以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る車両制御システム(車両制御システム1)の一構成例を表すものである。なお、本開示の実施の形態に係る車両制御方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
車両制御システム1は、車両10と、サーバ30とを備えている。車両10は、例えば、電気自動車などの電動車両である。車両10は、例えばLTE(Long Term Evolution)や無線LAN(Local Area Network)などの無線通信を用いて、インターネットINETに接続される。同様に、サーバ30は、インターネットINETに接続される。
この車両制御システム1では、車両10は、車両10が走行すべきルート(予定走行ルートRT)、車両10の走行速度SP、車両10の加速度ACなどについての情報を含む送信情報INFを生成し、この送信情報INFをサーバ30に送信する。サーバ30は、送信情報INFに含まれる走行速度SPおよび加速度ACについての情報に基づいて、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを更新する。サーバ30は、この走行情報データベースDBTに基づいて、車両10のモータの動作点(モータ動作点OP)の推移を推定し、その推定結果に基づいて、車両10のモータにおけるコイルの温度(コイル温度Tcoil)、モータコアの温度(モータコア温度Tcore)、および磁石の温度(磁石温度Tmag)の推移を推定する。そして、サーバ30は、その推定結果に基づいて、予定走行ルートRTにおける、事前にモータの冷却を開始すべき地点を示す事前冷却ポイントPを求める。この事前冷却ポイントPは、モータの出力制限を開始する地点よりも手前に設定される。サーバ30は、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推定値の推移についての情報(推定温度情報TEMP)と事前冷却ポイントPについての情報とを含む処理結果情報IRESを車両10に送信する。車両10は、この処理結果情報IRESに含まれる事前冷却ポイントPが示す地点に到達したときに、コイル、モータコア、および磁石を冷却する。その際、車両10は、処理結果情報IRESに含まれる推定温度情報TEMPに基づいて、コイルとモータコアおよび磁石との間の冷却割合を設定し、その設定結果に基づいて、コイル、モータコア、および磁石を冷却するようになっている。
(車両10)
車両10は、通信部11と、温度センサ12と、ナビゲーション部13と、インバータ14と、モータ15と、モータ冷却部16と、制御部20とを有している。通信部11および制御部20は、車両制御装置19を構成する。
通信部11は、LTEや無線LANなどの無線通信を用いて、インターネットINETを介してサーバ30と通信を行うように構成される。具体的には、通信部11は、サーバ30に対して送信情報INFを送信するとともに、サーバ30から送信された処理結果情報IRESを受信するようになっている。
温度センサ12は、外気の温度(外気温度Tair)を検出するように構成される。
ナビゲーション部13は、車両10が走行すべき目的地までのルート(予定走行ルートRT)を決定するとともに、運転者に情報を提供することにより、決定したルートに沿って車両10を誘導することができるように構成される。ナビゲーション部13は、地図情報データベースDBM1を有する。地図情報データベースDBM1は、道路地図についての情報を記憶するように構成される。ナビゲーション部13は、この地図情報データベースDBM1に基づいて、予定走行ルートRTを決定する。なお、これに限定されるものではなく、例えば、ナビゲーション部13は、地図情報データベースDBM1を有さず、図示しないネットワークサーバに接続することにより道路地図についての情報を取得し、取得した情報に基づいて予定走行ルートRTを決定してもよい。ナビゲーション部13は、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて、地上での車両10の位置(車両位置POS)を取得する。また、ナビゲーション部13は、例えば、表示パネル、タッチパネル、各種ボタンなどのユーザインタフェースUIを有している。これにより、ナビゲーション部13は、例えば、運転者がこのユーザインタフェースUIを操作することにより入力した目的地についての情報に基づいて目的地までの予定走行ルートRTを決定し、決定したルートについての情報を、このユーザインタフェースUIを用いて運転者に提供するようになっている。
インバータ14は、制御部20からの指示に基づいて、図示しないバッテリから供給された直流電力Pdcに基づいて交流電力Pacを生成し、生成した交流電力Pacをモータ15に供給するように構成される。
モータ15は、インバータ14から供給された交流電力Pacに基づいて、機械的エネルギーである駆動力を生成する動力源である。モータ15が生成した駆動力は、例えば変速機(図示せず)などを介して車両10の駆動輪(図示せず)に伝達されるようになっている。モータ15は、コイル15Aと、温度センサ15ATと、モータコア15Bと、温度センサ15BTと、磁石15Cと、温度センサ15CTとを有している。温度センサ15ATは、コイル15Aの温度(コイル温度Tcoil)を検出するように構成される。温度センサ15BTは、モータコア15Bの温度(モータコア温度Tcore)を検出するように構成される。温度センサ15CTは、磁石の温度(磁石温度Tmag)を検出するように構成される。
