JP7207658B2 - 白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体およびその製造方法に関する。
白金は、化学的に安定な性質を有し、化学反応を促進する触媒性能に優れるため、金属空気電池や燃料電池の電極、自動車等の排ガス処理など、様々な用途に利用されている。
例えば、金属空気電池や燃料電池の電極(カソード電極)における酸素還元反応(oxygen reduction reaction:ORR)を促進する触媒として、従来、カーボンナノチューブやカーボンブラック等の炭素材料の担体に白金粒子を担持させた複合体(以下、Pt/C複合体またはPt/C触媒ともいう。)が使用されている。しかしながら、白金が有する触媒活性をより効果的に引き出すことが求められており、また、発電装置全体のコストを削減することに対する要請もある。
Zhou, B. et al., Platinum Nanostructures via Self-Assembly of an Amyloid-like Peptide: A Novel Electrocatalyst for the Oxygen Reduction, Nanoscale 2013, 5 (7), 2669-2673.
本発明は、上記の事情に鑑み、Pt/C複合体を上回る酸素還元触媒性能を有する材料を提供することを目的とする。
本発明者等は、白金粒子を担持させる担体として、ペプチドを用いることを着想した。ペプチドは、アミノ酸配列を設計して人工的に合成することができ、自己組織化によってナノスケールの構造体を形成させることができるという特徴がある。また、官能基の種類・配置等を選択したり、任意の官能基を導入した人工のアミノ酸を用いたりすることも可能である。一方、ペプチドは導電性に乏しいため、従来、金属粒子の担体としては不向きであると考えられていた。
非特許文献1では、表面が正に帯電するように設計されたペプチド線維(peptide fibril)を担体として用い、その表面に、負に帯電した白金ナノ粒子を担持させる、静電的相互作用を利用した触媒の作製方法が提案されている。非特許文献1に記載の作製方法によれば、白金ナノ粒子がペプチド線維の壁部(wall)や端部(end)に結合し、ペプチド線維の表面に多くの白金ナノ粒子が分散した構造体が得られるとされている。しかしながら、実際に非特許文献1で得られた複合体の、触媒としての質量活性は16.38μA/μgであり、実用に耐えるものとは言い難い。
これに対して、本発明者等は、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子(Platinum nanoparticle:PtNP)の分散形態について鋭意検討した結果、白金ナノ粒子(PtNP)と、ペプチド鎖のN末端のアミノ基、およびペプチド鎖を構成するアミノ酸の側鎖のアミノ基の窒素原子(N)とを結合させ(Pt-N結合)、さらにこのPt-N結合の量を制御することが、白金の酸素還元触媒性能を最大限引き出すことに有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]βシート構造を有するペプチド担体と白金ナノ粒子を含み、前記ペプチド担体に前記白金ナノ粒子が担持されており、X線光電子分光(XPS)測定で得られたN 1sスペクトルから求められるピーク総面積値に対する、白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合が40%以上である、白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体。
[2]前記ピーク総面積値に対する前記白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合が、白金を伴わないアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合よりも大きい、[1]に記載の複合体。
[3]金属二次電池または燃料電池の電極用触媒である、[1]または[2]に記載の複合体。
[4]前記電極用触媒は、カソード電極用触媒である、[3]に記載の複合体。
[5]白金ナノ粒子からなる分散液を提供するステップと、前記分散液に、βシート構造を有し、かつ少なくとも1つ以上のアミノ基を側鎖に有するペプチド担体を添加し、分散処理するステップと、を包含し、前記ペプチド担体に対する前記白金ナノ粒子の質量比が、9%以上14%以下である、白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法。
[6]前記ペプチド担体に対する前記白金ナノ粒子の質量比が、10.5%以上13%以下である、[5]に記載の複合体の製造方法。
[7]フーリエ変換赤外分光(FT-IR)スペクトルから求められる前記ペプチド担体のβシート構造の割合が70%以上である、[5]または[6]に記載の複合体の製造方法。
[8]金属二次電池または燃料電池の電極用触媒の製造方法である、[5]~[7]のいずれか一項に記載の複合体の製造方法。
[9]前記電極用触媒の製造方法は、カソード電極用触媒の製造方法である、[8]に記載の複合体の製造方法。
本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体は、βシート構造を有するペプチド担体の、ペプチド鎖のN末端のアミノ基、およびペプチド鎖を構成するアミノ酸の側鎖のアミノ基の窒素原子に対して白金が結合したPt-N結合が形成されており、このPt-N結合の量が制御された状態で、白金ナノ粒子がペプチド担体に分散担持されているので、従来のPt/C複合体を上回る酸素還元触媒性能を発揮する。このような複合体は、金属二次電池や燃料電池の電極(カソード電極)における酸素還元反応(ORR)を促進する触媒として、好適に使用することができる。
