JP7161688B2 - 手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載の感染症予測システムは、1日の感染症で外来を受診した患者の報告数をゴンベルツ曲線等の成長曲線に適用して、累積患者数の推移を予測する。
また、特許文献2に記載の感染症システムは、「糖尿病」、「肝疾患」等のリスクファクターに対するリスクスコアを示すリスクファクターDB(データベース)と、リスクスコアをリスクレベルに換算するためのリスクレベル判定基準DBとを用いて、医師が入力する患者情報から、患者(被検体)の感染源への抵抗レベルの5段階評価を算出する。
また、特許文献3に記載の侵襲管理方法では、手術前と手術後の血中アディポネクチン濃度を比較する。特許文献3では、術後感染した例では、術後感染しなかった例よりも血中アディポネクチンの低下が著しいとの測定結果が示されている。
患者の手術後感染症発症予測の際、医療従事者等の人の負担が小さいことが好ましい。例えば、特許文献2に記載されているように医師が入出力端末から患者情報を入力する形態では、医師に患者情報入力の負担が医師に生じる。患者情報の入力作業を不要にできれば、医師の負担を軽減することができる。
図1は、実施形態に係る手術後感染予測システムの装置構成を示す概略構成図である。図1に示すように、手術後感染予測システム1は、手術後感染予測装置100と、予測用電子カルテ提供装置910とを備える。
以下では、手術後感染予測システム1が手術後感染症予測を行う対象者(患者)を予測対象者と称する。
手術後感染予測装置100は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)、ワークステーション(Workstation)、または、タブレット(Tablet)端末装置等のコンピュータを用いて構成される。
機械学習を、単に学習とも称する。
あるいは、機械学習装置200の機械学習の結果が反映され、電子カルテのデータの入力に対して手術後感染症発症予測結果を出力する関数、テーブル、プログラム、あるいはこれらの組み合わせが、手術後感染予測装置100に実装されてもよい。
予測側表示部120は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示画面を備え、各種画像を表示する。特に、予測側表示部120は、手術後感染予測装置100が予測対象者について手術後感染症発症の可能性を予測した予測結果を表示する。
予測側制御部180は、手術後感染予測装置100の各部を制御して各種処理を実行する。予測側制御部180は、手術後感染予測装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が予測側記憶部170からプログラムを読み出して実行することで構成される。
ここでいう患者基本データは、電子カルテに記載されたデータのうち、患者の属性情報を示すデータである。患者基本データには、患者の性別、BMI、生活習慣、アレルギー、および、障害を示すデータが含まれる。
不実施項目補完部191は、予測対象者の電子カルテに示される検査項目のうち不実施の項目がある場合、その項目の値として、不実施を示す値として予め定められた値を挿入する。これにより、予測部183は、その項目の検査を実施していないという情報を用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。検査を実施したか否かは手術後感染症発症予測に有益な情報と考えられ、予測部183が行う手術後感染症発症予測の精度が向上することが期待される。
不実施項目補完部191が、不実施項目の補完を自動的に行うようにしてもよい。あるいは、不実施項目補完部191が、予測側表示部120を制御して電子カルテの不実施項目の部分を表示させ、手術後感染予測装置100が受け付けるユーザ操作に従って不実施項目の補完を行うようにしてもよい。
薬グルーピング部193が、処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の薬効を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。薬グルーピング部193によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、後述する機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、薬グルーピング部193によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
あるいは、薬グルーピング部193の処理が、前処理ではなく予測部183による手術後感染症発症予測の処理の一部として実行されるようにしてもよい。例えば、予測部183が、薬効分類コードの上位2桁の値が同じ薬を区別しない予測モデルを用いて手術後感染症発症予測を行うようにしてもよい。
また、後述する機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、手術グルーピング部194によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
あるいは、手術グルーピング部194の処理が、前処理ではなく予測部183による手術後感染症発症予測の処理の一部として実行されるようにしてもよい。例えば、予測部183が、ICD-10のコードの上位1桁の値が同じ手術を区別しない予測モデルを用いて手術後感染症発症予測を行うようにしてもよい。
また、後述する機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、病名グルーピング部195によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
あるいは、病名グルーピング部195の処理が、前処理ではなく予測部183による手術後感染症発症予測の処理の一部として実行されるようにしてもよい。例えば、予測部183が、病名グルーピング部195によるグルーピングで同じグループ属する病名を区別しない予測モデルを用いて、手術後感染症発症予測を行うようにしてもよい。
これにより、手術後感染予測装置100は、予測対象者の電子カルテに記載された特記事項に関するデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。手術後感染予測装置100が、より多くのデータに基づいて手術後感染症発症予測を行う点で、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができる。
あるいは、特記事項数値化部196が、予測側表示部120を制御して電子カルテにおける特記事項(コメント)の記載を表示させ、手術後感染予測装置100が受けるユーザ操作に従ってアレルギーに関する特記事項および障害に関する特記事項を抽出し計数するようにしてもよい。
前処理部182が行う前処理の各々は、手術後感染予測装置100に必須ではない。従って、手術後感染予測装置100が、前処理部182の各部のうち一部のみを備えていてもよいし、全部を備えていなくてもよい。
