JP7314739B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノートパソコン等のモバイルバッテリーから自動車用バッテリーや大型の電力貯蔵用バッテリーまで広く利用されている。
負極に金属リチウムを用いるリチウム二次電池は、リチウム金属が析出、溶解することで充放電を行う。リチウム金属は極めて卑な電位を有するため、リチウム二次電池はリチウムイオン二次電池に比べさらに高い理論容量密度を実現できると期待されている。
リチウム二次電池は、充電時に金属リチウムが析出する。金属リチウムは、析出開始点を根として樹状に析出する(デンドライトを形成する)場合がある。樹状に析出した金属リチウムは、リチウム二次電池の放電時に溶解する。樹状に析出した金属リチウムの枝の部分から金属リチウムが順に溶解すれば問題はないが、根元の部分が先に溶解する場合がある。この場合、根元を失った金属リチウムは非水電解液中に浮遊し、導通が取れなくなる。非水電解液中に浮遊する金属リチウムは、導通が取れないため、以降の充放電には寄与することができない。その結果、リチウム二次電池のサイクル特性は低減する。
特許文献1は、リチウム金属析出面に実質的に粒界のないアモルファス金属又はアモルファス合金を負極として用いている。結晶粒界や配向面の食い違いが充放電時の電流分布の不均一の原因であり、この負極を用いることでデンドライトが抑制できることが記載されている。
特許文献2は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールブレンドを含んだ保護膜を付与した負極を用いている。リチウム金属表面において、電流及びイオン分布を均一に維持し、リチウム金属表面上にデンドライトが成長することを抑制できることが記載されている。
特開2001-250559号公報
特開2016-219411号公報
しかしながら、特許文献1~2に記載の二次電池では、サイクル特性の劣化を充分に抑制できない場合があった。本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、サイクル特性に優れたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、負極と、正極と、セパレータと、リチウム塩を含む非水電解液と、を含むリチウム二次電池において、前記負極が、前記負極の少なくとも一部分に形成された保護膜を含み、前記保護膜がポリマー成分を含み、前記ポリマー成分が、フルオロ系共重合体骨格と、前記骨格に結合されたペンダント鎖と、を含み、前記ポリマー成分中の原子量比率(フッ素原子数/酸素原子数)が5~60である、リチウム二次電池が提供される。
この観点によれば、保護膜内のリチウムイオン伝導性が均一となり、電流分布の不均一性が解消される。ひいては、リチウム金属表面上にデンドライトが成長することを効果的に抑制することができ、サイクル特性に優れたリチウム二次電池が実現可能となる。
前記原子量比率(フッ素原子数/酸素原子数)が20~60である、リチウム二次電池が提供される。
この観点によれば、サイクル特性が更に向上する。
前記ペンダント鎖は、エポキシ基含有モノマーの反応物を含む、リチウム二次電池が提供される。
この観点によれば、サイクル特性が更に向上する。
前記ペンダント鎖の末端に式(1)の構造を含む、リチウム二次電池が提供される。
Figure 0007314739000001
(Rは、置換されていてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。)
この観点によれば、サイクル特性が更に向上する。
前記保護膜がさらに液体成分を含む、リチウム二次電池が提供される。
この観点によれば、サイクル特性が更に向上する。
以上説明したように本発明によれば、リチウム二次電池のサイクル特性が大幅に向上する。
本発明の実施形態に係る二次電池を示す断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[リチウム二次電池の構成]
まず、図1に基づいて、本実施形態に係るリチウム二次電池100の構成について説明する。
リチウム二次電池100は、正極20と、負極30と、セパレータ層10とを備える。リチウム二次電池100の充電到達電圧(酸化還元電位)は、例えば4.3V(vs.Li/Li)以上5.0V以下、特に4.5V以上5.0V以下となる。リチウム二次電池100の形態は、特に限定されない。即ち、リチウム二次電池100は、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等のいずれであってもよい。
負極30は、負極集電体32と、負極活物質層34と、保護膜31とを有する。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質を有し、必要に応じて負極バインダーや負極導電材を有する。
負極活物質の材料としては、金属リチウム、リチウムと合金を形成する金属およびこれらの合金を使用できる。負極活物質の材料の例としては、例えば、ケイ素、SiOx(0<x<2)で表されるケイ素酸化物などのケイ素含有化合物、金属リチウム、リチウムと合金を形成する金属およびこれらの合金を挙げることができる。金属リチウムと合金を形成する金属の例としては、アルミニウム、シリコン、スズなどを挙げることができる。