モータ冷却部16は、制御部20からの指示に基づいて、モータ15を冷却するように構成される。モータ冷却部16は、例えば、ポンプなどを含み、冷却媒体を循環させることによりモータ15を冷却するようになっている。モータ冷却部16は、例えば、ポンプによる吐出流量を増やすことにより、冷却性能を高めることができる。また、モータ冷却部16は、例えば、冷却媒体を循環させる流路に設けられたバルブにより、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を変更することができるようになっている。モータ冷却部16は、温度センサ16Tを有している。温度センサ16Tは、冷却媒体の温度(冷却媒体温度Tc)を検出するように構成される。
制御部20は、例えばECU(Electronic Control Unit)を含んで構成され、車両10を制御するように構成される。制御部20は、送信情報生成部21と、冷却判断部22と、冷却制御部23と、出力制限判断部24と、モータ制御部25とを有している。
送信情報生成部21は、サーバ30に送信する送信情報INFを生成するように構成される。
図2は、送信情報INFの一構成例を表すものである。送信情報INFは、車両識別子ID、車両データDT、車両位置POS、予定走行ルートRT、走行速度SP、加速度AC、外気温度Tair、冷却媒体温度Tc、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、磁石温度Tmag、モータ損失マップMAPについての情報を含んでいる。車両識別子IDは、車両10を識別する識別子である。車両データDTは、車重、ギア構成、ギア比、モータ15の性能など、車両10の諸元についての情報を含んでいる。モータ損失マップMAPは、エネルギー損失が生じるモータ動作点OPの領域を示すマップデータである。
図3は、モータ損失マップMAPの一構成例を表すものである。このモータ損失マップMAPにおいて、横軸はモータ15の回転数(モータ回転数)を示し、縦軸はモータ15のトルク(モータトルク)を示す。モータ動作点OPは、モータ回転数およびモータトルクで表される。この図では、パワーが一定であるモータ動作点OPを結んだ線を破線で示している。モータ損失マップMAPには、領域RA,RBが設けられている。領域RAは、モータ15のコイル15Aに含まれる銅によりエネルギーが損失する(いわゆる銅損)領域を示す。この銅損は、例えば、モータトルクが高く、モータ回転数が低い場合に生じ得る。領域RBは、モータ15のモータコア15Bに含まれる鉄によりエネルギーが損失する(いわゆる鉄損)領域を示す。この鉄損は、例えば、モータ回転数が高く、モータトルクが低い場合に生じ得る。モータ損失マップMAPには、このように、銅損が生じる領域RA、および鉄損が生じる領域RBが設定されている。サーバ30は、このモータ損失マップMAPと、推定したモータ動作点OPの推移とに基づいて、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、磁石温度Tmagの推移を推定するようになっている。
送信情報生成部21は、図2に示した様々な情報を含む送信情報INFを生成する。そして、通信部11は、送信情報生成部21が生成した送信情報INFを、サーバ30に送信するようになっている。
冷却判断部22は、サーバ30から送信された処理結果情報IRESに含まれる事前冷却ポイントPについての情報に基づいて、冷却制御部23に対してモータ15の冷却を開始するように指示する。また、冷却判断部22は、処理結果情報IRESに含まれる推定温度情報TEMPに基づいて、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を設定する機能をも有している。
冷却制御部23は、モータ冷却部16に対して指示を行うことにより、モータ冷却部16の動作を制御するように構成される。また、冷却制御部23は、冷却判断部22からの指示に基づいて、モータ冷却部16における、モータ冷却特性を高めに設定するとともに、指示された冷却割合で、コイル15Aと、モータコア15Bおよび磁石15Cとを冷却するように制御するようになっている。
出力制限判断部24は、例えば、検出されたコイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagのうちの少なくとも1つが所定の温度に達した場合や、モータ15の負荷が所定の負荷に達した場合など、所定の条件を満たした場合に、モータ15の出力制限を行うべきであると判断するように構成される。モータ15の出力制限は、例えば回転数の制限や、トルクの制限を含む。そして、出力制限判断部24は、その判断結果に基づいて、モータ制御部25に対して指示を行うようになっている。
モータ制御部25は、インバータ14に対して指示を行うことにより、モータ15の動作を制御するように構成される。また、モータ制御部25は、出力制限判断部24からの指示に基づいて、モータ15の回転数やトルクを下げることにより、モータの出力制限を行う機能をも有している。
(サーバ30)
サーバ30は、車両10から送信された送信情報INFに基づいて、その車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを更新するとともに、その走行情報データベースDBTに基づいて、予定走行ルートRTにおけるモータ動作点OPの推移を推定し、その推定結果に基づいて、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推移を推定するように構成される。サーバ30は、1つのサーバ装置により構成されていてもよいし、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。サーバ30は、通信部31と、記憶部32と、制御部40とを有している。
