JP7178208B2 - 分析システム - Google Patents
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Description
その他の解決手段については実施形態中にて適宜記載する。
<第1実施形態>
[分析システムZ]
図1は、第1実施形態に係る分析システムZの概略構成図である。
分析システムZは、分析装置100、コンピュータ(処理部)200、コントローラ300、タイミング検出器400を有していいる。
分析装置100は、サンプルディスク151、第1試薬ディスク171、第2試薬ディスク181、反応ディスク191を備える。
サンプルディスク151は、試料を保持するサンプル容器V1を保持する。第1試薬ディスク171と第2試薬ディスク181とは、試薬を保持する試薬容器V3を保持する。反応ディスク191の周上には、反応容器V2を保持する。
なお、サンプルプローブ110、第1試薬プローブ121、第2試薬プローブ122を代表してプローブと適宜称する。
図2は、第1実施形態で用いられるサンプルプローブ110の周辺構成を示す図である。適宜、図1を参照する。
ちなみに、第1試薬プローブ121及び第2試薬プローブ122もサンプルプローブ110と同様の構成を有するので、第1試薬プローブ121及び第2試薬プローブ122の周辺構成についての図示、説明を省略する。
なお、図2の例では、吸引液L2としているが、吸引動作によっては、吸引液L2は液体ではなく空気となる。
上下回転動作部112によりサンプルプローブ110と分注流路Tとが移動すると、分注流路Tの中のシステム液L1に加速度が生じる。このとき、慣性力により加速度の流路方向成分とシステム液L1の比重および流路長さに比例した圧力差が発生する。圧力センサPは大気圧との差を検出するので、大気開放部であるサンプルプローブ110の先端から圧力センサPまでの間の分注流路Tに加わった加速度を圧力として検知することができる。従って、上下回転動作部112による移動動作や、何らかの振動が分注流路Tに生じたことを流路内圧力変動として検出でき、移動動作の異常や、サンプルプローブ110の衝突等の異常を検知できる。なお、流路内圧力変動とは、分注流路Tの内部におけるシステム液L1の圧力変動である。
異常判定部(処理部)203は、受け取った圧力データを用いて異常の有無を判定する。AD変換部201、データ取得部202、異常判定部203は例えばコンピュータ200の一部として構成される。つまり、コンピュータ200の記憶部204に格納されているプログラムが図示しないメモリにロードされ、さらに図示しないCPUによって実行されることによって、AD変換部201、データ取得部202、異常判定部203が具現化する。
図3Aは、第1実施形態における洗浄部130の構成を示す図である。適宜、図1、図2を参照する。
図3Aに示すように、洗浄部130の洗浄容器134にはポンプ131に繋がった洗浄水吐出ノズル132が設置されている。洗浄容器134にサンプルプローブ110が移動してくると、コンピュータ200はバルブ133を開き、洗浄水吐出ノズル132から外部洗浄液L3を吐出する。このようにして、サンプルプローブ110の外側部分が洗浄される。この動作を以下、外部洗浄とする。ちなみに、外部洗浄液L3はシステム液L1と同じ(純水等)である。
また、外部洗浄と同時に図2に示されるバルブ116も開き、サンプルプローブ110内にシステム液L1を流すことで、サンプルプローブ110内、及び、図2に示す分注流路T内の洗浄が行われる(矢印W1)。この動作を以下、内部洗浄と称する。
図3Bは、第1実施形態における乾燥部140の構成を示す図である。適宜、図1、図2を参照する。
図3Aで説明した外部洗浄、内部洗浄が終了した後、サンプルプローブ110は乾燥部140の乾燥容器145へ移動する。乾燥部140は乾燥容器145の他に、真空吸引ポンプ141、電磁弁142,143を備える。乾燥動作中において、コンピュータ200は、電磁弁142を閉じ、電磁弁143を開いた状態で真空吸引ポンプ141を動作させ、廃液流路144内の圧力を下げる。圧力が一定まで下がると電磁弁143が閉じられ、電磁弁142が開かれる。これにより、乾燥容器145内の空気が一気に吸引され、サンプルプローブ110表面に残った洗浄水が除去される。
