JP7173051B2 - カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法 - Google Patents

カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7173051B2
JP7173051B2 JP2019567044A JP2019567044A JP7173051B2 JP 7173051 B2 JP7173051 B2 JP 7173051B2 JP 2019567044 A JP2019567044 A JP 2019567044A JP 2019567044 A JP2019567044 A JP 2019567044A JP 7173051 B2 JP7173051 B2 JP 7173051B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitrile rubber
carboxy group
latex
hydrogenated nitrile
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019567044A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019146526A1 (ja
Inventor
恭彰 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Zeon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Zeon Corp filed Critical Zeon Corp
Publication of JPWO2019146526A1 publication Critical patent/JPWO2019146526A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7173051B2 publication Critical patent/JP7173051B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08CTREATMENT OR CHEMICAL MODIFICATION OF RUBBERS
    • C08C19/00Chemical modification of rubber
    • C08C19/02Hydrogenation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F236/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds
    • C08F236/02Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds the radical having only two carbon-to-carbon double bonds
    • C08F236/04Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds the radical having only two carbon-to-carbon double bonds conjugated
    • C08F236/06Butadiene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L15/00Compositions of rubber derivatives
    • C08L15/005Hydrogenated nitrile rubber

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法に係り、さらに詳しくは、高い生産効率にて、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを製造するための製造方法に関する。
従来から、ニトリルゴム(アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム)は、耐油性、機械的特性、耐薬品性等を活かして、ホースやチューブなどの自動車用ゴム部品の材料として使用されており、また、ニトリルゴムのポリマー主鎖中の炭素-炭素二重結合を水素化した水素化ニトリルゴム(水素化アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム)はさらに耐熱性に優れるため、ベルト、ホース、ダイアフラム等のゴム部品に使用されている。
また、このような水素化ニトリルゴムに、耐圧縮永久歪み性などの種々の特性を付与するために、水素化ニトリルゴムに対し、変性基としてのカルボキシ基が導入されたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
国際公開第2016/104350号
一方で、このようなカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムにおいては、その製造工程、とりわけ、水素化反応工程における生産性の向上が求められている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、高い生産効率にて、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを製造するための製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、所定の温度で加熱した後に、加熱後のカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを5~8の範囲に調整して、水素化反応を行うことで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、分散媒中で、少なくともα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体およびカルボキシ基含有単量体を含む単量体混合物を乳化重合することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを得る工程と、
前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、50~85℃にて加熱する工程と、
加熱後の前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスについて、pHが5~8の範囲に調整された状態にて、水素化触媒を用いて、水素化反応を行う工程とを備える、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの加熱を、減圧条件下で行うことが好ましい。
本発明の製造方法は、水素化反応後の前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスから前記水素化触媒を除去する工程をさらに備えることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中における、前記α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体の含有割合が5~60重量%であり、前記カルボキシ基含有単量体の含有割合が1~30重量%であることが好ましい。
本発明によれば、上記本発明の製造方法で製造されたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムと、架橋剤とを混合する架橋性ゴム組成物の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記本発明の製造方法で製造された架橋性ゴム組成物を架橋するゴム架橋物の製造方法が提供される。
本発明によれば、高い生産効率にて、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを製造することができる。
本発明のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法は、
分散媒中で、少なくともα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体およびカルボキシ基含有単量体を含む単量体混合物を重合することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを得る工程(重合工程)と、
前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、50~85℃にて加熱する工程(加熱工程)と、
加熱後の前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスについて、pHが5~8の範囲に調整された状態にて、水素化触媒を用いて、水素化反応を行う工程(水素化反応工程)と、を備える。
<重合工程>
本発明の製造方法における重合工程は、分散媒中で、少なくともα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体およびカルボキシ基含有単量体を含む単量体混合物を乳化重合することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを得る工程である。
α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β-エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリルなどのα-ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのα-アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体は、一種単独でも、複数種を併用してもよい。
α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体の使用量は、最終的に得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中における、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合として、好ましくは5~60重量%であり、より好ましくは10~60重量%、さらに好ましくは10~55重量%である。α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合が上記範囲となるように、その使用量を調整することにより、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを、耐油性および耐寒性に優れたゴム架橋物を与えるものとすることができる。
カルボキシ基含有単量体としては、α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能であり、かつ、エステル化等されていない無置換の(フリーの)カルボキシ基を1個以上有する単量体であれば特に限定されない。カルボキシ基含有単量体を用いることにより、得られるゴムに、カルボキシ基を導入することができる。
