本開示に係る車両用灯具の一実施形態に係る実施例1の車両用灯具10を、図1から図3を用いて説明する。実施例1の車両用灯具10は、自動車等の車両の灯具として用いられるもので、例えば、ヘッドランプやフォグランプ等に用いられる。車両用灯具10は、車両の前部の左右両側に配置され、ランプハウジングの開放された前端がアウターレンズで覆われて形成される灯室に、上下方向用光軸調整機構や左右方向用光軸調整機構を介して設けられる。以下の説明では、車両用灯具10において、車両の直進時の進行方向であって光を照射する方向を光軸方向(図面ではZとする)とし、車両に搭載された状態での上下方向を上下方向(図面ではYとする)とし、光軸方向および上下方向に直交する方向を幅方向(図面ではXとする)とする。
車両用灯具10は、図1および図2に示すように、光源部11と第1部材12とシェード13と第2部材14と投影レンズ15と放熱部材16とを備え、プロジェクタタイプの前照灯ユニットを構成する。車両用灯具10は、光源部11、第2部材14、シェード13および第1部材12の順で、上下方向の上側から放熱部材16に載せられるとともに、第1部材12と第2部材14とに投影レンズ15が保持されて構成される。
その光源部11は、図2および図3に示すように、第1光源17および第2光源18が基板19に実装される。第1光源17および第2光源18は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成される。第1光源17および第2光源18は、投影レンズ15のレンズ軸Laよりも上下方向の下側で光軸方向に並んで設けられ、第2光源18が前側(投影レンズ15側)とされている。実施例1の第1光源17および第2光源18は、基板19上でのそれぞれの光軸方向での位置において、複数の発光素子が幅方向に整列されて構成されている。基板19には、光軸方向の両端部で対を為して、上下方向に貫通する取付穴19aが設けられている。
基板19は、放熱部材16の上面(光源設置部41)に設置される。これにより、第1光源17および第2光源18は、基板19を介して放熱部材16に位置決めされた状態で取り付けられて、光の出射光軸(光軸方向)が略上下方向となるように配置される。基板19は、点灯制御回路からの電力を適宜供給して、第1光源17および第2光源18を適宜一斉にまたは個別に点灯させる。
第1部材12は、車両用灯具10における上部を形成するものであり、第1リフレクタ21と第1フレーム部22と第1レンズ保持部23と第1取付板部24とを有する。第1リフレクタ21は、第1光源17および後述する第2リフレクタ31を覆っており、その第1光源17に対向する第1反射面25を有する。第1反射面25は、第1光源17から出射した光を投影レンズ15へ向けて反射する。第1反射面25は、第1リフレクタ21において第1光源17と対向する内側面に、蒸着や塗装等によりアルミや銀等の反射部材を接着させることで形成される。第1反射面25は、第1光源17を第1焦点とするとともにシェード13の前縁部13dの近傍を第2焦点とする楕円を基本とした自由曲面とされている。
第1フレーム部22は、第1リフレクタ21の光軸方向の前側に連続して設けられ、レンズ軸Laと間隔を置いてそのレンズ軸Laを取り巻くように湾曲されている。第1フレーム部22は、第1リフレクタ21(第1反射面25)と投影レンズ15との間隔を光学的に適切なものとする。第1フレーム部22には、幅方向の両側で対を為して突出箇所26が設けられ、その各突出箇所26に第1固定穴27が設けられている。両第1固定穴27は、放熱部材16に対して、第1部材12を位置決めしつつ固定する。両第1固定穴27は、投影レンズ15の焦点Fよりも光軸方向において焦点Fよりも前側の近傍であってかつ上下方向でレンズ軸Laの近傍に設けられており(図3参照)、突出箇所26を上下方向に貫通して形成されている。
第1レンズ保持部23は、第1フレーム部22の光軸方向の前側に連続して設けられ、投影レンズ15の上側を保持する。第1レンズ保持部23は、レンズ軸Laを中心とした円筒状の略上半分となる半円筒状とされ、その周方向に延びる保持溝23aを有する。この保持溝23aは、投影レンズ15のフランジ部15bを受け入れるものであり、図3に部分的に拡大して示すように、幅寸法(光軸方向での寸法)を漸次的に狭くする一対の傾斜面23bが設けられている。
第1取付板部24は、両第1固定穴27と協働して、第1部材12を放熱部材16に取り付ける。第1取付板部24は、第1リフレクタ21の光軸方向の後側であって幅方向の両側に延びる板状とされ、幅方向の両端部で対を為して第1取付穴28が設けられている(図2参照)。両第1取付穴28は、第1取付板部24を上下方向に貫通して形成されている。
