JP7327693B2 - 蒸着マスク基材、蒸着マスク基材の検査方法、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法 - Google Patents

蒸着マスク基材、蒸着マスク基材の検査方法、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、蒸着マスク基材、蒸着マスク基材の検査方法、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法に関する。
有機EL表示装置が備える表示素子の一部は、蒸着マスクを用いた蒸着によって形成される。蒸着マスクは、鉄ニッケル系合金の金属板を用いて形成される。鉄ニッケル系合金の金属板を製造する際には、粒子状の添加剤が、金属板の原材料に混合される。粒子状の添加剤は、例えば、アルミニウム、マンガン、および、シリコンなどを含む。
金属板には、添加剤に由来する粒子が含まれる。金属板における粒子の分布は、例えば以下の測定方法によって把握される。すなわち、測定方法では、まず、金属板の一部を切り出す。次いで、切り出した金属板の一部から、試験片を切り出す。そして、試験片を水溶液に溶解した後に、水溶液に対して吸引濾過を行うことによって、水溶液中の粒子を濾紙上に取り出す。そして、濾紙上の粒子を撮像することによって画像を取得し、次いで、取得した画像を解析する。これによって、単位体積当たりにおいて、相対的に大きい粒子の数と、相対的に小さい粒子の数とを把握する(例えば、特許文献1を参照)。
特許第6788852号公報
上述した測定方法では、金属板を溶解し、これによって、金属板中に含まれる粒子の総数、および、相対的に大きい粒子と相対的に小さい粒子との割合を特定しているのみである。したがって、当該測定方法は、これらの粒子が、金属板中においてどのように存在しているのかを考慮するまでには至らない。
上記課題を解決するための蒸着マスク基材は、有機EL素子を形成するための蒸着マスクの製造に用いられる。蒸着マスク基材は、鉄とニッケルとを含む合金から形成され、金属酸化物から形成された粒子を含み、10μm以上30μm以下の厚さを有する。前記蒸着マスク基材を表面からエッチングすることによって、前記蒸着マスク基材を厚さ方向に沿って貫通する複数のピンホールが形成されるように構成されている。前記蒸着マスク基材の前記表面と対向する視点から見て、前記表面において、各ピンホールの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下である。前記表面の100cmあたりに位置する前記ピンホールの数は、前記蒸着マスク基材を5μmの厚さまでエッチングした場合に17個以下であり、前記蒸着マスク基材を3μmの厚さまでエッチングした場合に90個以下である。
蒸着マスク基材には、蒸着マスク基材の製造時に蒸着マスク基材の原材料に添加された粒子が含まれる。蒸着マスク基材の厚さを薄くするように蒸着マスク基材がウェットエッチングされることによって、蒸着マスク基材に含まれる粒子の一部は、蒸着マスク基材から外れ、これにより蒸着マスク基材の表面には、粒子が外れたことに起因する凹部が形成される。蒸着マスク基材に形成された凹部は、蒸着マスク基材の厚さを薄くするエッチングが進行することによって、蒸着マスク基材を厚さ方向に沿って貫通するピンホールに変わる。
上記蒸着マスク基材によれば、蒸着マスク基材の厚さを5μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数と、蒸着マスク基材の厚さを3μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数とを計数する。そのため、蒸着マスク基材の厚さを5μmまで薄くしたときのピンホールの数と、蒸着マスク基材の厚さを3μmまで薄くしたときのピンホールの数との差分から、蒸着マスク基材の厚さ方向での粒子の分布における傾向を把握することが可能である。
さらには、蒸着マスク基材の厚さを5μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数と、蒸着マスク基材の厚さを3μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数とが、上述した範囲を満たす。そのため、上述した蒸着マスク基材によれば、当該蒸着マスク基材に形成されたマスク孔が備える開口に欠けが生じることが抑えられる。これにより、蒸着マスクにおいて、マスク孔が備える開口の形状における精度を高めることが可能である。
上記蒸着マスク基材において、前記粒子は、第1粒子と第2粒子とを含み、前記第1粒子の粒径は、3μm以上であり、前記第2粒子の粒径は、3μm未満であってもよい。
蒸着マスク基材に含まれる粒子が大きいほど、粒子に起因した凹部が大きい傾向を有するから、蒸着マスク基材の厚さが相対的に厚い段階で、蒸着マスク基材にピンホールが形成される。これに対して、蒸着マスク基材に含まれる粒子が小さいほど、粒子に起因した凹部が小さい傾向を有するから、蒸着マスク基材の厚さが相対的に薄い段階で、蒸着マスク基材にピンホールが形成される。
上記蒸着マスク基材によれば、蒸着マスク基材が第1粒子と、第1粒子よりも小さい第2粒子とを含むから、蒸着マスク基材の厚さを5μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数によって、蒸着マスク基材が5μmよりも厚い範囲における第1粒子の分布の傾向を把握することが可能である。
上記課題を解決するための蒸着マスク基材の検査方法は、有機EL素子を形成するための蒸着マスクの製造に用いられる。蒸着マスク基材の検査方法は、鉄とニッケルとを含む合金から形成され、金属酸化物から形成された粒子を含む蒸着マスク基材を準備すること、エッチング液を用いて前記蒸着マスク基材を表面からエッチングし、これによって、第1厚さまで前記蒸着マスク基材をエッチングすること、前記第1厚さまで前記蒸着マスク基材をエッチングした後に、前記蒸着マスク基材を厚さ方向に沿って貫通するピンホールであって、前記表面において前記ピンホールの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下である前記ピンホールの数を計数すること、前記エッチング液を用いて前記蒸着マスク基材を前記表面から、前記第1厚さから第2厚さまでエッチングすること、前記第2厚さまでエッチングした後に、前記蒸着マスク基材を貫通する前記ピンホールの数を計数すること、および、前記第1厚さでの前記ピンホールの数が第1基準値以下であり、かつ、前記第2厚さでの前記ピンホールの数が第2基準値以下である場合に、前記蒸着マスク基材が合格であると判定すること、を含む。
上記課題を解決するための蒸着マスクの製造方法は、有機EL素子を形成するための蒸着マスクの製造に用いられる。蒸着マスクの製造方法は、上記蒸着マスク基材の検査方法を用いて合格と判定された前記蒸着マスク基材を準備すること、および、前記蒸着マスク基材をエッチングし、これによって前記蒸着マスク基材に複数のマスク孔を形成すること、を含む。
上記課題を解決するための表示装置の製造方法は、上記蒸着マスクの製造方法によって製造された蒸着マスクを用いて蒸着パターンを形成すること、を含む。