負極導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、負極活物質層34は導電材を含んでいなくてもよい。
負極バインダーは、負極活物質同士を結合すると共に、負極活物質と負極集電体32とを結合する。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFPTFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。
またこの他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
負極活物質層34中の負極活物質、負極導電材及び負極バインダーの含有量は特に限定されない。負極活物質層34における負極活物質の構成比率は、質量比で90%以上98%以下であることが好ましい。また負極活物質層34における導電材の構成比率は、質量比で0%以上3.0%以下であることが好ましく、負極活物質層34におけるバインダーの構成比率は、質量比で2.0%以上5.0%以下であることが好ましい。
負極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層を形成できなくなることを防ぐことができる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
負極活物質層34は、例えば、負極活物質、導電材、及びバインダーを適当な有機溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に分散させることで塗工液を形成し、この塗工液を負極集電体32上に塗工し、乾燥、圧延することで形成される。
また、箔状の負極活物質を用いる場合は、厚さ0.01~200μmの箔状の負極活物質を負極集電体32上に貼り付け、負極シートを作製する。
なお、負極活物質層34を設ける代わりに、充電時は負極集電体32の表面にリチウムイオンを金属リチウムとして析出させ、放電時に析出した金属リチウムをリチウムイオンとして溶解させる構成としてもよい。この場合は、負極活物質層34が不要となるので、電池の体積エネルギー密度を向上させることができる。負極集電体32としては、銅箔を用いることができる。
保護膜31は、ポリマー成分を有する。ポリマー成分としては、フルオロ系共重合体骨格と、前記骨格に結合されたペンダント鎖とを有する。
ポリマー成分中のフッ素原子数と酸素原子数との原子量比率(フッ素原子数/酸素原子数)は、5~60であることが好ましい。上記範囲内であると、保護膜内のリチウムイオン伝導性が均一となり、電流分布の不均一性が解消され、ひいては、デンドライトを効果的に抑制できる。
本発明者らは本実施形態のメカニズムについて以下のように推定している。(フッ素原子数/酸素原子数)を5~60とすることで、フッ素原子とリチウムイオンとの静電的反発力と、酸素原子とリチウムイオンとの静電的親和力のバランスが保たれ、優れたリチウムイオン伝導性およびその均一性の向上を実現できる。前記割合が5未満の場合は、前記酸素原子とリチウムイオンとの静電的親和力が過剰となり、リチウムイオンが前記酸素原子にトラップされることでリチウムイオン伝導性およびその均一性が妨げられる。一方、前記割合が60を超えると、フッ素原子とリチウムイオンとの静電的反発力が過剰となり、ポリマーへのリチウムイオンの溶解性が低下し、リチウムイオン伝導性およびその均一性が妨げられる。(フッ素原子数/酸素原子数)は、20~60であると、より良好なバランスをとることができるため更に好ましい。
なお、前期比率が5~60の場合であっても、ペンダント鎖を有しないフルオロ系共重合体骨格からなるポリマーと、ペンダント鎖に相当するポリマー(ポリオキシアルキレンポリマー)との単純なブレンドでは、両者が相分離を起こし、リチウムイオン伝導性は不均一となるため好ましくない。
本実施形態のフルオロ系共重合体骨格としては、フッ化モノマーと(メタ)アクリルモノマーとの共重合体が挙げられる。
フッ化モノマーとしては、テトラフルオロエチレン、およびヘキサフルオロプロペンなどのC3~C8パーフルオロオレフィンや、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレンおよびトリフルオロエチレンなどのC2~C8含水素フルオロオレフィンや、式CH=CH-R(式中、Rは、C1~C6パーフルオロアルキルである)で示されるパーフルオロアルキルエチレンや、クロロトリフルオロエチレンのような、クロロ-および/またはブロモ-および/またはヨード-のC2~C6フルオロオレフィンや、式CF=CFOR(式中、Rは、C1~C6のフルオロ-またはパーフルオロアルキル、例えばCF、C、Cである)で示される(パー)フルオロアルキルビニルエーテルや、式CF=CFORで示される(パー)フルオロ-オキシアルキルビニルエーテル(式中、Rは、C1~C12アルキル、またはC1~C12オキシアルキル、またはパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルのような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC1~C12(パー)フルオロオキシアルキルである)や、式CF=CFOCFOR(式中、Rは、C1~C6フルオロ-もしくはパーフルオロアルキル基、例えばCF、C、Cまたは-C-O-CFのような、1つもしくは複数のエーテル基を有するC1~C6(パー)フルオロオキシアルキル基である)で示される(パー)フルオロアルキルビニルエーテルや、式CF=CFOR(式中、Rは、C1~C12アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル、またはC1~C12オキシアルキル、または1つもしくは複数のエーテル基を有するC1~C12(パー)フルオロオキシアルキルであり、Rは、その酸、酸ハライドもしくは塩の形態での、カルボン酸もしくはスルホン酸を含む)で示される官能性(パー)フルオロ-オキシアルキルビニルエーテルや、フルオロジオキソール、特にパーフルオロジオキソールなどが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、ペンダント鎖を形成するための官能基を有する。官能基としては、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基などが挙げられる。(メタ)アクリルモノマーの具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、アミノエチルアクリレート、2-イソシアネートエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられる。
フッ化モノマーと(メタ)アクリルモノマーとの共重合体を合成する方法としては、任意の方法を用いることができるが、具体的には、水性懸濁重合や水性乳化重合法が挙げられる。
フッ化モノマーと(メタ)アクリルモノマーとの比率は、ポリマー成分中の(フッ素原子数/酸素原子数)が5~60となるよう、ペンダント鎖の導入量を考慮しながら適宜決定すればよい。具体的には、60モル%~99.9モル%のフッ化モノマーと0.1モル%~40モル%の(メタ)アクリルモノマーが含まれる範囲が好ましい。
ペンダント鎖を形成するための化合物としては、フルオロ系共重合体骨格と結合させるための官能基と、リチウムイオンと親和性のある酸素原子を複数含む化合物が好ましい。官能基としては、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基などが挙げられる。具体的には、上記官能基を1~2個有する、分子量80~10000程度のポリオキシアルキレンが好ましい。
官能基がエポキシ基の場合、エポキシ基の開環重合により、効率的に分岐構造を有するペンダント鎖を形成できるため、ペンダント鎖間のリチウムイオン伝導性が向上する。その結果、リチウムイオン伝導性が均一となり、ひいては、電流分布の不均一性がより効果的に解消される。
また、ペンダント鎖の末端には式(1)の構造が含まれるのが好ましい。
Figure 0007314739000002
(Rは、置換されていてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。)
ペンダント鎖の末端に式(1)の構造が含まれることで、ペンダント鎖同士の相互作用が向上し、ペンダント鎖間のリチウムイオン伝導性が向上する。その結果、さらにリチウムイオン伝導性が均一となり、ひいては、電流分布の不均一性がより効果的に解消される。
本実施形態の方法においては、前述したフルオロ系共重合体骨格の官能基と、ペンダント鎖形成化合物の官能基とが、重縮合および/または付加反応によって反応し、ペンダント鎖を有するフルオロ系共重合体骨格が提供される。反応としては任意の方法を用いることができるが、具体的には、1つもしくは複数の有機溶媒の存在下、20℃~250℃程度で行うのが好ましい。
保護膜31にはその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、液体成分としての溶媒や、固体成分としての金属塩、無機フィラーなどが挙げられる。なお、ここでは、溶媒単独もしくは溶媒に金属塩やその他成分が溶解された状態のものも液体成分と定義する。
液体成分を含むことでペンダント鎖の分子運動性が向上し、より優れたリチウムイオン伝導性およびその均一性の向上を実現できる。
溶媒としては、有機溶媒やイオン液体など挙げられる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2―ジメトキシエタン、トリグライム、テトラグライム、アセトニトリル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルなどが挙げられる。