シェード13は、第1光源17から出射された光の一部を遮光してすれ違い用配光パターンのカットオフラインを形成する。シェード13は、上下方向で第1部材12と第2部材14との間であって、光軸方向で第1リフレクタ21と投影レンズ15との間に設けられている。シェード13は、上下方向に直交する薄い板状部材で形成され、カットオフラインを形成するシェード本体部13aと、放熱部材16への固定のための一対の固定部13bと、を有する。シェード本体部13aは、高さの異なる2つの水平エッジが傾斜エッジで繋ぎ合わされた形状とされて幅方向に延びている。各固定部13bは、シェード本体部13aから光軸方向の前側に延びており、ネジ穴13cが設けられている。シェード13は、各固定部13bが放熱部材16に固定されると、シェード本体部13aが上下方向に直交しつつレンズ軸Laを含む水平面上において幅方向に延びる状態で配置される(図3参照)。その状態において、シェード13は、シェード本体部13aの前縁部13dが第1リフレクタ21および投影レンズ15の焦点Fまたはその近傍に位置するように配置される(図3参照)。
シェード13は、第1光源17から出射されて第1リフレクタ21の第1反射面25で反射された光の一部をシェード本体部13aの前縁部13dで遮る(遮光する)ことで、すれ違い用配光パターンの上縁に2つの水平ラインを傾斜ラインで繋ぎ合わせたカットオフラインを形成する。また、シェード13は、シェード本体部13aが光を遮ることで、上記した水平面で光を遮る。
第2部材14は、第1部材12と上下方向に重ね合わされるものであり、第2リフレクタ31と第2フレーム部32と第2レンズ保持部33と第2取付板部34とを有する。第2リフレクタ31は、光軸方向で第1反射面25および第1光源17よりも前側でかつ投影レンズ15の焦点Fよりも後側であって、上下方向でレンズ軸Laよりも下方に設けられている(図3参照)。第2リフレクタ31は、第2光源18を覆っており、その第2光源18に対向する第2反射面35を有する。第2反射面35は、第2光源18から出射した光を投影レンズ15へと反射する。第2反射面35は、第2リフレクタ31において第2光源18と対向する内側面に、蒸着や塗装等によりアルミや銀等の反射部材を接着させることで形成される。第2反射面35は、第2光源18を第1焦点とするとともにシェード13の前縁部13dの近傍を第2焦点とする楕円を基本とした自由曲面とされている。
第2リフレクタ31には、第2反射面35の上端位置に遮光壁部36が設けられている。遮光壁部36は、上下方向に直交する平板状とされ、レンズ軸Laと重なる位置に設けられている。遮光壁部36は、シェード13が放熱部材16に固定されると、そのシェード本体部13aの後縁部13eに前後方向の前側の前縁部36aが上側から接触される位置関係とされている。遮光壁部36は、第2リフレクタ31(その第2反射面35)の光軸方向の前側において、レンズ軸Laを含む水平面で光を遮るすなわちその水平面を上下方向に光が通過することを防止する。
第2フレーム部32は、第2リフレクタ31の光軸方向の前側に連続するとともに、幅方向で間隔を置きつつ対を為して設けられ、第2リフレクタ31(第2反射面35)と投影レンズ15との間隔を適切なものとする。各第2フレーム部32は、上下方向におけるレンズ軸Laの近傍において上下方向に直交する平坦な板状とされており、放熱部材16に対して第2部材14を位置決めしつつ固定する機能を有する。この第2フレーム部32は、第2部材14における中央部に、レンズ軸Laを含む水平面を上下方向へと貫通する空間を形成している。各第2フレーム部32には、上下方向の下側に突出して突出箇所37が設けられ、その各突出箇所37に第2固定穴38が設けられている。両第2固定穴38は、投影レンズ15の焦点Fよりも前側の近傍であってかつ上下方向でレンズ軸Laの近傍において、第2フレーム部32から突出箇所37を上下方向に貫通して形成されている。
第2レンズ保持部33は、第2フレーム部32の光軸方向の前側に連続して設けられ、投影レンズ15の下側を保持する。第2レンズ保持部33は、レンズ軸Laを中心とした円筒状の略下半分となる半円筒状とされ、その周方向に延びる保持溝33aを有する。この保持溝33aは、投影レンズ15のフランジ部15bを受け入れるものであり、第1レンズ保持部23の保持溝23aと同様の構成とされて一対の傾斜面33bが設けられている。実施例1の第2レンズ保持部33は、第2フレーム部32よりも上下方向の下側へと変位されており、第1部材12の第1レンズ保持部23とは接しない、すなわち第1レンズ保持部23との間に空間を形成するものとされている(図1等参照)。
第2取付板部34は、両第2固定穴38と協働して、第2部材14を放熱部材16に取り付ける。第2取付板部34は、第2リフレクタ31の光軸方向の後側であって幅方向の両側に延びる板状とされ、幅方向の両端部で対を為して第2取付穴39が設けられている(図2参照)。両第2取付穴39は、第2取付板部34を上下方向に貫通して形成されている。この第2取付板部34は、第1部材12および第2部材14が放熱部材16に取り付けられた状態において、光軸方向で第1取付板部24と並列されるように大きさおよび位置が設定されている(図1、図3参照)。