図4は分析装置100の起動から終了までの分析システムZの動作手順を示すフローチャートである。適宜、図1~図3Bを参照する。
分析装置100のシステム状態は大きく分けて、チェックシークエンス、分析シークエンス、分析装置100の動作を一時的に停止させるスタンバイ状態に分けられる。チェックシークエンスでは分析装置100の状態が自己診断される。分析シークエンスでは分析動作が実行される。
まず、分析装置100の電源がONとなる(S101)ことにより、分析装置100が立ちあげられる。
そして、コンピュータ200は、分析装置100が正常に動作できる状態であることを確認するため第1チェックシークエンスを実行する(S102)。
第1チェックシークエンスでは分析装置100における分析装置100の起動直後における各ユニットの動作確認が行われる。つまり、サンプルプローブ110、第1試薬プローブ121、第2試薬プローブ122の上下移動、回転移動、洗浄水吸引、空気吸引が行われ、圧力センサPから圧力データが収集される。コンピュータ200は、収集した圧力データを基に分析装置100における各ユニットの動作の異常判定を行う。なお、第1チェックシークエンスの詳細は後記して説明する。
ステップS103の結果、異常が検出された場合(S103→Yes)、コンピュータ200は、表示装置211にアラートを表示する(S191)。アラートの表示では、第1チェックシークエンスで停止したこと、及び、推定される異常内容が表示される。
なお、第1チェックシークエンスの実行から、例えば6時間以内である場合、第2チェックシークエンスが省略されてもよい。
コンピュータ200は第2チェックシークエンスの結果、異常が検出されたか否かを判定する(S114)。
そして、コンピュータ200は分析装置100を停止状態(S192)とする。
コンピュータ200は第3チェックシークエンスの結果、異常が検出されたか否かを判定する(S123)。
ステップS123の結果、異常が検出された場合(S123→Yes)、コンピュータ200は、表示装置211にアラートを表示する(S191)。アラートの表示では、第3チェックシークエンスで停止したこと、及び、推定される異常内容が表示される。
そして、コンピュータ200は分析装置100を停止状態(S192)とする。
ステップS124の結果、電源がOFFされていない場合(S124→No)、コンピュータ200は、ステップS111へ処理を戻す。
ステップS124の結果、電源がOFFされた場合(S124→Yes)、コンピュータ200は処理を終了する。
図5A及び図5Bは、第1実施形態で行われるチェックシークエンス及び分析シークエンスの動作手順を示すフローチャートである。適宜、図1~図3Bを参照する。
なお、図5A及び図5Bは、図4のステップS102,S113,S121,S122で行われる動作である。また、ここではサンプルプローブ110の動作について説明しているが、第1試薬プローブ121、第2試薬プローブ122についても同様の動作を行う。
まず、サンプルプローブ110が上限点の高さにいる状態から回転し(図5AのS201)、下降する(S202)ことでサンプルプローブ110は洗浄位置へ移動する。
洗浄位置へ移動後、コントローラ300によって、バルブ116、バルブ133が開かれ、外部洗浄、内部洗浄が実行される(S203)。
内部洗浄は外部洗浄より先に終了する(S204)。すると、サンプルプローブ110は、外部洗浄が終了する前に、定量ポンプ115によって外部洗浄液L3を吸引、吸引した外部洗浄液L3のうち、余分な外部洗浄液L3を吐出する動作を行う(S205)。この動作は、外部洗浄液L3(純水)でサンプルプローブ110内を満たすための動作である。
そして、コンピュータ200は、外部洗浄液L3の吸引時の圧力データ(第1圧力データ)を圧力センサPから取得する(S206)。なお、圧力データの取得は、チェックシークエンス時、分析シークエンス時の両方で行われてもよいし、チェックシークエンス時のときのみ行われてもよい。
そして、外部洗浄が終了する(S207)。このとき、ステップS205の動作により、分注流路Tとサンプルプローブ110の内部はシステム液L1で満たされている。