本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法は、白金ナノ粒子からなる分散液を提供するステップと、前記分散液に、βシート構造を有し、かつ少なくとも1つ以上のアミノ基を側鎖に有するペプチド担体を添加し、分散処理するステップと、を包含し、前記ペプチド担体に対する前記白金ナノ粒子の質量比が、9%以上14%以下である。白金ナノ粒子の分散液に含まれる白金ナノ粒子は、その表面に界面活性剤等の保護剤(コーティング剤)を有さないので、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比を従来技術より劇的に小さくすることができ、これにより、ペプチド担体に白金ナノ粒子が効果的に分散担持された複合体を得ることができる。また、このようにして製造された白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体は、Pt-N結合を形成した白金ナノ粒子の表面に対して酸素分子(O)が直接作用することができるので、白金の酸素還元触媒性能がより効率的に引き出される。
本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法を示すフローチャート (a)実施例で作製したペプチド担体(ヘプタペプチド)の分子構造を示す図、(b)自己組織化処理後のペプチド担体(βP)のβシート構造を示す模式図 βP、および、例1~例5の複合体のTEM像:(a)βP、(b)例1の複合体(PtNP/βP)、(c)例2の複合体(PtNP7.5/βP)、(d)例3の複合体(PtNP10/βP)、(e)例4の複合体(PtNP12.5/βP)、(f)例5の複合体(PtNP15/βP) 本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の構造を示す模式図 βP、および、例1~例5の複合体の、X線光電子分光(XPS)測定で得られたN 1sスペクトル:(a)βP、(b)例1の複合体(PtNP/βP)、(c)例2の複合体(PtNP7.5/βP)、(d)例3の複合体(PtNP10/βP)、(e)例4の複合体(PtNP12.5/βP)、(f)例5の複合体(PtNP15/βP) XPS測定で得られたPt 4fスペクトル:(a)原料の白金ナノ粒子(PtNP)、(b)例4の複合体(PtNP12.5/βP) 例1~例4の複合体のサイクリックボルタモグラム(溶媒:酸素飽和した1.0M KNO溶液(中性条件))。内側に挿入したグラフは、Pt-N結合の割合と立ち上がり電位(Eonset)との関係を示すグラフである。 アルゴン飽和した1.0M KNO溶液を溶媒に用いた測定条件で得られたサイクリックボルタモグラム:(a)PtNPのみ(担体なし)、(b)例6の複合体(PtNP20/C)、(c)例4の複合体(PtNP12.5/βP)、(d)例5の複合体(PtNP15/βP) 例3の複合体(PtNP10/βP)、例4の複合体(PtNP12.5/βP)、および市販のPt/C触媒(20wt% Pt/C)のLSV測定結果:(a)RDE分極曲線、(b)Koutecky-Levich(K-L)プロット、(c)ターフェルプロット、(d)例4の複合体(PtNP12.5/βP)について、電圧の掃引を1000回繰り返した前後のRDE分極曲線 (a)例4の複合体(PtNP12.5/βP)および市販のPt/C触媒(20wt% Pt/C)について行った、電気化学インピーダンス測定の結果を示すナイキスト線図、(b)PtNPと複合化していないβPについて行った、電気化学インピーダンス測定の結果を示すナイキスト線図、(c)電気化学インピーダンス測定に用いた等価回路の構成を示す模式図。CE:対極、WE:作用極、R:溶液抵抗、R:カソード抵抗、C:二重層容量、W:ワールブルグ(Warburg)インピーダンス
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
〔白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体〕
本発明の一実施形態に係る白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体(以下、単に「本実施形態の複合体」ともいう。)は、βシート構造を有するペプチド担体と白金ナノ粒子を含み、前記ペプチド担体に前記白金ナノ粒子が担持されており、X線光電子分光(XPS)測定で得られたN 1sスペクトルから求められるピーク総面積値に対する、白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合が40%以上である。
本実施形態の複合体において、XPS測定で得られたN 1sスペクトルから求められるピーク総面積値に対する、白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合が上記所定の条件を満たすことは、βシート構造を有するペプチド担体の、ペプチド鎖のN末端のアミノ基、およびペプチド鎖を構成するアミノ酸の側鎖のアミノ基の窒素原子(N)に対して白金(Pt)が結合したPt-N結合が形成されており、このPt-N結合の量が制御された状態で、白金ナノ粒子がペプチド担体に分散担持されていることを意味する。
より具体的には、本実施形態の複合体では、白金と窒素原子との間でPt-N結合が形成されていることにより、白金と結合した窒素原子の電子状態、ならびに、ペプチド担体のβシート構造において当該窒素原子に近接するペプチド鎖のアミド基および/またはアミノ基の窒素原子の電子状態が、白金が担持されていないときのそれとは変化している。
本実施形態の複合体のXPS測定で得られるN 1sスペクトルの波形を解析すると、以下の4種類のピークが得られる。
N1:アミドおよびアミンに由来するピーク
N2:プロトン化したアミンに由来するピーク
N3:白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク
N4:白金と結合し、かつプロトン化したアミンに由来するピーク
これらのうち、N1ピークおよびN2ピークは、白金ナノ粒子が担持されていないペプチド担体のXPS測定で得られるN 1sスペクトルにおいて確認されるピークである。すなわち、N1ピークにおけるアミンは、白金を伴わない(白金と結合していない)アミンである。
N3ピークおよびN4ピークは、それぞれ、白金ナノ粒子がペプチド担体に分散担持される際に形成された白金と窒素原子との結合(Pt-N結合)に伴って生じるケミカルシフトにより、本実施形態の複合体において見られる特徴的なピークである。
