JP7319548B2 - 溶鋼の脱硫方法 - Google Patents
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Description
(1)
転炉から出鋼された溶鋼にSiおよびMnを添加し、次いで真空槽を具備する環流型減圧精錬装置により前記溶鋼の脱ガス処理を実施した後、前記溶鋼の脱硫処理を実施して、C濃度が0.05質量%以上、Si濃度が0.20質量%以上、Mn濃度が0.50質量%以上、Al濃度が0.002質量%未満、かつS濃度が0.0010質量%未満の溶鋼を得る溶鋼の脱硫方法であって、
前記脱ガス処理中において前記真空槽内の圧力を1.0kPa以下とし、以下の(1)式のタイミングでTiが0.02質量%以上となるように添加し、かつ脱ガス処理時間tgasが以下の(2)式の条件を満たし、
さらに前記脱硫処理において、CaO飽和溶解度を超えるCaOを含有したCaO系脱硫剤を前記溶鋼に供給することを特徴とする溶鋼の脱硫方法。
4.0W/Q≦tTi add ・・・(1)
3.0W/Q≦tgas-tTi add≦6.0W/Q ・・・(2)
Q=11.4G1/3D4/3・{ln(P/P0)}1/3 ・・・(3)
ここで、W:溶鋼質量(t)、Q:溶鋼環流量(t/min)、tTi add:脱ガス処理開始からTi添加までの経過時間(min)、tgas:脱ガス処理時間(min)、G:環流ガス流量(Nl/min)、D:浸漬管径(m)、P:真空槽内圧力(Pa)、P0:大気圧(Pa)を表す。
(Al2O3)=2[Al]+3[O] ・・・(4)
(Ti2O3)=2[Ti]+3[O] ・・・(5)
KAl={(fAl[Al])2aO 3}/aAl2O3 ・・・(6)
KTi={(fTi[Ti])2aO 3}/aTi2O3 ・・・(7)
logKAl=-13.59(1873K) ・・・(8)
logKTi=-10.64(1873K) ・・・(9)
環流型減圧精錬装置にてCOガスを生じさせる必要があるが、C濃度が低すぎると脱炭速度が低位となりすぎてしまい処理時間が大幅に増加してしまう。そのため、脱ガス処理前の段階で溶鋼中C濃度が0.07質量%以上となるようにC濃度を調整しておく必要がある。これにより、最終的に得られる溶鋼中C濃度が0.05質量%以上となる。また、一般的な鉄鋼材料において最終的な成品のC濃度が1質量%を超えることは極めて稀であるため、最終的に得られる溶鋼中C濃度が1.0質量%以下となるようにすることが好ましい。
SiおよびMnの添加により脱ガス処理前の予備脱酸を実施する必要があるが、Si濃度が低すぎると予備脱酸不良により脱ガス処理前のO濃度が増加し、脱ガス不良につながる。そのため、出鋼された溶鋼にSiを添加して溶鋼中Si濃度が0.25質量%以上となるようにSi濃度に調整しておくのが望ましい。このようにすると、最終的に得られる溶鋼中Si濃度は0.20質量%以上となる。また、鋼種によってSi濃度が異なることもあり、最終的に得られる溶鋼中Si濃度が1.0質量%以下となるようにすることが好ましい。
Siと同様にMnも予備脱酸に必要な元素であるが、Mn濃度が低すぎると予備脱酸不良により脱ガス処理前のO濃度が増加し、脱ガス不良につながる。そのため、出鋼された溶鋼にMnを添加して溶鋼中Mn濃度が0.55質量%以上となるようにMn濃度に調整しておくのが望ましい。このようにすると、最終的に得られる溶鋼中Mn濃度は0.50質量%以上となる。また、鋼種によってMn濃度が異なることもあり、最終的に得られる溶鋼中Mn濃度が2.0質量%以下となるようにすることが好ましい。
本発明では溶鋼中Al濃度が極めて低い鋼種を対象としているため、最終的に得られる溶鋼中Al濃度は0.002質量%未満とする。
目標のS濃度が低いほどAlレスでの脱硫が困難となる。特にS濃度が0.0010質量%を下回るような鋼はAlレスによる製造が極めて困難であるため、本技術の対象として設定した。
真空槽内の真空度を高めるほど気相側の物質移動が促進し、かつ減圧下におけるCOガスでの脱酸によって到達するO濃度も低位となる。真空槽内圧力が1.0kPaを超えるとCOガスの発生によって到達できるO濃度が著しく悪化するため、真空槽内圧力は1.0kPa以下とする。
4.0W/Q≦tTi add ・・・(1)
3.0W/Q≦tgas-tTi add≦6.0W/Q ・・・(2)
Q=11.4G1/3D4/3・{ln(P/P0)}1/3 ・・・(3)
ここで、W:溶鋼質量(t)、Q:溶鋼環流量(t/min)、tTi add:脱ガス処理開始からTi添加までの経過時間(min)、tgas:脱ガス処理時間(min)、G:環流ガス流量(Nl/min)、D:浸漬管径(m)、P:真空槽内圧力(Pa)、P0:大気圧(Pa)を表す。
