以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のプリンタである。
画像形成装置100は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4個の画像形成ユニットUY、UM、UC、UKを有する。各画像形成ユニットUY、UM、UC、UKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。画像形成ユニットUは、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ5、クリーニング装置6などを有して構成される。
画像形成ユニットUは、トナー像を担持する第1の像担持体としての、回転可能なドラム型の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向(時計回り)に所定の周速度で回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2により、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)3により、画像データ(画像情報信号)に応じて走査露光され、感光ドラム1上に画像データに応じた静電像(静電潜像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4により、現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上に画像データに応じたトナー像(現像剤像)が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着する。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
4個の感光ドラム1に対向するように、トナー像を担持する第2の像担持体としての、回転可能な無端ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての駆動ローラ71、テンションローラ72、アイドラローラ73、74、及び2次転写対向ローラ75に架け渡されて張架されている。中間転写ベルト7は、例えば、ポリイミド、ポリアミドなどの樹脂又は各種ゴムなどに、カーボンなどの導電性フィラーやイオン性の導電材料などを適当量含有させて分散させた材料で形成された、フィルム状の無端ベルトで構成されている。中間転写ベルト7の表面抵抗率は、1×109~5×1011Ω/□とされており、中間転写ベルト7の厚みは、例えば0.04~0.5mm程度とされている。駆動ローラ71は、定速性に優れたモーターにより駆動されて中間転写ベルト7を循環移動(回転)させる。テンションローラ72は、中間転写ベルト7に対して一定の張力を与える。アイドラローラ73、74は、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの配列方向に沿って延びる中間転写ベルト7を支持する。2次転写対向ローラ75は、後述する2次転写ローラ8の対向部材(対向電極)として機能する。なお、テンションローラ72に対する中間転写ベルト7のテンションは、3~12kgf程度とされている。中間転写ベルト7は、駆動ローラ71により図中矢印R2方向(反時計回り)に所定の周速度で循環駆動(回転駆動)される。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、1次転写手段としてのローラ型の1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。本実施例では、1次転写ローラ5は、金属ローラで構成されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて付勢され、感光ドラム1と中間転写ベルト7とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)T1を形成する。
上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部T1において、1次転写ローラ5の作用により、回転している中間転写ベルト7上に1次転写される。1次転写工程時に、1次転写ローラ5には、1次転写電源(高圧電源回路)D1により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である1次転写バイアス(1次転写電圧)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたY、M、C、Kの各色のトナー像が、各1次転写部T1において、中間転写ベルト7上に重ね合わされるようにして順次1次転写される。
