以下、車両の制御装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
はじめに、第1実施形態の車両の制御装置について説明する。図1に示されるように、本実施形態の制御装置1は、隊列を形成して自動走行する複数の車両20の走行状況を管理する管理装置10を備えている。複数の車両20のうち、先頭を走行する車両21は、通信業者30を介して管理装置10と遠距離無線通信を行いつつ、出発地から目的地まで自動走行する。その際、車両21は、他の車両22~24と車車間の近距離無線通信を行うことにより、他の車両22~24の各種情報を取得しつつ、他の車両22~24を出発地から目的地まで先導する。以下では、便宜上、車両21を「先導車両21」とも称し、車両22~24を「従属車両22~24」とも称する。先導車両21は、自動走行制御の実行により、有人あるいは無人で自動走行する。従属車両22~24は、自動走行制御の実行により、基本的には無人で走行する。なお、本実施形態では、隊列走行に含まれる従属車両が3台の場合について例示するが、隊列走行に含まれる従属車両の数は1台以上であればよい。
先導車両21は、通信業者30を介した管理装置10との通信により、先導車両21の走行状況だけでなく、従属車両22~24の走行状況を管理装置10に逐次送信している。管理装置10は、先導車両21から送信される情報に基づいて、車両21~24の走行状況を管理している。また、管理装置10は、通信業者30を介して先導車両21を遠隔操作することにより、先導車両21の自動走行を支援する制御等を行う。さらに、管理装置10は、先導車両21を介して従属車両22~24を間接的に遠隔操作することにより、従属車両22~24の自動走行を支援する制御等を実行することも可能である。
次に、車両21~24の構成について具体的に説明する。なお、各車両21~24は同一の構成を有しているため、以下では、先導車両21の構成について代表して説明する。
図2に示されるように、先導車両21は、カーナビゲーション装置200と、周辺監視部210と、遠距離通信部220と、近距離通信部230と、報知部240と、車載制御装置250とを備えている。
カーナビゲーション装置200では、先導車両21が自動運転で走行するルート等を設定可能である。この先導車両21で設定されたルートは、車両21~24が隊列を形成して走行するルートとなる。カーナビゲーション装置200は、先導車両21の位置情報を取得するGPS等のセンサや地図情報等を有している。カーナビゲーション装置200は、車載制御装置250からの要求に応じて、先導車両21の現在の位置情報や、先導車両21が将来走行する道路に関する情報等を車載制御装置250に送信する。
周辺監視部210は、カメラやLIDARセンサ等により構成されている。周辺監視部210は、自動運転制御を実行するために必要な先導車両21の周辺環境の情報を取得する。周辺監視部210により取得される情報には、先導車両21が走行している走行車線の情報や、信号機の情報、隣接車線を走行中の他車両の走行状況等が含まれている。
遠距離通信部220は、通信業者30を介して、管理装置10等の車両21~24とは別の外部装置との遠距離無線通信を可能とする部分である。遠距離通信部220の記憶部221には、先導車両21の固有の通信識別情報IDc21が予め記憶されている。なお、従属車両22~24の遠距離通信部220には、従属車両22~24のそれぞれに固有の通信識別情報IDc22~IDc24が予め記憶されている。通信識別情報IDc21~IDc24は、管理装置10により管理されている複数の車両に対して個別に予め割り振られている。通信識別情報IDc21~IDc24は、管理装置10により管理される複数の車両にそれぞれ搭載される通信装置の中から各車両21~24の遠距離通信部220を識別するために用いられる。
近距離通信部230は、隊列走行している車両21~24の間で近距離無線通信を行う、いわゆる車車間通信を可能とするものである。近距離無線通信の通信方式としては、例えばWi-Fiが用いられる。
報知部240は、点灯や音等により先導車両21の乗員に対して各種報知を行う際に用いられる。
車載制御装置250は、メモリやCPU等を有するマイクロコンピュータを中心に構成されている。車載制御装置250は、先導車両21が自動運転により走行するルートの情報をカーナビゲーション装置200から取得することにより、先導車両21の自動運転制御を実行する。自動運転制御の実行中、車載制御装置250は、周辺監視部210を通じて先導車両21の周辺情報を取得するとともに、取得した情報に基づいて、エンジン260やトランスミッション261等を含む先導車両21の動力系、ECB(Electronically Controlled Brake system)262等を含む先導車両21の制動系、及びEPS(Electric Power Steering system)263等を含む車両の操舵系を自動的に制御する。車載制御装置250は、カーナビゲーション装置200から取得したルート情報の終着地点までエンジン260やトランスミッション261等を自動的に制御することにより、先導車両21を終着地点まで自動走行させる。また、車載制御装置250は、管理装置10から逐次送信される運転支援指示に基づいて、先導車両21の自動運転を更に制御する。管理装置10から先導車両21の車載制御装置250に対して逐次送信される運転支援指示には、例えば加速制御やレーンチェンジ制御、カーブ路走行制御等が含まれている。
車載制御装置250は、自動運転制御の実行中、カーナビゲーション装置200から先導車両21の現在の位置情報や先導車両21の走行経路の情報等を取得する。車載制御装置250は、取得した情報を遠距離通信部220により管理装置10に送信する。車載制御装置250は、先導車両21の各種状態量、例えば車速等の情報も遠距離通信部220を介して管理装置10に送信する。また、車載制御装置250は、周辺監視部210により取得した先導車両21の周辺情報も管理装置10に逐次送信している。さらに、車載制御装置250は、近距離通信部230を介して従属車両22~24から各種情報を取得するとともに、取得した情報を管理装置10に逐次送信している。
なお、従属車両22~24にそれぞれ搭載される車載制御装置250は、従属車両22~24の自動運転制御として、自車両の前を走行する車両に追従する自動運転制御を行う。具体的には、車両21~24の隊列走行に関しては、図1に示されるように、先導車両21、従属車両22、従属車両23、従属車両24の順で走行するように予め設定されている。こうした走行順序の設定は、例えば先導車両21のカーナビゲーション装置200で設定可能である。このように設定されている場合、例えば従属車両22の車載制御装置250は、前を走行する先導車両21に追従するように自動走行制御を行う。また、従属車両23の車載制御装置250は、前を走行する従属車両22に追従するように自動走行制御を行う。
図1に示されるように、通信業者30は、各地に設置されている基地局300を介して、通信業者30のサービスに加入している複数の加入者による移動体通信網Nの利用を可能とする。各加入者に対しては、通信業者30から個別の加入者識別情報が予め付与されている。なお、一人の加入者が通信業者30と複数の回線を契約した場合には、一人の加入者が複数の加入者識別情報を有する場合もある。以下では、この加入者識別情報を「SIM(Subscriber Identity Module)情報」と称する。通信業者30は、SIM情報に基づいて移動体通信網N上の利用者を特定するとともに、特定した利用者に対する利用料の請求等を行う。SIM情報は、移動体通信網Nの利用者が通信業者30との契約により購入することで取得可能である。
