JP7243859B2 - 鋼部品 - Google Patents
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Description
[芯部の化学組成]
本実施形態の鋼部品についての化学組成は、以下のとおりである。但し、以下に示す各元素の含有量は、鋼部品の表面から1.50mm以上の深さ領域(芯部)における含有量である。これに対し、鋼部品の表面から1.50mm未満の深さ領域では、後述するように浸炭熱処理が施されるため、芯部と比較してより多量のCを含有する。
C :0.10~0.40%
Cは鋼部品として必要な強度を得るための元素である。Cの含有量が0.10%未満であると、鋼部品として必要な強度が得られない。一方、Cの含有量が0.40%よりも多いと、熱間加工後においても粗大な炭化物が残存して、鋼部品の靭性及び表面起点はく離寿命が低下する。従って、C量は0.10~0.40%とする。なお、好ましいC量の下限は0.15%であり、好ましいC量の上限は0.35%である。
Siは焼戻し時に析出するε炭化物から粗大なセメンタイトへの遷移を抑制し、低温焼戻しマルテンサイト鋼の焼戻し軟化抵抗を顕著に増加させるための元素である。この効果を得るためには、Siの含有量を0.05%以上とする必要がある。一方、Siを、3.00%を超えて含有させると、鋼材中にSiO2系介在物が生じて、この介在物を起点とする剥離損傷が発生する。従って、Si量は3.00%以下とする。なお、Si量の上限は、好ましくは2.50%、より好ましくは2.00%、さらに好ましくは1.50%である。
Mnは鋼の焼入れ性を高めるのに有効な元素である。浸炭焼入れ処理によりマルテンサイト組織を得るためには、Mnの含有量を0.10%以上とする必要がある。一方、Mnの添加量が3.00%よりも多いと、鋼の靭性が低下したり、焼割れが発生したりする。従って、Mn量は0.10~3.00%とする。なお、好ましいMn量の下限は0.30%であり、好ましいMn量の上限は2.00%である。
Sは、鋼部品を製造する上で、切削性を確保するための元素である。Sは、Mnと結合してMnSを形成して切削性を高める。切削性を高めるためには、Sを0.003%以上含有する必要がある。一方、Sを、0.030%を超えて含有させた場合、多量のMnSが疲労亀裂の伝播経路となることに起因して疲労強度や靭性を低下させる。従って、S含有量は0.003~0.030%とする。なお、好ましいS量の下限は0.005%であり、好ましいS量の上限は0.020%である。
Vは、Mn、Crと同様に、鋼の焼入れ性を高める。Vはさらに、Cと結合して微細なMC炭化物を生成する。本実施形態では、VとMoが複合して含有されることにより、浸炭処理時に、微細な析出物が多数生成し、鋼部品の耐ピッティング特性が高まる。V含有量が0.53%よりも低ければ、これらの効果が得られない。一方、V含有量が3.00%よりも高ければ、粗大な炭化物等が析出し、鋼部品の靭性及び耐ピッティング特性が低下する。さらに、鋼の熱間加工性及び切削性も低下する。したがって、V含有量は0.53~3.00%とした。なお、好ましいV含有量の下限は0.55%であり、好ましいV量の上限は2.00%である。
Moは、Mn、Cr、及びVと同様に、鋼の焼入れ性を高める。Moはさらに、V及びCと複合して含有されることにより、浸炭処理時に微細なMC炭化物の生成を促進し、鋼部品の耐ピッティング特性を高める。Mo含有量が1.00%より低ければ、これらの効果が得られない。一方、Mo含有量が6.00%を超えると、MCより耐ピッティング特性向上能が劣るM2C炭化物の析出が促進されるだけでなく、鋼の熱間加工性及び切削性が低下し、さらに製造コストが高くなる。従って、Mo含有量は1.00~6.00%とする。なお、好ましいMo含有量の下限は1.10%、より好ましくは2.00%、さらに好ましくは2.50%である。好ましいMo含有量の上限は5.00%、より好ましくは4.00%である。
