以下、いわゆる縦軸型の全自動洗濯機に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、複数の実施形態間で、同一部分には同一符号を付して新たな図示や繰り返しの説明を省略する。
(1)第1の実施形態
図1から図3を参照して第1の実施形態について述べる。図1は、本実施形態に係る洗濯機1の全体構成を示しており、洗濯機1は、例えば鋼板からなり全体として矩形状をなす外箱2を備えている。この外箱2の底部には、4個の脚部3を有する台板4が設けられている。前記外箱2内には、洗濯水を溜める水槽5が、周知構成の弾性吊持機構6により弾性的に吊り下げ支持されて設けられている。前記水槽5内には、後述する脱水槽7が回転可能に設けられている。
また、前記水槽5の底部には、排水口8が形成されており、この排水口8には、モータ駆動式の排水弁9を備えた排水路10が接続されている。詳しく図示はしないが、水槽5の底部にはエアトラップが設けられ、このエアトラップに接続されたエアチューブを介して、水槽5内つまり脱水槽7内の水位を検出する水位センサ11(図2参照)が設けられている。
前記脱水槽7は、ほぼ有底円筒状をなし、その周壁部には、多数個の脱水孔7aが形成されている。この脱水槽7の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ12が取付けられている。また、脱水槽7の内底部には、撹拌体(パルセータ)13が配設されている。脱水槽7内には、図示しない洗濯物が収容されるようになっており、その洗濯物の洗い、すすぎ、脱水、乾燥の行程が行われる。
前記水槽5の上部には、水槽カバー14が装着されている。この水槽カバー14には、ほぼ中央部に洗濯物出し入れ用の開口部14aが設けられていると共に、その開口部14aを開閉する内蓋15が取付けられている。水槽カバー14の上面における後部には、給水用の給水口16が設けられている。そして、前記水槽5の下部、即ち外底部には、駆動機構17が配設されている。
この駆動機構17は、アウタロータ形のDC三相ブラシレスモータからなる洗濯機モータ18、中空の槽軸19、該槽軸19を貫通する撹拌軸20、洗濯機モータ18の回転駆動力をそれら軸19、20に選択的に伝達するクラッチ機構21等を備えている。前記槽軸19の上端には、前記脱水槽7が連結されており、前記撹拌軸20の上端には、前記撹拌体13が連結されている。詳しく図示はしないが、前記クラッチ機構21は、周知のように、前記排水弁9と連動して動作するように構成されている。
即ち、クラッチ機構21は、前記排水弁9が閉塞されている洗い時及びためすすぎ時には、脱水槽7の固定(停止)状態で、洗濯機モータ18の駆動力を撹拌軸20を介して撹拌体13に伝達して撹拌体13を低速で直接正逆回転駆動する。また、前記排水弁9が開放されている脱水時(脱水行程)には、槽軸19と撹拌軸20との連結状態で、洗濯機モータ18の駆動力を槽軸19を介して脱水槽7に伝達し、脱水槽7及び撹拌体13を一方向に高速で直接回転駆動する。この脱水時の洗濯機モータ18の回転数と脱水槽7の回転数とは同等となる。尚、図2にのみ示すように、駆動機構17には、前記洗濯機モータ18の回転位置ひいては回転数を検知する回転センサ31や、洗濯機モータ18に流れる電流を検知する電流センサ32も設けられている。
一方、前記外箱2の上部には、薄形の中空箱状をなす合成樹脂製のトップカバー22が装着されている。このトップカバー22の上面中央には、前記脱水槽7の上方に位置して、ほぼ円形の洗濯物出入口(図示せず)が形成され、その洗濯物出入口を開閉するための蓋23が設けられている。前記トップカバー22の前部上面部には操作パネル28(図2参照)が設けられている。詳しく図示はしないが、操作パネル28には、ユーザが洗濯運転のコースの選択や、運転開始を指示するための操作部や、洗濯行程や運転終了予定時刻(洗濯残り時間)等を表示するための表示部が設けられている。
このトップカバー22の後部には、水槽5内への給水を行うための給水機構24が設けられている。給水機構24は、給水弁25、注水ケース26、可撓性を有する給水ホース27を備えており、給水ホース27の先端部が前記給水口16に接続されている。給水弁25は給水受け口25aを備えていて、その給水受け口25aには、図示しない水道の蛇口に接続された接続ホースの先端部が接続される。給水弁25が開放されると、水道から供給される水が、注水ケース26及び給水ホース27を介して給水口16から脱水槽7内及び水槽5内に供給される。
さて、本実施形態では、洗濯機1には、前記水槽5の振動を検知する振動検知手段としての振動センサ29が設けられる。この場合、振動センサ29は、例えば3軸方向、即ち前後、左右、上下方向の加速度を検知する加速度センサからなり、水槽5の後部上部の外面に設けられている。尚、本実施形態では、洗濯機1には、周囲の環境温度を検出する温度センサとしての外気温センサ33(図2参照)も設けられている。
本実施形態では、外箱2内の背壁側の下部に位置して、制御装置30(電子ユニット)が設けられている。図2は、この制御装置30を中心とした、洗濯機1の電気的構成を概略的に示しており、制御装置30は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータを主体として構成され、洗濯機1全体を制御して洗濯運転の各行程を実行する。この制御装置30は、前記操作パネル28からの操作信号が入力されると共に、操作パネル28の各表示部の表示を制御する。また、制御装置30には、前記水位センサ11の水位検知信号が入力されると共に、前記振動センサ29の検知信号が入力され、更に、前記回転センサ31、電流センサ32、外気温センサ33からの検知信号が入力される。
制御装置30は、操作パネル28におけるユーザの洗濯コースの設定操作等に応じて、各センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに従って、給水弁25、排水弁9、洗濯機モータ18等を制御し、洗い、すすぎ、脱水の行程からなる洗濯運転を実行する。このとき、自動運転の運転コースとして、例えば「標準コース」が選択された場合には、給水、洗い行程、排水、第1脱水行程、給水、第1ためすすぎ行程、中間脱水行程、第2ためすすぎ行程、排水、最終脱水行程といった周知の行程が順に実行される。このように、複数の脱水行程例えば3つの脱水行程が設けられる。各脱水行程は、洗濯機モータ18(脱水槽7)の回転数が、例えば最終的に900rpm程度に到達するように実行される。