上記方法によれば、蒸着マスク基材の厚さを第1厚さまで薄くしたときに形成されたピンホールの数と、蒸着マスク基材の厚さを第2厚さまで薄くしたときに形成されたピンホールの数とを計数する。そのため、第1厚さでのピンホールの数と第2厚さでのピンホールの数との差分から、蒸着マスク基材の厚さ方向での粒子の分布における傾向を把握することが可能である。
しかも、蒸着マスク基材の厚さを第1厚さまで薄くしたときに形成されるピンホールの数と、蒸着マスク基材の厚さを第2厚さまで薄くしたときに形成されるピンホールの数とが所定の基準値以下である場合に、蒸着マスク基材が合格であると判定する。そのため、蒸着マスク基材にマスク孔が形成された場合に、マスク孔の開口に欠けが生じることを抑えられる。これにより、上述した検査方法によれば、マスク孔が備える開口の形状における精度を高めることが可能な蒸着マスク基材を選別することが可能である。
本開示によれば、蒸着マスク基材の厚さ方向における粒子の分布を把握し、結果として、蒸着マスク基材を用いて製造された蒸着マスクにおいて、開口における形状の精度を高めることができる。
蒸着マスク基材の構造を示す斜視図である。 図1が示す蒸着マスク基材の表面における一部を示す平面図である。 蒸着マスク基材の検査方法を説明するための工程図である。 蒸着マスク基材の検査方法を説明するための工程図である。 図4が示す蒸着マスク基材の表面における一部を示す平面図である。 蒸着マスク基材の検査方法を説明するための工程図である。 蒸着マスク基材の第1例における構造を示す断面図である。 蒸着マスク基材の第1例における構造を示す断面図である。 蒸着マスク基材の第1例における構造を示す断面図である。 蒸着マスク基材の第2例における構造を示す断面図である。 蒸着マスク基材の第2例における構造を示す断面図である。 蒸着マスク基材の第2例における構造を示す断面図である。 マスク孔の形状における第1例を示す断面図である。 マスク孔の形状における第2例を示す断面図である。 マスク装置の構造を示す平面図である。 表示装置の製造方法に用いられる蒸着装置の構造を示す装置構成図である。 実施例および比較例の蒸着マスクに形成される欠陥の一例を示す平面図である。
図1から図17を参照して、蒸着マスク基材、蒸着マスク基材の検査方法、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法の一実施形態を説明する。
[蒸着マスク基材]
図1および図2を参照して蒸着マスク基材を説明する。
図1が示す蒸着マスク基材10は、有機EL素子を形成するための蒸着マスクの製造に用いられる金属製のシートである。蒸着マスク基材10は、鉄ニッケル系合金から形成されている。鉄ニッケル系合金は、鉄とニッケルとを含む合金の一例である。蒸着マスク基材10は、金属酸化物から形成された粒子を含む。蒸着マスク基材10は、10μm以上30μm以下の厚さTを有している。蒸着マスク基材10は、表面10Fと表面10Fとは反対側の面である裏面10Rとを含んでいる。
蒸着マスク基材10は、以下の条件1および条件2を満たす。
(条件1)蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングすることによって、蒸着マスク基材10を5μmの厚さまでエッチングした場合に、蒸着マスク基材10は、蒸着マスク基材10を厚さ方向に沿って貫通する複数のピンホールを含む。蒸着マスク基材10の表面10Fと対向する視点から見て、表面10Fにおいて、各ピンホールの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下である。表面10Fの100cmあたりに17個以下のピンホールが位置する。
(条件2)5μmの厚さを有した蒸着マスク基材10の表面10Fからエッチングすることによって、蒸着マスク基材10を3μmの厚さまでエッチングした場合に、蒸着マスク基材10は、蒸着マスク基材10を厚さ方向に沿って貫通する複数のピンホールを含む。表面10Fと対向する視点から見て、表面10Fにおいて、各ピンホールの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下である。表面10Fの100cmあたりに90個以下のピンホールが位置する。
すなわち、蒸着マスク基材10は、表面10Fからエッチングすることによって、蒸着マスク基材10を厚さ方向に沿って貫通する複数のピンホールが形成されるように構成されている。蒸着マスク基材10の表面10Fと対向する視点から見て、表面10Fにおいて、各ピンホールの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下である。表面10Fの100cmあたりに位置するピンホールの数は、蒸着マスク基材10を5μmの厚さまでエッチングした場合に17個以下であり、蒸着マスク基材10を3μmの厚さまでエッチングした場合に90個以下である。
なお、蒸着マスク基材10を5μmの厚さまでエッチングした際におけるピンホールの数は、表面10Fの100cmあたりに7個以下であることが好ましい。また、蒸着マスク基材10を3μmの厚さまでエッチングした際におけるピンホールの数は、50個以下であることが好ましい。
蒸着マスク基材10には、蒸着マスク基材10の製造時に蒸着マスク基材10の原材料に添加された粒子が含まれる。蒸着マスク基材10の厚さを薄くするように蒸着マスク基材10がウェットエッチングされることによって、蒸着マスク基材10に含まれる粒子の一部は、蒸着マスク基材10から外れ、これにより蒸着マスク基材10の表面10Fには、粒子が外れたことに起因する凹部が形成される。蒸着マスク基材10に形成された凹部は、蒸着マスク基材10の厚さを薄くするエッチングが進行することによって、蒸着マスク基材10を厚さ方向に沿って貫通するピンホールに変わる。
蒸着マスク基材10を検査する際には、蒸着マスク基材10の厚さを5μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数と、蒸着マスク基材10の厚さを3μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数とを計数する。そのため、蒸着マスク基材10の厚さを5μmまで薄くしたときのピンホールの数と、蒸着マスク基材10の厚さを3μmまで薄くしたときのピンホールの数との差分から、蒸着マスク基材10の厚さ方向での粒子の分布における傾向を把握することが可能である。
さらには、蒸着マスク基材10の厚さを5μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数と、蒸着マスク基材10の厚さを3μmまで薄くしたときに形成されたピンホールの数とが、上述した範囲を満たす。そのため、上述した蒸着マスク基材10によれば、当該蒸着マスク基材10に形成されたマスク孔が備える開口に欠けが生じることが抑えられる。これにより、蒸着マスクにおいて、マスク孔が備える開口の形状における精度を高めることが可能である。
図2は、蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングすることによって、蒸着マスク基材10の厚さを5μmの厚さまで薄くした場合、または、3μmの厚さまで薄くした場合における表面10Fの一部における一例を拡大して示している。