通信部31は、インターネットINETを介して、車両10と通信を行うように構成される。具体的には、通信部31は、車両10から送信された送信情報INFを受信するとともに、その車両10に対して、処理結果情報IRESを送信するようになっている。
記憶部32は、例えばハードディスクドライブなどを含んで構成され、サーバ30で実行される各種プログラムや、生成されたデータを記憶するように構成される。記憶部32は、地図情報データベースDBM2と、渋滞情報データベースDBJと、走行情報データベースDBTとを記憶している。地図情報データベースDBM2は、道路地図についての情報を記憶するように構成される。この地図情報データベースDBM2は、各道路の勾配について情報をも含んでいる。渋滞情報データベースDBJは、道路における渋滞情報を、道路と対応づけて記憶するように構成される。走行情報データベースDBTは、車両識別子IDと対応づけて管理され、車両10の走行速度SPおよび加速度ACについての情報を道路に対応づけて記憶するように構成される。
制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体回路を含んで構成され、サーバ30を制御するように構成される。制御部40は、データベース管理部41と、動作点推定部42と、モータ温度推定部43と、事前冷却ポイント算出部44とを有している。
データベース管理部41は、地図情報データベースDBM2、渋滞情報データベースDBJ、および走行情報データベースDBTを管理するように構成される。具体的には、データベース管理部41は、例えば、図示しないネットワークサーバから渋滞情報を取得し、取得した渋滞情報に基づいて渋滞情報データベースDBJを更新する。また、データベース管理部41は、送信情報INFに含まれる車両識別子IDについての情報に基づいて、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを特定する。そして、データベース管理部41は、送信情報INFに含まれる車両位置POSに基づいて、地図情報データベースDBM2を用いて、車両10が走行している道路を特定する。そして、データベース管理部41は、送信情報INFに含まれる走行速度SPおよび加速度ACについての情報を、特定された道路における車両位置POSが示す地点に対応づけて、特定された走行情報データベースDBTに蓄積する。また、データベース管理部41は、動作点推定部42、モータ温度推定部43、および事前冷却ポイント算出部44からの指示に基づいて、地図情報データベースDBM2、渋滞情報データベースDBJ、および走行情報データベースDBTを用いて情報を取得するようになっている。
動作点推定部42は、送信情報INFに含まれる予定走行ルートRTおよび車両データDTについての情報に基づいて、走行情報データベースDBTおよび渋滞情報データベースDBJを用いて、モータ動作点OPの推移を推定するように構成される。具体的には、動作点推定部42は、走行情報データベースDBTに蓄積された、予定走行ルートRTにおける走行速度SPおよび加速度ACの平均値や、渋滞情報データベースDBJが示す、予定走行ルートRTにおける渋滞情報に基づいて、予定走行ルートRTにおける、走行速度SPおよび加速度ACの推移を推定することにより、走行データの推移を推定する。そして、動作点推定部42は、その推定結果および車両データDTに基づいて、モータ15のモータ回転数およびモータトルクの推移を算出することにより、モータ動作点OPの推移を推定するようになっている。
モータ温度推定部43は、送信情報INFに含まれるモータ損失マップMAP、車両データDT、外気温度Tair、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagについての情報に基づいて、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推移を推定するように構成される。具体的には、モータ温度推定部43は、動作点推定部42が推定したモータ動作点OPの推移についての情報、およびモータ損失マップMAPに基づいて、コイル15Aにおける発熱量、およびモータコア15Bにおける発熱量を推定する。また、モータ温度推定部43は、外気温度Tairおよび冷却媒体温度Tcに基づいて、コイル15Aにおける放熱量、モータコア15Bにおける放熱量、および磁石15Cにおける放熱量を推定する。そして、モータ温度推定部43は、送信情報INFに含まれるコイル温度Tcoilを初期値とし、コイル15Aにおける発熱量および放熱量の差を予定走行ルートRTに沿って積分することにより、コイル温度Tcoilの推移を推定する。同様に、モータ温度推定部43は、送信情報INFに含まれるモータコア温度Tcoreを初期値とし、モータコア15Bにおける発熱量および放熱量の差を予定走行ルートRTに沿って積分することにより、モータコア温度Tcoreの推移を推定する。また、モータ温度推定部43は、送信情報INFに含まれる磁石温度Tmagを初期値とし、モータコア15Bから磁石15Cに供給される熱量および磁石15Cにおける放熱量の差を予定走行ルートRTに沿って積分することにより、磁石温度Tmagの推移を推定する。このようにして、モータ温度推定部43は、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推定値の推移についての情報を含む推定温度情報TEMPを生成するようになっている。
事前冷却ポイント算出部44は、モータ温度推定部43が生成した推定温度情報TEMPに基づいて、予定走行ルートRTにおける事前冷却ポイントPを算出するように構成される。具体的には、事前冷却ポイント算出部44は、例えば、予定走行ルートRTにおける、コイル温度Tcoilの推定値が所定のしきい温度TthAを超える地点PA、モータコア温度Tcoreの推定値が所定のしきい温度TthBを超える地点PB、および磁石温度Tmagの推定値が所定のしきい温度TthCを超える地点PCを算出する。そして、事前冷却ポイント算出部44は、これらの3つの地点PA,PB,PCのうちの、車両10に一番近い地点を事前冷却ポイントPとして決定するようになっている。