投影レンズ15は、光軸方向で見て円形状の凸レンズとされたレンズ本体部15aと、その周辺を取り巻くフランジ部15bと、を備える。レンズ本体部15aは、実施例1では出射面15cが凸面とされるとともに入射面15dが平坦面とされている。なお、入射面15dは、レンズ本体部15a(投影レンズ15)を凸レンズとするものであれば、凸面でもよく凹面でもよく、実施例1の構成に限定されない。投影レンズ15(レンズ本体部15a)は、光軸方向に延びるレンズ軸Laを有する。そのレンズ軸Laは、レンズ本体部15aにおいて光軸方向での厚さが最も大きい位置を通る光学的な軸線であり、レンズ軸Laの延びる方向が光軸方向と平行と(一致)されている。
レンズ本体部15aは、光軸方向の後側の焦点となる焦点Fを、シェード13の前縁部13dの近傍に設定させている。レンズ本体部15aは、第1光源17から出射されて第1リフレクタ21の第1反射面25で反射されてシェード13により遮られずに進行する光を車両の前方へ投影して、すれ違い用配光パターンを形成する。また、レンズ本体部15aは、第2光源18から出射されて第2リフレクタ31の第2反射面35で反射された光を車両の前方へ投影して、走行用配光パターンを形成する。
フランジ部15bは、レンズ本体部15aからレンズ軸Laを中心とする放射方向に突出しており、レンズ軸Laを中心する周方向で全周に亘り設けられている。フランジ部15bは、第1部材12の第1レンズ保持部23の保持溝23aおよび第2部材14の第2レンズ保持部33の保持溝33aに嵌め入れることが可能とされている。フランジ部15bは、図3に部分的に拡大して示すように、厚さ寸法(光軸方向での寸法)が、保持溝23aおよび保持溝33aより小さくされている。また、フランジ部15bは、先端部に、厚さ寸法を漸次的に小さくする一対の傾斜面15eが設けられている。
放熱部材16は、第1光源17および第2光源18で発生する熱を外部に逃がすヒートシンク部材であり、熱伝導性を有するアルミダイカストや樹脂で形成される。この放熱部材16は、光源部11(その基板19)が設置される光源設置部41と、第1部材12および第2部材14が設置される部材設置部42と、第1部材12とシェード13と第2部材14とが固定される固定部43と、を有する。
光源設置部41は、上下方向に直交する平坦面とされ、光源部11の基板19を宛がうことのできる大きさとされている。光源設置部41には、光軸方向の両端で対を為す取付穴44が設けられている。両取付穴44は、上下方向に延びるネジ穴とされている。
部材設置部42は、光源設置部41を取り囲みつつ上下方向に直交する平坦面とされ、第1部材12の第1取付板部24と第2部材14の第2取付板部34とを光軸方向に並列させた状態で宛がうことのできる大きさとされている(図1、図3参照)。部材設置部42には、光軸方向の後側の端部において幅方向で対を為す第1取付穴45と、各第1取付穴45よりも光軸方向の前側において幅方向で対を為す第2取付穴46と、が設けられている(図2参照)。両第1取付穴45と両第2取付穴46とは、上下方向に延びるネジ穴とされている。
固定部43は、部材設置部42の光軸方向の前側の端部において、幅方向の両側で対を為して設けられた固定腕47を有する。両固定腕47は、部材設置部42から光軸方向の前側の斜め上方へ向けて突出しており、その先端に固定面48が設けられている。両固定面48は、上下方向に直交する平坦面とされ、上下方向でレンズ軸Laと略等しい位置とされている。各固定面48には、固定穴49が設けられている。各固定穴49は、光軸方向で投影レンズ15(レンズ本体部15a)の焦点Fの近傍で、対応する固定面48に対して上下方向に延びるネジ穴とされている。このため、固定部43は、光源設置部41の光軸方向の前側を開放しつつ、焦点Fの近傍でレンズ軸La近傍での第1部材12とシェード13と第2部材14との固定を可能としている。
この車両用灯具10は、図2を参照して以下のように組み付けられる。先ず、基板19に第1光源17および第2光源18が基板19に実装される。その基板19は、上方から放熱部材16の光源設置部41に宛がわれ、2つのネジ部材51が基板19の取付穴19aに通された後に光源設置部41の取付穴44に捻じ込まれることで、光源設置部41に取り付けられる。これにより、第1光源17および第2光源18は、位置決めした状態で放熱部材16に取り付けられる。
その後、各第2取付穴39を各第2取付穴46に合わせて第2取付板部34を部材設置部42に宛がうとともに、各第2固定穴38を各固定穴49に合わせて各第2フレーム部32の突出箇所37を固定部43の各固定腕47の固定面48に宛がって、第2部材14を放熱部材16の上に載せる。次に、各ネジ穴13cを各第2固定穴38に合わせて、シェード13の各固定部13bを第2部材14の各固定面48上に載せるとともに、第2レンズ保持部33の保持溝33aに投影レンズ15のフランジ部15bの下側を挿入する。このとき、シェード13は、シェード本体部13aの後縁部13eが、第2リフレクタ31(その第2反射面35)に設けられた遮光壁部36の前縁部36aに接触される。次に、各第1取付穴28を各第1取付穴45に合わせて第1取付板部24を部材設置部42に宛がうとともに、各第1固定穴27を各ネジ穴13cに合わせて第1フレーム部22の突出箇所26を固定部13bに宛がって、第1部材12をシェード13の上に載せる。このとき、第1レンズ保持部23の保持溝23aに、投影レンズ15のフランジ部15bの上側を挿入する。これにより、投影レンズ15は、第1部材12の第1レンズ保持部23と、第2部材14の第2レンズ保持部33と、により、上下方向に挟まれて保持される。
