JP7310290B2 - 細胞表面に存在するリン脂質に基づく血球の識別方法 - Google Patents
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Description
細胞表面に存在するリン脂質に占める特定のリン脂質の比率に基づき細胞を識別する方法であって、
前記特定のリン脂質が少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上であり、
前記細胞の識別が血液試料中に含まれる顆粒球と顆粒球以外の白血球との識別である、前記方法である。
細胞表面に存在するリン脂質の比率に基づき細胞を識別する方法であって、
前記リン脂質が少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上、ならびに少なくともホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)およびホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)から選ばれるいずれか一つ以上であり、
前記細胞の識別が血液試料中に含まれる白血球同士の識別である、前記方法である。
(1)スフィンゴミエリンの存在比率があらかじめ設定した基準値を下回る、
(2)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)の存在比率があらかじめ設定した基準値を上回る、
(3)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値があらかじめ設定した基準値を上回る。
(4)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)の存在比率があらかじめ設定した基準値を上回る、
(5)ホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)の存在比率があらかじめ設定した基準値を下回る、
(6)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)量をホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)量で除した値があらかじめ設定した基準値を上回る。
(i)細胞の識別が、顆粒球と顆粒球以外の白血球との識別の場合は、細胞膜を構成するリン脂質のうち、少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上であり、
(ii)細胞の識別が、白血球同士の識別の場合は、細胞膜を構成するリン脂質のうち、少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上、ならびに少なくともホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)およびホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)から選ばれるいずれか一つ以上である。
(i)少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上のリン脂質[顆粒球と顆粒球以外の白血球との識別の場合]、または
(ii)前記(i)のリン脂質、ならびに少なくともホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)およびホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)から選ばれるいずれか一つ以上のリン脂質[白血球同士の識別の場合]
の量をそれぞれ測定し、当該測定値から算出されるリン脂質の比率を解析することで、細胞を識別できる。なおリン脂質の比率を算出するには、二つ以上のリン脂質の量を測定する必要がある。したがって、測定するリン脂質は、
前記(i)の場合、少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上のリン脂質、ならびに他のリン脂質から一つ以上となり、
前記(ii)の場合、前記(i)の場合で測定するリン脂質に加え、少なくともホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)およびホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)から一つ以上、ならびに他のリン脂質から一つ以上となる。
前記(i)の場合は、ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値が、
前記(ii)の場合は、ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値、およびホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)量をホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)量で除した値が、
それぞれあげられる。
(1)スフィンゴミエリンの存在比率があらかじめ設定した基準値を下回る
(2)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)の存在比率があらかじめ設定した基準値を上回る
(3)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値があらかじめ設定した基準値を上回る
別の態様として、顆粒球以外の白血球表面に存在するリン脂質が、以下の(4)から(6)に示す、いずれか一つに該当した場合、前記白血球をリンパ球と識別すればよい。
(4)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)の存在比率があらかじめ設定した基準値を上回る
(5)ホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)の存在比率があらかじめ設定した基準値を下回る
(6)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)量をホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)量で除した値があらかじめ設定した基準値を上回る
前記基準値は、
(1)スフィンゴミエリンの存在比率で識別する場合は、80.0%前後に基準値を設ければよい。
(2)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)の存在比率で識別する場合は、20.0%前後に基準値を設ければよい。