この構成により、車両制御システム1では、サーバ30は、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを用いて、予定走行ルートRTにおけるモータ動作点OPの推移を推定する。そして、サーバ30は、このモータ動作点OPの推移、およびモータ損失マップMAPに基づいて、予定走行ルートRTにおけるコイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推定値の推移についての情報(推定温度情報TEMP)を生成し、この推定温度情報TEMPに基づいて、予定走行ルートRTにおける事前冷却ポイントPを算出する。サーバ30は、推定温度情報TEMPと事前冷却ポイントPについての情報を含む処理結果情報IRESを、車両10に送信する。車両10は、事前冷却ポイントPが示す地点に到達したときに、モータ15の冷却を開始する。その際、車両10は、推定温度情報TEMPに基づいて、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を設定し、その設定結果に基づいて、コイル15A、モータコア15B、および磁石15Cを冷却する。これにより、車両制御システム1では、適切にモータ15を冷却することができるようになっている。
ここで、走行情報データベースDBTは、本開示における「第1のデータベース」の一具体例に対応する。渋滞情報データベースDBJは、本開示における「第2のデータベース」の一具体例に対応する。地図情報データベースDBM2は、本開示における「第3のデータベース」の一具体例に対応する。モータ動作点OPは、本開示における「動作点」の一具体例に対応する。事前冷却ポイントPは、本開示における「冷却地点」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の車両制御システム1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、車両制御システム1の全体動作概要を説明する。車両10は、予定走行ルートRT、走行速度SP、加速度ACなどについての情報を含む送信情報INFを生成し、この送信情報INFをサーバ30に送信する。サーバ30は、送信情報INFに含まれる走行速度SPおよび加速度ACについての情報に基づいて、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを更新する。
また、サーバ30は、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを用いて、予定走行ルートRTにおけるモータ動作点OPの推移を推定し、その推定結果に基づいて、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推移を推定することにより推定温度情報TEMPを生成する。そして、サーバ30は、この推定温度情報TEMPに基づいて事前冷却ポイントPを算出する。この事前冷却ポイントPは、モータの出力制限を開始する地点よりも手前に設定される。そして、サーバ30は、推定温度情報TEMPおよびこの事前冷却ポイントPについての情報を含む処理結果情報IRESを車両10に送信する。車両10は、この処理結果情報IRESを受信し、この処理結果情報IRESに含まれる事前冷却ポイントPが示す地点に到達したときに、モータ15の冷却を開始する。車両10は、推定温度情報TEMPに基づいて、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を設定する。また、車両10は、例えば、検出されたコイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagが所定の温度に達した場合や、モータ15の負荷が所定の負荷に達した場合など、所定の条件を満たした場合に、モータ15の出力制限を行う。
(詳細動作)
図4は、車両制御システム1の一動作例を表すものである。サーバ30は、車両10から送信された送信情報INFに基づいて、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推移を推定することにより推定温度情報TEMPを生成し、車両10は、この推定温度情報に基づいて、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を設定する。以下に、この動作についての詳細に説明する。
まず、車両10の送信情報生成部21は、図2に示した送信情報INFを生成する(ステップS101)。
次に、車両10の通信部11は、サーバ30に対してこの送信情報INFを送信する(ステップS102)。サーバ30の通信部31は、この送信情報INFを受信し、制御部40は、この送信情報INFに含まれる、車両識別子ID、車両データDT、車両位置POS、予定走行ルートRT、走行速度SP、加速度AC、外気温度Tair、冷却媒体温度Tc、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、磁石温度Tmag、およびモータ損失マップMAPについての情報を取得する。
