以下に、本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係るノイズフィルタ及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図10に基づいて説明する。
図1から図3の符号1は、本実施形態のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ1は、2本の電線(第1電線WE1、第2電線WE2)の中間部分同士をフィルタ回路で繋いだノイズ低減装置であり、2本の電線の内の一方を接地させ、その内の他方に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路のノイズ低減素子で低減させる。その2本の電線は、例えば、車両のワイヤハーネスWHの幹線WTが備える複数本の電線の内の2本であって、一方の電線がアース線として接地され、他方の電線が電源線として利用される。その電源線には、例えば、デフォッガやハイマウントストップランプ等の負荷が電気的に接続されている。ノイズフィルタ1は、その2本の電線に接続することによって、ワイヤハーネスWHの構成要素の1つとなる。以下に例示するワイヤハーネスWHにおいては、第1電線WE1を電源線として利用し、第2電線WE2をアース線として利用する。第1電線WE1は、一方の端部が電源(例えば、車両の二次電池)に対して電気的に接続され、他方の端部が負荷に対して電気的に接続されている。また、第2電線WE2は、一方の端部が接地されている。第1電線WE1と第2電線WE2は、各々、導電性の芯線WEaと、この芯線WEaの外周面を覆う絶縁性の被覆WEbと、を備える。
ノイズフィルタ1は、ノイズ成分を低減させるフィルタ回路10を備えるノイズ低減装置であり(図1、図3及び図4)、例えば、第1電線WE1に乗った電気的なノイズ成分をフィルタ回路10で低減させる。
フィルタ回路10は、第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分と第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分との間に介在させ、それぞれの芯線WEaに対して電気的に接続させる。以下においては、その第1電線WE1の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa1」と称し、かつ、第2電線WE2の中間部分に位置している芯線WEaの一部分を「中間接続部WEa2」と称する。また、以下においては、その第1電線WE1の芯線WEaの中間接続部WEa1のことを「第1電線WE1の中間接続部WEa1」と簡略化し、かつ、その第2電線WE2の芯線WEaの中間接続部WEa2のことを「第2電線WE2の中間接続部WEa2」と簡略化する。
このフィルタ回路10は、その第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に介在させ、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2に対して電気的に接続させる(図3)。
フィルタ回路10は、ノイズ成分を低減させる少なくとも1つのノイズ低減素子11を備える(図1、図3及び図4)。このノイズ低減素子11は、ノイズフィルタ1の回路構成でノイズの低減を図り得るものであれば、如何様なものを用いてもよい。例えば、ノイズ低減素子11としては、コンデンサやコイル等が考えられる。このフィルタ回路10では、ノイズ低減素子11として2つのコンデンサを備えており、この2つのコンデンサでノイズの低減を図ることができるように構成する(図1、図3及び図4)。
この例示の第1電線WE1と第2電線WE2は、後述するように、互いの軸線方向を同じ方向に向けて並列配置されている。ノイズ低減素子11は、その第1電線WE1と第2電線WE2のそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の間に配置する。この例示の2つのノイズ低減素子11は、第1電線WE1と第2電線WE2のそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2の間にて、第1電線WE1と第2電線WE2のそれぞれの軸線方向に沿って並べて配置している。
更に、このフィルタ回路10は、ノイズ低減素子11の第1接続部(以下、「第1素子接続部」という。)に電気接続される導電性の第1接続部材(以下、「第1回路接続部材」という。)12と、そのノイズ低減素子11の第2接続部(以下、「第2素子接続部」という。)に電気接続される導電性の第2接続部材(以下、「第2回路接続部材」という。)13と、を備える(図1、図3及び図4)。尚、第1素子接続部と第2素子接続部については、図示を省略している。
第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、ノイズ低減素子11を介して互いを電気的に接続させる導電部材である。この例示の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13は、各々、金属等の導電性材料で板状のバスバとして成形されている。
第1回路接続部材12は、素子側接続部として利用される素子側接続体12aと、電線側接続部として利用される電線側接続体12bと、を有する(図1、図3及び図4)。この例示の素子側接続体12aと電線側接続体12bは、各々、平面に対する直交方向を同じ向きとする矩形の平板状に形成されている。
この例示の素子側接続体12aは、2つの平面の内の一方が素子側接続部として利用され、その平面にノイズ低減素子11の第1素子接続部が電気接続される(図1、図3及び図4)。
また、電線側接続体12bには、弾性変形が可能な弾性接点12cを設けている(図1、図3及び図4)。その弾性接点12cは、電線側接続部として利用され、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続させる。この例示の弾性接点12cは、電線側接続体12bの一部であり、この電線側接続体12bから自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状で且つ弾性を持つ片部として形成している。
ここで、この第1回路接続部材12は、第1電線WE1と第2電線WE2とを併走させるべく、素子側接続体12aに対して電線側接続体12bを第1電線WE1側にオフセットさせている(図1、図3及び図4)。そのオフセット量は、後述する可倒体53と回路保護体20の厚さ分に設定する。
第2回路接続部材13は、素子側接続部及び電線側接続部として利用される1つの接続部材である(図1、図3及び図4)。この例示の第2回路接続部材13は、矩形の平板状に形成されている。この例示の第2回路接続部材13は、2つの平面の内の一方が素子側接続部として利用され、その平面にノイズ低減素子11の第2素子接続部が電気接続される。また、この例示の第2回路接続部材13には、弾性変形が可能な弾性接点13aを設けている(図1、図3及び図4)。その弾性接点13aは、電線側接続部として利用され、第2電線WE1の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる。この例示の弾性接点13aは、先に示した弾性接点12cと同様のものとして形成している。つまり、この弾性接点13aは、第2回路接続部材13の一部であり、この第2回路接続部材13から自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状で且つ弾性を持つ片部として形成している。
このフィルタ回路10においては、互いに間隔を空けて並列配置された第1回路接続部材12と第2回路接続部材13に対してノイズ低減素子11を載せ置いた上で、これらを物理的且つ電気的に接続させる。ここでは、第1回路接続部材12の素子側接続体12aの一方の平面にノイズ低減素子11の第1素子接続部が載せ置かれ、第2回路接続部材13の一方の平面にノイズ低減素子11の第2素子接続部が載せ置かれる。各々の接続形態としては、ノイズ低減素子11の第1素子接続部や第2素子接続部の形態に応じて、例えば溶着や半田付け等が適用される。
このフィルタ回路10においては、そのようなノイズ低減素子11と第1及び第2の回路接続部材12,13の接続によって、ノイズ低減素子11を間に置いて、それぞれの弾性接点12c,13aが配置される。このノイズフィルタ1においては、これらのノイズ低減素子11とそれぞれの弾性接点12c,13aの配列方向に対する直交方向が軸線方向となるように、第1電線WE1と第2電線WE2とを配置する。その第1電線WE1と第2電線WE2は、後述する筐体50の収容室50aに並列配置状態で収容して、その収容室50aの中で併走させる。
この例示のフィルタ回路10においては、2つのノイズ低減素子11が絶縁性のモールド体14で覆われている(図1、図3及び図4)。そのモールド体14は、2つのノイズ低減素子11と第1回路接続部材12の素子側接続体12aと第2回路接続部材13との間に注入したモールド剤の固化物であり、2つのノイズ低減素子11と素子側接続体12aとの接続部分及び2つのノイズ低減素子11と第2回路接続部材13との接続部分についても覆っている。