ここで、第1レンズ保持部23の保持溝23aには2つの傾斜面23bが、第2レンズ保持部33の保持溝33aには2つの傾斜面33bが、投影レンズ15のフランジ部15bには2つの傾斜面15eが、それぞれに光軸方向で対を為して設けられている。また、フランジ部15bの光軸方向での寸法(厚さ寸法)が、保持溝23aおよび保持溝33aの光軸方向での寸法(幅寸法)よりも小さくされている。これらのことから、投影レンズ15は、第1レンズ保持部23および第2レンズ保持部33に対する光軸方向での位置が適切なものとされる。特に、第1レンズ保持部23と第2レンズ保持部33との間に空間を形成する構成としているため、各突出箇所26と各突出箇所37とが固定された箇所よりも光軸方向の前側において、投影レンズ15を上下方向で挟んでいる以外では接していない。これにより、投影レンズ15は、そのフランジ部15bの両傾斜面15eを、各保持溝23a、33aの各傾斜面23b、33bに確実に当てることができ、両傾斜面15eおよび各傾斜面23b、33bによる位置決めを確実なものにできる。
その後、上下方向の上側から、一対のネジ部材52を、各第1固定穴27、各ネジ穴13cおよび各第2固定穴38を通して、固定部43の各固定腕47の固定面48の固定穴49に捻じ込む。次に、上下方向の上側から、一対のネジ部材53を、各第1取付穴28を通して各第1取付穴45に捻じ込むとともに、一対のネジ部材54を、各第2取付穴39を通して各第2取付穴46に捻じ込む。これにより、上下方向の上側から順に、第1部材12とシェード13と第2部材14とが放熱部材16に取り付けられるとともに、その第1部材12と第2部材14との間に投影レンズ15が保持されて、車両用灯具10が組み付けられる。
次に、この車両用灯具10の動作について、図3を用いて説明する。この車両用灯具10は、灯室に設けられて、コネクタ接続部を介して光源部11に外部コネクタが接続される。車両用灯具10は、外部コネクタおよびコネクタ接続部を介する点灯制御回路から光源部11(その第1光源17および第2光源18)へと電力を供給することで、第1光源17および第2光源18を適宜点灯および消灯することができる。
車両用灯具10は、点灯制御回路からの電力を基板19から第1光源17に供給することで、第1光源17を適宜点灯させる。第1光源17から出射された光は、第1リフレクタ21の第1反射面25で反射されて、遮光壁部36を含む第2リフレクタ31およびシェード13(シェード本体部13a)の上側を通り、焦点Fの近傍を経て、レンズ軸Laよりも下側で投影レンズ15の入射面15dに入射する。このとき、第1光源17からの光は、一部がシェード本体部13aで遮光されて前縁部13dに沿った形状とされ、投影レンズ15により投影されることで、上縁にカットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを形成する。
また、車両用灯具10は、点灯制御回路からの電力を基板19から第2光源18に供給することで、第2光源18を適宜点灯させる。第2光源18から出射された光は、第2リフレクタ31の第2反射面35で反射されて、遮光壁部36を含む第2リフレクタ31およびシェード13(シェード本体部13a)の下側を通り、焦点Fの近傍を経て、レンズ軸Laよりも上側で投影レンズ15の入射面15dに入射する。このとき、放熱部材16では、固定部43が光源設置部41の光軸方向の前側を開放しており、第2フレーム部32では、第2部材14における中央部にレンズ軸Laを含む水平面を上下方向へと貫通する空間を形成しているので、第2光源18からの光が上記したように進行することを可能としている。この光は、投影レンズ15により投影されることで、すれ違い用配光パターンの上端部に下端部を重ねて走行用配光パターンを形成する。
実施例1の車両用灯具10は、ADB(Adaptive Driving Beam(配光可変型前照灯))とされており、第2光源18における複数の発光素子を点灯すると、それぞれの光が走行用配光パターンを幅方向に分割した配光部分を形成する。このため、車両用灯具10は、第2光源18の各発光素子を個別に点灯および消灯することで、複数の配光部分のうちの特定の方向の配光部分を点消灯でき、走行用配光パターンにおける任意の方向の部分的な点消灯を可能としている。
このように、車両用灯具10は、第1光源17を点灯することで、カットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを形成でき、すれ違い時の配光(所謂ロービーム)とすることができる。また、車両用灯具10は、第1光源17に加えて第2光源18を点灯することで、すれ違い用配光パターンに部分的に重ねて走行用配光パターンを形成でき、走行時の配光(所謂ハイビーム)とすることができる。そして、車両用灯具10は、第2光源18の各発光素子のうち、任意の配光部分に対応する発光素子を点消灯させることで、対応する配光部分のみを選択的に形成することができ、ADBの機能を実現できる。