図1に示されるように、通信業者30は、移動体通信網N上の通信を管理するサーバ装置310を有している。サーバ装置310は、例えば図3(A)に示されるように、移動体通信網Nのそれぞれの利用者のSIM情報を管理している。本実施形態の車両21~24では、図3(A)に示される複数のSIM情報S(1),S(2)を利用することが可能となっている。すなわち、車両21~24により利用可能なSIM情報の数は、隊列走行を行う車両の台数よりも少ない。
図3(A)に示されるように、複数のSIM情報S(1),S(2)のうちの一つのSIM情報S(1)は、先導車両21の通信識別情報IDc21と関連付けられている。この場合、先導車両21では移動体通信網Nを介した通信が許可されているが、従属車両22~24では移動体通信網Nを介した通信が許可されていないことになる。一方、図3(B)に示されるように、SIM情報S(2)が従属車両23の通信識別情報IDc23と関連付けられた場合には、先導車両21だけでなく、従属車両23においても移動体通信網Nを介した通信が許可されることになる。サーバ装置310は、こうした車両21~24の通信識別情報IDc21~IDc24に関連付けられているSIM情報S(1),S(2)の変更を管理装置10からの指示に基づいて行う。
図4に示されるように、管理装置10は、通信部100と、制御部110と、記憶部120とを備えている。
通信部100は、通信業者30の移動体通信網Nを介して車両21~24や通信業者30と通信を行う部分である。通信部100は、車両21~24の走行経路の情報や現在の位置情報等、隊列走行している車両21~24の各種情報を先導車両21から取得する。また、通信部100は、通信業者30において車両21~24の通信識別情報IDc21~IDc24に関連付けられているSIM情報S(1),S(2)を変更する際にサーバ装置310と通信を行う際にも用いられる。
記憶部120には、車両21~24において利用可能な複数のSIM情報S(1),S(2)等の情報が記憶されている。なお、記憶部120に記憶されている複数のSIM情報S(1),S(2)は、管理装置10が通信業者30から予め購入して所有しているものであってもよいし、車両21~24のユーザが通信業者30から予め購入して管理装置10に登録したものであってもよい。
制御部110は、メモリやCPU等を有するマイクロコンピュータを中心に構成されている。制御部110は、管理装置10の各種処理を統括的に実行する部分である。制御部110は、自動運転管理部111と、SIM情報設定部112とを有している。
自動運転管理部111は、通信部100を介して先導車両21と通信を行うことにより、自動運転中の先導車両21の現在位置や走行経路等の情報、並びに従属車両22~24の各種情報を管理する。また、自動運転管理部111は、車両21~24の所有者であるユーザの要求に基づいて、隊列走行中の車両21~24の現在位置や走行経路等の情報をユーザの携帯端末に送信することにより、隊列走行中の車両21~24の各種情報をユーザに提供する。さらに、自動運転管理部111は、車両21~24の走行状況に応じて車両21~24を遠隔操作することにより、車両21~24の自動運転を支援する制御も行う。
SIM情報設定部112は、隊列を形成している車両21~24の現在位置や走行経路等の情報に基づいて、あるいは先導車両21からの要求に基づいて、SIM情報S(1),S(2)に関連付けられている車両21~24の通信識別情報IDc21~IDc24を変更する部分である。具体的には、SIM情報設定部112は、SIM情報の切替要求を通信業者30に対して行うことにより、SIM情報S(1),S(2)に関連付けられている車両21~24の通信識別情報IDc21~IDc24を変更する。本実施形態では、SIM情報設定部112が加入者識別情報設定部に相当する。
ところで、隊列走行を行っている車両21~24が駐車する場合、駐車場に4台分の空き場所が存在し、且つその4台分の空き場所が近距離無線通信の可能な範囲に存在するのであれば、問題なく駐車可能である。しかしながら、図5に示されるように、車両21~24が到着した駐車場Pにおいて近距離無線通信の可能な範囲に2台分の空き場所P1,P2しか存在しない場合、残りの2台を、近距離無線通信の範囲を超えた駐車場Pの別の空き場所P3,P4に駐車させる必要がある。このような状況では、例えば先導車両21及び従属車両22を駐車場Pの空き場所P1,P2に駐車させた後、残りの従属車両23,24を別の空き場所P3,P4に駐車させようとすると、従属車両23,24が車両21,22の近距離無線通信の範囲から外れることになるため、従属車両23,24と先導車両21との間で無線通信を行うことができない。結果的に、従属車両23,24を別の空き場所P3,P4に駐車させることができないおそれがある。
そこで、本実施形態の制御装置1では、先導車両21及び従属車両22を空き場所P1,P2に駐車させた後、管理装置10が従属車両23にSIM情報の権限を付与することにより、従属車両23において管理装置10との遠距離無線通信を可能とする。これにより、従属車両23は先導車両として機能することが可能となる。そして、このSIM情報が有効状態に設定された従属車両23が、管理装置10と通信を行いつつ従属車両24を先導することにより、従属車両24と共に空き場所P3,P4まで自動運転で移動して駐車する。このように、本実施形態の制御装置1では、図5に示されるように、先導車両21及び従属車両22からなる第1隊列グループG1と、従属車両23及び従属車両24からなる第2隊列グループG2とが形成されるようになっている。なお、第2隊列グループG2に属する車両の数は、2つに限らず、少なくとも一つ以上であればよい。
本実施形態では、第1隊列グループG1が主隊列グループに相当し、第2隊列グループG2が副隊列グループに相当する。また、第2隊列グループG2に属する従属車両23及び従属車両24が分離車両に相当する。特に、従属車両23は、SIM情報が有効状態に設定される分離車両に相当する。
次に、このようにして車両21~24の駐車が行われる際に先導車両21及び管理装置10により実行される処理の手順について具体的に説明する。
はじめに、図6を参照して、先導車両21の車載制御装置250により実行される処理の手順について説明する。なお、以下では、従属車両22~24と共に隊列を形成して走行している先導車両21が駐車場Pに到着した場合を例に挙げて説明する。
図6に示されるように、先導車両21の車載制御装置250は、まず、ステップS10の処理として、駐車場Pの空き場所の情報を取得する。具体的には、管理装置10は、駐車場Pを含め、隊列走行により車両21~24が駐車する可能性のある全ての駐車場の空き状況の情報を、駐車場を管理している管理会社から取得している。先導車両21の車載制御装置250は、管理装置10との通信により駐車場Pの空き場所の情報を取得する。
続いて、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS11の処理として、近距離無線通信が可能な範囲で、すなわち車車間通信が可能な範囲で全ての車両21~24が駐車可能な空き場所が駐車場Pに存在するか否かを判断する。先導車両21の車載制御装置250は、ステップS11の処理で肯定判断した場合には、すなわち車車間通信が可能な範囲で全ての車両21~24が駐車可能な空き場所が駐車場Pに存在する場合には、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS12の処理として、車両21~24を駐車させる。具体的には、先導車両21の車載制御装置250は、先導車両21を駐車場Pの空き場所に駐車させるとともに、近距離無線通信を介して従属車両22~24と通信を行うことにより従属車両22~24を駐車場Pの空き場所に駐車させる。
