以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法の比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
(画像形成システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、給紙装置10、給紙調整装置20、画像形成装置30、排紙調整装置40および巻取り装置50を備える。これらの装置は、用紙としての連続紙Sの搬送方向の上流側から下流側へ順に連結されている。
給紙装置10は、ロール状に巻かれた連続紙Sとしてのロール紙R0を収容および保持し、連続紙Sの搬送方向へ連続紙Sを給紙する。
給紙調整装置20は、連続紙Sをたるませて保持し、画像形成装置30に対する連続紙Sの給紙を調整する。すなわち、給紙調整装置20は、給紙装置10および画像形成装置30の間の連続紙Sの微小な搬送速度の差、および連続紙Sの寄り等を吸収するバッファー機能を有する。
画像形成装置30は、電子写真プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、画像データに基づく画像を連続紙Sに形成する。
排紙調整装置40は、連続紙Sをたるませて保持し、巻取り装置50に対する連続紙Sの給紙を調整する。すなわち、排紙調整装置40は、給紙調整装置20と同様に、画像形成装置30および巻取り装置50の間の連続紙Sの微小な搬送速度の差、および連続紙Sの寄り等を吸収するバッファー機能を有する。
巻取り装置50は、排紙された連続紙Sをロール状に巻き取って、ロール紙R1を形成する。
以下では、連続紙Sとしてロール紙が使用される場合を例に挙げて説明するが、連続紙Sは、ロール紙に限定されず、例えば、交互に畳まれた形態のものであってもよい。また、連続紙Sの材質は、紙に限定されず、例えば、布やフィルム等であってもよい。また、連続紙Sは、接着剤が塗布されたラベルを、剥離紙に貼り合わせて構成されるラベル紙であってもよい。
なお、画像形成システム1は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでもよいし、上述した構成要素のうちの一部の構成要素を含まなくてもよい。例えば、画像形成システム1は、給紙調整装置20および排紙調整装置40を備えなくてもよい。
(画像形成装置)
続いて、画像形成装置30の詳細について説明する。
図1に示すように、画像形成装置30は、制御部31、記憶部32、通信部33、操作パネル34、搬送部35、画像形成部36および定着部37を備える。各構成要素は、信号をやり取りするためのバスを介して、相互に接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。例えば、制御部31は、給紙装置10、給紙調整装置20、排紙調整装置40および巻取り装置50の制御部と通信して連携することによって、連続紙Sの搬送を制御する。
記憶部32は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶するハードディスク等を備える。
通信部33は、ユーザーのPC(Personal Computer)等の他の機器と通信するためのインターフェースを備える。通信部33は、例えば、ユーザーのPCから印刷ジョブを受信する。
操作パネル34は、タッチパネルやテンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備え、各種情報を表示したり、各種操作を受け付けたりする。
搬送部35は、搬送路、搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラー、および搬送ローラーを駆動する駆動モーター(図示せず)を備え、搬送路に沿って連続紙Sを搬送する。
画像形成部36は、搬送部35によって搬送されてきた連続紙Sに、画像を形成する。画像形成部36は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)等の各色の作像ユニット361、中間転写ベルト362、転写ローラー363およびクリーニング装置364を備える。
各色の作像ユニット361は、各色のトナーを含む画像を形成する。作像ユニット361の詳細については、図2を参照して後述する。
像担持体としての中間転写ベルト362は、複数のローラーによって走行可能に支持された無端ベルトであり、一次転写領域において作像ユニット361によって転写された画像を、二次転写領域に搬送する。
転写ローラー363は、二次転写領域に配置され、中間転写ベルト362を挟んで対向する対向ローラーとの間にニップ部を形成し、中間転写ベルト362によって搬送されてきた画像を、ニップ部を通過する連続紙Sに転写する。転写ローラー363は、中間転写ベルト362から離間可能に構成される。
クリーニング装置364は、中間転写ベルト362を清掃する。クリーニング装置364の詳細については、図3を参照して後述する。
定着部37は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを備え、画像形成部36によって画像が形成された連続紙Sを加熱および加圧して、連続紙Sに画像を定着させる。
なお、画像形成装置30は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでもよいし、上述した構成要素のうちの一部の構成要素を含まなくてもよい。
(作像ユニット)
