JP7237866B2 - NOxセンサ素子及びNOxセンサ - Google Patents

NOxセンサ素子及びNOxセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP7237866B2
JP7237866B2 JP2020011387A JP2020011387A JP7237866B2 JP 7237866 B2 JP7237866 B2 JP 7237866B2 JP 2020011387 A JP2020011387 A JP 2020011387A JP 2020011387 A JP2020011387 A JP 2020011387A JP 7237866 B2 JP7237866 B2 JP 7237866B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nox sensor
solid electrolyte
sensor element
electrode
pump electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020011387A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020173247A (ja
Inventor
健太郎 鎌田
斉 古田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Spark Plug Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to US16/834,299 priority Critical patent/US11549925B2/en
Priority to DE102020109551.1A priority patent/DE102020109551A1/de
Priority to CN202010265870.7A priority patent/CN111796015B/zh
Publication of JP2020173247A publication Critical patent/JP2020173247A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7237866B2 publication Critical patent/JP7237866B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Description

本発明は、NOxセンサ素子及びNOxセンサに関する。
自動車等の内燃機関から排出される排ガスの規制強化に伴い、排ガス中の窒素酸化物(NOx)量の低減が要求されている。そこで、近年、排ガス中のNOx濃度を直接測定できるNOxセンサの開発が進んでいる。NOxセンサは、ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体電解質体の表面に一対の電極を形成してなる第1ポンプセル及び第2ポンプセルを有するNOxセンサ素子を備えている。
NOxセンサは、NOxを含む被測定ガス空間に連通する第1測定室内の酸素を第1ポンプセルによって汲み出し又は汲み入れる。このとき、第1測定室内の酸素濃度を酸素濃度検出セルによって測定し、第1測定室内が所定の酸素濃度となるように第1ポンプセルを制御する。さらに、酸素濃度が制御(調整)された被測定ガスは、第1測定室又はこれと別のNOx測定室に配置された第2ポンプセルに一定電圧を印加することにより、被測定ガスに含まれるNOxが窒素(N)と酸素(O)とに分解される。このとき、第2ポンプセルの一対の電極間に流れる第2ポンプ電流を測定することにより、被測定ガス中のNOx濃度を検出する。
上記構成のNOxセンサは、電極を固体電解質体に設けただけでは、NOxセンサ素子(検出素子)の電極が十分に活性せず、十分なセンサ特性が得られない。
そこで、リッチ雰囲気下にNOxセンサ素子を配置して高温に曝し、第1ポンプセルの一対の電極間に交番電圧を印加し、エージング処理を施す技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2012-18189号公報
ところで、図6に示すように、上述のリッチエージング処理により、NOxセンサの内側ポンプ電極(Ip1-電極)1002の一部が改質して「白金-ジルコニア混在領域」が生じ、反応界面量が増加する。そして、界面量の増加に伴い電極1002に吸着する酸素1100も増加する。一方、外側ポンプ電極(Ip1+電極)1004はリッチエージング処理されないので、電極1004に吸着する酸素1100も少ない。
