JP7220941B1 - プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法 - Google Patents

プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軟骨からPGを抽出等する際に、コラーゲンなどその他の軟骨成分を、PGと同時に且つ効率よく抽出等する。【解決手段】凍結乾燥された軟骨を粉砕して粉砕物を得る工程と、粉砕物をクエン酸含有エタノール溶液にて洗浄する工程と、クエン酸含有エタノール溶液で洗浄した粉砕物を、さらにエタノールにて洗浄する工程と、エタノール洗浄後の粉砕物を乾燥及び粉砕して粉末を得る工程と、粉末に水を加えて湿式粉砕する工程と、を含む、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法。【選択図】図1

Description

クロスリファレンス
本出願は、日本国において、2021年8月6日に出願された特願2021-129997号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願に記載された内容は全て、参照によりそのまま本明細書に援用される。
本発明は、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法など、に関する。
プロテオグリカン(以下「PG」と称する場合がある。)は、1本のコアタンパク質にコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸等のグリコサミノグリカンが数本から数十本共有結合した糖タンパク質であり、細胞外マトリックスの一つとして皮膚や軟骨など体内に広く分布している。軟骨中のPGは、コラーゲンやヒアルロン酸と共に凝集体を形成しており、代表的な軟骨型PGは、アグリカンと称される。アグリカンはコアタンパク質に大量のグリコサミノグリカン糖鎖が結合すると共に、そのN末端側には、ヒアルロン酸およびリンクタンパク質の結合領域を有する。
グリコサミノグリカンは分岐をもたない長い直鎖構造を持ち、多数の硫酸基とカルボシキル基を持つため負に荷電しており、その電気的反発力のために伸びた形状をとる。また、糖の持つ水親和性により、PGは多量の水を保持し、弾力や衝撃への耐性といった軟骨特有の機能を担っている。さらに、PGには抗炎症作用、ヒアルロン酸合成促進作用、上皮細胞増殖因子(EGF)様作用等多くの生理機能を有することが明らかとなり、食品や化粧品への応用に期待が寄せられている。
これまで、高純度のPGを効率よく製造する方法が研究されてきた。例えば、サケ鼻軟骨から酢酸を用いてPGを抽出する方法(特許文献1参照)や、酢酸溶液の抽出温度と撹拌速度を制御してPGを抽出する方法(特許文献2参照)が知られている。その他、クエン酸水溶液を用いてPGを抽出する方法(特許文献3参照)、特定の酸性溶液または所定濃度のプロテアーゼ存在下で抽出を行うことでプロテオグリカンを軟骨組織から効率的かつ高純度に製造する方法(特許文献4参照)などが報告されている。一方、軟骨には、プロテオグリカンの他にコラーゲンやヒアルロン酸などの軟骨成分が含まれているが、これらを同時に抽出して機能性食品や化粧品の素材として利用することも期待されている。
特許第3731150号公報 特許第6317053号公報 特許第5749067号公報 特開2020-127397号公報
そこで本発明が解決しようとする課題は、軟骨からPGを抽出等する際に、コラーゲンなどその他の軟骨成分を、PGと同時に且つ効率よく抽出等することなど、である。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、抽出溶液の濃度や抽出方法などの様々な条件を最適化又は組み合わせることでプロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法を見出すに至った。すなわち、本発明は以下の実施形態を含む。
(1)凍結乾燥された軟骨を粉砕して粉砕物を得る工程と、粉砕物をクエン酸含有エタノール溶液にて洗浄(脱脂、精製なども含む)する工程と、クエン酸含有エタノール溶液で洗浄した粉砕物を、さらにエタノールにて洗浄する工程と、エタノール洗浄後の粉砕物を乾燥及び粉砕して粉末を得る工程と、粉末に水を加えて湿式粉砕する工程と、を含む、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法。好ましくは、粉末に水を加えて湿式粉砕する工程の後に、更に湿式粉砕後の水溶液から異物などを除去する工程も含む、当該製造方法。
(2)クエン酸含有エタノール溶液が、1質量%以上30質量%以下のクエン酸を含む(1)に記載の製造方法。
(3)軟骨成分混合物が、固形分換算で30質量%以上のプロテオグリカンを含有する(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)軟骨成分混合物が、固形分換算で少なくとも20質量%の水溶性コラーゲンを含有する(1)~(3)のいずれか一項に記載の製造方法。
(5)プロテオグリカンの分子量が80万~90万である(1)~(4)のいずれか一項に記載の製造方法。
