JP7161518B2 - 植物材料からの蛋白質の単離のための方法 - Google Patents

植物材料からの蛋白質の単離のための方法 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪種子などの植物材料から蛋白質を抽出、精製及び単離するための方法に関し、蛋白質単離物に関し、及び該方法によって得られる蛋白質単離物に関する。本発明は更に蛋白質単離物、及び該方法によって得られる蛋白質単離物の、食品における使用に関する。
環境に有害でない方法、且つ経済的及び技術的観点から実行可能な方法によって生成された、十分な栄養品質の食品を、増加するヒトの人口に供給する喫緊の必要性がある。
この必要性は、ヒトの世界人口が2050年までに90億人超に達すると見積もられているため、来たる数十年において増加することが予想される。
耕地及び水のような天然資源の使用、温室効果ガスの大気への排出、並びに抗生物質、成長ホルモン等による水蒸気の汚染の観点から、農業は環境に対する悪影響の大きな原因であり、更にはこれらの潜在的に有害な物質を、家畜から生成される食品へ意図的でなく散布する原因であることが知られているため、肉、特に赤身の肉の生産を増加させることは、この問題を解決するための最適な方法ではないだろう。
ヒトによる蛋白質摂取についての需要は、動物起源からよりむしろ植物材料からの蛋白質の消費によって、より良好に満足することができるという、栄養の専門家の間の共通認識がある。しかし、植物材料起源の蛋白質に伴う特有の問題は、種子、豆果、果実及び穀粒のような天然の発生の形態において、これらが通常、繊維、多糖、脂肪、脂質、微量栄養素、及びフェノール性化合物、フィタート等のような抗栄養因子を含む複雑なマトリクスに包埋されていることである。食品配合物中の成分として適用するためには、これらの蛋白質を供給源材料から抽出し、精製された、又は少なくとも濃縮された形態で単離する必要がある。それに加えて、多くの食品用途において、溶解性、脂肪及び油との安定なエマルションを形成する能力、安定なフォームを形成する能力等の天然の機能的特性を、これらの蛋白質が保持することが重要である。
先行技術は蛋白質単離物を得るために、水性及び有機溶媒を連続的に使用することを包含する一連のステップに植物材料を供する方法を開示している。
WO02/060273A1は、攪拌装置を用いた水によるヒマワリミールからの蛋白質の抽出、それに続くエタノールを用いた溶解性蛋白質の沈殿を扱っている。
WO2011/057407A1はナタネ/アブラナから、蛋白質濃縮物及び単離物を得るための方法を開示している。エタノールを蛋白質混合物に水と共に加え、溶解性蛋白質が溶液から沈殿するプロセスが開示されている。
WO2013/013949A1において、蛋白質沈殿を得るために、(a)水溶液による蛋白質の抽出、(b)濃縮、並びに(c)メタノール、エタノール及びアセトンなどの水混和性有機溶媒の追加のステップを含む、オイルケークから蛋白質を単離するための蛋白質単離プロセスが開示されている。蛋白質の抽出は、粗製植物蛋白質源の水中懸濁液を供給し、STRタイプの装置において懸濁液を撹拌することによって実施される。蛋白質の単離は、水と水混和性溶媒との混合物からの沈殿を乾燥させることによって達成される。
これら前述のプロセスは、フェノール性化合物のような抗栄養因子から蛋白質を単離する手段及び精製する手段を提供する一方、これらは、例えば脂肪種子及びそのケークなどの植物材料中の油、脂肪及び脂質などの(多量の)無極性化合物及び不純物の除去の課題に対処するものではない。これらの不純物は、最終的な蛋白質単離物まで送られた場合、生成物をより不安定にし、保存の際の劣化をより受けやすくするであろう。高い脂肪含量は、溶解性及び脂肪と安定なエマルションを形成する能力のような、蛋白質生成物の機能的特性も低下させるであろう。
本発明の目的は、植物材料、好ましくは未加工植物材料から、特にかなりの量の油、脂肪及び/又は脂質を含有する植物材料から、精製された、又は少なくとも濃縮された形態で蛋白質を単離するための方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、該植物材料から、精製された、又は少なくとも濃縮された形態で蛋白質を単離するための方法であって、天然の蛋白質の機能的特性が方法の間保持され、得られる蛋白質単離物がヒトの消費に好適である方法を提供することである。
本発明のやはり更なる目的は、該植物材料から精製された、又は少なくとも濃縮された形態で蛋白質を単離するための、経済的に実行可能な方法を提供することである。