本発明で用いるカルボキシ基含有単量体としては、たとえば、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体、およびα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体などが挙げられる。また、カルボキシ基含有単量体には、これらの単量体のカルボキシ基がカルボン酸塩を形成している単量体も含まれる。さらに、α,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸の無水物も、共重合後に酸無水物基を開裂させてカルボキシ基を形成するので、カルボキシ基含有単量体として用いることができる。
α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
α,β-エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体としては、フマル酸やマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アリルマロン酸、テラコン酸などが挙げられる。また、α,β-不飽和多価カルボン酸の無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
α,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn-ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn-ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn-ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn-ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
カルボキシ基含有単量体は、一種単独でも、複数種を併用してもよい。これらの中でも、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを、耐圧縮永久歪み性により優れたゴム架橋物を与えるものとすることができるという観点より、α,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体が好ましく、α,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル単量体がより好ましく、マレイン酸モノアルキルエステルがさらに好ましく、マレイン酸モノn-ブチルが特に好ましい。なお、上記アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、2~8が好ましい。
カルボキシ基含有単量体の使用量は、最終的に得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中における、カルボキシ基含有単量体単位の含有割合として、好ましくは1~30重量%、より好ましくは2~25重量%、さらに好ましくは2~20重量%である。カルボキシ基含有単量体単位の含有割合が上記範囲となるように、その使用量を調整することにより、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを、機械特性および耐圧縮永久歪み性により優れたゴム架橋物を与えるものとすることができる。
また、本発明の製造方法においては、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムがゴム弾性を有するものとするために、重合に用いる単量体混合物中に、共役ジエン単量体をさらに含有させ、共役ジエン単量体をさらに共重合することが好ましい。
共役ジエン単量体としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレンなどの炭素数4~6の共役ジエン単量体が好ましく、1,3-ブタジエンおよびイソプレンがより好ましく、1,3-ブタジエンが特に好ましい。共役ジエン単量体は一種単独でも、複数種を併用してもよい。
共役ジエン単量体の使用量は、最終的に得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中における、共役ジエン単量体単位(水素化されている部分も含む)の含有割合として、好ましくは10~80重量%、より好ましくは20~70重量%、さらに好ましくは30~70重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合が上記範囲となるように、その使用量を調整することにより、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを、耐熱性や耐化学的安定性を良好に保ちながら、ゴム弾性に優れたゴム架橋物を与えるものとすることができる。
また、本発明の製造方法においては、耐寒性をより向上させるために、重合に用いる単量体混合物中に、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体をさらに含有させ、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体をさらに共重合してもよい。
α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの炭素数1~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(「メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル」の略記。以下同様。);アクリル酸1-メトキシエチル、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸エトキシドデシル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸エトキシペンチルなどの炭素数2~18のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸α-シアノエチル、メタクリル酸α-シアノエチル、メタクリル酸シアノブチルなどの炭素数2~12のシアノアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルなどの炭素数1~12のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピルなどの炭素数1~12のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;などが挙げられる。これらのなかでも、炭素数1~18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2~18のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸1-メトキシエチル、アクリル酸2-メトキシエチルがより好ましく、アクリル酸n-ブチルが特に好ましい。
α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体の使用量は、特に限定されないが、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中における、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位の含有割合として、好ましくは1~50重量%、より好ましくは5~45重量%、さらに好ましくは10~40重量%である。α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位の含有割合が上記範囲となるように、その使用量を調整することにより、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを、耐寒性により優れたゴム架橋物を与えるものとすることができる。
また、本発明の製造方法においては、重合に用いる単量体混合物中に、上記した各単量体に加えて、これらと共重合可能なその他の単量体をさらに含有させ、共重合可能なその他の単量体をさらに共重合してもよい。このようなその他の単量体としては、エチレン、α-オレフィン単量体、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが例示される。
α-オレフィン単量体としては、炭素数が3~12のものが好ましく、たとえば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
フッ素含有ビニル単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o-トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、N-(4-アニリノフェニル)アクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)メタクリルアミド、N-(4-アニリノフェニル)シンナムアミド、N-(4-アニリノフェニル)クロトンアミド、 N-フェニル-4-(3-ビニルベンジルオキシ)アニリン、N-フェニル-4-(4-ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。その他の単量体の使用割合は、特に限定されないが、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中における、これらの単量体単位の含有割合として、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明の製造方法における重合工程において、乳化重合に際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤に加えて、通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びリノレン酸等の脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩とホルマリンとの縮合物、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;α,β-不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β-不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤;などが挙げられる。乳化剤の添加量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.5~5重量部である。
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。重合開始剤の添加量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01~2重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、メルカプト基を有する化合物を好ましく用いることができ、たとえば、2,2,4,6,6-ペンタメチル-4-ヘプタンチオール、2,4,4,6,6-ペンタメチル-2-ヘプタンチオール、2,3,4,6,6-ペンタメチル-2-ヘプタンチオール、2,3,4,6,6-ペンタメチル-3-ヘプタンチオールなどの炭素数9~12のメルカプト基を有する化合物;2,2,4,6,6-ペンタメチル-4-オクタンチオール、2,2,4,6,6,8,8-ヘプタメチル-4-ノナンチオールなどの炭素数13~16のメルカプト基を有する化合物;の他、t-ドデシルメルカプタン(炭素数9~16であるメルカプト基を有する化合物の混合物)などが挙げられる。また、これらメルカプト基を有する化合物とともに、あるいは、これらに代えて、四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;α-メチルスチレンダイマー;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物;等を使用してもよい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。分子量調整剤の添加量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01~2重量部、より好ましくは0.05~1重量部である。