このノイズフィルタ1は、第1電線WE1とノイズ低減素子11との間又は第2電線WE2とノイズ低減素子11との間に回路保護体20を設けている(図1及び図3から図6)。この例示では、第2電線WE2とノイズ低減素子11との間に回路保護体20を介装させている。回路保護体20は、所謂ヒューズとしての機能を為すためのものである。この回路保護体20は、ノイズ低減素子11の第2素子接続部に対して間接的に電気接続させる第1電気接続部21と、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる第2電気接続部22と、第1電気接続部21と第2電気接続部22との間に設けた可溶部23と、を有する(図5及び図6)。この回路保護体20においては、第1電気接続部21と第2電気接続部22の体積に対して可溶部23の体積を極小にしている。
この例示では、第1電気接続部21を第2回路接続部材13の弾性接点13aに対向配置させ且つ接触させることによって、この第1電気接続部21をノイズ低減素子11の第2素子接続部に対して間接的に電気接続させる。また、この例示では、第2電気接続部22を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対向配置させ且つ間接的又は直接的に接触させることによって、この第2電気接続部22を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる。
このノイズフィルタ1は、第1電線WE1の中間接続部WEa1をノイズ低減素子11の第1接続部に対して間接的又は直接的に電気接続させる第1電気接続構造30と、第2電線WE2の中間接続部WEa2をノイズ低減素子11の第2接続部に回路保護体20を介して電気接続させる第2電気接続構造40と、を備える(図1及び図3)。
第1電気接続構造30は、第1回路接続部材12と、この第1回路接続部材12の弾性接点12cとの間で第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に弾性接点12cに向けた押圧力を作用させる第1押圧体31と、を備える(図3及び図7)。つまり、この第1電気接続構造30は、弾性接点12cと第1電線WE1の中間接続部WEa1と第1押圧体31とを一列に並べて配置し、これらの配列方向に沿って、弾性接点12cと中間接続部WEa1との間を間接的又は直接的に電気接続させる。その第1押圧体31は、後述するように第2筐体部材52に設け、第1筐体部材51と第2筐体部材52との組付け完了位置で押圧力を作用させる。
この例示の第1電気接続構造30は、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、第1押圧体31の押圧力で第1回路接続部材12の弾性接点12cに押し付けられる電線接続部材32を備えている(図1及び図3)。つまり、この例示の第1電気接続構造30においては、その電線接続部材32を介して第1押圧体31の押圧力を第1電線WE1の中間接続部WEa1に間接的に作用させ、かつ、その押圧力で電線接続部材32を弾性接点12cに押し付けることによって、弾性接点12cと中間接続部WEa1との間を間接的に電気接続させる。
この例示の電線接続部材32は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この電線接続部材32は、矩形の金属板を第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して巻き付けながら加締めていくことによって、その中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続された筒状部材となる。この例示の電線接続部材32は、円筒状に成形している(図1及び図3)。
第2電気接続構造40は、第2回路接続部材13と、第1電気接続部21を第2回路接続部材13の弾性接点13aに接触させ、かつ、第2電気接続部22を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる回路保護体20と、その回路保護体20が設けられた後述する可倒体53と、弾性接点13aとの間で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に弾性接点13aに向けた押圧力を作用させる第2押圧体41と、を備える(図3及び図7)。つまり、この第2電気接続構造40は、弾性接点13aと第1電気接続部21と可倒体53と第2電気接続部22と第2電線WE2の中間接続部WEa2と第2押圧体41とを一列に並べて配置し、これらの配列方向に沿って、弾性接点13aと第1電気接続部21との間を直接的に電気接続させ、かつ、第2電気接続部22と中間接続部WEa2との間を間接的又は直接的に電気接続させる。その第2押圧体41は、後述するように第2筐体部材52に設け、第1筐体部材51と第2筐体部材52との組付け完了位置で押圧力を作用させる。
この例示の第2電気接続構造40は、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して物理的且つ電気的に接続されると共に、第2押圧体41の押圧力で第2回路接続部材13の弾性接点13aに押し付けられる電線接続部材42を備えている(図1及び図3)。つまり、この例示の第2電気接続構造40においては、その電線接続部材42を介して第2押圧体41の押圧力を第2電線WE2の中間接続部WEa2に間接的に作用させ、かつ、その押圧力で電線接続部材42を第2電気接続部22に押し付けることによって、第2電気接続部22と中間接続部WEa2との間を間接的に電気接続させる。また、この第2電気接続構造40においては、その押圧力で第1電気接続部21を弾性接点13aに押し付けることによって、弾性接点13aと第1電気接続部21との間を直接的に電気接続させる。
この例示の電線接続部材42は、金属等の導電性材料で成形されている。例えば、この電線接続部材42は、矩形の金属板を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して巻き付けながら加締めていくことによって、その中間接続部WEa2に対して物理的且つ電気的に接続された筒状部材となる。この例示の電線接続部材42は、円筒状に成形している(図1及び図3)。
ここで、第1電線WE1と第2電線WE2とが丸導体等の単線を芯線WEaとして備えるものであるならば、第1電気接続構造30と第2電気接続構造40は、電線接続部材32や電線接続部材42を備えずともよい。また、第1電気接続構造30と第2電気接続構造40は、第1電線WE1と第2電線WE2とが複数本の素線の集合体を芯線WEaとして備えるものであったとしても、それぞれの中間接続部WEa1,WEa2における複数本の素線を熱圧着等で溶着して一纏めに固着させることによって、電線接続部材32や電線接続部材42を備えないようにしてもよい。この場合の第1電気接続構造30においては、第1押圧体31の押圧力を第1電線WE1の中間接続部WEa1に直接的に作用させ、かつ、その押圧力で中間接続部WEa1を弾性接点12cに押し付けることによって、弾性接点12cと中間接続部WEa1との間が直接的に電気接続される。また、この場合の第2電気接続構造40においては、第2押圧体41の押圧力を第2電線WE2の中間接続部WEa2に直接的に作用させることによって、その押圧力で中間接続部WEa2が第2電気接続部22に押し付けられ、かつ、その押圧力で第1電気接続部21が弾性接点13aに押し付けられる。よって、この第2電気接続構造40においては、第2電気接続部22と中間接続部WEa2との間が直接的に電気接続され、かつ、弾性接点13aと第1電気接続部21との間が直接的に電気接続される。
このノイズフィルタ1は、収容室50aが形成された筐体50を備える(図1)。その筐体50は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この筐体50においては、その収容室50aが少なくとも1つの開口を有しており、その開口がノイズ低減素子11等を収容室50aに収容する際の挿入口50bとして利用される(図1、図5及び図6)。この例示では、互いに組み付けられることによって筐体50を成す第1筐体部材51と第2筐体部材52とが設けられている(図1から図3)。この筐体50においては、第1電線WE1におけるそれぞれの端部側が内方の収容室50aから外方へと引き出され、かつ、第2電線WE2におけるそれぞれの端部側が内方の収容室50aから外方へと引き出される。
第1筐体部材51は、収容箱であり、ノイズ低減素子11、第1電気接続構造30、第2電気接続構造40、第1電線WE1及び第2電線WE2が収容される収容室50aを有している(図1、図5及び図6)。その収容室50aには、ノイズ低減素子11と共に第1回路接続部材12と第2回路接続部材13とが収容される。また、この収容室50aは、挿入口50bとしての1つの開口を有している。
第1筐体部材51は、主壁体51aと、この主壁体51aの周縁部から立設させた複数の周壁体51b-51eと、を有する(図1、図5及び図6)。この例示の第1筐体部材51は、矩形の平板状の主壁体51aと、この主壁体51aの4つの辺部から各々同じ向きに垂設させた矩形の平板状の第1から第4の周壁体51b-51eと、を有している。この第1筐体部材51では、第1周壁体51bと第2周壁体51cとが互いに間隔を空けて対向配置され、第3周壁体51dと第4周壁体51eとが互いに間隔を空けて対向配置されている。この第1筐体部材51においては、主壁体51aと第1から第4の周壁体51b-51eとで囲まれた空間が収容室50aとなる。また、この第1筐体部材51においては、第1から第4の周壁体51b-51eの縁部から成る矩形の開口が挿入口50bとして利用される。
