JP7168168B2 - レトルト食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軟化した軟体動物の肉材の製造方法及びレトルト食品の製造方法に関する。
現在、保存性、及び簡便性の点から多くのレトルト食品が流通し、販売されている。レトルト食品は、長期保存が可能である利点を有する反面、製造時に強い加熱殺菌処理を必要とすることから、レトルト食品に含まれる具材中のタンパク質が変性し、その具材が概ね硬い食感となる欠点を有する。
特に、具材に軟体動物の肉材が含まれる場合にこの欠点は顕著であり、軟体動物の肉材を使用するレトルト食品において、品質上の大きな課題であった。
従来、動物性素材を軟化する方法として、タンパク質が硬化した動物性素材を穴開けする工程と、穴開けされた動物性素材に処理液を接触させる工程を含む方法(例えば、特許文献1参照)や、動物性素材をアルカリ性の酵素処理液で処理する工程を含む方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、これらの提案の技術は、軟化が十分ではなかったり、添加剤の使用を好まない需要者に敬遠されたりという問題がある。
また、軟体動物の肉材を含む加工食品として、タンパク質分解酵素剤を用いて熟成させることによって得られる加工食品が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この提案の技術は、タンパク質分解酵素剤として、イカ内臓の熟成・破砕物由来のプロテアーゼ、醤油に残存するプロテアーゼ、又は、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ等の非内在性プロテアーゼを用いるものであり、臭みが生じたり、軟化が十分ではなかったり、添加剤の使用を好まない需要者に敬遠されたりという問題がある。さらに、熟成に時間を有するため、加工時間が長時間になるという問題もある。
したがって、レトルト処理後の食感が優れ、需要者に広く受け入れられる、軟化した軟体動物の肉材の簡便な製造方法及びレトルト食品の製造方法は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められている。
特開2016-21921号公報 国際公開第2011/099354号 特開2010-246501号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、レトルト処理後の食感が優れ、需要者に広く受け入れられる、軟化した軟体動物の肉材の簡便な製造方法及びレトルト食品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を、先端が非尖鋭状の手段を用いて加圧し、前記軟体動物の肉材の細胞組織を物理的に損傷させる損傷工程と、前記損傷工程で得られた軟体動物の肉材を25℃~65℃で30分間以上保持する保持工程と、を含む製造方法を採用することにより、簡便に、レトルト処理後の食感が優れ、需要者に広く受け入れられる、軟化した軟体動物の肉材が製造できることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を、先端が非尖鋭状の手段を用いて加圧し、前記軟体動物の肉材の細胞組織を物理的に損傷させる損傷工程と、前記損傷工程で得られた軟体動物の肉材を25℃~65℃で30分間以上保持する保持工程と、を含むことを特徴とする軟化した軟体動物の肉材の製造方法である。
<2> 前記損傷工程の前に、前記内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を冷凍し解凍する冷凍解凍工程を含む前記<1>に記載の軟化した軟体動物の肉材の製造方法である。
<3> 前記加圧が、叩くことによる加圧である前記<1>又は<2>に記載の軟化した軟体動物の肉材の製造方法である。
<4> 前記保持工程において、プロテアーゼを実質的に添加しない前記<1>から<3>のいずれかに記載の軟化した軟体動物の肉材の製造方法である。
<5> 前記軟体動物がイカである前記<1>から<4>のいずれかに記載の軟化した軟体動物の肉材の製造方法である。
<6> レトルト食品の製造方法であって、前記<1>から<5>のいずれかに記載の方法で製造された軟化した軟体動物の肉材を含む食品を110~140℃で加熱する工程を含むことを特徴とする製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、レトルト処理後の食感が優れ、需要者に広く受け入れられる、軟化した軟体動物の肉材の簡便な製造方法及びレトルト食品の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1の損傷工程において、内臓を除去した、加熱処理していないコウイカを木槌で叩く様子を示す写真である。 図2は、試験例1及び2における、TCA(トリクロロ酢酸)可溶性窒素(チロシン換算)増加量を示すグラフである。
(軟化した軟体動物の肉材の製造方法)
本発明の軟化した軟体動物の肉材の製造方法は、内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を、先端が非尖鋭状の手段を用いて加圧し、前記軟体動物の肉材の細胞組織を物理的に損傷させる損傷工程と、前記損傷工程で得られた軟体動物の肉材を25℃~65℃で30分間以上保持する保持工程とを含み、さらにその他の工程を含むことができる。