(6)軟骨を、0.03質量%以上4質量%未満の酢酸水溶液中に浸漬して軟骨成分抽出液を得る工程と、得られた抽出液から軟骨成分を回収する工程とを含む、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法。
(7)酢酸水溶液の濃度が0.5質量%以上3質量%以下である(6)に記載の製造方法。
(8)軟骨成分混合物が、コラーゲンを含み、コラーゲンの含有率が、固形分換算で少なくとも20質量%である(6)又は(7)に記載の製造方法。
(9)プロテオグリカンの分子量が40万~65万である(6)~(8)のいずれか一項に記載の製造方法。
(10)軟骨を0.01質量%以上0.05質量%未満のクエン酸水溶液中に、30~80℃で浸漬して軟骨成分抽出液を得る工程と、この抽出液から軟骨成分を回収する工程と、を含むプロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法。
(11)プロテオグリカンの分子量が50万~90万である(10)に記載の製造方法。
(12)軟骨が、サケ頭部の鼻軟骨である(1)~(11)のいずれか一項に記載の製造方法。
(13)軟骨を、pH2.0~4.0の水又は水溶液に浸漬して軟骨成分抽出液を得る工程と、得られた抽出液から軟骨成分を回収する工程とを含む、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法。
本発明の方法によれば、効率よくプロテオグリカン及びコラーゲンなどその他の軟骨成分混合物を製造することができる。
図1は、第1の実施形態に係る製造方法の流れを示す工程図である。 図2は、第2又は第3の実施形態に係る製造方法の流れを示す工程図である。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本発明の製造方法は、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物を得ることを目的とするが、最初に、この軟骨成分混合物について説明し、続いて、その具体的な製造方法について詳細に説明する。
(軟骨成分混合物)
本発明の製造方法により得られる生産物は、プロテオグリカンと共に、その他の軟骨成分を含む混合物である。このプロテオグリカン以外の軟骨成分としては、コラーゲン及びヒアルロン酸を含むがこれらに限定されない。軟骨とは、脊椎動物の鼻、肋骨、関節、気管の周囲、耳殻、椎間板などに存在する結合組織の1つであり、細胞外基質と、軟骨細胞との複合体をいう。軟骨における細胞外基質を、軟骨基質という場合もある。軟骨基質の主成分は、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びプロテオグリカンなどを含む。
プロテオグリカンは、タンパク質をコアとして、コンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸等のグリコサミノグリカンが共有結合した複合多糖であり、動物組織、特に軟骨組織に多く存在する。プロテオグリカンは生体内で、コア蛋白質がさらにヒアルロン酸に結合した構造で存在することも知られており、その分子量は、数万~数千万と大きい。軟骨由来の典型的なプロテオグリカンは、アグリカン(Aggrecan)と称される。
コラーゲンはアミノ酸が鎖状につながった分子量約10万のポリペプチド分子が3本集まったらせん構造を有しており、これが繊維状あるいは膜状の構造体を形成するものである。コラーゲンを構成するアミノ酸の種類と数は極めて特徴的で、その特徴の一つとして,一般的なタンパク質を構成する20種類の基本アミノ酸には含まれないヒドロキシプロリンやヒドロキシリジンといったアミノ酸を含む。これらのアミノ酸はコラーゲンとその近縁の限られたタンパク質にしか含まれない特殊なアミノ酸であり、特にヒドロキシプロリンはコラーゲン中の全アミノ酸の約10%を占めている。このため、ヒドロキシプロリンがコラーゲン量の目安と考えることができるものである。アミノ酸組成の違いによるコラーゲンの種類は特に限定されないが、軟骨に多く含まれるコラーゲンとしてII型コラーゲンが好ましい。
ヒアルロン酸は、N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸とが結合した二糖単位がつながった鎖状構造を有する、ムコ多糖高分子化合物である。その他の軟骨成分としては、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチンなどを挙げることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るプロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法は、水に溶けにくい成分を効率的に抽出して可溶性成分とすることができる製造方法である。図1は、この製造方法の典型的な実施形態を示す工程図である。第1の実施形態に係る方法は、冷凍軟骨を凍結乾燥及び粉砕する凍結乾燥・粉砕工程(S01)と、得られた粉砕物を洗浄(脱脂、精製なども含む)する洗浄工程(S02)と、洗浄後の粉砕物を乾燥及び粉砕して粉末を得る粉末化工程(S03)とを含む。
本実施形態において、出発原料としての冷凍軟骨は、例えば魚類、軟体動物、鳥類又は哺乳類の軟骨組織を用いることができるが、魚類軟骨組織、特に、サケ頭部の鼻軟骨が好ましい。本実施形態では、入手の容易性、及びコストの面などから、例えば、サケ科の魚の頭部に含まれる鼻軟骨組織由来のものが好適に用いられ、例えば、漁獲されたサケ(主にシロサケ)が、様々な加工品として処理される際、排出される頭部を使用することができる。