本実施形態の複合体は、これらのN1~N4のピーク総面積値に対する、N3のピーク面積値の割合が、上記所定の条件を満たす。これにより、本実施形態の複合体は、ペプチド担体に白金ナノ粒子が効果的に分散担持された複合体であり、従来のPt/C複合体を上回る酸素還元触媒性能を発揮する。
これに対して、非特許文献1によれば、非特許文献1に記載の、白金ナノ粒子とペプチド線維との複合体では、XPS測定で得られるN 1sスペクトルの波形を解析すると、アミノ基に由来するピーク、および、ペプチド線維中のアミド基に由来するピークの2種類のピークが得られるとされている(非特許文献1の図2(B)参照)。従って、本実施形態の複合体は、ペプチドを担体として用いて白金ナノ粒子を担持させた従来の材料とは構造的特徴が異なるものである。
本発明の好ましい実施形態では、上記N1~N4のピーク総面積値に対するN3のピーク面積値の割合が、N1のピーク面積値の割合よりも大きい。
N3のピーク面積値の割合が、N1のピーク面積値の割合よりも大きいことは、白金ナノ粒子が担持される前のペプチド担体の、ペプチド鎖のアミノ基の窒素原子のうち、50%を超える窒素原子に対して白金が結合し、Pt-N結合が形成されていること、ならびに/あるいは、白金と窒素原子との間でPt-N結合が形成されることにより、白金と結合した窒素原子の電子状態、および、ペプチド担体のβシート構造において当該窒素原子に近接するペプチド鎖のアミド基および/またはアミノ基の窒素原子のうち、50%を超える窒素原子の電子状態が、白金が担持されていないときのそれとは変化していることを意味する。
従って、上記所定の条件を満たす本実施形態の複合体は、ペプチド担体に白金ナノ粒子がより効果的に分散担持された複合体であり、従来のPt/C複合体をより上回る酸素還元触媒性能を発揮する。
本実施形態の複合体において、上記のN1~N4のピーク総面積値に対する、N3のピーク面積値の割合の上限値は、特に制限されないが、後述する実施例の結果に基づけば、50%以下の値であっても、従来のPt/C複合体を上回る酸素還元触媒性能を発揮し得る。
また、後述する本実施形態の複合体の製造方法に関し、使用するペプチド担体のアミノ酸配列や官能基の種類・配置等を考慮して、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比を適切に調節することによって、N3のピーク面積値の割合が50%を上回る複合体が得られ得る。この場合において、N3のピーク面積値の割合が70%以下であれば、Pt-N結合を形成したPtの表面に、酸素分子(O)が直接的かつ効果的に作用することができると推測される。
なお、本実施形態の複合体のXPS測定で使用する機器や測定手法は、特に限定されず、後述する実施例に記載のものをはじめ、当該分野で通常用いられるものを適用することができる。
次に、本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法を説明する。
〔白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法〕
図1は、本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法(以下、単に「本実施形態の複合体の製造方法」ともいう。)は、
白金ナノ粒子からなる分散液を提供するステップ(S110)と、
前記分散液に、βシート構造を有し、かつ少なくとも1つ以上のアミノ基を側鎖に有するペプチド担体を添加し、分散処理するステップ(S120)と、
を包含し、
前記ペプチド担体に対する前記白金ナノ粒子の質量比が、9%以上14%以下である。
ステップS110:白金ナノ粒子からなる分散液を提供する。
従来、白金ナノ粒子を溶媒中に分散、懸濁させる場合、クエン酸、アスコルビン酸、ポリアクリル酸ナトリウム等の重合体で粒子表面をコーティングすることで凝集を抑制し、白金ナノ粒子を分散安定化することが必要であった。実際に、非特許文献1に記載の触媒の作製方法では、白金ナノ粒子として、クエン酸によって安定化されたものが使用されている。
これに対して、本実施形態の複合体の製造方法では、白金ナノ粒子の分散液に含まれる白金ナノ粒子は、その表面に界面活性剤等の保護剤(コーティング剤)を有さない。このような白金ナノ粒子からなる分散液の調製方法としては、例えば、パルスレーザーアブレーション法が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書において、白金ナノ粒子からなる分散液とは、溶媒中に、白金ナノ粒子の表面を保護もしくはコーティングする目的で添加された物質を含まないことを意味し、白金ナノ粒子を作製する過程で不可避的に白金ナノ粒子の表面に付着し得る物質、および/または、溶媒中に白金ナノ粒子が分散した分散液を調製する過程で不可避的に混入し得る物質が含まれていてもよい。
分散液の溶媒は、特に限定されないが、例えば、純水等のプロトン性の極性溶媒、および、アセトン等の非プロトン性の極性溶媒を挙げることができる。
分散液中の白金ナノ粒子の濃度は、特に限定されない。本実施形態の複合体の製造方法では、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比が上記所定の範囲であるので、例えば金属二次電池や燃料電池の電極(カソード電極)用の触媒として利用する際の白金の使用量を低減することができ、製造コストの面で有利である。
一方、非特許文献1には、ペプチド線維と白金ナノ粒子の割合を1:2.5(w/w)とする作製方法が記載されており、担体に対する白金の使用量が多いことが懸念される。また、後述するように、触媒性能の面でも、本発明の複合体よりも劣る。
ステップS120:白金ナノ粒子からなる分散液に、βシート構造を有し、かつ少なくとも1つ以上のアミノ基を側鎖に有するペプチド担体を添加し、分散処理する。
担体として使用するペプチドは、上記所定の条件を満たすものであれば特に制限されないが、ペプチドの二次構造解析において、βシート構造の割合が70%以上であることが好ましい。ペプチド担体のβシート構造の割合が70%以上であると、白金ナノ粒子が効果的に分散担持されやすく、複合体がより優れた酸素還元触媒性能を発揮する。
ペプチド担体のβシート構造の割合は、フーリエ変換赤外分光(FT-IR)スペクトルから、βシート、αヘリックス、およびランダムコイルに由来するピーク面積比を算出することによって求めることができる。