乳化重合の分散媒としては、通常、水が使用される。水の量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは80~500重量部、より好ましくは80~300重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて重合停止剤、キレート剤、ビルダー、安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
乳化重合における重合転化率は、特に限定されないが、得られる重合体の特性を良好なものとしながら、高い生産性を実現することができるという観点より、好ましくは60~95%、より好ましくは65~90%、さらに好ましくは75~90%である。また、乳化重合における重合転化率は、87%以下であってもよい。本発明の製造方法によれば、このように乳化重合における重合転化率が低く、得られるラテックス中の揮発成分の量が比較的多い場合であっても、水素化反応を良好に進行させることができる。
このような重合工程により得られる、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHは、特に限定されないが、通常、1~5、好ましくは2~5、より好ましくは2~4である。
<加熱工程>
本発明の製造方法における加熱工程は、上記重合工程で得られたカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、50~85℃にて加熱する工程である。
本発明の製造方法によれば、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態かつ、水素化反応が進行しない条件下で、上記温度にて加熱するとともに、このような加熱を行った後のカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを5~8に調整し、pHを5~8に調整した状態にて水素化反応を行うものである。これにより、水素化反応に用いる水素化触媒量を比較的少なくした場合でも、水素化反応を良好に進行させることができるものである。そして、これにより、高い生産効率にて、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを製造できるものである。具体的には、本発明の製造方法によれば、水素化反応に用いる水素化触媒量を比較的少なくした場合でも、水素化反応を良好に進行させることができることから、水素化触媒の使用量を低減することができるものである。さらには、水素化触媒の使用量を低減できることにより、水素化反応後において、水素化触媒を回収、除去する場合には、水素化触媒を効率的に回収、除去できるものであり、結果として、高い生産性を実現できるものである。特に、水素化反応に用いられる水素化触媒は、通常、高価な貴金属等が使用されることから、生産性の観点から、水素化触媒の使用量はできるだけ少なくすることが望ましい。さらには、生産性の観点から、必要に応じて、水素化触媒の回収、除去も行われるところ、本発明の製造方法によれば、このような水素化触媒を効率的に回収、除去できることから、水素化触媒の回収、除去が必要とされる場合においても、高い生産性を実現できるものである。
特に、本発明者等によれば、ニトリルゴムの中でも、カルボキシ基を含有するニトリルゴムの製造(好ましくは、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合したニトリルゴムの製造)、とりわけ、カルボキシ基含有ニトリルゴムの水素化反応工程における、生産性の向上について、鋭意検討を行ったところ、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、上記温度にて加熱した後に、pHを5~8に調整した状態にて水素化反応を行うことで、生産性を適切に向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
本発明の製造方法において、重合工程で得られたカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを8.5~12に調整する方法としては、特に限定されないが、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等を添加する方法が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。
加熱工程においては、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを、8.5~12の範囲として加熱を行えばよく、加熱時のpHは、好ましくは8.7~12、より好ましくは9~12である。加熱工程における、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHが低すぎても、あるいは高すぎても、水素化反応における水素化反応効率が低くなってしまい、結果として、生産性の向上効果が得られなくなる。
加熱工程における加熱温度は、50~85℃であり、好ましくは55~80℃、より好ましくは60~80℃である。加熱工程における加熱温度が低すぎると、水素化反応における水素化反応効率が低くなってしまい、結果として、生産性の向上効果が得られなくなり、一方、加熱工程における加熱温度が高すぎると、水素化反応効率が低下するのみならず、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックス中の固形分が凝集し、カルボキシ基含有ニトリルゴムの収量が低下してしまう。また、加熱工程における加熱時間は、好ましくは0.5~10時間、より好ましくは1~8時間、さらに好ましくは1~6時間である。加熱工程における加熱時間を上記範囲とすることにより、水素化反応における水素化反応効率をより高めることができる。
また、加熱工程において、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを、8.5~12の範囲に制御した状態にて加熱を行う際には、減圧条件下で加熱を行うことが好ましく、これにより、重合工程により得られたカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックス中に含まれる、残留単量体などの揮発成分の除去をも効果的に行うことができる。減圧条件下で加熱する際における、減圧条件は、特に限定されないが、好ましくは大気圧に対して0.03MPa~0.08MPa低い減圧度(すなわち、大気圧-0.03MPa~大気圧-0.08MPa)、より好ましくは大気圧に対して0.05~0.08MPa低い減圧度(すなわち、大気圧-0.05MPa~大気圧-0.08MPa)である。なお、減圧条件下で加熱する場合には、エバポレーターなどを用いればよい。
加熱工程においては、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを8.5~12に調整した後に、50~85℃に加熱した状態としてもよいし、あるいは、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを50~85℃に加熱した状態として、pHを8.5~12に調整してもよい。
<水素化反応工程>
本発明の製造方法における水素化反応工程は、加熱工程において加熱した後のカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスについて、pHが5~8の範囲に調整された状態にて、水素化触媒を用いて、水素化反応を行う工程である。
加熱後のカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを5~8に調整する方法としては、特に限定されないが、塩酸、硝酸、硫酸などを添加する方法が挙げられる。
水素化反応工程においては、加熱工程において加熱した後のカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを、5~8の範囲に制御して加熱を行えばよく、pHは、好ましくは6~8、より好ましくは6~7.5である。水素化反応工程における、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHが低すぎても、あるいは高すぎても、水素化反応における水素化反応効率が低くなってしまい、結果として、生産性の向上効果が得られなくなる。
本発明の製造方法の水素化反応工程においては、重合工程において得られ、加熱工程おいて加熱を行ったカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、凝固することなく、ラテックスの状態のまま、水素化触媒の存在下で、水素添加する水層直接水素添加法により水素化反応を行う。
本発明の製造方法によれば、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、50~85℃にて加熱する加熱処理を予め行い、かつ、このような加熱処理を行ったカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスについて、pHを5~8の範囲に制御した状態にて、水素化反応を行うものであり、これにより、水素化反応に用いる水素化触媒量を比較的少なくした場合でも、水素化反応を良好に進行させることができるものである。
水素化触媒としては、水で分解しにくい化合物であれば特に限定されない。その具体例としては、パラジウム触媒としては、ギ酸、プロピオン酸、ラウリン酸、コハク酸、オレイン酸、フタル酸などのカルボン酸のパラジウム塩;塩化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムなどのパラジウム塩素化物;ヨウ化パラジウムなどのヨウ素化物;硫酸パラジウム・二水和物などが挙げられる。これらの中でもカルボン酸のパラジウム塩、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウムおよびヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムが特に好ましい。水素化触媒の使用量は、最終的に得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのヨウ素価に応じて適宜選択すればよいが、ラテックス中に含まれるカルボキシ基含有ニトリルゴム成分に対し、好ましくは500~3000重量ppm、より好ましくは800~3000重量ppm、特に好ましくは800~1300ppmである。
水素化反応の温度は、通常0~200℃、好ましくは5~150℃、より好ましくは10~100℃である。水素化反応の温度を上記範囲とすることにより、副反応を抑えながら、反応速度を十分なものとすることができる。