本発明は、脂肪種子、豆果及びレンズマメなどの、かなりの量の油、脂肪及び/又は脂質を含有する植物材料、好ましくは未加工植物材料から、天然の機能的な蛋白質単離物を首尾よく得ることができる、拡張性があり経済的に存続可能な方法を提供することによって、上の目的に対処する。これは、植物材料の適当な前処理、続いて水性溶媒を用いた温和且つ非破壊的条件下で蛋白質を抽出する方法、続いてGRAS有機溶媒の新規な組み合わせを用いた、分別、濃縮及び更なる精製によって達成することができる。言い換えれば、水溶液中の蛋白質の濃縮物は、先行技術において公知の抽出、分別及び濃縮技法を用い、続いて水性抽出溶媒を、次に適用される溶媒の極性が低下していく順序の、少なくとも2種の他の溶媒によって置換することを用いて製造され、
i) したがって、最初の抽出ステップのために用いる第1の水性溶媒の主成分は水であり、
ii) 第2の溶媒の主成分は、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールの群に属し、
iii) 第3の溶媒の主成分は、室温で第2の溶媒に混和性であるが、第1の溶媒には部分的にのみ混和性である有機エステルの群に属する無極性溶媒である。
したがって、本発明の第1の態様は、植物材料から蛋白質単離物を製造するための方法に関し、該植物材料は乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含み、該方法は
a) 植物材料を破砕又は微粉砕して、固体ケークを生成するステップ、
b) ステップa)において得た固体ケークを、第1の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の水を含む第1の溶媒を用いて抽出して、第1の固体画分と第1の液体画分との混合物を得るステップ、
c) 第1の固体画分から第1の液体画分を分離するステップ、
d) ステップc)において得た第1の液体画分から蛋白質濃縮物を製造するステップであって、蛋白質濃縮物は、蛋白質濃縮物の総重量を基準として50~90重量%の水を含み、蛋白質は第1の溶媒中に溶解しており、且つ/又は蛋白質は第2の固体画分中に存在し、濃縮物中の蛋白質含量が濃縮物の総乾燥重量を基準として少なくとも40重量%である、ステップ、
e) ステップd)において得た蛋白質濃縮物に第2の溶媒を加えるステップであって、第2の溶媒は、第2の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールを含む、ステップ、
f) ステップe)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第2の液体画分と第3の固体画分とに分離するステップであって、第3の固体画分の蛋白質含量が第3の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも60重量%である、ステップ、
g) ステップf)において得た第3の固体画分に、第3の溶媒を加えるステップであって、該第3の溶媒は、第3の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルを含み、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルは、室温において、第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、且つ第2の溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量は、全体としての液相が別個の液相に分離しないように選択される、ステップ、
h) ステップg)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第3の液体画分と第4の固体画分とに分離するステップであって、第4の固体画分の蛋白質含量が第4の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
i) 蛋白質単離物を得るために、ステップh)において得た第4の固体画分を、真空乾燥、噴霧乾燥、過熱水蒸気乾燥、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法に供するステップであって、蛋白質含量が蛋白質単離物の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
を含む。
植物材料は未加工植物材料であることが好ましい。本発明は更に、乾物を基準として、少なくとも70重量%の天然の植物系蛋白質、1重量%未満の炭水化物(単糖)、0.2重量%未満、好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満のフェノール性化合物を含み、6個以上の炭素原子を有する有機又はミネラル溶媒を含まない、蛋白質単離物に関する。
本発明はまた、本明細書においてこれまでに規定した方法によって得られる蛋白質単離物に関する。
やはり更なる態様では、本発明は、本明細書においてこれまでに規定した、又は本明細書においてこれまでに規定した方法によって得られる蛋白質単離物の、食品における使用に関する。
本発明の一態様を以下に示す。
[発明1]