主壁体51aには、収容室50aに収容されたフィルタ回路10を設置する(図3)。例えば、この主壁体51aの内壁面51a1には、第1回路接続部材12の素子側接続体12aと第2回路接続部材13のそれぞれの他方の平面を載せ置き(図3)、係合機構(図示略)で固定する。その係合機構とは、例えば、主壁体51aの内壁面51a1の複数箇所に設けた爪部等の係止部で素子側接続体12aと第2回路接続部材13を保持するロック機構のことである。この場合には、例えば、素子側接続体12aと第2回路接続部材13にノイズ低減素子11を予め接続しておく。
また、第1筐体部材51は、第1回路接続部材12の素子側接続体12aと第2回路接続部材13に対しての一体成形品とすることによって、その素子側接続体12aと第2回路接続部材13とを主壁体51aの内壁面51a1側に設置してもよい。この場合には、素子側接続体12aと第2回路接続部材13におけるそれぞれの一方の平面(ノイズ低減素子11との接続面)を収容室50a側に露出させておく。例えば、ノイズ低減素子11は、第1筐体部材51の一体成形の後で素子側接続体12aと第2回路接続部材13とに接続してもよく、その一体成形の前に素子側接続体12aと第2回路接続部材13とに接続してもよい。
第2筐体部材52は、第1筐体部材51の収容室50aにおける開口(挿入口50b)を塞ぐための蓋部材として用意されている。この第2筐体部材52は、第1筐体部材51に対する組付け完了位置で挿入口50bを塞ぐ閉塞壁体52aと、この閉塞壁体52aの周縁部から立設させた複数の周壁体52b-52eと、を有する(図7)。この例示の第2筐体部材52は、矩形の平板状の閉塞壁体52aと、この閉塞壁体52aの4つの辺部から各々同じ向きに垂設させた矩形の平板状の第1から第4の周壁体52b-52eと、を有している。この第2筐体部材52では、第1周壁体52bと第2周壁体52cとが互いに間隔を空けて対向配置され、第3周壁体52dと第4周壁体52eとが互いに間隔を空けて対向配置されている。
この第2筐体部材52には、第1電気接続構造30の第1押圧体31と第2電気接続構造40の第2押圧体41とが設けられている(図3及び図7)。この例示では、閉塞壁体52aの内壁面52a1に第1押圧体31と第2押圧体41とを設けている。この例示の第1押圧体31と第2押圧体41は、各々、その内壁面52a1から自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状で且つ弾性を持つ片部として形成している。また、この例示の第1押圧体31と第2押圧体41は、各々、2つずつ設けている。
この例示の筐体50においては、第1筐体部材51と第2筐体部材52との組付けが完了しているときに、それぞれの第1周壁体51b,52b同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第2周壁体51c,52c同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第3周壁体51d,52d同士を対向配置させ、かつ、それぞれの第4周壁体51e,52e同士を対向配置させる。
この筐体50においては、対向配置状態の第1周壁体51b,52bと対向配置状態の第2周壁体51c,52cから第1電線WE1と第2電線WE2とを外方に引き出させる。そこで、それぞれの第1周壁体51b,52bには、各々、第1電線WE1の一方の端部側を外方に引き出させる第1引出口51b1,52b1と、第2電線WE2の一方の端部側を外方に引き出させる第2引出口51b2,52b2と、が形成されている(図1及び図5から図7)。それぞれの第1周壁体51b,52bにおいては、第1引出口51b1,52b1同士を対向配置させ、かつ、第2引出口51b2,52b2同士を対向配置させる。また、それぞれの第2周壁体51c,52cには、各々、第1電線WE1の他方の端部側を外方に引き出させる第3引出口51c1,52c1と、第2電線WE2の他方の端部側を外方に引き出させる第4引出口51c2,52c2と、が形成されている(図1及び図5から図7)。それぞれの第2周壁体51c,52cにおいては、第3引出口51c1,52c1同士を対向配置させ、かつ、第4引出口51c2,52c2同士を対向配置させる。
このノイズフィルタ1においては、第1筐体部材51に回路保護体20を設ける。この例示では、第1筐体部材51における第1から第4の周壁体51b-51eの内の1つに回路保護体20を設ける。ここでは、第4周壁体51eに回路保護体20を設けている。
具体的に、その第4周壁体51eは、収容室50a側に傾倒し得るよう設けられた可倒体53を備える(図1、図5及び図6)。回路保護体20は、その可倒体53に設ける。
可倒体53は、収容室50a側への傾倒状態で第2回路接続部材13と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に介在させ、これに伴い、回路保護体20の第1電気接続部21を第2回路接続部材13に対向配置させると共に、回路保護体20の第2電気接続部22を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対向配置させる。そこで、この可倒体53は、収容室50a側への傾倒状態で第2回路接続部材12に対向配置され、かつ、収容室50a側への傾倒状態で第2回路接続部材12に接触させるべく第1電気接続部21が設けられた第1壁面53aを有している(図6)。更に、この可倒体53は、収容室50a側への傾倒状態で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させるべく第2電気接続部22が設けられた第2壁面53bを有している(図5)。
ここでは、中間接続部WEa2が電線接続部材42を有している場合、可倒体53が収容室50a側に傾倒しているときに、その電線接続部材42を介して中間接続部WEa2に第2電気接続部22が間接的に電気接続される。また、先に示したが如く中間接続部WEa2が電線接続部材42を有していない場合には、可倒体53が収容室50a側に傾倒しているときに、中間接続部WEa2に第2電気接続部22が直接的に電気接続される。
この例示の可倒体53は、矩形の平板状に形成されている。この可倒体53は、4つの辺部の内の1つが挿入口50bを成す縁部となり、その辺部に対向配置されているもう1つの辺部を起点にして傾倒させる。
この例示の可倒体53は、一方の矩形の平面(収容室50a側の平面)を第1壁面53aとし、他方の矩形の平面(収容室50aに対する外側の平面)を第2壁面53bとしている。その第1壁面53aには、矩形に形成された第1電気接続部21を設けている。ここでは、第1電気接続部21が第1壁面53aと同一の平面を有し、その平面が第2回路接続部材13の弾性接点13aに対する接触面となるように、第1電気接続部21を第1壁面53aに設ける。更に、第2壁面53bには、矩形に形成された第2電気接続部22を設けている。ここでは、第2電気接続部22が第2壁面53bと同一の平面を有し、その平面が第2電線WE2の中間接続部WEa2側に対する接触面となるように、第2電気接続部22を第2壁面53bに設ける。また更に、この例示の可倒体53においては、挿入口50bを成す縁部としての辺部の端面に可溶部23を設けている。例えば、可倒体53は、回路保護体20における少なくとも第1電気接続部21と第2電気接続部22のそれぞれの接触面を露出させたインサート成形で形成する。また、回路保護体20は、可倒体53の表面(第1壁面53aや第2壁面53b等)に対してメッキ加工によって設けられたものであってもよい。
この可倒体53は、第4周壁体51eに対して一体になって形成されたものであってもよく、第1筐体部材51とは別の絶縁性の部品として成形されたものであってもよい。この例示では、前者を適用しているので、可倒体53を収容室50a側に傾倒させるためのヒンジ54を第4周壁体51eが備えている(図5及び図6)。そのヒンジ54は、可倒体53の傾倒起点となる辺部に所謂リビングヒンジとして形成している。尚、後者を適用する場合には、別部品としての可倒体53と第4周壁体51eとを傾倒自在に接続させるべく、例えば、傾倒起点となる辺部に回動軸を設ければよい。
このノイズフィルタ1においては、フィルタ回路10が第1筐体部材51の収容室50aに収容されるまで、可倒体53を収容室50a側に傾倒させずに、第4周壁体51eと略同一の平面上に配置しておく(図8)。このノイズフィルタ1においては、フィルタ回路10を収容室50aに収容した後、回路保護体20と共に可倒体53を収容室50a側に傾倒させ、その回路保護体20の第1電気接続部21を第2回路接続部材13の弾性接点13aに対向配置させる(図9)。その後、このノイズフィルタ1においては、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とを挿入口50bから収容室50aに収容する(図10)。その第1電線WE1と第2電線WE2の収容に際して、第1筐体部材51においては、第1電線WE1が第1引出口51b1と第3引出口51c1とに挿入され、第2電線WE2が第2引出口51b2と第4引出口51c2とに挿入される。