Alは、Nと結合してAlNを形成し、浸炭熱処理時にオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制する。結晶粒の粗大化を抑制するには、Alの含有量は0.010%以上とする必要がある。しかしながら、Alを、0.100%を超えて過剰に含有すると、Alが粗大な酸化物を構成して残存し易くなり、疲労特性が低下する。従って、Al量は0.010~0.100%とする。なお、好ましいAl量の下限は0.015%であり、好ましいAl量の上限は0.060%である。
Nは、Alと結合してAlNを形成し、オーステナイト領域での結晶の粒粗大化を抑制する元素である。結晶粒の粗大化を抑制するには、Nの含有量を0.003%以上とする必要がある。しかしながら、Nを過剰に含有すると、粗大AlNや粗大BNが生成することにより、母材が著しく脆化し、疲労強度が顕著に劣化する。従って、N含有量は0.003~0.030%とする。なお、好ましいN量の下限は0.005%であり、好ましいN量の上限は0.020%である。
Pは不純物である。Pはオーステナイト粒界に偏析して、旧オーステナイト粒界を脆化させることによって粒界割れの原因となるので、できるだけ低減することが望ましい。このため、P量を0.020%以下の範囲に制限する必要がある。なお、本発明の課題を解決する上で特にP量の下限を設定する必要はないが、P量を0.001%未満に制限しようとするとコストが嵩む。従って、P含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
残部は、Fe及び不純物である。不純物とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ又は製造環境などから混入するものを指す。
Cr:0~2.00%
Crは鋼の焼入れ性を高めるのに有効な元素であり必要に応じて含有させてもよい。焼入れ性向上の効果は少量の含有でも得られるが、Crの含有量を0.05%以上とすると、焼入れ性を効果的に高めることができる。一方、Crの含有量が2.00%を超えると、浸炭時にオーステナイト粒界に粗大なM7C3炭化物が形成される。従って、Cr量は0~2.00%とする。なお、好ましいCr量の下限は0.05%、より好ましい下限は0.10%である。好ましいCrの上限は1.50%である。
Bは、オーステナイト中に僅かに固溶させただけで鋼の焼入れ性を高めるため、浸炭焼入れ時にマルテンサイト組織を効率的に得るために鋼に含有させてもよい。一方、Bを、0.0050%を超えて添加すると、多量のBNを形成してNを消費するため、オーステナイト粒の粗大化を招来する。従って、B含有量は0~0.0050%とすることが好ましい。
Nbは、鋼中でN、Cと結合して炭窒化物を形成する元素である。この炭窒化物はオーステナイト結晶粒界をピンニングし、ひいては粒成長を抑制して組織の粗大化を防止する。この組織の粗大化の防止効果を得るためには、Nbを0.100%以下含有させてもよい。一方、Nbを、0.100%を超えて含有させると、素材硬さの上昇に起因して鋼部品の切削・鍛造等の加工性が顕著に劣化するだけでなく、鋼の靱性が劣化する。従って、Nb含有量は0~0.100%とすることが好ましい。
Tiは、鋼中でN、Cと結合して炭窒化物を形成する元素である。この炭窒化物はオーステナイト結晶粒界をピンニングし、ひいては粒成長を抑制して組織の粗大化を防止する。この組織の粗大化の防止効果を得るためには、Tiを0.100%以下含有させてもよい。一方、Tiを、0.100%を超えて含有させると、素材硬さの上昇に起因して鋼部品の切削・鍛造等の加工性が顕著に劣化するだけでなく、鋼の靱性が劣化する。従って、Ti含有量は0~0.100%とすることが好ましい。
REM(希土類元素)とは、原子番号57のランタンから原子番号71のルテシウムまでの15元素と、原子番号21のスカンジウム及び原子番号39のイットリウムと、の合計17元素の総称である。鋼にREMが含有されると、圧延時及び熱間鍛造時にMnS粒子の伸延が抑制される。但し、REM含有量が0.020%を超えると、REMを含む硫化物が大量に生成され、鋼の被削性が劣化する。従って、REM含有量は0~0.020%とすることが好ましい。
In、Biは切削性を向上させる元素であり、それぞれ、0.020%以下、0.30%以下含有させてもよい。含有量がこの値を超えると鋼の靭性が劣化する。従って、In含有量は0~0.020%、Bi含有量は0~0.30%とすることが好ましい。