植物材料から蛋白質単離物を製造するための方法であって、前記植物材料が乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含み、
a) 植物材料を破砕又は微粉砕して、固体ケークを生成するステップ、
b) ステップa)において得た固体ケークを、第1の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の水を含む第1の溶媒を用いて抽出して、第1の固体画分と第1の液体画分との混合物を得るステップ、
c) 第1の固体画分から第1の液体画分を分離するステップ、
d) ステップc)において得た第1の液体画分から蛋白質濃縮物を製造するステップであって、蛋白質濃縮物が、蛋白質濃縮物の総重量を基準として50~90重量%の水を含み、蛋白質が第1の溶媒中に溶解しており、且つ/又は蛋白質が第2の固体画分中に存在し、濃縮物中の蛋白質含量が、濃縮物の総乾燥重量を基準として少なくとも40重量%である、ステップ、
e) ステップd)において得た蛋白質濃縮物に第2の溶媒を加えるステップであって、第2の溶媒が、第2の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールを含む、ステップ、
f) ステップe)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第2の液体画分と第3の固体画分とに分離するステップであって、第3の固体画分の蛋白質含量が、第3の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも60重量%である、ステップ、
g) ステップf)において得た第3の固体画分に、第3の溶媒を加えるステップであって、前記第3の溶媒が、第3の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルを含み、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルが、室温において、第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、且つ第2の溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量が、全体としての液相が別個の液相に分離しないように選択される、ステップ、
h) ステップg)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第3の液体画分と第4の固体画分とに分離するステップであって、第4の固体画分の蛋白質含量が、第4の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
i) 蛋白質単離物を得るために、ステップh)において得た第4の固体画分を、真空乾燥、噴霧乾燥、過熱水蒸気乾燥、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法に供するステップであって、蛋白質含量が、蛋白質単離物の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
を含む上記方法。
[発明2]
ステップa)の前に植物材料を、機械的手段を用いて、好ましくはコールドプレスを用いて、少なくとも部分的に脱脂する、発明1に記載の方法。
[発明3]
機械的手段を用いる脱脂ステップにおいて、有機溶媒もミネラル溶媒も用いない、発明2に記載の方法。
[発明4]
植物材料が乾燥重量基準で、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%の脂肪、油及び脂質を含む、発明1~3のいずれかに記載の方法。
[発明5]
ステップb)における抽出を低剪断条件下で実行する、発明1~4のいずれかに記載の方法。
[発明6]
ステップb)とc)との間に、ステップb)において得た第1の固体画分と第1の液体画分との混合物中に存在する脂肪、油及び脂質の少なくとも一部を、好ましくは遠心分離、濾過、又はこれらの組み合わせを用いて除去する、発明1~5のいずれかに記載の方法。
[発明7]
ステップc)における第1の固体画分から第1の液体画分の分離を、遠心分離、濾過、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて実行する、発明1~6のいずれかに記載の方法。
[発明8]
ステップd)において、非蛋白質成分の少なくとも一部を除去するために第1の液体画分を1つ若しくは複数の透析濾過ステップに供し、且つ/又は第1の液体画分を蒸発ステップに供する、発明1~7のいずれかに記載の方法。
[発明9]
ステップb)における第1の溶媒が、水である、又は塩を含み任意選択により更なる添加剤を含む水溶液である、発明1~8のいずれかに記載の方法。
[発明10]