次に、サーバ30のデータベース管理部41は、送信情報INFに含まれる車両位置POS、走行速度SP、および加速度ACについての情報に基づいて、走行情報データベースDBTを更新する(ステップS103)。具体的には、データベース管理部41は、送信情報INFに含まれる車両識別子IDについての情報に基づいて、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを特定する。そして、データベース管理部41は、送信情報INFに含まれる車両位置POSについての情報に基づいて、地図情報データベースDBM2を用いて、車両10が走行している道路を特定する。そして、データベース管理部41は、送信情報INFに含まれる走行速度SPおよび加速度ACについての情報を、特定された道路における車両位置POSが示す地点に対応づけて、特定された走行情報データベースDBTに蓄積することにより、走行情報データベースDBTを更新する。
次に、動作点推定部42は、送信情報INFに含まれる予定走行ルートRTについての情報に基づいて、走行情報データベースDBTおよび渋滞情報データベースDBJを用いて、予定走行ルートRTにおける走行速度SPおよび加速度ACの推移を推定することにより、予定走行ルートRTにおける走行データの推移を推定する(ステップS104)。具体的には、動作点推定部42は、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTに蓄積された、予定走行ルートRTにおける走行速度SPおよび加速度ACの平均値や、渋滞情報データベースDBJが示す、予定走行ルートRTにおける渋滞情報に基づいて、予定走行ルートRTにおける、走行速度SPおよび加速度ACの推移を推定することにより、走行データの推移を推定する。
次に、動作点推定部42は、ステップS104において推定された予定走行ルートRTにおける走行データの推移についての情報と、送信情報INFに含まれる車両データDTについての情報に基づいて、モータ15のモータ回転数およびモータトルクの推移を算出することにより、モータ動作点OPの推移を推定する(ステップS105)。
次に、モータ温度推定部43は、ステップS105において推定されたモータ動作点OPの推移についての情報、および送信情報INFに含まれるモータ損失マップMAPについての情報に基づいて、推定温度情報TEMPを生成する(ステップS106)。具体的には、モータ温度推定部43は、ステップS105において推定されたモータ動作点OPの推移についての情報、および送信情報INFに含まれるモータ損失マップMAPについての情報に基づいて、コイル15Aにおける発熱量、およびモータコア15Bにおける発熱量を推定する。また、モータ温度推定部43は、外気温度Tairおよび冷却媒体温度Tcに基づいて、コイル15Aにおける放熱量、モータコア15Bにおける放熱量、および磁石15Cにおける放熱量を推定する。そして、モータ温度推定部43は、送信情報INFに含まれるコイル温度Tcoilを初期値とし、発熱量および放熱量の差を予定走行ルートRTに沿って積分することにより、コイル温度Tcoilの推移を推定する。同様に、モータ温度推定部43は、送信情報INFに含まれるモータコア温度Tcoreを初期値とし、発熱量および放熱量の差を予定走行ルートRTに沿って積分することにより、モータコア温度Tcoreの推移を推定する。また、モータ温度推定部43は、送信情報INFに含まれる磁石温度Tmagを初期値とし、モータコア15Bから磁石15Cに供給される熱量および放熱量の差を予定走行ルートRTに沿って積分することにより、磁石温度Tmagの推移を推定する。このようにして、モータ温度推定部43は、推定温度情報TEMPを生成する。
次に、サーバ30の事前冷却ポイント算出部44は、ステップS106において生成した推定温度情報TEMPに基づいて、予定走行ルートRTにおける事前冷却ポイントPを算出する(ステップS107)。具体的には、事前冷却ポイント算出部44は、例えば、予定走行ルートRTにおける、コイル温度Tcoilの推定値が所定のしきい温度TthAを超える地点PA、モータコア温度Tcoreの推定値が所定のしきい温度TthBを超える地点PB、および磁石温度Tmagの推定値が所定のしきい温度TthCを超える地点PCを算出する。そして、事前冷却ポイント算出部44は、これらの3つの地点PA,PB,PCをのうちの、車両10に一番近い地点を事前冷却ポイントPとして決定する。
図5は、事前冷却ポイントPの一例を表すものである。車両10は、予定走行ルートRTに沿って走行している。車両10は、車両位置POSが示す位置を走行している。事前冷却ポイントPは、予定走行ルートRTにおける車両10の前方に設定される。サーバ30は、モータ15の出力制限が開始される前に、この事前冷却ポイントPが示す地点において車両10がモータ15の冷却を開始すべきであると判断する。
次に、サーバ30の通信部31は、車両10に対して、この事前冷却ポイントPについての情報および推定温度情報TEMPを含む処理結果情報IRESを送信する(ステップS109)。車両10の通信部11は、この処理結果情報IRESを受信する。
以上で、このシーケンスは終了する。車両制御システム1は、この一連の動作を、例えば所定の時間間隔で繰り返す。
車両10の出力制限判断部24は、例えば、検出されたコイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagのうちの少なくとも1つが所定の温度に達した場合や、モータ15の負荷が所定の負荷に達した場合など、所定の条件を満たした場合に、モータ15の出力制限を行うべきであると判断する。そして、モータ制御部25は、出力制限判断部24からの指示に基づいて、モータ15の回転数やトルクを下げることにより、モータ15の出力制限を行う。
また、車両10の冷却判断部22は、サーバ30から送信された処理結果情報IRESに基づいて、車両10がこの事前冷却ポイントPが示す地点に到達したときに、モータ15の冷却を開始する。その際、冷却判断部22は、推定温度情報TEMPに基づいて、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を設定し、モータ冷却部16は、その設定結果に基づいて、コイル15A、モータコア15B、および磁石15Cを冷却する。
