JP7191625B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
図1は、実施例1における電子写真方式の画像形成装置の構成を示す概略断面図である。図1に示す画像形成装置は、スキャナ機能とプリンタ機能を備える複合機(MFP)であり、スキャナ部100、作像部103、定着部104、給紙/搬送部105、及びこれらを制御するプリンタ制御部(不図示)から構成される。スキャナ部100は、原稿台に置かれた原稿に照明を当てて原稿画像を光学的に読み取り、読み取った画像を電気信号に変換して画像データを作成する。
次に、感光ドラム102に露光を行う露光ヘッド106について、図2を参照して説明する。図2(a)は、露光ヘッド106と感光ドラム102との位置関係を示す斜視図であり、図2(b)は、露光ヘッド106の内部構成と、露光ヘッド106からの光束がロッドレンズアレイ203により感光ドラム102に集光される様子を説明する図である。図2(a)に示すように、露光ヘッド106は、矢印方向に回転する感光ドラム102の上部の、感光ドラム102に対向する位置に、取付け部材(不図示)によって画像形成装置に取り付けられている(図1)。
図3は、面発光素子アレイ素子群201を説明する図である。図3(a)は、駆動基板202の面発光素子アレイ素子群201が実装された面の構成を示す模式図であり、図3(b)は、駆動基板202の面発光素子アレイ素子群201が実装された面(第1面)とは反対側の面(第2面)の構成を示す模式図である。
図4(a)は、露光ヘッド106に実装された面発光素子アレイチップ0~28の光量調整前の光量分布を示す図であり、横軸は露光ヘッド106上の面発光素子アレイチップ0~28の位置を示し、縦軸は面発光素子アレイチップの光量を示す。面発光素子アレイチップは、同じ調整目標光量で発光光量を設定しても、チップ毎に発光光量がばらついてしまう。例えば図4(a)において面発光素子アレイチップ0と面発光素子アレイチップ1とでは、発光光量が約10%異なり、このまま画像形成を行うと、面発光素子アレイチップ間での画像の濃度差が視認される。そのため、工場の検査工程では、調整目標光量と実際の各面発光素子アレイチップの光量との差を検知する。そして、検知された光量差に基づいて、調整目標値の光出力が得られる駆動電流調整値Ix(x=0~28、面発光素子アレイチップ毎の個別データ)を、露光ヘッド106の駆動基板202に設けられた初期調整値記憶部303に格納する。図5は、面発光素子アレイチップ0~28の光量を電流駆動により制御する駆動制御部302の構成を示す制御ブロック図である。駆動制御部302は、DA変換器0~28(図5中、DAC0~28で表示)と、DA変換器のデジタル入力値を格納するレジスタ0~28で構成されている。CPU400は、初期調整値記憶部303に格納された面発光素子アレイチップ0~28に対応した駆動電流調整値Ix(x=0~28)を読出し、レジスタ0~28に設定する。DAC0~28は、レジスタ0~28から出力される駆動電流値Ix(x=0~28)のデジタル値に応じたアナログ値を面発光素子アレイチップ0~28に出力する。制御基板415のCPU400は、画像形成装置の条件によって必要とされる光量が変化するため、露光ヘッド106全体の光量制御を行いつつ、各面発光素子アレイチップ個別の光量ばらつき調整を行う。
図6は、本実施例の自己走査型発光素子(Self-Scanning LED:SLED)チップアレイの一部分を抜き出した等価回路である。図6において、Ra、Rgはそれぞれアノード抵抗、ゲート抵抗であり、Tnはシフトサイリスタ、Dnは転送ダイオード、Lnは発光サイリスタを示す。また、Gnは、対応するシフトサイリスタTn、及びシフトサイリスタTnに接続されている発光サイリスタLnの共通ゲートを表している。ここで、nは2以上の整数とする。Φ1は奇数番目のシフトサイリスタTの転送ライン、Φ2は偶数番目のシフトサイリスタTの転送ラインである。ΦW1~ΦW4は発光サイリスタLの点灯信号ラインであり、それぞれ抵抗RW1~RW4と接続されている。VGKはゲートラインであり、Φsはスタートパルスラインである。図6に示すように、1個のシフトサイリスタTnに対し、発光サイリスタはL4n-3~L4nまでの4個が接続されており、同時に4個の発光サイリスタL4n-3~L4nが点灯可能な構成となっている。
