1の取付器具100を用いて下屋根R1に上屋根R2が取付られた状態で、強風などで上屋根R2が下屋根R1に対して持ち上げられる方向の力が下屋根R1と上屋根R2との間に働いたとき、取付器具100のハゼ部H1の頭部Hhを収容している第1の部材101には、図2(b)に示すように上向きの力Cfが働き、さらに、この上向きの力Cfに対抗する引張荷重Pfがハゼ部H1から第1の掴み部101aに働くが、実施形態1の取付器具100の第1の部材101では、図9(b)に示すように、引張荷重Pfを受ける第1の掴み部101aとその支持部110aとが引張荷重Pfの方向に重ねて配置されているので、引張荷重Pfは第1の掴み部101aと支持部110aとに分散して受け止められることとなる。
また、この取付器具100では、第2の基部(補助部品120の基部)120aは、本体部品110の支持部110aが第1の基部(本体部品110の基部)110bに接続された位置K1とは異なる位置K2で第1の基部110bに固定されている(図9(b)参照)。このため、取付器具100では、本体部品110の支持部110aで受け止めた荷重と、補助部品120の第1の掴み部101aで受け止めた荷重とが、補助部品120が固定される本体部品110の基部110bの一か所に集中するのを回避でき、これにより本体部品の基部の変形を抑制することができる。その結果、台風などによる強風に対して、強度不足で取付器具100が破損し2層構造の上屋根やソーラーパネルなどの屋根用設置物が飛散するといった問題が生じるのを防止することが可能となる。
また、本実施形態1の取付器具100では、第1の掴み部101aを含む部品(補助部品)120と、支持部110aを含む部品(本体部品110)とを別々の部品で構成しているため、これらの部品は、別々のプレス加工工程で作製することができる。このため取付器具100の作製で用いる金型作製の複雑化や加工設備の大型化を抑制することが可能となる。さらに、補助部品120の掴み部101aには、本体部品110の支持部110aに当接するストッパ部101bが形成されているので、第1の部材101と第2の部材102とがハゼ部H1を挟持する際に生ずる反力も補助部品120の掴み部101aと本体部品110の支持部110aとに分散させることができ、第1の部材101および第2の部材102がハゼ部Hを挟持する力を増大させることが可能である。
(実施形態2)
なお、実施形態1では、本発明の取付器具10として、補助部品120の平坦部122を本体部品110の正面壁111の外面(ハゼ部Hに対向する面とは反対側の面)に取り付けるタイプのもの(取付器具100)を示したが、補助部品120の平坦部122は、本体部品110の正面壁111の内面(ハゼ部に対向する面)に取り付けてもよい。
以下、実施形態1の取付器具100をこのような構造に変形した実施形態2の取付器具200を上述した本願発明の第1の取付器具10の他の例として説明する。
〔取付器具200〕
図14は、本発明の実施形態2による取付器具200を説明するための図であり、図14(a)は、実施形態1の取付器具100の説明に用いた図6(b)が示す断面に相当する断面を示し、図14(b)は、実施形態1の取付器具100の第1の部材101に相当する実施形態2の第1の部材201を示す斜視図である。図15は、実施形態2の取付器具200の特徴を説明するための図であり、図15(a)は、図14(b)に示す第1の部材201を2つの部品(本体部品210と補助部品220)に分解して示す斜視図であり、図15(b)は、図15(a)に示す補助部品220をA方向から見た構造を示す平面図であり、図15(c)は、図8のE方向と同じ方向から実施形態2の第3の部材203を見た構造を示す。
この実施形態2の取付器具200は、実施形態1の取付器具100において、第1の部材101を構成する補助部品120と本体部品110との位置関係を変更したものであり、この実施形態2の取付器具200では、図14~図15に示されるように、第1の部材201を構成する補助部品220の平坦部222は、第1の部材201を構成する本体部品210の正面壁211の内面(ハゼ部Hに対向する面)に取り付けられている。
従って、この実施形態2の取付器具200においても、第1の部材201は、実施形態1の取付器具100と同様、2部品で構成されており、すなわち、第1の掴み部201aを含む補助部品220と、第1の掴み部201aを支持する支持部210aを含む本体部品210とで構成されており、補助部品220および本体部品210はそれぞれ、折り曲げられた1つの板材で構成されている。なお、実施形態2の補助部品220および本体部品21を構成する板材にも、実施形態1で用いた板材と同様、鉄、銅、ステンレスなどの金属板を用いることができる。