先導車両21の車載制御装置250は、ステップS12に続くステップS13の処理として、全ての車両21~24の機能を停止させる。なお、先導車両21が無人車両の場合には、先導車両21の機能停止中に管理装置10からの起動要求に基づいて起動することができるように、先導車両21においては遠距離無線通信に基づくWakeUP機能を有効状態に設定しておいてもよい。また、従属車両22~24に関しては、先導車両21からの起動要求に基づいて起動することができるように、近距離無線通信に基づくWakeUP機能を有効状態に設定しておいてもよい。WakeUP機能は、待機中は通信装置と車両の機能を起動する制御装置が機能しており、通信装置を通じてWakeUPを指示する信号を受信したら車両の機能を起動し、外部からの指令に基づいて自動運転が行える状態になる機能である。
一方、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS11の処理で否定判断した場合には、すなわち近距離無線通信が可能な範囲で全ての車両21~24が駐車可能な空き場所が駐車場Pに存在しない場合には、ステップS14の処理として、第1隊列グループG1の車両のみを駐車させる。例えば、図5に示されるように、近距離無線通信が可能な範囲で駐車可能な空き場所が2つの場所P1,P2しか存在しない場合には、先導車両21の車載制御装置250は、先導車両21と、先導車両21に続く従属車両22とで第1隊列グループG1を形成する。そして、先導車両21の車載制御装置250は、第1隊列グループG1に属する先導車両21を駐車場Pの空き場所P1に駐車させるとともに、従属車両22との通信を介して従属車両22を駐車場Pの空き場所P2に駐車させる。
続いて、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS15の処理として、第1隊列グループG1の駐車位置を管理装置10に通知するとともに、ステップS16の処理として、第2隊列グループG2に属する車両23,24の情報を管理装置10に通知する。また、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS17の処理として、第2隊列グループG2からの通知を受信したか否かを判断する。本実施形態の制御装置1では、第1隊列グループG1が駐車した後に第2隊列グループG2の駐車が行われる。第2隊列グループG2が駐車を完了したとき、第2隊列グループG2の駐車位置等の情報が第2隊列グループG2から先導車両21に通知される。ステップS17の処理は、この第2隊列グループG2から送信される通知を受信したか否かを判断するための処理である。
先導車両21の車載制御装置250は、ステップS17の処理において肯定判断した場合には、すなわち第2隊列グループG2から送信される通知を受信したと判断した場合には、ステップS18の処理として、第1隊列グループG1に属する車両21,22の機能を停止させる。なお、この処理では、ステップS13の処理と同様に、車両21,22のWakeUP機能を有効状態に設定しておいてもよい。
次に、図7を参照して、管理装置10のSIM情報設定部112により実行される処理の手順について説明する。なお、SIM情報設定部112は、第1隊列グループG1の先導車両21から、第1隊列グループG1の駐車位置の通知、及び第2隊列グループG2に属する車両23,24の情報を取得した後に図7に示される処理を実行する。
SIM情報設定部112は、ステップS20の処理として、第2隊列グループG2に属する車両23,24のいずれか一方において、移動体通信網NのSIM情報を有効状態に設定する。例えば、SIM情報設定部112は、車両23においてSIM情報を有効状態に設定する場合には、車両23の通信識別情報IDc23にSIM情報S(2)を付与するように通信業者30に対して要求する。これにより、サーバ装置310が、SIM情報S(2)に車両23の通信識別情報IDc23を関連付けることにより、車両23において移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が可能となる。すなわち、車両23を従属車両から先導車両に切り替えることができる。
その後、新たな先導車両として機能する車両23の車載制御装置250が図6に示される処理を実行することにより、第2隊列グループG2に属する従属車両23,24が駐車場Pの空き場所P3,P4に駐車する。なお、従属車両23の車載制御装置250は、図6に示されるステップS12の処理において、車両23,24を空き場所P3,P4に駐車させた後、その駐車位置の情報を第1隊列グループG1の先導車両21に移動体通信網Nを介して送信する。
次に、図8を参照して、車両21~24が出発する際に、車両21~24により隊列を再編成するために先導車両21の車載制御装置250により実行される処理の手順について説明する。なお、図8に示される処理は、ユーザが先導車両21のカーナビゲーション装置200に対して隊列走行の開始操作を行った場合、あるいは管理装置10から先導車両21に対して隊列走行の開始指示が行われた際に先導車両21の車載制御装置250により実行される。
図8に示されるように、先導車両21の車載制御装置250は、まず、ステップS30の処理として、隊列を形成する車両の情報を取得する。具体的には、先導車両21のカーナビゲーション装置200では、予め登録されている複数の車両の中から、隊列を形成する車両を選択することが可能となっている。例えば、車両21~24が予め登録されている場合、車両24を除く車両21~23だけで隊列を形成するようにカーナビゲーション装置200において選択することが可能である。先導車両21の車載制御装置250は、このカーナビゲーション装置200に入力される情報に基づいて隊列を形成する車両の情報を取得する。なお、以下では、車両21~24により隊列を形成して出発する場合を例に挙げて説明する。
続いて、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS31の処理として、第1隊列グループG1に属する車両21,22と、第2隊列グループG2に属する車両23,24の集合場所を決定する。集合場所は、駐車場P内の所定の場所や、駐車場P外の所定の場所、出発地点から目的地までの中間場所等に設定される。なお、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS31の処理において、集合時刻を更に設定してもよい。
先導車両21の車載制御装置250は、ステップS31に続くステップS32の処理として、隊列車両への起動指示処理を実行する。起動指示処理の具体的な手順は、図9に示される通りである。
図9に示されるように、先導車両21の車載制御装置250は、起動指示処理において、まず、ステップS320の処理として、隊列を形成する車両に対して起動指示信号を送信する。起動指示信号は、機能停止中の車両を起動させるための信号である。具体的には、先導車両21の車載制御装置250は、第1隊列グループG1の従属車両22に起動指示信号を近距離無線通信により送信する。また、先導車両21の車載制御装置250は、第2隊列グループG2の従属車両23に対しても起動指示信号を送信する。また、起動指示信号に基づいて起動した第2隊列グループG2の従属車両23では、その車載制御装置250が第2隊列グループG2の従属車両24に起動指示信号を近距離無線通信により送信することにより、第2隊列グループG2の従属車両24も起動することになる。
続いて、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS321の処理として、現在位置及び通信状況の情報を従属車両22~24から取得する。先導車両21の車載制御装置250は、ステップS321に続くステップS322の処理として、従属車両22~24との通信が不可能であるか否かを判断する。先導車両21の車載制御装置250は、ステップS322の処理で否定判断した場合には、すなわち従属車両22~24との通信が可能である場合には、図9に示される起動指示処理を終了する。