凍結乾燥・粉砕工程(S01)は、軟骨に含まれる多くの水分を除去したのち粉砕する工程である。凍結乾燥方法は特に限定されるものではないが、品温が35℃以下で凍結乾燥することが好ましい。凍結乾燥により、質量が約10分の1程度となった軟骨を適度な大きさに粉砕する。当該粉砕は、例えば、粒子径10から16メッシュ(mesh)程度の粗粉末とすることなどである。粉砕方法は特に限定されないが、例えば、くし歯型解砕機、ローラー型粉砕機、乳鉢、ジョークラッシャー、ローラーミル、ジェットミル等で適度な大きさの粉砕物とすることができる。
洗浄工程(S02)は、得られた粉砕物をエタノール中に分散して脂質などを取り除く工程である。使用するエタノールの容量及び分散時間は、軟骨原材料に含まれる脂肪をできるだけ除去するように適宜調整することができるが、一例としては、用いる粉砕物に対して約10倍容量のエタノールを添加し、約50℃で30分から1時間程度攪拌することで効率よく洗浄することができる。エタノール洗浄の回数は、複数回行ない、初回のエタノール溶液には、例えばクエン酸又はその塩を添加することが好ましい。クエン酸又はその塩の添加により、脂質などを効率的に取り除くことができ、保存中に脂質の酸化による悪臭を防ぐという効果を有する。クエン酸の添加量の下限は、特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。クエン酸添加量の上限も特に限定されないが、エタノールに溶解する飽和量を超えて添加しても溶けないことなどから30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
このようにしてエタノール洗浄された粉砕物は、粉末化工程(S03)にて、さらに乾燥及び粉砕する。その結果、例えば、粒子径が48から80メッシュ(mesh)程度のより細かな粉末とすることができる。エタノールを蒸発させるための乾燥方法は特に限定されず、室温で放置するだけでもよいが、効率的に行うためには、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥することが好ましい。粉砕方法も特に限定されず、例えば、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃式ミル、ボールミル、タワーミル等の媒体ミル、ジェットミル等の乾式粉砕装置を用いることができる。
続いて本実施形態の製造方法は、エタノール洗浄後の粉末に水を加えて湿式粉砕する湿式粉砕工程(S04)と、湿式粉砕後の水溶液から不溶物を除去する異物等除去工程(S05)と、得られた水溶液を乾燥する乾燥工程(S06)と、を含む。
湿式粉砕工程(S04)における湿式粉砕とは、エタノール洗浄後の粉末を、水に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。湿式粉砕に使用する装置としては、例えば、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー、クレアミックス(商品名:エムテクニック)、マスコロイダー等の撹拌機、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。本工程により微粉砕された軟骨成分は水に溶けやすくなってその大部分を水溶液として回収することができる。
異物等除去工程(S05)は、好ましくは含まれる工程で、上記湿式粉砕工程で得られた水溶液から、製造工程で混入した異物などを除去する工程である。
乾燥工程(S06)は、S05の工程を経た水溶液から所定の条件で乾燥方法により乾燥粉末を得る工程である。この乾燥方法としては、通常、この用途で使用される方法であればいずれのものであってもよく、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、棚乾燥、ベルト乾燥、ドラム乾燥などを挙げることができる。このうち、粉体の取り扱いの観点から、噴霧乾燥、凍結乾燥が好ましい。
この第1の実施形態により得られるプロテオグリカンを含む軟骨成分混合物におけるプロテオグリカンの分子量は、好ましくは、80万~90万である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る製造方法は、低濃度の酢酸水溶液を用いて軟骨成分を抽出する方法である。図2は、この製造方法の典型的な実施形態を示す工程図である。第2の実施形態に係る方法は、冷凍軟骨を酢酸水溶液に浸漬して軟骨成分抽出液を得る抽出工程(S10)と、得られた抽出液から軟骨成分を回収する回収工程(S20)とを含む。
抽出工程(S10)で用いる酢酸水溶液の濃度の下限は、プロテオグリカンの抽出効率を上げる観点などから、0.03質量%以上であればよく、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.25質量%以上がさらに好ましい。一方、酢酸水溶液における酢酸濃度の上限は、同時に抽出されるコラーゲンの抽出効率を上げる観点などから、4質量%未満であればよく、3.5質量%以下が好ましく、3.1質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