尚、自動運転のコースにあっては、運転開始時に、脱水槽7内の衣類の容量即ち布量の検知動作が実行される。その布量検知動作の結果に基づいて、洗いやためすすぎ時の水位が設定されると共に、各行程の実行時間などが自動設定される。脱水槽7内への給水制御は、水位センサ11の水位検知に基づいて行われる。前記布量検知動作は、周知のように、駆動機構17により撹拌体13を短時間だけ回転駆動し、その時に洗濯機モータ18に流れる電流を電流センサ32により検出することに基づいて行われる。これにより、制御装置30等から容量検知手段が構成される。また、周知のように、制御装置30は、洗濯運転開始時に、運転コースや布量に応じて、運転終了予定時刻(残り運転時間)を設定し、洗濯運転中に、操作パネル28の表示部に、残り運転時間を表示する。
そして、次の作用説明でも述べるように、本実施形態では、制御装置30は、各脱水行程の実行中において、前記振動センサ29の検知信号を監視し、検知した水槽5の振動の大きさ(振幅)が、閾値(第1閾値)以上であったときに、水槽5の振動発生状態と判断する。振動発生状態が検出された際には、制御装置30は、脱水槽7の回転を一旦停止し、その後、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数に応じて、脱水リトライ動作又はアンバランス修正動作を実行する。
ここで、アンバランス修正動作は、排水弁9を閉じて、給水機構24により水槽5(脱水槽7)内に一定の給水を行い、駆動機構17により撹拌体13を正逆方向に短時間駆動し、その後排水弁9を開いて排水することにより行われる。これにより、脱水槽7内の衣類がほぐされて、偏りがなくなるようになる。そして、脱水リトライ動作とは、そのまま、再度脱水行程を実行する、つまり洗濯機モータ18を駆動して脱水槽7を回転数0から目標回転数に向けて回転させていくことにより行われる。
このとき、より具体的には、制御装置30は、振動発生状態を検出すると、振動センサ29の検知した振動の大きさを、上記閾値(第1閾値)をA倍、例えば1.2倍した値(第2閾値)と比較し、第2閾値を越えるような大きな振動であった場合は、アンバランス修正動作を実行する。一方、振動センサ29の検知した振動の大きさが第2閾値以下であった場合には、制御装置30は、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が、所定回転数(例えば460~470rpmのどこかに設定)以下であるかを判断し、所定回転数以下であった場合に、脱水リトライ動作を実行する。所定回転数を越えていた場合には、アンバランス修正動作を実行する。
尚、本実施形態では、振動発生状態の検出の手法として、振動センサ29の検知した振動の大きさが閾値(第1閾値)以上であったときに、振動発生状態と判断している。それに限らず、例えば、振動センサ29の検知した振動の大きさが閾値(第1閾値)以上であったことが、所定回数(例えば5回)検出されたときに、振動発生状態と判断することも可能である。このように回数を用いる場合、上記第2閾値に対応する回数として、所定回数をB倍、例えば1.2倍した回数(例えば6回)と比較し、その回数を超えていた場合に無条件でアンバランス修正動作を実行するようにすることもできる。
次に、上記構成の洗濯機1の作用について、主として図3を参照して述べる。図3のフローチャートは、制御装置30が実行する、各脱水行程(第1脱水、中間脱水、最終脱水の行程)における水槽5の振動発生状態の検出に伴う制御の手順を示している。即ち、脱水行程が開始されると、まずステップS1では、振動センサ29の振動検知信号が読み込まれる。次のステップS2では、検知信号の振動の大きさが、閾値(第1閾値)以上かどうかが判断される。振動の大きさが閾値未満であった場合には(ステップS2にてNo)、ステップS3にて脱水が継続され、ステップS1に戻る。
一方、振動の大きさが閾値以上であった場合には(ステップS2にてYes)、ステップS4にて、脱水槽7の回転が一旦停止される。そして次のステップS5では、検知信号の振動の大きさが、上記第1閾値をA倍した第2閾値以下かどうかが判断される。検知信号の振動の大きさが、第2閾値を越えていた場合には(ステップS5にてNo)、ステップS6にて、アンバランス修正動作が実行される。
これに対し、検知信号の振動の大きさが、第2閾値以下であった場合には(ステップS5にてYes)、次のステップS7にて、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が、所定回転数(例えば460rpm)以下であったかどうかが判断される。そして、脱水槽7の回転数が所定回転数以下であった場合には(ステップS7にてYes)、ステップS8にて、脱水リトライ動作が実行される。脱水槽7の回転数が所定回転数を越えていた場合には(ステップS7にてNo)、ステップS6に進み、アンバランス修正動作が実行される。
ここで、本発明者は、振動発生状態を検出した際に、必ずしもアンバランス修正動作を実行しなくても、脱水リトライ動作、つまり脱水槽7を停止状態から再度目標回転数(900rpm)まで回転させる動作を実行して乗り切れるケースもしばしば見られる点に着目した。脱水リトライ動作が有効となる理由としては、次の点が考えられる。
即ち、脱水行程の起動時(脱水槽7が比較的低回転数の状態)においては、脱水槽7のアンバランス状態に起因して、水槽5の振れ回り振動が発生しやすいが、その際に水槽5が外箱2のどこかに接触することで、振動発生状態に至ることが考えられる。このケースにおいては、外箱2と水槽5との間のギャップ寸法が、外箱4の四辺で均等でないため、脱水槽7がどの位置で回転始動するかによって、外箱2との接触度合い(接触の有無)が異なり、振動発生状態に至らないこともあり得る。また、脱水槽7を一旦停止させて再度立ち上げるまでに衣類における含水量がある程度(少量ではあるが)減少して、その分衣類の状態が変化し、振動発生状態まで至らないケースもあると考えられる。