次に、図6に示すSLED回路の動作について説明する。なお、図6の回路図において、ゲートラインVGKには5Vが印加されているものとし、転送ラインΦ1、Φ2、及び点灯信号ラインΦW1~ΦW4に入力される電圧も、同じく5Vとする。図6において、シフトサイリスタTnがオン状態にあるとき、シフトサイリスタTn、及びシフトサイリスタTnに接続されている発光サイリスタLnの共通ゲートGnの電位は約0.2Vまで引き下げられる。発光サイリスタLnの共通ゲートGnと発光サイリスタLn+1の共通ゲートGn+1との間は、結合ダイオードDnで接続されているため、結合ダイオードDnの拡散電位に略等しい電位差が発生する。本実施例では、結合ダイオードDnの拡散電位は約1.5Vであるので、発光サイリスタLn+1の共通ゲートGn+1の電位は、発光サイリスタLnの共通ゲートGnの電位の0.2Vに、拡散電位の1.5Vを加えた1.7V(=0.2V+1.5V)となる。以下、同様に、発光サイリスタLn+2の共通ゲートGn+2の電位は3.2V(=1.7V+1.5V)、発光サイリスタLn+3(不図示)の共通ゲートGn+3(不図示)の電位は4.7V(=3.2V+1.5V)となる。ただし、発光サイリスタLn+4の共通ゲートGn+4以降の電位は、ゲートラインVGKの電圧が5Vであり、これ以上の高い電圧にはならないので、5Vとなる。また、発光サイリスタLnの共通ゲートGnより前(図6の共通ゲートGnよりも左側)の共通ゲートGn-1の電位については、結合ダイオードDn-1が逆バイアス状態になっているため、ゲートラインVGKの電圧がそのまま印加され、5Vとなっている。
次に、発光サイリスタの発光動作に関して説明する。シフトサイリスタTnのみがオンしているとき、発光サイリスタL4n-3~L4nまでの4個の発光サイリスタのゲートはシフトサイリスタTnの共通ゲートGnに共通に接続されている。そのため、発光サイリスタL4n-3~L4nのゲート電位は、共通ゲートGnと同じ0.2Vである。したがって、各々の発光サイリスタのしきい値は1.7V(=0.2V+1.5V)であり、発光サイリスタの点灯信号ラインΦW1~ΦW4から、1.7V以上の電圧が入力されれば、発光サイリスタL4n-3~L4nは点灯可能である。したがって、シフトサイリスタTnがオンしているときに、点灯信号ラインΦW1~ΦW4に点灯信号を入力することにより、発光サイリスタL4n-3~L4nまでの4個の発光サイリスタを選択的に発光させることが可能である。このとき、シフトサイリスタTnの隣のシフトサイリスタTn+1の共通ゲートGn+1の電位は1.7Vであり、共通ゲートGn+1にゲート接続している発光サイリスタL4n+1~4n+4のしきい値電圧は3.2V(=1.7V+1.5V)となる。点灯信号ラインΦW1~ΦW4から入力される点灯信号は5Vであるので、発光サイリスタL4n-3~4nの点灯パターンと同じ点灯パターンで、発光サイリスタL4n+1~L4n+4も点灯しそうである。ところが、発光サイリスタL4n-3~L4nまでの方がしきい値電圧が低いため、点灯信号ラインΦW1~ΦW4から点灯信号が入力された場合には、発光サイリスタL4n+1~L4n+4よりも早くオンする。一旦、発光サイリスタL4n-3~L4nがオンすると、接続されている点灯信号ラインΦW1~ΦW4が約1.5V(拡散電位)に引き下げられる。そのため、点灯信号ラインΦW1~ΦW4の電位が、発光サイリスタL4n+1~L4n+4のしきい値電圧よりも低くなるため、発光サイリスタL4n+1~L4n+4はオンすることができない。このように、1個のシフトサイリスタTに複数の発光サイリスタLを接続することで、複数個の発光サイリスタLを同時点灯させることができる。
図9は、本実施例の面発光サイリスタ部の概略図である。図9(a)は、メサ(台形)構造922に形成された発光素子が複数配列されている発光素子アレイの平面図(模式図)である。図9(b)は、図9(a)に示すB-B線で、メサ構造922に形成された発光素子を切断したときの断面概略図である。発光素子が形成されたメサ構造922は、所定のピッチ(発光素子間の間隔)(例えば1200dpiの解像度の場合には略21.16μm)で配置されており、各メサ構造922は、素子分離溝924により互いに分離されている。