続いて、作像ユニット361の詳細について説明する。
図2は、作像ユニットの概略構成を示す図である。
図2に示すように、作像ユニット361は、図2に示すように、像担持体としての感光体ドラム3611を備え、感光体ドラム3611の周囲に、帯電装置3612、露光装置3613、現像装置3614、転写ローラー3615、クリーニング装置3616およびイレーサー3617を備える。
帯電装置3612は、感光体ドラム3611の表面を一定の電位に一様に帯電させる。露光装置3613は、帯電装置3612によって帯電させられた感光体ドラム3611の表面を露光し、画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3614は、露光装置3613によって形成された静電潜像を、トナー像に現像する。転写ローラー3615は、現像装置3614によって形成され、感光体ドラム3611によって搬送されてきたトナー像を、中間転写ベルト362に転写する。クリーニング装置3616は、クリーニングブレードによって感光体ドラム3611上のトナー等を堰き止めて、感光体ドラム3611を清掃する。イレーサー3617は、感光体ドラム3611の表面を除電する。
各色の現像装置3614は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック等の各色の小粒径のトナーと、キャリアとからなる2成分現像剤を内包する。2成分現像剤は、フェライトをコアとして、その周りに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、ポリエステルを主材料として、顔料あるいはカーボンブラック等の着色剤、荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等の外添剤を加えたトナーとからなる。
(クリーニング装置)
続いて、クリーニング装置364の詳細について説明する。
図3は、クリーニング装置の概略構成を示す図である。
図3に示すように、クリーニング装置364は、板状部材3641、供給ローラー3642、ブレード(クリーニングブレード)3643、回収スクリュー3644、およびこれらを収容するハウジング3645を備える。
板状部材3641は、供給ローラー3642に当接し、供給ローラー3642の表面にトナーを塗布する(塗り付ける)板状の部材である。板状部材3641は、所定の当接力によって、供給ローラー3642に当接するように配置される。一例として、供給ローラー3642に対する板状部材3641の当接力は、5N以上40N未満に設定されることが好ましく、15N以上30N以下に設定されることがより好ましい。また、板状部材3641は、板状部材3641の一端(上端)は、自由端であり、他端(下端)は、ハウジング3645に取り付けられた保持部材3641Aに固定される、固定端であることが好ましい。
板状部材3641は、クリープ変形を回避するために、金属製の板バネ材であることが好ましい。板状部材3641の材料としては、例えば、SUS301-CSP、SUS304-CSP、SUS631-CSP等のバネ用ステンレス鋼帯等が挙げられるが、これらに限定されない。また、板状部材3641は、供給ローラー3642に対する当接力および追従性を確保して、供給ローラー3642との間に所定のニップを形成するために、50μm以上200μm未満の厚みを有することが好ましい。
供給部材としての供給ローラー3642は、中間転写ベルト362に当接して回転し、板状部材3641によって塗布されたトナーを中間転写ベルト362に供給する(塗布する)、ローラー状の部材である。供給ローラー3642は、中間転写ベルト362の搬送方向に対してウィズ方向(当接表面が同一方向に移動する方向)に、所定の速度で回転する。
供給ローラー3642は、所定の押圧力によって、中間転写ベルト362を押圧するように配置される。一例として、中間転写ベルト362に対する供給ローラー3642の押圧力は、0.5N以上40N未満に設定されることが好ましく、10N以上20N以下に設定されることがより好ましい。また、供給ローラー3642は、板状部材3641との当接部の上方(重力方向に反する方向)に、トナーを貯留する空間である貯留部R(図3に示す斜線部)を形成するように配置される。
供給ローラー3642は、板状部材3641および中間転写ベルト362の各々との間に所定のニップを形成するために、弾性層を有することが好ましい。弾性層は、供給ローラー3642の表面において十分な量のトナーを保持するため、発泡スポンジから構成されることが好ましい。
ブレード3643は、中間転写ベルト362に当接し、中間転写ベルト362を清掃する平板状の部材である。ブレード3643は、図3に示すように、供給ローラー3642よりも中間転写ベルト362の搬送方向の下流側において、中間転写ベルト362の搬送方向に対してカウンター方向(当接表面が逆方向に移動する方向)に当接する。ブレード3643は、中間転写ベルト362によって搬送されてきたトナーから離脱した外添剤を、中間転写ベルト362との当接部において堰き止める。これにより、外添剤の静止層が形成され、静止層がトナーを堰き止めることによって、中間転写ベルト362が清掃される。
ブレード3643は、トナーに対する所望のクリーニング性能を達成するために、例えばウレタンゴムから構成される。一例として、中間転写ベルト362に対するブレード3643の当接力は15~40N/m、当接角は12~23°に設定されることが好ましい。ただし、ブレード3643の材料や、中間転写ベルト362に対する当接条件等は、これらの例に限定されず、所望のクリーニング性能が達成できるように、適宜設定されればよい。