このように脱水リトライ動作によって、そのまま脱水行程を進行させることが可能となれば、アンバランス修正動作を実行する場合と比べて、運転時間を無駄に長くすることなく済ませることができる。また、水の使用量も抑えられる。ところが、異常振動が検知された時点での脱水槽7の回転数によっては、脱水リトライ動作を実行する、あるいは脱水リトライ動作を繰り返して実行することにより、アンバランス修正動作を行った場合よりもかえって時間を要してしまう虞がある。
例えば脱水槽7の回転数が高い(例えば470rpm以上)時点で振動発生状態が検出された場合には、脱水リトライ動作を行っても再度振動発生状態となるケースが多い事が確認されている。このような場合には、無用に脱水リトライ動作を繰り返すことなく、速やかにアンバランス修正動作を実行することが効率上好ましい。このように、脱水リトライ動作が有効となるケースにあるが、無条件で脱水リトライ動作を行うことは必ずしも好ましいとは言えない。
本実施形態によれば、制御装置30は、脱水行程実行中において水槽5の振動発生状態を検出したときには、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数に応じて、脱水リトライ動作又はアンバランス修正動作を実行する。従って、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数に応じた適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。
(2)第2の実施形態
図4は、第2の実施形態を示すものであり、制御装置30が実行する、脱水行程における水槽5の振動発生状態の検出に伴う処理手順を示している。この第2の実施形態においては、以下の点が、上記第1の実施形態(図3)と異なっている。即ち、脱水行程が開始された後、ステップS1~ステップS6の処理については、上記第1の実施形態と同様に実行される。ここで、ステップS5にて、検知信号の振動の大きさが、第1閾値をA倍した第2閾値を越えていた場合には(ステップS5にてNo)、ステップS6にて、アンバランス修正動作が実行される。
これに対し、検知信号の振動の大きさが、第2閾値以下である場合には(ステップS5にてYes)、ステップS11に進んだ後、ステップS12にて、脱水リトライ動作が実行される。ステップS11では、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数に応じて設定される。この場合、脱水槽7の回転数が低い場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が、回転数が高い場合よりも多くなるように設定される。
具体的には、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が、100rpm未満であった場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が4回に設定される。100rpm以上200rpm未満であった場合には、最大繰り返し回数が3回に設定される。200rpm以上300rpm未満であった場合には、最大繰り返し回数が2回に設定される。300rpm以上であった場合には、最大繰り返し回数が1回に設定される。このように振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数に応じて脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が設定された上で、ステップS12にて、脱水リトライ動作が実行される。
脱水リトライ動作が実行された後は、ステップS13にて、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが、第1閾値以上かどうかが判断される。振動の大きさが第1閾値未満であった場合には(ステップS13にてNo)、ステップS14にて脱水が継続される。これに対し、ステップS12にて脱水リトライ動作が実行された後、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが第1閾値以上を検出した場合には(ステップS13にてYes)、ステップS15にて、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えたかどうかが判断される。
脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えていなければ(ステップS15にてNo)、ステップS12に戻り、脱水リトライ動作が再度実行される。一方、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えた場合には(ステップS15にてYes)、ステップS16にて、アンバランス修正動作が実行される。このように、制御装置30は、脱水リトライ動作を実行するときに、水槽5の振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が低い場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、脱水槽7の回転数が高い場合よりも多くするように制御する。
ここで、上記第1の実施形態でも述べたように、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が比較的低い場合には、脱水リトライ動作を実行する、或いは繰り返し実行することにより、脱水行程をそのまま進行させることができる、つまり脱水に成功する可能性が高い。逆に、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が比較的高かった場合には、脱水リトライ動作を繰り返して実行しても、脱水が成功する可能性は比較的低い。そのため、脱水リトライ動作を繰り返して実行した分の時間の無駄を招いてしまうので、早々にアンバランス修正動作に移行した方が、効率が良いということができる。