図10は、画像データを処理し、露光ヘッド106の駆動基板202に出力する制御基板415と、制御基板415から入力された画像データに基づいて、感光ドラム102を露光する露光ヘッド106の駆動基板202の制御ブロック図である。また、説明を簡便にするために、ここでは1つの色の画像処理について説明するが、本実施例の画像形成装置では、同様の処理を4色同時に並列処理される。図10に示す制御基板415は、露光ヘッド106の駆動基板202に対して、各面発光素子アレイチップ0~28を制御するための信号である、面発光素子アレイチップ制御信号、Line同期信号、CPU400の制御信号を送信する。各信号は、制御基板415側のコネクタ416から、ケーブル417、418、419を介して、露光ヘッド106側の駆動基板202に実装されたコネクタ301に入力される。
制御部である制御基板415では、制御手段であるCPU400により、画像データの処理と印刷タイミングの処理が行われる。制御基板415は、画像データ生成部401、ラインデータシフト部402、解像度変換部408、チップデータ変換部403、チップデータシフト部404、駆動部405の機能ブロックを有している。更に、制御基板415は、温度プロファイル変換部407、同期信号生成部406の機能ブロックを有している。以下、制御基板415での画像データが処理される順に、各機能ブロックでの処理について説明する。
画像データ生成手段である画像データ生成部401は、スキャナ部100又は画像形成装置に接続された外部コンピュータから受信した入力画像データに対し、CPU400から指示された解像度でディザリング処理を行い、画像データを生成する。本実施例では、画像データ生成部401は、第2の解像度相当である2400dpiの解像度でディザリング処理を行うものとする。すなわち、画像データ生成部401が生成する画像データは、2400dpi相当の画素データである。本実施例の2400dpi相当の画素データは1ビットであるものとするが、複数ビットで1画素を表現しても良い。画像データ生成部401が生成する画素データは、副走査方向(感光ドラム102の回転方向でもあり、記録紙の搬送方向でもある)の2400dpi相当のラインに対応するラインデータである。そして、画像データ生成部401は、解像度が2400dpi相当の各画素に対応する画素データを当該画素の主走査方向(露光ヘッド106の長手方向)における位置と関連付けて生成される。
CPU400は、光学センサ113により検知された色ずれ量に基づいて、主走査方向、副走査方向の画像シフト量を2400dpi単位で各々決定する。画像シフト量は、例えば、光学センサ113による色ずれ検出用パターン画像の検知結果に基づいて算出される色間の相対的な色ずれ量に基づいて、CPU400によって決定される。そして、CPU400は、ずれ補正手段であるラインデータシフト部402に画像シフト量を指示する。ラインデータシフト部402では、CPU400から指示された画像シフト量を基に、記録紙1ページ内の画像領域全域に対して、画像データ生成部401から入力された画像データ(ラインデータともいう)を2400dpi単位でシフト処理を行う。シフト処理により、画像の形成位置の補正が行われる。なお、ラインデータシフト部402は、記録紙1ページ内の画像領域を複数に分割し、分割された複数の画像領域毎にシフト処理を実行するようにしても良い。
変換手段である解像度変換部408では、ラインデータシフト部402から出力された画像データ(ラインデータ)に対して、主走査方向のフィルタ処理による補間処理を行い、主走査方向の解像度を2400dpiから1200dpiに変換する。図11は、解像度変換部408でのフィルタ処理の様子を説明する図である。図11において、D1~D9は、面発光素子アレイチップの画像データ(2400dpiの入力データ)を示す。ここで、画像データD1~D8は、該当の面発光素子アレイチップの画像データであり、画像データD9は、隣接する面発光素子アレイチップの最端部の画素データである。D1’~D4’は、解像度変換部408のフィルタ処理を行った後の画像データ(1200dpiの出力データ)を示している。出力データの解像度(1200dpi)は、入力データの解像度(2400dpi)の2分の1であり、各画素の画像データの算出式は、以下の(式1)で表される。
ここで、nは、各面発光素子アレイチップ内部の面発光素子数512に対応し、発光素子の点灯順番に基づき、n=1~512の順で逐次、各発光素子での画像データの演算が行われる。第1の係数であるK1は、出力データと、主走査方向の同じ座標位置となる入力データに対する重み係数である。第2の係数であるK2は、出力データに対して主走査方向に2分の1画素分ずれた座標の入力データに対する重み係数である。本実施例では、K1=0.5、K2=0.25の値で補間演算(フィルタ処理)を行うこととしているが、本実施例と異なる重み係数を用いてもよい。本実施例では、重み係数K2を0より大きい値とすることで、出力データの解像度(1200dpi)よりも高い解像度(2400dpi)で生成された画像データの情報を出力データに反映することができる。具体的には、前段までの処理は、主走査方向の画像位置移動を2400dpiで行う。そして、後段の処理は、解像度変換部408で画像データの解像度を1200dpiに変換することにより、2400dpi単位での画像移動精度を維持した状態で、1200dpiの画像を生成することが可能となる。