図6は、冷却判断部22における冷却割合の設定動作の一例を表すものである。
冷却判断部22は、処理結果情報IRESに含まれる推定温度情報TEMPに基づいて、銅損によるモータ15の出力制限が推定され、かつ、モータコア温度Tcoreおよび磁石温度Tmagに余裕があるかどうかを確認する(ステップS121)。具体的には、冷却判断部22は、推定温度情報TEMPに含まれるコイル温度Tcoilの推移についての情報に基づいて、今後、例えば所定の長さの期間にわたりコイル温度Tcoilが所定の温度よりも高い状態が続くなどの所定の条件を満たした場合に、車両10が銅損によるモータ15の出力制限を行うであろうと推定する。また、冷却判断部22は、推定温度情報TEMPに含まれるモータコア温度Tcoreおよび磁石温度Tmagの推移についての情報に基づいて、モータコア温度Tcoreおよび磁石温度Tmagが所定の温度よりも低い場合には、モータコア温度Tcoreおよび磁石温度Tmagに余裕があると判断する。言い換えれば、冷却判断部22は、モータコア温度Tcoreおよび磁石温度Tmagが少し上昇してもモータ15の出力制限を行う必要はないであろうと推定した場合に、モータコア温度Tcoreおよび磁石温度Tmagに余裕があると判断する。
ステップS121における条件を満たした場合(ステップS121において“Y”)には、冷却判断部22は、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を、コイル15Aの冷却割合が通常の冷却割合よりも高いような冷却割合に設定する(ステップS122)。
ステップS121における条件を満たさない場合(ステップS121において“N”)には、冷却判断部22は、処理結果情報IRESに含まれる推定温度情報TEMPに基づいて、鉄損によるモータ15の出力制限が推定され、かつ、コイル温度Tcoilに余裕があるかどうかを確認する(ステップS123)。具体的には、冷却判断部22は、推定温度情報TEMPに含まれるモータコア温度Tcoreの推移についての情報に基づいて、今後、例えば所定の長さの期間にわたりモータコア温度Tcoreが所定の温度よりも高い状態が続くなどの所定の条件を満たした場合に、車両10が鉄損によるモータ15の出力制限を行うであろうと推定する。また、冷却判断部22は、推定温度情報TEMPに含まれるコイル温度Tcoilの推移についての情報に基づいて、コイル温度Tcoilが所定の温度よりも低い場合には、コイル温度Tcoilに余裕があると判断する。言い換えれば、冷却判断部22は、コイル温度Tcoilが少し上昇してもモータ15の出力制限を行う必要はないであろうと推定した場合に、コイル温度Tcoilに余裕があると判断する。
ステップS123における条件を満たした場合(ステップS121において“Y”)には、冷却判断部22は、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を、モータコア15Bおよび磁石15Cの冷却割合が通常の冷却割合よりも高いような冷却割合に設定する(ステップS124)。
ステップS123における条件を満たさない場合(ステップS123において“N”)には、冷却判断部22は、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を、通常の冷却割合に設定する(ステップS125)。
以上で、このフローは終了する。
図7は、車両制御システム1におけるモータ15の温度の推移の一例を表すものであり、(A)はコイル温度Tcoilの推移を示し、(B)はモータコア温度Tcoreの推移を示す。破線は、事前冷却制御を行わない場合の例を示し、実線は、事前冷却制御を行う場合の例を示す。しきい温度TA,TBは、出力制限判断部24がモータ15の出力制限を行うかどうかを判断する際に用いられる温度である。コイル温度Tcoilがこのしきい温度TAより高い場合に、出力制限判断部24は、モータ15の出力制限を行うべきと判断する。同様に、モータコア温度Tcoreがこのしきい温度TBより高い場合に、出力制限判断部24は、モータ15の出力制限を行うべきと判断する。
この例では、車両10は、タイミングt1において走行を開始し、タイミングt4において走行を終了する。タイミングt2~t3の期間において、コイル温度Tcoilおよびモータコア温度Tcoreが上昇していく。冷却判断部22は、この例では、銅損によるモータ15の出力制限が推定され、かつ、モータコア温度Tcoreおよび磁石温度Tmagに余裕があると判断する(ステップS121において“Y”)。そして、冷却判断部22は、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を、コイル15Aの冷却割合が通常の冷却割合よりも高いような冷却割合に設定する(ステップS122)。そして、モータ冷却部16は、タイミングt2~t3の期間(事前冷却期間A)において、冷却判断部22の指示に基づいて、コイル15A、モータコア15B、および磁石15Cを冷却する。これにより、車両制御システム1では、この例ではコイル温度Tcoilの温度上昇幅を抑えることができるので、モータ15の出力制限を回避することができ、このモータ15の出力制限による走行性能の低下を回避することができる。