(1) 予測部183が、予測対象者の電子カルテから得られる時系列データの変化量を用いて、手術後感染症発症予測を行う。
ここで、体温など電子カルテに記載される測定データには、個人差がある。これに対して予測部183がデータの変化量を用いることで、個人差の影響を低減させることができ、この点で、手術後感染症発症予測を高精度に行うことができる。
(3) 予測部183が、上述した年齢別デフォルト値補完部192が前処理を行ったデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。すなわち、予測対象者の電子カルテに示される測定項目のうち測定が行われていない項目がある場合、予測部183が、その項目の値として、年齢に応じて定められたデフォルト値を用いて、手術後感染症発症予測を行う。
(5) 予測部183が、上述した手術グルーピング部194がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。
(6) 予測部183が、上述した病名グルーピング部195がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。
リハビリオーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者についてのリハビリオーダ数は、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
BMIデータと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてBMIデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者についてのBMIデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
喫煙の有無と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、予測対象者に対するアンケートで得らえたデータなど電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
手術時間の長さと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者に対する手術時間の長さを示すデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
放射線検査オーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者についての放射線検査オーダ数を示すデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
手術後感染症発症前に対策を行うために、手術後感染症発症の可能性をなるべく早期に把握できることが好ましい。一方、実験で、入院時のデータのみを用いる場合よりも、入院時のデータと手術前のデータとを用いた場合、あるいは、入院時のデータと手術前のデータと手術後のデータとを用いた方が、手術後感染症発症予測を高精度に行えるとの結果を得られた。
予測部183が、予測対象者の電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、予測部183が、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができ、かつ、予測結果を参照するユーザは、手術後感染症発症の可能性を比較的早期に把握可能である。
図3は、手術後感染予測システム1が手術後感染症発症予測を行う処理手順の例を示す図である。
図3の処理で、予測用電子カルテ提供装置910は、予測対象者の電子カルテを手術後感染予測装置100へ送信する(シーケンスS111)。手術後感染予測装置100では、予測側通信部110が、予測用電子カルテ提供装置910からの電子カルテを受信し、予測用データ取得部181が、電子カルテから各項目のデータを読み出す。
予測部183は、前処理部182が前処理を行ったデータを用いて手術後感染症発症予測を行う(シーケンスS122)。
予測側表示部120は、予測側制御部180の制御に従って、手術後感染症発症の予測結果を表示する(シーケンスS123)。
シーケンスS123の後、手術後感染予測システム1は、図3の処理を終了する。
図4は、手術後感染予測装置生産システム2の装置構成を示す概略構成図である。図4に示すように、手術後感染予測装置生産システム2は、機械学習装置200と、学習用電子カルテ提供装置920とを備える。機械学習装置200は、手術後感染予測装置100へ機械学習の結果を提供する。
機械学習装置200は、予測用電子カルテ提供装置910が蓄積する電子カルテから得られるデータを学習用データとして用いて、患者毎の手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習する。機械学習装置200は、例えばパソコンまたはワークステーション等のコンピュータを用いて構成される。
上述したように、機械学習装置200が機械学習する予測モデルの表現方法は、特定の方法に限定されない。
学習用電子カルテ提供装置920は、既に退院している患者の電子カルテを機械学習装置200に提供する。既に退院している患者については手術後感染症発症の有無が確定している。機械学習装置200は、この手術後感染症発症の有無を正解として教師あり学習を行うことができる。
学習側表示部220は、例えば液晶パネルまたはLEDパネル等の表示画面を備え、各種画像を表示する。学習側操作入力部230は、例えばキーボードおよびマウス等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。学習側表示部220および学習側操作入力部230は、例えば学習側表示部220が機械学習開始時の操作画面を表示して学習側操作入力部230が機械学習開始指示のユーザ操作を受け付けるなど、機械学習装置200におけるユーザインタフェースとして機能する。
学習側制御部280は、機械学習装置200の各部を制御して各種処理を実行する。学習側制御部280は、機械学習装置200が備えるCPUが学習側記憶部270からプログラムを読み出して実行することで構成される。
手術後感染予測装置100が、前処理部182による前処理の一部または全部を行わない場合、機械学習装置200も、前処理部182による前処理のうち手術後感染予測装置100が行う処理のみを行う。機械学習時と予測実行時とで前処理を同じにすることで、前処理の不一致に起因する予測精度の低下を防止できる。
(A) 機械学習実行部283は、学習用データとして、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合(1対1)で含まれるデータ取得対象者グループの電子カルテから得られるデータを用いる。