この第2の実施形態によれば、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数に応じた適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。そして、この第2の実施形態においては、制御装置30は、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数に応じて、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を設定するようにした。このような脱水リトライ動作の最大繰り返し回数の設定により、より効率的な洗濯運転を可能とすることができる。
(3)第3の実施形態
図5は、第3の実施形態を示すものであり、やはり、制御装置30が実行する、脱水行程における水槽5の振動発生状態の検出に伴う処理手順を示している。この第3の実施形態では、上記第1の実施形態(図3)の判断ステップS7に代えて、判断ステップS21を設けている。この第3の実施形態では、制御装置30は、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が、二次共振モードに対応した所定範囲内にあるときには、アンバランス修正動作を実行する。それ以外の回転数であった場合には、脱水リトライ動作を実行する。
即ち、水槽5の振動発生状態検出時において、検知信号の振動の大きさが、第2閾値以下である場合には(ステップS5にてYes)、ステップS21にて、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が、二次共振モードに対応した所定範囲(例えば200~300rpmの範囲)以外にあるかどうかが判断される。そして、脱水槽7の回転数が所定範囲内であった場合には(ステップS21にてNo)、ステップS22にて、アンバランス修正動作が実行される。脱水槽7の回転数が所定範囲内から外れていた場合には(ステップS21にてNo)、ステップS23にて、脱水リトライ動作が実行される。
ここで、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が、二次共振モードに対応した所定範囲内(例えば200~300rpm)にあるときには、振動発生状態検出時の水槽5の振動が、上下動する振動モードであり、回転数が高く回転エネルギーが大きい。この場合には、本体移動や大きな騒音が発生する虞がある。また、脱水リトライ動作を行っても、同様の事態を繰り返す可能性が高い。そこで、このような場合には、脱水リトライ動作を行わずに、アンバランス修正動作を行うことにより、上記事態の発生を未然に防止でき、安全性を確保することができるのである。
従って、この第3の実施形態においても、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数に応じた適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。特にこの第3の実施形態においては、制御装置30は、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が二次共振モードに対応した所定範囲内(例えば200~300rpm)にあるときには、脱水リトライ動作を行わずに、アンバランス修正動作を行うようにした。これにより、本体移動や大きな騒音が発生することを未然に防止でき、安全性を確保することができる。
(4)第4の実施形態
図6は、第4の実施形態を示すものであり、制御装置30が実行する、脱水行程における水槽5の振動発生状態の検出に伴う処理手順を示している。この第4の実施形態においては、以下の点が、上記第1の実施形態(図3)等と異なっている。即ち、脱水行程が開始された後、ステップS1~ステップS7の処理については、上記第1の実施形態と同様に実行される。ここで、振動発生状態検出時において、検知信号の振動の大きさが、第2閾値以下であった場合には(ステップS5にてYes)、次のステップS7にて、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が、所定回転数(例えば460rpm)以下であったかどうかが判断される。
ステップS5にて、検知信号の振動の大きさが第2閾値を越えていた場合(ステップS5にてNo)、及び、振動発生状態検出時の脱水槽7の回転数が所定回転数を越えていた場合には(ステップS7にてNo)、ステップS6にて、アンバランス修正動作が実行される。そして、脱水槽7の回転数が所定回転数以下であった場合には(ステップS7にてYes)、ステップS31に進んだ後、ステップS32にて、脱水リトライ動作が実行される。
ステップS31では、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が、洗濯運転開始時における脱水槽7内の衣類の容量(布量)の検知結果に基づいて決定される。この場合、検知された衣類の布量が少ない場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が、衣類の布量が多い場合よりも多くなるように設定される。
具体的には、検知された布量が2kg未満であった場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が4回に設定される。布量が2kg以上4kg未満であった場合には、最大繰り返し回数が3回に設定される。布量が4kg以上6kg未満であった場合には、最大繰り返し回数が2回に設定される。布量が6kg以上であった場合には、最大繰り返し回数が1回に設定される。このように衣類の布量に応じて脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が設定された上で、ステップS32にて、脱水リトライ動作が実行される。