図6は、第1圧力データの波形(第1圧力データ波形)を示す図である。
外部洗浄液L3が正常に吐出されている場合、サンプルプローブ110は内部洗浄後の吸引動作(図5AのS205)で外部洗浄液L3を吸引する。そして、正常に外部洗浄液L3を吸引できた場合の圧力データ波形を実線で示す。
一方、外部洗浄液L3が適切に吐出されていない場合、サンプルプローブ110は外部洗浄液L3を吸引できず、空気を吸引してしまう。このとき、図6の破線で示すような流路内圧力変動が示される。この特徴はチェックシークエンス、分析シークエンスで共通である。外部洗浄液L3が吐出されない異常として、ポンプ131における給水圧の低下、水量の調整ミス、外洗液流路折れが想定される。
外部洗浄終了後、サンプルプローブ110は上下回転動作部112によって上限点の高さまで上昇し(S211)、回転し(S212)、下降する(S213)ことで乾燥部140へ移動する。
そして、乾燥処理が実行される(S214)。
図7は、第2圧力データの波形(第2圧力データ波形)を示す図である。
実線は、正常に分節空気Aの吸引が行われた際における圧力データの波形である。また、破線は、分節空気Aの吸引が正常に行われなかった際における圧力データの波形である。
乾燥処理に異常が生じ、サンプルプローブ110の先端表面に外部洗浄液L3が残っていると、サンプルプローブ110が中間点まで上昇している間に外部洗浄液L3の水滴が慣性によってサンプルプローブ110の先端まで移動する。そして、サンプルプローブ110の先端に残った外部洗浄液L3が付着した状態で分節空気Aが吸引される。この結果、空気と共にサンプルプローブ110の先端に付着した外部洗浄液L3も吸引してしまう。この結果、図7の破線で示すような圧力データ波形が取得される。
分節空気Aの吸引後、サンプルプローブ110は上限点の高さまで上昇する(図5BのS231)。そして、上限点の高さまで上昇したサンプルプローブ110は上下回転動作部112によって回転する(S232)ことで、試料吸引位置上空まで移動する。
コンピュータ200は、ステップS231の上昇動作時、ステップS232の回転動作時において圧力センサPから圧力データ(第3圧力データ)を取得する(S233)。
図8は第3圧力データの波形(第3圧力データ波形)の例を示す図である。
実線は、正常に分節空気Aが吸引されている場合における圧力データ波形である。破線は、乾燥不足によって洗浄液を吸引した場合における圧力データ波形である。
前記したように乾燥処理において、乾燥不足の状態だと分節空気Aの吸引時に、サンプルプローブ110の先端に付着している外部洗浄液L3が吸引されてしまう。この結果、正常に乾燥が行われたときと、行われなかったときにおける、ステップS231の上昇動作時、ステップS232の回転動作時において取得される第3圧力データの波形が異なってくる。
ちなみに、図8、図9における「プローブ」とはサンプルプローブ110、第1試薬プローブ121、第2試薬プローブ122のうち、動作確認対象となっているプローブである。
(チェックシークエンス時)
チェックシークエンスでは、ステップS233の後、試料の吸引位置上空まで移動したサンプルプローブ110は上下回転動作部112によってサンプル容器V1の中に一定量下降する(S241A)。下降後、プランジャ114が一定量下降することで吸引動作が実行される(S242A)。ステップS242Aでは、空気がサンプルプローブ110内に吸引される。
その後、サンプルプローブ110は上下回転動作部112によって上限点の高さまで上昇する(S243A)。
一方、分析シークエンスでは、ステップS233の後、試料の吸引位置上空まで移動したサンプルプローブ110は上下回転動作部112によってサンプル容器V1の中に一定量下降する(S241B)。下降後、プランジャ114が一定量下降することで吸引動作が実行される(S242B)。ステップS242Bでは、吸引液L2(試料)がサンプルプローブ110内に吸引される。
その後、サンプルプローブ110は上下回転動作部112によって上限点の高さまで上昇する(S243B)。