図2が示すように、蒸着マスク基材10の厚さが5μmである場合に、表面10Fと対向する視点から見て、蒸着マスク基材10は、蒸着マスク基材10を厚さ方向に沿って貫通する複数のピンホール10Hを有している。表面10Fと対向する視点から見て、複数のピンホール10Hは、第1の大きさを有するピンホール10Hと、第2の大きさを有するピンホール10Hとを含んでいる。第2の大きさは、第1の大きさとは異なる。
蒸着マスク基材10のエッチング後において、蒸着マスク基材10が有するピンホール10Hは、蒸着マスク基材10が含む粒子に由来する。蒸着マスク基材10は、5μmの厚さまでエッチングされる以前において、第1粒子と第2粒子とを含んでいてもよい。第1粒子および第2粒子は、金属酸化物から形成されている。第1粒子の粒径は、3μm以上である。第2粒子の粒径は、3μm未満である。なお、蒸着マスク基材10の一例では、第1粒子の粒径分布が3μm程度にピークを有し、かつ、第2粒子では、2μm以下の粒径を有した粒子が主である。
蒸着マスク基材10に含まれる粒子が大きいほど、粒子に起因した凹部が大きい傾向を有するから、蒸着マスク基材10の厚さが相対的に厚い段階で、蒸着マスク基材10にピンホール10Hが形成される。これに対して、蒸着マスク基材10に含まれる粒子が小さいほど、粒子に起因した凹部が小さい傾向を有するから、蒸着マスク基材10の厚さが相対的に薄い段階で、蒸着マスク基材10にピンホール10Hが形成される。
蒸着マスク基材10によれば、蒸着マスク基材10が第1粒子と、第1粒子よりも小さい第2粒子とを含む。そのため、蒸着マスク基材10の厚さを5μmまで薄くしたときに形成されたピンホール10Hの数によって、蒸着マスク基材10が5μmよりも厚い範囲における第1粒子の分布の傾向を把握することが可能である。
第1粒子および第2粒子の粒径は、例えば、蒸着マスク基材10のエッチングによって、蒸着マスク基材10から得られた粒子から把握することが可能である。また、エッチング後における蒸着マスク基材10の表面10Fを顕微鏡で観察された粒子から、各粒子の粒径を把握することも可能である。
蒸着マスク基材10は、鉄ニッケル系合金から形成された圧延材である。鉄ニッケル系合金は、例えば、30質量%以上のニッケルを含む。鉄ニッケル系合金のなかでも、36質量%のニッケルと残余分の鉄との合金を主成分とする合金、すなわちインバーが、蒸着マスク基材10を形成するための材料として好ましい。36質量%のニッケルと残余分の鉄との合金が金属板の主成分である場合には、蒸着マスク基材10は、例えば、クロム、マンガン、炭素、およびコバルトなどの添加物を含む場合がある。
なお、蒸着マスク基材10は、鉄ニッケルコバルト系合金から形成された圧延材でもよい。鉄ニッケルコバルト系合金は、例えば、30質量%以上のニッケル、3質量%以上のコバルト、および、残余分の鉄を含む合金である。鉄ニッケルコバルト系合金のなかでも、32質量%のニッケルと、4質量%以上5質量%以下のコバルトを含む合金、すなわちスーパーインバーが、蒸着マスク基材10を形成するための材料として好ましい。スーパーインバーにおいて、32質量%のニッケル、および、4質量%以上5質量%以下のコバルトに対する残余分は、主成分である鉄以外の添加物を含む場合がある。添加物は、例えば、クロム、マンガン、および、炭素などである。鉄‐ニッケル‐コバルト系合金に含まれる添加物は、最大でも0.5質量%以下である。
第1粒子および第2粒子は、金属酸化物から形成されている。金属酸化物は、例えば、マグネシウム、マンガン、および、アルミニウムの少なくとも1つと、酸素とを含んでいる。すなわち、金属酸化物は、マグネシウム、マンガン、および、アルミニウムから構成される群から選択される1つのみを含んでもよいし、当該群から選択される2つ以上を含んでもよい。金属酸化物は、マグネシウム、マンガン、および、アルミニウム以外の金属として、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、チタン、および、クロムの少なくとも1つを含んでもよい。すなわち、金属酸化物は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、チタン、および、クロムから構成される群から選択される1つのみを含んでもよいし、当該群から選択される2つ以上を含んでもよい。また、金属酸化物は、ケイ素、硫黄、および、塩素の少なくとも1つを含んでもよい。すなわち、金属酸化物は、ケイ素、硫黄、および、塩素から構成される群から選択される1つのみを含んでもよいし、ケイ素、硫黄、および、塩素から構成される群から選択される2つ以上を含んでもよい。
[蒸着マスク基材の検査方法]
図3から図12を参照して、蒸着マスク基材10の検査方法を説明する。
蒸着マスク基材10の検査方法は、蒸着マスク基材10を準備すること、第1厚さまで蒸着マスク基材10をエッチングすること、第1厚さまでエッチングした後に、ピンホールの数を計数することを含む。蒸着マスク基材10の検査方法は、さらに、蒸着マスク基材10を第1厚さから第2厚さまでエッチングすること、第2厚さまでエッチングした後に、ピンホールの数を計数すること、蒸着マスク基材10の合否を判定することを含む。以下、図面を参照して、蒸着マスク基材10の検査方法を詳しく説明する。
図3が示すように、蒸着マスク基材10の検査方法では、まず、鉄ニッケル系合金から形成された蒸着マスク基材10を準備する。蒸着マスク基材10は、表面10Fと裏面10Rとを備えている。上述したように、蒸着マスク基材10の厚さTは、例えば、10μm以上30μm以下である。なお、以下において厚さTを初期厚さTとも称する。
図4が示すように、蒸着マスク基材10をエッチングする。この際に、エッチング液を用いて、蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングする。これによって、第1厚さT1まで蒸着マスク基材10をエッチングする。すなわち、蒸着マスク基材10をエッチングすることによって、蒸着マスク基材10の厚さを初期厚さTから第1厚さT1まで減らす。エッチング液は、例えば塩化第二鉄液である。
なお、初期厚さTを有する蒸着マスク基材10を第1厚さT1までエッチングするときには、スプレーエッチングを用いることができる。スプレーエッチングでは、蒸着マスク基材10の表面10Fに、エッチング液を吹き付ける。この際に、例えば、鉛直方向において、蒸着マスク基材10の表面10Fを裏面10Rよりも上方に位置させる。そして、表面10Fの法線方向に延びる回転軸に沿って蒸着マスク基材10を回転させ、かつ、回転している蒸着マスク基材10の表面10Fにエッチング液を吹き付ける。また例えば、鉛直方向において、蒸着マスク基材10の表面10Fを裏面10Rよりも下方に位置させ、かつ、下方に位置する表面10Fに対してエッチング液を吹き付けてもよい。
いずれの場合であっても、表面10Fのエッチングによって、表面10Fに凹部が形成された場合に、エッチング液が凹部に溜まることが抑えられる。そのため、蒸着マスク基材10を第1厚さT1までエッチングする処理が終了した後において、凹部に残存するエッチング液が、凹部を過剰にエッチングすることが抑えられる。そのため、ピンホールの計数時におけるピンホールの数が、エッチングが終了した時点におけるピンホールの数から乖離することが抑えられる。
第1厚さT1まで蒸着マスク基材10をエッチングした後に、蒸着マスク基材10を厚さ方向に沿って貫通するピンホール10Hの数を計数する。この際に、表面10Fにおいてピンホール10Hの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下であるピンホール10Hの数を計数する。