このように、車両制御システム1では、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを用いて予定走行ルートRTにおけるモータ動作点OPの推移を推定し、その推定結果に基づいてコイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推移を推定するようにした(ステップS104~S106)。そして、車両制御システム1では、この推定結果に基づいて、図6に示したように、コイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合を設定するようにした。これにより、車両制御システム1では、例えば、山道のような道路勾配が大きい道路では、例えばモータ回転数が低くモータトルクが高いようなモータ動作点OPを推定し、例えば、高速道路では、例えば、モータ回転数が高くモータトルクが低いようなモータ動作点OPを推定することができる。そして、車両制御システム1では、このようなモータ動作点OPの推移に基づいて、コイル15Aにおける銅損や、モータコア15Bにおける鉄損を考慮して、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推移を個別に推定することができる。これにより、車両制御システム1では、例えば、コイル15Aを強めに冷却すべき場合にはコイル15Aの冷却割合を高め、モータコア15Bを強めに冷却すべき場合にはモータコア15Bおよび磁石15Cの冷却割合を高めることができる。このように、車両制御システム1では、冷却リソースを適切に割り当てることができるので、冷却によるエネルギー消費量の増加を抑えつつ、適切にモータ15を冷却することができる。
また、車両制御システム1では、車両10に対応づけられた走行情報データベースDBTを用いて、予定走行ルートRTにおけるモータ動作点OPの推移を推定するようにした。これにより、車両制御システム1では、車両10を運転する運転者のアクセルワークおよびブレーキワークを演算に反映させることができるので、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推定精度を高めることができる。その結果、車両制御システム1では、冷却割合の設定精度を高めることができるので、運転者のくせに応じて適切にモータ15を冷却することができる。
また、車両制御システム1では、走行情報データベースDBTおよび渋滞情報データベースDBJを用いて、予定走行ルートRTにおけるモータ動作点OPの推移を推定するようにした。これにより、車両制御システム1では、渋滞の程度を演算に反映させることができるので、コイル温度Tcoil、モータコア温度Tcore、および磁石温度Tmagの推定精度を高めることができる。その結果、車両制御システム1では、道路状況に応じて適切にモータ15を冷却することができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、車両に対応づけられた走行情報データベースを用いて予定走行ルートにおけるモータ動作点の推移を推定し、その推定結果に基づいてコイル温度、モータコア温度、および磁石温度の推移を推定し、その推定結果に基づいてコイルとモータコアおよび磁石との間の冷却割合を設定するようにした。これにより、冷却リソースを適切に割り当てることができるので、冷却によるエネルギー消費量の増加を抑えつつ、適切にモータを冷却することができる。
本実施の形態では、車両に対応づけられた走行情報データベースを用いて、予定走行ルートにおけるモータ動作点の推移を推定するようにしたので、運転者のくせに応じて適切にモータを冷却することができる
本実施の形態では、走行情報データベースおよび渋滞情報データベースを用いて、予定走行ルートにおけるモータ動作点の推移を推定するようにしたので、道路状況に応じて適切にモータを冷却することができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、図3に示したモータ損失マップMAPを用いたが、これに限定されるものではない。例えば、車両10におけるギア比が固定である場合には、図8に示した車両損失マップMAP2を用いてもよい。この車両損失マップMAP2は、エネルギー損失が生じる車両動作点OP2の領域を示すマップデータである。この車両損失マップMAP2において、横軸は走行速度を示し、縦軸は車両駆動力を示す。車両動作点OP2は、走行速度および車両駆動力により表される。車両損失マップMAP2には、モータ損失マップMAP(図3)と同様に、領域RA,RBが設けられている。領域RAは、モータ15のコイル15Aに含まれる銅によりエネルギーが損失する(いわゆる銅損)領域を示す。この銅損は、例えば、車両10の駆動力が大きく、走行速度が低い場合に生じ得る。領域RBは、モータ15のモータコア15Bに含まれる鉄によりエネルギーが損失する(いわゆる鉄損)領域を示す。この鉄損は、例えば、走行速度が高く、駆動力が小さい場合に生じ得る。車両10は、例えば、このような車両損失マップMAP2を含む送信情報INFを、サーバ30に送信する。ここで、車両動作点OP2は、本開示における「動作点」の一具体例に対応する。
本変形例では、動作点推定部42は、予定走行ルートRTについての情報に基づいて、走行情報データベースDBTおよび渋滞情報データベースDBJを用いて、予定走行ルートRTにおける走行速度SPおよび加速度ACの推移を推定することにより、予定走行ルートRTにおける走行データの推移を推定する。そして、動作点推定部42は、車両データDTに含まれるギア構成およびギア比についての情報が、ギア比が固定であることを示す場合には、推定した加速度ACの推移を車両駆動力の推移に変換することにより、車両動作点OP2の推移を推定する。そして、モータ温度推定部43は、この車両動作点OP2の推移についての情報、および送信情報INFに含まれる車両損失マップMAP2についての情報に基づいて、推定温度情報TEMPを生成する。これにより、本変形例では、上記実施の形態の場合に比べ、動作点(車両動作点OP2)の推移を推定する処理を簡略化することができる。