しかしながら、測定雰囲気がリーンからリッチに変化し、外側ポンプ電極1004にリッチガス1200が到達すると、外側ポンプ電極1004に吸着していた酸素1100がリッチガス1200で消費され、外側ポンプ電極1004の酸素分圧が急激に減少する。一方、内側ポンプ電極1002には外側ポンプ電極1004よりも多くの酸素1100が吸着しているので、リッチガス1200が到達しても内側ポンプ電極1002に酸素が残存し、酸素分圧の減少量は少ない。
このため、酸素分圧が異なる内側ポンプ電極1002と外側ポンプ電極1004との間で図6の矢印のような起電力が発生して第1ポンプセルに過渡的に電流が流れ、図7の実線に示すようなノイズピークが発生して検出精度を低下させるおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、測定雰囲気が変化したときの第1ポンプセルのノイズ電流を抑制し、検出精度の低下を抑制したNOxセンサ素子及びNOxセンサの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のNOxセンサ素子は、第1測定室に導入される被測定ガス中の酸素の汲み出し及び汲み入れを行い、前記第1測定室内の酸素濃度を調整する第1ポンプセルと、外部と前記第1測定室との間に配置され、前記第1測定室に導入される前記被測定ガスの拡散速度を調整する拡散抵抗部と、前記酸素濃度の調整後の前記被測定ガス中のNOx濃度に応じたポンプ電流が流れる第2ポンプセルと、を有するNOxセンサ素子であって、前記第1ポンプセルは、第1固体電解質体と、貴金属を含み該第1固体電解質体の表面に形成されて前記第1測定室に曝される内側ポンプ電極と、貴金属を含み前記第1固体電解質体の表面に形成されて前記第1測定室の外部に配置される外側ポンプ電極と、を有し、前記外側ポンプ電極は、前記第1固体電解質体の主成分であるジルコニアを22質量%以上、含むことを特徴とする。
このNOxセンサ素子によれば、少なくとも外側ポンプ電極は、第1固体電解質層の主成分を22質量%以上含むので、リッチエージング処理した場合に外側ポンプ電極の改質が促進され、外側ポンプ電極により多くの酸素が吸着する。
その結果、内側ポンプ電極もリッチエージング処理した場合に、内側ポンプ電極と外側ポンプ電極に吸着する酸素量が同等となる。そして、測定雰囲気がリーンからリッチに変化しても、酸素分圧の減少量は両電極とも少なく、両電極の間で酸素分圧の違いによる起電力は小さくなって第1ポンプセルに流れるノイズ電流が低減し、検出精度の低下を抑制できる。
本発明のNOxセンサ素子において、前記内側ポンプ電極は、前記第1固体電解質体の主成分を22質量%以上含んでもよい。
このNOxセンサ素子によれば、リッチエージング処理した場合に内側ポンプ電極の改質が促進され、内側ポンプ電極と外側ポンプ電極に吸着する酸素量がより同等となる。
本発明のNOxセンサ素子において、前記外側ポンプ電極は、前記第1固体電解質体の主成分を26質量%以上含んでもよい。
このNOxセンサ素子によれば、リッチエージング処理した場合に外側ポンプ電極の改質がより促進され、外側ポンプ電極に吸着する酸素量がさらに増加する。
本発明のNOxセンサ素子において、前記外部に向く前記外側ポンプ電極の表面が多孔質保護層で覆われていてもよい。
このようなNOxセンサ素子にも本発明を適用できる。
本発明のNOxセンサは、前記NOxセンサ素子と、前記NOxセンサ素子を保持する主体金具と、を備えてなる。
この発明によれば、測定雰囲気が変化したときの第1ポンプセルのノイズ電流を抑制し、検出精度の低下を抑制したNOxセンサ素子が得られる。
NOxセンサの長手方向に沿う断面説明図である。 NOxセンサ素子の長手方向に沿う断面説明図である。 リッチエージング処理後の内側ポンプ電極及び外側ポンプ電極に対し、測定雰囲気がリーンからリッチに変化したときの電極上の酸素を示す図である。 本発明の別の実施形態のNOxセンサ素子の長手方向に沿う断面説明図である。 外側ポンプ電極における第1固体電解質体の主成分の含有割合を変化させ、測定雰囲気をリーンからリッチに変化させたときの第1ポンプセルに流れるノイズ電流の大小を示す図である。 従来のNOxセンサの内側ポンプ電極をリッチエージング処理後、測定雰囲気がリーンからリッチに変化したときの電極上の酸素を示す図である。 測定雰囲気がリーンからリッチに変化したときの第1ポンプセルのノイズ電流を示す図である。 実験例2において、測定雰囲気がリーンからリッチに変化したときの第1ポンプセルのノイズ電流を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