ステップS243Aの上昇時、ステップS244の回転時において、コンピュータ200は圧力センサPから圧力データ(第4圧力データ)を取得する(S245)。
実線は、上下回転動作部112が正常に動作している場合における圧力データ波形である。また、破線は、上下回転動作部112に異常が発生している場合における圧力データ波形である。上下回転動作部112において異物混入や、破損といった異常が発生すると、サンプルプローブ110の上昇・回転時に異常な振動が発生する。この結果、図9の破線で示すように、動作途中でノイズが発生する圧力変動が生じる。このような異常な圧力変動(圧力データ波形)が検出されることによって、上下回転動作部112に異常が発生していることが判定される。
ステップS244において吐出位置上空まで移動したサンプルプローブ110は上下回転動作部112によって吐出位置まで下降する(S246)。
チェックシークエンス時では、プランジャ114が一定量上昇することでサンプルプローブ110はステップS242Aで吸引された空気を吐出する(S247A)。
一方、分析シークエンス時では、プランジャ114が一定量上昇することでサンプルプローブ110はステップS242Bで吸引された吸引液L2(試料)を吐出する(S247B)。
チェックシークエンス時では、ステップS248の後、異常判定部203が、第1圧力データ~第4圧力データを用いた異常判定処理を行う(S251)。異常判定部203は、第1圧力データ~第4圧力データと、それぞれの正常時の圧力データとを基に、後記する線形判定法によって異常判定を行う。ここでの判定結果は、図4のステップS103,S114,S123の判定に用いられる。
その後、コンピュータ200は図4の処理へリターンする。
分析シークエンス時では、ステップS248の後、図4の処理へリターンする。
分析シークエンスがチェックシークエンスと異なる点は、吸引位置でのプローブの下降量や、上昇量がサンプル容器V1の充填量に依存することである。また、吸引、吐出時の流路内圧力変動が試料液性、分析項目によって異なることである。
例えば、作業者が準備した試料の液量と、サンプル容器V1の形状によってサンプルプローブ110が吸引するための下降量が異なる。また、試料の液性は被採血者の体質、疾患、投与歴等様々な影響を受けるため、同じ吸引量、吐出量でも異なる流路内圧力変動を示す。
従って、分析シークエンスで異常判定を行うより、分析シークエンスとは別にチェックシークエンスを実行し、このチェックシークエンスで異常判定を行うことが望ましい。
判定スコアの計算方法及び閾値の設定方法の一つとして、予め正常あるいは異常の条件で取得しておいた圧力データを教師データとして用いる手法がある。
このように正常条件の圧力データのみを教師データとする場合、圧力データ波形における各ポイントの値である圧力波形ベクトルを特徴変数ベクトルyとする。また、教師データによる各特徴変数の平均値ベクトルu、及び共分散行列の逆行列Aが予め算出されている。平均値ベクトルu、共分散行列の逆行列Aを判定パラメータとする。閾値は異常の発生確率等から予め定めておく。異常判定部203は、送られてきた圧力波形ベクトルを特徴変数yとして、以下の式(1)~式(3)を基にマハラノビス距離Dを算出する。
y=(y1,y2,y3,・・・,yk) ・・・ (2)
u=(u1,u2,u3,・・・,uk) ・・・ (3)
マハラノビス距離解析では、正常の状態のみを教師データとする。これにより、分析装置100に発生する異常を予測できない場合や、異常な状態の圧力データを予め取得することが困難な場合でも、何等かの異常が発生したことを検知できる。
y=(y1,y2,y3,・・・,yk) ・・・ (12)
k=(k1,k2,k3,・・・,kk) ・・・ (13)
また、前記したように、第4圧力データに対しマハラノビス距離解析を適用することにより、上下回転動作部112における上下部側、回転部側いずれかに異常が発生していることが判定できる。