[変形例2]
上記実施の形態では、サーバ30に走行情報データベースDBTを設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、車両に走行情報データベースDBTを設けてもよい。以下に、本変形例について詳細に説明する。
図9は、本変形例に係る車両制御システム1Bの一構成例を表すものである。車両制御システム1Bは、車両10Bと、サーバ30Bとを備えている。
車両10Bは、通信部11と、温度センサ12と、ナビゲーション部13と、記憶部52Bと、インバータ14と、モータ15と、モータ冷却部16と、制御部20Bとを有している。通信部11および制御部20Bは、車両制御装置19Bを構成する。
記憶部52Bは、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどを含んで構成される。記憶部52Bは、走行情報データベースDBTを記憶している。
制御部20Bは、送信情報生成部21Bと、データベース管理部61Bと、動作点推定部62Bと、モータ温度推定部63Bと、事前冷却ポイント算出部64Bと、冷却判断部22と、冷却制御部23と、出力制限判断部24と、モータ制御部25とを備えている。送信情報生成部21Bは、サーバ30Bに送信する送信情報INFBを生成するように構成される。送信情報INFBは、予定走行ルートRTについての情報を含んでいる。データベース管理部61B、動作点推定部62B、モータ温度推定部63B、および事前冷却ポイント算出部64Bは、上記実施の形態に係るデータベース管理部41、動作点推定部42、モータ温度推定部43、および事前冷却ポイント算出部44にそれぞれ対応している。
サーバ30Bは、通信部31と、記憶部32Bと、制御部40Bとを有している。記憶部32Bは、地図情報データベースDBM2と、渋滞情報データベースDBJとを記憶している。制御部40Bは、データベース管理部41Bを有している。データベース管理部41Bは、地図情報データベースDBM2および渋滞情報データベースDBJを管理するように構成される。また、データベース管理部41Bは、送信情報INFBに含まれる予定走行ルートRTについての情報に基づいて、地図情報データベースDBM2および渋滞情報データベースDBJを用いて、予定走行ルートRTにおける渋滞の有無についての情報を取得する。そして、サーバ30Bの通信部31は、予定走行ルートRTにおける渋滞の有無についての情報を含む処理結果情報IRESBを、車両10Bに送信するようになっている。
図10は、車両制御システム1Bの一動作例を表すものである。
まず、車両10Bの送信情報生成部21Bは、予定走行ルートRTについての情報を含む送信情報INFBを生成する(ステップS201)。そして、車両10Bの通信部11は、サーバ30Bに対してこの送信情報INFBを送信する(ステップS202)。サーバ30Bの通信部31は、この送信情報INFBを受信する。
サーバ30Bのデータベース管理部41Bは、送信情報INFBに含まれる予定走行ルートRTについての情報に基づいて、地図情報データベースDBM2および渋滞情報データベースDBJを用いて、予定走行ルートRTにおける渋滞の有無についての情報を取得する。そして、サーバ30Bの通信部31は、これらの渋滞の有無についての情報を含む処理結果情報IRESBを、車両10Bに送信する(ステップS203)。車両10Bの通信部11は、この処理結果情報IRESBを受信する。
次に、車両10Bのデータベース管理部61Bは、車両位置POS、走行速度SP、および加速度ACについての情報に基づいて、走行情報データベースDBTを更新する(ステップS204)。
次に、車両10Bの動作点推定部62Bは、予定走行ルートRTについての情報、および処理結果情報IRESBに含まれる渋滞の有無についての情報に基づいて、走行情報データベースDBTを用いて、予定走行ルートRTにおける走行速度SPおよび加速度ACの推移を推定することにより、予定走行ルートRTにおける走行データの推移を推定する(ステップS205)。
次に、動作点推定部62Bは、ステップS205において推定された予定走行ルートRTにおける走行データの推移についての情報と、車両データDTについての情報に基づいて、モータ15のモータ回転数およびモータトルクの推移を算出することにより、モータ動作点OPの推移を推定する(ステップS206)。
次に、車両10Bのモータ温度推定部63Bは、ステップS206において推定されたモータ動作点OPの推移についての情報、およびモータ損失マップMAPについての情報に基づいて、推定温度情報TEMPを生成する(ステップS207)。
次に、車両10Bの事前冷却ポイント算出部64Bは、ステップS207において生成した推定温度情報TEMPに基づいて、予定走行ルートRTにおける事前冷却ポイントPを算出する(ステップS208)。
以上で、このシーケンスは終了する。
[変形例3]
上記実施の形態では、図6に示したように、車両10がコイル15Aとモータコア15Bおよび磁石15Cとの間の冷却割合の設定を行うようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、サーバ30が冷却割合の設定を行い、その設定結果を車両10に通知してもよい。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施の形態などでは、モータ15を冷却したが、これに限定されるものではなく、さらにインバータ14を冷却してもよい。
例えば、上記の実施の形態などでは、本技術を電気自動車に適用したが、これに限定されるものではなく、例えばハイブリッド自動車に適用してもよい。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。