同期信号生成部406は、感光ドラム102の回転速度に同期した信号で、感光ドラム102の回転方向の1ライン分の周期信号(以下、Line同期信号という)を生成する。CPU400は、同期信号生成部406にLine同期信号の周期、すなわち予め定められた感光ドラム102の回転速度に対して、感光ドラム102表面が回転方向(副走査方向)に2400dpiの画素サイズ(約10.5μm)移動する時間を指示する。例えば、副走査方向に200mm/秒の速度で印刷する場合には、CPU400は、Line同期信号の周期(副走査方向1ライン分の周期)を約52.9μs(≒(25.4mm/2400ドット)/200mm)として、同期信号生成部406に指示する。画像形成装置が感光ドラム102の回転速度を検知する検知部を有している場合、CPU400は、検知部の検知結果(エンコーダが出力する信号の発生周期)に基づいて、副走査方向の感光ドラム102の回転速度を算出する。そして、CPU400は、当該算出結果に基づいてLine同期信号の周期を決定する。ここでの検知部は、例えば感光ドラムの回転軸に設置したエンコーダである。一方、画像形成装置が感光ドラム102の回転速度を検知する検知部を有していない場合、次のような情報に基づいて、感光ドラム102の回転速度を算出する。すなわち、CPU400は、ユーザが操作部から入力するシートの坪量(g/cm2)やシートサイズなどの紙の種類の情報に基づいて、Line同期信号の周期を決定する。
温度プロファイル変換部407は、入力された画像データ(ラインデータ)を主走査方向に面発光素子アレイチップ0~28のチップ単位に分割し、面発光素子アレイチップ単位で主走査方向・副走査方向について、画像データの加算処理を行う。そして、温度プロファイル変換部407は、加算処理により求められた加算結果に応じた温度補正値へ変換する。詳細は後述する。
チップデータ変換部403は、Line同期信号に同期して、解像度変換部408より、感光ドラム102の副走査方向の1ライン分ずつ、ラインデータの読み出しを行う。そして、チップデータ変換部403は、読み出したラインデータを面発光素子アレイチップ毎のラインデータに分割するデータ処理を実行する。
ずれ補正手段であるチップデータシフト部404は、次のような制御を行う。すなわち、CPU400から予め指示された面発光素子アレイチップ毎の副走査方向の画像シフト量に関するデータ(2400dpi単位)に基づいて、メモリ601~629からのラインデータの相対的な読み出しタイミングを制御する。以下、チップデータシフト部404が実行する副走査方向の画像シフト処理について具体的に説明する。
図13は、温度プロファイル変換部407の構成を示す制御ブロック図である。発熱量推定手段である温度プロファイル変換部407は、図13に示すように、解像度変換部408からの画像データ、同期信号生成部406からのLine同期信号、CPU400からの制御信号が入力される。温度プロファイル変換部407は、ビデオカウント部1300とカウント値格納部1301、プロファイル変換処理部1302で構成されている。温度プロファイル変換部407は、面発光素子アレイチップ0~28の発光による発熱に応じた光量変動を補正する補正係数の算出を行う。
カウント手段であるビデオカウント部1300は、解像度変換部408からの主走査方向の1ライン分の入力された画像データ(ラインデータ)を各面発光素子アレイチップに対応させた512画素単位に分割し、512画素単位で処理を行う。詳細には、512画素分の入力画像データの画素値の加算処理を実施し、面発光素子アレイチップ0~28に対応する29個の加算結果を求める。
加算処理部1304は、カウンタ部1303のカウンタCNT0が0~511までカウントする間に、解像度変換部408から入力される画像データの画素値を1画素毎に加算する。更に、加算処理部1304は、同様の処理をCNT1がインクリメントされる毎に各面発光素子アレイチップについて行う。加算処理部1304の処理は、次の(式2)に基づいた処理であり。図14は、加算処理部1304による(式2)の処理を説明する図である。