実施形態2の取付器具200においても、第1の部材201は、図14に示すように、補助部品220の第1の掴み部201aと本体部品210の支持部210aとが支持体部材Hから第1の部材201への引張荷重Pfの方向に重なって配置されるように構成されている。
これにより、支持体部材Hからの引張荷重Pfが第2の掴み部201aおよび支持部210aの両方で受け止められて分散されることとなる。
また、この取付器具200においても、実施形態1の取付器具100と同様に、第1の掴み部201aが接続された第2の基部(補助部品220の基部)は、支持部210aが第1の基部(本体部品の基部)に接続された位置K1とは異なる位置K2で、第1の基部(本体部品の基部)に固定されているため(図9(b)参照)、図2(b)で説明したように、支持部210aに分散された荷重が第1の基部(本体部品の基部)にかかる位置K1が、第1の掴み部201aに分散された荷重が補助部品(第1の掴み部201aおよび第2の基部)220を介して第1の基部(本体部品の基部)にかかる位置K2と重なるのを回避できる。このため、引張荷重が本体部品の基部の一か所で集中するのを回避して本体部品の基部の変形を抑制することができる。
また、実施形態2の取付器具200では、実施形態1の取付器具100における補助部品120と本体部品110との位置関係の変更に伴って、第1の部材201の本体部品210、補助部品220、および第3の部材203の形状を、実施形態1のものから変更しており、以下具体的に説明する。
(第1の部材201の本体部品210)
第1の部品201aの本体部品210は、開口部(正面壁)211と側壁213を除いては実施形態1の第1の部材101と同一の構造となっている。
すなわち、開口部(正面壁)211と側壁213は、第1の部材201の正面開口211aの高さ方向の寸法が、実施形態1のものより広がるように変更されている。なぜなら、この実施形態2の取付器具200の第1の部材201では、本体部品210の正面開口211aには、ハゼ部H1だけでなく、補助部品220の湾曲部221も収容する必要があるからである。
(第1の部材201の補助部品220)
第1の部品201aの補助部品220は、実施形態1の補助部品120と同様、図15(b)に示すように、第1の掴み部201aと、第1の掴み部201aが固定される基部(第1の掴み部201a以外の部分)220aとで構成されており、補助部品220の基部(第2の基部)220aは、実施形態1の平坦部122および湾曲部121に対応する平坦部222および湾曲部221を有しているが、湾曲部221の形状が、実施形態1のものとは異なる。
すなわち、この実施形態2の第1の部材201における補助部品220の湾曲部221では、図15(b)に示されるように、湾曲部221のうちの平坦部222に隣接する部分221aが平坦部222に対してなす角度が、ほぼ直角となっており、これは、実施形態1で、図11(a)に示されるように、湾曲部121のうちの平坦部122に隣接する部分が平坦部122に対してなす角度が鈍角となっているのとは異なる。
このように実施形態2の補助部品220を構成する湾曲部221の形状を、湾曲部221のうちの平坦部222に隣接する部分221aが平坦部122に対してほぼ直角をなすようにしているのは、補助部品220のうちの、本体部品210の正面開口211aに収容される部分の高さ方向の寸法を小さくするためである。
(第2の部材202)
実施形態2の第2の部材202は、実施形態1で図12を用いて説明した第2の部材102と同じ構造を有しており、従って、第2の部材202の第2の掴み部202aも実施形態1の第2の部材102におけるものと同一の構造を有している。
(第3の部材203)
実施形態2の取付器具200を構成する第3の部材203は、実施形態1の取付器具100における第3の部材103と同様、頭部231と胴体部232とを有しているが、胴体部232の形状は、実施形態1のものとは異なる。
具体的には、図15(c)に示されるように、実施形態2の第3の部材203では、実施形態1とは異なり、補助部品220の平坦部222が本体部品210の正面壁211の内側(ハゼ部Hに面する側)に配置されるので、補助部品220の平坦部222を収容するスペース232aが、胴体部232のうちの、本体部品210の平坦部222に対向する部分に形成されている。