本発明の実施形態に係るNOxセンサ1は、自動車や各種内燃機関における排気管に装着されるガスセンサである。NOxセンサ1は、測定対象となる排ガス中の特定ガス(窒素酸化物:NOx)を検出するNOxセンサ素子(検出素子)100が組み付けられて構成される。
図1に示すように、NOxセンサ1は、排気管に固定するためのネジ部13が外表面に形成された筒状の主体金具15と、軸線O方向(NOxセンサ1の長手方向:図1の上下方向)に延びる板状形状のNOxセンサ素子100と、NOxセンサ素子100の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ19と、軸線O方向に貫通する挿通孔111の内壁面がNOxセンサ素子100の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される第1セパレータ113と、NOxセンサ素子100と第1セパレータ113との間に配置される6個(図1には2個のみ図示)の接続端子115と、を備えている。
NOxセンサ素子100は、長手方向に伸びる直方体形状(板型形状)に形成されており、その先端側に、測定対象ガスに含まれる特定ガス(ここではNOx)を検出する検知部101を備える。また、NOxセンサ素子100は、後端側(図1の上方:長手方向後端部)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1主面102及び第2主面103に、それぞれ電極パッド104が3個ずつ形成されている(詳細な図示は省略)。
NOxセンサ素子100の6個の電極パッド104には、それぞれ異なる接続端子115が電気的に接続される。接続端子115は、外部からセンサの内部に配設されるリード線135に電気的に接続されている。これにより、リード線135が接続される外部機器と電極パッド104との間に流れる電流の電流経路が形成される。
主体金具15は、軸線O方向に貫通する貫通孔137を有し、貫通孔137の径方向内側に突出する棚部139を有する略筒状形状に構成されている。主体金具15は、NOxセンサ素子100の検知部101を貫通孔137の先端よりも先端側に配置し、6個の電極パッド104を貫通孔137の後端よりも後端側に配置する状態で、貫通孔137に挿通されたNOxセンサ素子100を保持するよう構成されている。
主体金具15の貫通孔137の内部には、NOxセンサ素子100の径方向周囲を取り囲む状態で、環状形状のセラミックホルダ141、滑石リング143、145及びセラミックスリーブ19がこの順に先端側から後端側にかけて積層されている。主体金具15の後端部147とセラミックスリーブ19との間には、加締パッキン149が配置されている。主体金具15の後端部147は、加締パッキン149を介してセラミックスリーブ19を先端側に押し付けるように、加締められている。主体金具15の棚部139とセラミックホルダ141との間には、滑石リング143、145及びセラミックホルダ141を保持する金属ホルダ151が配置されている。
主体金具15の先端部153の外周には、NOxセンサ素子100の突出部分を覆う金属製(例えば、ステンレス等)の二重構造とされたプロテクタ155が溶接等によって取り付けられている。主体金具15の後端側外周には、外筒157が固定されている。外筒157の後端側の開口部には、6個のリード線挿通孔161(図1では2個のみ図示)が形成されたグロメット159が配置されている。6個のリード線挿通孔161には、6個の電極パッド104にそれぞれ電気的に接続される6本のリード線135(図1では2本が図示)が挿通される。
第1セパレータ113の外周には、鍔部163が形成されている。鍔部163は、保持部材165を介して外筒157に固定されている。第1セパレータ113の後端側には、第1セパレータ113とグロメット159との間で挟持される第2セパレータ167が配置されている。接続端子115の後端側は、第2セパレータ167の内部に挿入されている。
次に、NOxセンサ素子100の構成について説明する。
図2に示すように、NOxセンサ素子100は、第1固体電解質層(第1固体電解質体)21、絶縁層24、第3固体電解質層23、絶縁層25、第2固体電解質層(第2固体電解質体)22、絶縁層27をこの順で積層した構造を有する。絶縁層24は、NOxセンサ素子100の先端に向かってコの字状に切り欠かれ、この切り欠き部が第1測定室41を形成し、第1測定室41の先端(入口)に配置された第1拡散抵抗体(拡散抵抗部)51を介して外部から被測定ガスが導入される。