ここで、W/Qという指標は、環流型減圧精錬装置において溶鋼を一循環させるために要する時間を意味している。tTi addが小さい、すなわち脱ガス処理を開始してからTi添加までの経過時間が短いと、COガスによる脱酸時間が短くなる分、溶鋼中O濃度が高い状態でTiを添加することになるためTi2O3が多量に生成してしまう。このためTi添加タイミングの指標として(1)式を満たす必要がある。
(tgas-tTi add)は、脱ガス処理中のTiによる脱酸時間を表している。(tgas-tTi add)が3.0W/Qよりも小さいと、添加したTiが混合しきらず脱酸不良が生じてしまう。一方で(tgas-tTi add)が6.0W/Qよりも大きいと、大気酸化によりTiが酸化し続けてTi2O3が過剰に生成してしまうとともに、溶鋼中Ti濃度が下がって脱酸不良につながる。したがって、脱ガス処理中のTiによる脱酸時間の指標として、(2)式を満たす必要がある。
図1に、平衡S濃度とスラグ中Ti2O3濃度との関係を示す。図1に示すように、スラグ中Ti2O3濃度を10質量%未満にすることができれば溶鋼の平衡S濃度は0.0010質量%未満となり、S濃度を低位に安定化させることができる。しかしながら、溶鋼中のTi濃度が0.02質量%未満だと、Al濃度が0.1質量%とした標準的な条件によるAl脱酸で到達可能な平衡S濃度を下回ることができない。よって、溶鋼中Ti濃度が0.02質量%以上となるようにTiを添加する必要がある。
浸漬管径:0.6m
インジェクションランス浸漬深さ:2.5m
脱硫処理時間:15min
粉体吹込み速度:250kg/min
Arガス流量:2.5Nm3/min
Claims (1)
- 転炉から出鋼された溶鋼にSiおよびMnを添加し、次いで真空槽を具備する環流型減圧精錬装置により前記溶鋼の脱ガス処理を実施した後、前記溶鋼の脱硫処理を実施して、C濃度が0.05質量%以上、Si濃度が0.20質量%以上、Mn濃度が0.50質量%以上、Al濃度が0.002質量%未満、かつS濃度が0.0010質量%未満の溶鋼を得る溶鋼の脱硫方法であって、
前記脱ガス処理中において前記真空槽内の圧力を1.0kPa以下とし、以下の(1)式のタイミングでTiが0.02質量%以上となるように添加し、かつ脱ガス処理時間tgasが以下の(2)式の条件を満たし、
さらに前記脱硫処理において、CaO飽和溶解度を超えるCaOを含有したCaO系脱硫剤を前記溶鋼に供給することを特徴とする溶鋼の脱硫方法。
4.0W/Q≦tTi add ・・・(1)
3.0W/Q≦tgas-tTi add≦6.0W/Q ・・・(2)
Q=11.4G1/3D4/3・{ln(P/P0)}1/3 ・・・(3)
ここで、W:溶鋼質量(t)、Q:溶鋼環流量(t/min)、tTi add:脱ガス処理開始からTi添加までの経過時間(min)、tgas:脱ガス処理時間(min)、G:環流ガス流量(Nl/min)、D:浸漬管径(m)、P:真空槽内圧力(Pa)、P0:大気圧(Pa)を表す。
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JP2003027128A (ja) | 2001-07-10 | 2003-01-29 | Nkk Corp | 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法 |
WO2010013358A1 (ja) | 2008-07-30 | 2010-02-04 | 新日本製鐵株式会社 | 靭性、溶接性に優れた高強度厚鋼材及び高強度極厚h形鋼とそれらの製造方法 |
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JP3549365B2 (ja) * | 1997-05-30 | 2004-08-04 | 新日本製鐵株式会社 | 電縫鋼管用鋼の製造方法 |
JPH116009A (ja) * | 1997-06-18 | 1999-01-12 | Nisshin Steel Co Ltd | RH真空脱ガス装置を用いた高Mn溶鋼の脱硫方法 |
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2019
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JP2003027128A (ja) | 2001-07-10 | 2003-01-29 | Nkk Corp | 真空脱ガス設備における溶鋼の溶製方法 |
WO2010013358A1 (ja) | 2008-07-30 | 2010-02-04 | 新日本製鐵株式会社 | 靭性、溶接性に優れた高強度厚鋼材及び高強度極厚h形鋼とそれらの製造方法 |
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