回収スクリュー3644は、不要なトナーを回収し、ハウジング3645外に搬送する部材である。回収スクリュー3644は、例えば、上述したような貯留部Rの容量を超えて溢れ、自重により落下したトナー等を回収し、画像形成装置30の任意のスペースに配置された回収容器(図示せず)に搬送する。
(貯留部の容量の設定)
続いて、本実施形態に係る貯留部Rの容量の設定について説明する。
貯留部Rは、上述したように、板状部材3641および供給ローラー3642の当接部の上方に形成され、板状部材3641および供給ローラー3642の各々に隣接し、供給ローラー3642に供給されるトナーを貯留するように構成される。すなわち、貯留部Rは、供給ローラー3642の軸方向(長手方向)における全領域にわたってトナーを供給するように、軸方向から見て、供給ローラー3624に隣接するように形成される。
貯留部Rは、例えば、転写ローラー363による画像の転写後に中間転写ベルト362上に残留したトナー(転写残トナー)のうち、中間転写ベルト362および供給ローラー3642によって貯留部Rまで搬送されてきたトナーを貯留する。あるいは、貯留部Rは、作像ユニット361によって、中間転写ベルト362上に形成された、中間転写ベルト362の搬送方向(副走査方向)に延在する帯状の画像に含まれるトナーのうち、貯留部Rまで搬送されてきたトナーを貯留する。貯留部Rは、中間転写ベルト362上に付着した上述したようなトナーのうち、ブレード3643によって堰き止められ(中間転写ベルト362から除去され)、供給ローラー3642によって貯留部Rまで搬送されてきたトナーを貯留してもよい。以下では、搬送方向に延在する帯状の画像を「帯パッチ」、帯パッチに含まれるトナーを「帯パッチトナー」と称する。
貯留部Rにおいて貯留されているトナー(以下「貯留トナー」と称する)は、供給ローラー3642によって長時間摺擦され続けることによって、外添剤が離脱したり、外添剤が埋没したりして劣化する。劣化したトナーがブレード3643に供給されると、外添剤の静止層が形成されず、ブレード3643の異常摩耗によるクリーニング不良が発生し得る。ブレード3643の異常摩耗は、ブレード3643がめくれたり、ブレード3643に亀裂が入ったりすることによって発生する。したがって、クリーニング不良を防止するためには、貯留トナーを劣化していない状態に維持する必要がある。
貯留トナーを劣化していない状態に維持する方法として、例えば、印刷ジョブの実行中における所定のタイミング毎に、帯パッチを形成する方法が考えられる。この方法では、所定のタイミング毎に、帯パッチトナーが貯留部Rに供給され、貯留部Rの容量を超えたトナーが、板状部材3641の上端から溢れて排出され、貯留トナーの少なくとも一部が、帯パッチトナーによって入れ替えられる。
しかし、本実施形態のように、連続紙Sに対する印刷ジョブが実行される場合、用紙間の領域が確保されず、ページ間における十分な余白も確保されないため、帯パッチが形成され得ない。このため、連続紙Sに対する印刷ジョブの実行中において、帯パッチトナーが貯留部Rに供給されず、貯留トナーの劣化が進んでしまう。連続紙Sに対する印刷ジョブの実行中における所定のタイミング毎に、当該印刷ジョブの実行を一旦中断し、転写ローラー363を連続紙Sから離間させた状態で、帯パッチを形成する方法も考えられる。しかし、この方法では、印刷ジョブの実行を中断することによって、画像形成装置30の生産性が低下したり、連続紙Sの搬送を急停止することが難しいことによって、印刷ジョブの実行を中断する度に不要な余白が発生したりという、別の問題が発生し得る。
そこで、本実施形態では、印刷ジョブの実行中において、帯パッチが形成されない場合でも、貯留トナーを劣化していない状態に維持する方法として、貯留部Rの容量を大きく設定する方法が提案される。貯留部Rの容量は、例えば、板状部材3641の供給ローラー3642の軸方向に直交する方向における板状部材3641の長さや傾き等を変更することによって、変更される。貯留部Rの容量が大きく設定されるほど、単位量当たりのトナーに加わる単位時間当たりの摺擦ストレスが減少し、貯留トナーが劣化していない状態に維持され得る。
本実施形態では、貯留部Rの容量は、貯留部Rにおいて、供給ローラー3642の軸方向における単位長さ当たりに貯留可能なトナーの量(質量)として定義される。例えば、供給ローラー3642の軸方向(貯留部Rの長手方向、または主走査方向)における貯留部Rの長さが30cmであり、貯留部R全体において貯留可能なトナーの量が最大3gである場合、貯留部Rにおいて単位長さ当たりに貯留可能なトナーの量は、3g/30cm=0.1g/cmと算出される。
一例として、連続紙Sとしての1本分(例えば1000m)のロール紙に対する印刷ジョブが実行される場合、貯留部Rにおいて、供給ローラー3642の軸方向における単位長さ当たりに貯留可能なトナーの量は、0.08g/cm(8g/m)以上に設定されることが好ましい。すなわち、貯留部Rは、このような量のトナーを貯留可能な容量を有するように構成されることが好ましい。これにより、印刷ジョブの実行中において、帯パッチが形成されない場合でも、貯留トナーが劣化していない状態に維持され、ブレード3643の異常摩耗によるクリーニング不良が防止され得る。
(帯パッチトナーの供給)
続いて、本実施形態に係る帯パッチトナーの供給について説明する。