図5には、表面10Fと対向する視点から見たピンホール10Hの形状が例示されている。
図5が示すように、表面10Fと対向する視点から見て、ピンホール10Hの第1の例は円形状を有している。ピンホール10Hが円形状を有する場合には、ピンホール10Hの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値は、ピンホール10Hにおける直径Dの長さに等しい。
表面10Fと対向する視点から見て、ピンホール10Hの第2の例は楕円形状を有している。ピンホール10Hが楕円形状を有する場合には、ピンホール10Hの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値は、ピンホール10Hにおける長軸LAの長さに等しい。
なお、表面10Fと対向する視点から見た場合に、ピンホール10Hが円形状および楕円形状以外の形状を有することもある。この場合には、上述したように、ピンホール10Hの縁における任意の2点を繋ぐ線分のうち、最大の線分によって、ピンホール10Hの大きさを把握する。
図6が示すように、エッチング液を用いて蒸着マスク基材10を表面10Fから、第1厚さT1から第2厚さT2までエッチングする。すなわち、蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングすることによって、第1厚さT1を有した蒸着マスク基材10の厚さを第2厚さT2まで減らす。エッチング液は、例えば塩化第二鉄液である。
なお、第1厚さT1を有する蒸着マスク基材10を第2厚さT2までエッチングするときには、スプレーエッチングを用いることができる。スプレーエッチングでは、蒸着マスク基材10の表面10Fに、エッチング液を吹き付ける。この際に、例えば、鉛直方向において、蒸着マスク基材10の表面10Fを裏面10Rよりも上方に位置させる。そして、表面10Fの法線方向に延びる回転軸に沿って蒸着マスク基材10を回転させ、かつ、回転している蒸着マスク基材10の表面10Fにエッチング液を吹き付ける。また例えば、鉛直方向において、蒸着マスク基材10の表面10Fを裏面10Rよりも下方に位置させ、かつ、下方に位置する表面10Fに対してエッチング液を吹き付けてもよい。
いずれの場合であっても、表面10Fのエッチングによって、表面10Fに凹部が形成された場合に、エッチング液が凹部に溜まることが抑えられる。これにより、蒸着マスク基材10を第2厚さT2までエッチングする処理が終了した後において、凹部に残存するエッチング液が、凹部を過剰にエッチングすることが抑えられる。そのため、ピンホールの計数時におけるピンホールの数が、エッチングが終了した時点におけるピンホールの数から乖離することが抑えられる。
第2厚さT2まで蒸着マスク基材10をエッチングした後に、蒸着マスク基材10を貫通するピンホール10Hの数を計数する。なお、この際に、第1厚さT1を有する蒸着マスク基材10においてピンホール10Hを計数する場合と同様に、表面10Fにおいてピンホール10Hの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下であるピンホール10Hの数を計数する。
次いで、計数したピンホール10Hの数を用いて、蒸着マスク基材10の合否を判定する。詳細には、以下の条件3および条件4の両方を満たす場合に、蒸着マスク基材10が蒸着マスクを製造するための基材として合格であると判定する。
(条件3)第1厚さT1でのピンホール10Hの数が第1基準値以下である。
(条件4)第2厚さT2でのピンホール10Hの数が第2基準値以下である。
なお、蒸着マスク基材10が条件3および条件4の少なくとも一方を満たさない場合には、蒸着マスク基材10が蒸着マスクを製造するための基材として不合格であると判定する。すなわち、蒸着マスク基材10が条件3および条件4のうちの1つのみを満たさない場合、および、蒸着マスク基材10が条件3および条件4の両方を満たさない場合に、蒸着マスク基材10が蒸着マスクを製造するための基材として不合格であると判定する。
上述した検査方法によって蒸着マスク基材10を検査する際には、帯状を有した蒸着マスク基材10の一部から、検査用の試料を切り出す。例えば、蒸着マスク基材10の長手方向における所定の位置において、幅方向の中央部から検査用の試料を切り出す。そして、当該試料に対して、上述した検査を行う。なお、試料は、少なくとも100cmの大きさを有していればよい。試料は、例えば、一辺の長さが10cm以上である正方形状を有してもよい。あるいは、試料は、長方形状を有してもよい。なお、帯状の蒸着マスク基材10は、長手方向において一対の端部を有し、一対の端部は、第1端部と第2端部とから構成される。蒸着マスク基材10のうち、第1端部および第2端部のいずれか一方から試料を切り出し、当該試料について上述した検査を行ってもよい。
あるいは、第1端部から切り出した第1試料と、第2端部から切り出した第2試料とについて、上述した検査を行ってもよい。これにより、蒸着マスク基材10の全体において、粒子10P1,10P2の分布における傾向を把握することが可能である。
こうした蒸着マスク基材10の検査方法によれば、蒸着マスク基材10の厚さを第1厚さT1まで薄くしたときに形成されたピンホール10Hの数と、蒸着マスク基材10の厚さを第2厚さT2まで薄くしたときに形成されたピンホール10Hの数とを計数する。そのため、第1厚さT1でのピンホール10Hの数と第2厚さT2でのピンホール10Hの数との差分から、蒸着マスク基材10の厚さ方向での粒子の分布における傾向を把握することが可能である。なお、以下に参照する図7から図12には、蒸着マスク基材10における粒子の分布の一例が示されている。
しかも、蒸着マスク基材10の厚さを第1厚さT1まで薄くしたときに形成されるピンホール10Hの数と、蒸着マスク基材10の厚さを第2厚さT2まで薄くしたときに形成されるピンホール10Hの数とが所定の基準値以下である場合に、蒸着マスク基材10が合格であると判定する。そのため、蒸着マスク基材10にマスク孔が形成された場合に、マスク孔の開口に欠けが生じることを抑えられる。これにより、上述した検査方法によれば、マスク孔が備える開口の形状における精度を高めることが可能な蒸着マスク基材を選別することが可能である。
以下、図7から図9を参照して、蒸着マスク基材10の第1例に対して上述した検査方法を適用した場合における、蒸着マスク基材10の状態を説明する。また、図10から図12を参照して、蒸着マスク基材10の第2例に対して上述した検査方法を適用した場合における、蒸着マスク基材10の状態を説明する。なお、蒸着マスク基材10の第1例は、第1粒子と第2粒子との両方を含んでいる。これに対して、蒸着マスク基材10の第2例は、第2粒子のみを含んでいる。
図7が示すように、蒸着マスク基材10の第1例は、複数の第1粒子10P1と、複数の第2粒子10P2とを含んでいる。上述したように、第1粒子10P1の粒径は3μm以上であり、第2粒子10P2の粒径は3μm未満である。蒸着マスク基材10のエッチング前において、蒸着マスク基材10は、ピンホール10Hを有していない。蒸着マスク基材10の初期厚さTは、例えば10μm以上30μm以下である。