Wは、鋼の耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Wは、MCより耐ピッティング特性向上能が劣るM2C炭化物を形成する元素であり、さらに高価な元素でもあるので、W含有量は0~0.50%とするのが好ましい。より好ましい上限は0.30%である。
Niはフェライトに固溶して鋼の強度、疲労強度を高める元素であり、必要に応じて含有させてもよい。Niの含有量を多くしても効果が飽和し、コストが高くなるだけなので、Ni含有量は0~0.40%とすることが好ましい。
Cuはフェライトに固溶して鋼の強度、疲労強度を高める元素であり、必要に応じて含有させてもよい。Cuの含有量が多くなりすぎると熱間加工性が低下するので、Cu含有量は0~0.400%とすることが好ましい。
Pbは被削性を向上させる元素であり、0.09%以下含有させてもよい。含有量がこの値を超えると鋼の靭性が劣化するので、Pbの含有量は0~0.09%とすることが好ましい。
さらに、本願発明の鋼部品の化学組成は、質量%で表したCrの含有量%Cr、Moの含有量%Moが%Cr<0.155×%Mo+1.35を満たす。Crは上述のとおり焼入れ性向上に効果があるが、Crの含有量が多くなると、析出物としてM7C3炭化物が生じやすくなる。M7C3炭化物が生じると、炭化物が粗大化しやすくなり、耐ピッティング特性が劣化する。そのため、Crの含有量はある程度低く抑える必要があるが、Moの含有量が多くなると、M7C3が析出することなく添加可能なCr量の上限が高くなり、Cr添加による焼入れ性向上の効果をより高度に得られるようになる。
次に、本実施形態に係る鋼部品の表面から0.20mmの位置における、C含有量、硬さ及び組織について詳述する。
本実施形態に係る鋼部品においては、表面から0.20mmの位置におけるC含有量が0.65%以上である。なお、C以外の成分の含有量は、上述した表面から1.50mm以上の深さ領域における含有量と同じ範囲内である。
本実施形態に係る鋼部品においては、表面から0.20mmの位置におけるビッカース硬さが700HV以上である。
本実施形態に係る鋼部品においては、表面から0.20mmの位置における金属組織の分率は、次のとおりである。即ち、面積率で、残留オーステナイト:5.0~35.0%、析出物:2.0~20.0%を含有し、残部は焼戻しマルテンサイトである。析出物のうち、アスペクト比が2.0以下の析出物が全析出物の70%以上であり、析出物の平均円相当径が40~200nmである。
本実施形態に係る鋼部品においては、表面から0.20mmの位置における旧オーステナイトの結晶粒径がJIS粒度番号で10.0番以上である。
さらに、本実施形態に係る鋼部品の芯部における、硬さについて詳述する。本実施形態に係る鋼部品においては、深部におけるビッカース硬さが200HV以上である。
次に、本実施形態に係る鋼部品の製造方法について詳述する。ここで、鋼部品の製造方法とは、上述した鋼部品の製造方法であり、所定の成分からなる鋼材を鋼部品形状に成形する工程(成形工程)と、浸炭処理して、表層における炭素量と鋼材組織を調整する工程(浸炭処理工程)と、850℃以上の温度から焼入れする工程(焼入れ工程)と、所定温度で焼戻しする工程(焼戻し工程)とを含む。以下に、上記各工程について詳述する。
鋼部品の成形方法については、特に限定されない。鋼部品の所定形状への加工方法としては、熱間鍛造、冷間鍛造、及び旋削、フライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げ、歯切り、平削り、立て削り、ブローチ削り、及び鋼部品形削り等の切削加工、研削、ホーニング仕上げ、超仕上げ、及びラップ仕上げ、バレル仕上げ、及び液体ホーニング等の研削加工、並びに、放電加工、電解加工、電子ビーム加工、レーザ加工、及び付加加工(積層造形)等の特殊加工などが挙げられる。例えば、鋼材から、鋼部品形状の成形体を得る。