イオン液体としては、-30℃~120℃で液体であるカチオン種とアニオン種とを含む化合物が使用できる。カチオン成分としては、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、アゾニアスピロカチオンなどの鎖状または環状のアンモニウムカチオンや、鎖状または環状のホスホニウムカチオンやスルホニウムカチオンなどが挙げられる。アニオン成分としては、PF 、BF 、(SOF)、(SOCF、(SOCF)(SOF)Nなどが挙げられる。
金属塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiSOCF、LiN(SOF)、LiN(SOCF、LiN(SOF)(SOCF)、LiN(SOCFCF、LiC(SOCFCF、LiC(SOCF、LiI、LiCl、LiF、LiPF(SOCF)、LiPF(SOCF等のリチウム塩、
Mg(N(SOCF、Al(N(SOCF、CsN(SOCF等の塩が挙げられる。
保護膜31の機械的強度の向上などを目的に、無機フィラーを添加しても良い。無機フィラーとしては、粒径0.01μm~10μm程度の二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウムなどが挙げられる。
保護膜31は、例えば、ポリマー成分や必要に応じて上記その他の成分を適当な有機溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に溶解もしくは分散させることで塗工液を形成し、この塗工液を負極活物質層34あるいは負極集電体32上に塗工し、乾燥することで形成される。
正極20は、正極集電体22と、その一面に設けられた正極活物質層24とを有する。正極集電体22は、導電性を有する材料により構成されていればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔などの金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えばPF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNixCoyMnzMaO(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、MはCo、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNixCoyAlzO(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等が挙げられる。
また正極活物質層24は、導電材を有していてもよい。導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層24は導電材を含んでいなくてもよい。
また正極活物質層24は、バインダーを含む。バインダーは公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、が挙げられる。
正極活物質層24は、例えば、正極活物質、導電材、及びバインダーを適当な有機溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に分散させることで塗工液を形成し、この塗工液を正極集電体22上に塗工し、乾燥、圧延することで形成される。
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布があげられる。
また、上記のセパレータ材料には無機粒子やポリマー成分がコートされていてもよい。無機粒子としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウムなどの酸化物やチタン酸バリウムなどの誘電材料があげられる。ポリマー成分としては、負極用のバインダー類、正極用のバインダー類、高分子電解質類(ポリエチレングリコールやポリエチレンカーボネートなどの高分子材料とリチウム塩の複合物)、イオン交換樹脂類(ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸塩等)、その他には、ポリビニルアルコール、CMC、ポリブチラール、ポリアクリル酸などがあげられる。
非水電解液は、電解質であるリチウム塩と、溶媒とを含む。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiSOCF、LiN(SOF)、LiN(SOCF、LiN(SOF)(SOCF)、LiN(SOCFCF、LiC(SOCFCF、LiC(SOCF、LiI、LiCl、LiF、LiPF(SOCF)、LiPF(SOCF等が挙げられる。
リチウム塩の濃度は、0.8~5.0mol/L程度であることが好ましい。
溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、3-フルオロプロピルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4-クロロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、ビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等の炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル等のカルボン酸エステル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状エステル、ジメチルスルホキシド、亜硫酸ジメチル等の鎖状スルホン酸エステル、スルホラン、プロパンサルトン等の環状スルホン酸エステル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、スクシノニトリル等のニトリル化合物、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、トリグライム、テトラグライム等の鎖状エーテル、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル等のハイドロフルオロエーテル、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル等のリン酸エステル類、メチルホスホン酸ジメチル等のホスホン酸エステル類、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)ペンタンなどのフッ素化エーテル類 などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。リチウム塩の溶解性の観点から、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2―ジメトキシエタン、トリグライム、テトラグライム、アセトニトリルが好ましい。
また、溶媒としてイオン液体が含まれていてもよい。イオン液体としては、-30℃~120℃で液体であるカチオン種とアニオン種とを含む化合物が使用できる。
カチオン種としては、窒素を含む窒素系カチオン、リンを含むリン系カチオン、硫黄を含む硫黄系カチオンを用いることができる。これらのカチオン成分は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。窒素系カチオンの例としては、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、アゾニアスピロカチオンなど鎖状または環状のアンモニウムカチオンを挙げることができる。リン系カチオンの例としては、鎖状または環状のホスホニウムカチオンが挙げられる。硫黄系カチオンの例としては、鎖状または環状のスルホニウムカチオンが挙げられる。
アニオン種としては、AlCl 、NO 、NO 、I、BF 、PF 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF)2.3 、CHCO 、CFCO 、CHSO 、CFSO 、(CFSO、CCO 、CSO 、(CFSO)(CFCO)N、(CN)、次式で表されるイミドアニオン((SO(CF)xF)(SO2(CF2)yF)N(ただし、xとyはそれぞれ独立しており、0~5の整数を示す。))、等が挙げられる。これらのアニオン種は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
リチウム塩の溶解性の観点から、カチオン成分としては、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンが好ましく、アニオン成分としては、イミドアニオン、PF 、BF のアニオンが好ましく、さらに、(SOF)、(SOCF、(SOCF)(SOF)N、がより好ましい。
なお、非水電解液には、各種の添加剤(負極SEI(Solid Electrolyte Interface)形成剤、界面活性剤等)を添加してもよい。このような添加剤としては、例えば、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレン、炭酸フェニルエチレン、コハク酸無水物、リチウムビスオキサラート、テトラフルオロホウ酸リチウム、ジニトリル化合物、プロパンスルトン、ブタンスルトン、プロペンスルトン、3-スルフォレン、フッ素化アリルエーテル、フッ素化アクリレート等が挙げられる。
外装体50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウム二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、外装体50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の保護膜31との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共に外装体50内に挿入し、外装体50の入り口をシールする。
[リチウム二次電池の製造方法]
次に、リチウム二次電池100の製造方法について説明する。正極20は、以下のように製造される。まず、正極活物質、導電剤、及びバインダーを混合したものを、有機溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に分散させることで塗工液を調整する。次いで、塗工液を正極集電体22上に形成し、乾燥させることで、正極活物質層24を形成する。なお、塗工の方法は、特に限定されない。塗工の方法としては、例えば、ナイフコーター法、グラビアコーター法等が考えられる。以下の各塗工工程も同様の方法により行われる。これにより、正極20が製造される。