回収工程(S20)は、さらに具体的には、残った軟骨を除去する固液分離工程(S21)と、回収した抽出液から脂質等を除去する脱脂工程(S22)と、ろ過工程(S23)と、精製工程(S24)と、乾燥工程(S25)とを含む。
脱脂工程(S22)では、プロテオグリカン抽出液を粉末セルロース及び/又は吸油マットなどを用いることにより、混入すると考えられる脂質など成分を簡便に吸着除去する。ろ過工程(S23)では、ろ紙等を用いる通常の方法により脂質等除去後の抽出液を得る。ファインメッシュや限外濾過膜を用いてもよい。例えば、適当な分画分子量を有する分離膜等で固液分離することにより、抽出液を回収する。マグネットトラップ等の通常の方法にて不溶物を除去した後、乾燥工程(S25)では得られたろ液を真空凍結乾燥機により固形物にしてもよい。あるいは、スプレードライヤーで乾燥させ、粉末状固形分とすることもできる。
この第2の実施形態により得られるプロテオグリカンを含む軟骨成分混合物におけるプロテオグリカンの分子量は、好ましくは、40万~65万である。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る製造方法は、第2の実施形態における酢酸水溶液の代わりに、低濃度のクエン酸水溶液を用いて軟骨成分を抽出する方法である。図2に示した第2の実施形態と同様に、本実施形態においても、冷凍軟骨を低濃度のクエン酸水溶液に浸漬して軟骨成分抽出液を得る浸漬工程(S10)と、得られた抽出液から軟骨成分を回収する回収工程(S20)とを含む。
抽出工程(S10)で用いるクエン酸水溶液の濃度の下限は、プロテオグリカンの抽出効率を上げるなど観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.015質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい。一方、クエン酸水溶液におけるクエン酸濃度の上限は、同時に抽出されるコラーゲンの抽出効率を上げるなど観点から、0.05質量%未満が好ましく、0.049質量%以下がより好ましく、0.048質量%以下がより好ましく、0.047質量%以下がより好ましく、0.046質量%以下さらに好ましい。
抽出中のクエン酸水溶液の温度の下限は、浸漬液の腐敗を防止するなど観点から、下限が30℃以上が好ましく、33℃以上がより好ましく、35℃以上が更に好ましい。浸漬中のクエン酸水溶液の温度の上限は、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましい。抽出時間の下限は、10時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましく、20時間以上が更に好ましい。抽出時間の上限は96時間以下が好ましくよく、72時間以下がより好ましく、50時間以下が更に好ましい。回収工程(S20)は第2の実施形態と同様である。
この第3の実施形態により得られるプロテオグリカンを含む軟骨成分混合物におけるプロテオグリカンの分子量は、好ましくは、50万~90万である。
(その他)
第2の実施形態及び第3の実施形態で挙げている抽出工程(S10)では、酢酸水溶液及びクエン酸水溶液の代わりに、pH2から4の水又は水溶液を用いることも可能である。プロテオグリカンの抽出効率を上げる観点などから、当該pHは以下の通りである。
・pHの下限は、好ましくは2以上、より好ましくは2.1以上、より好ましくは2.2以上、より好ましくは2.3以上、更に好ましくは2.4以上である。
・pHの上限は、好ましくは4以下、より好ましくは3.9以下、より好ましくは3.8以下、より好ましくは3.7、更に好ましくは3.6以下である。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
[実施例1]可溶性軟骨成分混合物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を、品温35℃以下(当該鼻軟骨の温度を35℃以下を保つこと)の条件で凍結乾燥を行い、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、14メッシュパス相当の粉砕物を得た。99%エタノール550Lに、55kgのクエン酸を溶解し、先に得られた軟骨粉砕物55kgを投入し、50℃で1時間攪拌した。このように攪拌により洗浄した軟骨粉砕物を、遠心分離機を用いてエタノール溶液を除去した後、残渣を550Lの99%エタノールに再度投入して50℃にて30分間攪拌した。これを遠心脱水機でエタノール溶液を除去した後、残渣を再度550Lの99%エタノールに投入して50℃にて30分間攪拌洗浄した。エタノール洗浄後の粉砕物を遠心分離機でろ取し、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥し、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、約40kgの粉砕物を得た。
このようにして得られた60メッシュパス相当の粉砕物に約800kgの精製水を加えて分散し、精密乳化分散機クレアミックス(エム・テクニック株式会社)を用いて湿式粉砕した。乳化分散処理後の処理液を、80℃に上昇させ、30分間加温して加熱殺菌した後、溶出液をステンレススチールメッシュ(150μm)でろ過した。ろ過して得られた水溶液を凍結乾燥機(FDU-2100、東京理化器械株式会社)を用いて凍結乾燥し、プロテオグリカンを含む可溶性軟骨成分混合物(約35kg)を得た。