一方、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS322の処理で肯定判断した場合には、すなわち通信不可能な車両が存在する場合には、ステップS323の処理として、通信不可能な従属車両に対するSIM情報の付与を管理装置10に要求する。例えば、隊列を形成する従属車両として、第2隊列グループG2の従属車両23が選択されずに、従属車両24だけが選択された場合、SIM情報が無効状態である従属車両24では遠距離無線通信を実行することができない。すなわち、従属車両24は、管理装置10や第1隊列グループG1の先導車両21と通信を行うことができない。このような場合、ステップS323の処理では、従属車両24にSIM情報を付与する処理が行われることになる。
管理装置10のSIM情報設定部112は、先導車両21の車載制御装置250から従属車両に対するSIM情報の付与が要求された場合、その従属車両の通信識別情報に対してSIM情報を関連付けることにより、通信不可能な従属車両に関して移動体通信網Nを介した遠距離無線通信を可能とする。この際、SIM情報設定部112は、2つのSIM情報S(1),S(2)だけでは足りない場合、新たなSIM情報を通信業者30から購入又はレンタルしてもよい。
先導車両21の車載制御装置250は、ステップS323に続くステップS324の処理として、通信不可能な従属車両が通信可能な状態になったことを確認した後、図9に示される起動指示処理を終了する。
先導車両21の車載制御装置250は、図9に示される起動指示処理を終了した後、図8に示されるステップS32に続くステップS33の処理として、従属車両22~24及び管理装置10に集合場所を送信する。なお、集合時刻が更に設定されている場合には、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS33の処理において、集合時刻を従属車両22~24及び管理装置10に更に送信してもよい。続いて、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS34の処理として、隊列走行時の走行順序を各従属車両22~24に指示する。走行順序は、先導車両21の車載制御装置250が任意に設定してもよいし、先導車両21のカーナビゲーション装置200においてユーザが設定してもよい。
先導車両21の車載制御装置250は、ステップS34に続くステップS35の処理として、隊列編成制御を実行する。隊列編成制御の具体的な手順は図10に示される通りである。なお、この隊列編成制御は、先導車両21の車載制御装置250だけでなく、走行順序の情報を受信した従属車両22~24の車載制御装置250でも同様に実行される。
図10に示されるように、各車両21~24の車載制御装置250は、隊列編成制御において、まず、ステップS350の処理として、集合場所までの走行ルートを設定する。続いて、各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS351の処理として、移動開始指示の送信又は受信を行う。具体的には、先導車両21の車載制御装置250は、従属車両22~24に対して移動開始指示の送信を行う。これに対し、従属車両22~24の車載制御装置250は、先導車両21から送信される移動開始指示の受信を行う。
各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS351に続くステップS352の処理として、走行順序が一つ前の車両が所定の場所まで移動したか否かを判断する。所定の場所は、集合場所、又は走行順序が一つ前の車両に自車両が追従できる場所である。各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS352の処理で肯定判断した場合には、すなわち走行順序が一つ前の車両が所定の場所まで移動したと判断した場合には、ステップS353の処理として、自車両の集合場所までの移動を開始する。例えば先導車両21は、隊列走行時に先頭を走行する車両であるため、その前を走行する車両が存在しない。そのため、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS351の処理で移動開始指示を送信した後、即座に先導車両21を集合場所まで自動走行させる。一方、従属車両22は、先導車両21の次に走行する車両である。そのため、従属車両22の車載制御装置250は、先導車両21が所定の場所まで走行した後に、従属車両22を集合場所まで自動走行させる。
なお、ステップS352の処理では、走行順序が一つ前の車両から所定の場所までの距離を第1距離とし、自車両から所定の場所までの距離を第2距離とするとき、第1距離が第2距離よりも短くなったか否かを判断してもよい。また、ステップS352の処理では、走行順序が一つ前の車両が所定の場所に到着する予定時刻を第1予定時刻とし、自車両が所定の場所に到着する予定時刻を第2予定時刻とするとき、第1予定時刻よりも第2予定時刻の方が遅くなったか否かを判断してもよい。
各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS353に続くステップS354の処理として、走行順序に従って集合場所で隊列を形成して車両を停車させる。例えば、先導車両21の車載制御装置250は、集合場所において先導車両21を先頭に停車させる。また、従属車両22の車載制御装置250は、集合場所において先導車両21の後ろに従属車両22を停車させる。
続いて、各従属車両22~24の車載制御装置250は、ステップS355の処理として、先導車両21に配置完了信号を送信する。なお、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS355の処理を割愛する。配置完了信号が各従属車両22~24から先導車両21に送信されることにより、先導車両21の車載制御装置250は、隊列走行を行う全車両21~24の配置完了を確認することができる。
先導車両21の車載制御装置250は、図10に示される隊列編成制御を完了した後、図8に示されるステップS35に続くステップS36の処理として、隊列走行の準備が完了したことを管理装置10に通知する。管理装置10は、隊列走行の準備が完了したことを示す通知を受信した場合、従属車両22~24に付与されているSIM情報を無効状態に設定する。具体的には、第2隊列グループG2を形成するために従属車両23に対してSIM情報S(2)が付与されている場合には、管理装置10は、通信業者30のサーバ装置310に対して、従属車両23の通信識別情報IDc23に関連付けられたSIM情報S(2)を無効にするように要求する。これにより、従属車両23に付与されていたSIM情報S(2)が無効状態となる。
先導車両21の車載制御装置250は、ステップS36に続くステップS37の処理として、目的地までの走行ルートを設定した後、ステップS38の処理として、隊列走行を開始する。