ステップS120において、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比は、9%以上14%以下である。これにより、Pt-N結合量が40%以上である、白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体を作製することができる。
好ましい実施形態では、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比は、10.5%以上13%以下である。これにより、白金ナノ粒子が担持される前のペプチド担体の、ペプチド鎖を構成するアミノ酸の側鎖のアミノ基の窒素原子のうち、50%を超える窒素原子に対して白金が結合してPt-N結合が形成された、白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体を作製することができる。
ペプチド担体のアミノ酸配列は、主として、自己組織化によってβシート構造が形成されやすいことを考慮して設計される。また、白金ナノ粒子を担持させた際にPt-N結合を形成させる観点から、側鎖にアミノ基を有するアミノ酸を少なくとも1つ以上含めることとする。
ペプチド鎖を構成するアミノ酸は、ヒトのタンパク質を構成する20種類のアミノ酸であってもよく、任意の官能基が修飾された人工の(非天然の)アミノ酸が含まれていてもよい。
例えば、「KLVFF」のアミノ酸配列は、アミロイドβペプチドのコア配列であることが知られており、また、リシン(K)はアミノ基を側鎖に有することから、本実施形態の複合体の製造方法に用いるペプチド担体のアミノ酸配列(の一部)として好適である。
ペプチド担体のペプチド鎖の長さ(ペプチド鎖を構成するアミノ酸の数)は、特に制限されないが、βシート構造を効率的に形成させる観点から、ペンタペプチド、またはそれ以上(例えば、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド等)であることが好ましい。
なお、後述する実施例で用いたペプチド担体は、ヘプタペプチドであり、上記の「KLVFF」のN末端側に、疎水性のアラニン(A)を2つ配置することによって、βシート構造の形成能を高めたものである。
このようにして作製される本実施形態の複合体は、例えば、金属二次電池または燃料電池の電極用触媒として適しており、特に、カソード電極用触媒として好適である。
本明細書において、金属二次電池とは、負極活物質に金属、正極活物質に酸素や二酸化炭素などの外部ガスを用いるものをいう。負極活物質の金属としては、例えば、リチウム、亜鉛、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、カリウムなどが挙げられるがこれらに限定されない。金属二次電池の具体例としては、例えば、リチウム空気電池、亜鉛-空気電池、ナトリウム-空気電池、アルミニウム-空気電池、マグネシウム-空気電池、カルシウム-空気電池、鉄-空気電池、カリウム-空気電池、リチウム-二酸化炭素電池などが挙げられるがこれらに限定されない。正極活物質の酸素としては、純酸素、大気酸素、あるいは任意の酸素分圧のガスを含むものを用いることができる。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
本実施例では、特に明記しない限り、使用した試薬、溶媒等は、各供給元から提供されたものをそのまま使用した。
[ペプチド担体の合成]
N末端からC末端の順に「AAKLVFF」のアミノ酸配列を有するヘプタペプチド(NH-AAKLVFF-COOH)を、保護基としてFmoc基を用いる固相合成法により合成した。合成手順は、Krysmannらによって報告された、ペプチド(NH-KLVFF-COOH)の合成手順(Krysmann, M. J. et al., Self-Assembly and Hydrogelation of an Amyloid Peptide Fragment. Biochemistry 2008, 47 (16), 4597-4605.)と同様とした。
生成物を、H NMR法、MALDI-TOF質量分析法、逆相HPLC分析法により分析し、目的のペプチドが得られたことを確認した。
H NMRスペクトルは、JEOL AL300 NMR分光計(プロトン共鳴周波数:300MHz)を用いて取得した。
MALDI-TOF質量分析は、Shimadzu/Kratos AXIMA(登録商標)-CFR-plusを用い、マトリックスとしてα-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸(CCA)を用いた。
逆相HPLC分析は、JASCO PU-2080 Plusを用い、以下の装置構成および条件とした。
・UV-VIS可変波長検出器:UV-2070 Plus
・逆相カラム:Wakosil(登録商標)-II 5C18 AR(250×4.6mm)
・溶離液:MeOH/HO混合溶媒(63/35 v/v)、CFCOHを0.05%添加
・流速:0.5mL/min
なお、HPLC分析に供したサンプルは、95%を超える純度であることが確認された。
図2(a)に、ヘプタペプチドの分子構造を示す。なお、ペプチド鎖のN末端のアラニン(A)のアミノ基、およびリシン(K)の側鎖のアミノ基は、中性の水溶液中では正に帯電する。
次に、得られたペプチド(NH-AAKLVFF-COOH)を、以下の手順で自己組織化させた。
100mgのペプチドを、10mLの脱イオン水に溶解させた。25℃で5日間静置すると、溶液は、透明な上澄層と白色の沈降層の2層を形成した。上澄層を別のバイアルに移し、25℃でさらに5日間静置した。得られた白色の沈降層(懸濁液)をエバポレーターで乾燥させて、白色粉末を得た。
得られた白色粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した(日立ハイテクノロジーズ H7650、加速電圧:80kV)。その結果、ペプチドは、幅が数十nm~数百nm、長さが数μmの、シート状の形態を有していた(図3(a)、図中のスケールバーは200nmである。)。