図8は、蒸着マスク基材10の厚さを初期厚さTから第1厚さT1まで減らすように、蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングした状態を示している。なお、第1厚さT1は、例えば5μmである。
図8が示すように、蒸着マスク基材10がエッチングされることによって、蒸着マスク基材10に含まれる第1粒子10P1および第2粒子10P2の少なくとも一方が、蒸着マスク基材10から外れる。これにより、蒸着マスク基材10のうち、第1粒子10P1あるいは第2粒子10P2が外れた部位には、凹部10Dが形成される。凹部10Dの深さ、および、表面10F対向する視点から見た凹部10Dの大きさは、当該凹部10D内に位置していた粒子10P1,10P2の大きさによって決まる。
そのため、第1粒子10P1が外れることによって形成された凹部10Dの深さは、第2粒子10P2が外れることによって形成された凹部10Dの深さよりも深い傾向を有する。また、表面10Fと対向する視点から見て、第1粒子10P1が外れることによって形成された凹部10Dは、第2粒子10P2が外れることによって形成された凹部10Dよりも大きい傾向を有する。
なお、蒸着マスク基材10が含む第1粒子10P1の大きさ、および、蒸着マスク基材10の厚さ方向における第1粒子10P1の位置によっては、蒸着マスク基材10が第1厚さT1までエッチングされた際に、ピンホール10Hが形成されることがある。この場合には、第1粒子10P1が蒸着マスク基材10から外れることによって形成された孔が蒸着マスク基材10を貫通することによって、ピンホール10Hが形成される。
図9は、蒸着マスク基材10の厚さを、図8を参照して先に説明した第1厚さT1から第2厚さT2まで減らすように、蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングした状態を示している。なお、第2厚さT2は、例えば3μmである。
図9が示すように、蒸着マスク基材10が第2厚さT2までエッチングされることによって、蒸着マスク基材10が第1厚さT1までエッチングされた際に形成された凹部10D内において、蒸着マスク基材10のエッチングが進行する。これにより、凹部10Dの先端が蒸着マスク基材10の裏面10Rに達することによって、蒸着マスク基材10にピンホール10Hが形成される。
図10が示すように、蒸着マスク基材10の第2例は、複数の第2粒子10P2を含んでいる。上述したように、第2粒子10P2の直径は、3μm未満である。蒸着マスク基材10のエッチング前において、蒸着マスク基材10は、ピンホール10Hを有していない。蒸着マスク基材10の初期厚さTは、例えば10μm以上30μm以下である。
図11は、蒸着マスク基材10の厚さを初期厚さTから第1厚さT1まで減らすように、蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングした状態を示している。なお、第1厚さT1は、例えば5μmである。
図11が示すように、蒸着マスク基材10がエッチングされることによって、蒸着マスク基材10に含まれる第2粒子10P2の一部が、蒸着マスク基材10から外れる。これにより、蒸着マスク基材10のうち、第2粒子10P2が外れた部位には、凹部10Dが形成される。なお、蒸着マスク基材10において、第1の第2粒子10P2が、第2の第2粒子10P2の近傍に位置し、かつ、2つの第2粒子10P2が厚さ方向に沿って並ぶことがある。この場合には、第1の第2粒子10P2が外れることによって形成された凹部と、第2の第2粒子10P2が外れることによって形成された凹部とが連なる。これによって、厚さ方向に沿って延びる1つの凹部10Dが形成される。なお、複数の凹部10Dには、1つの第2粒子10P2が外れることのみによって形成された凹部10Dも含まれる。
図12は、蒸着マスク基材10の厚さを、図11を参照して先に説明した第1厚さT1から第2厚さT2まで減らすように、蒸着マスク基材10を表面10Fからエッチングした状態を示している。なお、第2厚さT2は、例えば3μmである。
図12が示すように、蒸着マスク基材10が第2厚さT2までエッチングされることによって、蒸着マスク基材10が第1厚さT1までエッチングされた際に形成された凹部10D内において、蒸着マスク基材10のエッチングが進行する。蒸着マスク基材10が第2粒子10P2のみを含む場合には、厚さ方向に沿って並ぶ複数の凹部が連なることによって形成された凹部10Dにおいてエッチングが進行し、これによって、蒸着マスク基材10を貫通するピンホール10Hが形成される。
[蒸着マスクの製造方法]
図13から図15を参照して、蒸着マスクの製造方法を説明する。
蒸着マスクの製造方法は、蒸着マスク基材10の検査方法を用いて合格と判定された蒸着マスク基材10を準備すること、および、蒸着マスク基材10をエッチングし、これによって蒸着マスク基材10に複数のマスク孔を形成することを含む。
図13は、蒸着マスク基材10に形成されるマスク孔の第1例を示している。図13は、蒸着マスク基材10の表面10Fに直交する平面に沿う断面構造を示している。
図13が示すように、蒸着マスク基材10には、ウェットエッチングによって、複数のマスク孔10MHが形成される。マスク孔10MHの第1開口MHA1は、表面10Fに位置している。マスク孔10MHの第2開口MHA2は、裏面10Rに位置している。表面10Fと対向する視点から見て、第1開口MHA1は第2開口MHA2よりも大きく、かつ、第2開口MHA2は、第1開口MHA1内に位置している。マスク孔10MHは、表面10Fから裏面10Rに向けて先細る円弧状を有している。
図13が示すマスク孔10MHを形成する際には、まず、蒸着マスク基材10の表面10Fにレジストマスクを形成する。次いで、レジストマスクを用いたウェットエッチングにより、蒸着マスク基材10を蒸着マスク基材10の表面10Fからエッチングする。これにより、蒸着マスク基材10にマスク孔10MHが形成される。
なお、図13では、マスク孔10MHの第1開口MHA1は、隣り合うマスク孔10MHの第1開口MHA1と接しているが、マスク孔10MHの第1開口MHA1は、隣り合うマスク孔10MHの第1開口MHA1から離れていてもよい。あるいは、マスク孔10MHの第1開口MHA1は、第1開口MHA1の接続部において、蒸着マスク基材10の厚さが減少するように、隣り合うマスク孔10MHの第1開口MHA1と接してもよい。
図14は、蒸着マスク基材10に形成されるマスク孔の第2例を示している。図14は、蒸着マスク基材10の表面10Fに直交する平面に沿う断面構造を示している。
図14が示すように、蒸着マスク基材10には、ウェットエッチングによって、複数のマスク孔10MHが形成される。マスク孔10MHの第1開口MHA1は、表面10Fに位置している。マスク孔10MHの第2開口MHA2は、裏面10Rに位置している。表面10Fと対向する視点から見て、第1開口MHA1は第2開口MHA2よりも大きく、かつ、第2開口MHA2は、第1開口MHA1内に位置している。
マスク孔10MHは、大孔部MHLと小孔部MHSとから形成される。蒸着マスク基材10の厚さ方向における表面10Fと裏面10Rとの間において、大孔部MHLは、小孔部MHSに連なっている。大孔部MHLは、第1開口MHA1を含んでいる。大孔部MHLは、表面10Fから裏面10Rに向けて先細る円弧状を有している。小孔部MHSは、第2開口MHA2を含んでいる。小孔部MHSは、裏面10Rから表面10Fに向けて先細る円弧状を有している。