次に、この車両用灯具10の作用について説明する。車両用灯具10は、光軸方向で第1リフレクタ21(第1反射面25)よりも前側に第2リフレクタ31(第2反射面35)を設けるとともに、第2リフレクタ31をレンズ軸Laよりも下側に位置させて第1リフレクタ21で第2リフレクタ31を覆うものとしている。このため、車両用灯具10は、第1光源17から出射されて第1リフレクタ21で反射した光を、第2リフレクタ31の周囲からシェード13の上側を通り焦点Fを経て、投影レンズ15に入射させることができる。また、車両用灯具10は、第2光源18から出射されて第2リフレクタ31で反射した光を、シェード13の下側を通り焦点Fを経て、投影レンズ15のレンズ軸Laよりも上側へと入射させることができる。これらのことから、車両用灯具10は、同一平面上に第1光源17と第2光源18とを設けつつ、各光源17、18から出射された光をそれぞれ投影レンズ15から前方へと投影させることができ、第1光源17ですれ違い用配光パターンを形成するとともに第2光源18で走行用配光パターンを形成することができる。これにより、車両用灯具10は、両光源17、18が取り付けられる箇所(実施例1では光源設置部41)を平坦にでき、両光源17、18が取り付けられる部材(実施例1では放熱部材16)の形状を簡易なものにできる。よって、車両用灯具10は、第1光源17および第2光源18を設置する設置個所(放熱部材16)の形状を簡易にできるとともに、その第1光源17および第2光源18を同一の基板19に設けることができ、簡易な構成にできる。
また、車両用灯具10は、第2リフレクタ31(第2反射面35)の前端に遮光壁部36が設けられるとともに、その前縁部36aにシェード本体部13aの後縁部13eが接触してシェード13が設けられている。そのシェード本体部13aは、前縁部13dが投影レンズ15の焦点Fの近傍とされてレンズ軸Laを含む水平面上に設けられ、遮光壁部36は、その後側で同じく水平面上に設けられている。このため、車両用灯具10は、光軸方向で投影レンズ15の焦点Fと第2リフレクタ31(第2反射面35)との間において、シェード13および遮光壁部36により、レンズ軸Laを含む水平面で光を遮ることができる。このことから、車両用灯具10では、シェード13と遮光壁部36とが、光軸方向(レンズ軸Laの延びる方向)で投影レンズ15の焦点と第2リフレクタ31との間における遮光部として機能する。
これにより、車両用灯具10は、第1光源17から出射されて第1リフレクタ21(第1反射面25)で反射した光を、焦点Fを含む焦点面(像面)における焦点Fよりも上側を通らせることができる。このため、車両用灯具10は、第1光源17からの光が、走行用配光パターンを形成する領域(投影面上でレンズ軸La(水平線)よりも上側)における不測の位置に投影されることを確実に防止でき、すれ違い用配光パターンを適切に形成できる。また、車両用灯具10は、第2光源18から出射されて第2リフレクタ31(第2反射面35)で反射した光を、焦点Fを含む焦点面における焦点Fよりも下側を通らせることができる。このため、車両用灯具10は、第2光源18からの光が、すれ違い用配光パターンを形成する領域(投影面上でレンズ軸La(水平線)よりも下側)における不測の位置に投影されることを確実に防止でき、走行用配光パターンを適切に形成できる。
さらに、車両用灯具10は、第1リフレクタ21が設けられるとともに投影レンズ15の上部を位置決めして保持する第1部材12と、第2リフレクタ31が設けられるとともに投影レンズ15の下部を位置決めして保持する第2光源18と、を用いている。そして、車両用灯具10は、一対のネジ部材52の各固定穴49への捻じ込みにより、第1部材12とシェード13と第2部材14との3つの部材を位置決めした状態で放熱部材16に固定する。このため、車両用灯具10は、同じく放熱部材16に取り付けられた第1光源17および第2光源18とともに、第1リフレクタ21や第2リフレクタ31やシェード13や投影レンズ15の互いの位置関係を、簡単な取付作業で適切なものにできる。特に、実施例1の車両用灯具10は、放熱部材16に対して、第1光源17および第2光源18が実装された基板19に対して両ネジ部材51を上側から通して捻じ込むことができるとともに、第1部材12とシェード13と第2部材14と投影レンズ15とを上側から載せた状態で、各ネジ部材(52から54)を上側から通して捻じ込むことができる。このため、実施例1の車両用灯具10は、全ての組み付け作業を放熱部材16の上側から行うことができ、組み付け工程を簡易なものにできる。
加えて、車両用灯具10は、第1部材12とシェード13と第2部材14とを放熱部材16に固定する両ネジ部材52が捻じ込まれる各固定穴49を、光軸方向で投影レンズ15(レンズ本体部15a)の焦点Fの近傍に設けている。このため、車両用灯具10は、光軸方向において、長尺な第1部材12や第2部材14の中心の近傍で両部材(12、14)を放熱部材16に固定でき、両部材(12、14)を安定して放熱部材16に固定できる。