1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、発明1~9のいずれかに記載の方法。
[発明11]
1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールがエタノールである、発明10に記載の方法。
[発明12]
ステップb)において用いる第1の溶媒対ステップe)において用いる第2の溶媒の重量比が1:10~1:1、好ましくは1:3~2:3である、発明1~11のいずれかに記載の方法。
[発明13]
ステップg)において用いる第3の溶媒中の、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルが酢酸エチルである、発明1~12のいずれかに記載の方法。
[発明14]
ヘキサンなどの、6個以上の炭素原子を有する有機又はミネラル溶媒を用いずに実行する、発明1~13のいずれかに記載の方法。
[発明15]
0~50℃、好ましくは10~20℃の温度で実行する、発明1~14のいずれかに記載の方法。
[発明16]
5~8のpHで実行する、発明1~15のいずれかに記載の方法。
[発明17]
ステップf)の後且つステップg)の前の第3の固体画分を、第2の溶媒と第1の溶媒との混合物を用いる追加の洗浄ステップに、続いて固液分離ステップに供する、発明1~16のいずれかに記載の方法。
[発明18]
ステップh)の後且つステップi)の前の第4の固体画分を、第3の溶媒を用いた追加の洗浄ステップに、続いて固液分離ステップに供する、発明1~17のいずれかに記載の方法。
[発明19]
植物材料が、野菜、果実、種子、豆果、穀粒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、発明1~18のいずれかに記載の方法。
[発明20]
植物材料が、ナタネ、アブラナ、ヒマワリ、ベニバナ及び綿実を含む脂肪種子、ダイズを含む豆類、並びに、ヒヨコマメ、赤、緑、黄及び茶レンズマメを含む他の豆、豆果及びエンドウ、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、発明1~19のいずれかに記載の方法。
[発明21]
植物材料が、ナタネ、アブラナ、ヒマワリ種子、亜麻仁、ベニバナ種子、綿実を含む脂肪種子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、植物材料が好ましくはナタネである、発明19に記載の方法。
[発明22]
蛋白質単離物が、乾物を基準として少なくとも95重量%の植物系蛋白質を含む、発明1~21のいずれかに記載の方法。
[発明23]
蛋白質単離物が、乾物を基準として少なくとも70重量%の天然の植物系蛋白質を含む、発明1~22のいずれかに記載の方法。
[発明24]
植物材料が未加工植物材料である、発明1~23のいずれかに記載の方法。
[発明25]
乾物を基準として、少なくとも70重量%の天然の植物系蛋白質、1重量%未満の炭水化物、0.2重量%未満のフェノール性化合物を含み、6個以上の炭素原子を有する有機溶媒又はミネラル溶媒を含まない、蛋白質単離物。
[発明26]
発明1~24のいずれかに記載の方法によって得られうる、蛋白質単離物。
[発明27]
乾物を基準として2重量%未満の脂肪、油及び脂質を含む、発明25又は26に記載の蛋白質単離物。
[発明28]
発明25~27のいずれかに記載の蛋白質単離物の、食品における使用。
実施例において用いたALSEOS 7Lシステムの模式図を示し、(1)は第1の溶媒を表し、(2)は円筒濾過要素、100マイクロメートルのワイヤメッシュ、0.1mを表し、(3)は微粉砕供給源材料を表し、(4)はALSEOSカラム、ID 0.1m、H 1mを表し、(5)は濾液(=粗抽出物、=第1の液体画分)を表す。 例1及び2に記載する本発明の方法の概略図を示す。 例の実施1aにおいて得た蛋白質単離物に対応するSECクロマトグラムを示す。 例の実施1bにおいて得た蛋白質単離物に対応するSECクロマトグラムを示す。 例の実施1cにおいて得た蛋白質単離物に対応するSECクロマトグラムを示す。 例3に記載する本発明の方法の概略図を示す。
定義及び省略形
本明細書において用いる「ミール」という用語は、小麦粉など、粉末形態における植物材料を指し、該植物材料は、ヘキサンなどの有機又はミネラル溶媒によって油又は脂質を抽出し、その後水蒸気で温めることによって該溶媒を除去することにより、これらの油又は脂質を実質的に欠いている。本明細書において用いる「ミネラル溶媒」という用語は、クラッキング、精製及び/又は精留のプロセスによって、石油又は瀝青炭のような化石堆積物から誘導された溶媒を指す。本明細書において用いる「植物材料」という用語は従来の意味を有し、野菜、果実、種子、豆果及び穀粒を包含する植物に由来する材料を指す。本明細書において用いる「未加工植物材料」という用語は従来の意味を有し、本発明による方法によって、粗製植物材料中に元々存在する蛋白質を含有する蛋白質単離物などの、新しく有用な生成物に変換することができる粗製植物材料を指す。本明細書において用いる「室温」という用語は、18~25℃の温度である。