(3)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値で識別する場合は、0.25前後に基準値を設ければよい。
(4)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)の存在比率で識別する場合は、95.0%前後に基準値を設ければよい。
(5)ホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)の存在比率で識別する場合は、5.0%前後に基準値を設ければよい。
(6)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)量をホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)量で除した値で識別する場合は、22.0前後に基準値を設ければよい。
(1)インフォームドコンセントを取得した健常者血液から、下記[a]のキットを用いてリンパ球を、下記[b]のキットを用いて単球を、下記[c]のキットを用いて好中球を、それぞれ分離した。
[a]EasySep Direct Human total Lymphocyte isolation kit(ST-19655、ベリタス社製)
[b]EasySep Direct Human Monocyte isolation kit(ST-19669、ベリタス社製)
[c]EasySep Direct Human Neutrophil isolation kit(ST-19666、ベリタス社製)
(2)(1)で分離したリンパ球、単球および好中球を、300mMマンニトールを含む水溶液にそれぞれ添加し、前記溶液でそれぞれ2×105個/mLに調製した。
(1)実施例1において、マトリックス溶液として9-Aminoacridine(9-AA)を含む水溶液を用いた他は、実施例1(1)から(3)と同様な方法で、細胞測定試料を作製した。
リンパ球、単球および好中球におけるPC(18:0/18:4)ならびにSMのピーク強度(量に相当)からそれぞれ算出される、PC(18:0/18:4)の存在比率が、リンパ球または単球における比率よりも増加しているか、
同様に前記ピーク強度からそれぞれ算出される、SMの存在比率が、リンパ球または単球における比率よりも減少しているか、
PC(18:0/18:4)の存在比率(量)をSMの存在比率(量)で除した値が、リンパ球または単球における値よりも増加していると、好中球であると識別できる。
リンパ球および単球におけるPI(18:0/20:4)ならびにPI(16:0/18:0)のピーク強度(量に相当)からそれぞれ算出される、PI(18:0/20:4)の存在比率が、単球における比率よりも増加しているか、
同様に前記ピーク強度からそれぞれ算出される、PI(16:0/18:0)の存在比率が、単球における比率よりも減少しているか、
PI(18:0/20:4)の存在比率(量)をPI(16:0/18:0)の存在比率(量)で除した値が、単球における値よりも増加していると、リンパ球であると識別できる。
実施例1から2で取得したデータに基づき、白血球(リンパ球、単球および好中球)のそれぞれのbox plotを作成した。
Claims (7)
- 細胞表面に存在するリン脂質に占める特定のリン脂質の比率に基づき細胞を識別する方法
であって、
前記特定のリン脂質が少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上であり、
前記細胞の識別が血液試料中に含まれる好中球とリンパ球および/または単球との識別である、前記方法。 - リン脂質の比率が、ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値である、請求項1に記載の方法。
- 細胞表面に存在するリン脂質の比率に基づき細胞を識別する方法であって、
前記リン脂質が少なくともスフィンゴミエリンおよびホスファチジルコリン(18:0/18:4)から選ばれるいずれか一つ以上、ならびに少なくともホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)およびホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)から選ばれるいずれか一つ以上であり、
前記細胞の識別が血液試料中に含まれる好中球、リンパ球および単球間の識別である、前記方法。 - リン脂質の比率が、ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値、およびホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)量をホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)量で除した値である、請求項3に記載の方法。
- 好中球、単球、リンパ球からなる白血球表面に存在するリン脂質の比率が、以下の(1)から(3)に示す、いずれか一つに該当した場合、前記白血球を好中球と識別する方法:
(1)スフィンゴミエリンの存在比率があらかじめ設定した基準値を下回る、
(2)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)の存在比率があらかじめ設定した基
準値を上回る、
(3)ホスファチジルコリン(18:0/18:4)量をスフィンゴミエリン量で除した値があらかじめ設定した基準値を上回る。 - 単球、リンパ球からなる白血球表面に存在するリン脂質が、以下の(4)から(6)に示す、いずれか一つに該当した場合、前記白血球をリンパ球と識別する方法:
(4)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)の存在比率があらかじめ設定した基準値を上回る、
(5)ホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)の存在比率があらかじめ設定した基準値を下回る、
(6)ホスファチジルイノシトール(18:0/20:4)量をホスファチジルイノシトール(16:0/18:0)量で除した値があらかじめ設定した基準値を上回る。 - 細胞表面に存在するリン脂質の測定を質量分析計を用いて行なう、請求項1から6のいず
れかに記載の方法。
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JP2017191056A (ja) | 2016-04-14 | 2017-10-19 | 株式会社島津製作所 | 質量分析を用いた多成分一斉分析方法及び多成分一斉分析用プログラム |
JP2019009058A (ja) | 2017-06-28 | 2019-01-17 | 株式会社島津製作所 | 質量分析を用いた脂質解析方法及び質量分析装置 |
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