以上説明した本実施形態の車両の制御装置1によれば、以下の(1)~(5)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)隊列走行を行う複数の車両21~24は、先導車両21と従属車両22~24とにグループ分けされている。先導車両21は、SIM情報が予め有効状態に設定されることにより管理装置10と移動体通信網Nを介して遠距離無線通信が可能な車両である。従属車両22~24は、SIM情報が予め無効状態に設定された車両である。従属車両22~24は、先導車両21から近距離無線通信により直接的に送信される情報、又は先導車両21から他の従属車両を介して近距離無線通信により間接的に送信される情報に基づいて、隊列走行に必要な情報を共有している。先導車両21および従属車両22~24により編成されるグループを第1隊列グループG1とするとき、第1隊列グループG1の従属車両22~24のうちの従属車両23,24を第2隊列グループG2として分離する際に、管理装置10のSIM情報設定部112は、第2隊列グループG2に属する従属車両23,24においてSIM情報を有効状態に設定する。このような構成によれば、第2隊列グループG2に属する車両23,24が近距離無線通信の範囲を超えて移動することが可能となるため、より自由度の高い隊列走行が可能となる。また、全ての車両21~24にSIM情報を付与する必要がないため、SIM情報を利用する際の通信コストを抑えることが可能である。
(2)SIM情報設定部112は管理装置10に設けられている。このような構成によれば、SIM情報を管理するための構成を各車両21~24に設ける必要がないため、車両21~24内の限られた搭載スペースを圧迫することがない。
(3)SIM情報設定部112は、集合場所への従属車両22~24の移動が完了した際に、従属車両22~24において有効状態に設定されているSIM情報を無効状態に設定する。なお、SIM情報設定部112は、従属車両22~24の集合場所が確定した際に、従属車両22~24において有効状態に設定されているSIM情報を無効状態に設定してもよい。このような構成によれば、無効状態に設定されたSIM情報を他の車両で活用することができるようになる。
(4)駐車を行う際に複数の車両21~24のうちの少なくとも一つの車両が近距離無線通信の通信範囲から外れる場合には、SIM情報設定部112は、第2隊列グループG2を編成する。このような構成によれば、隊列グループ毎にSIM情報を配置することができるため、少ないSIM情報で分散駐車することができる。
(5)SIM情報S(1)が有効状態に設定されている先導車両21の車載制御装置250は、車両21の機能停止中に遠距離無線通信を有効状態に設定する。同様に、SIM情報S(2)が有効状態に設定されている従属車両23の車載制御装置250は、車両23の機能停止中に遠距離無線通信を有効状態に設定する。このような構成によれば、車両21,23の再始動時に、各種信号を受信することが可能となる。
(第1変形例)
次に、第1実施形態の車両の制御装置1の第1変形例について説明する。
図10に示される隊列編成制御は、各車両21~24に限らず、隊列グループ毎に、具体的には各隊列グループにおいて先導車両として機能する車両の車載制御装置250が実行してもよい。これにより、隊列を形成する複数の車両が集合場所に集合する際に、車両毎に集合するといった方法に代えて、隊列グループ毎に集合するといった方法を用いることができる。
その際に、第1隊列グループG1に属する車両21,22が第1編成地点で合流して隊列を形成するとともに、第2隊列グループG2に属する車両23,24が第2編成地点で合流して隊列を形成した後、第1隊列グループG1及び第2隊列グループG2が集合地点で合流してもよい。
この場合、図10に示されるステップS352の処理において、走行順序が一つ前の隊列グループが集合場所まで移動したか否かを判断してもよい。また、ステップS352の処理において、走行順序が一つ前の隊列グループから所定の場所までの距離を第1距離とし、自身の隊列グループから所定の場所までの距離を第2距離とするとき、第1距離が第2距離よりも短くなったか否かを判断してもよい。さらに、ステップS352の処理において、走行順序が一つ前の隊列グループが所定の場所に到着する予定時刻を第1予定時刻とし、自身の隊列グループが所定の場所に到着する予定時刻を第2予定時刻とするとき、第1予定時刻よりも第2予定時刻の方が遅くなったか否かを判断してもよい。すなわち、第2隊列グループG2は、第1隊列グループG1よりも集合地点に到着する時刻が遅くなるように、第2編成地点から出発してもよい。
このような構成によれば、隊列グループ毎に集合地点で合流することができるため、よりスムーズに複数の車両21~24により隊列を形成することが可能となる。
(第2変形例)
次に、第1実施形態の車両の制御装置1の第2変形例について説明する。
本変形例では、SIM情報の変更を各車両21~24において行う。具体的には、図11に示されるように、先導車両21の遠距離通信部220の記憶部221には、複数のSIMプロファイルSP(1)及びSP(2)が予め記憶されている。SIMプロファイルSP(1)及びSP(2)は移動体通信網Nを利用する際に用いられる。SIMプロファイルSP(1)及びSP(2)は、例えばeSIM(embedded Subscriber Identity Module)の形態で記憶部221に記憶されている。本実施形態では、SIMプロファイルSP(1)及びSP(2)が加入者識別情報に相当する。なお、従属車両22~24の遠距離通信部220の記憶部221にも、同様に複数のSIMプロファイルSP(1)及びSP(2)が予め記憶されている。
本変形例の先導車両21の遠距離通信部220では、SIMプロファイルSP(1)が予め有効状態に設定されている。一方、各従属車両22~24の遠距離通信部220では、SIMプロファイルSP(1),SP(2)が共に無効状態に設定されている。
先導車両21の車載制御装置250は、図6に示されるステップS16の処理において、第2隊列グループG2に属する車両23に対して、SIMプロファイルSP(2)を有効状態に設定するように指示する。これにより、車両23が、第2隊列グループG2の先導車両として機能するようになる。
また、先導車両21の車載制御装置250は、図8に示されるステップS37の処理において隊列走行の準備が完了したと判断した場合、SIMプロファイルSP(2)を無効状態に設定するように従属車両23に対して指示する。
本変形例の構成によれば、図11に示されるように、各車両21~24の車載制御装置250が、SIMプロファイルSP(1),SP(2)の有効状態及び無効状態を変更するSIM情報設定部251を有している。本変形例では、このSIM情報設定部251が加入者識別情報設定部に相当する。
記憶部221に記憶されるSIMプロファイルは通信を介して取得しても良い。車車間通信を介してSIMプロファイルを送信することで同様の効果が得られる。SIMプロファイルは車両が予め保管していても良いし、通信業30や管理装置10から取得しても良い。取得の際、購入しても良い。
SIMプロファイルは記憶部221で複数のSIMプロファイルを記憶しておいても良い。隊列内のいずれかの車両の記憶部221で1つ以上のSIMプロファイルを予め記憶しておき、それを送信しても良い。
(第3変形例)
次に、第1実施形態の車両の制御装置1の第3変形例について説明する。
図10に示される隊列編成制御を実行する際に、従属車両が、近距離無線通信が不可能な程度に先導車両21から離間しており、且つ遠距離無線通信も不可能な状況も想定される。このような状況では、図12に実線の矢印で示されるように、先導車両21が、従属車両22~26の近くを、より具体的には従属車両22~26に対して近距離無線通信を行うことの可能な範囲を順次走行しつつ隊列を再編成してもよい。
このような構成によれば、従属車両22~26においてSIM情報が無効状態に設定されている場合であっても、先導車両21及び従属車両22~26により隊列を形成することが可能である。
(第4変形例)
次に、第1実施形態の車両の制御装置1の第4変形例について説明する。