第1ポンプセル2Aは、酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主体(全体の50質量%を超える)とする第1固体電解質層21と、これを挟持するように配置された一対の電極31、32とを備えている。内側ポンプ電極32は、第1測定室41に面してIp1-電極をなす。外側ポンプ電極31は、外部に面してIp1+電極をなす。電極31、32は、いずれも貴金属を含み、本例では白金を主体(電極の50質量%を超える)としている。
第1測定室41のうち入口と反対端には、第2拡散抵抗体52が配置されている。第2拡散抵抗体52を介して第1測定室41の奥側には、第1測定室41と連通するNOx測定室(第2測定室)42が形成されている。NOx測定室42は、第3固体電解質層23を貫通して第1固体電解質層21と第2固体電解質層22との層間に形成されている。
第2ポンプセル2Bは、酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主体とする第2固体電解質層22と、一対の第2電極33、34とを備えている。一方の第2電極33は、第2固体電解質層22のうち、NOx測定室42に面した表面に配置されている。他方の第2電極34は、一方の第2電極33の対極となり、NOx測定室42の外部に配置されている。第2電極33、34は、いずれも白金を主体としている。第2電極33は、第2固体電解質層22上における絶縁層25の切り抜き部に配置され、後述する基準電極36に対向して基準酸素室53に面している。
酸素濃度検出セル2Cは、酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主体とする第3固体電解質層23と、これを挟持するように配置された検知電極35及び基準電極36とを備えている。検知電極35は、内側ポンプ電極32より下流側で第1測定室41に面している。検知電極35及び基準電極36は、いずれも白金を主体としている。なお、図示はしないが、検知電極35の端縁は、アルミナを主体とする絶縁コート層によって積層方向に挟持されている。
絶縁層25は、第3固体電解質層23に接する基準電極36が内部に配置されるように切り抜かれ、その切り抜き部には、多孔質体が充填されて基準酸素室53を形成している。そして、酸素濃度検出セル2Cに予め微弱な一定値の電流を流すことにより、酸素を第1測定室41から基準酸素室53内に送り込み、酸素基準とする。
絶縁層27の内部には、NOxセンサ素子100の長手方向に沿って延びるヒータ28が埋設されている。ヒータ28は、NOxセンサ素子100を活性温度に昇温し、各固体電解質層(第1固体電解質層21、第2固体電解質層22、第3固体電解質層23)の酸素イオンの伝導性を高めて動作を安定化させるために用いられる。各絶縁層24、25、27は、アルミナを主体とする。第1拡散抵抗体51及び第2拡散抵抗体52は、アルミナ等の多孔質物質からなる。ヒータ28は、白金等からなる。
次に、NOxセンサ素子100の動作の一例について説明する。
まず、ヒータ28により、第1ポンプセル2A、第2ポンプセル2B、酸素濃度検出セル2Cが活性化温度(例えば、550℃以上)まで加熱されると、第1ポンプセル2Aは、第1測定室41に流入した被測定ガス(排ガス)中の過剰な酸素を内側ポンプ電極32から外側ポンプ電極31へ向かって汲み出す。
このとき、第1ポンプセル2Aには、被測定ガス中の酸素濃度に応じた第1ポンプ電流Ip1が流れる。また、第1測定室41内の酸素濃度は、酸素濃度検出セル2Cの電極間電圧に対応したものとなるため、この電極間電圧が一定電圧(例えば425mV)になるように第1ポンプ電流Ip1の通電量を制御し、第1測定室41内の酸素濃度をNOxが分解しない程度の所定濃度に調整する。
酸素濃度が調整された被測定ガスは、NOx測定室42に向かってさらに流れる。このとき、第2ポンプセル2Bの端子間電圧(電極間電圧)として、被測定ガス中のNOxガスが窒素(N)と酸素(O)とに分解する程度の一定電圧(酸素濃度検出セル2Cの制御電圧の値よりも高い電圧、例えば450mV)を印加することにより、NOxが窒素と酸素とに分解される。
そして、NOxの分解により生じた酸素がNOx測定室42から基準酸素室53に配置される第2電極34に向かって汲み出されるように、第2ポンプセル2Bに第2ポンプ電流Ip2が流れる。第2ポンプ電流Ip2とNOx濃度の間には直線関係があるため、第2ポンプ電流Ip2を検出することにより、被測定ガス中のNOx濃度を検出することができる。