負極30は、負極活物質として箔状の負極活物質(例えば、金属リチウムなど)を用いる場合と紛体状の負極活物質(例えば、黒鉛、SiOなど)を用いる場合により負極シートの作製方法が異なる。
箔状の負極活物質を用いる場合、厚さ0.01~200μmの箔状の負極活物質を負極集電体32上に貼り付け、負極シートを作製する。
紛体状の負極活物質を用いる場合、負極活物質、導電剤、及びバインダーを混合したものを、有機溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に分散させることで塗工液を調整する。次いで、塗工液を負極集電体32上に形成し、乾燥させることで、負極活物質層34を形成する。なお、塗工の方法は、特に限定されない。塗工の方法としては、例えば、ナイフコーター法、グラビアコーター法等が考えられる。
続いて、保護層31を形成する。ポリマー成分を有機溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に溶解させることで塗工液を調整する。次いで、塗工液を負極活物質層34上あるいは負極集電体32上に形成し、乾燥させることで、保護層31を形成する。なお、塗工の方法は、負極活物質層34の場合と同様の方法が用いられる。
上記の手法を用いることで、負極活物質層34上あるいは負極集電体32上に保護層31が形成された負極30が得られる。
次いで、セパレータ10を正極20及び負極30で挟むことで、電極構造体を製造する。次いで、電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、当該形態の容器に挿入する。次いで、当該容器内に上記組成の電解液を注入し封口することでリチウム二次電池100が製造される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。実施例1~19として、下記に記載の通りにリチウム二次電池を作製しサイクル測定を行った。また、比較のために、比較例1~5を作製し、同様にサイクル測定を行った。その結果を表3~6に示す。なお、実施例1~19および比較例1~3で用いたフルオロ系共重合体骨格およびペンダント鎖形成化合物としては、それぞれ表1のNo.F-1~F-2、および表2のNo.M-1~M-18で示した。
Figure 0007314739000003
Figure 0007314739000004
(実施例1)
[ポリマー成分の合成]
フルオロ系共重合体骨格(F-1)を以下のように合成した。
1000rpmの速度で作動するメカニカルスタラーを備えた2リットル反応器内に、500gの純水と0.2gのMETHOCEL(登録商標)K100GR沈殿防止剤を順に導入した。反応器内を減圧してから、窒素で1バールまで加圧し、75容量%のt-アミルパーピバレート/イソドデカン溶液2gを反応器に導入した後、220gのフッ化ビニリデンを導入した。次に、55℃まで徐々に加熱した。さらに、メタクリル酸の10質量%水溶液150mlを添加し、圧力を110バールとして5時間反応した。室温まで冷却後、大気圧に開放し、得られたポリマーを回収した。純水、メタノールで順に洗浄した後、50℃のオーブンで乾燥した(収量208g)。このようにして得られたフルオロ系共重合体骨格は、NMR測定より、98.8モル%のフッ化ビニリデンおよび1.2モル%のメタクリル酸を含有していた。
次に、得られたフルオロ系共重合体骨格(F-1)とペンダント鎖形成化合物(M-1)との反応を行った。20gのF-1と、2.0gのM-1を100mlのN-メチル-2-ピロリドンに溶解し、さらに触媒として0.15gのトリフェニルホスフィンを添加した。これを80℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を1リットルのメタノールに滴下し、析出したポリマー成分を回収した。さらに2回、メタノールで洗浄した。得られたポリマー成分を60℃のオーブンで乾燥した(収量19.8g)。
1H-NMRより、ポリマー成分のフルオロ系共重合体骨格の-CH-部分(約2.5および3ppm)と、ペンダント鎖形成化合物由来の約3.5~3.6ppmのオキシアルキレン繰り返し単位に関係するシグナルが観測されたことにより、フルオロ系共重合体骨格に対しペンダント鎖が導入されていることを確認した。
ポリマー成分中の原子量比率(フッ素原子数/酸素原子数)は、XPS表面分析装置を用いて測定することができる。XPS表面分析装置としては、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィック社製のESCALAB-200Rを用いた。なお、(フッ素原子数/酸素原子数)は45であった。
[負極の作製]