図14が示すマスク孔10MHを形成する際には、まず、蒸着マスク基材10の表面10Fと裏面10Rとに、レジストマスクをそれぞれ形成する。次いで、裏面10Rに位置するレジストマスクを用いたウェットエッチングにより、蒸着マスク基材10を蒸着マスク基材10の裏面10Rからエッチングする。これにより、蒸着マスク基材10に小孔部MHSを形成する。次いで、表面10Fに位置するレジストマスクを用いたウェットエッチングにより、蒸着マスク基材10を蒸着マスク基材10の表面10Fからエッチングする。これにより、蒸着マスク基材10に大孔部MHLを形成する。結果として、1つの大孔部MHLに対して1つの小孔部MHSが連なることによって、蒸着マスク基材10にマスク孔10MHが形成される。
なお、図14では、マスク孔10MHの第1開口MHA1は、隣り合うマスク孔10MHの第1開口MHA1と接しているが、マスク孔10MHの第1開口は、隣り合うマスク孔10MHの第1開口MHA1から離れていてもよい。あるいは、マスク孔10MHの第1開口MHA1は、第1開口MHA1の接続部において、蒸着マスク基材10の厚さが減少するように、隣り合うマスク孔10MHの第1開口MHA1と接してもよい。
図15は、蒸着マスクを備えるマスク装置の平面構造を示している。
図15が示すように、蒸着マスク基材10から形成された蒸着マスク10Mは、帯状を有している。蒸着マスク10Mは、複数のマスク部10MAと、マスク部10MAを取り囲む周辺部10MBとを備えている。マスク部10MAには、複数のマスク孔10MHが位置している。周辺部10MBには、マスク孔10MHが位置していない。
マスク装置20は、複数の蒸着マスク10Mと、マスクフレーム21とを備えている。マスクフレーム21は、フレーム孔21Hを有している。各蒸着マスク10Mは、マスク部10MAがフレーム孔21H内に位置するように、マスクフレーム21に取り付けられている。蒸着マスク10Mは、例えば溶接によってマスクフレーム21に取り付けられる。なお、蒸着マスク10Mがマスクフレーム21に取り付けられた後に、蒸着マスク10Mのうち、マスクフレーム21に溶接された部分よりも外側の部分が、マスク部10MAを含む部分から切り離される。
[表示装置の製造方法]
図16を参照して表示装置の製造方法を説明する。
表示装置の製造方法は、蒸着マスクの製造方法によって製造された蒸着マスクを用いて蒸着パターンを形成することを含んでいる。以下、蒸着装置の一例とともに、パターンを形成する工程を説明する。
図16が示すように、蒸着装置30は、マスク装置20と、蒸着対象Sとを収容する収容槽31を備えている。収容槽31は、蒸着対象Sとマスク装置20とを収容槽31内における所定の位置に保持するように構成されている。収容槽31内には、蒸着材料Mvdを保持する保持部32と、蒸着材料Mvdを加熱する加熱部33とが位置している。保持部32に保持される蒸着材料Mvdは、有機発光材料である。収容槽31は、蒸着対象Sとマスク装置20とを、蒸着対象Sと保持部32との間にマスク装置20が位置し、かつ、マスク装置20と保持部32とが対向するように、収容槽31内に位置させる。マスク装置20は、マスク孔10MHの第2開口MHA2が位置する面が蒸着対象Sに密着した状態または近接した状態で、収容槽31内に配置される。
パターンを形成する工程では、蒸着材料Mvdが加熱部33によって加熱されることにより、蒸着材料Mvdが気化または昇華する。気化または昇華した蒸着材料Mvdは、蒸着マスク10Mのマスク孔10MHを通過して蒸着対象Sに付着する。これにより、蒸着マスク10Mが有するマスク孔10MHの形状および位置に対応した形状を有する有機層が、蒸着対象Sにおける所定の位置に形成される。有機層は、蒸着パターンの一例である。
[実施例]
図17および表1を参照して、実施例および比較例を説明する。
[実施例1]
鉄とニッケルとを含む原材料を準備した後、原材料と脱酸剤とを溶解炉内に投入した。この際に、アルミニウム、マグネシウム、および、マンガンを含む粒子を脱酸剤として準備した。溶解炉を用いて原材料を加熱し、これによって、脱酸剤を含む原材料を溶解した。次いで、原材料を冷却することによって板状を有した第1インゴットを得た。そして、第1インゴットにおいて対向する第1面および第2面において、表層を除去した。
表層を除去した第1インゴットを溶解炉に投入し、次いで、第1インゴットを加熱することによって、第1インゴットを溶解した。そして、溶解した第1インゴットを再び冷却することによって、板状を有した第2インゴットを再び形成した。次いで、第2インゴットにおいて対向する第1面および第2面において、表層を除去した。これにより、36質量%のニッケルと残部の鉄を含む鉄ニッケル系合金製の母材であって、かつ、脱酸剤の酸化によって形成された金属酸化物の粒子を含む母材を得た。
そして、母材に対して、圧延工程、アニール工程、および、スリット工程を順に行うことによって、25μmの厚さを有した実施例1の蒸着マスク基材を得た。
[実施例2]
実施例1において、脱酸剤の種類を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の蒸着マスク基材を得た。
[実施例3]
実施例1において、脱酸剤の量を増やし、かつ、第1インゴットの第1面および第2面において除去される表層の厚さを薄くした以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例3の蒸着マスク基材を得た。
[実施例4]
実施例1において、圧延工程での圧下率を上げることによって15μmの厚さを有した蒸着マスク基材を得た以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例4の蒸着マスク基材を得た。
[実施例5]
実施例3において、圧延工程での圧下率を上げることによって15μmの厚さを有した蒸着マスク基材を得た以外は、実施例3と同様の方法によって、実施例5の蒸着マスク基材を得た。
[比較例1]
実施例3において、脱酸剤の量を増やした以外は、実施例3と同様の方法によって、比較例1の蒸着マスク基材を得た。
[比較例2]
比較例1において、脱酸剤の量を増やした以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例2の蒸着マスク基材を得た。
[比較例3]
比較例1において、圧延工程での圧下率を上げることによって15μmの厚さを有した蒸着マスク基材を得た以外は、比較例1と同様の方法によって、比較例3の蒸着マスク基材を得た。
[比較例4]
比較例2において、圧延工程での圧下率を上げることによって15μmの厚さを有した蒸着マスク基材を得た以外は、比較例2と同様の方法によって、比較例4の蒸着マスク基材を得た。
[評価方法]
[ピンホールの数]
各実施例および各比較例の蒸着マスク基材において、帯状を有する蒸着マスク基材における第1端部および第2端部の各々のうち、幅方向における中央部から、一辺が150mmの長さを有した正方形状を有する試験片を切り出した。なお、各実施例および各比較例について、第1端部および第2端部の各々から3枚の試験片を切り出した。次いで、一辺が150mmの長さを有し、かつ、2.3mmの厚さを有したガラス基板を準備した。そして、両面テープを用いてガラス基板に試験片を貼り付けた。