「GRAS溶媒」という省略形は、「一般に安全であると考えられる」溶媒を表し、産業のためのガイダンス、Q3C-表及びリスト、米国保健福祉省、米国食品医薬品局医薬品評価研究センター(CDER)、生物製品評価研究センター(CBER)、2012年2月、ICH、改訂2に準拠して、クラス3に属する。この点においては、https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm073395.pdfを参照する。
「TFF」という省略形は「タンジェンシャルフロー濾過」を表す。「EAI」及び「ESI」という省略形はそれぞれ、「乳化活性指数」及び「乳化安定指数」を表す。「STR」という省略形は「撹拌槽型反応器」を表す。「ALSEOS」という省略形は「脂肪種子の水性低剪断抽出」を表す。「CV」、「G」、「rpm」、「TMP」、「DW」及び「NS」という省略形はそれぞれ、「カラム体積」、「重力」、「回転毎分」、「膜間圧力」、「乾燥重量」及び「窒素溶解度」を表す。「EA」という省略形は酢酸エチルを表す。
第1の態様では、本発明は植物材料から蛋白質単離物を製造するための方法を提供し、該植物材料は乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含み、該方法は
a) 植物材料を破砕又は微粉砕して、固体ケークを生成するステップ、
b) ステップa)において得た固体ケークを、第1の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の水を含む第1の溶媒を用いて抽出して、第1の固体画分と第1の液体画分との混合物を得るステップ、
c) 第1の固体画分から第1の液体画分を分離するステップ、
d) ステップc)において得た第1の液体画分から蛋白質濃縮物を製造するステップであって、蛋白質濃縮物は、蛋白質濃縮物の総重量を基準として50~90重量%の水を含み、蛋白質は第1の溶媒中に溶解しており、且つ/又は蛋白質は第2の固体画分中に存在し、濃縮物中の蛋白質含量が濃縮物の総乾燥重量を基準として、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%である、ステップ、
e) ステップd)において得た蛋白質濃縮物に第2の溶媒を加えるステップであって、第2の溶媒は、第2の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールを含む、ステップ、
f) ステップe)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第2の液体画分と第3の固体画分とに分離するステップであって、第3の固体画分の蛋白質含量が第3の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも60重量%である、ステップ、
g) ステップf)において得た第3の固体画分に、第3の溶媒を加えるステップであって、該第3の溶媒は、第3の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルを含み、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルは、室温において、第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、且つ第2の溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量は、全体としての液相が別個の液相に分離しないように選択される、ステップ、
h) ステップg)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第3の液体画分と第4の固体画分とに分離するステップであって、第4の固体画分の蛋白質含量が第4の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
i) 蛋白質単離物を得るために、ステップh)において得た第4の固体画分を、真空乾燥、噴霧乾燥、過熱水蒸気乾燥、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法に供するステップであって、蛋白質含量が蛋白質単離物の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
を含む。
好ましくは、乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含む植物材料は未加工植物材料である。乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含む植物材料は、好ましくは、野菜、果実、種子、豆果、穀粒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