脱水リトライ動作が実行された後は、ステップS33にて、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが、第1閾値以上かどうかが判断される。振動の大きさが第1閾値未満であった場合には(ステップS33にてNo)、ステップS34にて脱水が継続される。これに対し、ステップS32にて脱水リトライ動作が実行された後、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが第1閾値以上を検出した場合には(ステップS33にてYes)、ステップS35にて、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えたかどうかが判断される。
脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えていなければ(ステップS35にてNo)、ステップS32に戻り、脱水リトライ動作が再度実行される。一方、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えた場合には(ステップS35にてYes)、ステップS36にて、アンバランス修正動作が実行される。このように、制御装置30は、脱水リトライ動作を実行するときに、回転槽7内の衣類の布量が少ない場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、衣類の布量が多い場合よりも多くするように制御する。
ここで、脱水槽7内の衣類の布量が少ないときには、布量が多い場合に比べて布の偏りが起こりやすく、アンバランス状態が起こりやすい。布量が多い方がアンバランス状態は起こりにくい。そのため、容量検知動作において検知された脱水槽7内の衣類の容量が少ない場合、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を多くすることにより、脱水行程の成功の確率を高めることができる。逆に、布量が比較的多い場合には、脱水リトライ動作を繰り返して実行しても、脱水が成功する可能性は比較的低い。そのため、脱水リトライ動作を繰り返して実行した分の時間の無駄を招いてしまうので、早々にアンバランス修正動作に移行した方が、効率が良くなる。
従って、この第4の実施形態によれば、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数及び脱水槽7内の布量に応じた適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。そして、この第4の実施形態においては、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数の設定により、より効率的な洗濯運転を可能とすることができる。
(5)第5の実施形態
図7は、第5の実施形態を示すものである。この第5の実施形態が、上記第1の実施形態(図3)と異なるところは以下の点にある。即ち、脱水行程が開始された後、ステップS1~ステップS7の処理については、上記第1の実施形態等と同様に実行される。ステップS7にて、脱水槽7の回転数が所定回転数以下であった場合には(ステップS7にてYes)、ステップS41に進む。
ステップS41では、振動発生状態が検出されたのは、複数の脱水行程のうち中間脱水行程かどうかが判断される。ここで、上記したように、標準コースの洗濯運転では、第1脱水、中間脱水、最終脱水といった3つの脱水行程が含まれている。振動発生状態が検出されたのが第1脱水又は最終脱水の行程であった場合には(ステップS41にてNo)ステップS42にて、脱水リトライ動作が実行される。これに対し、中間脱水行程において振動発生状態が検出された場合には(ステップS41にてYes)、ステップS43にて、アンバランス修正動作が実行される。
このように本実施形態では、制御装置30は、中間脱水行程においては、脱水リトライ動作を行わずにアンバランス修正動作を実行する。言い換えれば、脱水リトライ動作を実行するときに、中間脱水行程における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が0回となり、最大繰り返し回数が他の脱水行程(第1脱水、最終脱水)よりも少なくなる。ここで、洗濯運転中の複数の脱水行程のうち中間脱水行程については、他の脱水行程に比べて、衣類の洗濯の仕上がり状態にさほど大きな影響を与えるものではない。本実施形態では、中間脱水行程においては、振動発生状態が検出されてもアンバランス修正動作を早期に実行するようにしている。これにより、中間脱水行程については、無用に長く脱水リトライ動作を繰り返すことをなくし、全体の時間の無駄を少なくすることに関して有効となる。
従って、この第5の実施形態においても、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数及び脱水行程のうちどの行程かに応じた適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態等と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。そして、この第5の実施形態においては、中間脱水行程における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を他よりも小なくすることにより、より効率的な洗濯運転を可能とすることができる。
(6)第6の実施形態
図8は、第6の実施形態を示すものである。この第6の実施形態では、脱水リトライ動作を実行するときに、最終脱水行程における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、行程が前の脱水行程よりも多くする点が、上記第4の実施形態(図6)等と異なっている。即ち、この第6の実施形態においても、脱水行程が開始された後、ステップS1~ステップS7の処理については、上記第1の実施形態等と同様に実行される。ステップS7にて、脱水槽7の回転数が所定回転数以下であった場合には(ステップS7にてYes)、ステップS51に進んだ後、ステップS52にて、脱水リトライ動作が実行される。