中間転写ベルト7の外周面側において、2次転写対向ローラ75に対向する位置には、2次転写手段としてのローラ型の2次転写部材である2次転写ローラ8が配置されている。2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して2次転写対向ローラ75に向けて付勢され、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)T2を形成する。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、2次転写部T2において、2次転写ローラ8の作用により、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とに挟持されて搬送される紙などの記録材(記録媒体、シート)Pに2次転写される。2次転写工程時に、2次転写ローラ8には、2次転写電源(高圧電源回路)D2(図2)により、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である2次転写バイアス(2次転写電圧)が印加される。
記録材Pは、記録材供給部としての記録材供給装置10により2次転写部T2に供給される。記録材供給装置10は、記録材Pを収容する記録材収容部(カセット、トレイなど)11、記録材収容部11から記録材Pを所定のタイミングで1枚ずつ送り出すピックアップローラ12、送り出された記録材Pを搬送する搬送ローラ対13などを有する。搬送ローラ対13により搬送された記録材Pは、レジストレーション補正部としてのレジストレーションローラ対50により、中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて、2次転写部T2へと搬送される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置9へと搬送される。定着装置9は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することで、トナー像を記録材Pに定着(溶融、固着)させる。画像形成モードが記録材Pの片面にのみ画像を形成する片面モード(片面印刷)の場合は、記録材Pの片面にトナー像が定着された記録材Pは、排出部としての排出ローラ対30により画像形成装置100の装置本体の外部(機外)へと排出(出力)される。
また、画像形成モードが記録材Pの両面に画像を形成する両面モード(自動両面印刷)の場合は、1面目に画像が形成(トナー像が定着)された記録材Pは、両面搬送装置40により、再度2次転写部T2へと搬送される。両面モードの場合、1面目に画像が形成された記録材Pが機外に排出される前に、排出ローラ対30が所定のタイミングで反転させられる。これにより、記録材Pは、両面搬送装置40の反転パス(両面搬送路)41に導入される。反転パス41に導入された記録材Pは、再給送ローラ対42によりレジストローラ対50に向けて搬送される。この記録材Pは、1面目の画像形成時の場合と同様に、レジストローラ対50により中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写部T2へと搬送され、1面目とは反対側の2面目にトナー像が2次転写される。2面目にトナー像が転写された記録材Pは、その後定着装置9により2面目にトナー像が定着された後に、排出ローラ対30により機外に排出される。
また、1次転写工程時に中間転写ベルト7上に転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6により感光ドラム1上から除去されて回収される。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ71と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置76が配置されている。2次転写工程時に記録材Pに転写されずに中間転写ベルト7上に残留したトナー(2次転写残トナー)や紙粉は、ベルトクリーニング装置76により中間転写ベルト7上から除去されて回収される。
2.2次転写構成
図2は、本実施例の画像形成装置100の2次転写部T2の構成の説明図である。接地電位に接続された2次転写対向ローラ75により内側面を支持された中間転写ベルト7に対して、2次転写ローラ8を圧接させることにより、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間に2次転写部T2が形成される。2次転写電源D2から2次転写ローラ8へ、2次転写バイアス(2次転写電圧)として正極性の直流電圧が印加されることにより、2次転写部T2に転写電界が形成される。これにより、中間転写ベルト7に担持された負極性のトナー像が、2次転写部T2を通過する記録材Pへ2次転写される。
2次転写対向ローラ75は、本実施例では、芯金(基材)としての直径18mmのアルミ製パイプの外周に、弾性層としての厚さ2mmの導電性ゴム層が形成されて構成されている。本実施例では、2次転写対向ローラ75の外径は22mmである。導電性ゴムには、ニトリルブタジエンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンなどにイオン性導電剤を混入したものが用いられる。本実施例では、2次転写対向ローラ75の電気抵抗値は、1×105Ω以下に調整されている。なお、この電気抵抗値は、2次転写対向ローラ75に10N(1kgf)をかけて導電性の円筒に圧接させ、導電性の円筒の回転によって2次転写対向ローラ75を従動回転させながらローラ軸(芯金)に50Vを印加したときに流れる電流から求めた。また、本実施例では、2次転写対向ローラ75の表面硬度は、ASKER-C硬度値で70度である。