このノイズフィルタ1においては、その第1筐体部材51に第2筐体部材52を組み付ける(図3)。ここでは、挿入口50bを塞ぎ、かつ、第1電線WE1を第1引出口52b1と第3引出口52c1とに挿入させると共に、第2電線WE2を第2引出口52b2と第4引出口52c2とに挿入させるように、第2筐体部材52を第1筐体部材51に組み付ける。この例示のノイズフィルタ1においては、その第1筐体部材51と第2筐体部材52との組付けが完了したときに、電線接続部材32を介して第1押圧体31の押圧力が第1電線WE1の中間接続部WEa1に間接的に作用し、かつ、その押圧力で電線接続部材32が弾性接点12cに押し付けられるので、弾性接点12cと中間接続部WEa1との間が間接的に電気接続させられる。また、この例示のノイズフィルタ1においては、その第1筐体部材51と第2筐体部材52との組付けが完了したときに、電線接続部材42を介して第2押圧体41の押圧力が第2電線WE2の中間接続部WEa2に間接的に作用し、かつ、その押圧力で電線接続部材42が第2電気接続部22に押し付けられるので、第2電気接続部22と中間接続部WEa2との間が間接的に電気接続させられる。また、このノイズフィルタ1においては、その第1筐体部材51と第2筐体部材52との組付けが完了したときに、その第2押圧体41の押圧力で第1電気接続部21が弾性接点13aに押し付けられるので、弾性接点13aと第1電気接続部21との間が直接的に電気接続させられる。
例えば、このノイズフィルタ1は、第1電線WE1及び第2電線WE2と共に幹線WTに粘着テープ(図示略)等で固定して、その幹線WTに抱きかかえさせる。これにより、第1電線WE1と第2電線WE2へのノイズフィルタ1の取り付けが完了する。
以上示したように、本実施形態のノイズフィルタ1は、自らに回路保護体20が設けられているので、第1電線WE1及び第2電線WE2に取り付けるだけで回路保護機能を持たせることができる。従って、本実施形態のノイズフィルタ1は、回路保護機能を簡便な組付け作業で設けることができる。更に、本実施形態のノイズフィルタ1は、回路保護体20を可倒体53と共に第1筐体部材51に予め設置しておくことによって、組付け工程の中で可倒体53を収容室50a側に傾倒させるだけで、回路保護体20を組み付けることができる。つまり、このノイズフィルタ1は、可倒体53を収容室50a側に傾倒させるだけの簡便な作業で、回路保護体20を回路内に組み込むことができる。従って、本実施形態のノイズフィルタ1は、この点からも、回路保護機能を簡便な組付け作業で設けることができる。また、本実施形態のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ1を具備するものであり、このノイズフィルタ1が得られる効果を奏することができる。
[変形例1]
図11から図13の符号2は、本変形例のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ2は、前述した実施形態のノイズフィルタ1において以下の点を変更したものである。そこで、以下の説明においては、実施形態のノイズフィルタ1と同じ部品や同等の機能を為す部位等について、便宜上、そのノイズフィルタ1と同じ符号を付し、その説明を省略する。本変形例では、第1電線WE1をアース線として利用し、第2電線WE2を電源線として利用する。
このノイズフィルタ2は、実施形態の第1回路接続部材12と第2回路接続部材13を第1回路接続部材112と第2回路接続部材113に置き換えることによって、実施形態のフィルタ回路10をフィルタ回路110に置き換えている(図11、図13及び図14)。この例示の第1回路接続部材112と第2回路接続部材113は、各々、金属等の導電性材料で板状のバスバとして成形されている。
第1回路接続部材112は、素子側接続部として利用される素子側接続体112aと、電線側接続部として利用される電線側接続体112bと、を有する(図11、図13及び図14)。この例示の第1回路接続部材112は、矩形の平板状の素子側接続体112aと矩形の平板状の電線側接続体112bとを直交させたL字状に成形している。
この例示の素子側接続体112aは、L字の内側に配置されている一方の平面が素子側接続部として利用され、その平面にノイズ低減素子11の第1素子接続部が電気接続される(図11、図13及び図14)。
また、電線側接続体112bには、弾性変形が可能な弾性接点112cを設けている(図11、図13及び図14)。その弾性接点112cは、電線側接続部として利用され、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に電気接続させる。この例示の弾性接点112cは、電線側接続体112bの一部であり、平行な2本の貫通孔に挟まれた部位が素子側接続体112a側にプレス成形等で押し出された両持ちの片体状で且つ弾性を持つ片部として形成されている。
第2回路接続部材113は、素子側接続部として利用される素子側接続体113aと、電線側接続部として利用される電線側接続体113bと、を有する(図11、図13及び図14)。この例示の第2回路接続部材113は、矩形の平板状の素子側接続体113aと矩形の平板状の電線側接続体113bとを直交させたL字状に成形している。
この例示の素子側接続体113aは、L字の内側に配置されている一方の平面が素子側接続部として利用され、その平面にノイズ低減素子11の第2素子接続部が電気接続される(図11、図13及び図14)。
また、この例示の電線側接続体113bは、L字の外側に配置されている他方の平面が電線側接続部として利用され、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる。
このフィルタ回路110においては、電線側接続体112bと電線側接続体113bにおけるL字の内側の一方の平面同士を互いに間隔を空けて対向配置させ、かつ、素子側接続体112aと素子側接続体113aとを互いに間隔を空けて対向配置させる。このフィルタ回路110においては、そのように互いに間隔を空けて並列配置された第1回路接続部材112と第2回路接続部材113のそれぞれの素子側接続体112a,113aに対してノイズ低減素子11を載せ置いた上で、これらを物理的且つ電気的に接続させる。各々の接続形態としては、ノイズ低減素子11の第1素子接続部や第2素子接続部の形態に応じて、例えば溶着や半田付け等が適用される。
このフィルタ回路110においては、そのようなノイズ低減素子11と第1及び第2の回路接続部材112,113の接続によって、ノイズ低減素子11を間に置いて、それぞれの電線側接続体112b,113bが配置される。このノイズフィルタ2においては、これらのノイズ低減素子11とそれぞれの電線側接続体112b,113bの配列方向に対する直交方向が軸線方向となるように、第1電線WE1と第2電線WE2とを配置する。その第1電線WE1と第2電線WE2は、後述する筐体150の収容室150aに並列配置状態で収容して、その収容室150aの中で併走させる。
このノイズフィルタ2は、第1電線WE1とノイズ低減素子11との間又は第2電線WE2とノイズ低減素子11との間に回路保護体120を設けている(図13、図15及び図16)。この例示では、第2電線WE2とノイズ低減素子11との間に回路保護体120を介装させている。
回路保護体120は、所謂ヒューズとしての機能を為すためのものである。この回路保護体120は、ノイズ低減素子11の第2素子接続部に対して間接的に電気接続させる第1電気接続部121と、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる第2電気接続部122と、第1電気接続部121と第2電気接続部122との間に設けた可溶部123と、を有する(図13、図15及び図16)。この回路保護体120においては、第1電気接続部121と第2電気接続部122の体積に対して可溶部123の体積を極小にしている。
この例示では、第1電気接続部121を第2回路接続部材113の電線側接続体113bにおける他方の平面に対向配置させ且つ接触させることによって、この第1電気接続部121をノイズ低減素子11の第2素子接続部に対して間接的に電気接続させる。また、この例示では、第2電気接続部122を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対向配置させ且つ間接的又は直接的に接触させることによって、この第2電気接続部122を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる。
このノイズフィルタ2においては、これらの変更に伴い、実施形態の第1電気接続構造30と第2電気接続構造40を第1電気接続構造130と第2電気接続構造140に置き換えている(図11及び図13)。
第1電気接続構造130は、第1回路接続部材112と、この第1回路接続部材112の弾性接点112cとの間で第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に弾性接点112cに向けた押圧力を作用させる第1押圧体131と、を備える(図13、図15及び図16)。つまり、この第1電気接続構造130は、弾性接点112cと第1電線WE1の中間接続部WEa1と第1押圧体131とを一列に並べて配置し、これらの配列方向に沿って、弾性接点112cと中間接続部WEa1との間を間接的又は直接的に電気接続させる。その第1押圧体131は、後述するように第2筐体部材152に設け、第1筐体部材151と第2筐体部材152との組付け完了位置で押圧力を作用させる。