ここで、一般的には、手術後感染症発症者の割合は、手術後感染症非発症者の割合よりも少ない。これに対して、機械学習実行部283が、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合の学習用データを用いることで、再現率を高めることができる。すなわち、手術後感染予測装置100を参照する医師等に、手術後感染症を将来発症する患者について手術後感染症非発生との予測を提供してしまう頻度を低減させることができる。
機械学習実行部283が、手術後感染症発症の有無と関連性が低いと判定された項目を除外することで、それ以降の機械学習実行部283の処理負荷を低減させることができる。
図6は、手術後感染予測装置生産システム2が手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習して手術後感染予測装置100に実装する処理手順の例を示す図である。
図6の処理で、学習用電子カルテ提供装置920は、学習データ用の電子カルテを機械学習装置200へ送信する(シーケンスS211)。機械学習装置200では、学習側通信部210が、学習用電子カルテ提供装置920からの電子カルテを受信し、学習用データ取得部281が、電子カルテから各項目のデータを読み出す。
機械学習実行部283は、前処理部182が前処理を行ったデータを用いて機械学習を行う(シーケンスS222)。
機械学習装置200は、学習結果として得られた手術後感染症発症予測の予測モデルを手術後感染予測装置100へ送信して、この予測モデルを手術後感染予測装置100実装させる(シーケンスS231)。
シーケンスS231の後、手術後感染予測装置生産システム2は、図6の処理を終了する。
手術後感染予測装置100によれば、電子カルテを用いて患者毎の手術後感染症発症予測を行うことができ、医療従事者等が手術後感染症発症予測のためにデータを別途用意する必要がない。手術後感染予測装置100によればこの点で、患者毎の手術後感染症発症予測を行うための、人の負担を比較的小さくすることができる。
体温など電子カルテに記載される測定データには、個人差がある。これに対して予測部183がデータの変化量を用いることで、個人差の影響を低減させることができ、この点で、手術後感染症発症予測を高精度に行うことができる。
これにより、予測部183は、その項目の検査を実施していないという情報を用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。検査を実施したか否かは手術後感染症発症予測に有益な情報と考えられ、予測部183が行う手術後感染症発症予測の精度が向上することが期待される。
年齢別デフォルト値補完部192が、予測対象者の年齢に応じたデフォルト値を補完することで、年齢にかかわらず一定値のデフォルト値を補完する場合よりも、実際の値に近い値となることが期待される。年齢別デフォルト値補完部192によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
薬グルーピング部193が、処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の薬効を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。薬グルーピング部193によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、薬グルーピング部193によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
手術グルーピング部194が、手術をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の手術を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。手術グルーピング部194によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、手術グルーピング部194によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
病名グルーピング部195が、病名をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の病気を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。病名グルーピング部195によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、病名グルーピング部195によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
これにより、手術後感染予測装置100は、予測対象者の電子カルテに記載されたコメントに関するデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。手術後感染予測装置100が、より多くのデータに基づいて手術後感染症発症予測を行う点で、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができる。
リハビリオーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
BMIと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてBMIを示すデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
喫煙の有無と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
手術時間の長さと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
放射線検査オーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測部183が、予測対象者の電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、予測部183が、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができ、かつ、予測結果を参照するユーザは、手術後感染症発症の可能性を比較的早期に把握可能である。
この手術後感染予測装置生産方法によれば、電子カルテを用いて手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習することができ、医療従事者等の人が機械学習のためにデータを別途用意する必要がない。この手術後感染予測装置生産方法によればこの点で、手術後感染症発症予測の予測モデルの機械学習を行うための、人の負担が比較的小さい。
ここで、一般的には、手術後感染症発症者の割合は、手術後感染症非発症者の割合よりも少ない。これに対して、この手術後感染予測装置生産方法では、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合の学習用データを用いることで、再現率を高めることができる。すなわち、この手術後感染症予測装置生成方法によれば、学習結果を用いる手術後感染予測装置100、あるいは手術後感染予測装置100による手術後感染症発症確率の予測を参照する医師等が、手術後感染症を将来発症する患者を手術後感染症非発生と予測する確率を低減させることができる。