このように、NOxセンサ1は、第2ポンプ電流Ip2を検出し、NOx濃度に換算することで(本実施形態では、窒素酸化物の濃度に換算した値として説明するため、NOx濃度に換算するものとして説明するが、詳細にはNO濃度を換算するものである)、NOx濃度を検出することができる。
なお、本実施形態において、第2ポンプ電流Ip2に基づくNOx濃度換算値の算出は、NOxセンサ素子100に接続されるマイクロコンピュータ(図示省略)にて第2ポンプ電流Ip2を電圧変換して読み込み、所定の演算式等を用いてNOx濃度を演算することで算出することができる。
次に、内側ポンプ電極32、外側ポンプ電極31について説明する。
本実施形態のNOxセンサは、NOxセンサ素子100を所定の温度領域に加熱し、リッチ雰囲気下で、電極31、32間に正電圧を印加し、これにより第1ポンプセル2Aが第1測定室41から酸素を汲み出す状態となるように電極31、32間に電圧を印加する第1のリッチエージング処理を施される。
これにより、図3に示すように、内側ポンプ電極32の一部が改質して「白金-ジルコニア混在領域」が生じ、反応界面量が増加する。そして、界面量の増加に伴い内側ポンプ電極32に吸着する酸素1100も増加する。
次に、電極31、32間に負電圧を印加し、これにより第1ポンプセル2Aが第1測定室41に酸素を汲み入れる状態となるように電極31、32間に電圧を印加する第2のリッチエージング処理をする。
これにより、図3に示すように、外側ポンプ電極31の一部が改質して「白金-ジルコニア混在領域」が生じ、反応界面量が増加する。そして、界面量の増加に伴い外側ポンプ電極31に吸着する酸素1100も増加する。
ここで、少なくとも外側ポンプ電極31は、第1固体電解質層21の主成分を22質量%以上含み、好ましくは26質量%以上含む。これにより、リッチエージング処理による外側ポンプ電極31の改質が促進され、外側ポンプ電極31により多くの酸素1100が吸着する。
なお、外側ポンプ電極31に第1固体電解質層21の主成分を含ませる理由は、内側ポンプ電極32は、第1拡散抵抗体51を介して外部の被測定ガスに接触するため、測定雰囲気がリーンからリッチに変化しても内側ポンプ電極32の表面にリッチ雰囲気が到達し難く、雰囲気変化による酸素分圧への影響が外側ポンプ電極31より少ないからである。勿論、内側ポンプ電極32も第1固体電解質層21の主成分を22質量%以上含むことが好ましい。
以上のように、少なくとも外側ポンプ電極31に第1固体電解質層21の主成分を22質量%以上含ませることで、測定雰囲気がリーンからリッチに変化し、内側ポンプ電極32、外側ポンプ電極31にそれぞれリッチガス1200が到達しても、各電極31,32にはいずれも多くの酸素1100が吸着しているので、両電極31、32に同じように酸素が残存し、酸素分圧の減少量は両電極31、32とも少ない。
このため、図3の矢印のように、内側ポンプ電極32、外側ポンプ電極31の間で酸素分圧の違いによる起電力は小さく、図7の破線に示すように第1ポンプセルに流れるノイズ電流が低減し、検出精度の低下を抑制できる。
ここで、「リッチ雰囲気」とは、理論空燃比(λ=1)に対して酸素の割合が少ない雰囲気、すなわち理想的な完全燃焼ができる空気と燃料の混合比である理論空燃比で燃焼されたガス雰囲気を基準にしたときに、そのガス雰囲気よりも酸素の割合が少ない(酸素分圧が低い)ガス雰囲気を意味する。
電極31、32間に正電圧と負電圧を印加する方法は、交番電圧でもよく、まずどちらか一方の極性でリッチエージング処理を終了した後、反対の極性でもう一方の電極のリッチエージング処理をしてもよい。
又、第1ポンプセル2Aのエージング処理を行いながら、適宜第2ポンプセル2Bのエージング処理も行ってもよい。
本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
上述の実施形態では、NOxセンサ1は、自動車や各種内燃機関の排ガス中のNOxガス濃度を検出するガスセンサに適用したものであるが、例えば、ボイラ等の燃焼ガス中のNOxガス濃度を検出するガスセンサに適用してもよい。
上述の実施形態では、外側ポンプ電極31がNOxセンサ素子100の外表面に露出したが、図4に示すように、外側ポンプ電極31を多孔質保護層72で覆い、多孔質保護層72を介して外部の被測定ガスを外側ポンプ電極31に接触させるようにしてもよい。なお、図4のNOxセンサ素子100Bにおいて、NOxセンサ素子100と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。又、多孔質保護層72は略矩形をなし、外側絶縁層71の先端側の矩形開口に埋め込まれている。外側絶縁層71は第1固体電解質層21を覆っている。