また、水素化反応を行う際における、水素の圧力は、通常、0.10~20MPaであり、好ましくは0.10~15MPa、より好ましくは0.11~10MPaである。反応時間は特に限定されないが、通常30分~50時間である。なお、水素ガスは、先ず窒素などの不活性ガスで反応系を置換し、さらに水素で置換した後に加圧することが好ましい。
このような水素化反応工程における水素化反応の終了後、ラテックス中の水素化触媒をそのまま残存させたまま、塩析による凝固あるいはメタノールなどのアルコールを使用した凝固、濾別および乾燥などを行なうことにより、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを得てもよいが、本発明の製造方法においては、水素化反応工程における水素化反応の終了後、ラテックス中の水素化触媒を回収、除去することが好ましい。水素化触媒の回収、除去方法としては、たとえば、水素化反応終了後のラテックス中に、錯化剤を添加して混合することで、水素化触媒を錯化剤により錯化させることにより、不溶性錯体として析出させ、不溶性錯体を金網などを用いて濾過する方法が挙げられる。また、この際には、錯化剤を添加する前、あるいは、錯化剤を添加して混合する際に、水素化反応終了後のラテックスに対し、ラテックス中に存在する還元状態の触媒を酸化させるための酸化処理を行ってもよい。
本発明の製造方法によれば、水素化反応に用いる水素化触媒量を比較的少なくした場合でも、水素化反応を良好に進行させることができることから、水素化触媒の使用量を低減することができるものである。そして、これにより、本発明の製造方法によれば、水素化触媒を不溶性錯体などとして回収する場合において、水素化触媒を回収、除去する際における回収量(除去量)も少なくすることができ、結果として生産効率を効果的に向上させることができるものである。
なお、錯化剤としては、パラジウムなどの水素化触媒を構成する金属に対して錯化作用を示し、水に対して不溶性の錯体を形成するものであればよく、特に限定されないが、たとえば、オキシム化合物が挙げられ、錯体形成力の強さからジオキシム化合物が好ましく、ジメチルグリオキシム、シクロヘキサンジオンジオキシムなどのα,β-アルカンジオンジオキシムがより好ましい。これらのなかでも、ジメチルグリオキシムが特に好ましい。
そして、本発明の製造方法においては、水素化反応工程において得られ、必要に応じて水素化触媒の回収、除去を経たカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのラテックスについて、塩析による凝固あるいはメタノールなどのアルコールを使用した凝固、濾別および乾燥などを行なうことにより、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを得ることができる。この場合における、凝固に続く濾別および乾燥の工程はそれぞれ公知の方法によって行なうことができる。
本発明の製造方法により得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのヨウ素価は、特に限定されず、所望の特性に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは120以下であり、より好ましくは100以下、さらに好ましくは80以下、特に好ましくは23以下である。なお、ヨウ素価の下限は特に限定されないが、通常3以上である。
また、本発明の製造方法により得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10~200、より好ましくは15~150、さらに好ましくは15~100、特に好ましくは30~90である。ポリマームーニー粘度を上記範囲とすることにより、架橋剤を添加し、架橋性ゴム組成物とした場合における加工性、および、架橋後における機械特性を良好なものとすることができる。
<架橋性ゴム組成物>
本発明の架橋性ゴム組成物は、上記した本発明の製造方法により得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムと、架橋剤と、を含有してなるものである。
架橋剤としては、特に限定されず、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤などを用いることができるが、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性をより高めることができるという観点より、ポリアミン系架橋剤が好ましい。
ポリアミン系架橋剤としては、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(-CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物および架橋時にその化合物の形態になるものが好ましい。
ポリアミン系架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物などの脂肪族多価アミン類;4,4-メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルエーテル、3,4-ジアミノジフェニルエーテル、4,4-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4-ジアミノベンズアニリド、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3,5-ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、ナフタレン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタミン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ブラッシル酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、アセトンジカルボン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、トリメリット酸ジヒドラジド、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸ジヒドラジド、アコニット酸ジヒドラジド、ピロメリット酸ジヒドラジドなどの多価ヒドラジド類;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより一層顕著なものとすることができるという点より、脂肪族多価アミン類および芳香族多価アミン類が好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートおよび2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましく、ヘキサメチレンジアミンカルバメートが特に好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~5重量部である。
また、架橋剤として、ポリアミン系架橋剤を用いる場合には、塩基性架橋促進剤をさらに含有させることが好ましい。
塩基性架橋促進剤の具体例としては、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(以下「DBU」と略す場合がある)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5(以下「DBN」と略す場合がある)、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メトキシエチルイミダゾール、1-フェニル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-フェニルイミダゾール、1-メチル-2-ベンジルイミダゾール、1,4-ジメチルイミダゾール、1,5-ジメチルイミダゾール、1,2,4-トリメチルイミダゾール、1,4-ジメチル-2-エチルイミダゾール、1-メチル-2-メトキシイミダゾール、1-メチル-2-エトキシイミダゾール、1-メチル-4-メトキシイミダゾール、1-メチル-2-メトキシイミダゾール、1-エトキシメチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-4-ニトロイミダゾール、1,2-ジメチル-5-ニトロイミダゾール、1,2-ジメチル-5-アミノイミダゾール、1-メチル-4-(2-アミノエチル)イミダゾール、1-メチルベンゾイミダゾール、1-メチル-2-ベンジルベンゾイミダゾール、1-メチル-5-ニトロベンゾイミダゾール、1-メチルイミダゾリン、1,2-ジメチルイミダゾリン、1,2,4-トリメチルイミダゾリン、1,4-ジメチル-2-エチルイミダゾリン、1-メチル-フェニルイミダゾリン、1-メチル-2-ベンジルイミダゾリン、1-メチル-2-エトキシイミダゾリン、1-メチル-2-ヘプチルイミダゾリン、1-メチル-2-ウンデシルイミダゾリン、1-メチル-2-ヘプタデシルイミダゾリン、1-メチル-2-エトキシメチルイミダゾリン、1-エトキシメチル-2-メチルイミダゾリンなどの環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤;テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-オルト-トリルグアニジン、オルトトリルビグアニドなどのグアニジン系塩基性架橋促進剤;n-ブチルアルデヒドアニリン、アセトアルデヒドアンモニアなどのアルデヒドアミン系塩基性架橋促進剤;ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミンなどのジシクロアルキルアミン;N-メチルシクロペンチルアミン、N-ブチルシクロペンチルアミン、N-ヘプチルシクロペンチルアミン、N-オクチルシクロペンチルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミン、N-ブチルシクロヘキシルアミン、N-ヘプチルシクロヘキシルアミン、N-オクチルシクロオクチルアミン、N-ヒドロキシメチルシクロペンチルアミン、N-ヒドロキシブチルシクロヘキシルアミン、N-メトキシエチルシクロペンチルアミン、N-エトキシブチルシクロヘキシルアミン、N-メトキシカルボニルブチルシクロペンチルアミン、N-メトキシカルボニルヘプチルシクロヘキシルアミン、N-アミノプロピルシクロペンチルアミン、N-アミノヘプチルシクロヘキシルアミン、ジ(2-クロロシクロペンチル)アミン、ジ(3-クロロシクロペンチル)アミンなどの二級アミン系塩基性架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、グアニジン系塩基性架橋促進剤、二級アミン系塩基性架橋促進剤および環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤が好ましく、環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤がより好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7および1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5がさらに好ましく、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7が特に好ましい。なお、上記環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤は、有機カルボン酸やアルキルリン酸などと塩を形成していてもよい。また、上記二級アミン系塩基性架橋促進剤は、アルキレングリコールや炭素数5~20のアルキルアルコールなどのアルコール類が混合されたものであってもよく、さらに無機酸および/または有機酸を含んでいてもよい。そして、当該二級アミン系塩基性架橋促進剤と前記無機酸および/または有機酸とが塩を形成し、さらに上記アルキレングリコールと複合体を形成していてもよい。