この例示の第1電気接続構造130は、実施形態の電線接続部材32と同様の電線接続部材132を第1電線WE1の中間接続部WEa1に備えている(図11及び図13)。よって、この例示の第1電気接続構造130においては、その電線接続部材132を介して第1押圧体131の押圧力を第1電線WE1の中間接続部WEa1に間接的に作用させ、かつ、その押圧力で電線接続部材132を弾性接点112cに押し付けることによって、弾性接点112cと中間接続部WEa1との間を間接的に電気接続させている。
第2電気接続構造140は、第2回路接続部材113と、第1電気接続部121を第2回路接続部材113の電線側接続体113bに接触させ、かつ、第2電気接続部122を第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させる回路保護体120と、その回路保護体120が設けられた後述する介装体153と、電線側接続体113bとの間で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電線側接続体113bに向けた押圧力を作用させる第2押圧体141と、を備える(図11及び図13)。つまり、この第2電気接続構造140は、電線側接続体113bと第1電気接続部121と介装体153と第2電気接続部122と第2電線WE2の中間接続部WEa2と第2押圧体141とを一列に並べて配置し、これらの配列方向に沿って、電線側接続体113bと第1電気接続部121との間を直接的に電気接続させ、かつ、第2電気接続部122と中間接続部WEa2との間を間接的又は直接的に電気接続させる。その第2押圧体141は、後述するように第1筐体部材151に設ける。そして、この第2押圧体141は、第1筐体部材151と第2筐体部材152とが組付け完了位置のときに介装体153側から押動されて、その押動力に対する反力を押圧力として中間接続部WEa2に作用させる。
この例示の第2電気接続構造140は、実施形態の電線接続部材42と同様の電線接続部材142を第2電線WE2の中間接続部WEa2に備えている(図11及び図13)。よって、この例示の第2電気接続構造140においては、その電線接続部材142を介して第2押圧体141の押圧力を第2電線WE2の中間接続部WEa2に間接的に作用させ、かつ、その押圧力で電線接続部材142を第2電気接続部122に押し付けることによって、第2電気接続部122と中間接続部WEa2との間を間接的に電気接続させている。また、この第2電気接続構造140においては、その押圧力で第1電気接続部121を電線側接続体113bに押し付けることによって、電線側接続体113bと第1電気接続部121との間を直接的に電気接続させている。
ここで、実施形態でも示したように、第1電気接続構造130と第2電気接続構造140は、第1電線WE1と第2電線WE2とが丸導体等の単線を芯線WEaとして備えている場合、又は、第1電線WE1と第2電線WE2にてそれぞれの中間接続部WEa1,WEa2における複数本の素線が熱圧着等で溶着して一纏めに固着されている場合、電線接続部材132や電線接続部材142を備えずともよい。この場合の第1電気接続構造130においては、第1押圧体131の押圧力を第1電線WE1の中間接続部WEa1に直接的に作用させ、かつ、その押圧力で中間接続部WEa1を弾性接点112cに押し付けることによって、弾性接点112cと中間接続部WEa1との間が直接的に電気接続される。また、この場合の第2電気接続構造140においては、第2押圧体141の押圧力を第2電線WE2の中間接続部WEa2に直接的に作用させることによって、その押圧力で中間接続部WEa2が第2電気接続部122に押し付けられ、かつ、その押圧力で第1電気接続部121が電線側接続体113bに押し付けられる。よって、この第2電気接続構造140においては、第2電気接続部122と中間接続部WEa2との間が直接的に電気接続され、かつ、電線側接続体113bと第1電気接続部121との間が直接的に電気接続される。
このノイズフィルタ2においては、これらの変更に伴い、実施形態の筐体50を筐体150に置き換えている(図11から図13)。
筐体150は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この筐体150においては、収容室150aが少なくとも1つの開口を有しており、その開口がノイズ低減素子11等を収容室150aに収容する際の挿入口150bとして利用される(図11)。この例示では、互いに組み付けられることによって筐体150を成す第1筐体部材151と第2筐体部材152とが設けられている(図11から図13)。この筐体150においては、第1電線WE1におけるそれぞれの端部側が内方の収容室150aから外方へと引き出され、かつ、第2電線WE2におけるそれぞれの端部側が内方の収容室150aから外方へと引き出される。
第1筐体部材151は、収容箱であり、ノイズ低減素子11、第1電気接続構造130、第2電気接続構造140、第1電線WE1及び第2電線WE2が収容される収容室150aを有している(図11)。その収容室150aには、ノイズ低減素子11と共に第1回路接続部材112と第2回路接続部材113とが収容される。また、この収容室150aは、挿入口150bとしての1つの開口を有している。
第1筐体部材151は、実施形態の第1筐体部材51と同じように、主壁体151aと、この主壁体151aの周縁部から立設させた複数の周壁体(第1から第4の周壁体)151b-151eと、を有する(図11)。この例示の第1筐体部材151においては、矩形の平板状の主壁体151aと矩形の平板状の第1から第4の周壁体151b-151eとで囲まれた空間が収容室150aとなる。また、この第1筐体部材151においては、第1から第4の周壁体151b-151eの縁部から成る矩形の開口が挿入口150bとして利用される。この筐体150においては、実施形態と同じように、主壁体151aの内壁面151a1にフィルタ回路110を設置する(図13)。
この第1筐体部材151には、第2電気接続構造140の第2押圧体141が設けられている(図11及び図13)。この例示では、第4周壁体151eに第2押圧体141を設けている。この例示の第2押圧体141は、収容室150a内で自由端側を浮き上がらせた片持ちの片体状で且つ弾性を持つ片部として形成している。
第2筐体部材152は、実施形態の第2筐体部材152と同じように、第1筐体部材151の収容室150aにおける開口(挿入口150b)を塞ぐ閉塞壁体152aと、この閉塞壁体152aの周縁部から立設させた複数の周壁体(第1から第4の周壁体)152b-152eと、を有する(図15及び図16)。この例示では、閉塞壁体152aと第1から第4の周壁体152b-152eとを各々矩形の平板状に形成している。
この第2筐体部材152には、第1電気接続構造130の第1押圧体131が設けられている(図15及び図16)。この例示では、第1筐体部材151と第2筐体部材152とが組付け完了位置のときにノイズ低減素子11と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間に挿入されるように、閉塞壁体152aの内壁面152a1に第1押圧体131を突出状態で設けている。
この第1押圧体131は、第1筐体部材151に対する第2筐体部材152の組付け方向に向かうほどノイズ低減素子11に近づき、かつ、第1筐体部材151と第2筐体部材152とが組付け完了位置のときに第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に押圧力を作用させる傾斜面131aを有する(図13及び図15)。その傾斜面131aは、第1筐体部材151に対する第2筐体部材152の組付けが進むに連れて中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に接触し、その組付けが更に進むことによって、中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に押圧力を作用させていく。
この例示の第1押圧体131は、第1筐体部材151に対する第2筐体部材152の組付け方向に向けて垂設させた垂設面131bをノイズ低減素子11側に有しており、その垂設面131bと傾斜面131aとを有する楔形状に形成している(図13及び図16)。
例えば、この第1押圧体131は、押圧力を傾斜面131aから中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に作用させているときに変形不能な剛体として形成する。これにより、この第1押圧体131は、傾斜面131aが中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に接触してから第1筐体部材151と第2筐体部材152の組付けが完了するまでの間、中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に押圧力を作用させ続けることができる。