また、自己組織化させる前と後のサンプルについて、フーリエ変換赤外分光(FT-IR)分析を行った(JASCO FT/IR-4200、ATR測定用アタッチメント:PR0450-S)。その結果、FT-IRスペクトルにおける、1,635cm-1(βシート)、1,653cm-1(αヘリックス)、1,671cm-1(ランダムコイル)のピーク面積の割合から、上記の自己組織化処理により、ペプチド中のβシートの割合が28%から77%に増加したことが確認された。
また、X線光電子分光(XPS)測定で得られたN 1sスペクトルでは、アミドおよびアミンに由来するピーク(399.8eV)、および、プロトン化したアミンに由来するピーク(401.5eV)が確認された(図5(a))。
X線光電子分光(XPS)分析には、JEOL JPS-9010TR(Nano science)を用い、モノクロX線源(Al Kα:hv=1486.6eV)にて、ベース圧力は10-9Torrとした。
図2(b)は、上記の自己組織化処理後の、ペプチド担体のβシート構造を示す模式図である。なお、以下では、自己組織化処理後のペプチド担体を、「βP」と称する場合がある。
図2(b)に示すβP(200)において、符号210で示す帯状の図形はペプチド鎖を示し、矢印の方向は、N末端からC末端の方向を示す。各ペプチド鎖のN末端から延びる線の先端の球状の図形(220)、および、N末端から一定の間隔をおいた位置から延びる線の先端の球状の図形(230)は、アミノ基を示す。
図2(b)に示すように、本実施例で作製したβPのβシートは、隣り合うペプチド鎖の向きが反対の逆平行型の構造であると考えられる。
[白金ナノ粒子の作製]
アルミニウム製のフロースルーチャンバーにセットした、超純水(25℃での抵抗値18.2MΩcm)中のPtターゲット(99.95%、AGOSI)に対してパルスレーザーを照射するパルスレーザーアブレーション法により、白金ナノ粒子(PtNP)を作製した。
レーザー源としては、Nd:YAGナノ秒レーザー(Rofin-Sinar RS-Marker 100D、パルス間隔40ns)を用い、照射条件は、基本波:1064nm、繰返し周波数:5kHz、パルスエネルギー:6.4mJとした。
レーザー源から照射されるレーザービームを、Fシータレンズ(焦点距離63mm)で集光し、スキャンシステム(Scanlab)を用いてPtターゲットに対してらせん状に当たるように調節した。
マイクロ天秤(Sartorius M235S)を用いてアブレーション前後のターゲットの質量を測定した結果、得られたコロイド溶液中の白金ナノ粒子の濃度は、110μg/mLであった。
また、ディスク遠心式粒子径分布測定装置(CPS Instruments DC 24000、ショ糖溶液による密度勾配形成、標準物質:ポリ塩化ビニル(直径0.237μm)、回転速度:24,000rpm)による粒径分布測定(Analytical Disc Centrifugation:ADC)の結果、得られた白金ナノ粒子の平均粒径は6nmであった。
[白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の作製]
以下の手順に従って、白金ナノ粒子(PtNP)の分散液の量(濃度)を一定にし、添加するペプチド担体(βP)の粉末の量を変化させることにより、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比を5%、7.5%、10%、12.5%、および15%とした5種類の複合体(PtNP/βP)を作製した。
<例1>
1.0mLのPtNPの水分散液(110μg/mL)に、自己組織化させたペプチド担体(AAKLVFF)を2.0mg添加し、数分間超音波分散させることによって、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比が5%の複合体(以下、「PtNP/βP」とも称する。)を作製した。
<例2>
添加するペプチド担体の量を1.3mgとしたこと以外は例1と同様の手順により、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比が7.5%の複合体(以下、「PtNP7.5/βP」とも称する。)を作製した。
<例3>
添加するペプチド担体の量を1.0mgとしたこと以外は例1と同様の手順により、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比が10%の複合体(以下、「PtNP10/βP」とも称する。)を作製した。
<例4>
添加するペプチド担体の量を0.8mgとしたこと以外は例1と同様の手順により、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比が12.5%の複合体(以下、「PtNP12.5/βP」とも称する。)を作製した。
<例5>
添加するペプチド担体の量を0.6mgとしたこと以外は例1と同様の手順により、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比が15%の複合体(以下、「PtNP15/βP」とも称する。)を作製した。
図3(b)~図3(f)は、それぞれ、例1~例5の複合体のTEM像である。なお、図中のスケールバーは、図3(b)、(d)では200nmであり、図3(c)、(e)、(f)では100nmである。
図3(b)のTEM像より、PtNP/βPは、PtNPを担持させる前のβP(図3(a))と同様に、シート状の形態を有することが確認された。
また、図3(c)~図3(e)のTEM像より、βPに対するPtNPの質量比が7.5%、10%、12.5%と増加するにつれて、より多くのPtNPが、良好な分散状態でβPに担持されている様子が確認された。
この様子を模式的に示したものが図4である。
図4に示すように、本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体(PtNP/βP)(400)は、βP(200)にPtNP(300)が担持されており、βP(200)のN末端のアミノ基(220)および/または側鎖のアミノ基(230)の窒素原子とPtとによりPt-N結合が形成されており、このPt-N結合の量が制御された状態で、PtNPがβPに分散担持されている。