なお、第3の部材203のその他の構成は、実施形態1における第3の部材103と同一である。
このような構成の実施形態2の取付器具200においても、強風などで上屋根R2が煽られたとき、取付器具200のハゼ部H1を収容している第1の部材201には、図2(b)に示すように、上向きの力に対する対抗力として引張荷重Pfが働くが、実施形態2の取付器具200の第1の部材201においては、実施形態1の取付器具100の第1の部材101と同様に、引張荷重が本体部品の基部の一部に集中するのを回避して本体部品の基部の変形を抑制することができる。
また、取付器具200では、第1の部材201の補助部品220の湾曲部221が、本体部品210の正面開口211aに収容されるので、補助部品220および本体部品210を第2の部材202および第3の部材203とともに組み立てる作業は、実施形態1の取付器具100に比較して容易であるという利点がある。
なお、上述した実施形態1、2では、本発明の取付器具の例として、第1の部材101、201が、第1の掴み部101a、201aを含む補助部品120、220と支持部110a、210aを含む本体部品110、210との2部品で構成された取付器具100、200を示したが、本発明の取付器具の第1の部材は、実施形態1および2で示した取付器具のように2部品で構成されたものに限定されず、第1の掴み部および支持部を含む単一部品で構成されたものでもよい。
(実施形態3)
以下、実施形態1、2の第1の部材を第1の掴み部および支持部を含む単一部品で構成した実施形態3の取付器具300を上述した本願発明の第2の取付器具30の一例として説明する。
〔取付器具300〕
図16は、本発明の実施形態3による取付器具300を説明するための図であり、図16(a)は、実施形態1の取付器具100の断面(図6(b))に相当する断面の構造を示し、図16(b)は、実施形態1の図9(a)に相当する斜視図であり、図16(c)は、図16(b)の第1の部材301の下部をC方向から見た構造を示す平面図である。図17は、図16(b)に示す第1の部材301を説明するための平面図であり、図17(a)~図17(e)は、図16(b)の第1の部材301をA~E方向から見た構造を示す。なお、図16(b)のF方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右反転した構造であり、図17では図示していない。
この実施形態3の取付器具300は、実施形態1の取付器具100において、2部品で構成された第1の部材101に代えて、1部品で構成された第1の部材301を備え、さらに、実施形態1の第3の部材103を、1部品で構成された第1の部材301に適した構造の第3の部材303に置き換えたものであり、実施形態3の取付器具300におけるその他の構成は、実施形態1の取付器具100におけるものと同一である。従って、この実施形態3の取付器具300に含まれる第2の部材302は、実施形態1における第2の部材102と同一であり、第2の部材302に含まれる第2の掴み部302aも実施形態1における第2の掴み部102aと同一のものである。
実施形態3の取付器具300は、実施形態1の取付器具100あるいは実施形態2の取付器具200と同様、被取付部材R2を支持体部材H1の首部Hnに取り付けるための取付器具である。
この取付器具300は、図16(a)に示すように、第1の部材301と第2の部材302とを備えている。第1の部材301は、基部310bと、支持体部材H1を掴むための第1の掴み部301aと、第1の掴み部301aを支持する支持部310aとを備えている(図17参照)。
ここで、第1の基部310bは、第1の部材301における第1の掴み部301aおよび支持部310a以外の部分である。
第2の部材302は、支持体部材H1を掴むための第2の掴み部302aを備え、第1の掴み部301aおよび第2の掴み部302aによって、支持体部材H1の首部Hnを挟持するように構成されている。
そして、この実施形態3の取付器具300では、第1の部材301は、単一部品で構成されており、この単一部品300は、折り曲げられた1つの板材で構成されている。
この取付器具300の第1の部材301では、第1の掴み部301aと支持部310aとは、基部310bの異なる位置でそれぞれ基部310bに固定されている(図16(c)参照)。