印刷ジョブの実行中において、帯パッチが形成されない場合でも、貯留部Rの容量が大きく設定されることによって、ブレード3643の異常摩耗によるクリーニング不良は、ある程度防止され得る。しかし、例えば、低カバレッジの画像のデータを含む印刷ジョブが繰り返し実行されると、転写残トナーが貯留部Rに長時間供給されず、貯留トナーの劣化が徐々に進み、クリーニング不良が完全に防止されない虞がある。特に、高温高湿環境では、ブレード3643を構成するゴムの硬度が低下し、中間転写ベルト362およびブレード3643の間の摩擦力が増加するため、クリーニング不良が顕著に発生し得る。
そこで、本実施形態では、制御部31は、連続紙Sに対する印刷ジョブ(第1の印刷ジョブ)の実行が終了された後から、次の印刷ジョブ(第2の印刷ジョブ)の実行が開始される前までの間に、帯パッチトナーを貯留部Rに供給するモードである「トナー供給モード」を実行する。より具体的には、トナー供給モードは、帯パッチを作像ユニット361に形成させて、中間転写ベルト362および供給ローラー3642に貯留部Rまで搬送させ、帯パッチトナーを貯留部Rに供給するモードである。なお、制御部31は、トナー供給モードの実行中、貯留部Rに供給される帯パッチトナーの量を確保するため、中間転写ベルト362から転写ローラー363を離間させてもよい。
本実施形態では、制御部31は、トナー供給モードにおいて、貯留部R全体の容量から見積もれる、貯留部R全体において貯留可能な最大のトナーの量に対する、帯パッチトナーの量の比率である「トナー供給率」を設定する。そして、制御部31は、トナー供給率に基づいて、当該トナー供給率を実現するのに必要な搬送方向における帯パッチの長さを算出し、算出した長さを有する帯パッチを作像ユニット361に形成させることによって、帯パッチトナーの量を制御する。なお、貯留部R全体において貯留可能なトナーの量に関する情報は、記憶部32に予め記憶されていてもよい。
制御部31は、例えば、トナー供給率を100%以上に設定する。これにより、例えば、高温高湿環境において、低カバレッジの画像のデータを含む印刷ジョブが実行された場合でも、次の印刷ジョブの実行が開始される前までに、貯留トナー全体を入れ替え可能な十分な量の帯パッチトナーが貯留部Rに供給され、貯留トナーの劣化が解消される。
一例として、貯留部Rにおいて、供給ローラー3642の軸方向(主走査方向)における単位長さ当たりに貯留可能なトナーの量が0.16g/cm、供給ローラー3642の軸方向における貯留部Rの長さが30cmである場合、貯留部R全体において貯留可能なトナーの量は、0.16g/cm×30cm=4.8gと算出される。そして、帯パッチにおいて単位面積当たりに含まれるトナーの量が4g/m2、中間転写ベルト362の搬送方向に垂直な方向(主走査方向)における帯パッチの幅が30cmである場合、帯パッチにおいて、中間転写ベルト362の搬送方向(副走査方向)における単位長さ当たりに含まれるトナーの量は、4g/m2×30cm=1.2g/mと算出される。このような貯留部Rおよび帯パッチの条件下で、トナー供給率が100%に設定された場合、中間転写ベルト362の搬送方向における帯パッチの長さは、4.8g÷1.2g/m×100%=4mと算出される。
あるいは、制御部31は、実行された印刷ジョブに基づいて形成された画像のカバレッジ(以下「ジョブカバレッジ」と称する)に基づいて、トナー供給率を設定し、帯パッチトナーの量を制御してもよい。これにより、例えば、印刷ジョブの実行中において、転写残トナーが貯留部Rにある程度供給され、貯留トナーの劣化が抑制されていた場合、過剰な量の帯パッチトナーが貯留部Rに供給されないで済む。
制御部31は、例えば以下の表1に示すような、ジョブカバレッジおよびトナー供給率を関連付けたデータに基づいて、トナー供給率を設定してもよい。ジョブカバレッジは、例えば、1つの印刷ジョブに基づいて形成される、複数のページに含まれる画像のカバレッジの平均値であってもよい。また、当該データは、記憶部32に予め記憶されていてもよい。
表1に示す例では、ジョブカバレッジが増加するほど、トナー供給率が低下するように設定されている。例えば、ジョブカバレッジが10%以上15%未満である場合、トナー供給率は20%に設定される。トナー供給率が20%に設定された場合において、貯留部Rにおいて単位長さ当たりに貯留可能なトナーの量が0.16g/cm、主走査方向における貯留部Rの長さおよび帯パッチの幅が30cm、帯パッチにおいて単位面積当たりに含まれるトナーの量が4g/m2であるとき、副走査方向における帯パッチの長さは0.8mと算出される。
なお、トナー供給率は、ジョブカバレッジに反比例するように設定されてもよい。また、設定され得るトナー供給率に対応する帯パッチの長さは、予め算出され、記憶部32に記憶されていてもよいし、トナー供給率が設定される度に、新たに算出されてもよい。
(画像形成装置の処理)
続いて、画像形成装置30における処理の流れについて説明する。
図4は、画像形成装置の処理の手順を示すフローチャートである。図4に示す処理のアルゴリズムは、記憶部32にプログラムとして記憶されており、制御部31によって実行される。以下では、制御部31が、印刷ジョブの実行が終了された直後に、トナー供給モードを実行する場合を例に挙げて説明する。
図4に示すように、まず、制御部31は、印刷ジョブの実行が終了されたか否かを判断する(ステップS101)。
印刷ジョブの実行が終了されていないと判断した場合(ステップS101:NO)、すなわち、印刷ジョブが実行中であると判断した場合、制御部31は、印刷ジョブの実行が終了するまで待機する。