2次転写ローラ8は、本実施例では、芯金(基材)としての直径12mmのステンレス製のローラ軸の外周に、弾性層としての厚さ6mmの導電性ゴムスポンジが形成されて構成されている。本実施例では、2次転写ローラ8の外径は24mmである。導電性ゴムスポンジには、ニトリルブタジエンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンなどにイオン性導電剤を混入して、電気抵抗値を1×107~1×108Ωに調整したものが用いられる。なお、この電気抵抗値は、2次転写ローラ8に10N(1kgf)をかけて導電性の円筒部材に圧接させ、導電性の円筒部材の回転によって2次転写ローラ8を従動回転させながらローラ軸(芯金)に2kVを印加したときに流れる電流から求めた。本実施例では、2次転写ローラ8の表面硬度は、ASKER-C硬度値で35度である。
図2には、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様が示されている。制御部(DCコントローラ)150は、演算処理を行う中心的素子である制御手段としてのCPU151、記憶手段としてのROM、RAMなどのメモリ(記憶媒体)152などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるRAMには、制御部150に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。CPU151とROM、RAMなどのメモリ152とは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。また、制御部150には、パーソナルコンピュータなどの外部装置(図示せず)との情報の授受を行うための通信部(I/F)153が設けられている。CPU151は、通信部153を介して外部装置と通信可能に接続され、外部装置からのデータを受け付けることができる。
制御部150には、2次転写電源D2が接続されている。2次転写電源D2は、所定の目標電圧で定電圧制御されたバイアスと、所定の目標電流で定電流制御されたバイアスと、を切り替えて2次転写ローラ8に印加することが可能である。制御部150は、2次転写電源D2を制御して、2次転写工程時に2次転写ローラ8に印加する2次転写バイアスの設定を行う。そして、制御部150は、2次転写工程時には、その2次転写バイアスを2次転写電源D2から2次転写ローラ8に出力させる。本実施例では、制御部150は、後述する電圧検出回路19により検知される電圧値が所定の電圧値になるように2次転写電源D2が出力する電圧を制御することで、2次転写電源D2から2次転写ローラ8に印加するバイアスを定電圧制御することができる。また、制御部150は、後述する電流検出回路18により検知される電流値が所定の電流値になるように2次転写電源D2が出力する電圧を制御することで、2次転写電源D2から2次転写ローラ8に印加するバイアスを定電流制御することができる。そして、本実施例では、制御部150は、詳しくは後述するように、画像形成前の非画像形成時に、2次転写バイアスの目標電圧を設定し、2次転写時には、2次転写電圧が目標電圧で略一定となるように2次転写バイアスを定電圧制御する。また、本実施例では、制御部150は、2次転写時に、2次転写電流が所定の範囲から外れる場合には、2次転写電流がその所定の範囲内に収まるように2次転写バイアスを制御する。
制御部150には、電流検知手段(電流検知部)としての電流検出回路18が接続されている。電流検出回路18は、2次転写電源D2から2次転写ローラ8へ出力されて、2次転写部T2を流れる電流を検出する。電流検出回路18は、電流値に応じた0~5Vのアナログ電圧を出力し、アナログ電圧は、制御部150で8bitのデジタル信号にAD変換されて演算される。
制御部150には、電圧検知手段(電圧検知部)としての電圧検出回路19が接続されている。電圧検出回路19は、2次転写電源D2から2次転写ローラ8へ出力される電圧を検出する。電圧検出回路19は、電圧値に応じた0~5Vのアナログ電圧を出力し、アナログ電圧は、制御部150で8bitのデジタル信号にAD変換されて演算される。
制御部150には、画像形成装置100の内部又は外部の少なくとも一方の温度又は湿度の少なくとも一方に関する環境情報を取得する取得手段(環境検知手段)としての環境センサ17が接続されている。本実施例では、環境センサ17は、画像形成装置100の筐体内の温度及び湿度を検知する。環境センサ17により検知された温度及び湿度の情報は、制御部150に入力される。
また、制御部150には、操作部としての操作パネル120が接続されている。操作パネル120は、情報を表示する表示手段としての表示部と、制御部150に情報を入力するための入力手段としての入力部と、を有して構成される。本実施例では、操作パネル120は、表示部と入力部とを兼ねるタッチパネルを有している。操作パネル120は、画像形成に関する設定を入力させるために、例えば記録材Pの選択画面を表示して、ユーザーやサービス担当者などの操作者に画像形成に使用する記録材Pの種類を選択させることができる。また、制御部150には、外部装置からプリントジョブの情報が入力される。プリントジョブの情報には、画像データと、例えば画像形成に使用する記録材Pの種類を指定するデータなどの画像形成に関する設定の制御指令と、が含まれている。特に、本実施例では、操作パネル120は、画像形成に関する設定として、2次転写バイアスの目標電圧の値を新たな値に変更する設定を受け付けることができるようになっている。この2次転写バイアスの目標電圧の値を新たな値に変更する設定は、プリントジョブの情報に含まれていてもよく、この情報は通信部153によって受け付けられて、CPU151に入力される。本実施例では、操作パネル120、通信部153は、2次転写バイアスの目標電圧を変更する指示を受け付ける受付部を構成する。