ステップS51では、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が、振動発生状態検出時の脱水行程に応じて設定される。ここで、洗濯運転にあっては、ためすすぎ行程の途中に中間脱水行程が2回行われることにより、第1脱水、第2脱水、第3脱水、最終脱水の合計4回の脱水行程が実行される。この場合、複数(4回)の脱水の行程のうち、後の行程になればなるほど、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が次第に多くなるように設定される。つまり、制御装置30は、脱水リトライ動作を実行するときに、最終脱水行程における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、行程が前の脱水行程よりも多くする。
具体的には、振動発生状態が検出されたのが第1脱水行程であった場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が1回に設定される。第2脱水行程であった場合には、最大繰り返し回数が2回に設定される。第3脱水行程であった場合には、最大繰り返し回数が3回に設定される。最終脱水行程であった場合には、最大繰り返し回数が4回に設定される。このように脱水の行程に応じて脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が設定された上で、ステップS52にて、脱水リトライ動作が実行される。
脱水リトライ動作が実行された後は、ステップS53にて、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが、第1閾値以上かどうかが判断される。振動の大きさが第1閾値未満であった場合には(ステップS53にてNo)、ステップS54にて脱水が継続される。これに対し、ステップS52にて脱水リトライ動作が実行された後、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが第1閾値以上を検出した場合には(ステップS53にてYes)、ステップS55にて、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えたかどうかが判断される。
そして、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えていなければ(ステップS55にてNo)、ステップS52に戻り、脱水リトライ動作が再度実行される。一方、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えた場合には(ステップS55にてYes)、ステップS56にて、アンバランス修正動作が実行される。このように、制御装置30は、脱水リトライ動作を実行するときに、最終脱水行程における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、行程が前の脱水行程よりも多くするように制御する。
ここで、衣類の洗濯の仕上がりを良好にするといった観点からは、複数の脱水行程のうち、最終脱水行程をきちんと実行することが、最も重要となる。特に、最終脱水行程の前のためすすぎ行程において柔軟剤等の仕上げ剤が投入された場合には、アンバランス修正行程を実行すると、衣類に付着していた仕上げ剤が薄まってしまう事態を招き、好ましくない。また、最終脱水行程においてアンバランス修正行程を実行することは、無用に洗濯運転の時間を長引かせてしまうことになるので、極力脱水リトライ動作により脱水を成功させることが望ましい。
従って、この第6の実施形態においても、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数及びどの脱水行程かに応じて適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態等と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。そして、この第6の実施形態においては、最終脱水行程における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を多くすることによって、最終脱水が成功する可能性を高めることができる。この結果、総合的に見て、洗濯運転の仕上がり状態、洗濯運転の時間の双方に関して効果的となる。
(7)第7の実施形態
図9は、第7の実施形態を示すものである。この第7の実施形態では、脱水リトライ動作を実行するときに、外気温センサ33による検出温度が低い場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、検出温度が高い場合よりも多くする点が、上記第4の実施形態等と異なっている。即ち、この第7の実施形態においても、脱水行程が開始された後、ステップS1~ステップS7の処理については、上記第1の実施形態等と同様に実行される。ステップS7にて、脱水槽7の回転数が所定回転数以下であった場合には(ステップS7にてYes)、ステップS61に進んだ後、ステップS62にて、脱水リトライ動作が実行される。
ステップS61では、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が、前記外気温センサ33が検出した環境温度(外気温)に応じて、検出温度が低い場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、検出温度が高い場合よりも多くするように設定される。具体的には、検出された環境温度が10℃未満であった場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が4回に設定される。環境温度が10℃以上20℃未満であった場合には、最大繰り返し回数が3回に設定される。環境温度が20℃以上30℃未満であった場合には、最大繰り返し回数が2回に設定される。環境温度が30℃以上であった場合には、最大繰り返し回数が1回に設定される。このように環境温度に応じて脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が設定された上で、ステップS62にて、脱水リトライ動作が実行される。