<損傷工程>
前記損傷工程は、内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を、先端が非尖鋭状の手段を用いて加圧し、前記軟体動物の肉材の細胞組織を物理的に損傷させ、軟体動物の肉質部由来の内在性プロテアーゼを漏出させる工程である。
本発明において、内臓を除去した軟体動物の肉材とは、消化器、泌尿器などの内臓を含む内臓嚢を除去した軟体動物の肉材をいう。
本発明において、加熱処理していない軟体動物の肉材とは、実質的に加熱処理していない軟体動物の肉材をいう。前記実質的に加熱処理していないとは、例えば、内在性プロテアーゼが失活するほどの加熱をしていないことなどを意味する。
前記加熱処理としては、特に制限はなく、いかなる加熱処理も含まれるが、例えば、焼くことによる加熱、煮ることによる加熱、炒めることによる加熱、蒸すことによる加熱、茹でることによる加熱などが挙げられる。
前記軟体動物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コウイカ、モンゴウイカ、スルメイカ、アカイカ、ケンサキイカ、アオリイカ、ヤリイカ、ジンドウイカ、ホタルイカ、ソデイカ等のイカ、イイダコ、テナガダコ、マダコ、ミズダコ、ムラサキダコ、ヤナギダコ、ワモンダコ等のタコ、サザエ、クロアワビ、エゾアワビ、マダカアワビ、メガイアワビ、トコブシ、マガキ、イワガキ、トリガイ、アサリ、ホタテガイ、イガイ、シジミ、ハマグリ、タイラガイ、ホッキガイ、アカガイ、ミルガイ等の貝類などが挙げられる。これらの中でも、イカ又はタコが好ましく、イカがより好ましい。
前記軟体動物の肉材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、所望の大きさにカットした肉材であってもよい。
前記先端が非尖鋭状の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木槌、金槌、板、鉄板、棒などの手段が挙げられ、フォーク、針などの先端が尖鋭状の手段は含まれない。
前記先端が非尖鋭状の手段の、肉材との接触面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平面状、丸みを有する形状、球面状などが挙げられる。
前記先端が非尖鋭状の手段と肉材との接触面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率的に細胞組織を物理的に損傷させることができる点で、1cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましく、10cm以上が特に好ましい。
前記加圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、叩くことによる加圧、押すことによる加圧などが挙げられる。これらの中でも、効率的に細胞組織を物理的に損傷させることができる点で、叩くことによる加圧が好ましい。
前記加圧の範囲としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、少なくとも一部が加圧されていればよいが、効率的に細胞組織を物理的に損傷させ、全体的に内在性プロテアーゼを漏出できる点で、全体的に均一に加圧することが好ましい。
前記損傷工程では、漏出した内在性プロテアーゼの流出を防止する点で、前記肉材の水洗は行わないことが好ましい。
<保持工程>
前記保持工程は、前記損傷工程で得られた軟体動物の肉材を25℃~65℃で30分間以上保持する工程であり、前記損傷工程により漏出した軟体動物の肉質部由来の内在性プロテアーゼによる酵素反応を進行させる工程である。
前記25℃~65℃で30分間以上保持する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟体動物の肉材を25℃~65℃に設定したインキュベータ内にて保持する方法、密閉容器内の軟体動物の肉材を25℃~65℃に設定した湯浴内にて保持する方法などが挙げられる。
前記保持温度としては、25℃~65℃である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率的に酵素反応を進行させることができる点で、30℃~65℃が好ましく、35℃~65℃がより好ましく、35℃~55℃がさらに好ましく、40℃~50℃が特に好ましい。
前記保持時間の下限値としては、30分間以上である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、十分に酵素反応を進行させることができる点で、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、3時間以上がさらに好ましい。
前記保持時間の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、簡便性の点で、7時間未満が好ましく、6時間未満がより好ましく、5時間未満がさらに好ましく、4時間未満が特に好ましい。
前記保持工程において、添加剤の使用を低減し、需要者に広く受け入れられる点で、プロテアーゼを実質的に添加しないことが好ましい。