(式2)において、CNT1は、上述したように面発光素子アレイチップ0~28のチップ番号を示し、29個の面発光素子アレイチップ0~28に対応する。VIDEO_DATAは、解像度変換部408から入力される1画素分の画像データであり、iは0~14847の範囲の値で、主走査方向の画素位置に対応し、iの値は、i=512×CNT1+CNT0により算出される。ここでは、主走査方向の1ライン分の画像データの処理を説明したが、記録紙1枚の片面全体である1面の画像データに対しては、本処理が記録紙の片面分、繰り返し実施される。
ビデオカウント部1300は、加算処理部1304でカウントした、面発光素子アレイチップ0~28のチップ毎の画像データの加算値(VADD(CNT1))をカウント値格納部1301の内部メモリであるMEM(CNT1)へ格納する。画像データの加算値のMEM(CNT1)への格納は、カウンタCNT1が+1インクリメントされるタイミングにて実施される。
なお、(式3)において、CNT1は面発光素子アレイチップ0~28のチップ番号を示し、29個の面発光素子アレイチップ0~28に対応する。(式3)によって、記録紙の片面である1面の画像データに対する各面発光素子アレイチップ0~28に対応する画素値の加算値が算出され、この算出された加算値が、後述する各面発光素子アレイチップでの発熱量を推定するための補正値となる。
プロファイル変換処理部1302は、カウント値格納部1301に格納された面発光素子アレイチップ0~28毎の画素値の加算値に従い、加算値を光量補正値へ変換する。図15は、カウント値格納部1301に格納された面発光素子アレイチップの画素値の加算値(α)と光量低下量(β)との対応関係を示すグラフである。図15において、縦軸は発光光量の光量低下量を示し、横軸は面発光素子アレイチップの画素値の加算値を示す。なお、本実施例では、プロファイル変換処理部1302は、面発光素子アレイチップの画素値の加算値と発光光量低下量とを対応付けたプロファイル変換テーブル(表)を有している。例えば、図15に示すように、カウント値格納部1301に格納された面発光素子アレイチップ0の画素値の加算値がα、すなわちMEM(0)=αの場合には、βが光量低下量となるようにプロファイル変換テーブルにより変換される。同様に、カウント値格納部1301に格納された面発光素子アレイチップ1~28の画素値の加算値がそれぞれ、プロファイル変換テーブルにより対応する光量低下量に変換される。プロファイル変換テーブルの値は、実験的に得られる値であり、CPU400により設定が可能となっている。また、プロファイル変換テーブルの設定値は、面発光素子アレイチップ0~28の光量に対して、CPU400により変更可能となっている。
ここで、CNT1は面発光素子アレイチップ0~28を示し、r(CNT1)は、面発光素子アレイチップ0~28の光量補正係数を示す。算出された光量補正係数rは、CPU400により駆動部405へ出力される。駆動部405では、光量補正係数rに基づいてPWM信号のDutyを補正する。
カウント値格納部1301は、CPU400と接続されており、CPU400からの指示に基づいて、カウント値格納部1301に格納された面発光素子アレイチップ0~28のカウント値である画素値の加算値を補正する。詳細には、CPU400は、画像データの終了ラインである、先行する記録材の後端から次の画像データの開始ラインである後続の記録材の先端までの経過時間(紙間時間)を計測している。カウント値格納部1301は、CPU400にて計測された経過時間に応じて、例えば図16に示す、時間の経過とともに減衰する特性を持つ補正係数CORを用いて、次の(式4)により、MEM(0)~MEM(28)に格納された加算値をそれぞれ補正する。
図16は、CPU400にて計測された経過時間(紙間時間)と、補正係数CORとの対応関係を示すグラフである。図16の縦軸は、補正係数CORを示し、横軸はtime(記録材の後端から次の記録材の先端までの経過時間(紙間時間))を示す。なお、紙間時間は、次の印刷ジョブまでの時間でもある。例として、図16では、画像データの終了ラインから次の画像データの開始ラインまでの経過時間(図16では次のJobまでの時間)がγであった場合、補正係数(COR)は0.2となる。そして、カウント値格納部1301は、カウント値格納部1301に格納された面発光素子アレイチップ0~28に対応する加算値MEM(CNT1)に0.2を乗じて、加算値を補正する。なお、図16において、次のJobまでの時間が所定の時間を超える場合には、補正係数(COR)は0となる。上述した補正によって、時間経過に伴う放熱分を考慮した加算値が、次の画像データへオフセットされることとなり、光量低下分をより精度高く補正することが可能となる。