なお、プリントジョブとは、一の開始指示により開始される単一又は複数の記録材に画像を形成して出力する一連の動作のことを言う。また、記録材Pの種類とは、普通紙、厚紙、薄紙、光沢紙、コート紙などの一般的特徴に基づく属性、メーカー、銘柄、品番、坪量、厚さ、サイズなど、記録材Pを区別可能な任意の情報を包含するものである。
制御部150は、操作パネル120における操作者の操作内容又は外部装置からのプリントジョブの情報を判別して、画像形成に用いる記録材Pの種類などの画像形成に関する設定を判別する。特に、本実施例では、制御部150は、判別した画像形成に関する設定における、2次転写バイアスの目標値を新たな値に変更する設定に応じて、2次転写電流の上限値又は下限値の少なくとも一方を変更することができるようになっている。
3.2次転写バイアス制御
次に、本実施例における2次転写バイアスの制御について更に詳しく説明する。本実施例では、2次転写バイアスが定電圧制御される構成において、操作者によって2次転写バイアスの目標電圧が変更された場合に、2次転写電流の上限値又は下限値の少なくとも一方を変更する。
<ATVC制御>
2次転写部T2の電気抵抗は、環境(温度、湿度)、転写部材などの初期の電気抵抗のフレ、通電履歴などによって変化する。そのため、2次転写バイアスを定電圧制御する場合は、画像形成前の非画像形成時(2次転写工程前)に、2次転写バイアスの目標電圧を設定するためのATVC制御(Auto Transfer Voltage Control)を行う。非画像形成時としては、画像形成装置100の立ち上げ時の前多回転時、プリントジョブの画像形成動作開始時の前回転時などが挙げられる。ATVC制御を行うことによって、2次転写工程の初期に印加する2次転写バイアスの電圧値を決定するために必要な、非通紙時の2次転写部T2の分担電圧Vbを決定することができる。なお、非通紙時とは、2次転写部T2に記録材Pがない時のことを言う。
ATVC制御では、非通紙時(2次転写ローラ8は中間転写ベルト7に接触している。)に目標電流Itargetで定電流制御されたバイアスが2次転写ローラ8の1周分の時間にわたり2次転写ローラ8に印加される。本実施例では、目標電流Itargetは、環境(本実施例では温度及び湿度に基づいて算出される絶対湿度(水分量))、記録材Pの種類に応じて予め設定されてデータテーブルなどとしてメモリ152に記憶されている。制御部150のCPU151は、環境センサ17により検知された温度及び湿度に基づいて絶対湿度を算出する。また、制御部150は、操作部120における操作内容や外部装置から入力されたプリントジョブの情報から、記録材Pの種類を判別する。そして、制御部150は、その絶対湿度、記録材Pの種類に基づいて、上記データテーブルなどを参照して目標電流Itargetを決定する。そして、CPU151は、2次転写部T2に定電流制御されたバイアスが印加されている間に電圧検出回路19によりサンプリングされた電圧値の平均値を計算する。そして、CPU151は、その電圧値の平均値をVbとしてメモリ152に記憶させる。
なお、ATVC制御において、2次転写電源D2から2次転写ローラ8に複数(2点以上、例えば3点)の電圧又は電流を供給し、電圧と電流との関係(電圧・電流特性)を取得することで、2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得してもよい。この場合、得られた電圧と電流との関係において目標電流が得られる目標電圧を求めることができる。
<2次転写バイアスの目標電圧の調整値Vuの設定画面>
図3は、操作パネル120に表示される、2次転写バイアスの目標電圧の調整値Vuの設定を受け付ける設定画面の一例を示す模式図である。
本実施例では、調整値Vuは、記録材Pの種類ごとに設定することが可能とされている。また、本実施例では、調整値Vuは、各種類の記録材Pのオモテ面、ウラ面に対してそれぞれ個別に設定することが可能とされている。なお、オモテ面とは、片面モードで画像を形成する面及び両面モードにおける1面目のことを言う。また、ウラ面とは、両面モードにおける2面目のことを言う。図3は、調整値Vuの設定を行う記録材Pの種類を選択する画面(図示せず)において記録材Pの種類を選択した後に表示される、ある種類の記録材Pに対する調整値Vuの設定画面200を示している。
設定画面200には、表裏表示部201に示されるように、記録材Pのオモテ面、ウラ面のそれぞれに対して、指示値表示欄202、指示値入力ボタン203が設けられている。指示値表示欄202には、該当記録材Pに対する現在の調整値Vuに対応する指示値Vudが表示される。この指示値Vudはデフォルトでは0である。過去に2次転写バイアスの目標電圧の調整が行われていれば、その際に保存された調整値Vuに対応する指示値Vudが表示される。本実施例では、指示値Vudは-30~+30まで変更できるようになっており、指示値Vudの±1に対して、調整値Vuが±50V変更されるようになっている。指示値入力ボタン203の“-”が1回選択されるごとに、指示値Vudは-1変化する。また、指示値入力ボタン203の“+”が1回選択されるごとに、指示値Vudは+1変化する。また、指示値表示欄202を選択し、操作パネル120に設けられたテンキー(図示せず)などから入力することで、指示値入力ボタン203を操作することなく、指示値Vudを直接変化させることもできる。なお、本実施例では、操作者の調整時の便宜上、調整値Vuに対応する指示値Vudを用いたが、設定画面において調整値Vuを直接的に指定するようにしてもよい。