また、この第1押圧体131は、押圧力を傾斜面131aから中間接続部WEa1に対して間接的又は直接的に作用させているときに撓ませることができるように形成してもよい。例えば、第1押圧体131は、中間接続部WEa1側からノイズ低減素子11側に向け且つノイズ低減素子11側から中間接続部WEa1側に向けた撓みが可能な可撓性を有し、遅くとも第1筐体部材151と第2筐体部材152とが組付け完了状態となったときに、中間接続部WEa1とノイズ低減素子11との間に挟持されて、中間接続部WEa1に対して傾斜面131aから間接的又は直接的に押圧力を作用させるものとして形成する。
この筐体150においては、対向配置状態の第1周壁体151b,152bと対向配置状態の第2周壁体151c,152cから第1電線WE1と第2電線WE2とを外方に引き出させる。よって、それぞれの第1周壁体151b,152bには、各々、第1電線WE1の一方の端部側を外方に引き出させる第1引出口151b1,152b1と、第2電線WE2の一方の端部側を外方に引き出させる第2引出口151b2,152b2と、が形成されている(図11、図15及び図16)。また、それぞれの第2周壁体151c,152cには、各々、第1電線WE1の他方の端部側を外方に引き出させる第3引出口151c1,152c1と、第2電線WE2の他方の端部側を外方に引き出させる第4引出口151c2,152c2と、が形成されている(図11、図15及び図16)。
このノイズフィルタ2においては、第2筐体部材152に回路保護体120を設ける。この例示の第2筐体部材152は、回路保護体120が設けられた介装体153を有している(図13、図15及び図16)。その介装体153は、第1筐体部材151と第2筐体部材152の組付け完了位置で第2回路接続部材113と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に介在させる。
この介装体153は、第1筐体部材151と第2筐体部材152の組付け完了位置で第2回路接続部材113に対向配置され、かつ、その組付け完了位置で第2回路接続部材113に接触させるべく第1電気接続部121が設けられた第1壁面153aを有している(図15)。更に、この介装体153は、第1筐体部材151と第2筐体部材152の組付け完了位置で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対向配置され、かつ、その組付け完了位置で第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に電気接続させるべく第2電気接続部122が設けられた第2壁面153bを有している(図16)。
この例示の介装体153は、閉塞壁体152aの内壁面152a1に突出状態で設け、第1筐体部材151と第2筐体部材152の組付け完了位置で第2回路接続部材113の電線側接続体113bと第2電線WE2の中間接続部WEa2との間に介在させる。よって、この例示の介装体153においては、第1筐体部材151と第2筐体部材152とが組付け完了位置のときに、第1壁面153aが電線側接続体113bに対向配置されている。
この例示の第1壁面153aは、第1筐体部材151に対する第2筐体部材152の組付け方向に向けて垂設させた垂設面として形成し、第1筐体部材151と第2筐体部材152とが組付け完了位置のときに、電線側接続体113bの他方の平面に対して面接触させる。
一方、この例示の第2壁面153bは、第1筐体部材151に対する第2筐体部材152の組付け方向に向かうほどノイズ低減素子11に近づき、かつ、第1筐体部材151と第2筐体部材152とが組付け完了位置のときに第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して間接的又は直接的に押圧力を作用させる傾斜面として形成している。尚、第2壁面153bについては、第2押圧体141の押圧力を中間接続部WEa2側から受けることができるので、必ずしも中間接続部WEa2側への押圧力の付与が可能な傾斜面である必要はない。
この例示の介装体153は、第1押圧体131と同じように楔形状に形成している(図13、図15及び図16)。ここでは、第2押圧体141の押圧力を中間接続部WEa2側から受けるべく、変形不能な剛体として形成している。
この例示の介装体153においては、矩形の第1壁面153aに矩形の第1電気接続部121を設け、矩形の第2壁面153bに矩形の第2電気接続部122を設けている。ここでは、第1電気接続部121が第1壁面153aと同一の平面を有し、その平面が第2回路接続部材113の電線側接続体113bに対する接触面となるように、第1壁面153aに第1電気接続部121を設ける。更に、ここでは、第2電気接続部122が第2壁面153bと同一の平面を有し、その平面が第2電線WE2の中間接続部WEa2側に対する接触面となるように、第2壁面153bに第2電気接続部122を設ける。また更に、この例示の介装体153においては、突出方向側の先端(第1壁面153aと第2壁面153bの仮想交差部側)に端面を設け、その端面に可溶部123を設けている。例えば、介装体153は、回路保護体120における少なくとも第1電気接続部121と第2電気接続部122のそれぞれの接触面を露出させたインサート成形で形成する。また、回路保護体120は、介装体153の表面(第1壁面153aや第2壁面153b等)に対してメッキ加工によって設けられたものであってもよい。
このノイズフィルタ2においては、フィルタ回路110を収容室150aに収容した上で(図17)、第1電線WE1の中間接続部WEa1と第2電線WE2の中間接続部WEa2とを挿入口150bから収容室150aに収容する(図18)。その第1電線WE1と第2電線WE2の収容に際して、第1筐体部材151においては、第1電線WE1が第1引出口151b1と第3引出口151c1とに挿入され、第2電線WE2が第2引出口151b2と第4引出口151c2とに挿入される。
このノイズフィルタ2においては、その第1筐体部材151に第2筐体部材152を組み付ける(図13)。ここでは、挿入口150bを塞ぎ、かつ、第1電線WE1を第1引出口152b1と第3引出口152c1とに挿入させると共に、第2電線WE2を第2引出口152b2と第4引出口152c2とに挿入させるように、第2筐体部材152を第1筐体部材151に組み付ける。
この例示のノイズフィルタ2においては、第2筐体部材152を第1筐体部材151に組み付けていくことで、第1押圧体131の傾斜面131aが電線接続部材132に接触し、かつ、介装体153の第1壁面153aに設けた第1電気接続部121が電線側接続体113bに接触し、かつ、介装体153の第2壁面153bに設けた第2電気接続部122が電線接続部材142に接触する。この例示のノイズフィルタ2においては、第1筐体部材151と第2筐体部材152の組付けが更に進むことで、第1押圧体131の傾斜面131aが押圧力で電線接続部材132を押動しながら、その電線接続部材132を弾性接点12cに押し付けていく。よって、この例示のノイズフィルタ2においては、第1筐体部材151と第2筐体部材152との組付けが完了したときに、弾性接点112cと中間接続部WEa1との間が間接的に電気接続させられる。また、この例示のノイズフィルタ2においては、第1筐体部材151と第2筐体部材152の組付けが更に進むことで、第1電気接続部121と電線側接続体113bの接触状態が保たれながら、第2電気接続部122が押圧力で電線接続部材142を押動しつつ、その電線接続部材142が第2押圧体141を弾性変形させていく。よって、この例示のノイズフィルタ2においては、第1筐体部材151と第2筐体部材152との組付けが完了したときに、第2押圧体141が反力としての押圧力を電線接続部材142に作用させるので、その電線接続部材142を第2電気接続部122と第2押圧体141とで挟持しつつ、第1電気接続部121と電線側接続体113bの接触状態を保つことができる。従って、この例示のノイズフィルタ2においては、第1筐体部材151と第2筐体部材152との組付けが完了したときに、電線側接続体113bと第1電気接続部121との間が直接的に電気接続させられ、かつ、第2電気接続部22と中間接続部WEa2との間が間接的に電気接続させられる。
例えば、このノイズフィルタ2は、第1電線WE1及び第2電線WE2と共に幹線WTに粘着テープ(図示略)等で固定して、その幹線WTに抱きかかえさせる。これにより、第1電線WE1と第2電線WE2へのノイズフィルタ2の取り付けが完了する。
以上示したように、本変形例のノイズフィルタ2は、自らに回路保護体120が設けられているので、第1電線WE1及び第2電線WE2に取り付けるだけで回路保護機能を持たせることができる。従って、本変形例のノイズフィルタ2は、回路保護機能を簡便な組付け作業で設けることができる。更に、本変形例のノイズフィルタ2は、回路保護体120を介装体153と共に第2筐体部材152に予め設置しておくことによって、第1筐体部材151と第2筐体部材152とを組み付けるだけの簡便な作業で、回路保護体120を組み付けることができる。つまり、このノイズフィルタ2は、組付け工程を増やすことなく、回路保護体120を回路内に組み込むことができる。従って、本変形例のノイズフィルタ2は、この点からも、回路保護機能を簡便な組付け作業で設けることができる。また、本変形例のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ2を具備するものであり、このノイズフィルタ2が得られる効果を奏することができる。
[変形例2]