前記プロテアーゼとしては、特に制限はなく、いかなるプロテアーゼも含まれるが、例えば、パパイン、ブロメライン、フィシン、アクチニジン等の植物由来のプロテアーゼ、サチライシン、サーモライシン等の微生物由来のプロテアーゼ、トリプシン、カテプシン、ロイシンアミノペプチターゼ、ミオシナーゼ等の動物由来のプロテアーゼなどが挙げられる。
すなわち、前記保持工程において、前記損傷工程により漏出した軟体動物の肉材由来の内在性プロテアーゼのみによる酵素反応が進行することが好ましい。
前記保持工程において、前記損傷工程により漏出した軟体動物の肉質部由来の内在性プロテアーゼによる酵素反応が進行したか否かは、前記保持工程後の軟体動物の肉材からタンパク質を抽出し、分解されたタンパク質の量を定量する、又は増加した遊離アミノ酸量を定量することにより、確認することができる。
前記保持工程前と比較して、前記保持工程後に、分解されたタンパク質の量が増加した場合は、前記損傷工程により、細胞組織が物理的に損傷し、軟体動物の肉質部由来の内在性プロテアーゼが漏出し、前記保持工程において、前記損傷工程により漏出した軟体動物の肉質部由来の内在性プロテアーゼによる酵素反応が進行し、タンパク質が分解されたとみなす。
前記分解されたタンパク質量の定量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SDS-PAGEによる定量、ウェスタンブロットによる定量、ELISAによる定量などが挙げられる。
前記分解されたタンパク質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミオシンなどが挙げられる。
前記増加した遊離アミノ酸量の定量としては、常法により行うことができ、例えばTCA可溶性窒素含量(チロシン換算)の濃度変化を測定することにより行うことができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、損傷工程前の冷凍解凍工程、内臓除去工程、保持工程後の酵素反応停止工程、保持工程後の冷却工程などが挙げられる。
<<損傷工程前の冷凍解凍工程>>
前記損傷工程前の冷凍解凍工程は、前記損傷工程前に、内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を冷凍し解凍する工程である。
冷凍方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷凍冷蔵庫を用いた冷凍などが挙げられる。解凍方法としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温、或いは5℃程度の冷蔵庫での緩慢解凍、流水を用いた急速解凍などが挙げられる。
冷凍解凍工程を行うことにより、物理的損傷による内在性プロテアーゼの拡散性やその蛋白分解効果が向上する点で、冷凍解凍工程を経ないよりも好ましい。
<<内臓除去工程>>
前記内臓除去工程は、前記損傷工程前に軟体動物から内臓を除去する工程である。
前記内臓とは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、消化器、泌尿器などの内臓を含む内臓嚢が挙げられる。
内臓を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、手作業による除去、包丁、鋏等の器具を用いた除去などが挙げられる。
<<保持工程後の酵素反応停止工程>>
前記保持工程後の酵素反応停止工程は、前記保持工程後に酵素反応を停止させる工程である。
酵素反応を停止させる方法としては、酵素を失活できる方法である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、加熱処理、pH調整、有機溶媒の添加等が挙げられる。これらの中でも、添加剤の使用を低減する点、及び簡便性の点で、加熱処理が好ましい。
前記加熱処理としては、酵素を失活できる処理である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、焼くことによる加熱、煮ることによる加熱、炒めることによる加熱、蒸すことによる加熱、茹でることによる加熱などが挙げられる。これらの中でも、簡便性の点で、茹でることによる加熱が好ましい
前記加熱処理の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。
前記加熱処理の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましく、20分間以上がさらに好ましく、30分間以上が特に好ましい。
<<保持工程後の冷却工程>>
前記保持工程後の冷却工程は、前記保持工程後の軟化した軟体動物の肉材を冷却する工程である。
前記冷却としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、放冷、差圧冷却、真空冷却、又はこれらの組合せなどが挙げられる。
前記冷却後の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、衛生上の点で、30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。
(レトルト食品の製造方法)