(プロテオグリカンの定量)
上記製造方法で得られた乾燥品約1gを精密に量り、リン酸緩衝液(pH6.8)を加えて正確に10mLとしたものを試料溶液とした。各試料溶液を、0.45μmメンブレンフィルターを通した後、以下の操作条件でHPLCを行い標準品の検量線からプロテオグリカン量を求めた。なお、検量線の作成は、プロテオグリカン標準品(サケ鼻軟骨由来、富士フイルム和光純薬、162-22131)を、室温減圧デシケーター(シリカゲル)で3時間乾燥してから採取したものを精密に量り取り、試料と同じリン酸緩衝液に溶解して検量線作成用標準液を調製した。また、分子量マーカーとして、Shodex STANDARD P-82(昭和電工社製)を用いて作成した検量線からピークトップの分子量を求めた。
操作条件
分析計:HPLC分析装置
検出器:示差屈折率検出器(RID-10A 島津製作所製)
カラム:ゲルろ過カラム(東ソー株式会社製TSKgel G5000PWXL)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL
移動相:リン酸緩衝液(pH6.8)
流量:0.5mL/min
(コラーゲンの定量)
コラーゲンは、一般的なタンパク質には含まれないヒドロキシプロリンとヒドロキシリジンを含むという特徴がある。ヒドロキシプロリンはコラーゲン中の全アミノ酸の約10%を占めるといわれ、このヒドロキシプロリンを定量することによってコラーゲン量を推定することが可能である(皮革科学、vol.56、No.2、p71-79、2010「天然素材コラーゲンの機能性」)。上記製造方法で得られた乾燥品試料を、このヒドロキシプロリン量を測定することによりコラーゲン含有率を算出した。
(結果)
実施例1で製造した可溶性軟骨成分混合物に含まれるプロテオグリカンの分子量は約84万、含有率は約41%であった。また、この混合物中のコラーゲン含有率は35~38%であった。
[試験例1]プロテオグリカン含有の軟骨成分混合物の臭い比較試験
以下比較例1~4、実施例1の変形例(その1及びその2)の当該比較試験を官能試験により行った。
まず、以下比較例1~4、実施例1の変形例(その1及びその2)のプロテオグリカン含有の軟骨成分混合物(粉砕物)を作製した。
[比較例1]粉砕物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を、品温35℃以下の条件で凍結乾燥を行い、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、14メッシュパス相当の粉砕物を得た。99%ヘキサン溶液550Lに、先に得られた軟骨粉砕物55kgを投入し、25℃(室温)で1時間攪拌した。このように攪拌により洗浄した軟骨粉砕物を、遠心分離機を用いてヘキサン溶液を除去した後、残渣を550Lの99%ヘキサン溶液に再度投入して25℃にて30分間攪拌した。これを遠心分離機でヘキサン溶液を除去した後、残渣を再度550Lの99%ヘキサン溶液に投入して25℃にて30分間攪拌洗浄した。ヘキサン溶液洗浄後の粉砕物を遠心分離機でろ取し、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥し、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、約40kgの粉砕物を得た。
[比較例2]粉砕物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を、品温35℃以下の条件で凍結乾燥を行い、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、14メッシュパス相当の粉砕物を得た。99%アセトン溶液550Lに、先に得られた軟骨粉砕物55kgを投入し、25℃で1時間攪拌した。このように攪拌により洗浄した軟骨粉砕物を、遠心分離機を用いてヘキサン溶液を除去した後、残渣を550Lの99%アセトン溶液に再度投入して25℃にて30分間攪拌した。これを遠心分離機でアセトン溶液を除去した後、残渣を再度550Lの99%アセトン溶液に投入して25℃にて30分間攪拌洗浄した。アセトン溶液洗浄後の粉砕物を遠心分離機でろ取し、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥し、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、約40kgの粉砕物を得た。
[比較例3]粉砕物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を、品温35℃以下の条件で凍結乾燥を行い、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、14メッシュパス相当の粉砕物を得た。59%エタノール溶液550Lに、先に得られた軟骨粉砕物55kgを投入し、25℃で1時間攪拌した。このように攪拌により洗浄した軟骨粉砕物を、遠心分離機を用いてエタノール溶液を除去した後、残渣を550Lの59%溶液に再度投入して25℃にて30分間攪拌した。これを遠心分離機でエタノール溶液を除去した後、残渣を再度550Lの59%エタノール溶液に投入して25℃にて30分間攪拌洗浄した。エタノール溶液洗浄後の粉砕物を遠心分離機でろ取し、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥し、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、約40kgの粉砕物を得た。