実施例1の車両用灯具10は、基板19を介して第1光源17および第2光源18を放熱部材16の光源設置部41に取り付けている。ここで、一般的にヒートシンクでは、熱源から放射状に熱が伝達するので、熱源を中心とする同心球状に大きな体積となる箇所を確保することで冷却性能を高めることができる。車両用灯具10は、放熱部材16の光源設置部41を平坦にしているので、光源設置部41に段差を設けることと比較して、段差に起因して部分的に欠けたりすることなく第1光源17および第2光源18のそれぞれの下方に大きな体積を有する同心球状の箇所の確保が容易となる。このため、車両用灯具10は、放熱部材16において第1光源17および第2光源18のそれぞれに対して熱伝達させるための体積を確保することができ、第1光源17や第2光源18を適切に冷却できる。
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具10は、第1光源17から出射されて第1リフレクタ21で反射された光を投影してすれ違い用配光パターンを形成するとともに、第2光源18から出射されて第2リフレクタ31で反射された光を投影して走行用配光パターンを形成する投影レンズ15を備える。そして、車両用灯具10は、第1光源17と第2光源18とをレンズ軸Laよりも下側の同一平面に設け、第2リフレクタ31をレンズ軸Laよりも下側であって第1リフレクタ21よりも光軸方向(レンズ軸Laの方向)の前側に設けている。このため、車両用灯具10は、第1光源17および第2光源18を同一平面上に設けても、第1光源17から出射されて第1リフレクタ21で反射された光と、第2光源18から出射されて第2リフレクタ31で反射された光と、を投影レンズ15に入射させることができる。これにより、車両用灯具10は、第1光源17および第2光源18を設置する設置個所(実施例1では一例として放熱部材16の光源設置部41)の形状を簡易にできるとともに、その第1光源17および第2光源18を同一の基板19に設けることができ、簡易な構成にできる。
車両用灯具10は、光軸方向で投影レンズ15の焦点Fと第2リフレクタ31との間において、レンズ軸Laを含む水平面で光を遮る遮光部(実施例1ではシェード13および遮光壁部36)を設けている。このため、車両用灯具10は、第1光源17からの光が走行用配光パターン側を照射したり第2光源18からの光がすれ違い用配光パターン側を照射したりすることを防止でき、すれ違い用配光パターンや走行用配光パターンを適切に形成できる。
車両用灯具10は、光軸方向に沿って延びる板状部材であって、第1光源17から出射された光の一部を遮光してすれ違い用配光パターンにおけるカットオフラインを形成するシェード13を備える。また、車両用灯具10は、第1光源17から出射された光が、シェード13の上側を通って投影レンズ15におけるレンズ軸Laよりも下側に入射し、第2光源18から出射された光が、シェード13の下側を通って投影レンズ15におけるレンズ軸Laよりも上側に入射する。このため、車両用灯具10は、第1光源17からの光の光路と第2光源18からの光の光路とをシェード13の上下に分けて形成しているので、効率よく空間を利用しつつすれ違い用配光パターンや走行用配光パターンを適切に形成できる。
車両用灯具10は、シェード13が遮光部の少なくとも一部を形成している。このため、車両用灯具10は、カットオフラインを形成するシェード13を利用して遮光部の少なくとも一部を形成しているので、シェード13を兼用させることができ、簡易な構成にできる。
車両用灯具10は、第1リフレクタ21が設けられて投影レンズ15まで延びる第1部材12と、第2リフレクタ31が設けられて投影レンズ15まで延びる第2部材14と、第1光源17と第2光源18とが固定される放熱部材16と、を備える。そして、車両用灯具10は、第1部材12とシェード13と第2部材14とは、共通の固定部材(実施例1では一対のネジ部材52)により放熱部材16に固定されている。このため、車両用灯具10は、組み付け作業を簡易なものとしつつ、第1光源17と第2光源18と第1リフレクタ21と第2リフレクタ31とシェード13との互いの位置関係を適切なものにできる。
車両用灯具10は、共通の固定部材としてのネジ部材52を、光軸方向で焦点Fの近傍に設けている。このため、車両用灯具10は、光軸方向において、長尺な第1部材12や第2部材14の中心の近傍で両部材(12、14)を放熱部材16に固定でき、両部材(12、14)を安定して放熱部材16に固定できる。
車両用灯具10は、第1部材12と第2部材14とで挟むことで投影レンズ15を保持している。このため、車両用灯具10は、組み付け作業を簡易なものとしつつ、第1光源17と第2光源18と第1リフレクタ21と第2リフレクタ31とシェード13とに対する投影レンズ15の位置関係を適切なものにできる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、簡易な構成としつつすれ違い用配光パターンおよび走行用配光パターンを形成できる。