本発明のレトルト食品の製造方法は、前記軟化した軟体動物の肉材の製造方法で製造された軟化した軟体動物の肉材を含む食品を110~140℃で加熱する工程を含み、さらにその他の工程を含むことができる。
<110~140℃で加熱する工程>
前記110~140℃で加熱する工程は、前記軟化した軟体動物の肉材の製造方法で製造された軟化した軟体動物の肉材を含む食品を110~140℃で加熱する工程である。
前記110~140℃で加熱する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パウチ、缶、瓶等の容器に密封された食品を、品温が110~140℃になるように加熱する方法、パウチ、缶、瓶等の容器に密封された食品を、高圧釜で加熱する方法などが挙げられる。
前記110~140℃で加熱する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上が好ましく、20分間以上がより好ましく、30分間以上がさらに好ましい。
前記レトルト食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カレー、シチュー、スープ、粥、パスタソース、丼物の具、米飯、ハンバーグ、ミートボール、煮物などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填工程、110~140℃で加熱する工程後の冷却工程などが挙げられる。
<<充填工程>>
前記充填工程は、前記軟化した軟体動物の肉材の製造方法で製造された軟化した軟体動物の肉材を含む食品を、前記110~140℃で加熱する工程前に、パウチ、缶、瓶等の容器に充填する工程である。
<<110~140℃で加熱する工程後の冷却工程>>
前記110~140℃で加熱する工程後の冷却工程は、前記110~140℃で加熱する工程後の食品を冷却する工程である。
前記冷却としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、放冷、差圧冷却、真空冷却、又はこれらの組合せなどが挙げられる。
前記冷却後の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、衛生上の点で、30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<軟化した軟体動物の肉材の製造>
(実施例1)
冷凍した後、解凍したコウイカを開き、消化器、泌尿器などの内臓を含む内臓嚢を除去し、加熱処理されていない軟体動物の肉材(縦 約15cm、横 約15cm)を得た。
軟体動物の肉材を全体的に均一に、肉材との接触面の形状が平面状であり、接触面積が50cmの木槌で叩くことにより、細胞組織を物理的に損傷させ、コウイカの肉質部由来の内在性プロテアーゼを漏出させた。肉材を木槌で叩く様子を示す写真を図1に示した。
内在性プロテアーゼを漏出させた肉材を、30℃に設定したインキュベータ内にて1時間保持し、酵素反応を進行させた。
その後、90℃で30分間の茹でることによる加熱を行い、酵素反応を停止した。
酵素反応を停止させた肉材を、レトルト処理として、125℃に調整した3%食塩水内で30分間加熱し、軟化した軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
--官能評価--
90℃で30分間の茹でることによる加熱まで行い、レトルト処理を行わなかったものをコントロールとして、軟体動物の肉材の食感を10名のパネルにより下記評価基準にて評価し、平均点を求めた。
(評価基準)
5:コントロールと同等、或いはそれよりも柔らかい
4:コントロールよりもわずかに劣るが、柔らかい食感である
3:コントロールよりも硬さを感じるものの、及第点である食感である
2:コントロールよりもかなり硬さを感じ、食べるのにやや抵抗がある
1:非常に硬く、食べるのに抵抗がある
(実施例2)
30℃に設定したインキュベータ内での保持時間を、1時間から2時間に変えた以外は、実施例1と同様に軟化した軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(実施例3)
30℃に設定したインキュベータ内での保持時間を、1時間から3時間に変えた以外は、実施例1と同様に軟化した軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(実施例4)
インキュベータの設定温度を、30℃から45℃に変えた以外は、実施例1と同様に軟化した軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(実施例5)
インキュベータの設定温度を、30℃から45℃に変え、保持時間を、1時間から3時間に変えた以外は、実施例1と同様に軟化した軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(実施例6)
インキュベータの設定温度を、30℃から60℃に変えた以外は、実施例1と同様に軟化した軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(比較例1)
木槌を用いた細胞組織の物理的損傷を行わず、30℃に設定したインキュベータ内での保持を行わなかった以外は実施例1と同様に軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(比較例2)