なお、実施形態3の単一部品300を構成する板材にも、実施形態1で用いた板材と同様、鉄、銅、ステンレスなどの金属板を用いることができる。
実施形態3の取付器具300においても、第1の部材301を構成する単一部品310では、図16(c)に示すように、第1の掴み部301aと支持部310aとが支持体部材H1から第1の部材301への引張荷重Pfの方向に重なって配置されている。
これにより、図16(a)、(c)に示すように、上屋根が吹き上げられる力に対抗する力として支持体部材H1からの引張荷重Pfが第1の部材301にかかったとき、引張荷重Pfは第1の掴み部301aおよび支持部310aの両方で受け止められて分散されることとなる。
これにより、図5(b)で説明した本発明の第2の取付器具30と同様に、第1の部材301にかかる引張荷重Pfに釣り合う対抗力Cfは、図5(b)に示すように、第1の部材301の第1の掴み部301aが発生する変形応力と、支持部310aが発生する変形応力との和となり、それぞれの部分で発生させる変形応力が引張荷重Pfよりも小さくすむことになる。
その結果、第1の部材301のうちの特に力のかかる第1の掴み部301a、および支持体310aに生ずる変形応力を低減させることができ、掴み部301aおよび支持部310aの変形を抑制することができる。
また、図16(c)に示すように、第1の掴み部301aは、支持部310aが基部310bに接続された位置K3とは異なる位置K4で、基部310bに固定されているため、図5(b)で説明したように、支持部310aに分散された荷重が基部310bにかかる位置(図5(b)、図16(c)の位置K3)が、第1の掴み部301aに分散された荷重が基部310bにかかる位置(図5(b)、図16(c)の位置K4)と重なるのを回避できる。このため、引張荷重が単一部品の基部の一部で集中するのを回避して単一部品の基部での変形を抑制することができる。
以下、この取付器具300を構成する各部材の構造を具体的に説明する。
(第1の部材301)
まず、第1の部材301を具体的に説明する。
図17は、図16(b)に示す第1の部材301を説明するための平面図であり、図17(a)~図17(e)は、図16(b)の第1の部材301をA~E方向から見た構造を示す。なお、F方向から見た構造は、A方向から見た構造を左右反転した構造であることから、図17では図示していない。
第1の部材301は、第1の掴み部301aと、支持部310aと、第1の掴み部301aおよび支持部310aが固定される基部(第1の掴み部301aおよび支持部310a以外の部分)310bとを含む単一部品310で構成されている。ここで、第1の掴み部301aおよび支持部310aは、屈曲部によりこれらの部分が固定される基部310bと一体に接合されている。
具体的には、第1の部材301を構成する単一部品310に含まれる基部310bは、第2の部材302に対向する正面壁311と、正面壁311の両側に位置する左右一対の側壁(内側側壁)313と、正面壁311の下側に位置する底板314と、一対の側壁313の外側に位置する一対の側壁(外側側壁)313aとを含んでいる。
なお、正面壁311の中央には、締付ボルトBtを挿通するためのボルト挿通孔H1aが形成されており、さらに、その下側には、ハゼ部H1を収容するための正面開口311aが形成されている。この正面壁311のボルト挿通孔H1aおよび正面開口311aは、実施形態1の正面壁111におけるものと同一である。また、正面壁311の下端縁(正面開口311aの上縁を形成する部分)に折曲片311bが形成されており、正面壁311の補強がなされている。
一対の内側側壁313は、正面壁311の両側端に屈曲部を介して一体に接合されており、一対の外側側壁313aの一方は、一対の内側側壁313の一方の側端に屈曲部により一体に接合されており、一対の外側側壁313aの他方は、一対の内側側壁313の他方の側端に屈曲部により一体に接合されている。
支持部310aの両端は、屈曲部により一対の内側側壁313の下側端部(K3)に接合されており、支持部310aの下端縁には屈曲部により底板314が一体に接合されている。さらに、一対の外側側壁313aの下端部(K4)には屈曲部により第1の掴み部301aが一体に接合されている。
(第2の部材302)
実施形態3の取付器具300における第2の部材302は、実施形態1で説明した第2の部材102と同じ構造を有している。