[比較例4]粉砕物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を、品温35℃以下の条件で凍結乾燥を行い、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、14メッシュパス相当の粉砕物を得た。99%エタノール溶液550Lに、先に得られた軟骨粉砕物55kgを投入し、25℃で1時間攪拌した。このように攪拌により洗浄した軟骨粉砕物を、遠心分離機を用いてエタノール溶液を除去した後、残渣を550Lの99%溶液に再度投入して25℃にて30分間攪拌した。これを遠心分離機でエタノール溶液を除去した後、残渣を再度550Lの99%エタノール溶液に投入して25℃にて30分間攪拌洗浄した。エタノール溶液洗浄後の粉砕物を遠心分離機でろ取し、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥し、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、約40kgの粉砕物を得た。
[実施例1の変形例その1]粉砕物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を、品温35℃以下の条件で凍結乾燥を行い、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、14メッシュパス相当の粉砕物を得た。99%エタノール550Lに、55kgのクエン酸を溶解し、先に得られた軟骨粉砕物55kgを投入し、60℃で30分間攪拌した。当該攪拌は、ホモミキサーにより湿式粉砕を行いながら行った。このように攪拌により洗浄した軟骨粉砕物を、遠心脱水機を用いてエタノール溶液を除去した後、残渣を550Lの99%エタノールに再度投入して60℃にて30分間攪拌した。これを遠心脱水機でエタノール溶液を除去した後、残渣を再度550Lの99%エタノールに投入して60℃にて30分間攪拌洗浄した。エタノール洗浄後の粉砕物を遠心分離機でろ取し、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥し、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、約40kgの粉砕物を得た。
[実施例1の変形例その2]粉砕物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を、品温35℃以下の条件で凍結乾燥を行い、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、14メッシュパス相当の粉砕物を得た。99%エタノール550Lに先に得られた軟骨粉砕物55kgを投入し、60℃で1時間攪拌した。当該攪拌は、精密乳化分散機クレアミックス(エム・テクニック株式会社)により湿式粉砕を行いながら行った。このように攪拌により洗浄した軟骨粉砕物を、遠心分離機を用いてエタノール溶液を除去した後、残渣を550Lの99%エタノールに再度投入して60℃にて30分間攪拌した。これを遠心分離機でエタノール溶液を除去した後、残渣を再度550Lの99%エタノールに投入して60℃にて30分間攪拌洗浄した。エタノール洗浄後の粉砕物を遠心分離機でろ取し、加熱温度35℃以下にて減圧乾燥し、得られた乾燥物を粉砕機で粉砕して、約40kgの粉砕物を得た。
当該実施例1、実施例1の変形例、比較例1~4の粉砕物の官能試験(脂質等による臭いの有無確認)を行った。当該官能試験は、「Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi Vol.43, No.12, 1314~1322 (1996)」の方法などを参考にして行った。官能試験の結果を表1に示す。
Figure 0007220941000002
表1において、○は「臭いあり」、△は「臭いを除けなかった」、×は「臭いなし」を示す。表1で示すように、実施例1の変形例その1及び実施例1の変形例その2では、臭いが除去されていることが示唆された。
[実施例2~9]低濃度酢酸抽出法によるプロテオグリカンとコラーゲンとの粉末混合物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を400g用意し、出発原料とした。これに種々の濃度の酢酸水溶液2000mLを投入し、抽出温度30℃~40℃で48~72時間抽出した。種々の濃度(%)、抽出温度(℃)及び抽出時間(hr、時間)は、表2に示す通りである。
この抽出液を濾紙No.26(110mm)でろ過し、不溶物を除去した。次に、液量に対し2%の粉末セルロース(日本製紙社製、商品名「KCフロックW-400G」)を加え30分撹拌後ろ過した。ろ液を分画分子量5万の中空糸膜を用いて液量が1/10になるまで濃縮した。さらに水で希釈しながら濃縮と精製とを繰り返し、最終的に500~800gの濃縮液(pH6~7)を得た。そして、得られた濃縮液を凍結乾燥し、10~20gのプロテオグリカンとコラーゲンの混合物(凍結乾燥物)を得た。