成形工程後、成形体に対して、浸炭処理温度850~1100℃で浸炭処理を施す。浸炭処理は、成形体の表面から1.50mmまでの深さ領域において、成形体を硬化させ、微細な析出物を析出させるために必要不可欠な処理である。
浸炭終了後焼入れ前に、所定の温度で一定時間保持してもよい。浸炭終了後、一定時間保持する目的は、焼入れ時の焼割れの防止やひずみの低減にある。保定温度はCを効率よく拡散させるため850℃以上で10分以上とする。一方、900℃超で60分超保定しても、焼入れ時の焼割れ防止、ひずみ低減の効果は飽和する。
浸炭処理終了後、850~1100℃の温度域から焼入れを行う。浸炭処理後に焼入れを行うのは、表層の組織をマルテンサイトとして、硬さを向上させるためである。焼入れ温度が850℃未満であれば、フェライト相など、軟質層の割合が増加する可能性があり、十分なマルテンサイト面積率を確保できないため、鋼の硬さが低下する。一方、焼入れ温度が1100℃より高い場合、著しい粗粒化や混粒化が生じる。なお、焼入れ温度は、850~1000℃であることが好ましい。また、焼入れ方法としては、冷却特性に優れる油焼入れが好ましいが、水による焼入れも可能であり、小さな鋼部品であれば高圧の不活性ガスによる焼入れも可能である。
焼入れ終了後、130~200℃で30分以上の焼戻しを行う。焼戻し温度を130℃以上とした場合には、靱性の高い焼戻しマルテンサイトを得ることができる。また、焼戻し温度を200℃以下とすることで、焼戻しによる硬さ低下を防止することができる。なお、これらの効果をそれぞれさらに高いレベルで奏するためには、焼戻し温度を150~180℃とすることが好ましい。この焼戻し工程を経ることで、本実施形態所定の鋼部品が得られる。
(棒鋼の準備)
表1-1、1-2に示す成分組成を有する鋼(鋼No.A~AZ)をそれぞれ溶製し、熱間鍛造により、φ40mmの棒鋼を準備した。なお、表1-1、1-2における空欄部は各元素が無添加であることを意味する。
上述のようにして得たφ40mmの棒鋼から、機械加工により、φ26mm×130mmの小ローラー試験片を成形した。
上述のようにして得たφ40mmの棒鋼から、機械加工により、硬さ、組織、C濃度測定用のφ26mm×50mmの丸棒試験片を成形した。
JIS G4805(2008)に規定された高炭素クロム鋼材SUJ2相当を用い、直径150mmの円板状の大ローラー試験片を成形した。
次に、小ローラー試験片及び丸棒試験片に対して、浸炭処理を行い、その後、油焼入れ、焼戻しを行った。浸炭処理の条件は表2に示すとおりであり、油焼入れの条件は、油温80℃とし、焼戻しの条件は180℃×120分とした。図1に、各発明例についての、浸炭焼入れ及び焼戻しのヒートパターンを示す。なお、図1及び表2-1、2-2中、S1、S2は、それぞれ、浸炭期、拡散期を示すものである。焼戻し後、試験精度を向上するために、小ローラー試験片のつかみ部に、仕上げ加工を施した。以上のようにして、製造No.1~59の小ローラー試験片、及び製造No.1~59の丸棒試験片を、それぞれ得た。
(硬さ)
各丸棒試験片を長さ方向と平行に切断し、断面において表層から0.20mm深さの硬さを10点測定した。そして、これら10点の平均値を表面から0.20mmの位置における硬さとした。また、表層から1.50mmの部位のビッカース硬さ測定を行うことで、芯部硬さとした。これらの結果を表3-1、3-2に示す。
各丸棒試験片を長さ方向と平行に切断し、断面を研磨後、硝酸とアルコールの混合溶液(アルコール100mlに対し硝酸1.5ml)に5秒浸漬させた後、表面から0.20mmの位置における組織を倍率10000倍に設定したSEMで、EBSD法で残留オーステナイトを同定し、5視野観察し、残留オーステナイトの総面積率を求めた。その結果を表3-1、3-2に併記する。
各丸棒試験片を長さ方向と平行に切断し、断面を研磨後、硝酸とアルコールの混合溶液(アルコール100mlに対し硝酸1.5ml)に5秒浸漬させた後、表面から0.20mmの位置における組織を倍率20000倍に設定したSEMで、EBSD法で析出物を同定し、5視野観察し、析出物の総面積率を求めた。その結果を表3-1、3-2に併記する。
焼戻しマルテンサイト面積率は、100-(残留オーステナイト面積率+析出物面積率)の計算式で求めた。その結果を表3-1、3-2に併記する。