より好ましい実施形態では、乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含む植物材料は、ナタネ、アブラナ、ヒマワリ、ベニバナ及び綿実を含む脂肪種子、ダイズを含む豆類、並びに、ヒヨコマメ、赤、緑、黄及び茶レンズマメを含む他の豆、豆果及びエンドウ、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
更により好ましい実施形態では、乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含む植物材料は、ナタネ、アブラナ、ヒマワリ種子、亜麻仁、ベニバナ種子、綿実を含む脂肪種子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
最も好ましい実施形態では、乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含む植物材料は、アブラナ(brassica)科及びセイヨウアブラナ(Brassica napus)種又はカラシナ(Brassica juncea)種に属するナタネである。
ナタネ、アブラナ、ヒマワリ、ベニバナ、綿実等のような脂肪種子、ダイズなどの豆類、並びにヒヨコマメ、赤、緑、黄及び茶レンズマメ等などの他の豆、豆果及びエンドウなどの植物材料、特に未加工植物材料は、天然の蛋白質の含量の大部分が、アルブミン及び/又はグロブリンと呼ばれる蛋白質クラスに属し、すなわちこれらは水、並びに/又はNH 、Li、Na、K、Mg+2、Ca+2のようなカチオン及び/若しくはCl、SO -2、SO -2、HSO のようなアニオン等を含有する無機塩の水溶液に溶解性であるという共通の特性を共有する。蛋白質の他に、これらの植物材料は典型的に、植物材料のタイプに応じて様々な割合で存在する、他のタイプの化合物も含有する。該他の化合物は典型的には、糖類(多糖、オリゴ糖、単糖)、デンプン、フィタート、フェノール性化合物、繊維状成分、非蛋白質窒素化合物等である。植物材料中に存在しうる成分の1つの顕著且つ独特なクラスは、脂肪、油、リン脂質、糖脂質等のような脂質を包含し、4~28個の範囲内の複数の炭素原子を有する脂肪酸から構成される分子構造に、非極性部分を有するという共通の特性を特徴とする。
当業者は、本発明の教示に従って加工する前に、丸ごとの種子、豆又は穀粒の形態における植物材料を、外皮除去のような予備選別及び/又は乾式分別(すなわち、種子の莢及び外層の除去)に供してもよいことを理解するであろう。このような操作は、乾式分別によって除去することができる部分の蛋白質含量が、蛋白質単離物を得る目的で更なる加工に供するであろう部分の蛋白質含量より著しく低い場合に、特に有利でありうる。
したがって、好ましい実施形態では、植物材料が丸ごとの種子、豆又は穀粒を含む、本明細書においてこれまでに規定した方法は、ステップa)の前に植物材料を予備選別及び/又は乾式分別、好ましくは外皮除去に供するステップを含む。
典型的に、脂肪種子及びダイズについて、植物材料中に存在する脂肪、油及び脂質の部分を、脂肪種子ケークを生成するための押出若しくはコールドプレスなどの機械的手段によって、植物材料から抽出してもよく、又は該脂肪、油及び脂質を、ヘキサンなどの無極性且つ親油性溶媒中での抽出などの化学的手段によって抽出することができる。ヘキサン抽出を使用する従来のプロセスでは、意図的に設計した脱溶媒化装置/温めステップにおいて、ヘキサンの残留物をミールから除去するために、蒸気及び高温を典型的に使用する。このような処理は、ミール中に存在する蛋白質の部分的及び不可逆な変性、並びに溶解性及び/又は脂質との安定なエマルションを形成する能力などの関連する機能的特性を損なうことによって、ミール中の蛋白質の品質に対する悪影響を有する場合がある。
好ましい実施形態では、ステップa)の前に植物材料を、機械的手段を用いて、好ましくはコールドプレスを用いて、少なくとも部分的に脱脂する。好ましくは、機械的手段を用いる脱脂ステップにおいて、有機溶媒もミネラル溶媒も用いない。
本明細書においてこれまでに規定した方法の利点は、植物材料がかなりの量の脂肪、油及び/又は脂質を含有する場合に最も顕著となる。したがって、好ましい実施形態では、植物材料は、乾燥重量基準で少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、更により好ましくは少なくとも15重量%の脂肪、油及び脂質を含む。
非常に好ましい実施形態では、植物材料を75℃より高い温度に加熱しない。
指示したように、植物材料の破砕又は微粉砕を実行する。これは、抽出のために用いる第1の水溶液への植物材料の分散及び懸濁を促進するために、必要なステップである。このようにすることによって、破砕又は微粉砕された植物材料と、抽出のために用いる第1の溶媒との間の効果的な物質移動のための条件が容易になる。