また、設定画面200には、キャンセルボタン204、OKボタン205が設けられている。指示値Vudの入力が終了した後、OKボタン205が選択されると、入力された指示値Vudに対応する調整値Vuが、制御部150のメモリ152に保存される。一方、キャンセルボタン204が選択されると、今回入力された指示値Vudは破棄され、過去にメモリ152に保存された調整値Vuが保持される。
なお、ここでは操作パネル120で調整値Vuの設定を行う場合について説明したが、調整値Vuの設定は操作パネル120上で行うことに限定されるものではない。例えば、外部装置から制御部150に入力されるプリントジョブの情報に、その設定情報が含まれていてもよい。その場合、例えば図3と同様の設定画面が外部装置にインストールされたプリンタドライバによって外部装置の表示部に表示され、操作者はその設定画面に従って外部装置の操作部を介して設定を行えばよい。
<2次転写電流の上限値、下限値の設定制御>
図4は、2次転写電流の上限値Imax、下限値Iminを設定する制御のフローチャート図である。この上限値Imax、下限値Iminは、詳しくは後述するように、2次転写工程時に2次転写電流に応じて2次転写バイアスを制御する際に必要となる。
まず、制御部150のCPU151は、2次転写電流の上限値Imax、下限値Iminの設定制御を開始すると、環境センサ17から温度及び湿度の情報を取得し、絶対湿度を算出する(S101)。次に、CPU151は、上限値Imaxの初期値Imax0[μA]、下限値Iminの初期値Imin0[μA]、変換係数α[μA/V]を決定する(S102)。本実施例では、Imax0=60μA、Imin0=40μAと設定されている。なお、このImax0、Imin0値は、記録材Pの種類やサイズ、環境(温度又は湿度の少なくとも一方)、画像形成装置100の稼働履歴などに応じて変化させてもよい。また、本実施例では、変換係数αは、下記表1に基づいて、S101で算出した絶対湿度(水分量)[g/m3]の値に応じて設定される。初期値Imax0、Imin0の値、絶対湿度と変換係数αとの関係を示す情報(データテーブルなど)は、予め設定されてメモリ152に記憶されている。
次に、CPU151は、上限値Imax、下限値Iminを、それぞれImax0、Imin0に設定し、制御部150のメモリ152に記憶させる。次に、CPU151は、上述の調整値Vuの設定画面200用いて設定されてメモリ152に記憶されている、2次転写バイアスの目標電圧の調整値Vuを取得する(S104)。次に、CPU151は、調整値Vuが0より大きいか否か、また調整値Vuが0未満であるか否かを判断する(S105、S106)。CPU151は、Vu>0の場合は(S105でYes)、新たな上限値Imaxを、次式、Imax0+α×Vuにより計算し、メモリ152に更新して記憶させる(S107)。この場合、新たな上限値Imax(絶対値)は、初期値Imax0(絶対値)よりも大きな値となる。また、CPU151は、Vu<0の場合は(S106でYes)、新たな下限値Iminを、次式、Imin0+α×Vuにより計算し、メモリ152に更新して記憶させる(S108)。この場合、新たな下限値Imin(絶対値)は、初期値Imin0(絶対値)よりも小さな値となる。その後、CPU151は、上限値Imax、下限値Iminの設定制御を終了する。なお、2次転写バイアスの目標電圧がデフォルト値から変更されていない場合、すなわち、Vu=0の場合は(S105でNo、かつ、S106でNo)、上限値Imax、下限値Iminの変更は行われない。
本実施例では、2次転写バイアスの目標電圧の変更量(調整値Vu)に応じて、上限値Imax、下限値Iminの変更量を変更する。つまり、本実施例では、2次転写バイアスの目標電圧の変更量が第1の値の場合よりも、該変更量が第1の値よりも大きい第2の値の場合の方が、上限値Imax、下限値Iminの変更量は大きくなる。これにより、2次転写バイアスの目標電圧の変更量に応じて、より適切に2次転写電流が上限値、下限値に制限されることを抑制して、2次転写バイアスの目標電圧の変更が希望通りに反映されなくなることを抑制することができる。
また、本実施例では、表1に従って絶対湿度に応じて変換係数αを変更することで、絶対湿度に応じて、上限値Imax、下限値Iminの変更量を変更する。本実施例では、相対的に高温高湿度の場合に、相対的に低温低湿度の場合よりも、上限値Imax、下限値Iminの変更量を大きくする。つまり、本実施例では、絶対湿度が第1の値(例えば表1中の0g/m3)の場合よりも、該第1の値より大きい第2の値(例えば表1中の16g/m3)の場合の方が、上限値Imax、下限値Iminの変更量は大きくなる。絶対湿度が相対的に大きい場合は、相対的に小さい場合よりも、2次転写バイアスの電圧値の変化に対する電流の変化が大きくなる。そのため、上述のように絶対湿度に応じて上限値Imax、下限値Iminの変更量を決定することで、2次転写電流が上限値、下限値から外れて2次転写バイアスの目標電圧の変更が希望通りに反映されなくなることを、より確実に抑制することができる。