塩基性架橋促進剤を配合する場合における、本発明の架橋性ゴム組成物中の配合量は、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.1~20重量部であり、より好ましくは0.2~15重量部、さらに好ましくは0.5~10重量部である。
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、ゴム加工分野において通常使用されるその他の配合剤を配合してもよい。このような配合剤としては、たとえば、補強剤、充填材、光安定剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、受酸剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、シランカップリング剤、架橋助剤、共架橋剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、発泡剤などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、配合目的に応じた量を適宜採用することができる。
可塑剤は、特に限定されないが、トリメリット酸系可塑剤やエーテルエステル系可塑剤などを用いることができる。具体例としては、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル、トリメリット酸イソノニルエステル、アジピン酸ビス[2-(2-ブトキシエトキシ)エチル]、ジヘプタノエート、ジ-2-エチルヘキサノエート、ジデカノエートなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム以外のゴムを配合してもよい。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン-アクリル酸共重合体ゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム以外のゴムを配合する場合における、架橋性ゴム組成物中の配合量は、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
また、本発明の架橋性ゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合することで調製される。本発明の架橋性ゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤および熱に不安定な共架橋剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、オープンロールなどに移して架橋剤や熱に不安定な架橋促進剤などを加えて二次混練することにより調製できる。なお、一次混練は、通常、10~200℃、好ましくは30~180℃の温度で、1分間~1時間、好ましくは1分間~30分間行い、二次混練は、通常、10~90℃、好ましくは20~60℃の温度で、1分間~1時間、好ましくは1分間~30分間行う。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10~200℃、好ましくは25~120℃である。架橋温度は、通常、100~200℃、好ましくは130~190℃であり、架橋時間は、通常、1分~24時間、好ましくは2分~1時間である。
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の製造方法により得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを用いて得られるものであり、そのため、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムに由来する特性、すなわち、優れた耐油性および機械的特性、ならびに、高い耐圧縮永久歪み性などを有するものであり、このような特性を活かし、種々の用途に好適に用いることができるものである。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下において、特記しない限り「部」は重量基準である。なお、試験、評価は以下によった。
<メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量>
メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(75重量%/25重量%)混合溶液150mlにN/10硫酸第一鉄溶液5ml加えた。次いで、この溶液に、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのラテックスを5g添加して、ラテックス中のゴム成分を溶解させた。そして、得られた溶液に28重量%アンモニア溶液2mlを加えることで、試験溶液を作製し、この試験溶液について、平沼COM-7型電位差滴定装置を用いて、N/200硝酸銀溶液にて滴定を行うことで、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を求めた。なお、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量は、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム成分100重量%に対する量として求めた。
<カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの組成>
カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを構成する各単量体単位の含有割合は、以下の方法により測定した。
すなわち、マレイン酸モノn-ブチル単位の含有割合は、2mm角の水素化反応前のカルボキシ基含有ニトリルゴム0.2gに、2-ブタノン100mlを加えて4時間攪拌した後、エタノール20mlおよび水10mlを加え、攪拌しながら水酸化カリウムの0.02N含水エタノール溶液を用いて、室温でチモールフタレインを指示薬とする滴定により、カルボキシ基含有ニトリルゴム100gに対するカルボキシ基のモル数を求め、求めたモル数をマレイン酸モノn-ブチル単位の量に換算することにより算出した。
1,3-ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合は、水素化反応前後のカルボキシ基含有ニトリルゴムを用いて、ヨウ素価(JIS K6235による)を測定することにより算出した
アクリロニトリル単位の含有割合は、JIS K6384に従い、ケルダール法により、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中の窒素含量を測定することにより算出した。
アクリル酸n-ブチル単位の含有割合は、上記各単量体単位の残部として算出した。
<ヨウ素価>
カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのヨウ素価は、JIS K6235に準じて測定した。
<実施例1>
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、濃度10重量%のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩5部、アクリロニトリル21部、マレイン酸モノn-ブチル6部、アクリル酸n-ブチル31部、t-ドデシルメルカプタン(メルカプト基を有する分子量調整剤)0.6部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3-ブタジエン42部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、キレート剤、およびビルダー適量を仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応を行った。その後、重合転化率が85%となった時点で、濃度2.5重量%の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル水溶液(重合停止剤)4部を加えて重合反応を停止することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを得た。得られたカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHは3.0であった。
そして、得られたカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスに、水酸化カリウム1重量%水溶液を適量添加し、1時間攪拌することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを9.0に調整し、pHを9.0に調整した状態にて、減圧条件下における加熱処理を行った。具体的には、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHを9.0に調整した状態にて、水温80℃のロータリーエバポレータにて、大気圧に対して0.05MPa低い減圧度の減圧条件下、2時間加熱することで、ラテックスの加熱および残留単量体の除去を行った。
次いで、加熱後のカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスに、硫酸1重量%水溶液を適量添加し、1時間攪拌することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを6.3に調整し、水素化反応を行った。具体的には、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスに含有されるゴムの乾燥重量に対するパラジウム含有量が1000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、上記にて得られたラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)およびカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの固形分濃度が15重量%となるようにイオン交換水を添加して、pHを6.3に調整した状態にて、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行うことで、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N1)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N1)のラテックス1Lに対し、水素化反応に使用したパラジウムの2.5倍モルに相当するジメチルグリオキシム(錯化剤)を添加し、80℃で3時間攪拌することにより、パラジウムを不溶性錯体として析出させた。次いで、このような不溶性錯体を含有するラテックス1Lを、80メッシュの金網に連続的に流し込むことにより、不溶性錯体の除去を行った。その結果、実施例1においては、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。そして、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N1)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ140重量ppmであった。