一方、βPに対するPtNPの質量比が15%であるPtNP15/βPのTEM像(図3(f))では、βPとPtNPが凝集体を形成している様子が見られた。また、TEMグリッドの別の箇所では、PtNPを担持していないペプチドが部分的に分離して集合体を形成している様子が見られた(図示せず)。
図5(a)~図5(f)は、それぞれ、βP、および、例1~例5の複合体について、X線光電子分光(XPS)測定で得られたN 1sスペクトルである。
図5(b)に示すPtNP/βPのN 1sスペクトルでは、PtNPを担持させる前のβP(図5(a))で見られた399.8eVのピーク(アミドおよびアミンに由来するピーク:N1)および401.5eVのピーク(プロトン化したアミンに由来するピーク:N2)に加え、399.2eVおよび400.9eVにおいて、新たな2つのピークが確認された。
これらの新たなピークが見られた結合エネルギーの値は、それぞれ、PtNPの担持前の値から-0.6eVシフトしており(399.2-399.8=-0.6 ; 400.9-401.5=-0.6)、これは、PtがβPの窒素原子(N)に結合することによって生じた分極(Ptδ+-Nδ-)に起因するものであると考えられる。
図6(a)および図6(b)は、それぞれ、原料の白金ナノ粒子(PtNP)および例4の複合体(PtNP12.5/βP)の、XPS測定で得られたPt 4fスペクトルである。
図6(a)に示すように、原料のPtNPでは、Pt 4f7/2ピークが、71.1eV(Pt)および72.4eV(Pt2+O)に確認された。一方、例4の複合体では、これらのピークがポジティブシフトし、それぞれ、71.6eV(Pt)および72.9eV(Pt2+O)に確認された。
従って、本実施例で作製した複合体(PtNP/βP)では、XPSのN 1sスペクトルにおける399.2eVのピークが、上述した白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク(N3)に対応し、400.9eVのピークが、白金と結合し、かつプロトン化したアミンに由来するピーク(N4)に対応すると考えられる。
そして、399.2eV、399.8eV、400.9eV、および401.5eVにおける各ピーク面積の合計値に対する、399.2eVにおけるピーク面積の割合を計算することによって、複合体におけるPt-N結合の割合を評価することができる。
以下の表1は、各サンプルのXPSのN 1sスペクトルにおける、上記4つの結合エネルギーにおけるピーク面積の割合をまとめたものである。
ピーク面積の計算には、カーブフィッティングおよびデータ解析用のソフトウェア(Fityk)を用い、ガウシアン関数によるデコンボリューション処理を行った後、各ピーク面積値を算出した。
なお、表1中、「Amide and Amine」、「Protonated Amine」、「Amide and Amine Bound with Pt」、および「Protonated Amine Bound with Pt」との記載は、それぞれ、上記のN1~N4の各ピークに対応するピークであることを意味する。
Figure 0007207658000001
表1の結果より、PtNP10/βPおよびPtNP12.5/βPでは、XPSのN 1sスペクトルから求められるピーク総面積値に対する、N3(399.2eV)のピーク面積値の割合が40%以上であることが確認された。また、PtNP12.5/βPでは、N3(399.2eV)のピーク面積値の割合が、N1(399.8eV)のピーク面積値の割合を上回っていた。
[複合体のORR活性評価]
(サイクリックボルタンメトリー(CV)測定)
上記の通り作製した例1~例5の複合体(PtNP/βP)と、比較のために作製した以下の例6の複合体(PtNP/C)とのそれぞれについて、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、酸素還元反応(ORR)の活性評価を行った。
<例6>
ペプチド担体の代わりに0.55mgのカーボンブラック(Vulcan(登録商標))を用いたこと以外は上記例1と同様の手順により、炭素担体に対して質量比20%の白金ナノ粒子を担持させた複合体(以下、「PtNP20/C」と称する。)を作製した。
CV測定では、グラッシーカーボン製の電極(直径1.6mm)を作用電極とし、参照電極および対電極には、それぞれ、飽和カロメル電極(SCE)および白金線を用いて3電極式セルを組み立て、酸素飽和した1.0M KNO溶液(中性条件)を溶媒に用い、掃引速度を0.1V/sとして、BAS ALS-710D電気化学アナライザーを使用して測定を行った。
図7は、例1~例4の複合体について得られたサイクリックボルタモグラムをひとつのグラフにまとめたものである。
図7に示すように、例3の複合体(PtNP10/βP)および例4の複合体(PtNP12.5/βP)は、例1の複合体(PtNP/βP)および例2の複合体(PtNP7.5/βP)と比較して、還元電位および応答電流強度の点で優れたORR活性を示した。
また、図7のグラフの内側に挿入したグラフに示されるように、複合体における上記のPt-N結合の割合(図5、表1;XPSのN 1sスペクトルから求められるピーク総面積値に対するN3のピーク面積値の割合)が増加するにつれて、サイクリックボルタモグラムから得られる立ち上がり電位(onset potential:Eonset)の値がほぼ線形的に増加することが分かった。
このことは、PtNPとβPとの複合体におけるPt-N結合の形成が、複合体のORR活性と密接に関係する重要なファクターであることを示唆している。
コントロール実験として、上記の通り作製した白金ナノ粒子(PtNP)のみ(ペプチド担体に担持させなかったもの)について、同様にCV測定を行った結果、PtNPのみではほとんどORR活性を示さなかった。
また、アルゴン飽和した1.0M KNO溶液を溶媒に用いた測定条件では、0.7Vの電位においてバックグラウンドの還元電流のピークが見られた(図8(a))。この還元電流のピークは、PtNPにおける白金酸化物の還元に起因するものであると考えられ、この現象は、白金電極を用いた場合に見られる典型的な電気化学的挙動であることが知られている。また、このようなPtNPの酸化分解によって、PtNPの表面に高抵抗層が形成され得るため、望ましくない。