又、上述の実施形態では、NOxセンサ素子100を構成する固体電解質層を第1固体電解質層21、第2固体電解質層22、第3固体電解質層23の3層としたが、例えば、NOxセンサ素子100を構成する固体電解質層を第1固体電解質層21、第2固体電解質層22の2層としてもよい。
又、上述の実施形態では、NOxセンサ素子100として、第1ポンプセル2Aの一方の電極(内側ポンプ電極32)が第1測定室41に面し、第2ポンプセル2Bの一方の電極(第2電極33)が第1測定室と別のNOx測定室42に面した構成とした。これに対し、第1ポンプセル2A及び第2ポンプセル2Bの両電極32、33が共通の室(第1測定室41)に面した構成でもよい。
<実験例1>
図1、図2に示すNOxセンサ素子100及びNOxセンサ1を製造し、NOxセンサ素子100を800~850℃に加熱し、リッチ雰囲気下(組成、H:3体積%、水分(HO):10体積%、N:残部)で、電極31、32間に正電圧及び負電圧を交番電圧で印加し、これにより電極31、32にそれぞれリッチエージング処理を施した。
外側ポンプ電極31における第1固体電解質体21の主成分の含有割合をそれぞれ14質量%、22質量%とした。
評価は、図7の内側ポンプ電極32(Ip-電極)のみリッチエージングしたときの実線のIp1電流の正のノイズピークの高さに比べ、ノイズピークの高さが1/2以下になった場合を良好(○)とし、ノイズピークの高さが1/2よりも大きい場合を不可(×)とした。
得られた結果を図5に示す。
外側ポンプ電極31における第1固体電解質体21の主成分の含有割合が22質量%の場合、測定雰囲気がリーンからリッチに変化しても、各電極31,32間での起電力は小さく、第1ポンプセルに流れるノイズ電流が小さかった。
一方、外側ポンプ電極31における第1固体電解質体21の主成分の含有割合が14質量%の場合、22質量%の場合に比べてノイズ電流が大きくなった。
<実験例2>
次に、実験例1と同様な構造のNOxセンサ素子100及びNOxセンサ1であるが、寸法や素子厚みが異なるものについて、実験例1と同様にしてリッチエージング処理を施し、測定雰囲気がリーンからリッチに変化したときの第1ポンプセルのノイズ電流を同様に測定した。
なお、実験例2は、外側ポンプ電極31における第1固体電解質体21の主成分の含有割合をそれぞれ22質量%、26質量%としたときの効果を確認するものである。そして、実験例2は、NOxセンサ素子の寸法等が実験例1とは異なるので、実験例1の図7のIp1電流とそのまま数値を比較できるものではない。
図8は、実験例2において、測定雰囲気がリーンからリッチに変化したときの第1ポンプセルのノイズ電流を示す図である。内側ポンプ電極32(Ip-電極)のみリッチエージングしたときを実線で示す。
外側ポンプ電極31における第1固体電解質体21の主成分の含有割合が22質量%の場合、測定雰囲気がリーンからリッチに変化しても、内側ポンプ電極32(Ip-電極)のみリッチエージングしたときのIp1電流の正のノイズピークの高さに比べ、各電極31,32間での起電力は小さく、第1ポンプセルに流れるノイズ電流が小さかった。
外側ポンプ電極31における第1固体電解質体21の主成分の含有割合が26質量%の場合、22質量%の場合よりさらにノイズ電流が小さくなった。
従って、外側ポンプ電極が、前記第1固体電解質体の主成分を26質量%以上含むとより好ましいことがわかる。なお、外側ポンプ電極31における第1固体電解質体21の主成分の含有割合が多すぎると、Ip1セルの内部抵抗が上昇してNOx測定室への漏れ酸素が増大することによる測定精度の低下等が生じることがあるので、上限は50質量%程度であると考えられる。
1 NOxセンサ
2A 第1ポンプセル
2B 第2ポンプセル
15 主体金具
21 第1固体電解質層(第1固体電解質体)
31 外側ポンプ電極
32 内側ポンプ電極
41 第1測定室
51 第1拡散抵抗体(拡散抵抗部)
72 多孔質保護層
100 NOxセンサ素子

Claims (5)

  1. 第1測定室に導入される被測定ガス中の酸素の汲み出し及び汲み入れを行い、前記第1測定室内の酸素濃度を調整する第1ポンプセルと、
    外部と前記第1測定室との間に配置され、前記第1測定室に導入される前記被測定ガスの拡散速度を調整する拡散抵抗部と、
    前記酸素濃度の調整後の前記被測定ガス中のNOx濃度に応じたポンプ電流が流れる第2ポンプセルと、を有するNOxセンサ素子であって、
    前記第1ポンプセルは、第1固体電解質体と、貴金属を含み該第1固体電解質体の表面に形成されて前記第1測定室に曝される内側ポンプ電極と、貴金属を含み前記第1固体電解質体の表面に形成されて前記第1測定室の外部に配置される外側ポンプ電極と、を有し、