好ましい実施形態では、ステップb)における第1の溶媒は、水である、又は塩を含み任意選択により更なる添加剤を含む水溶液である。
破砕又は微粉砕された植物材料から第1の溶媒への蛋白質の抽出は、
a) STR中で混合すること、
b) 充填床として固定化された、破砕又は微粉砕された植物材料を、充填床に浸透した第1の溶媒と接触させること、
c) 破砕又は微粉砕された植物材料を、上方に流動している第1の溶媒に懸濁させることによって接触させること、
d) 破砕又は微粉砕された植物材料を、重力及び/又は遠心力の作用によって第1の溶媒中に沈殿させることによって、第1の溶媒と接触させること、
などの、懸濁又は分散した固相と第1の溶媒の連続液相との間の物質移動を促進するのに好適な、任意の技法によって達成されうる。
当業者は、破砕又は微粉砕された植物材料を、第1の溶媒と接触させるこれらの手段及び機構のすべては、接触させる装置において発生する剪断の量によって特徴づけられる2つの異なるクラスに分けられることを認める。充填床、膨張床、若しくは流動床のような低剪断モードの操作において、又は重力による沈殿中、接触装置における剪断力及び速度の勾配はとても低レベルであるため、破砕又は微粉砕された植物材料の完全性が実質的に保存され、破砕又は微粉砕された植物材料と第1の溶媒との間の物質移動は、主として破砕又は微粉砕された植物材料から、停滞している又は穏やかに流動している第1の溶媒への溶解性成分の拡散によって支配され、一方、繊維及び脂質のような不溶性成分は主としてそのまま残り、固体マトリクスに絡め取られる。対照的に、特に撹拌機の付近では撹拌による剪断速度が100[1/s]を超えるであろう、STRのような高剪断モードの操作を使用する場合、攪拌装置によって発生する速度勾配及び又は乱流の破壊的な効果のため、破砕又は微粉砕された植物材料の完全性は一般に保存されないであろう。事実上、破砕又は微粉砕された植物材料の粒子が断片化を受け、その結果、微粒子及び脂質のような構成成分を液相中に放出しうる。これらの微粒子及び脂質の放出は、抽出ステップの更に下流のプロセスに対する悪影響を有しうる。高剪断装置における蛋白質と脂質との共抽出もまた、マイクロエマルションの形成を招く場合があり、蛋白質、脂質、固体微粒子及び抗栄養因子がグリス様の無定形体に補足され、加工装置に複数の深刻な問題をもたらし、蛋白質の分別、精製及び単離のプロセスが実行不可能になる。したがって、好ましい実施形態では、ステップb)における蛋白質の抽出を低剪断条件下で実行する。
第1の溶媒に懸濁又は分散した、破砕又は微粉砕された植物材料からの蛋白質の抽出は、バッチ式、半連続又は完全連続モードの操作で実施することができる。十分な量の接触時間、典型的には2~8時間、より好ましくは4~6時間を与えられると、蛋白質のかなりの部分が破砕又は微粉砕された植物材料から放出され、第1の溶媒に溶解し、第1の液体画分(「粗抽出物」とも呼ぶ)と、可溶化していない残留材料を含有する第1の固体画分とを得るであろう。
第1の液体画分は、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法によって、第1の固体画分から分離することができる。
第1の液相中に存在しうる固体微粒子及び/又は脂質の除去を目的として、任意選択により、第1の固体画分から分離した後の第1の液体画分を、自己洗浄フィルタ若しくはデプスフィルタのような濾過装置を用いる別の固液分離ステップに供してもよく、又は第1の液体画分を、ディスクスタック遠心分離機若しくは類似の装置において遠心分離に供してもよい。第1の液体画分から得たこのような中間液相を、「清澄化抽出物」と呼ぶ。
本明細書においてこれまでに規定したように、蛋白質濃縮物を製造するために、粗抽出物又は清澄化抽出物の形態における第1の液体画分を、ステップd)において濃縮ステップに供する。この濃縮ステップは好ましくは限外濾過、蒸発、又はこれらの組み合わせを含む。本発明の一実施形態において、第1の液体画分をステップd)において、中空繊維タイプの濾過膜、セラミック膜又はスパイラル型膜を備えるTFF装置において限外濾過に供するが、該濾過膜は、第1の液相に存在する典型的には6~20kDの蛋白質物質を保持するのに十分小さい開口サイズ(カットオフサイズ)を有し、一方、第1の液体画分中に存在するペプチド、多糖、オリゴ糖、糖、フェノール性化合物、フィタート及び塩のような他の溶質は透過させる。この限外濾過濃縮ステップの後、好ましくは、純度が上昇した蛋白質濃縮物を生成するために、真水による、又は塩を含み、任意選択により更に添加剤を含む水溶液による、濃縮物(限外濾過保持液)の透析濾過ステップを使用するが、該濃縮物は、溶解しているか又は沈殿しているかのいずれかである少なくとも10重量%の固体を含み、蛋白質濃縮物中の蛋白質含量は濃縮物の総乾燥重量を基準として少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%であり、蛋白質濃縮物は蛋白質濃縮物の総重量を基準として50~90重量%の水を含む。