分析装置100における圧力データが変化する要因として、分析装置100の設置条件や、動作条件の違いが挙げられる。例えば、分析装置100を設置した場所の周辺温度、湿度、気圧、供給される純水(システム液L1)の温度によって、同じ動作条件でも圧力データに変化が生じることがある。そのため、判定パラメータを算出する際には様々な環境条件で取得した圧力データを準備する必要がある。一方、様々な環境条件を取り込んだ判定パラメータは、特定の環境条件で得られた圧力データから算出した判定パラメータよりも判定の精度が低下する傾向がある。そのため、判定パラメータは分析装置100の設置条件や、動作条件によって適したものが選択されることが最も望ましい。
コンピュータ200の記憶部204には周辺温度、湿度、気圧、供給される純水温度の上限が異なる条件で取得した圧力データから算出された判定パラメータa~e(第1の条件)が格納されている。判定パラメータa~eは、例えば、分析装置100の設置条件や、動作条件に対応している。表中の数値は「外部洗浄液吐出確認」、「乾燥機能確認」、「上下回転動作確認」時に取得した圧力データをパラメータa~eで判定したときの判定スコアである。なお、「外部洗浄液吐出確認」は第1圧力データを用いたもの、「乾燥機能確認」は第2圧力データ及び/又は第3圧力データを用いたもの、「上下回転動作確認」は第4圧力データを用いたものである。
なお、ここでは、判定パラメータa~eの5つが設定されているが、5つに限らない。
すなわち、異常判定部203は、「外部洗浄液吐出確認」、「乾燥機能確認」、「上下回転動作確認」のそれぞれにおいて、判定パラメータa~eそれぞれを用いた判定スコアを5つずつ算出する。
さらに、異常判定部203は、「外部洗浄液吐出確認」、「乾燥機能確認」、「上下回転動作確認」のそれぞれにおいて判定スコアを算出した後、判定パラメータ毎に判定スコアの合計値を算出する。
また、第2実施形態のような判定パラメータセット選択方式として、各動作で別々のパラメータセットを選択することも可能である。
図11は、分析装置100の動作(図4の処理)における1サイクル分の圧力データを示している。
第4実施形態では、第1実施形態のように動作毎に圧力データを収集、判定スコアの算出するのではなく、1サイクル分の圧力データをすべて取り込んで判定を行う。判定は線形判定法が用いられることが望ましい。
なお、ここで示す19組の動作は一例であり、これらに限らない。なお、ここでのプローブとは、サンプルプローブ110、第1試薬プローブ121、第2試薬プローブ122のうち、動作確認対象となっているプローブである。
そして、異常判定部203は、第1の判定スコアにより、プローブ回転動作の異常の有無を判定する。
そして、異常判定部203は第2の判定スコアにより、プローブ下降動作の異常の有無を判定する。
第3実施形態によれば、1回の波形入力で複数動作の異常判定ができるので、計算処理が単純で処理の高速化が可能である。
また、圧力データ波形そのものを動作ログに保存するのでなく、19個の判定スコアを保存するので、ログの容量が小さくてすむ。これにより、後の解析も楽となる。
なお、判定スコアを動作ログに残すことは、第1~第3実施形態において行われてもよい。動作ログを用いた異常の有無判定については後記する。
ちなみに、本実施形態に記載された異常判定は、外部洗浄、乾燥処理、プローブの上下回転移動であるが、圧力センサPによる流路内圧力変動として検出できる動作であれば、これらに限らない。
<第5実施形態>
これまでの手法で異常が検知された場合、図4で示すように、分析システムZは新しい測定依頼を受け付けない。
しかしながら、異常が検出される前の圧力データや、判定スコアは、測定性能への影響がないレベルで、異常の予兆といえる傾向を示すことが多い。以降では、定期的に収集した圧力データや、判定スコアの傾向を解析することで、異常予兆判定を行う方法を示す。
図12において、横軸はログ取得日を示し、縦軸は判定スコアを示している。
図12では、第4圧力データを定期的に取得し、取得した第4圧力データから計算した判定スコアの時系列変化が示されている。一点鎖線は、判定スコアの平均値を示し、2つの破線は予兆判定閾値を示している。なお、図12で示す予兆判定閾値は第1実施形態で使用した閾値とは異なる。図12に示す予兆判定閾値は、分析装置100の異常発生を予想し、使用者に警告するための閾値である。そのため、判定スコアが予兆判定閾値を超えても分析システムZは分析シークエンスへ移行できる。