この手術後感染予測装置生産方法によれば、手術後感染症発症の有無と関連性が低いと判定された項目を除外することで、それ以降の機械学習の処理負荷を低減させることができる。
図7は、実施形態に係る手術後感染予測装置の構成の例を示す図である。図7に示す手術後感染予測装置10は、データ取得部11と、予測部12と、表示部13と、を備える。
かかる構成似て、データ取得部11は、電子カルテからデータを取得する。予測部12は、データ取得部11が取得したデータに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。表示部13は、手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する。
手術後感染予測装置10によれば、電子カルテを用いて患者毎の手術後感染症発症予測を行うことができ、医療従事者等の人が手術後感染症発症予測のためにデータを別途用意する必要がない。手術後感染予測装置10によればこの点で、患者毎の手術後感染症発症予測を行うための、人の負担が比較的小さい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
電子カルテからデータを取得するデータ取得部と、
前記データに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する予測部と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する表示部と、
を備える手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記電子カルテから得られる時系列データの変化量を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1に記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記電子カルテに示される検査項目のうち不実施の項目がある場合、その項目の値として、不実施を示す値として予め定められた値を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1または付記2に記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記電子カルテに示される測定項目のうち測定が行われていない項目がある場合、その項目の値として、年齢に応じて定められたデフォルト値を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から3の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記電子カルテから得られるデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う薬グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記薬グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から4の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記電子カルテから得られるデータに示される手術についてグルーピングを行う手術グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記手術グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から5の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記電子カルテから得られるデータに示される病名についてグルーピングを行う病名グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記病名グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から6の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記電子カルテに示される、アレルギーに関する特記事項の記録回数、および、障害に関する特記事項の記載回数のうち少なくとも何れか一方を示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から7の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から8の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記予測対象者についてBMIを示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から9の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から10の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から11の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から12の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
前記予測部は、前記電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から13の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
電子カルテからデータを取得する工程と、
学習用データとして前記データを用いて、電子カルテの記載事項と手術後感染症発症の可能性との関係を機械学習する工程と、
得られた前記関係を用いて、付記1から14の何れか一つに記載の手術後感染予測装置を生産する工程と、
を含む手術後感染予測装置生産方法。
前記学習用データとして、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合で含まれるデータ取得対象者グループの電子カルテから得られるデータを用いる、
付記15に記載の手術後感染予測装置生産方法。
電子カルテに示される項目のうち、前記機械学習を所定回数行って、手術後感染症発症の有無との関連性が所定基準以下とされた項目を除外する、
付記15または付記16に記載の手術後感染予測装置生産方法。
手術後感染予測装置が、電子カルテからデータを取得する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記データに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を含む手術後感染予測方法。