図19から図22の符号3は、本変形例のノイズフィルタを示す。このノイズフィルタ3は、前述した実施形態のノイズフィルタ1において以下の点を変更したものである。そこで、以下の説明においては、実施形態のノイズフィルタ1と同じ部品や同等の機能を為す部位等について、便宜上、そのノイズフィルタ1と同じ符号を付し、その説明を省略する。本変形例では、第1電線WE1をアース線として利用し、第2電線WE2を電源線として利用する。
このノイズフィルタ3は、第1電線WE1の中間接続部WEa1に対して物理的且つ電気的に接続された電線接続部材232と、第2電線WE2の中間接続部WEa2に対して物理的且つ電気的に接続された電線接続部材242と、を備え、その電線接続部材232,242の間にノイズ低減素子11を介在させる(図19、図21及び図22)。
電線接続部材232は、金属等の導電性材料で成形する。この電線接続部材232は、電線接続体232aと接点232bとを有する(図19及び図22)。
電線接続体232aは、間隔を空けて対向配置された2つの矩形の片部を第1電線WE1の中間接続部WEa1に巻き付けて加締め圧着させたものである。この電線接続体232aは、このように第1電線WE1の中間接続部WEa1に組み付けることによって、その中間接続部WEa1に対して直接的に電気接続させる。
接点232bは、第1電線WE1の中間接続部WEa1に組み付けた電線接続体232aから第1電線WE1の軸線方向に対する直交方向に突出させ、ノイズ低減素子11の第1素子接続部に対向配置させる。この接点232bは、矩形の平板状の基部232b1と、ノイズ低減素子11の第1素子接続部に接触させる接点部232b2と、を有する(図19、図21及び図22)。基部232b1は、第1電線WE1の軸線方向に対する直交平面を有するものであり、その軸線方向で一方の直交平面をノイズ低減素子11の第1素子接続部に間隔を空けて対向配置させる。接点部232b2は、その第1素子接続部との間での安定した接触荷重を得るべく、基部232b1の一方の直交平面から膨出させた膨出形状のものとして形成する。この接点部232b2は、ノイズ低減素子11毎に設け、ノイズ低減素子11の第1素子接続部に第1電線WE1の軸線方向で接触させる。
電線接続部材242は、金属等の導電性材料で成形する。この電線接続部材242は、電線接続体242aと接点242bとを有する(図19及び図22)。
電線接続体242aは、間隔を空けて対向配置された2つの矩形の片部を第2電線WE2の中間接続部WEa2に巻き付けて加締め圧着させたものである。この電線接続体242aは、このように第2電線WE2の中間接続部WEa2に組み付けることによって、その中間接続部WEa2に対して直接的に電気接続させる。
接点242bは、第2電線WE2の中間接続部WEa2に組み付けた電線接続体242aから第2電線WE2の軸線方向に対する直交方向に突出させ、ノイズ低減素子11の第2素子接続部に対向配置させる。この接点242bは、矩形の平板状の基部242b1と、ノイズ低減素子11の第2素子接続部に向けて膨出させた接点部242b2と、を有する(図19、図21及び図22)。基部242b1は、第2電線WE2の軸線方向に対する直交平面を有するものであり、その軸線方向で一方の直交平面をノイズ低減素子11の第2素子接続部に間隔を空けて対向配置させる。接点部242b2は、基部242b1の一方の直交平面から膨出させた膨出形状のものとして形成し、第2電線WE2の軸線方向でノイズ低減素子11の第2素子接続部に間隔を空けて対向配置させる。
このノイズフィルタ3においては、この電線接続部材232,242のそれぞれの接点232b,242bの間にノイズ低減素子11を配置し、これらの配列方向が軸線方向となるように第1電線WE1と第2電線WE2とを配置する。この例示では、その併走させた第1電線WE1と第2電線WE2の間にノイズ低減素子11を配置している(図22)。
このノイズフィルタ3においては、これらの変更に伴い、実施形態の筐体50を筐体250に置き換えている(図19から図22)。
筐体250は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この筐体250においては、収容室250aが少なくとも1つの開口を有しており、その開口がノイズ低減素子11等を収容室250aに収容する際の挿入口250bとして利用される(図19)。この例示では、互いに組み付けられることによって筐体250を成す第1筐体部材251と第2筐体部材252とが設けられている(図19から図22)。この筐体250においては、第1電線WE1におけるそれぞれの端部側が内方の収容室250aから外方へと引き出され、かつ、第2電線WE2におけるそれぞれの端部側が内方の収容室250aから外方へと引き出される。
第1筐体部材251は、収容箱であり、ノイズ低減素子11、後述する第1電気接続構造230、後述する第2電気接続構造240、第1電線WE1及び第2電線WE2が収容される収容室250aを有している(図19)。その収容室250aは、挿入口250bとしての1つの開口を有している。
第1筐体部材251は、実施形態の第1筐体部材51と同じように、主壁体251aと、この主壁体251aの周縁部から立設させた複数の周壁体(第1から第4の周壁体)251b-251eと、を有する(図19)。この例示の第1筐体部材251においては、矩形の平板状の主壁体251aと矩形の平板状の第1から第4の周壁体251b-251eとで囲まれた空間が収容室250aとなる。また、この第1筐体部材251においては、第1から第4の周壁体251b-251eの縁部から成る矩形の開口が挿入口250bとして利用される。この筐体250においては、主壁体251aの内壁面251a1にノイズ低減素子11を設置する(図21)。
第2筐体部材252は、実施形態の第2筐体部材152と同じように、第1筐体部材251の収容室250aにおける開口(挿入口250b)を塞ぐ閉塞壁体252aと、この閉塞壁体252aの周縁部から立設させた複数の周壁体(第1から第4の周壁体)252b-252eと、を有する(図19)。この例示では、閉塞壁体252aと第1から第4の周壁体252b-252eとを各々矩形の平板状に形成している。
この筐体250においては、対向配置状態の第1周壁体251b,252bと対向配置状態の第2周壁体251c,252cから第1電線WE1と第2電線WE2とを外方に引き出させる。ここでの具体的な説明は省略するが、その第1周壁体251b,252bと対向配置状態の第2周壁体251c,252cには、実施形態と同様の第1から第4の引出口が形成されている。
更に、このノイズフィルタ3は、第1電線WE1とノイズ低減素子11との間又は第2電線WE2とノイズ低減素子11との間に回路保護体220を設けている(図19及び図21から図24)。その回路保護体220は、ノイズ低減素子11の第1素子接続部と電線接続部材232の接点232bとの間、又は、ノイズ低減素子11の第2素子接続部と電線接続部材242の接点242bとの間に介在させる。この例示では、ノイズ低減素子11の第2素子接続部と電線接続部材242の接点242bとの間に介在させている。
回路保護体220は、所謂ヒューズとしての機能を為すためのものである。本変形例の回路保護体220は、金属等の導電性部材で1つの部品として成形されている。ここでは、金属板を母材にしたプレス成形で折り曲げ加工等が施されている。この回路保護体220は、ノイズ低減素子11の第2素子接続部に接触させる第1電気接続部221と、電線接続部材242の接点242bに接触させる第2電気接続部222と、第1電気接続部221と第2電気接続部222との間に設けた可溶部223と、を有する(図21及び図22)。この回路保護体220においては、第1電気接続部221と第2電気接続部222の体積に対して可溶部223の体積を極小にしている。
第1電気接続部221は、ノイズ低減素子11の第2素子接続部との間で第2電線WE2の軸線方向に弾性変形し得るものとして形成する。この例示の第1電気接続部221は、矩形の平板状の基部221aと、この基部221aの1つの辺部を固定端とした弾性変形可能な片持ちの片部221bと、を有する(図21、図23及び図24)。この片部221bは、固定端と自由端との間で屈曲部や弧状部を設けることで、ノイズ低減素子11の第2素子接続部に対する接点部となる。
第2電気接続部222は、第1電気接続部221の基部221aに対して間隔を空けて対向配置させる。この例示の第2電気接続部222は、その基部221aと同形状の矩形の平板状に形成している。可溶部223は、第1電気接続部221の基部221aにおける片部221bの固定端とは逆側の辺部に設ける。この例示では、その基部221aの辺部と当該辺部に対向配置されている第2電気接続部222の辺部とを連結させるが如く、可溶部223を設けている。
ノイズフィルタ3は、この回路保護体220が設けられた介装部材260を備える(図19及び図21から図24)。その介装部材260は、回路保護体220を保持する保持部材であり、その回路保護体220と共にノイズ低減素子11の第2素子接続部と電線接続部材242の接点242bとの間に介在させる。
この介装部材260は、ノイズ低減素子11の第2素子接続部に対向配置され、かつ、その第2素子接続部に接触させるべく第1電気接続部221が設けられた第1壁面260aを有している(図19及び図21から図24)。更に、この介装部材260は、電線接続部材242の接点242bに対向配置され、かつ、その電線接続部材242の接点242bに接触させるべく第2電気接続部222が設けられた第2壁面260bを有している(図19、図21及び図22)。