実施例1に記載の方法を用いて、得られた凍結乾燥物についての以下項目を測定した。その結果を以下表2に示す。
・PG収率(%):「((得られた凍結乾燥物中のプロテオグリカンの含有量)/(当該鼻軟骨の重量400(g)))×100」にて算出された値(%)
・PG分子量(×10):プロテオグリカン分子量。例えば表2の実施例2の「56」の記載は分子量が560,000(56万)を示す。
・PG含有比率:比較例5の凍結乾燥物中のプロテオグリカンの含有量を100として、各実施例の凍結乾燥物中のプロテオグリカンの含有量の相対値(比較例5と比較して示す相対値)。
・コラーゲン含有率(%):凍結乾燥物中のコラーゲン含有率
・「―」:測定していないことを示す。
Figure 0007220941000003
比較例5に比べ、実施例2~9では、プロテオグリカンの収率等が向上していることが確認できた。
[実施例10~12]低濃度クエン酸抽出法によるプロテオグリカンの製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を400g用意し、出発原料とした。種々の濃度のクエン酸水溶液2000mLを加え、ゆっくり攪拌しながら種々の抽出温度で24~48時間抽出した。種々の濃度(%)、抽出温度(℃)及び抽出時間(hr、時間)は、表3に示す通りである。
この抽出液を濾紙No.65(110mm)でろ過し、不溶物を除去した。次に、液量に対し2%の粉末セルロース(日本製紙社製、商品名「KCフロックW-400G」)を加え30分撹拌後ろ過した。ろ液を分画分子量5万の中空糸膜を用いて液量が1/10になるまで濃縮した。さらに水で希釈しながら濃縮と精製とを繰り返し、最終的に500g~800gの濃縮液(pH6~7)を得た。そして、得られた濃縮液を凍結乾燥し、10g~20gのプロテオグリカンとコラーゲンの混合物を得た。
実施例1に記載の方法を用いて、得られた凍結乾燥物についての以下項目を測定した。その結果を以下表3に示す。
・PG収率(%):「((得られた凍結乾燥物中のプロテオグリカンの含有量)/(当該鼻軟骨の重量400(g)))×100」にて算出された値(%)。
・PG分子量(×10):プロテオグリカン分子量。例えば表2の実施例10の「72」の記載は分子量が720,000(72万)を示す。
・PG/コラーゲンの比率:「当該比率=(凍結乾燥物中のプロテオグリカンの含有率/凍結乾燥物中のコラーゲンの含有率)」。
・コラーゲン含有率(%):凍結乾燥物中のコラーゲン含有率。
・「―」:測定していないことを示す。
・腐敗の有無:「×」は凍結乾燥物の製造工程中での腐敗が確認された群、「○」は当該製造工程中での腐敗が確認されなかった群(正常な群)、を示す。なお、比較例6は、当該腐敗が確認されたため、PG収率、コラーゲン含有率など測定できなかった。
Figure 0007220941000004
[試験例2]ヒト線維芽細胞増殖試験(その1)
実施例1で得られた可溶性軟骨成分混合物についてのヒト線維芽細胞増殖能の有無を評価した。
まず、DMEM培地(富士フイルム和光純薬、D-MEM(低グルコース)(L-グルタミン、フェノールレッド含有)、041-29775)を準備した。96well plateに、0.1%FBS含有のDMEM培地細胞浮遊液200μlで4×10個の細胞を播種した。この播種後、37℃、5%COの環境下で、72時間培養した。当該培養後、0.1%FBS含有のDMEM200μlに培地を交換した。当該交換後、37℃、5%COの環境下で、24時間培養した。当該24時間後、試料入り培地(0.1%FBS含有のDMEM培地200μl)に交換した。このとき、所定の試料を入れずに0.1%FBS含有のDMEM培地のみで培養したコントロール群を設けた。その後、37℃、5%COの環境下で、72時間培養した。当該培養後、CellTiter-GloTMLuminescent Cell Viability Assay (Promega)を用いて、添加した試料(試料1から試料3の群)の細胞増殖効果を評価した。得られた試験結果に関し、統計学的有意性はDunnett’s testを用いて評価した。表4において、有意差がある場合は、「**」(p<0.05)と標記する。各群の正常ヒト皮膚線維芽細胞数を測定することで、当該細胞増殖効果を評価した。当該測定は、コントロール群の細胞数の測定結果を100として、各群(試料1から試料3の群)において測定した細胞数の相対値を算出した。以下表4では、各群において3サンプルの平均値を算出した結果を用いての相対値を示す。
・コントロール群:試料を添加しないで、0.1%FBS含有のDMEM培地で培養した群
・試料1の群:従来品としてプロテオグリカンF(一丸ファルコス株式会社製)に含有されるプロテオグリカン5倍濃縮したもの
・試料2の群:実施例1で製造した可溶性軟骨成分混合物
・試料3の群:実施例5で製造した可溶性軟骨成分混合物
・試料4の群:市販品のプロテオグリカン
Figure 0007220941000005
試料1~4の群において、コントロール群に比べて、線維芽細胞増殖能を示した。特に、試料1~試料3の群では、いずれの添加濃度でも、有意に(p<0.05、表4にて**で示している内容)、線維芽細胞増殖能を示した。
[試験例2]ヒト線維芽細胞増殖試験