脱水リトライ動作が実行された後は、ステップS63にて、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが、第1閾値以上かどうかが判断される。振動の大きさが第1閾値未満であった場合には(ステップS63にてNo)、ステップS64にて脱水が継続される。これに対し、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが第1閾値以上を検出した場合には(ステップS63にてYes)、ステップS65にて、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えたかどうかが判断される。
そして、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えていなければ(ステップS65にてNo)、ステップS62に戻り、脱水リトライ動作が再度実行される。一方、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えた場合には(ステップS65にてYes)、ステップS66にて、アンバランス修正動作が実行される。このように、制御装置30は、脱水リトライ動作を実行するときに、外気温センサ33による検出温度が低い場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、検出温度が高い場合よりも多くするように制御する。
ここで、水槽5を弾性支持する弾性支持機構6にはゴムが使用されていることが一般的であり、ゴムは、温度が高くなると軟化するため、温度が低い方が振動吸収の働きが良くなる。そのため、環境温度が低い方が、脱水リトライ動作によって脱水が成功する可能性が高いものとなる。従って、上記構成により、環境温度が高く脱水リトライ動作が失敗しやすい場合には、早期にアンバランス修正動作を実行し、環境温度が低く脱水リトライ動作が成功しやすい状態では、より多く脱水リトライ動作を試みることができる。
従って、この第7の実施形態においても、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数及び環境温度に応じて適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態等と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。そして、この第7の実施形態においては、温度が低い場合における脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を、検出温度が高い場合よりも多くすることにより、全体的に、脱水リトライ動作を無用に繰り返すことによる時間の無駄を減らす効果に優れたものとなる。
(8)第8の実施形態
図10は、第8の実施形態を示すものであり、この第8の実施形態では、実行されている運転コースの種類に応じて脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が設定される。即ち、この第8の実施形態においても、脱水行程が開始された後、ステップS1~ステップS7の処理については、上記第1の実施形態等と同様に実行される。ステップS7にて、脱水槽7の回転数が所定回転数以下であった場合には(ステップS7にてYes)、ステップS71に進んだ後、ステップS72にて、脱水リトライ動作が実行される。
ステップS71では、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が、実行されている運転コースの種類に応じて設定される。本実施形態では、洗濯機1により実行可能な洗濯運の運転コースとして、一般衣類を洗う標準コース以外にも、ニットなどのおしゃれ着を傷めずに洗うおしゃれ着コース、毛布を洗う毛布コース等がある。更に、自動お掃除コースは、ためすすぎ行程の終了後、最終脱水行程の前に、水槽5内に一定の洗濯水を残した状態で脱水槽7を高速回転させ(ため脱水行程)、その際に発生する水流によって脱水槽7の外側や水槽5の内側を自動で掃除する行程を付加したコースである。
具体的には、ステップS71では、標準コースが実行されている場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が1回に設定される。おしゃれ着コースが実行されている場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が2回に設定される。毛布コースが実行されている場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が3回に設定される。自動お掃除コースが実行されている場合には、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が4回に設定される。このように、実行中の運転コースに応じて、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が設定された上で、ステップS72にて、脱水リトライ動作が実行される。
次のステップS73では、振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが、第1閾値以上かどうかが判断され、振動の大きさが第1閾値未満であった場合には(ステップS73にてNo)、ステップS74にて脱水が継続される。振動センサ29の振動検知信号の振動の大きさが第1閾値以上を検出した場合には(ステップS73にてYes)、ステップS75にて、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えたかどうかが判断される。脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えていなければ(ステップS75にてNo)、ステップS72に戻り、脱水リトライ動作が再度実行される。一方、脱水リトライ動作の回数が、設定された最大繰り返し回数を越えた場合には(ステップS75にてYes)、ステップS76にて、アンバランス修正動作が実行される。