この例示の介装部材260は、回路保護体220を保持する方体状の保持部261を有している(図19及び図21から図24)。その保持部261においては、対向配置されている2つの外壁面の内の一方を第1壁面260aとして利用し、その内の他方を第2壁面260bとして利用する。この介装部材260は、回路保護体220における第1電気接続部221の基部221aと第2電気接続部222との間に保持部261を嵌入させ、その基部221aと第2電気接続部222とに保持部261を挟持させることによって、回路保護体220を保持する。
この例示のノイズフィルタ3においては、第1筐体部材251の収容室250aにノイズ低減素子11と第1電線WE1と第2電線WE2とを設置することによって、電線接続部材232の接点232bとノイズ低減素子11と電線接続部材242の接点242bとを第1電線WE1と第2電線WE2の軸線方向に沿って並列配置させる。そして、この例示のノイズフィルタ3においては、その第1筐体部材251に第2筐体部材252を組付ける。この例示のノイズフィルタ3においては、その第1筐体部材251と第2筐体部材252の組付けを完了させた後で、回路保護体220と介装部材260の組立体を収容室250aに収容して、ノイズ低減素子11の第2素子接続部と電線接続部材242の接点242bとの間に介在させる。
そこで、第2筐体部材252の閉塞壁体252aには、回路保護体220と介装部材260の組立体を収容室250aに挿入していく際の貫通孔(挿入口252f)を形成している(図19及び図25)。
また、介装部材260には、その収容室250aへと挿入する際に先頭となる先端部262に第1傾斜面262aと第2傾斜面262bを設けている(図21、図23及び図24)。第1傾斜面262aは、収容室250aへの挿入の途中でノイズ低減素子11の第2素子接続部に対向配置される壁面である。この第1傾斜面262aは、その挿入の途中で第2素子接続部に引っ掛からないように、先端に向かうほど第2素子接続部から離れていく傾斜となっている。第2傾斜面262bは、収容室250aへの挿入の途中で電線接続部材242の接点242bに対向配置される壁面である。この第2傾斜面262bは、その挿入の途中で接点242bに引っ掛からないように、先端に向かうほど接点242bから離れていく傾斜となっている。尚、その第1傾斜面262aと第2傾斜面262bは、各々、同様の機能を為す曲面等に置き換えてもよい。
また、このノイズフィルタ3においては、回路保護体220と介装部材260の組立体をノイズ低減素子11の第2素子接続部と電線接続部材242の接点242bとの間に嵌入させ、第1電気接続部221の片部221bを弾性変形させる。このノイズフィルタ3においては、その片部221bの弾発力を押圧力として利用して、電線接続部材232の接点232bとノイズ低減素子11の第1素子接続部とを互いに押し付け合わせ、かつ、ノイズ低減素子11の第2素子接続部と第1電気接続部221とを互いに押し付け合わせ、かつ、第2電気接続部222と電線接続部材242の接点242bとを互いに押し付け合わせる。つまり、このノイズフィルタ3においては、第1電気接続部221の片部221bを弾性変形させた状態のまま収容室250aに収容しておくことで、電線接続部材232の接点232bとノイズ低減素子11の第1素子接続部との間、ノイズ低減素子11の第2素子接続部と第1電気接続部221との間、第2電気接続部222と電線接続部材242の接点242bとの間の接触状態を保たせる。これを具現化すべく、第1筐体部材251には、電線接続部材232の接点232bの基部232b1を接点部232b2とは逆側から係止する第1係止部251fと、電線接続部材242の接点242bの基部242b1を接点部242b2とは逆側から係止する第2係止部251gと、を設けている(図19、図21及び図22)。その第1係止部251fと第2係止部251gは、ノイズ低減素子11の第2素子接続部と電線接続部材242の接点242bにおける接点部242b2との間隔が、回路保護体220と介装部材260の組立体における第1電気接続部221の片部221bの外側の露出面と第2電気接続部222の外側の露出面との間隔よりも狭くなるように形成する。
このノイズフィルタ3においては、電線接続部材232の接点232bと第1筐体部材251の第1係止部251fとで第1電気接続構造230が構成される。また、このノイズフィルタ3においては、回路保護体220と介装部材260と電線接続部材242の接点242bと第1筐体部材251の第2係止部251gとで第2電気接続構造240が構成される。
本変形例のノイズフィルタ3は、このような構成を採ることで、全ての部品の組付けが完了したときに、電線接続部材232の接点232bとノイズ低減素子11の第1素子接続部とが直接的に電気接続されるので、ノイズ低減素子11と第1電線WE1の中間接続部WEa1との間を間接的に電気接続させることができる。また、このノイズフィルタ3は、全ての部品の組付けが完了したときに、ノイズ低減素子11の第2素子接続部と第1電気接続部221とが直接的に電気接続され、かつ、第2電気接続部222と電線接続部材242の接点242bとが直接的に電気接続されるので、ノイズ低減素子11と第2電線WE2の中間接続部WEa2との間を間接的に電気接続させることができる。
例えば、このノイズフィルタ3は、第1電線WE1及び第2電線WE2と共に幹線WTに粘着テープ(図示略)等で固定して、その幹線WTに抱きかかえさせる。これにより、第1電線WE1と第2電線WE2へのノイズフィルタ3の取り付けが完了する。
以上示したように、本変形例のノイズフィルタ3は、自らに回路保護体220が設けられているので、第1電線WE1及び第2電線WE2に取り付けるだけで回路保護機能を持たせることができる。従って、本変形例のノイズフィルタ3は、回路保護機能を簡便な組付け作業で設けることができる。更に、本変形例のノイズフィルタ3は、回路保護体220と介装部材260の組立体を差し込み挿入して組み付けるだけの簡便な作業で、回路保護体220を組み付けることができる。従って、本変形例のノイズフィルタ3は、この点からも、回路保護機能を簡便な組付け作業で設けることができる。また、本変形例のワイヤハーネスWHは、そのようなノイズフィルタ3を具備するものであり、このノイズフィルタ3が得られる効果を奏することができる。
ところで、本変形例のノイズフィルタ3においては、そのような回路保護体220と介装部材260の組立体に変えて、回路保護体271をメッキ処理等で表面に施した介装部材272を用いてもよい(図26及び図27)。
介装部材272は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この介装部材272は、先の保持部261と先端部262に相当する本体272aと、第1電気接続部221の片部221bに相当する可撓部272bと、を有する。可撓部272bは、第1電気接続部221の片部221bと同様の弾性変形を可能にする部位であり、本体272aに片持ち状態で支持されている。回路保護体271は、可撓部272bの外側の表面に設けた第1電気接続部271a(図26)と、本体272aの外側の表面に設けた第2電気接続部271b(図27)と、その第1電気接続部271aと第2電気接続部271bとの間に設けた可溶部271c(図27)と、を有する。
本変形例のノイズフィルタ3及びワイヤハーネスWHは、このような回路保護体271が設けられた介装部材272に置き換えたとしても、先の例示と同様の効果を得ることができる。
また、本変形例のノイズフィルタ3においては、回路保護体220と介装部材260の組立体を図28に示す回路保護部品280に置き換えてもよい。
その回路保護部品280は、回路保護体281の可溶部(図示略)を内方に収める一方で、この回路保護体281の雄タブ状の第1電気接続部281aと第2電気接続部281bを外方に突出させる絶縁性の筐体282を備える。ここでは、その第1電気接続部281aと第2電気接続部281bを同一方向に向けて突出させ、かつ、第1電気接続部281aと第2電気接続部281bのそれぞれの平面に対する直交方向を同じ向きに合わせている。
この回路保護部品280は、挿入口252fから収容室250aに収容された際に、第1電気接続部281aと第2電気接続部281bのそれぞれの一方の平面をノイズ低減素子11の第2素子接続部に対向配置させ、第1電気接続部281aと第2電気接続部281bのそれぞれの他方の平面を電線接続部材242の接点242bに対向配置させる。この回路保護部品280においては、例えば、第1電気接続部281aの他方の平面と第2電気接続部281bの一方の平面を絶縁部283で覆い隠す。これにより、この回路保護部品280は、収容室250aに収容された際に、第1電気接続部281aの一方の平面のみをノイズ低減素子11の第2素子接続部に接触させ、かつ、第2電気接続部281bの他方の平面のみを電線接続部材242の接点242bに接触させることができる。
本変形例のノイズフィルタ3及びワイヤハーネスWHは、このような回路保護部品280に置き換えたとしても、先の例示と同様の効果を得ることができる。そして、このノイズフィルタ3及びワイヤハーネスWHは、例えば、既製品としての回路保護部品に絶縁部283を設けたものを回路保護部品280として用意することもできるので、汎用性を高めたり、原価の低減を図ったりすることができる。