析出物のアスペクト比及び析出物径は、画像解析ソフト、ImageJ(National Institutes of Health製)を用いて測定した。倍率20000倍で撮影した5視野のSEM像を用い、各視野でランダムに10個の析出物を選び、選んだ析出物のアスペクト比及び析出物径を測定した。各視野で平均サイズを求め、更にその値の5視野平均値を析出物のアスペクト比及び析出物径とした。それらの結果を表3-1、3-2に併記する。
各丸棒試験片を長さ方向と平行に切断し、断面を研磨後、ピクリン酸とエタノールの混合溶液(アルコール100mlに対しピクリン酸4g)に5分浸漬させ、オーステナイト粒界を現出させた後、表面から0.20mm深さの組織を1000倍の光学顕微鏡で3視野撮影し、JIS G 0551に記載の切断法を用いて3視野の粒度番号を求め、その平均値を粒度番号とした。その結果を表3-1、3-2に併記する。
φ26mm×50mmの丸棒試験片から、旋削加工で表面から0.20mm~0.25mm(50μm分)の切粉を採取し、高周波燃焼法で求めた炭素濃度を表面から0.20mmの地点のC含有量(C濃度)とした。その結果を表3-1、3-2に併記する。
耐ピッティング特性評価試験として、ローラーピッティング試験(2円筒転がり疲労試験)を実施した。大ローラー試験片の円周面を小ローラー試験片の表面に回転数1500rpmで接触させ、最大1000万回の条件で試験を行い、S-N線図を作成してピッティング疲労限を求めた。ピッティング疲労限が3000MPa(SCM420浸炭品相当)に達しないものはピッティング疲労強度が劣ると判断した。その結果を表3-1、3-2に併記する。
Claims (6)
- 鋼部品であって、
前記鋼部品の表面から1.50mm以上の深さ領域において、質量%で、
C :0.10~0.40%、
Si:0.05~3.00%、
Mn:0.10~3.00%、
P :0.020%以下、
S :0.003~0.030%、
V :0.53~3.00%、
Mo:1.40~6.00%、
Al:0.010~0.100%、及び
N :0.003~0.030%、
を含有し、残部がFe及び不純物であり、
前記表面から1.50mm以上の深さ領域で、ビッカース硬さが200HV以上であり、
前記表面から0.20mmの位置の組織が、面積率で、残留オーステナイト:5.0~35.0%、析出物2.0~20.0%を含有し、残部が焼戻しマルテンサイトであり、
前記析出物のうち、アスペクト比が2.0以下の析出物の面積が全析出物の面積の70%以上であり、前記析出物の平均円相当径が40~200nmであり、旧オーステナイトの結晶粒径がJIS粒度番号で10.0番以上であり、
前記表面から0.20mmの位置において、C含有量が0.65%以上であり且つC以外の成分の含有量は表面から1.50mm以上の深さ領域における当該成分の含有量の範囲内であり、ビッカース硬さが700HV以上である、
ことを特徴とする鋼部品。 - 前記Feの一部に代えて、質量%で、
Cr:0~2.00%、
B :0~0.0050%、
Nb:0~0.100%、
Ti:0~0.100%、
REM:0~0.020%、
In:0~0.020%、
Bi:0~0.30%、
W:0~0.50%、
Ni:0~0.40%、及び
Cu:0~0.400%
の1種以上を含有し、
質量%で表したCrの含有量%Cr、Moの含有量%Moが%Cr<0.155×%Mo+1.35を満たす、
請求項1に記載の鋼部品。 - 前記Feの一部に代えて、質量%で、Pb:0~0.09%を含有する、請求項1又は2に記載の鋼部品。
- 質量%で、Si:0.05~0.50%を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の鋼部品。
- 質量%で、Si:0.51~3.00%以下を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の鋼部品。
- 前記鋼部品は歯車である、請求項1~5のいずれか1項に記載の鋼部品。
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