ここで、標準コース、おしゃれ着コース、毛布コース、自動お掃除コースといった運転コースによって、洗濯する対象の衣類の布質が異なり、布負荷が異なってくる。毛布コースの場合、水を含みやすい毛布を対象とするため、もともと脱水行程の時間が長く設定されるが、アンバランス修正動作を実行すると、脱水に要する時間が大幅に長くなる虞がある。また、自動お掃除コースについては、ため脱水行程において振動発生状態(アンバランス)が起こりやすいため、時間的な面で、アンバランス修正動作を極力実行せずに、脱水リトライ動作を繰り返すことにより脱水の成功に導きたい事情がある。
このように、なるべくアンバランス修正動作を実行したくない運転コース、つまり毛布コースや自動お掃除コースについては、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が比較的多くなるよう設定される。それらに比べて、アンバランス修正動作を行ってもさほど悪影響がないと考えられる標準コースやおしゃれ着コースについては、むしろアンバランス修正動作を早期に行って脱水行程を進めた方が効率的になると考えられ、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数が少なく設定される。これにより、実行中の運転コースに応じて、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を適切な回数に設定することができる。
従って、この第8の実施形態においても、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数及び実行中の運転コースに応じて適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態等と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。そして、この第8の実施形態においては、実行中の運転コースに応じて、脱水リトライ動作の最大繰り返し回数を適切な回数にすることができる。
(9)第9の実施形態、その他の実施形態
図11は、第9の実施形態を示すものである。この第9の実施形態では、振動発生状態検出時における運転終了予定時刻に対する行程の進行度合いを考慮して、脱水リトライ動作又はアンバランス修正動作が実行される。即ち、この第9の実施形態においても、脱水行程が開始された後、ステップS1~ステップS7の処理については、上記第1の実施形態等と同様に実行される。ステップS7にて、脱水槽7の回転数が所定回転数以下であった場合には(ステップS7にてYes)、ステップS81に進み、振動発生状態が検出されたのが第1脱水行程であるかどうかが判断される。
第1脱水行程である場合には(ステップS81にてYes)、ステップS82にて、現時点で、運転終了予定時間(表示されている残り運転時間)に対して1分以上の遅れの発生が予測されるかどうかが判断される。1分以上の遅れが見込まれる場合には(ステップS82にてYes)、ステップS83にて、脱水リトライ動作が実行される。1分以上の遅れがない場合には(ステップS82にてNo)、ステップS84にて、アンバランス修正動作が実行される。
一方、振動発生状態が検出されたのが第1脱水行程でない場合には(ステップS81にてNo)、ステップS85に進み、振動発生状態が検出されたのが最終脱水行程であるかどうかが判断される。最終脱水行程である場合には(ステップS85にてYes)、ステップS86にて、現時点で、運転終了予定時間(表示されている残り運転時間)に対して3分以上の遅れの発生が予測されるかどうかが判断される。3分以上の遅れが見込まれる場合には(ステップS86にてYes)、ステップS87にて、脱水リトライ動作が実行される。これに対し、振動発生状態が検出されたのが最終脱水行程でない場合(ステップS85にてNo)、及び、3分以上の遅れが見込まれない場合(ステップS86にてNo)には、ステップS88にて、アンバランス修正動作が実行される。
ここで、各脱水行程において、振動発生状態の検出に基づく脱水リトライ動作の実行やアンバランス修正動作の実行により、運転終了予定に対する遅れが発生する場合がある。予定に対する遅れの度合いが大きくなっている場合には、アンバランス修正動作をそれ以上実行すると、遅れがより一層大きくなる不具合が生ずる。そこで、そのような場合には、脱水リトライ動作を実行してできるだけ脱水を成功させることにより、予定からの遅れを小さくするような制御が可能となる。運転終了予定に対する遅れがない、或いは遅れが少ない場合には、必要に応じて、アンバランス修正動作を実行することにより、アンバランスを容易に解消することができる。尚、脱水リトライ動作を繰り返しても、脱水が成功しない場合も勿論生ずるが、早期に、つまり予定にできるだけ近い時間に洗濯運転を終了できる可能性があれば、それを重視したものということができる。
従って、この第9の実施形態においても、水槽5の振動発生状態の検出時に、脱水槽7の回転数、及び、運転終了予定に対する遅れに応じて適切な処理を行うことが可能となり、毎回アンバランス修正動作を行わなくても済ませることができる。この結果、第1の実施形態等と同様に、脱水行程実行中の水槽5の振動検知に伴うアンバランス修正動作に要する時間をできるだけ省いて、スムーズな洗濯運転の進行を可能とするという優れた効果を得ることができる。そして、この第9の実施形態においては、振動発生状態の検出があっても、運転終了予定に対する遅れを小さくすることが可能となる。
尚、上記した各実施形態では、脱水槽7の回転数、脱水リトライ動作の繰り返し回数、回転数の第1閾値、第2閾値(Aの値)、外気温や遅れ時間並びにそれらの区分の仕方等について、具体的数値をあげながら説明したが、それら具体的数値や区分の仕方等については一例を示したに過ぎず、適宜変更が可能であることは勿論である。また、洗濯機1の全体のハードウエア構成、運転コースの種類等についても、様々な変更が可能である。更には、上記した複数の実施形態を任意に組み合わせて実施することも可能である。
以上説明したいくつかの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。