図12に示す例において、予兆判定閾値は以下の式(21)によって決められる。
・・・(21)
図12に示した例では、7/3の時点(点P1)で判定スコアが予兆判定閾値を超えている。異常判定部203は、判定スコアが予兆判定閾値を超えていることを検知すると、コンピュータ200の表示装置(通知部)211等を介してアラームを発報する。これによって、異常の予兆が検出されたことをユーザに知らせ、メンテナンスを促すことができる。
図13は、第6実施形態における動作ログを用いた異常予兆判定の手法を示す図である。
第6実施形態では、判定スコアの今回値と、前回値とから算出される傾きを用いて異常予兆判定が行われている。
なお、判定スコアの傾き(以下、傾きと称する)は以下の式(31)によって算出される。
・・・(31)
また、グラフG11は判定スコアの時系列変化(図12と同じ)を示し、グラフG12は傾きの時系列変化を示している。
さらに、図13において、一点鎖線は傾きの平均値、2つの破線は予兆判定閾値を示している。
そして、予兆判定閾値は、以下の式(32)によって求められる。
図13において、7/3の時点(点P2)で傾きが予兆判定閾値を超えている。異常判定部203は、傾きが予兆判定閾値を超えていることを検知すると、コンピュータ200の表示装置211等を介してアラームを発報する。これによって、異常の予兆が検出されたことをユーザに知らせ、メンテナンスを促すことができる。
図14は、第7実施形態における動作ログを用いた異常予兆判定の手法を示す図である。
第7実施形態の手法は、複数(図14の例では3つ)の分析装置100が存在する場合、主成分分析によって、それぞれの分析装置100における異常予兆判定を行うものである。
ここで、主成分分析は、第1~第4圧力データのそれぞれを成分とする特徴変数ベクトルを、定期的に収集して、算出された判定スコアが使用されているものとする。
図14において、横軸は第2主成分、縦軸は第1主成分を示している。また、グラフG21~G23は、それぞれの分析装置100における主成分の時系列変化を示している。
図14に示すように、異常予兆判定を主成分分析結果で行う場合、グラフにおける各点の距離(図14のグラフ上における今回値と、前回値との距離)によって異常予兆判定が行われる。
また、図14に示す例では、複数の分析装置100同士がネットワークで接続されており、それぞれの分析装置100の間で主成分分析結果を共有できる。
このように共有された主成分分析結果から以下の式(41)によって予兆判定閾値が算出される。
・・・(41)
図15は、第8実施形態における動作ログを用いた異常予兆判定の手法を示す図である。
図15において、図14と同様、横軸は第2主成分、縦軸は第1主成分を示す。また、グラフG21~G23は、図14と同様に算出されたものであるため、説明を省略する。
ここで、閾値領域TH1は予め設けられている予兆判定閾値の領域を示す。つまり、閾値領域TH1を主成分得点が超えたら、異常判定部203は異常の予兆が生じていると判定する。閾値領域THは、異常状態を模した分析装置100によるデータ収集や、シミュレーションによって予め定められる。
図16は、第9実施形態における動作ログを用いた異常予兆判定の手法を示す図である。
図16は、図15において閾値領域を設定方法を変更したものである。
図16では、図15とは異なる2つの分析装置100が使用されている例を示すが、図15と同じ3つの分析装置100が用いられてもよい。
ここで、図16に示す例では、それぞれの分析装置100における初期データ(判定スコZ)を基準として、個々に閾値領域TH11,TH12が設定されている。つまり、グラフG31に対うする分析装置100には閾値領域TH11が設定され、グラフG32に対応する分析装置100には閾値領域TH12が設定される。それぞれの閾値領域TH11,TH12は、第8実施形態と同様、異常状態を模した分析装置100によるデータ収集や、シミュレーションによって予め定められる。
第9実施形態によれば、個々の分析装置100の特性に応じた異常予兆判定が可能となる。
ステップS301:異常判定部203が動作ログのデータ(ここでは判定スコア)を取得する。
ステップS302:異常判定部203は、図12~図15に示す処理を行うことで異常予兆の判定を行う。