次に、本開示の一実施形態である実施例2の車両用灯具10Aについて、図4から図6を用いて説明する。車両用灯具10Aは、実施例1の車両用灯具10の第1部材12および第2部材14における構成を変更したものである。車両用灯具10Aは、基本的な概念および構成が実施例1の車両用灯具10と同様であるので、等しい構成の個所には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施例2の車両用灯具10Aは、第1部材12Aにおいて、第1レンズ保持部23Aの先端(光軸方向前側の端部)に上側レンズ部61を設けている。この上側レンズ部61は、投影レンズ15Aにおける上下方向でレンズ軸Laよりも上側となる上部を構成するもので、光軸方向の前側から見て半円状とされている。上側レンズ部61は、下側の端部がレンズ軸Laを含む平坦な上側分割面61aとされている。
また、車両用灯具10Aは、第2部材14Aにおいて、第2レンズ保持部33Aの先端(光軸方向前側の端部)に下側レンズ部62を設けている。この下側レンズ部62は、投影レンズ15Aにおける上下方向でレンズ軸Laよりも下側となる下半分を構成するもので、光軸方向の前側から見て半円状とされている。下側レンズ部62は、上側の端部がレンズ軸Laを含む平坦な下側分割面62aとされている。
そして、車両用灯具10Aは、第1部材12Aおよび第2部材14Aを、同一の透明な樹脂でそれぞれ形成している。その第1部材12Aは、第1リフレクタ21や第1フレーム部22や第1取付板部24とともに、第1レンズ保持部23Aと一体的に上側レンズ部61を設けている。第1部材12Aでは、透明な樹脂で形成することに伴い、第1リフレクタ21の第1反射面25以外であっても、第1光源17からの光が漏れる虞がある箇所に、適宜蒸着や塗装等によりアルミや銀等の反射部材を接着させて光を反射させるものとしたり、遮光部材を接着させて光の透過を防止するものとしたりする。
また、第2部材14Aは、第2リフレクタ31や第2フレーム部32や第2取付板部34とともに、第2レンズ保持部33Aと一体的に下側レンズ部62を設けている。第2部材14Aでは、透明な樹脂で形成することに伴い、第2リフレクタ31の遮光壁部36に、適宜蒸着や塗装等によりアルミや銀等の反射部材を接着させて光を反射させるものとしたり、遮光部材を接着させて光の透過を防止するものとしたりする。これにより、遮光壁部36を含む遮光部によりレンズ軸Laを含む水平面を上下方向に光が通過することを防止でき、例えば、第1光源17からの光が第2リフレクタ31の後側から第2反射面35へ向かい反射された場合のように、制御対象以外の光でも走行用配光パターン側を照射することを防止できる。また、第2部材14Aでは、第2反射面35や遮光壁部36以外であっても、第2光源18からの光が漏れる虞がある箇所を、第1部材12Aと同様に、光を反射させるものとしたり、光の透過を防止するものとしたりする。
次に、この車両用灯具10Aの組み付けおよび作用について説明する。車両用灯具10Aは、実施例1における第1レンズ保持部23と第2レンズ保持部33とで投影レンズ15を挟む工程がなくなることを除くと、実施例1の車両用灯具10と同様に組み付けることができる。そして、車両用灯具10Aは、組み付けられると、第1部材12Aの上側レンズ部61の上側分割面61aと第2部材14Aの下側レンズ部62の下側分割面62aとが、面で接触されて投影レンズ15Aを形成する。このため、投影レンズ15Aでは、合わされている上側分割面61aと下側分割面62aとが、投影レンズ15Aを分割する分割面として機能する。この投影レンズ15Aは、分割面で分割されていることを除くと、実施例1の投影レンズ15と同様とされており、出射面15cが単一の面(実施例2では凸面)とされているとともに入射面15dが単一の面(実施例2では平坦面)とされている。
ここで、投影レンズ15Aでは、レンズ軸La上で上側分割面61aと下側分割面62aとが合わされているが、この合わされた箇所が各配光パターンに影響を与えることは殆どない。これは、次のことによる。第1光源17から第1リフレクタ21を経た光は、図6に示すように、シェード13(シェード本体部13a)の上側を通り、投影レンズ15Aの焦点F通って下側レンズ部62に入射し、前方に投影されてすれ違い用配光パターンを形成する。また、第2光源18から第2リフレクタ31を経た光は、シェード13(シェード本体部13a)の下側を通り、投影レンズ15Aの焦点F通って上側レンズ部61に入射し、前方に投影されて走行用配光パターンを形成する。このため、投影レンズ15Aでは、上側分割面61aと下側分割面62aとが合わされている面(レンズ軸Laを含む水平面)を通る光は極めて少ない。また、投影レンズ15Aは、第1部材12Aおよび第2部材14Aが同一の透明な樹脂で形成されているので、密接されていれば両面(61a、62a)を通過する際に光が屈折することは殆どない。これらのことから、投影レンズ15Aでは、両面(61a、62a)が合わされることに起因する各配光パターンへの影響を殆どなくすことができる。