    前記外側ポンプ電極は、前記第1固体電解質体の主成分であるジルコニアを22質量%以上、含むことを特徴とするNOxセンサ素子。
  2. 前記内側ポンプ電極は、前記第1固体電解質体の主成分を22質量%以上、含むことを特徴とする請求項1に記載のNOxセンサ素子。
  3. 前記外側ポンプ電極は、前記第1固体電解質体の主成分を26質量%以上含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のNOxセンサ素子。
  4. 前記外部に向く前記外側ポンプ電極の表面が多孔質保護層で覆われていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のNOxセンサ素子。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のNOxセンサ素子と、前記NOxセンサ素子を保持する主体金具と、を備えてなるNOxセンサ。
JP2020011387A 2019-04-08 2020-01-28 NOxセンサ素子及びNOxセンサ Active JP7237866B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/834,299 US11549925B2 (en) 2019-04-08 2020-03-30 NOx sensor element and NOx sensor
DE102020109551.1A DE102020109551A1 (de) 2019-04-08 2020-04-06 NOx-Sensorelement und NOx-Sensor
CN202010265870.7A CN111796015B (zh) 2019-04-08 2020-04-07 NOx传感器元件和NOx传感器

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019073294 2019-04-08
JP2019073294 2019-04-08

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020173247A JP2020173247A (ja) 2020-10-22
JP7237866B2 true JP7237866B2 (ja) 2023-03-13

Family

ID=72831233

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020011387A Active JP7237866B2 (ja) 2019-04-08 2020-01-28 NOxセンサ素子及びNOxセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7237866B2 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000088796A (ja) 1998-09-17 2000-03-31 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
JP2002228622A (ja) 2001-01-31 2002-08-14 Kyocera Corp 酸素センサおよびその製造方法
JP2003107042A (ja) 2001-09-27 2003-04-09 Kyocera Corp 酸素センサ
JP2003270202A (ja) 2002-03-15 2003-09-25 Kyocera Corp 酸素センサ素子
JP2009198498A (ja) 2008-01-24 2009-09-03 Ngk Spark Plug Co Ltd NOxセンサ及びその製造方法
JP2010145133A (ja) 2008-12-16 2010-07-01 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
JP2010286473A (ja) 2009-05-11 2010-12-24 Denso Corp セラミック積層体の製造方法
JP2012137363A (ja) 2010-12-27 2012-07-19 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