ステップS303:ステップS302の結果、異常の予兆が発生していると判定された場合、異常判定部203はコンピュータ200の表示装置211等を介して、異常予兆が発生している旨をユーザに通知する。
なお、異常予兆判定処理は、例えば、30日毎や、10日毎等といった所定のタイミングで行われる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
110 サンプルプローブ(プローブ)
112 上下回転動作部(移動部)
113 駆動部
114 プランジャ
115 定量ポンプ(ポンプ部)
121 第1試薬プローブ(プローブ)
122 第2試薬プローブ(プローブ)
130 洗浄部
140 乾燥部
200 コンピュータ(処理部)
202 データ取得部
203 異常判定部(処理部)
204 記憶部
211 表示装置(表示部、通知部)
L3 外部洗浄液
P 圧力センサ
T 分注流路(流路)
Claims (13)
- 液体を吸引及び吐出するプローブと、
前記プローブと、流路を介して接続するポンプ部と、
前記プローブの位置を移動させる移動部と、
前記プローブと、前記ポンプ部とを結ぶ前記流路の途中、かつ、前記流路において、前記移動部により前記プローブと一体となって移動する部分よりも前記ポンプ部に近い位置に設けられており、前記流路内の液体の圧力を検知する圧力センサと、
を備える分析装置と、
前記圧力センサで検知された圧力データに基づいて、前記圧力データを取得したタイミングで行われていた動作について、異常の有無についての解析を行う処理部と、
を有し、
前記プローブの外部に外部洗浄液を流すことで前記プローブの外部を洗浄する外部洗浄と、
前記プローブから前記流路内の液体を流出させることで、前記プローブの内部を洗浄する内部洗浄と、が行われ、
前記内部洗浄が終了しているが、前記外部洗浄が終了していない状態で、前記ポンプ部は、前記プローブにおける前記外部洗浄液の吸引及び吐出を行い、
前記処理部は、
当該外部洗浄液の吸引及び吐出が行われた際の前記圧力データを前記圧力センサから取得し、取得した前記圧力データに基づいて、前記異常の有無についての解析を行い、
前記解析の結果、異常が検知された場合、表示部に前記外部洗浄について異常が検知された旨の情報を表示する
ことを特徴とする分析システム。 - 液体を吸引及び吐出するプローブと、
前記プローブと、流路を介して接続するポンプ部と、
前記プローブの位置を移動させる移動部と、
前記プローブと、前記ポンプ部とを結ぶ前記流路の途中、かつ、前記流路において、前記移動部により前記プローブと一体となって移動する部分よりも前記ポンプ部に近い位置に設けられており、前記流路内の液体の圧力を検知する圧力センサと、
を備える分析装置と、
前記圧力センサで検知された圧力データに基づいて、前記圧力データを取得したタイミングで行われていた動作について、異常の有無についての解析を行う処理部と、
を有し、
前記プローブの外部に外部洗浄液を流すことで前記プローブの外部を洗浄する外部洗浄と、
前記プローブから前記流路内の液体を流出させることで、前記プローブの内部を洗浄する内部洗浄と、が行われ、
前記内部洗浄が終了しているが、前記外部洗浄が終了していない状態で、前記ポンプ部は、前記プローブにおける前記外部洗浄液の吸引及び吐出を行い、
前記処理部は、
当該外部洗浄液の吸引及び吐出が行われた際の前記圧力データを前記圧力センサから取得し、取得した前記圧力データに基づいて、前記異常の有無についての解析を行い、
前記解析の結果、異常が検知された場合、表示部に前記外部洗浄について異常が検知された旨の情報を表示し、
前記外部洗浄が終了した後、前記プローブの外部を乾燥させる乾燥処理が行われ、
当該乾燥処理が終了した後に、前記ポンプ部によって、前記プローブの内部への空気の吸引が行われ、
前記処理部は、
当該空気の吸引が行われた際の前記圧力データを前記圧力センサから取得し、取得した前記圧力データに基づいて、前記異常の有無についての解析を行い、
前記解析の結果、異常が検知された場合、前記表示部に前記乾燥処理について異常が検知された旨の情報を表示する
ことを特徴とする分析システム。 - 前記処理部は、