印刷ジョブの実行が終了されたと判断した場合(ステップS101:YES)、制御部31は、トナー供給モードの実行を開始し、直前まで実行されていた印刷ジョブに基づいて形成された、画像のカバレッジ(ジョブカバレッジ)を確認する(ステップS102)。制御部31は、例えば、印刷ジョブの実行中において、ジョブカバレッジを予め算出し、記憶部32に記憶させておき、ステップS102において、記憶されているジョブカバレッジを確認する。あるいは、制御部31は、ステップS102の時点で、ジョブカバレッジを算出してもよい。
続いて、制御部31は、確認されたジョブカバレッジに基づいて、トナー供給率を設定する(ステップS103)。制御部31は、例えば、ジョブカバレッジと、表1に示すようなデータとに基づいて、トナー供給率を設定する。そして、制御部31は、トナー供給率に基づいて、形成すべき帯パッチの長さを確認する(ステップS104)。制御部31は、例えば、設定され得るトナー供給率に対応する帯パッチの長さを予め算出し、記憶部32に記憶させておき、ステップS104において、記憶されている帯パッチの長さを確認する。あるいは、制御部31は、ステップS104の時点で、帯パッチの長さを算出してもよい。
続いて、制御部31は、確認された長さを有する帯パッチを作像ユニット361に形成させて、中間転写ベルト362および供給ローラー3642に貯留部Rまで搬送させる(ステップS105)。これにより、帯パッチトナーが貯留部Rに供給される。そして、制御部31は、トナー供給モードの実行を終了し、図4に示す処理を終了する。
なお、上述した例では、制御部31が、印刷ジョブの実行が終了された直後に、ステップS102~S105の処理を実行する場合を例に挙げて説明した。しかし、制御部31は、印刷ジョブの実行が終了された後から、次の印刷ジョブの実行が開始される前までの間の任意のタイミングにおいて、ステップS102~S105の処理を実行してもよい。制御部31は、例えば、次の印刷ジョブの実行が開始される直前に、ステップS102~S105の処理を実行してもよい。
(実施例)
以下、本実施形態に係る実施例について説明する。ただし、本発明は、実施例によって何ら限定されない。
上述した実施形態と同様の構成を備える画像形成装置において、貯留部の容量またはトナー供給率を変化させて、ブレードの異常摩耗およびクリーニング不良の発生状況を評価した。
板状部材として、SUS304-CSPから構成される、厚み70μmの部材を使用した。
塗布ローラーとして、ニトリルゴム(NBR:Nitrile Butadiene Rubber)から構成される部材を使用した。塗布ローラーの弾性層として、厚み2mm、硬度(アスカーC硬度)30°の発泡スポンジを使用した。塗布ローラーを、中間転写ベルトの搬送方向に対してウィズ方向に、中間転写ベルトに対して線速度比0.45の速度で回転させた。中間転写ベルトに対する塗布ローラーの食い込み量を、1.0mmに設定した。
ブレードとして、ウレタンゴムから構成される部材を使用し、中間転写ベルトに対する当接圧を32N/m、当接角を16.6°に設定した。
温度を30℃、湿度を80%に設定した高温高湿環境において、連続紙としてのロール紙に対する1000mの印刷ジョブを、画像形成装置に実行させた。印刷ジョブには、転写残トナーを発生させない白ベタ画像(カバレッジ0%の画像)のデータを連続して含ませた。
(実施例A)
貯留部の容量を変化させながら、ブレードの異常摩耗およびクリーニング不良の発生状況を評価した。
貯留部の容量を0~0.24g/cmに設定し、印刷ジョブの実行が開始される前に、劣化していないトナーを貯留部に充填し、印刷ジョブの1回の実行が終了された後に、評価を行った。ブレードの異常摩耗を評価するために、印刷ジョブの実行が終了された後に、ブレードを取り外して、ブレードにおける亀裂の発生状況を顕微鏡によって観察した。そして、中間転写ベルトおよびブレードの当接部(ブレードのエッジ部)からブレードのカット面に発生した亀裂の位置までの距離(深さ)を測定し、当該距離が大きいほど、中間転写ベルトによるブレードの引き込み量が大きく、異常摩耗の度合いが大きいと評価した。評価結果を以下の表2に示す。
比較例1および2のように、貯留部の容量を0.08g/cm未満に設定すると、ブレードのエッジ部から20μm以上離れた位置に亀裂が発生し、クリーニング不良も発生した。一方、実施例1~5のように、貯留部の容量を0.08g/cm以上に設定すると、高温高湿環境において、白ベタ画像のデータを含む長い印刷ジョブを実行しても、すなわち、厳しい条件下で印刷ジョブを実行しても、クリーニング不良は発生しなかった。実施例1および実施例2では、クリーニング性能に影響しない程度の軽微な異常摩耗が発生したが、貯留部の容量を0.16g/cm以上に設定した実施例3~5では、異常摩耗自体が発生しなかった。
(実施例B)
トナー供給率を変化させながら、印刷ジョブを繰り返し実行し、クリーニング不良の発生状況を評価した。
貯留部の容量を、上述した実施例3に対応する0.16g/cmに設定し、トナー供給率を0~160%に設定した。印刷ジョブの1回の実行が終了される度に、設定したトナー供給率に対応する長さを有する帯パッチを、画像形成装置に形成させた。そして、印刷ジョブの実行および帯パッチの形成を、クリーニング不良が発生するまで最大10回繰り返した。評価結果を以下の表3に示す。