また、例6の複合体(PtNP20/C)についてCV測定を行った結果、アルゴン飽和した1.0M KNO溶液を溶媒に用いた測定条件において、上記のコントロールと同様に、望ましくないバックグラウンドの還元電流のピークが見られた(図8(b))。
これらの結果とは対照的に、例4の複合体(PtNP12.5/βP)では、アルゴン飽和した1.0M KNO溶液を溶媒に用いた測定条件においても、上述したようなバックグラウンドの還元電流のピークは見られなかった(図8(c))。
以上の結果から、図7に示した、酸素飽和した溶媒を用いて得られた例1~例4の複合体のサイクリックボルタモグラムにおけるピークは、酸素還元反応に由来するものであることが確認された。
一方、例5の複合体(PtNP15/βP)では、アルゴン飽和した1.0M KNO溶液を溶媒に用いた測定条件において、還元電流のピークが見られ、このことは、複合体中に、βPのアミノ基の窒素原子に結合していない状態のPtNPが存在することを示していると考えられる(図8(d))。
(リニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定)
次に、例3の複合体(PtNP10/βP)、例4の複合体(PtNP12.5/βP)と、比較のために用意した市販のPt/C触媒とのそれぞれについて、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定を行い、酸素還元反応(ORR)の活性評価を行った。
市販のPt/C触媒としては、シグマアルドリッチ社の製品(20wt% Pt)を使用した。なお、以下では、このPt/C触媒を、「20wt% Pt/C」と称することもある。
LSV測定では、グラッシーカーボン製の電極(直径3mm)を作用電極とし、回転ディスク電極(RDE)装置を用いて回転速度を1600rpmに設定し、BAS ALS-710D電気化学アナライザーを使用して測定を行った。
なお、市販のPt/C触媒の測定用インクは、標準的な調製方法に従って、1.0mLの溶媒(IPA/HO=3/2 v/v)と40μLのナフィオン(登録商標)とを混合した分散液に、5.0mgのPt/C触媒を添加し、超音波分散させることによって調製した。
図9(a)は、例3の複合体(PtNP10/βP)、例4の複合体(PtNP12.5/βP)、および市販のPt/C触媒(20wt% Pt/C)について得られたRDE分極曲線である。
市販のPt/C触媒(20wt% Pt/C)では、質量活性(i)、立ち上がり電位(Eonset)、半波電位(E1/2)は、それぞれ、436A/g、0.95V、0.76Vであり、これらの値は、これまでに報告された、中性条件下でのPt/C触媒の特性値とほぼ一致していた。
これに対して、例4の複合体(PtNP12.5/βP)では、立ち上がり電位(Eonset)、半波電位(E1/2)は、それぞれ、0.98V、0.82Vであり、市販のPt/C触媒の値を有意に上回った。
また、質量活性(i)は422A/gであり、市販のPt/C触媒に匹敵する値であったことに加え、非特許文献1に記載の触媒で得られた値(16.38A/g)と比べて25倍を超える値であった。
この結果から、本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体(PtNP/βP)では、Pt-N結合を形成した白金の表面に対して酸素分子(O)が直接作用することができ、これにより、白金の酸素還元触媒性能がより効率的に引き出されることが示唆された。
次に、回転ディスク電極(RDE)装置の回転速度を、1200rpm、1600rpm、2000rpm、および2500rpmに設定し、各々の条件下でLSV測定を行い、本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体が作用する酸素還元の反応機構を解析した。
図9(b)は、例3の複合体(PtNP10/βP)、例4の複合体(PtNP12.5/βP)、および市販のPt/C触媒(20wt% Pt/C)について得られた、Koutecky-Levich(K-L)プロットである。
いずれのK-Lプロットも直線性を示していることから、ORRが一次反応であることが確認された。
また、得られたK-Lプロットから、0.5Vでの電子移動数(n)を評価すると、例3および例4の複合体では3.9、市販のPt/C触媒では3.8となった。このことから、4電子の移動を伴う完全な酸化還元反応(O + 4e → 2O2-)が生じていることが示された。
また、図9(c)に示すターフェルプロットの結果から、ターフェル勾配(α)および交換電流密度(I)を比較すると、市販のPt/C触媒では、α=69.1mV/dec、I=3.6×10-8A/cmであるのに対し、例4の複合体では、α=56.1mV/dec、I=5.2×10-8A/cmであり、例4の複合体の方がターフェル勾配(α)の値がより小さく、交換電流密度(I)はより大きい値であった。
また、例3の複合体では、α=74.7mV/dec、I=3.2×10-8A/cmであり、いずれも市販のPt/C触媒に匹敵する値が得られた。
加えて、図9(d)に示すように、例4の複合体は、電圧の掃引を1000回繰り返した後(1.2Vから0.4V、作動時間3時間)も、TEM像において特段外観上の変化は見られず、質量活性(i)の値も、当初の値の89%以上の値を保持していた(0.65Vにおいて422A/gから377A/g(活性保持率約89.3%))。
また、例3の複合体について同様の条件で電圧の掃引を1000回繰り返した結果、質量活性(i)の値は、当初の値の80%以上の値を保持していた(0.65Vにおいて349A/gから283A/g(活性保持率約81.1%))。
これらの活性保持率の値は、市販のPt/C触媒での値と比べてやや劣るものの、本発明の複合体が実用に耐え得るものであることを示唆している。また、PtNPとβPとの複合体におけるPt-N結合の割合が、ORRの安定性に寄与していると考えられる。