本変形例の管理装置10のSIM情報設定部112は、図7に示される処理に代えて、図13に示される処理を実行する。図13に示されるように、SIM情報設定部112は、まず、ステップS21の処理として、SIM情報S(1)に関連付けられている通信識別情報を、先導車両21の通信識別情報IDc21から従属車両23の通信識別情報IDc23に変更する。すなわち、SIM情報設定部112は、先導車両21におけるSIM情報を無効状態に設定した後、従属車両23におけるSIM情報を有効状態に設定する。これにより、先導車両21では遠距離無線通信が不可能になる一方、従属車両23では遠距離無線通信が可能となる。よって、従属車両23の車載制御装置250は、第2隊列グループG2の駐車が完了した後、その駐車位置等の情報を管理装置10に送信して記憶部120に記憶させることができる。
続いて、SIM情報設定部112は、ステップS22の処理として、第2隊列グループG2の従属車両23から駐車位置等の情報を受信したか否かを判断する。SIM情報設定部112は、ステップS22の処理において肯定判断した場合には、すなわち第2隊列グループG2の従属車両23から駐車位置等の情報を受信した場合には、ステップS23の処理として、SIM情報S(1)に関連付けられている通信識別情報を、従属車両23の通信識別情報IDc23から先導車両21の通信識別情報IDc21に変更する。すなわち、SIM情報設定部112は、従属車両23におけるSIM情報を無効状態に設定した後、先導車両21におけるSIM情報を有効状態に再度設定する。
続いて、SIM情報設定部112は、ステップS24の処理として、記憶部120に記憶されている第2隊列グループG2の駐車位置等の情報を第1隊列グループG1の先導車両21に送信する。これにより、先導車両21の車載制御装置250は、第2隊列グループG2の従属車両23,24の駐車位置等の情報を取得することができる。
このように、本変形例のSIM情報設定部112は、第1隊列グループG1の先導車両21及び従属車両22が駐車場所P1,P2に到着した際に、駐車場所P3,P4に未到着の従属車両23におけるSIM情報を有効状態に設定する。このような構成であれば、一つのSIM情報S(1)だけを用いる場合であっても、第2隊列グループG2の駐車位置等の情報を第1隊列グループG1の先導車両21により取得することが可能となる。
なお、SIM情報設定部112は、第1隊列グループG1の先導車両21及び従属車両22の駐車場所P1,P2が確定した後に、駐車場所が未確定の従属車両23におけるSIM情報を有効状態に設定してもよい。
(第5変形例)
次に、第1実施形態の車両の制御装置1の第5変形例について説明する。
本変形例の先導車両21の車載制御装置250は、図9に示される起動指示処理に代えて、図14に示される起動指示処理を実行する。図14に示されるように、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS322の処理で肯定判断した場合には、すなわち通信不可能な車両が存在する場合には、ステップS325の処理として、通信切替制御を実行する。通信切替制御の手順は図15に示される通りである。
図15に示されるように、先導車両21の車載制御装置250は、通信切替制御において、まず、ステップS3250の処理として、集合場所までのルートを設定するために必要な情報を、移動体通信網Nを介したネットワーク通信等により取得する。続いて、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS3251の処理として、集合場所や集合時刻等の情報を管理装置10に送信した後、ステップS3252の処理として、SIM情報の切替要求を通信業者30に対して行う。このSIM情報の切替要求は、SIM情報S(1)に関連付けられているSIM情報を先導車両21から従属車両23に切り替えることを要求するものである。
管理装置10の制御部110は、先導車両21から送信される集合場所及び集合時刻等の情報を受信すると、ステップS3253の処理として、それらの情報を記憶部120に記憶させる。
また、通信業者30のサーバ装置310は、先導車両21からSIM情報の切替要求があった場合、ステップS3254の処理として、SIM情報S(1)に関連付けられている通信識別情報を先導車両21の通信識別情報IDc21から従属車両23の通信識別情報IDc23に変更する。これにより、先導車両21では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が不可能になる一方、従属車両23では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が可能となる。
その後、管理装置10の制御部110は、ステップS3255の処理として、記憶部120に記憶されている集合場所及び集合時刻の情報を従属車両23に送信する。
従属車両23の車載制御装置250は、管理装置10から送信される集合場所及び集合時刻の情報を受信すると、ステップS3256の処理として、従属車両23,24からなる第2隊列グループG2を集合場所まで走行させる走行制御を実行する。これにより、第1隊列グループG1の先導車両21及び従属車両22が先に集合場所に到着した後、第2隊列グループG2の従属車両23,24が集合場所に到着することになる。
続いて、従属車両23の車載制御装置250は、ステップS3257の処理として、第1隊列グループG1の先導車両21への接近を周辺監視部210等により検知した場合には、ステップS3258の処理として、第2隊列グループG2の従属車両23,24を第1隊列グループG1に合流させる合流制御を実行する。その後、従属車両23の車載制御装置250は、第1隊列グループG1への第2隊列グループG2の合流が完了した場合、ステップS3259の処理として、SIM情報の切替要求を通信業者30に対して行う。このSIM情報の切替要求は、SIM情報S(1)に関連付けられているSIM情報を従属車両23から先導車両21に切り替えることを要求するものである。また、従属車両23の車載制御装置250は、ステップS3260の処理として、隊列の再構築の完了を近距離無線通信にて第1隊列グループG1の先導車両21に通知する。
通信業者30のサーバ装置310は、先導車両21からSIM情報の切替要求があった場合、ステップS3261の処理として、SIM情報S(1)に関連付けられているSIM情報を従属車両23の通信識別情報IDc23から先導車両21の通信識別情報IDc21に変更する。これにより、従属車両23では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が不可能になる一方、先導車両21では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が可能となる。
一方、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS3262の処理として、集合場所において第2隊列グループG2の従属車両23の接近を周辺監視部210等により検知した場合には、ステップS3263の処理として、第2隊列グループG2の従属車両23,24を第1隊列グループG1に含めることにより第1隊列グループG1を再編する再編制御する実行する。その後、先導車両21の車載制御装置250は、近距離無線通信にて隊列の再構築の完了が第2隊列グループG2の従属車両23から通知された場合には、ステップS3264の処理として、隊列の再構築の完了をカーナビゲーション装置200のディスプレに表示する。
このような構成によれば、車両21~24において利用可能なSIM情報が一つのSIM情報S(1)だけであっても、隊列を再構築することができる。
(第6変形例)
次に、第1実施形態の車両の制御装置1の第6変形例について説明する。