比較例3~7のように、トナー供給率を0~80%に設定すると、クリーニング不良が発生した。トナー供給率が上昇するほど、クリーニング不良が発生するまでの時間は長くなったが、貯留トナーの劣化が徐々に進み、最終的にはクリーニング不良が発生した。一方、実施例6~9のようにトナー供給率を100%以上に設定すると、高温高湿環境において、白ベタ画像のデータを含む長い印刷ジョブを繰り返し実行しても、クリーニング不良は発生しなかった。したがって、トナー供給率を100%以上に設定すると、次の印刷ジョブの実行が開始される前までに、十分な量の帯パッチトナーが貯留部に供給され、貯留トナーの劣化が解消されることが確認された。
本実施形態は、以下の効果を奏する。
画像形成装置30は、中間転写ベルト362と、中間転写ベルト362に当接するブレード3643と、ブレード3643よりも中間転写ベルト362の搬送方向の上流側において中間転写ベルト362に当接する供給ローラー3642と、供給ローラー3642に隣接する貯留部Rとを有する。貯留部Rにおいて、供給ローラー3642の軸方向における単位長さ当たりに貯留可能なトナーの量は、0.08g/cm以上である。これにより、画像形成装置30は、印刷ジョブの実行中において、帯パッチが形成されない場合でも、ブレード3643の異常摩耗によるクリーニング不良を防止できる。
また、画像形成装置30は、供給ローラー3642に当接する板状部材3641をさらに有し、貯留部Rは、板状部材3641および供給ローラー3642の当接部の上方に形成される。したがって、貯留部Rは、トナーを供給ローラー3642に塗布する機能を有する板状部材3641と、塗布されたトナーを中間転写ベルト362に供給する機能を有する供給ローラー3642という、貯留以外の機能も有する構成によって、効率的に形成され得る。
また、画像形成装置30は、連続紙Sに対する印刷ジョブの実行が終了された後から、次の印刷ジョブの実行が開始される前までの間に、トナー供給モードを実行する。これにより、画像形成装置30は、厳しい条件下で印刷ジョブが実行され、貯留トナーの劣化が徐々に進んだ場合でも、次の印刷ジョブの実行が開始される前までに、帯パッチトナーを貯留部Rに供給できる。したがって、画像形成装置30は、貯留トナーの劣化を解消でき、クリーニング不良を防止できる。
また、画像形成装置30は、ジョブカバレッジに基づいて、帯パッチトナーの量を制御する。これにより、画像形成装置30は、印刷ジョブの実行中において、貯留部Rに供給される転写残トナーの量、ひいては、貯留トナーの劣化度合いを考慮して、必要な帯パッチトナーの量を正確に制御できる。したがって、画像形成装置30は、クリーニング不良を確実に防止しつつ、トナーの無駄な消費も抑止できる。
また、画像形成装置30は、トナー供給率を設定することによって、帯パッチトナーの量を制御する。これにより、画像形成装置30は、貯留部Rに貯留可能なトナーの量を基準として、必要な帯パッチトナーの量を正確に制御でき、クリーニング不良を確実に防止しつつ、トナーの無駄な消費も抑止できる。
また、画像形成装置30は、トナー供給率を100%以上に設定してもよい。これにより、画像形成装置30は、貯留トナー全体を入れ替え可能な量の帯パッチトナーを貯留部Rに供給でき、貯留トナーの劣化を確実に解消できる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲内において、種々の変更や改良等がなされ得る。
例えば、上述した実施形態では、制御部31が、印刷ジョブの実行が終了された後から、次の印刷ジョブの実行が開始される前までの間に、トナー供給モードを実行する場合を例に挙げて説明した。しかし、制御部31は、他のタイミングにおいて、トナー供給モードを実行してもよい。例えば、ジャムの発生やユーザーの操作等によって印刷ジョブの実行が中断された場合、中断前までに印刷ジョブがある程度実行され、貯留トナーの劣化がある程度進んでいる可能性がある。このため、次の印刷ジョブの実行がそのまま開始されると、次の印刷ジョブの実行中において、クリーニング不良が発生する虞がある。そこで、制御部31は、印刷ジョブの実行が中断された後から、次の印刷ジョブの実行が開始される前までの間に、トナー供給モードを実行してもよい。
また、上述した実施形態では、連続紙Sに対する印刷ジョブを実行する画像形成装置30において、貯留部Rの容量の設定や、帯パッチトナーの供給等が行われる場合を例に挙げて説明した。しかし、連続紙Sではない通常の用紙に対する印刷ジョブを実行する、通常の画像形成装置において、貯留部の容量の設定や、帯パッチトナーの供給等が行われてもよい。これにより、通常の用紙に対する印刷ジョブの実行中において、用紙間に帯パッチを形成する処理が省略されても、クリーニング不良が防止され得る。
また、上述した実施形態では、中間転写ベルト362を清掃するクリーニング装置364において、貯留部Rの容量の設定や、帯パッチトナーの供給等が行われる場合を例に挙げて説明した。しかし、中間転写ベルト362を清掃するクリーニング装置364に代えて、またはクリーニング装置364に加えて、感光体ドラム3611を清掃するクリーニング装置3616でも、貯留部の容量の設定や、帯パッチトナーの供給等が行われてもよい。これにより、画像形成装置30は、クリーニング装置3616におけるクリーニングブレードの異常摩耗による、クリーニング不良を防止できる。
また、上述した実施形態では、貯留部Rが、板状部材3641および供給ローラー3642の当接部の上方に形成される場合を例に挙げて説明したが、貯留部Rは、任意の他の部材によって、供給ローラー3642に隣接するように形成されてもよい。