なお、本実施例では、上限値Imax、下限値Iminの変更量(変更幅)を絶対湿度に応じて変更したが、本発明はこれに限定されるものではない。上限値Imax、下限値iminの変更量は、温度又は湿度(相対湿度など)の少なくとも一方に応じて決定することができる。また、上限値Imax、下限値Iminの変更量を、2次転写ローラ8の電気抵抗に関する情報に基づいて決定してもよい。2次転写ローラ8の電気抵抗は、温度又は湿度の少なくとも一方と相関する(典型的には、相対的に高温高湿度の場合よりも、相対的に低温低湿度の場合の方が電気抵抗が高くなる)。そのため、環境(温度又は湿度の少なくとも一方)に代えて、2次転写ローラ8の電気抵抗に関する情報(抵抗情報)を用いることができる。この場合、典型的には、2次転写ローラ8の電気抵抗が第1の値の場合よりも、該第1の値より小さい第2の値の場合の方が、上限値Imax、下限値Iminの変更量が大きくなるようにする。この2次転写ローラ8の電気抵抗に関する情報としては、例えばATVC制御において取得される2次転写部T2の分担電圧Vbを用いることができる。つまり、上限値Imax、下限値Iminは、2次転写部T2の分担電圧Vbに応じて変更することができる。この場合、典型的には、2次転写部T2の分担電圧Vbが第1の値の場合よりも、該第1の値より小さい第2の値の場合の方が、上限値Imax、下限値Iminの変更量が大きくなるようにする。
また、本実施例では、2次転写バイアスの目標電圧(絶対値)が増加する方向に変更された場合に、2次転写電流の上限値(絶対値)のみが増加する方向に変更され、下限値(絶対値)は変更されずに維持される。別法として、2次転写バイアスの目標電圧(絶対値)が増加する方向に変更された場合に、2次転写電流の上限値(絶対値)と共に、下限値(絶対値)も増加する方向に変更されるようになっていてもよい。この場合、下限値の変更量は、典型的には、上限値の変更量と同じとすることができる。また、本実施例では、2次転写バイアスの目標電圧(絶対値)が減少する方向に変更された場合に、2次転写電流の下限値(絶対値)のみが減少する方向に変更され、上限値(絶対値)は変更されずに維持される。別法として、2次転写バイアスの目標電圧(絶対値)が減少する方向に変更された場合に、2次転写電流の下限値(絶対値)と共に、上限値(絶対値)も減少する方向に変更されるようになっていてもよい。この場合、下限値の変更量は、典型的には、上限値の変更量と同じとすることができる。これにより、2次転写バイアスの目標電圧の変更が希望通りに反映されなくなることを抑制すると共に、記録材Pの電気抵抗のフレなどにより2次転写電流が過剰になり過ぎたり不足し過ぎたりするのを抑制する上限値、下限値の機能を維持しやすくなる。
また、本実施例では、2次転写電流の上限値及び下限値の両方が設定されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2次転写電流の上限値又は下限値の少なくとも一方が設定されている構成であればよい。例えば、2次転写電流の上限値のみが設定されている場合、2次転写バイアスの目標電圧(絶対値)が増加する方向に変更された場合にのみ、2次転写電流の上限値(絶対値)が増加する方向に変更されるようにすることができる。また、2次転写電流の下限値のみが設定されている場合、2次転写バイアスの目標電圧(絶対値)が減少する方向に変更された場合にのみ、2次転写電流の下限値(絶対値)が減少する方向に変更されるようにすることができる。
<2次転写バイアスの制御フロー>
図5は、本実施例におけるプリントジョブが開始されてからの2次転写バイアスの制御のフローチャート図である。
まず、制御部150のCPU151は、プリントジョブが開始されると、記録材Pが2次転写部T2に到達する前に、上述のATVC制御を実行させ、非通紙時の2次転写部T2の分担電圧Vbを決定する(S201)。次に、CPU151は、2次転写バイアスの目標電圧Vtrの初期値を算出する(S202)。目標電圧Vtrの初期値は、2次転写部T2の分担電圧Vbと、記録材分担電圧Vp、2次転写電圧の調整値Vuと、を加えた電圧Vb+Vp+Vuである。ここで、記録材分担電圧Vpは、2次転写部T2において記録材Pが分担する電圧値である。本実施例では、記録材分担電圧Vpは、環境(本実施例では温度及び湿度に基づいて算出される絶対湿度)、記録材Pの種類によって決まる定数である。この記録材分担電圧Vpの情報は、予め設定されてデータテーブルなどとしてメモリ152に記憶されている。次に、CPU151は、図4を参照して説明したようにして、2次転写電流の上限値Imax、下限値Iminを設定する(S203)。以上が、記録材Pが2次転写部T2に到達する前に行われる。そして、CPU151は、1枚目の記録材Pの搬送方向の先端が2次転写部T2に到達するタイミングに合わせて、S201で算出した目標電圧Vtrの初期値で定電圧制御された2次転写バイアスの、2次転写ローラ5への印加を開始させる。