本変形例の制御装置1では、車両21~24により隊列を編成する際に、仮に従属車両23に何らかの異常が生じることにより隊列を編成することができない場合には、隊列の編成を中止するものである。なお、本変形例では、各車両21~24において一つのSIM情報S(1)だけが用いられている場合を想定している。
従属車両23の車載制御装置250は、通信業者30によりSIM情報S(1)が有効状態に設定された場合、図16に示される処理を実行する。図16に示されるように、従属車両23の車載制御装置250は、まず、ステップS40の処理として、隊列走行の実行が可能であると判断すると、隊列走行が可能であること及び通信が可能であることを示す実行可能信号を管理装置10に送信する。また、従属車両23の車載制御装置250は、ステップS41の処理として、SIM情報の切替要求を通信業者30に対して行う。SIM情報の切替要求は、SIM情報S(1)に関連付けられているSIM情報を従属車両23から先導車両21に切り替えることを要求するものである。
通信業者30のサーバ装置310は、先導車両21からSIM情報の切替要求があった場合、ステップS42の処理として、SIM情報S(1)に関連付けられている通信識別情報を従属車両23の通信識別情報IDc23から先導車両21の通信識別情報IDc21に変更する。これにより、従属車両23では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が不可能になる一方、先導車両21では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が可能となる。
また、管理装置10の制御部110は、従属車両23から送信される実行可能信号を受信すると、ステップS43の処理として、この実行可能信号を記憶部120に記憶させた後、ステップS44の処理として、SIM情報S(1)が有効状態に設定された先導車両21に実行可能信号を送信する。
先導車両21の車載制御装置250は、ステップS45の処理として、従属車両23の隊列走行が可能であるか否かを判断する。具体的には、先導車両21の車載制御装置250は、従属車両23のSIM情報S(1)を有効状態に設定した時点から所定時間が経過するまでに実行可能信号を受信することができなかった場合には、ステップS45の処理で否定判断する。この場合、先導車両21の車載制御装置250は、従属車両23の隊列走行が不可能であると判断して、ステップS49の処理として、隊列の編成を中止する。
一方、先導車両21の車載制御装置250は、従属車両23のSIM情報S(1)を有効状態に設定した時点から所定時間が経過するまでに実行可能信号を受信することができた場合には、ステップS45の処理で肯定判断する。この場合、先導車両21の車載制御装置250は、ステップS46の処理として、所定の通知を行った後、ステップS47の処理として、SIM情報の切替要求を通信業者30に対して行う。所定の通知は、例えば隊列編成可能の通知(ランプ点灯)等である。SIM情報の切替要求は、SIM情報S(1)に関連付けられているSIM情報を先導車両21から従属車両23に切り替えることを要求するものである。
通信業者30のサーバ装置310は、先導車両21からSIM情報の切替要求があった場合、ステップS48の処理として、SIM情報S(1)に関連付けられているSIM情報を先導車両21の通信識別情報IDc21から従属車両23の通信識別情報IDc23に変更する。これにより、先導車両21では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が不可能になる一方、従属車両23では移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が可能となる。
第1実施形態において、図3のように管理装置10においてSIM情報と車両の通信識別情報との対応を管理することで、その車両の通信識別情報に対応する遠距離通信部220を持つ車両の通信が可能になる。
SIM情報が無効の状態で、遠隔無線通信が不可能な従属車両23に対し、先導車両21の起動時に、サーバ装置310に、従属車両23に対しSIM情報の切り替え要求をすることで、離れた場所に駐車していても通信を復帰させる。
具体的には、従属車両23は、先導車両21と分離して駐車場で停車し待機中する場合に遠距離通信部220をONにしておく。この時、管理装置10においてSIM情報S(1)と従属車両23の通信識別情報IDc23とが対応していないため、通信不可能な状態になっている。
先導車両21も、同様に駐車場で停車し、待機する。この時、遠距離通信部220はOFFの状態で、管理装置10においてSIM情報S(1)と先導車両21の通信識別情報IDc21は通信可能な状態となっている。
その状態で、先導車両21の起動時に、先導車両21は遠距離通信部220を起動し、従属車両23を選択し、管理装置10に対しSIM情報を従属車両23の通信識別情報IDc23と対応するように要請する。
サーバ装置310が要請に応じてSIM情報S(1)と従属車両23の通信識別情報IDc23とを対応させると、移動体通信網Nを介した遠距離無線通信が可能になる。
これにより、駐車中時は従属車両23からSIM情報S(1)の対応を解消し、別の車両で有効活用することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の車両の制御装置1について説明する。以下、第1実施形態の車両の制御装置1との相違点を中心に説明する。
本実施形態の制御装置1は、隊列を形成して走行する車両21~24が所定の給電場所で自動的に給電を行うためのシステムである。
図17に示されるように、各車両21~24は、給電を開始する前に、給電場所EP1の近くに設けられる給電前待機場所WPに待機する。給電が開始される場合には、各車両21~24のうち、SIM情報S(1)が有効状態に設定されている先導車両21が先ず給電場所EP1に移動する。給電場所EP1に先導車両21が移動すると、その先導車両21に搭載されたバッテリが無接触給電により充電される。先導車両21は、充電が完了した後、図示しない給電後待機場所まで移動して待機する。
一方、先導車両21は、充電を開始した際に、SIM情報S(1)を後続の従属車両22に譲渡する。SIM情報S(1)が有効状態に設定された従属車両22は、充電が完了した先導車両21が給電後待機場所に向かって移動することにより給電場所EP1が空き状態になると、給電場所EP1に移動して給電を開始する。従属車両22は、充電を開始した際に、SIM情報S(1)を後続の従属車両23に譲渡する。また、従属車両22は、充電が完了した後、図示しない給電後待機場所まで移動して待機する。
このようにして各車両21~24が給電場所EP1に順番に移動することにより、各車両21~24のバッテリが順次給電される。
なお、車両21~24のうち、SIM情報S(1)が有効状態に設定されている車両は、給電場所EP1に設置された給電設備40と移動体通信網Nを介した通信を行うことにより、給電に関する各種情報を給電設備40との間で授受することが可能となっている。
次に、図18を参照して、このようにして給電が行われる際に各車両21~24のうちの車載制御装置250において実行される処理の手順について具体的に説明する。なお,図18に示される処理は、各車両21~24が給電前待機場所WPまで走行した後、各車両21~24のうち、SIM情報S(1)が有効状態に設定されている車両の車載制御装置250により実行される。
図18に示されるように、各車両21~24の車載制御装置250は、まず、ステップS50の処理として、給電設備40から送信される給電開始信号を受信したか否かを判断する。具体的には、給電設備40は、車両21~24が給電前待機場所WPに到着した際に、先に給電を行っている車両が存在しなければ、先導車両21の給電が可能であるため、先導車両21に対して給電開始信号を送信する。先導車両21の車載制御装置250は、ステップS50の処理において、この給電設備40から送信される給電開始信号を受信したか否かを判断する。