(第3の部材303)
実施形態3の取付器具300を構成する第3の部材303(図16(a)参照)は、実施形態1の取付器具100における第3の部材103と同様、上屋根R2から取付器具100を介して下屋根R1に熱が伝導するのを阻止する断熱部品である。
この第3の部材303は、実施形態1におけるものと同様、頭部331と胴体部332とを有し、頭部331はスライド部分331aと固定部分331bを含むが、頭部331のスライド部分331aの構造が実施形態1のものと異なる。
これは、実施形態3の取付器具300において実施形態1の取付器具100から変更した部分は、第1の部材301であり、第3の部材303の頭部331のうちの、第1の部材301に対向する部分がスライド部分であるからである。
具体的には、実施形態1の第3の部材103では、頭部131のスライド部分131aの下面には、第1の部材101の天板112の部分が嵌る凹状溝が形成されているのに対し、実施形態3の第3の部材303では、頭部331のスライド部分331aの下面は平坦な形状となっている。
このような構成の本実施形態3の取付器具300では、図16(c)に示すように、引張荷重Pfを受ける第1の部材301の掴み部(第1の掴み部)301aとその支持部310aとが引張荷重Pfの方向に重ねて配置されているので、引張荷重Pfは第1の掴み部301aと支持部310aとに分散されることとなる。
また、この取付器具300では、支持部310aは、一対の内側側壁313(基部310bの位置K3)に接合され、掴み部301aは、一対の外側側壁313a(基部310bの位置K4)に接合されていることから、第1の部材301および支持部310aにかかる引張荷重Pfを、第1の部材301および支持部310aが固定される基部の別々の部分で受けることができ、引張荷重Pfを基部310bの内部でも分散させることができ、引張荷重Pfに対する基部310bの変形を抑制できる。
また、本実施形態3の取付器具300では、第1の掴み部301aとその支持部310aとは1つの部品(単一部品)310に含まれているので、取付器具300の部品点数を少なくすることができる。
なお、実施形態1~3の取付器具では、支持体部材(ハゼ部)H1を掴む一対の部材の一方(第1の部材)の掴み部に作用する引張荷重(下地に対する垂直荷重)を掴み部とその支持部とに分散させる構造を示したが、本発明の取付器具は、支持体部材(ハゼ部)Hを一対の部材が掴むときに発生する反力(下地に対する水平荷重)を一対の部材の一方の部材(第1の部材)の掴み部とその支持部とで分散させる構造を有するものでもよく、以下本発明の実施形態4として、このような反力を分散させる構造を有する取付器具400を説明する。
(実施形態4)
本発明の実施形態4では、上述した本願発明の第1の取付器具10および第2の取付器具30以外の本発明の取付器具の一例として取付器具400を挙げる。
〔取付器具400〕
図18は、本発明の実施形態4による取付器具400を説明するための平面図であり、図18(a)は、取付器具400をハゼ部Hに平行な方向から見た構造を示し、図18(b)は、取付器具400をハゼ部Hに垂直な方向から見た構造を示し、図19は、図18に示す取付器具400を4つの部品410、420、403、402に分解して示す斜視図である。
実施形態4の取付器具400は、被取付部材R1を支持体部材H1に取り付けるための取付器具である。この取付器具400は、第1の掴み部401aおよび第1の掴み部401aを支持する支持部420aを含む第1の部材401と、第2の掴み部402aを含む第2の部材402とを備え、取付器具400は、第1の掴み部401aと第2の掴み部402aとで支持体部材Hを掴むように構成されている。
なお、支持体部材Hは、2層構造の折板屋根Rの下屋根R1のハゼ部H1であり、被取付部材R2は、2層構造の折板屋根Rの上屋根であり、取付器具400は、上屋根R2から下屋根R1への熱の伝達を遮断する第3の部品(断熱部品)403をさらに有している。この第3の部材403の上には、上屋根R2のハゼ部に固定されて上屋根R2を支持する吊り子(図示せず)が固定ボルトBfと固定ナット(図示せず)により固定される。