WO2016098844A1 (ja) 2014-12-17 2016-06-23 株式会社デンソー ガスセンサ及びその製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000088796A (ja) 1998-09-17 2000-03-31 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
JP2002228622A (ja) 2001-01-31 2002-08-14 Kyocera Corp 酸素センサおよびその製造方法
JP2003107042A (ja) 2001-09-27 2003-04-09 Kyocera Corp 酸素センサ
JP2003270202A (ja) 2002-03-15 2003-09-25 Kyocera Corp 酸素センサ素子
JP2009198498A (ja) 2008-01-24 2009-09-03 Ngk Spark Plug Co Ltd NOxセンサ及びその製造方法
JP2010145133A (ja) 2008-12-16 2010-07-01 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
JP2010286473A (ja) 2009-05-11 2010-12-24 Denso Corp セラミック積層体の製造方法
JP2012137363A (ja) 2010-12-27 2012-07-19 Ngk Spark Plug Co Ltd ガスセンサ
WO2016098844A1 (ja) 2014-12-17 2016-06-23 株式会社デンソー ガスセンサ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020173247A (ja) 2020-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5204160B2 (ja) マルチガスセンサの制御方法及びマルチガスセンサの制御装置
JP4659889B2 (ja) ガスセンサ
US20120145543A1 (en) Multigas sensor
JP4981075B2 (ja) NOxセンサ
JP2017198659A (ja) ガスセンサ素子およびガスセンサ
JP7111608B2 (ja) センサ及びセンサの製造方法
JP4865572B2 (ja) ガスセンサ素子、ガスセンサ及びNOxセンサ
JP5192031B2 (ja) ガスセンサ
US10690621B2 (en) Sensor element for detecting at least one property of a measuring gas in a measuring gas chamber
US8431002B2 (en) Gas sensor
JP2012173147A (ja) ガスセンサ素子、及びガスセンサ
US6889536B2 (en) Air/fuel-ratio detecting apparatus
JP7237866B2 (ja) NOxセンサ素子及びNOxセンサ
US20230296553A1 (en) Gas sensor
JP5977414B2 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
CN111796015B (zh) NOx传感器元件和NOx传感器
JP6726604B2 (ja) ガスセンサ
US11761924B2 (en) Sensor element, gas sensor, and gas sensor unit
JP2017075798A (ja) NOxセンサの製造方法
JP2020042003A (ja) センサの製造方法
JP7137502B2 (ja) ガスセンサに組み込まれたセンサ素子のプレ処理方法、および、ガスセンサに組み込まれたセンサ素子の検査方法
US20230324327A1 (en) Gas sensor and concentration correction method for use in gas sensor
JP2004239688A (ja) 空燃比検出装置
US10859526B2 (en) Gas sensor with a pump cell
WO2019130849A1 (ja) ガスセンサ素子およびガスセンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230301

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7237866

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150