CPU151は、記録材Pの搬送方向の先端が2次転写部T2に到達し、記録材Pの先端が十分に進んでから、記録材Pの搬送方向の後端が2次転写部T2を抜け出る十分に前までの間(測定期間)、通紙部電流Ipを算出する(S204)。本実施例では、記録材Pの先端が十分に進んだ位置は、記録材Pの先端が2次転写部T2から10mm進んだ位置とした。また、本実施例では、記録材Pの搬送方向の後端が2次転写部T2を抜け出る十分に前の位置は、記録材Pの後端が2次転写部T2を抜け出る10mm手前の位置とした。ここで、通紙部電流Ipとは、2次転写部(中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との接触部)T2の記録材Pの搬送方向と略直交する方向(長手方向)の全域のうち、記録材Pがある部分に流れる電流である。通紙部電流Ipの算出方法は、次のとおりである。電流検出回路18により検出された電流値をItr、記録材Pの搬送方向と略直交する方向における2次転写ローラ8の長さ(幅)をLtr、記録材Pの搬送方向と略直交する方向における記録材Pの長さ(幅)をLpとする。このとき、通紙部電流値Ipは、下記式により算出される。
ここで、上記式中のInpは、2次転写部T2の長手方向の全域のうち、記録材Pがない部分に流れる電流(非通紙部電流)である。非通紙部電流Inpは、ATVC制御で取得された2次転写部T2の電気抵抗(Vb/Itarget)を用いて、次式、Inp=Vtr/(Vb/Itarget)により計算される。2次転写電流の上限値Imax、Iminが記録材Pの幅が異なる場合にも正常に作用するように、ここでの通紙部電流値Ip、非通紙部電流値Inpは、2次転写ローラ8の幅Ltrに規格化された値を使用している。なお、通紙部電流Ipは、上記測定期間における複数の電流検知結果の平均値に基づいて求めることができる。
そして、CPU151は、S204で算出した通紙部電流値Ipが上限値Imaxより大きいか否か、また下限値Iminより小さいか否かを判断する(S205、S206)。CPU151は、通紙部電流値Ipが上限値Imaxより大きい場合は(S205でYes)、目標電圧Vtrを1回当たりの電圧変更幅ΔVだけ減少させ、メモリ152に記憶させる(S207)。一方、CPU151は、通紙部電流値Ipが下限値Iminより小さい場合は(S206でYes)、目標電圧Vtrを1回当たりの電圧変更幅ΔVだけ増加させ、メモリ152に記憶させる。本実施例では、1回当たりの電圧変更幅ΔVの値としては50Vを用いた。この変更後の2次転写バイアスの目標電圧は、次の記録材P以降(典型的には次の記録材Pから)に対する2次転写時から適用されることになる。なお、通紙部電流値Ipが所定の範囲内の場合、すなわち、上限値Imax以下(S205でNo)、かつ、下限値Imin以上(S206でNo)の場合は、目標電圧Vtrの変更は行われない。
CPU151は、プリントジョブの全てのページの画像形成が終了しているか否かを判断する(S209)。そして、CPU151は、プリントジョブが継続されている間は、新たに設定された目標電圧Vtrを用いて、通紙部電流値Ipを算出して目標電圧を変更する制御を繰り返す(S204~208)。これにより、当初通紙部電流値Ipが上限値Imax、下限値Iminから外れていた場合でも、徐々に通紙部電流値Ipは上限値Imax、Iminの範囲内に近づき、典型的には最終的に上限値Imax又は下限値Iminになる。
このように、本実施例の画像形成装置100は、転写部材8に流れる電流を検知する検知部18と、転写時に転写部材8に印加する電圧を所定の電圧(目標電圧)となるように定電圧制御する制御部150と、を有する。この制御部150は、転写時に、検知部18により検知された電流の絶対値が所定の範囲から外れる場合に、転写部材8に流れる電流が該所定の範囲内となるように転写部材8に印加する電圧を調整するように構成されている。また、本実施例の画像形成装置100は、操作者による上記所定の電圧を変更する指示を受け付ける受付部を有する。本実施例では、この受付部は、操作者により入力される指示を受け付ける操作部(操作パネル)120、又は画像形成装置100の外部の装置の操作部を介して操作者により入力される指示を受け付ける通信部153で構成される。そして、本実施例では、制御部150は、受付部120、153が上記所定の電圧の絶対値を増加させる指示を受け付けた場合、上記所定の範囲の上限値又は下限値の少なくとも一方を増加させる。また、本実施例では、制御部150は、受付部120、153が上記所定の電圧の絶対値を減少させる指示を受け付けた場合、上記所定の範囲の上限値又は下限値の少なくとも一方を減少させる。特に、本実施例では、制御部150は、受付部120、153が上記所定の電圧の絶対値を増加させる指示を受け付けた場合、上記上限値を増加させる。ただし、この場合に、上記上限値及び上記下限値を増加させるようにしてもよい。また、特に、本実施例では、制御部150は、受付部120、153が上記所定の電圧の絶対値を減少させる指示を受け付けた場合、上記下限値を減少させる。ただし、この場合に、上記上限値及び上記下限値を減少させるようにしてもよい。本実施例では、制御部150は、転写部T2に記録材Pがない時に転写部材8に所定の電流が流れるように電圧を印加して取得した電源D2の出力電圧の値に基づいて上記所定の電圧を設定する設定処理(ATVC制御)を行うように構成されている。そして、本実施例では、制御部150は、受付部120、153が上記所定の電圧を変更する指示を受け付けた場合は上記設定処理により設定した上記所定の電圧を変更する。