各面発光素子アレイチップの温度は、両隣に位置する面発光素子アレイチップからの温度変化量にも影響される。そのため、カウント値格納部1301は、注目する発光素子アレイチップの隣接する面発光素子アレイチップの画像データの加算値(MEM(n))と温度影響度に応じて、注目する発光素子アレイチップの画素値の加算値を補正する処理を行う。温度影響度は、隣接チップへ与える温度影響率(%)のことであり、実験的に得られる値でCPU400によって自由に設定可能な値である。
=300+0.1×(200+400)=360
また、露光ヘッド106の両側の最端部に位置する面発光素子アレイチップ0、28は、それぞれ、片側の隣接する面発光素子アレイチップ1、27の画素値の加算値MEM(1)、MEM(27)と、温度影響度に応じて補正される。なお、上述した温度影響率についての処理は、面発光素子アレイチップ0~28それぞれについて、順次処理される。
図17は、駆動部405の構成を示す制御ブロック図である。駆動部405は、面発光素子アレイチップ0~28を駆動する制御信号Φ1・Φ2・ΦSと、温度プロファイル変換部407からの情報と初期調整値記憶部303の情報に基づき、入力画像データから面発光素子を発光させるPWM信号に変換する。駆動部405は、図17に示すように、LUT1200、LUT調整部1204、PWMカウンタ1205、タイミング制御部1201、PWM信号生成部1202、制御信号生成部1203で構成される。駆動部405は、チップデータシフト部404から面発光素子アレイチップ0~28に対応した画像データを受け取り、チップ毎に並列に処理可能な回路構成となっている。
光量補正手段であるLUT1200は、面発光素子アレイチップの発光素子に対応する画素毎の画像データ値(濃度データ値)をルックアップテーブル(Look Up Table)を用いて、光量値データへ変換する。LUT1200では、面発光素子アレイチップの発光時間の応答特性より、パルス発光させたときの積算光量が所定の値となるように、画素毎のデータ値の変換を行う。例えば、面発光素子アレイチップの発光時間の応答が遅く、積算光量が目標値より小さい場合は、データ値が増えるようなデータ変換を行う。本実施例では、画像形成を開始する前にCPU400が、ルックアップテーブルに設定される変換テーブルの値を、実験的に得られた発光素子アレイチップの応答特性に基づいた所定の値に、設定するものとする。表1は、入力画像データとLUT1200の変換テーブル値との対応を示す表である。ここでは、LUT1200にてチップデータシフト部404からの3ビットの画像データ(値:0~7)を6ビットデータ(値:0~63)へ変換する変換テーブルの一例を示す。なお、変換テーブルは、面発光素子アレイチップ0~28毎に設けられる構成となっている。
LUT調整部1204は、LUT1200にて変換された画像データに温度プロファイル変換部407にて算出された光量補正係数(r)を乗算し、PWM信号生成用データを生成する。なお、光量補正係数(r)はCPU400を介してLUT調整部1204へ入力され、PWM信号生成用データは、面発光素子アレイチップ単位で生成される。面発光素子アレイチップ0に対するPWM信号生成用データの調整を例に挙げると、変換テーブル値が51であり、光量補正係数(r)が0.9であった場合、PWM信号生成用データは、51×0.9=46に調整される。
タイミング制御部1201は、制御基板415の同期信号生成部406で生成されたLine同期信号より、各画素の画素区間に対応した同期信号を生成し、PWMカウンタ1205及び制御信号生成部1203に出力する。
PWMカウンタ1205は、1画素データを64分割する高速クロックにおいて、タイミング制御部1201からの同期信号の立ち下がりエッジを開始基準とし、カウントアップ動作を行う。本実施例では、カウンタ値が0から63のカウントアップ動作を繰り返すように、PWMカウンタ1205には、タイミング制御部1201から同期信号が入力される。また、PWMカウンタ1205は、カウンタ値をPWM信号生成部1202へ出力する。図18は、PWMカウンタ1205のカウント動作を説明する図である。PWMカウンタ1205は、カウント値が63を超えても、タイミング制御部1201からの同期信号が入力されない場合、例えばカウント値は64でホールドされる。また、タイミング制御部1201からの同期信号の立ち下がりエッジにて、カウント値は0にクリアされる。