木槌を用いた細胞組織の物理的損傷を行わなかった以外は実施例3と同様に軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(比較例3)
30℃に設定したインキュベータ内での保持を行わなかった以外は実施例1と同様に軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(比較例4)
木槌を用いた細胞組織の物理的損傷の代わりに、フォークを用いた穴あけ処理を全体的に均一に行い、500mLの1%パパイン溶液(オリエンタル酵母工業株式会社製)に60分間浸漬した以外は実施例6と同様に軟体動物の肉材を製造した。官能評価結果を表1に示した。
(比較例5)
木槌を用いた細胞組織の物理的損傷を行わず、500mLの1%パパイン溶液(オリエンタル酵母工業株式会社製)に60分間浸漬した以外は実施例6と同様に軟体動物の肉材を製造した。官能評価を表1に示した。
Figure 0007168168000001
表1の結果より、内臓を除去した、加熱処理されていない軟体動物の肉材の細胞組織を物理的に損傷させることにより内在性プロテアーゼを露出させ、その後、インキュベータ内で保持させることにより酵素反応を進行させた実施例1~6では、レトルト処理後の食感が、レトルト処理を行わなかったものと同程度の柔らかいものであることが分かった。
細胞組織の物理的損傷を行わず、インキュベータ内での保持を行わなかった比較例1では、レトルト処理後の食感が、レトルト処理を行わなかったものと比較して、硬いものであることが分かった。
細胞組織の物理的損傷を行わなかった比較例2、及びインキュベータ内での保持を行わなかった比較例3は、レトルト処理後の食感が、レトルト処理を行わなかったものと比較して、非常に硬いものであり、細胞組織の物理的損傷を行わず、インキュベータ内での保持を行わなかった比較例1と比較して、さらに劣るものであることが分かった。
細胞組織の物理的損傷の代わりに、フォークを用いた穴あけ処理を行い、パパイン溶液に浸漬した比較例4、及び細胞組織の物理的損傷を行わず、パパイン溶液に浸漬した比較例5では、レトルト処理後の食感が、レトルト処理を行わなかったものと比較して、硬いものであることが分かった。
<遊離アミノ酸量の定量(TCA可溶性窒素含量(チロシン換算)の濃度変化)>
(試験例1)
冷凍した後、解凍したコウイカを開き、消化器、泌尿器などの内臓を含む内臓嚢、及び皮を除去し、加熱処理されていない軟体動物の肉材(縦 約15cm、横 約15cm)を得た。
軟体動物の肉材を全体的に均一に、肉材との接触面の形状が平面状であり、接触面積が50cmの木槌で叩くことにより、細胞組織を物理的に損傷させた。
10gずつ真空包装を行い、50℃に設定したインキュベータ内にて0時間、1時間、2時間、又は3時間保持した。
その後、90℃で30分間の茹でることによる加熱を行い、酵素反応を停止した。
各サンプルについて、遊離アミノ酸(チロシン換算)濃度を測定し、結果を表2及び図2に示した。
Figure 0007168168000002
--遊離アミノ酸(チロシン換算)濃度の測定--
各サンプルから約3gを切り出し、重量を測定した。30mLの5%TCAを加えて、ホモジナイズした(30秒間を2回)。遠心分離(20℃、9000rpm、5分間)し、ろ紙(No.5-C)を用いてろ過した。0.5mLの上清に、2.5mLの0.5M NaCO、及び0.5mLのフェノール試薬(1/2希釈)を加え、30℃に設定した恒温槽で20分間保持した。分光光度計にて、660nmの吸光度を測定し、TCA可用性窒素量から遊離アミノ酸(チロシン換算)濃度を算出した。
(試験例2)
木槌を用いた細胞組織の物理的損傷を行わなかった以外は試験例1と同様に軟体動物の肉材を製造した。各サンプルについて、遊離アミノ酸(チロシン換算)濃度を測定し、結果を表2に示した。
表2及び図2の結果より、内臓を除去した、加熱処理されていない軟体動物の肉材の細胞組織を物理的に損傷させた試験例1では、細胞組織を物理的に損傷させていない試験例2と比較して、経時的に遊離アミノ酸(チロシン換算)濃度が増加しており、内在性プロテアーゼが作用していることが分かった。

Claims (5)

  1. 内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を、先端が非尖鋭状の手段を用いて加圧し、前記軟体動物の肉材の細胞組織を物理的に損傷させる損傷工程と、
    前記損傷工程で得られた軟体動物の肉材を25℃~65℃で30分間以上保持する保持工程と、
    前記保持工程で得られた軟化した軟体動物の肉材を含む食品を110~140℃で加熱する工程と、を含むことを特徴とするレトルト食品の製造方法
  2. 前記損傷工程の前に、前記内臓を除去した、加熱処理していない軟体動物の肉材を冷凍し解凍する冷凍解凍工程を含む請求項1に記載のレトルト食品の製造方法
  3. 前記加圧が、叩くことによる加圧である請求項1又は2に記載のレトルト食品の製造方法
  4. 前記保持工程において、プロテアーゼを実質的に添加しない請求項1から3のいずれかに記載のレトルト食品の製造方法
  5. 前記軟体動物がイカである請求項1から4のいずれかに記載のレトルト食品の製造方法
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