実施例10及び実施例11で得られたプロテオグリカンについて、試験例1と同様の方法にて、ヒト線維芽細胞増殖能の有無を評価した。用いた試料は以下のとおりである。得られた試験結果に関し、統計学的有意性はDunnett’s testを用いて評価した。測定結果を表5に示す。表5において、有意差がある場合は、「**」(p<0.05)と標記する。各群の正常ヒト皮膚線維芽細胞数を測定することで、当該細胞増殖効果を評価した。当該測定は、コントロール群の細胞数の測定結果を100として、各群(試料1の群、試料5の群、試料6の群)において測定した細胞数の相対値を算出した。以下表5では、各群において3サンプルの平均値を算出した結果を用いての相対値を示す。
・試料1の群:従来品としてプロテオグリカンF(一丸ファルコス株式会社製)に含有されるプロテオグリカン5倍濃縮したもの
・試料5の群:実施例10で製造したプロテオグリカン
・試料6の群:実施例11で製造したプロテオグリカン
Figure 0007220941000006
いずれの試料(試料1、5、6)も、コントロール群に比べて、線維芽細胞増殖能を示した。試料1の群では、有意差(p<0.05)が見られた。
[実施例13と14]プロテオグリカンとコラーゲンとの粉末混合物の製造
-30℃~-20℃で冷凍保管したシロサケの頭部から摘出した鼻軟骨を400g用意し、出発原料とした。これにpH2~4の水又は水溶液2000mLを投入し、抽出温度37℃で72時間抽出した。種々の濃度(%)、抽出温度(℃)及び抽出時間(hr、時間)は、表6に示す通りである。
この抽出液を濾紙No.26(110mm)でろ過し、不溶物を除去した。次に、液量に対し2%の粉末セルロース(日本製紙社製、商品名「KCフロックW-400G」)を加え30分撹拌後ろ過した。ろ液を分画分子量5万の中空糸膜を用いて液量が1/10になるまで濃縮した。さらに水で希釈しながら濃縮と精製とを繰り返し、更にpH調整の工程(この工程で用いた溶液は以下表6に記載)を経て、最終的に500~800gの濃縮液を得た。そして、得られた濃縮液を凍結乾燥し、10~20gのプロテオグリカンとコラーゲンの混合物(凍結乾燥物)を得た。
実施例1に記載の方法を用いて、得られた凍結乾燥物についての以下項目を測定した。その結果を以下表6に示す。
・PG収率(%):「((得られた凍結乾燥物中のプロテオグリカンの含有量)/(当該鼻軟骨の重量400(g)))×100」にて算出された値(%)
・PG分子量(×10):プロテオグリカン分子量。例えば表6の実施例13の「50」の記載は分子量が500,000(50万)を示す。
・コラーゲン含有率(%):凍結乾燥物中のコラーゲン含有率
・「―」:測定していないことを示す。
Figure 0007220941000007
実施例4などと同様に、実施例13と14において、一定のプロテオグリカンの収率で、混合物(凍結乾燥物)を得ることができた。
[その他]表2及び表3で示す実施例及び比較例における溶媒のpH
比較例5及び実施例2から9で用いた溶媒(表2、所定濃度の酢酸水溶液2000mL)、比較例6及び実施例10から12で用いた溶媒(表3、所定濃度のクエン酸水溶液2000mL)のpHを測定した。測定結果を以下表7に示す。
Figure 0007220941000008
本発明の製造方法は、軟骨からプロテオグリカンを含む軟骨成分を効率よく抽出、回収できる。このような方法で製造された軟骨成分混合物には、プロテオグリカンの他にコラーゲンやヒアルロン酸なども含まれ、食品、化粧品などの原料などとして利用可能である。

Claims (7)

  1. 凍結乾燥された軟骨を粉砕して粉砕物を得る工程と、
    前記粉砕物をクエン酸含有エタノール溶液にて洗浄する工程と、
    前記クエン酸含有エタノール溶液で洗浄した粉砕物を、さらにエタノールにて洗浄する工程と、
    前記エタノール洗浄後の粉砕物を乾燥及び粉砕して粉末を得る工程と、
    前記粉末に水を加えて湿式粉砕する工程と、
    を含む、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法。
  2. 凍結乾燥された軟骨を粉砕して粉砕物を得る工程と、
    前記粉砕物をクエン酸含有エタノール溶液にて洗浄する工程と、
    前記クエン酸含有エタノール溶液で洗浄した粉砕物を、さらにエタノールにて洗浄する工程と、
    前記エタノール洗浄後の粉砕物を乾燥及び粉砕して粉末を得る工程と、
    を含む、プロテオグリカンを含む軟骨成分混合物の製造方法。
  3. 前記クエン酸含有エタノール溶液が、1質量%以上30質量%以下のクエン酸を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記軟骨成分混合物が、固形分換算で30質量%以上のプロテオグリカンを含有する請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記軟骨成分混合物が、固形分換算で少なくとも20質量%の水溶性コラーゲンを含有する請求項1又は2に記載の製造方法。
  6. 前記プロテオグリカンの分子量が80万~90万である請求項1又は2に記載の製造方法。
  7. 当該軟骨が、サケ頭部の鼻軟骨である請求項1又は2に記載の製造方法。
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