PWM信号生成部1202は、PWM信号生成用データとPWMカウンタ1205のPWMカウンタ値とに基づいて、面発光素子アレイチップ0~28毎にPWM信号を生成する。図19は、PWM信号を生成する過程を説明する図である。PWM信号生成部1202は、PWMカウンタ値が0からPWM信号生成用データ(値:46)と一致するまでの間、ハイ(High)レベルのPWM信号を出力する。そして、PWM信号生成部1202は、PWMカウンタ値がPWM信号生成用データ(値:46)を超えると、ロー(Low)レベルのPWM信号を出力する。再び、PWMカウンタ値が0になると、PWM信号はハイレベルとなり、PWMカウンタ値が次のPWM信号生成用データ(値:41)を超えると、PWM信号はローレベルとなる。なお、図19は1個の面発光素子アレイチップの1素子に対応する画素のPWM信号生成の例を示している。本実施例では、面発光素子アレイチップ0~28に対して、各々4素子を発光させる画像データ(4画素×29チップ)に対応したPWM信号が並列処理により生成される。
制御信号生成部1203は、タイミング制御部1201で生成された画素区間に対応する同期信号より、画素毎にシフトサイリスタを転送するための制御信号Φs、Φ1、Φ2を生成する。そして、制御信号Φs、Φ1、Φ2とPWM信号生成部1202で生成されたPWM信号は、コネクタ416、301を介して露光ヘッド106へ出力される。なお、本実施例におけるPWM信号は、面発光素子アレイチップ29個に対して4素子の発光素子を同時点灯するために116個(=4素子×29個)出力される構成である。PWM信号は、Serializer-IC,Deserializer-ICを用いた高速シリアル通信により転送する構成でもよい。
次に、露光ヘッド106の駆動基板202における処理について説明する。前述したように、駆動基板202には、コネクタ301、駆動制御部302、初期調整値記憶部303が実装されている。図10に示すように、コネクタ301には、制御基板415から、コネクタ416を介して面発光素子を制御する制御信号Φ1、Φ2、ΦSを伝達する信号線と、電源電圧線、グランド線が接続され、各々面発光素子アレイチップ0~28に接続されている。初期調整値記憶部303には、目標光量を得るための各々の面発光素子アレイチップの調整値が格納されている。駆動制御部302は、制御基板415からのPWM信号に同期して面発光素子アレイチップ0~28を駆動する駆動電圧を生成する。駆動制御部302は、CPU400によって所定の光量となるように出力信号の電圧レベルを5V中心に調整可能な構成とする。本実施例では、各面発光素子アレイチップ0~28は、同時に4つの素子を独立して駆動できる構成をとっており、駆動制御部302はチップ毎に駆動信号4ライン(合計29チップ×4=116ライン)を供給する。各面発光素子アレイチップ0~28に供給される駆動信号は、ΦW1~ΦW4とする。
本実施例では、PWM信号の調整にて温度変動による光量補正を実施する手法を説明した。一方、電流駆動により面発光素子アレイチップ0~28の光量を制御する駆動方式において実施することも可能である。
102 感光ドラム
103 作像部
106 露光ヘッド
400 CPU
Claims (7)
- 回転駆動される感光体と、
前記感光体を露光する露光ヘッドであって、第1の複数の発光部を備える第1の発光チップと、第2の複数の発光部を備える第2の発光チップと、を含む複数の発光チップが設けられた基板を備える露光ヘッドと、
画像データを生成する第1の生成手段と、
前記複数の発光チップのそれぞれにおける前記画像データの値を積算する積算手段と、
前記複数の発光チップに含まれる発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値と前記第1の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値との比と、前記第1の発光チップにおける第1の発光部に対応する画像データと、に基づいて、第1のレベルの信号と第2のレベルの信号とを含む第1のパルス信号を生成し、且つ、前記複数の発光チップに含まれる発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値と前記第2の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値との比と、前記第2の発光チップにおける第2の発光部に対応する画像データと、に基づいて、前記第1のレベルの信号と前記第2のレベルの信号とを含む第2のパルス信号を生成する第2の生成手段と、