(変形例)
以下、上述した実施形態に係る変形例についてさらに説明する。変形例に係る画像形成装置30は、クリーニング不良を防止しつつ、トナーの無駄な消費をさらに抑止するように構成される。
(変形例1)
変形例1に係る画像形成装置30は、所定の条件が満たされる場合のみ、トナー供給モードを実行する。
上述した実施形態では、画像形成装置30が、連続紙Sに対する印刷ジョブの実行が終了または中断された後から、次の印刷ジョブの実行が開始される前までの間に、トナー供給モードを実行する場合を例に挙げて説明した。しかし、実際には、高温高湿環境では、上述したようなブレード3643の異常摩耗によるクリーニング不良が発生しやすく、それ以外の環境では、クリーニング不良が発生しにくいという違いがある。
そこで、制御部31は、画像形成装置30の内部または外部における温度に関する条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行する。制御部31は、例えば、図4に示すステップS102の処理を実行する前に、画像形成装置30の内部の任意の場所、または画像形成装置30が設置されている居室等において設置された温度計によって測定された、温度を確認する。そして、制御部31は、温度が所定の温度以上であるか否かを判断し、所定の温度以上であると判断した場合、ステップS102~S105の処理を実行する。一方、制御部31は、温度が所定の温度未満であると判断した場合、図4に示す処理を終了して、次の印刷ジョブを実行する。所定の温度は、例えば28℃であってもよい。
また、制御部31は、上述したような温度に代えて、または温度に加えて、画像形成装置30の内部または外部における湿度に関する条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行してもよい。制御部31は、例えば、湿度が所定の湿度以上であるか否かを判断し、所定の湿度以上であると判断した場合、トナー供給モードを実行し、湿度が所定の湿度未満であると判断した場合、トナー供給モードを実行しなくてもよい。所定の湿度は、例えば65%であってもよい。
また、制御部31は、例えば以下の表4に示すような、温湿度およびトナー供給モードの実行有無を関連付けたデータに基づいて、温度および湿度の両方に関する条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行してもよい。当該データは、記憶部32に予め記憶されていてもよい。
以上のように、変形例1に係る画像形成装置30は、所定の条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行する。これにより、画像形成装置30は、印刷ジョブが1回実行される度に、トナー供給モードを毎回実行しないで済む。したがって、画像形成装置30は、クリーニング不良を防止しつつ、トナーの無駄な消費を抑止できる。
また、所定の条件は、自装置内または自装置外における温度および湿度の少なくとも一方に関する条件を含む。これにより、画像形成装置30は、トナー供給モードの実行有無を、環境に応じて適切に判断できる。
より具体的には、所定の条件は、温度が所定の温度以上、および/または、湿度が所定の湿度以上であるという条件を含む。画像形成装置30は、高温高湿環境においてトナー供給モードを実行することによって、クリーニング不良を防止しつつ、それ以外の環境ではトナー供給モードを実行しないことによって、トナーの無駄な消費を抑止できる。
(変形例2)
変形例2に係る画像形成装置30は、ジョブカバレッジとは異なる条件に基づいて、トナー供給率を設定する。
上述したように、クリーニング不良の発生のしやすさは、環境に応じて変化する。そこで、制御部31は、画像形成装置30の内部または外部における温度に基づいて、トナー供給率を設定し、帯パッチトナーの量を制御する。より具体的には、制御部31は、図4に示すステップS102の処理を実行する代わりに、画像形成装置30の内部の任意の場所、または画像形成装置30が設置されている居室等において設置された温度計によって測定された、温度を確認する。そして、制御部31は、ステップS103において、例えば以下の表5に示すような、温度およびトナー供給率を関連付けたデータに基づいて、トナー供給率を設定する。当該データは、記憶部32に予め記憶されていてもよい。表5に示す例では、高温高湿環境において、クリーニング不良が発生しやすいという状況を考慮して、温度が上昇するほど、トナー供給率も上昇するように設定されている。
また、制御部31は、上述したような温度に代えて、または温度に加えて、画像形成装置30の内部または外部における湿度に基づいて、トナー供給率を設定してもよい。さらに、制御部31は、温度および湿度の少なくとも一方に加えて、ジョブカバレッジにも基づいて、トナー供給率を設定してもよい。
以上のように、変形例2に係る画像形成装置30は、自装置内または自装置外における温度および湿度の少なくとも一方に基づいて、帯パッチトナーの量を制御する。これにより、画像形成装置30は、環境に応じて、必要な帯パッチトナーの量を正確に制御できる。したがって、画像形成装置30は、クリーニング不良を防止しつつ、トナーの無駄な消費を抑止できる。
(変形例3)
変形例3に係る画像形成装置30は、変形例1とは異なる所定の条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行する。