前記移動部によって、前記プローブの移動が行われた際の前記圧力データを前記圧力センサから取得し、取得した前記圧力データに基づいて、前記異常の有無についての解析を行い、
前記解析の結果、異常が検知された場合、表示部に前記プローブの移動について異常が検知された旨の情報を表示する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
取得した前記圧力データを基に、所定の評価値を算出し、当該評価値を基に、前記異常の有無についての解析を行い、
前記分析装置に関する第1の条件毎に、複数の前記評価値を算出し、算出した複数の前記評価値のうち、前記評価値に関する第2の条件を満たす前記評価値を選択し、
選択した前記評価値を用いて、前記異常の有無についての解析を行う
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
前記分析装置における複数の動作のそれぞれについて、前記第1の条件毎に、複数の前記評価値を算出し、前記第1の条件毎に算出した前記評価値の合計値を算出し、前記合計値のうち、前記第2の条件を満たす前記合計値を選択し、
選択した前記合計値に関する前記評価値を用いて、それぞれの前記動作について、前記異常の有無についての解析を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
前記分析装置における複数の動作のそれぞれについて、前記第1の条件毎に、複数の前記評価値を算出し、前記動作毎における前記評価値の中から、前記第2の条件を満たす前記評価値を選択し、
選択した前記評価値を用いて、それぞれの前記動作について、前記異常の有無についての解析を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
前記異常の有無についての解析を行う際、取得した前記圧力データに基づく評価値を算出し、当該評価値を基に、前記異常の有無についての解析を行い、
算出した前記評価値を、ログとして記憶部に記憶する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
前記ログを基に異常予兆の有無判定を行い、
当該有無判定の結果、前記異常予兆が検知されると、通知部を介して警報を発報する
ことを特徴とする請求項7に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
所定期間における前記評価値の標準偏差に関する値を、前記異常予兆の有無判定の閾値として設定する
ことを特徴とする請求項8に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
所定期間における前記評価値の差分の標準偏差に関する値を、前記異常予兆の有無判定の閾値として設定する
ことを特徴とする請求項8に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
複数の前記分析装置から、所定期間における前記評価値を取得し、取得した前記評価値を基に、主成分分析を行い、前記主成分分析の結果算出される主成分得点について、前回算出された主成分得点と、今回算出された主成分得点との、各主成分を座標軸とする座標上における距離を基に、前記異常予兆の有無判定を行う
ことを特徴とする請求項8に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
複数の前記分析装置から、所定期間における前記評価値を取得し、取得した前記評価値を基に、主成分分析を行い、主成分分析の結果算出される主成分得点の初期値を基に、各主成分を座標軸とする座標上において閾値の領域である閾値領域を設定し、
主成分得点が前記座標において前記閾値領域を超えたか否かによって、異常予兆の有無判定を行う
ことを特徴とする請求項8に記載の分析システム。 - 前記処理部は、
それぞれの前記分析装置に対応する前記初期値を基に、それぞれの前記分析装置毎に前記閾値領域を設定する
ことを特徴とする請求項12に記載の分析システム。
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