保護層31形成のための溶液調整を行った。10gの前記ポリマー成分と、リチウム塩として1gのLiN(SOF)を混合し、さらに溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを添加して、10質量%の溶液を調整した。次に、厚さ10μmの銅箔上に厚さ20μmのリチウム箔を圧着し、その上に前記ポリマー溶液を塗布し保護層を形成した。その後、80℃で乾燥した。保護層31の膜厚は約10μmであった。これから、φ13サイズの負極30を作製した。
[正極の作製]
正極20については、まず、酸化物Li1.0Ni0.78Co0.19Al0.0390質量%、ケッチェンブラック6質量%、ポリフッ化ビニリデン4質量%をN-メチル-2-ピロリドンに分散させることで、塗工液を調整した。次いで、塗工液を正極集電体であるアルミニウム箔上に塗工し、乾燥させることで、正極活物質層24を形成した。次いで、プレス機により正極活物質層24をプレスした。これから、φ12サイズの正極20を作製した。
[電解液の調整]
ジメチルカーボネート、及びフッ素化エーテルとして1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテルを80:20の体積比で混合した溶媒に、リチウム塩としてLiN(SOF)を4.2mol/Lの濃度となるように溶解することで、電解液を調整した。
[リチウム二次電池の作製]
厚さ13μmのポリプロピレンセパレータを準備し、φ15サイズのセパレータ10を作製した。正極20、セパレータ10、負極30の順に重ね、コインセルの外装体に載置した。このとき、保護層31がセパレータ10と隣接するように配置した。さらに上記電解液を添加して封口し、リチウム二次電池100を作製した。
[サイクル特性評価]
100サイクル後の放電容量維持率の測定は、以下に示す手順により行った。25℃において、0.5Cに相当する定電流で、終止電圧4.4Vまで充電し、その後0.5Cに相当する定電流で3.0Vまで放電することで行った。1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合を求め、「サイクル容量維持率(%)」とした。
(実施例2)
ペンダント鎖形成化合物をM-2と変更する以外は実施例1と同様に行った。
(実施例3)
フルオロ系共重合体骨格の合成において、メタクリル酸をヒドロキシエチルアクリレートに変更し、ペンダント鎖形成化合物をM-6と変更する以外は実施例1と同様に行った。
(実施例4)
ペンダント鎖形成化合物をM-7と変更する以外は実施例3と同様に行った。
(実施例5)
ペンダント鎖形成化合物をM-4と変更する以外は実施例1と同様に行った。
(実施例6)
ペンダント鎖形成化合物をM-8と変更する以外は実施例3と同様に行った。
(比較例1)
ペンダント鎖形成化合物をM-1と変更する以外は実施例1と同様に行った。
(比較例2)
ペンダント鎖形成化合物をM-5と変更する以外は実施例3と同様に行った。
(比較例3)
ペンダント鎖形成化合物をM-9と変更する以外は実施例3と同様に行った。
(比較例4)
保護層31のポリマー成分を、9.85gのフルオロ系共重合体骨格(F-1)と、0.15gの化学式(2)で示されるポリマーの混合物と変更する以外は実施例1と同様に行った。
Figure 0007314739000005
(比較例5)
保護層31を形成しないこと以外は実施例1と同様に行った。
実施例1~6および比較例1~5の結果を表3に示す。本結果より、保護層31のポリマー成分中が、フルオロ系共重合体骨格と、前記骨格に結合されたペンダント鎖とを有し、(フッ素原子数/酸素原子数)を5~60とすることで良好なサイクル特性が得られることが分かる。さらに(フッ素原子数/酸素原子数)を20~60とすることでさらに良好なサイクル特性が得られることが分かる。
Figure 0007314739000006
(実施例7)
ペンダント鎖形成化合物をM-10に変更し、フルオロ系共重合体骨格(F-1)とM-9とを反応させる際の触媒をトリヘキシルアミンに変更する以外は実施例1と同様に行った。
(実施例8)
ペンダント鎖形成化合物をM-11に変更する以外は実施例7と同様に行った。
(実施例9)
ペンダント鎖形成化合物をM-12に変更する以外は実施例7と同様に行った。
(実施例10)
ペンダント鎖形成化合物をM-13に変更する以外は実施例7と同様に行った。
実施例7~10の結果を表4に示す。本結果より、保護層31のポリマー成分中が、フルオロ系共重合体骨格と、前記骨格に結合されたペンダント鎖とを有し、ペンダント鎖の有する官能基がエポキシ基の場合、さらに良好なサイクル特性が得られることが分かる。
(実施例11)
ペンダント鎖形成化合物をM-14に変更する以外は実施例1と同様に行った。
(実施例12)
ペンダント鎖形成化合物をM-15に変更する以外は実施例1と同様に行った。
(実施例13)
ペンダント鎖形成化合物をM-16に変更する以外は実施例7と同様に行った。
(実施例14)
ペンダント鎖形成化合物をM-17に変更する以外は実施例7と同様に行った。
(実施例15)
ペンダント鎖形成化合物をM-18に変更する以外は実施例7と同様に行った。
実施例11~15の結果を表4に示す。本結果より、保護層31のポリマー成分中が、フルオロ系共重合体骨格と、前記骨格に結合されたペンダント鎖とを有し、ペンダント鎖の末端が化学式(1)の構造を有する場合、さらに良好なサイクル特性が得られることが分かる。