上述した実施形態では、画像形成装置30が、連続紙Sに対する印刷ジョブの実行が終了または中断された後から、次の印刷ジョブの実行が開始される前までの間に、トナー供給モードを実行する場合を例に挙げて説明した。しかし、実際には、試し刷り用の印刷ジョブ等の短い印刷ジョブが実行される場合もある。このような短い印刷ジョブが実行される度にトナー供給モードが実行されると、貯留トナーが劣化していない状態であるにも関わらず、帯パッチトナーが貯留部Rに供給され、トナーが無駄に消費される。
そこで、制御部31は、中間転写ベルト362が搬送された累積距離に関する条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行する。制御部31は、例えば、図4に示すステップS102の処理を実行する前に、前回のトナー供給モードが実行されてから、中間転写ベルト362が搬送された累積距離を確認する。当該累積距離は、記憶部32に記憶されていてもよく、制御部31は、記憶されている当該累積距離を確認してもよい。そして、制御部31は、累積距離が所定の距離以上であるか否かを判断し、所定の距離以上であると判断した場合、ステップS102~S105の処理を実行する。一方、制御部31は、累積距離が所定の距離未満であると判断した場合、図4に示す処理を終了して、次の印刷ジョブを実行する。
以上のように、変形例3に係る画像形成装置30は、中間転写ベルト362の搬送距離に基づく所定の条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行する。これにより、画像形成装置30は、印刷ジョブが1回実行される度に、トナー供給モードを毎回実行するのではなく、トナー供給モードの実行有無を、状況に応じて適切に判断できる。したがって、画像形成装置30は、クリーニング不良を防止しつつ、トナーの無駄な消費を抑止できる。
なお、変形例3では、制御部31が、中間転写ベルト362の搬送距離に関する条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行する場合を例に挙げて説明した。しかし、制御部31は、中間転写ベルト362の搬送距離に関する条件の代わりに、実行された印刷ジョブの累積長さ、すなわち、印刷ジョブに基づいて形成された画像の累積長さに関する条件が満たされる場合に、トナー供給モードを実行してもよい。制御部31は、例えば、印刷ジョブの累積長さが所定の長さ以上であるか否かを判断し、所定の長さ以上であると判断した場合、トナー供給モードを実行し、印刷ジョブの累積長さが所定の長さ未満であると判断した場合、トナー供給モードを実行しなくてもよい。
(変形例4)
変形例4に係る画像形成装置30は、変形例2とは異なる条件に基づいて、トナー供給率を設定する。
制御部31は、実行された印刷ジョブの長さ(以下「ジョブ長さ」と称する)に基づいて、トナー供給率を設定し、帯パッチトナーの量を制御する。より具体的には、制御部31は、図4に示すステップS102の処理を実行する代わりに、ジョブ長さを確認する。そして、制御部31は、ステップS103において、例えば以下の表6に示すような、ジョブ長さおよびトナー供給率を関連付けたデータに基づいて、トナー供給率を設定する。当該データは、記憶部32に予め記憶されていてもよい。表6に示す例では、ジョブ長さが増加するほど、トナー供給率も上昇するように設定されている。なお、トナー供給率は、ジョブ長さに比例するように設定されてもよい。また、制御部31は、ジョブ長さに加えて、ジョブカバレッジにも基づいて、トナー供給率を設定してもよい。
以上のように、変形例4に係る画像形成装置30は、ジョブ長さに基づいて、帯パッチトナーの量を制御する。これにより、画像形成装置30は、状況に応じて、必要な帯パッチトナーの量を正確に制御できる。したがって、画像形成装置30は、クリーニング不良を防止しつつ、トナーの無駄な消費を抑止できる。
なお、変形例4では、制御部31が、ジョブ長さに基づいて、トナー供給率を設定する場合を例に挙げて説明したが、制御部31は、ジョブ長さの代わりに、中間転写ベルト362の搬送距離に基づいて、トナー供給率を設定してもよい。
また、変形例1~4は、組み合わせて用いられてもよい。制御部31は、例えば、変形例1および3を組み合わせて、温度および湿度の少なくとも一方に関する条件と、中間転写ベルト362の搬送距離に関する条件との両方が満たされる場合に、トナー供給モードを実行してもよい。あるいは、制御部31は、変形例2および3を組み合わせて、温度および湿度の少なくとも一方と、ジョブ長さとに基づいて、トナー供給率を設定してもよい。
また、上述した実施形態に係る処理は、上述したステップ以外のステップを含んでもよいし、上述したステップのうちの一部のステップを含まなくてもよい。また、各ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
また、上述した実施形態に係る画像形成装置30における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、およびプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上述したプログラムは、例えば、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され、記憶される。また、上述したプログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置30の一機能としてそのソフトウェアに組み込まれてもよい。