実施形態4の取付器具400では、第1の掴み部401aと支持部420aとは、第1の掴み部401aと第2の掴み部402aとが支持体部材H1を掴むときの挟持力Bfに対する反力(水平方向の荷重)Afの方向に沿って重なるように配置されており、これにより第1の部材401にかかる掴む力の反力が分散されることとなる。しかも、支持部420aを含む補助部品420は、第1の掴み部401aと第2の掴み部402aとが支持体部材H1を掴むときに生ずる反力を、補助部品420を構成する板材の板厚と垂直な方向で受けるように構成されている。
ここで、第1の部材401は、本体部品410および補助部品420の2部品で構成されており、以下、これらの部品を説明する。
(第1の部材401の本体部品410)
本体部品410は、1つの平板を同じ方向に沿って複数箇所で折り曲げて形成されたものであり、第1の掴み部401aと第1の掴み部401aが固定される基部(第1の掴み部401a以外の部分)410aとを有している。
ここで基部410aは、第2の部材402に対向する正面壁411と、正面壁411の上側に位置する天板412と、正面壁411と第1の掴み部401aとを連結する湾曲部413とを含む。正面壁411と天板412とは屈曲部により一体に接合されており、湾曲部413と正面壁411とは屈曲部により一体に接合されており、湾曲部413と第1の掴み部401aとは屈曲部により一体に接合されている。
(第1の部材401の補助部品420)
本体部品420は、1つの平板を同じ方向に沿って複数箇所で折り曲げて形成されたものであり、第1の掴み部401aにつながる湾曲部413を支持する支持部420aと、基部(支持部420a以外の部分)420bとを有している。
ここで、基部420bは、本体部品410の正面壁411とともに第2の部材402および第3の部材403に固定される板状部421と、板状部421の両側に位置して支持部420aにつながる側部423とを含む。板状部421と側部423とは屈曲部により一体に接合されており、側部423と支持部420aと一体に繋がっている。
(第2の部材402)
第2の部材402は、上述した第1の部材401とは高さの違いを除いては同じ構造となっている。
すなわち、第2の部材402は、実施形態1の取付器具100における第2の部材102に相当するものであり、実施形態1で説明したように、被取付部材を取付器具に固定するための固定部材(例えば、吊り子)を配置するためのスペースを確保するため、固定部材を配置しない第1の部材に対して高さの低い形状となっている。
なお、第2の部材402における、正面壁402b、天板402c、湾曲部402d、掴み部402aはそれぞれ、第1の部材401の本体部品410における正面壁411、天板412、湾曲部413、掴み部401aに対応している。
(第3の部材403)
実施形態4の取付器具400における第3の部材403は、図19に示すように、例えば、実施形態1で説明した第2の部材103と同様に、頭部431と胴体部432とを有し、頭部431は、第1の部材401の天板412上にスライド可能なスライド部分431aと、第2の部材402の天板402dに固定される固定部分431bを有している。
このように、本実施形態4の取付器具400の第1の部材401では、図18に示すように、第1の掴み部401aおよび第2の掴み部402aがハゼ部Hを掴むときの挟持力Bfに対する反力Afを受ける第1の部材401の掴み部401aとその支持部420aとが、反力Afの方向に重ねて配置されているので、反力Afは第1の掴み部401aと支持部420aとに分散されることとなる。これにより、反力Afによる第1の掴み部401aおよび支持部420aの変形を抑制することができる。
しかも、支持部420aを含む補助部品420は、第1の掴み部401aと第2の掴み部402aとが支持体部材H2を掴むときに生ずる反力を、支持部420aにおける補助部品420を構成する板材の板厚と垂直な方向で受けるように構成されているので、補助部品420は、第1の掴み部401aと第2の掴み部402aとが支持体部材H2を掴むときに生ずる反力に対する大きな変形応力を発生させることができ、本体部品410の変形をより一層抑制することができる。
また、本実施形態4の取付器具400の第1の部材401は、第1の掴み部401aを含む本体部品410と、支持部420aを含む補助部品420の2部品で構成しているため、これらの部品は、別々のプレス加工工程で作製することができる。このため取付器具400の作製で用いる金型の作製の難易度を増大させたり、加工設備の大型化を招いたりすることもない。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。