次いで、水素化触媒としてのパラジウムを除去したラテックスに2倍容量のメタノールを加えて凝固した後、60℃で12時間真空乾燥することにより、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N1)を得た。得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N1)は、ヨウ素価が20であり、その組成は、アクリロニトリル単位21重量%、1,3-ブタジエン単位(水素化されている部分含む)39重量%、マレイン酸モノn-ブチル単位5重量%、アクリル酸n-ブチル単位35重量%であった。
<実施例2>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=11.0に調整した状態にて行った以外は、実施例1と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N2)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N2)のラテックス1Lに対し、実施例1と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、実施例2においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N2)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ130重量ppmであった。次いで、実施例1と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N2)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<実施例3>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=12.0に調整した状態にて行った以外は、実施例1と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N3)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N3)のラテックス1Lに対し、実施例1と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、実施例3においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N3)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ140重量ppmであった。次いで、実施例1と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N3)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<実施例4>
金属製ボトルに、イオン交換水180部、濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25部、濃度10重量%のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩5部、アクリロニトリル35部、マレイン酸モノn-ブチル6部、t-ドデシルメルカプタン(メルカプト基を有する分子量調整剤)0.75部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3-ブタジエン59部を仕込んだ。金属製ボトルを5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、キレート剤、およびビルダー適量を仕込み、金属製ボトルを回転させながら16時間重合反応を行った。その後、重合転化率が85%となった時点で、濃度2.5重量%の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル水溶液(重合停止剤)4部を加えて重合反応を停止することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを得た。得られたカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHは2.8であった。
そして、得られたカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスに、水酸化カリウム1重量%水溶液を適量添加し、1時間攪拌することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを12.0に調整し、pHを12.0に調整した状態にて、減圧条件下における加熱処理を行った。具体的には、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHを12.0に調整した状態にて、水温80℃のロータリーエバポレータにて、大気圧に対して0.05MPa低い減圧度の減圧条件下、3時間加熱することで、ラテックスの加熱および残留単量体の除去を行った。
次いで、加熱後のカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスに、硫酸1重量%水溶液を適量添加し、1時間攪拌することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスのpHを6.5に調整し、水素化反応を行った。具体的には、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスに含有されるゴムの乾燥重量に対するパラジウム含有量が1000重量ppmになるように、オートクレーブ中に、上記にて得られたラテックスおよびパラジウム触媒(1重量%酢酸パラジウムアセトン溶液と等重量のイオン交換水を混合した溶液)およびカルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの固形分濃度が15重量%となるようにイオン交換水を添加して、pHを6.5に調整した状態にて、水素圧3MPa、温度50℃で6時間水素添加反応を行うことで、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N4)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N4)のラテックス1Lに対し、水素化反応に使用したパラジウムの2.5倍モルに相当するジメチルグリオキシム(錯化剤)を添加し、80℃で3時間攪拌することにより、パラジウムを不溶性錯体として析出させた。次いで、このような不溶性錯体を含有するラテックス1Lを、80メッシュの金網に連続的に流し込むことにより、不溶性錯体の除去を行った。その結果、実施例4においては、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。そして、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N4)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ200重量ppmであった。
次いで、実施例1と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N4)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<実施例5>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの水素化反応を、pH=7.3に調整した状態にて行った以外は、実施例4と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N5)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N5)のラテックス1Lに対し、実施例4と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、実施例5においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N5)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ200重量ppmであった。次いで、実施例4と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N5)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<実施例6>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、水温60℃のロータリーエバポレータにて行った以外は、実施例3と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N6)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N6)のラテックス1Lに対し、実施例3と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、実施例6においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N6)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ150重量ppmであった。次いで、実施例3と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N6)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例1>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=3.0のまま行った以外は、実施例1と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N7)のラテックスを得た。なお、比較例1においては、水素化反応前のラテックスのpHの調整は、水酸化カリウム2.5重量%水溶液を用いて行った。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N7)のラテックス1Lに対し、実施例1と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例1においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N7)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ150重量ppmであった。次いで、実施例1と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N7)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例2>