この車両用灯具10Aは、実施例1の車両用灯具10と比較して、投影レンズ15Aを設置する工程を行う必要がないので、組み付け作業をより簡易なものとすることができるとともに、部品点数を減らすことができる。また、車両用灯具10Aは、第1部材12Aの上側レンズ部61と第2部材14Aの下側レンズ部62とで投影レンズ15Aを形成するので、同じく第1部材12Aに設けた第1リフレクタ21や第2部材14Aに設けた第2リフレクタ31に対する投影レンズ15Aの位置関係をより適切なものにできる。
また、車両用灯具10Aは、レンズ軸Laを含む分割面で投影レンズ15Aを上側レンズ部61と下側レンズ部62とに分割しているので、樹脂材料から成形する際に要する時間を短縮できるとともにひけが生じることを抑制できる。これは、樹脂成形では、最も厚みが大きくなる箇所(肉厚部分)において、時間を要するとともにひけが生じ易いことによる。
実施例2の車両用灯具10Aは、以下の各作用効果を得ることができる。この車両用灯具10Aは、基本的に実施例1の車両用灯具10と同様の構成であるので、実施例1と同様の効果を得られる。
それに加えて、車両用灯具10Aは、第1部材12Aの上側レンズ部61と第2部材14Aの下側レンズ部62とで投影レンズ15Aを形成するので、部品点数を減らすことができ、組み付け作業をより簡易なものにでき、第1リフレクタ21や第2リフレクタ31に対する投影レンズ15Aの位置関係をより適切なものにできる。
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例2の車両用灯具10Aは、簡易な構成としつつすれ違い用配光パターンおよび走行用配光パターンを形成できる。
なお、実施例2では、第1部材12Aの上側レンズ部61と第2部材14Aの下側レンズ部62とで投影レンズ15Aを形成しているが、他の構成でもよく、実施例2の構成に限定されない。例えば、投影レンズ15Aにおける上側レンズ部61と下側レンズ部62との分割面(上側分割面61a、下側分割面62a)の位置は適宜設定すればよく、実施例2の構成に限定されない。
また、実施例2では、投影レンズ15Aにおける上側レンズ部61と下側レンズ部62との分割面(上側分割面61a、下側分割面62a)を単に接触させているが、上側分割面61aと下側分割面62aとの密接度合いを高めるものとしてもよく、実施例2の構成に限定されない。例えば、上側分割面61aと下側分割面62aとを接着剤を用いて接着してもよい。この構成とすると、接着剤は、上側レンズ部61すなわち第1部材12Aや下側レンズ部62すなわち第2部材14Aと等しいもしくは近い屈折率の透明な材料を用いることで、接着剤を用いることに起因する配光パターンへの影響を抑制できる。また、例えば、投影レンズ15Aの周辺に設けたネジ部材等により、上側分割面61aと下側分割面62aとを密接させる力を、上側レンズ部61および下側レンズ部62に作用させる構成としてもよい。この構成とすると、両分割面(61a、62a)の間に空気等が存在することに起因する配光パターンへの影響を抑制できる。
さらに、実施例2では、投影レンズ15Aを分割面(上側分割面61a、下側分割面62a)で分割して第1部材12Aと第2部材14Aとの双方に設けている。しかしながら、図7に示すように、投影レンズ15Bを分割することなく、第1部材12Bと第2部材14Bとのいずれか一方に設けるものとしてもよく、実施例2の構成に限定されない。この図7の例の車両用灯具10Bは、第1部材12Bの第1レンズ保持部23Bの先端(光軸方向前側の端部)に投影レンズ15Bを設けており、第2部材14Bの第2レンズ保持部33Bの先端が接触面33cとされている。車両用灯具10Bは、投影レンズ15Bの周縁部15fに接触面33cが宛がわれることを除くと、実施例2の車両用灯具10Aと同様に組み付けることができ、同様の効果を得ることができる。このことは、第2部材14Bに投影レンズ15Bを設けた場合であっても同様である。加えて、車両用灯具10Bは、分割面を設けることなく単一の部材で投影レンズ15Bを形成できるので、分割面を設けることに起因する不測の影響をなくすことができる。
以上、本開示の車両用灯具を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
なお、各実施例では、第1リフレクタ21で第2リフレクタ31を覆うものとしている。しかしながら、第2リフレクタ31がレンズ軸Laよりも下側であって第1リフレクタ21よりも光軸方向の前側に設けられていれば、第1リフレクタ21と第2リフレクタ31との大きさは適宜設定すればよく、各実施例の構成に限定されない。
また、各実施例では、シェード13のシェード本体部13aの後縁部13eと、遮光壁部36の前縁部36aと、を接触させて、そのシェード13(シェード本体部13a)と遮光壁部36とで遮光部を構成している。しかしながら、遮光部は、光軸方向で投影レンズ15の焦点Fと第2リフレクタ31(第2反射面35)との間において、レンズ軸Laを含む水平面を上下方向に光が通過することを防止するものであればよく、各実施例の構成に限定されない。遮光部は、例えば、シェード13(シェード本体部13a)のみで形成してもよく、遮光壁部36のみで形成してもよく、他の構成としてもよい。