液温が50℃であり、かつ、比重が1.55である塩化第二鉄液を用いたスプレーエッチングによって、試験片の表面から試験片をエッチングした。これにより、初期厚さが25μmあるいは15μmである試験片を、第1厚さである5μmになるまでエッチングした。次いで、エッチング後の試験片における表面に位置するピンホールの数を計数した。
そして、上述した塩化第二鉄液を用いたスプレーエッチングによって、第1厚さを有する試験片を、試験片の表面からエッチングした。これにより、試験片の厚さを第2厚さである3μmまで減らした。次いで、エッチング後の試験片における表面に位置するピンホールの数を計数した。
なお、試験片の表面におけるピンホールを、以下の方法で計数した。すなわち、第1厚さを有する試験片、および、第2厚さを有する試験片のそれぞれについて、一辺が100mmの長さを有した正方形状を有する被評価領域を設定した。この際に、被評価領域の中心が試験片の中心に一致し、かつ、被評価領域の各辺が試験片におけるいずれかの辺と平行であるように、試験片に対して被評価領域を設定した。
CNC画像測定システム((株)ニコン製、NEXIV VMZ‐R6555)を用いて、試験片を撮像し、そして、撮像した画像においてピンホールの数を計数した。この際に、倍率を270倍に設定し、かつ、表面において、1.165mmの長さを有し、かつ、0.875mmの幅を有した領域が1つの画像に収まるように設定し、かつ、透過照明にて試験片を撮像した。透過照明において、定格電圧が12Vであり、かつ、消費電力が100Wであるハロゲンランプを用い、かつ、照度を22500ルクスに設定した。
各試験片の被評価領域について、互いに異なる位置において画像を撮像することによって、9810の画像を得た。各画像に含まれるピンホールの数を計数し、かつ、各ピンホールの大きさを測定した。これにより、被評価領域に含まれるピンホールの総数を計数し、かつ、各ピンホールの大きさを測定した。
[マスク孔の形状]
各実施例および各比較例の蒸着マスク基材において、第1端部および第2端部の各々のうち、幅方向における中央部から、幅方向において70mmの長さを有し、かつ、長手方向において130mmの長さを有する試験片を切り出した。なお、各実施例および各比較例について、第1端部および第2端部の各々から10枚の試験片を切り出した。次いで、試験片の表面および裏面の両方にレジストマスクを形成した。そして、裏面に位置するレジストマスクを用いたウェットエッチングにより小孔部を形成し、続いて、表面に位置するレジストマスクを用いたウェットエッチングにより大孔部を形成した。試験片のエッチングには、塩化第二鉄液を用いた。これにより、一辺の長さが75μmの正方形状を有した第1開口と、一辺の長さが40μmの正方形状を有した第2開口とを有するマスク孔を形成した。なお、各試験片には、格子点間の距離が80μmである正方格子の格子点上に1つのマスク孔が位置し、かつ、長手方向において1600個のマスク孔が並び、かつ、幅方向において850個のマスク孔が並ぶように、複数のマスク孔を形成した。これにより、1つの試験片に対して、1,360,000個のマスク孔を形成した。
試験片の裏面をデジタルラインスキャンカメラ(竹中システム機器(株)製、TL‐16KACL)を用いて撮像した。この際に、試験片の表面と対向するように光源を配置し、かつ、表面から裏面に向けて試験片を透過した透過光を撮像した。
図17は、デジタルラインスキャンカメラを用いた撮像によって得られた画像に一例を示している。
図17が示すように、第2開口MHA2の縁のうち、略正方形状の部分から飛び出た部分の長さLが5μm以上である部分を第2開口MHA2における欠けであると判定した。各試験片について、欠けを有した第2開口MHA2の数を計数した。なお、試験片が有する第2開口MHA2の全てについて欠けを有するか否かを判定した。
[評価結果]
各実施例および各比較例の試験片について、第1厚さT1でのピンホールの数、第2厚さT2でのピンホールの数、および、欠けを有したマスク孔の数は、以下の表1に示す通りであった。なお、第1厚さT1でのピンホールの数、および、第2厚さT2でのピンホールの数は、各実施例および各比較例について、6枚の試験片において計数した個数の平均値である。また、欠けが確認されたマスク孔の数は、各実施例および各比較例において、20枚の試験片において計数した個数の平均値である。
Figure 0007327693000001
表1が示すように、実施例1において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は7個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は34個であることが認められた。実施例2において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は3個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は50個であることが認められた。実施例3において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は17個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は90個であることが認められた。実施例4において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は3個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は24個であることが認められた。実施例5において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は6個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は27個であることが認められた。
比較例1において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は25個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は161個であることが認められた。比較例2において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は38個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は338個であることが認められた。比較例3において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は20個であり、第2厚さT2真でエッチングした後におけるピンホールの数は111個であることが認められた。比較例4において、試験片を第1厚さT1までエッチングした後におけるピンホールの数は27個であり、第2厚さT2までエッチングした後におけるピンホールの数は139個であることが認められた。
欠けを有した第2開口MHA2の数は、実施例1において0.8個であり、実施例2において0.9個であり、実施例3において1.0個であり、実施例4において0.6個であり、実施例5において0.7個であることが認められた。また、欠けを有した第2開口MHA2の数は、比較例1において1.9個であり、比較例2において4.5個であり、比較例3において1.2個であり、比較例4において1.7個であることが認められた。