水素化反応を行う際のパラジウム触媒の使用量を、パラジウム含有量で1500重量ppmとした以外は、比較例1と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N8)のラテックスを得た。なお、比較例2においては、水素化反応前のラテックスのpHの調整は、水酸化カリウム2.5重量%水溶液を用いて行った。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N8)のラテックス1Lに対し、実施例1と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例2においては、ラテックス1Lの処理中に、金網に詰まりが発生してしまい、金網の交換が必要となる結果となった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N8)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ150重量ppmであった。次いで、実施例1と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N8)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例3>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=12.5に調整した状態にて行った以外は、実施例1と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N9)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N9)のラテックス1Lに対し、実施例1と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例3においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N9)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ140重量ppmであった。次いで、実施例1と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N9)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例4>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=2,8のまま行った以外は、実施例4と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N10)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N10)のラテックス1Lに対し、実施例4と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例4においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N10)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ220重量ppmであった。次いで、実施例4と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N10)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例5>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=7.0に調整した状態にて行うとともに、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの水素化反応を、pH=7.0に調整した状態にて行った以外は、実施例4と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N11)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N11)のラテックス1Lに対し、実施例4と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例5においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N11)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ210重量ppmであった。次いで、実施例4と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N11)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例6>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=12.0に調整した状態にて行うとともに、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの水素化反応を、pH=4.0に調整した状態にて行った以外は、実施例4と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N12)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N12)のラテックス1Lに対し、実施例4と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例6においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N12)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ200重量ppmであった。次いで、実施例4と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N12)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例7>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=12.0に調整した状態にて行うとともに、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの水素化反応を、pH=9.0に調整した状態にて行った以外は、実施例4と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N13)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N13)のラテックス1Lに対し、実施例4と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例7においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N13)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ200重量ppmであった。次いで、実施例4と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N13)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
<比較例8>
カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの減圧条件下における加熱処理を、pH=12.0に調整した状態にて行うとともに、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの水素化反応を、pH=12.0に調整した状態にて行った以外は、実施例4と同様にして、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N14)のラテックスを得た。
次いで、得られたカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N14)のラテックス1Lに対し、実施例4と同様に、ジメチルグリオキシムを添加することによる不溶性錯体の形成、および80メッシュの金網を使用した不溶性錯体の除去を行ったところ、比較例8においても、金網に詰まりが発生することなく、ラテックス1L中の不溶性錯体の除去を行うことが可能であった。
また、水素化触媒としてのパラジウムを除去したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N14)のラテックスについて、上記方法にしたがって、メルカプト基を有する分子量調整剤の残存量を測定したところ200重量ppmであった。次いで、実施例4と同様にして、凝固および乾燥を行うことで、固形状のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴム(N14)を得た。ヨウ素価および組成は表1に示す通りであった。
Figure 0007173051000001
実施例1~6と、比較例1,3~8とを比較することにより、次のことが確認できる。すなわち、表1に示すように、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、50~85℃にて加熱して後に、pHを5~8の範囲に調整し、水素化反応を行った場合には、水素化触媒の使用量を同じとした場合でも、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムは、ヨウ素価をより低いものとすることができ、生産効率に優れたものであるといえる。
また、実施例1~6と、比較例2とを比較することにより、比較例2のように、水素化触媒の使用量を増加させると、得られるカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのヨウ素価を低くすることができるものの、水素化触媒の回収時に、80メッシュの金網に詰まりが発生してしまうものであり、そのため、生産効率に劣るものであるといえる。

Claims (6)

  1. 分散媒中で、少なくともα,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体およびカルボキシ基含有単量体を含む単量体混合物を乳化重合することで、カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを得る工程と、
    前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスを、pHが8.5~12の範囲に調整された状態にて、50~85℃にて加熱する工程と、
    加熱後の前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスについて、pHが5~8の範囲に調整された状態にて、水素化触媒を用いて、水素化反応を行う工程とを備える、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法。
  2. 前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスの加熱を、減圧条件下で行う請求項1に記載のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法。