また、給電設備40は、給電が完了した先導車両21が給電場所EP1から給電後待機場所に向かって移動することにより給電場所EP1が空き状態になると、後続の従属車両22に対して給電開始信号を送信する。また、給電設備40は、従属車両22,23の給電が完了する都度、後続の従属車両23,24に対して給電開始信号を送信する。このようにして、給電開始信号が先導車両21、従属車両22、従属車両23、従属車両24の順で受信されることになる。
各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS50の処理で肯定判断した場合には、すなわち給電開始信号を受信した場合には、ステップS51の処理として、車両を給電場所EP1まで自動的に移動させる。続いて、各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS52の処理として、車両の給電を開始するとともに、ステップS53の処理として、給電完了スケジュール等の給電に関連する情報を管理装置10に送信する。管理装置10は、給電完了スケジュール等の給電に関連する情報を受信すると、これをユーザの端末装置等に送信する。管理装置10は記憶部120に記憶しても良い。これにより、ユーザは、各車両21~24の給電完了スケジュール等の情報を認知することができる。
各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS53に続くステップS54の処理として、SIM情報S(1)の切替要求を管理装置10に対して行う。SIM情報S(1)の切替要求は、SIM情報S(1)に関連付けられている通信識別情報を、現在給電を開始した車両の通信識別情報から、次に給電を行う車両の通信識別情報に切り替えることを管理装置10に対して要求するものである。このSIM情報S(1)の切替要求に基づいて管理装置10のSIM情報設定部112が、通信業者30に対して、SIM情報S(1)に関連付けられている車両の通信識別情報の切替を要求することにより、次に給電を行う車両においてSIM情報S(1)が有効状態に設定される。
各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS54に続くステップS55の処理として、給電が完了したか否かを判断する。各車両21~24の車載制御装置250は、ステップS55の処理で肯定判断した場合には、すなわち給電が完了した場合には、ステップS56の処理として、車両を給電後待機場所等の所定の場所まで移動させた後、一連の処理を終了する。
なお、全ての車両21~24の給電が完了した後、第1実施形態の車両の制御装置1のように、各車両21~24が隊列を形成して駐車場Pまで移動してもよい。
以上説明した本実施形態の車両の制御装置1によれば、以下の(6)~(8)に示される作用及び効果を得ることができる。
(6)管理装置10のSIM情報設定部112は、車両21~23が給電場所EP1に到着する都度、給電場所EP1に未到着の車両22~24に対してSIM情報S(1)を順次有効状態に設定する。すなわち、給電中でない車両におけるSIM情報S(1)を有効状態に設定する。このような構成によれば、車両21~24において用いることが可能なSIM情報が一つのSIM情報S(1)だけであっても、車両21~24を順次給電させることができる。
(7)管理装置10のSIM情報設定部112は、車両21~23が給電場所EP1に到着する都度、給電場所EP1への移動が完了した際に、移動した車両において有効状態に設定されているSIM情報S(1)を無効状態に設定する。すなわち、給電中の車両におけるSIM情報S(1)を有効状態に設定する。このような構成によれば、一つのSIM情報S(1)を複数の車両21~24で利用することが可能となる。
(8)各車両21~24の車載制御装置250は、SIM情報S(1)を無効状態に設定する前に、給電完了スケジュール等の給電に関する情報を管理装置10に送信する。管理装置10は記憶部120に記憶しても良い。このような構成によれば、給電に関する情報が管理装置10からユーザの携帯端末に送信されることにより、給電に関する情報をユーザが認知することができる。
(第1変形例)
次に、第2実施形態の車両の制御装置1の第1変形例について説明する。
本変形例の制御装置1では、例えば先導車両21が給電を行っている場合に、先導車両21の給電が完了する直前又は直後まで先導車両21においてSIM情報S(1)が有効状態に設定されている。また、先導車両21の給電の完了時、先導車両21の給電が完了する直前、あるいは先導車両21の給電が完了する直後に先導車両21の次に給電を行う従属車両22においてSIM情報S(1)が有効状態に設定される。このような構成によれば、先導車両21の給電状態を管理装置10に逐次送信することができる。
なお、先導車両21のSIM情報S(1)を所定のタイミングで、例えば一定時間の間隔で有効状態に設定してもよい。このような構成によれば、所定のタイミングで先導車両21の給電状態を管理装置10に送信することができる。管理装置10は記憶部120に記憶し、その記憶を更新することでユーザに最新の給電状態を通知することができる。
(第2変形例)
次に、第2実施形態の車両の制御装置1の第2変形例について説明する。
本変形例の制御装置1では、図19(A)に示されるように、複数の給電場所EP1~EP3が存在し、且つ給電場所EP1のみが空いている場合、先導車両21が先ずは給電場所EP1に移動して給電を開始する。そして、先導車両21が給電を開始した際に、先導車両21においてSIM情報S(1)を無効状態に設定し、従属車両22においてSIM情報S(1)を有効状態に設定する。他の従属車両22~24は給電前待機場所WPで待機する。
その後、図19(B)に示されるように、給電場所EP2が空いた場合には、従属車両22が給電場所EP2に移動して給電を開始する。そして、従属車両22が給電を開始した際に、従属車両22においてSIM情報S(1)を無効状態に設定し、従属車両23においてSIM情報S(1)を有効状態に設定する。
このような構成によれば、複数の給電場所EP1~EP3が存在する場合に効率良く各車両21~24の給電を実行することができる。
<他の実施形態>
なお、各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第1実施形態では、第1隊列グループG1から第2隊列グループG2を分離する場合について例示したが、第2隊列グループから更に別の第3隊列グループを分離してもよい。この場合、第2隊列グループが主隊列グループに相当し、第3隊列グループに属する車両が分離車両に相当する。
・第1実施形態の制御装置1でも、第2実施形態の制御装置1のように、前の車両から順番に駐車し、完了したら次の車両にSIM情報を移動して駐車してもよい。このような構成は、駐車場P内に設置されたカメラの撮像情報等を利用することにより実現可能である。
・管理装置10の制御部110及び各車両21~24の車載制御装置250が提供する手段及び/又は機能は、実体的な記憶装置に記憶されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組み合わせにより提供することができる。例えば管理装置10の制御部110及び各車両21~24の車載制御装置250がハードウェアである電子回路により提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路により提供することができる。
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。