以上のように、本実施例によれば、2次転写電流の上限値、下限値が設定されている構成において、操作者が2次転写バイアスの目標電圧を変更した場合に、2次転写バイアスの目標電圧の変更に応じて、2次転写電流の上限値、下限値を変更することができる。即ち、2次転写電流の上限値、下限値が固定された場合に比べて、変更後の2次転写バイアスの設定に合わせた2次転写電流の上限値、下限値が得られる。つまり、本実施例によれば、2次転写電流の上限値や下限値が設定されている場合に、その上限値や下限値によって制限されて2次転写バイアスの目標電圧の設定の変更が適切に反映されなくなることを抑制することができる。また、本実施例によれば、2次転写バイアスの目標電圧を変更した場合に、2次転写電流の上限値、下限値が適切に自動で変更されることで、2次転写電流の上限値、下限値を別途設定する必要がなく、操作者の調整負荷を小さくすることができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1では、2次転写バイアスが定電圧制御される構成において、操作者によって2次転写バイアスの目標電圧が直接的に変更された場合について説明した。本実施例では、2次転写バイアスが定電圧制御される構成において、操作者によって2次転写バイアスの目標電圧を設定するための目標電流が変更される場合について説明する。本実施例においても、2次転写バイアスの目標電圧を設定するための目標電流が変更されることによって、結果的に2次転写バイアスの目標電圧が変更される。
<2次転写目標電流Itargetの設定画面>
図6は、操作パネル120に表示される、2次転写バイアスの目標電流Itargetの設定を受け付ける設定画面の一例を示す模式図である。
本実施例では、目標電流Itargetは、記録材Pの種類ごとに設定することが可能とされている。また、本実施例では、目標電流Itargetは、各種類の記録材Pのオモテ面、ウラ面に対してそれぞれ個別に設定することが可能とされている。図6は、目標電流Itargetの設定を行う記録材Pの種類を選択する画面(図示せず)において記録材Pの種類を選択した後に表示される、ある種類の記録材Pに対する目標電流Itargetの設定画面300を示している。
設定画面300には、表裏表示部301に示されるように、記録材Pのオモテ面、ウラ面のそれぞれに対して、目標電流欄302、目標電流入力ボタン303が設けられている。目標電流表示欄302には、該当記録材Pに対する現在の目標電流Itargetの設定値が表示される。この目標電流Itargetの設定値はデフォルトでは一例として50μAである。過去に調整が行われていれば、その際に保存された目標電流Itargetの設定値が表示される。本実施例では、目標電流Itargetの設定値は30μA~70μAまで変更できるようになっている。目標電流入力ボタン303の“-”が1回選択されるごとに、目標電流Itargetの設定値は-1μA変更される。また、目標電流入力ボタン303の“+”が1回選択されるごとに、目標電流Itargetの設定値は+1μA変更される。また、目標電流欄302を選択し、操作パネル120に設けられたテンキー(図示せず)などから入力することで、目標電流入力ボタン303を操作することなく、目標電流Itargetを直接変化させることもできる。
本実施例では、ATVC制御は、上述のようにして設定された目標電流Itargetを用いて行われる。
<2次転写電流の上限値、下限値の設定制御>
次に、本実施例における2次転写電流の上限値、下限値Imax、Iminを設定する方法について説明する。
2次転写バイアスの目標電流の設定値のデフォルト値からの変化量をΔItargetとする。すなわち、ΔItarget=Itarget-(デフォルトのItarget)である。ここで、目標電流Itargetは、上述のようにして設定された電流値である。
本実施例では、目標電流Itargetが変更されていない場合のデフォルトの2次転写電流の上限値Imax、下限値Iminは、Imax0=60μA、Imin0=40μAである。そして、本実施例では、上限値Imax、下限値Iminは、上述のようにして設定された目標電流Itargetから、下記式により算出される。
なお、本実施例における2次転写バイアスの制御フロー自体は、実施例1で説明した図5の制御フローと同じである。ただし、本実施例では、S201のATVC制御において、上述のようにして設定された目標電流Itargetが用いられる。また、本実施例では、S203の2次転写電流の上限値Imax、Iminの設定は、上述の変化量ΔItargetに基づいて上記式を用いて設定される。
以上説明したように、本実施例では、制御部150は、受付部120、153が2次転写バイアスの目標電圧を変更する指示を受け付けた場合は目標電圧の設定処理(ATVC制御)における所定の電流(目標電流)を変更する。このように、2次転写バイアスの目標電圧を設定するための目標電流を変更することによっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、画像形成装置は中間転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置であったが、本発明は画像形成部を一つだけ有するモノクロ画像形成装置にも等しく適用することができる。この場合、本発明は、感光ドラムなどの像担持体に当接する転写ローラなどの転写部材に印加される転写バイアスに関して適用される。