また、Pt/C複合体の別の例として、白金ナノ粒子とグラファイトカーボンナノファイバー(GNF)担体との複合体(Pt/GNF)と比べた場合、例4の複合体および例3の複合体について得られた上記の質量活性(i)の値(それぞれ、422A/gおよび349A/g)は、いずれも、これまでに報告された値(195A/g)を有意に上回っている(Gimnez-Lopez M. et al., Extremely Stable Platinum-Amorphous Carbon Electrocatalyst within Hollow Graphitized Carbon Nanofibers for the Oxygen Reduction Reaction. Ad. Mater. 2016, 28, 9103-9108参照)。
(電気化学インピーダンス測定)
次に、例4の複合体(PtNP12.5/βP)および市販のPt/C触媒(20wt% Pt/C)について、ポテンショスタット(Bio-Logic社、VSP-300)を用いて電気化学インピーダンス分光法(EIS)測定を行い、電極(カソード電極)の抵抗値の評価を行った。
電気化学インピーダンス測定は、図10(c)の模式図に示した構成を有する等価回路を用いて行った。測定結果は、市販のプログラム(Bio-Logic社、EC-Lab(登録商標)10.36)を用いてフィティングした。
図10(a)は、例4の複合体および市販のPt/C触媒について得られたナイキスト線図である。各プロットについて、白丸印は市販のPt/C触媒、白四角印は例4の複合体、白菱形印は上述した条件で電圧の掃引を1000回繰り返した後の例4の複合体である。
図10(a)に示すように、例4の複合体では55Ωの抵抗値が得られ、市販のPt/C触媒での値(32Ω)に匹敵する結果が得られた。
なお、比較のために、PtNPと複合化していないβPについて同様の測定を行ったところ、図10(b)に示すようなナイキスト線図(白三角印)が得られ、抵抗値は1011Ωであった。
また、電圧の掃引を1000回繰り返した後の例4の複合体(図10(a)の白菱形印)では、76Ωの抵抗値が得られたことから、例4の複合体は、良好な電気化学的安定性を有していることが確認された。
βP単独での抵抗値が高いこと(図10(b))に加え、上述したように、PtNPのみ(ペプチド担体に担持させなかったもの)のCV測定においてPtNPの酸化分解が見られたこと、そして、Pt-N結合の割合が増加するにつれて白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体(PtNP/βP)の半波電位(E1/2)の値がポジティブシフトすること(図7参照)から、PtNPとβPとの複合体におけるPt-N結合の形成が、複合体のORR活性および安定性に重要な役割を果たしていることが示された。
また、例4の複合体について、上記のEIS測定で得られたデータから計算された電気二重層容量(Cdl)の値は、41.7μFであり、これまでに報告されたPt/C触媒の値(64.8μF)(Yang, W. et al., Air Cathode Catalysts of Microbial Fuel Cell by Nitrogen-Doped Carbon Aerogels. ACS Sustain. Chem. Eng. 2019, 7 (4), 3917-3924参照)に匹敵し、電気化学活性比表面積(ECSA)との直接的な関係性が確認された。
本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体は、従来のPt/C複合体を上回る酸素還元触媒性能を発揮するものである。このような複合体は、金属二次電池や燃料電池の電極(カソード電極)における酸素還元反応(ORR)を促進する触媒として、好適に使用することができる。
また、本発明の白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法によれば、ペプチド担体に対する白金ナノ粒子の質量比を従来技術より劇的に小さくすることができるので、製造コストの面で有利である。
200 ペプチド担体(自己組織化処理後のペプチド担体:βP)
210 ペプチド鎖
220、230 アミノ基
300 白金ナノ粒子(PtNP)
400 白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体(PtNP/βP)

Claims (9)

  1. βシート構造を有するペプチド担体と白金ナノ粒子を含み、
    前記ペプチド担体に前記白金ナノ粒子が担持されており、
    X線光電子分光(XPS)測定で得られたN 1sスペクトルから求められるピーク総面積値に対する、白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合が40%以上である、白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体。
  2. 前記ピーク総面積値に対する前記白金と結合したアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合が、白金を伴わないアミドおよびアミンに由来するピーク面積値の割合よりも大きい、請求項1に記載の複合体。
  3. 金属二次電池または燃料電池の電極用触媒である、請求項1または2に記載の複合体。
  4. 前記電極用触媒は、カソード電極用触媒である、請求項3に記載の複合体。
  5. 白金ナノ粒子からなる分散液を提供するステップと、
    前記分散液に、βシート構造を有し、かつ少なくとも1つ以上のアミノ基を側鎖に有するペプチド担体を添加し、分散処理するステップと、
    を包含し、
    前記ペプチド担体に対する前記白金ナノ粒子の質量比が、9%以上14%以下である、白金ナノ粒子とペプチド担体との複合体の製造方法。
  6. 前記ペプチド担体に対する前記白金ナノ粒子の質量比が、10.5%以上13%以下である、請求項5に記載の複合体の製造方法。
  7. フーリエ変換赤外分光(FT-IR)スペクトルから求められる前記ペプチド担体のβシート構造の割合が70%以上である、請求項5または6に記載の複合体の製造方法。
  8. 金属二次電池または燃料電池の電極用触媒の製造方法である、請求項5~7のいずれか一項に記載の複合体の製造方法。
  9. 前記電極用触媒の製造方法は、カソード電極用触媒の製造方法である、請求項8に記載の複合体の製造方法。
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