このように、蒸着マスク基材を第1厚さT1までエッチングした後において、ピンホールの数が17個以下であり、かつ、第2厚さT2までエッチングした後において、ピンホールの数が90個以下であれば、欠けが生じる第1開口の数が1個以下であることが認められた。さらには、蒸着マスク基材を第1厚さT1までエッチングした後において、ピンホールの数が7個以下であり、かつ、第2厚さT2までエッチングした後において、ピンホールの数が50個以下であれば、欠けが生じる第1開口の数が1個未満であることが認められた。
以上説明したように、蒸着マスク基材、蒸着マスク基材の検査方法、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法の一実施形態によれば、以下の記載の効果を得ることができる。
(1)蒸着マスク基材10の厚さを5μmまで薄くしたときのピンホール10Hの数と、蒸着マスク基材10の厚さを3μmまで薄くしたときのピンホール10Hの数との差分から、蒸着マスク基材10の厚さ方向での粒子10P1,10P2の分布における傾向を把握することが可能である。
(2)蒸着マスク基材10によれば、当該蒸着マスク基材10に形成されたマスク孔10MHが備える第2開口MHA2に欠けが生じることが抑えられる。これにより、蒸着マスク10Mにおいて、マスク孔10MHが備える第2開口MHA2の形状における精度を高めることが可能である。
(3)蒸着マスク基材10が第1粒子10P1と、第1粒子10P1よりも小さい第2粒子10P2とを含む。そのため、蒸着マスク基材10の厚さを5μmまで薄くしたときに形成されたピンホール10Hの数によって、蒸着マスク基材10が5μmよりも厚い範囲における第1粒子10P1の分布の傾向を把握することが可能である。
(4)第1厚さT1でのピンホール10Hの数と第2厚さT2でのピンホール10Hの数との差分から、蒸着マスク基材10の厚さ方向での粒子10P1,10P2の分布における傾向を把握することが可能である。
(5)蒸着マスク基材10の厚さを第1厚さT1まで薄くしたときに形成されるピンホール10Hの数と、蒸着マスク基材10の厚さを第2厚さT2まで薄くしたときに形成されるピンホール10Hの数とが所定の基準値以下である場合に、蒸着マスク基材10が合格であると判定する。そのため、蒸着マスク基材10にマスク孔10MHが形成された場合に、マスク孔10MHの第2開口MHA2に欠けが生じることを抑えられる。これにより、マスク孔10MHが備える第2開口MHA2の形状における精度を高めることが可能な蒸着マスク基材10を選別することが可能である。
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[粒子]
・蒸着マスク基材10は、第1粒子10P1および第2粒子10P2のいずれか一方のみを含んでもよい。この場合であっても、蒸着マスク基材10が第1厚さT1までエッチングされた際のピンホールの数、および、第2厚さT2までエッチングされた際のピンホールの数が上述した範囲を満たしていれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
[蒸着マスク基材の検査方法]
・蒸着マスク基材10の検査方法において、上述した第1厚さT1、第2厚さT2、第1基準値、および、第2基準値は一例である。これらの値は、例えば、検査対象である蒸着マスク基材10が有する初期厚さTに応じて変更可能である。例えば、初期厚さTが30μmよりも厚く、かつ、第1厚さT1および第2厚さT2が上述した実施形態における厚さと同じであれば、第1基準値には、上述した実施形態における第1基準値よりも大きい値を設定することが可能である。また、第2基準値には、上述した実施形態における第2基準値よりも大きい値を設定することが可能である。
また例えば、初期厚さTが10μmよりも薄く、かつ、5μmよりも厚い場合であって、第1厚さT1および第2厚さT2が上述した実施形態における厚さと同じであれば、第1基準値には、上述した実施形態における第1基準値よりも小さい値を設定することが可能である。また、第2基準値には、上述した実施形態における第2基準値よりも小さい値を設定することが可能である。
10…蒸着マスク基材
10D…凹部
10F…表面
10H…ピンホール
10MH…マスク孔
10R…裏面
10P1…第1粒子
10P2…第2粒子

Claims (5)

  1. 有機EL素子を形成するための蒸着材料が通過する複数のマスク孔を備えた蒸着マスクの製造に用いられる蒸着マスク基材であって、
    鉄とニッケルとを含む合金から形成され、
    金属素とを含む粒子を含み、
    10μm以上30μm以下の厚さを有し、
    前記蒸着マスク基材を表面からエッチングすることによって、前記蒸着マスク基材を厚さ方向に沿って貫通する複数のピンホールが形成されるように構成されており、
    前記蒸着マスク基材の前記表面と対向する視点から見て、前記表面において、各ピンホールの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下であり、
    前記表面の100cmあたりに位置する前記ピンホールの数は、
    前記蒸着マスク基材を5μmの厚さまでエッチングした場合に17個以下であり、
    前記蒸着マスク基材を3μmの厚さまでエッチングした場合に90個以下である
    蒸着マスク基材。
  2. 前記粒子は、第1粒子と第2粒子とを含み、
    前記第1粒子の粒径は、3μm以上であり、
    前記第2粒子の粒径は、3μm未満である
    請求項1に記載の蒸着マスク基材。
  3. 有機EL素子を形成するための蒸着マスクの製造に用いられる蒸着マスク基材の検査方法であって、
    鉄とニッケルとを含む合金から形成され、金属酸化物から形成された粒子を含む蒸着マスク基材を準備すること、
    エッチング液を用いて前記蒸着マスク基材を表面からエッチングし、これによって、第1厚さまで前記蒸着マスク基材をエッチングすること、
    前記第1厚さまで前記蒸着マスク基材をエッチングした後に、前記蒸着マスク基材を厚さ方向に沿って貫通するピンホールであって、前記表面において前記ピンホールの縁における任意の2点を繋ぐ線分の最大値が1μm以上100μm以下である前記ピンホールの数を計数すること、
    前記エッチング液を用いて前記蒸着マスク基材を前記表面から、前記第1厚さから第2厚さまでエッチングすること、
    前記第2厚さまでエッチングした後に、前記蒸着マスク基材を貫通する前記ピンホールの数を計数すること、および、
    前記第1厚さでの前記ピンホールの数が第1基準値以下であり、かつ、前記第2厚さでの前記ピンホールの数が第2基準値以下である場合に、前記蒸着マスク基材が合格であると判定すること、を含む
    蒸着マスク基材の検査方法。
  4. 有機EL素子を形成するための蒸着マスクの製造に用いられる蒸着マスクの製造方法であって、
    請求項3に記載の蒸着マスク基材の検査方法を用いて合格と判定された前記蒸着マスク基材を準備すること、および、
    前記蒸着マスク基材をエッチングし、これによって前記蒸着マスク基材に複数のマスク孔を形成すること、を含む
    蒸着マスクの製造方法。
  5. 請求項4に記載の蒸着マスクの製造方法によって製造された蒸着マスクを用いて蒸着パターンを形成すること、を含む
    表示装置の製造方法。
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