コンピュータに、
電子カルテからデータを取得する工程と、
前記データに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を実行させるためのプログラム。
2 手術後感染予測装置生産システム
10、100 手術後感染予測装置
11 データ取得部
12、183 予測部
13 表示部
110 予測側通信部
120 予測側表示部
130 予測側操作入力部
170 予測側記憶部
180 予測側制御部
181 予測用データ取得部
182 前処理部
191 不実施項目補完部
192 年齢別デフォルト値補完部
193 薬グルーピング部
194 手術グルーピング部
195 病名グルーピング部
196 特記事項数値化部
200 機械学習装置
210 学習側通信部
220 学習側表示部
230 学習側操作入力部
270 学習側記憶部
280 学習側制御部
281 学習用データ取得部
283 機械学習実行部
910 予測用電子カルテ提供装置
920 学習用電子カルテ提供装置
Claims (12)
- 電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得するデータ取得部と、
前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う薬グルーピング部と、
前記薬グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する予測部と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する表示部と、
を備える手術後感染予測装置。 - 前記予測部は、前記電子カルテに示される、アレルギーに関する特記事項の記録回数、障害に関する特記事項の記載回数、手術時における投与薬剤、および術式のデータのうち、少なくとも何れか1つを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1に記載の手術後感染予測装置。 - 前記予測部は、前記予測対象者についてBMIを示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1または請求項2に記載の手術後感染予測装置。 - 前記予測部は、前記予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から3の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。 - 前記予測部は、前記予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から4の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。 - 前記予測部は、前記予測対象者についての放射線検査の回数に基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から5の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。 - 前記電子カルテから得られたデータに示される手術についてグルーピングを行う手術グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記電子カルテから得られたデータに対して手術についてのグルーピングが行われたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から6の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。 - 前記電子カルテから得られたデータに示される病名についてグルーピングを行う病名グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記病名グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から7の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。 - 前記電子カルテに示される検査項目のうち不実施の検査項目の割合が所定の閾値以下である場合、不実施の検査項目を入力データの項目に含む予測モデルを選択し、前記電子カルテに示される検査項目のうち不実施の検査項目の割合が所定の閾値より多い場合、不実施の検査項目を入力データの項目に含まない予測モデルを選択する不実施項目補完部を備え、
前記予測部は、前記データ取得部が取得したデータ、または、前記データ取得部が取得したデータに基づくデータを前記予測モデルに入力して手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から8の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。 - 電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、
前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、
前記薬グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
学習用データとして、前記電子カルテから得られたデータに対してグルーピングが行われた後のデータを用いて、電子カルテの記載事項と手術後感染症発症の可能性との関係を機械学習する工程と、
得られた前記関係を用いて、請求項1から6の何れか一項に記載の手術後感染予測装置を生産する工程と、
を含む手術後感染予測装置生産方法。 - 手術後感染予測装置が、電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記薬効に基づくグルーピングを行う工程でグルーピングが行われたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を含む手術後感染予測方法。 - コンピュータに、
電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、
前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、
前記薬効に基づくグルーピングを行う工程でグルーピングが行われたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を実行させるためのプログラム。
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大久保 憲,周術期感染の対策 Perioperative infection control,別冊・医学のあゆみ 感染症と感染制御Update,日本,医歯薬出版株式会社,2010年09月21日,29-34頁 |
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