  3. 水素化反応後の前記カルボキシ基含有ニトリルゴムのラテックスから前記水素化触媒を除去する工程をさらに備える請求項1または2に記載のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法。
  4. 前記カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム中における、前記α,β-エチレン性不飽和ニトリル単量体の含有割合が5~60重量%であり、前記カルボキシ基含有単量体の含有割合が1~30重量%である、請求項1~3のいずれかに記載のカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の方法でカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムを製造し、製造された前記カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムと、架橋剤とを混合する架橋性ゴム組成物の製造方法。
  6. 請求項5に記載の方法で架橋性ゴム組成物を製造し、製造された前記架橋性ゴム組成物を架橋するゴム架橋物の製造方法。
JP2019567044A 2018-01-26 2019-01-18 カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法 Active JP7173051B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018011379 2018-01-26
JP2018011379 2018-01-26
PCT/JP2019/001510 WO2019146526A1 (ja) 2018-01-26 2019-01-18 カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019146526A1 JPWO2019146526A1 (ja) 2021-01-07
JP7173051B2 true JP7173051B2 (ja) 2022-11-16

Family

ID=67394615

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019567044A Active JP7173051B2 (ja) 2018-01-26 2019-01-18 カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US11370849B2 (ja)
EP (1) EP3744739B1 (ja)
JP (1) JP7173051B2 (ja)
CN (1) CN111587255B (ja)
TW (1) TWI788509B (ja)
WO (1) WO2019146526A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116656229B (zh) * 2023-04-18 2024-06-14 淮阴工学院 一种耐污型改性水性聚氨酯涂层的制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003530467A (ja) 2000-04-10 2003-10-14 バイエル・インコーポレーテツド カルボキシル化ニトリルゴムの水素化方法、水素化ゴムおよびその使用
WO2011010716A1 (ja) 2009-07-24 2011-01-27 日本ゼオン株式会社 ラテックス及び接着剤組成物
WO2016190213A1 (ja) 2015-05-26 2016-12-01 日本ゼオン株式会社 ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
WO2017010370A1 (ja) 2015-07-15 2017-01-19 日本ゼオン株式会社 ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2015804C (en) * 1990-05-01 1996-10-22 Garry L. Rempel Polymer hydrogenation process
JP4110266B2 (ja) * 2002-03-22 2008-07-02 日本ゼオン株式会社 共重合体及びその製造方法、並びに水素化共重合体の製造方法
WO2006090734A1 (ja) * 2005-02-23 2006-08-31 Zeon Corporation ニトリル基含有共重合ゴム及び加硫性ニトリル基含有共重合ゴム組成物
CN101331183B (zh) * 2005-12-21 2011-11-02 日本瑞翁株式会社 交联性橡胶组合物以及橡胶交联物
WO2007119848A1 (ja) * 2006-04-17 2007-10-25 Zeon Corporation 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP5315838B2 (ja) * 2008-07-31 2013-10-16 日本ゼオン株式会社 接着剤組成物、複合体及び自動車用部材
PL2392599T3 (pl) 2009-01-30 2022-08-22 Zeon Corporation Wysoce nasycony kauczuk kopolimerowy zawierający grupy nitrylowe
EP2325237A1 (de) * 2009-11-19 2011-05-25 LANXESS Deutschland GmbH Feinteilige stabile Suspensionen funktionalisierter, ganz oder teilweise hydrierter Nitrilkautschuke
JP5591724B2 (ja) * 2011-01-21 2014-09-17 日本ゼオン株式会社 ゴム補強用コード及びそれを用いたゴム製品
KR101864591B1 (ko) * 2011-03-31 2018-06-05 제온 코포레이션 고포화 니트릴 고무 조성물 및 고무 가교물
CN103608513B (zh) * 2011-06-10 2016-11-02 日本板硝子株式会社 用于补强橡胶制品的补强用帘线及使用其的橡胶制品
US20160185890A1 (en) * 2013-09-30 2016-06-30 Zeon Corporation Nitrile copolymer rubber and method of production thereof
EP2918611A1 (en) * 2014-03-10 2015-09-16 LANXESS Deutschland GmbH Process for the reduction of nitrile groups of hydrogenated nitrile rubber
WO2016104350A1 (ja) 2014-12-26 2016-06-30 日本ゼオン株式会社 摩擦材用ラテックスおよび摩擦材
CN108779297A (zh) * 2016-03-23 2018-11-09 日本瑞翁株式会社 胶乳组合物和摩擦材料
EP3434716A4 (en) 2016-03-23 2019-11-13 Zeon Corporation PROCESS FOR PRODUCING LATEX COMPOSITION

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003530467A (ja) 2000-04-10 2003-10-14 バイエル・インコーポレーテツド カルボキシル化ニトリルゴムの水素化方法、水素化ゴムおよびその使用
WO2011010716A1 (ja) 2009-07-24 2011-01-27 日本ゼオン株式会社 ラテックス及び接着剤組成物
WO2016190213A1 (ja) 2015-05-26 2016-12-01 日本ゼオン株式会社 ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
WO2017010370A1 (ja) 2015-07-15 2017-01-19 日本ゼオン株式会社 ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物

Also Published As

Publication number Publication date
EP3744739A4 (en) 2021-10-27
WO2019146526A1 (ja) 2019-08-01
TW201936754A (zh) 2019-09-16
TWI788509B (zh) 2023-01-01
US11370849B2 (en) 2022-06-28
EP3744739A1 (en) 2020-12-02
CN111587255B (zh) 2022-06-14
US20210061927A1 (en) 2021-03-04
JPWO2019146526A1 (ja) 2021-01-07
CN111587255A (zh) 2020-08-25
EP3744739B1 (en) 2023-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101864591B1 (ko) 고포화 니트릴 고무 조성물 및 고무 가교물
JP6801649B2 (ja) ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
JP6798483B2 (ja) ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JPWO2017119424A1 (ja) ニトリルゴム組成物、架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP2001310975A (ja) ニトリル系ゴム組成物、架橋性ニトリル系ゴム組成物および架橋物
WO2016190214A1 (ja) ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
CN110431172B (zh) 含羧基腈橡胶的制造方法
JP7173051B2 (ja) カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムの製造方法
JP7063320B2 (ja) ニトリル基含有共重合体ゴム
JPWO2009082004A1 (ja) ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
JP7115488B2 (ja) カルボキシル基含有ニトリルゴム、架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP7088164B2 (ja) ニトリル基含有共重合体ゴム
JP7103352B2 (ja) ゴム架橋物の製造方法
JP7200569B2 (ja) ゴム混合液、ニトリル基含有共重合体ゴム組成物、架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物
JP2012193294A (ja) 摺動部材用ゴム組成物および摺動部材用ゴム架橋物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220916

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7173051

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150