前記第1のパルス信号が前記第1のレベルである期間の長さに対応する電流を前記第1の発光部に供給し、前記第2のパルス信号が前記第1のレベルである期間の長さに対応する電流を前記第2の発光部に供給する供給手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記第2の生成手段は、前記複数の発光チップに含まれる発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値のうちの最大値と前記第1の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値との比と、前記第1の発光部に対応する画像データとに基づいて、前記第1のパルス信号を生成し、且つ、前記最大値と前記第2の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値との比と、前記第2の発光部に対応する画像データと、に基づいて、前記第2のパルス信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記積算手段の積算結果に対応する値は、前記発光チップにおける発光部の光量の低下量に対応する値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記第2の生成手段は、前記第1の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値が第1の値である場合は前記第1のレベルである期間の長さが第1の長さである前記第1のパルス信号を生成し、前記第1の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値が前記第1の値よりも大きい第2の値である場合は前記第1のレベルである期間の長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さである前記第1のパルス信号を生成し、
前記第2の生成手段は、前記第2の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値が第3の値である場合は前記第1のレベルである期間の長さが第3の長さである前記第1のパルス信号を生成し、前記第2の発光チップにおける前記積算手段の積算結果に対応する値が前記第3の値よりも大きい第4の値である場合は前記第1のレベルである期間の長さが前記第3の長さよりも長い第4の長さである前記第1のパルス信号を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記第1の発光チップと前記第2の発光チップとは、前記基板の長手方向において互いに隣接して設けられ、
前記積算手段は、前記第1の発光チップに対応する積算値と、前記第2の発光チップの温度が前記第1の発光チップに与える温度の影響率と、に基づいて、前記第1の発光チップの積算値を補正し、
前記第2の生成手段は、前記補正された前記第1の発光チップに対応する積算値と前記第1の発光チップにおける第1の発光部に対応する画像データとに基づいて前記第1のパルス信号を生成し、且つ、前記補正された前記第2の発光チップに対応する積算値と前記第2の発光チップにおける第2の発光部に対応する画像データとに基づいて前記第2のパルス信号を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記積算手段は、前記第1の発光チップの積算値に、先行する記録媒体に対応する画像形成が終了してから後続の記録媒体に対応する画像形成が開始されるまでの期間に応じた係数を乗ずることにより、前記積算値を補正することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記積算手段は、前記複数の発光チップのそれぞれにおける記録媒体1ページ分の前記画像データの値を積算することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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