Figure 0007314739000007
(実施例16)
保護層31形成のための溶液調整において、液体成分として、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミド(以下P13FSA)をポリマー成分の50質量%添加する以外は実施例1と同様に行った。
(実施例17)
保護層31形成のための溶液調整において、液体成分として、ジメチルカーボネートをポリマー成分の50質量%添加する以外は実施例7と同様に行った。
(実施例18)
保護層31形成のための溶液調整において、液体成分として、プロピレンカーボネートをポリマー成分の50質量%添加する以外は実施例11と同様に行った。
(実施例19)
保護層31形成のための溶液調整において、液体成分として、テトラグライムをポリマー成分の50質量%添加する以外は実施例13と同様に行った。
実施例16~19の結果を表5に示す。本結果より、保護層31が液体成分を有する場合、さらに良好なサイクル特性が得られることが分かる。
Figure 0007314739000008
10…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、
31…保護膜、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…積層体、50…外装体、
60,62…リード、100…リチウム二次電池

Claims (7)

  1. 負極と、
    正極と、
    セパレータと、
    リチウム塩を含む非水電解液と、を含むリチウム二次電池において、
    前記負極が、前記負極の少なくとも一部に形成された保護膜を含み、
    前記保護膜が、ポリマー成分を含み、
    前記ポリマー成分が、フルオロ系共重合体骨格と、前記骨格に結合されたペンダント鎖と、を含み、
    前記ポリマー成分中の原子量比率(フッ素原子数/酸素原子数)が5~60であり、
    前記フルオロ系共重合体骨格は、60モル%以上99.9モル%以下のフッ素モノマーと、0.1モル%以上40モル%以下の(メタ)アクリルモノマーと、の共重合体であり、
    前記ペンダント鎖は、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基から選択される官能基を有する分子量80以上10000以下のポリオキシアルキレンである、
    リチウム二次電池。
  2. 前記原子量比率(フッ素原子数/酸素原子数)が20~60である、
    請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記ペンダント鎖は、エポキシ基含有モノマーの反応物を含む、
    請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記ペンダント鎖の末端に式(1)の構造を含む、
    請求項1~3の何れか一項に記載のリチウム二次電池。
    Figure 0007314739000009
    (Rは、置換されていてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。)
  5. 前記保護膜がさらに液体成分を含む、
    請求項1~4の何れか一項に記載のリチウム二次電池。
  6. 前記フルオロ系共重合体骨格は、フッ化ビニリデンとメタクリル酸又はヒドロキシエチルアクリレートとの共重合体を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  7. 前記ペンダント鎖は、以下の化学式M-1~M-18で表されるいずれかを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
    Figure 0007314739000010
    Figure 0007314739000011
    Figure 0007314739000012
    Figure 0007314739000013
    Figure 0007314739000014
    Figure 0007314739000015
    Figure 0007314739000016
    Figure 0007314739000017
    Figure 0007314739000018
    Figure 0007314739000019
    Figure 0007314739000020
    Figure 0007314739000021
    Figure 0007314739000022
    Figure 0007314739000023
    Figure 0007314739000024
    Figure 0007314739000025
    Figure 0007314739000026
    Figure 0007314739000027
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