当業者は、TFFループにおいて第1の液体画分を蛋白質濃縮物に加工することで、濃縮効果、pHの効果、又はイオン強度の変化による効果によって、第2の固体画分の沈殿を誘起しうることを理解するであろう。これが生じる場合、乾燥重量基準で40%以上の蛋白質を含有するこの第2の固体画分を、第1の液体画分の蛋白質濃縮物に加えてよい。この蛋白質濃縮物はその後、本発明によって加工され、蛋白質単離物を得るであろう。任意選択により、過剰な水を除去するために、ステップd)において得た蛋白質濃縮物を、真空条件下で蒸発に供する。
当業者は、TFFステップの前であっても、第1の液体画分のpH又はイオン強度が変化することによって、グロブリンクラスに属するより大きな蛋白質は沈殿する一方、アルブミンクラスに属するより小さな蛋白質は溶液中に残り、それによって、第2の固体画分が代替的に、第1の液体画分から製造されうることを理解するであろう。続いて、主にグロブリン蛋白質を含む第2の固体画分を、濾過、沈降又は好ましくは遠心分離のような好適な技法によって第1の液体画分から分離し、第2の固体画分の湿潤ケークと第1の液体画分の上澄みとを得ることができる。この場合においても、固液分離後の第2の固体画分中の蛋白質含量は、乾燥重量基準で40質量%より大きく、第2の固体画分の湿潤ケーク中の水含量は、50~90質量%の範囲であろう。続いて、蛋白質単離物を得るために、第2の固体画分の湿潤ケークを本発明によって加工してもよい。
ステップd)において得た蛋白質濃縮物に加える第2の溶媒は、第2の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールを含む。
好ましい実施形態では、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールは、0.8~0.4の相対極性を有する。種々の溶媒についての相対極性の値は、溶媒及び有機化学における溶媒の効果(Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry)、Wiley-VCH出版社、第3版、2003に開示されており、参照によって本明細書に組み込まれる。水は1の相対極性を有する。
より好ましい実施形態では、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第2の溶媒の追加は液相の極性に対する影響を有し、蛋白質の溶解度を変化させることによって蛋白質の沈殿を誘起する場合があり、蛋白質と、糖、フェノール性化合物及び/又はイソフラボンなどの他の成分及び不純物との間の相互作用の性質も、これらの不純物を蛋白質から分離することができ、後続の固液分離ステップにおいて蛋白質単離物から除去することができるように変化させうる。このようにして、第2の溶媒の追加及び第1の溶媒の置換は、蛋白質を効率的に単離すること、及びそうしなければ天然の形態で該蛋白質に会合しており、除去に適さない不純物から蛋白質単離物を精製することを促進しうる一方、蛋白質は第1の(水性)溶媒中に溶解又は沈殿する。本発明の目的は、ヒトの食品における用途のための蛋白質単離物の提供であるため、好適な第2の溶媒の選択は、機能性によって、並びに健康及び安全性への懸念によって決定する。上述した制約のため、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールの最も好ましい選択はエタノールである。エタノールは、食品産業において一般に用いられ、GRAS溶媒として認識されている。
方法のステップe)において用いる第2の溶媒の量は、第1の溶媒中の蛋白質の濃縮の程度、第1の溶媒と第2の溶媒との混合物中の蛋白質の溶解度によって、及び第2の溶媒に関する変性効果によって決定されるであろう。好ましい実施形態では、第2の溶媒の量は1:10~1:1、好ましくは1:3~2:3の第1の溶媒対第2の溶媒の重量比に達するであろう。
第2の溶媒を加えた後、蛋白質が沈殿固体画分として主に存在し、糖、フェノール性化合物、イソフラボン及び他の不純物などの溶解性化合物が液相に見出される混合物が生じる。脂肪及び脂質は、存在する場合、主に固体画分と会合しているであろう。
ステップf)において、第3の固体画分及び第2の液体画分を得るために、固体画分を濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて混合物から単離するが、第3の固体画分の蛋白質含量は、第3の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも60重量%である。当業者は認めるであろうが、第3の固体画分は、水及び水混和性アルコールなどの、方法において用いた微量の溶媒を含む。第3の固体画分は、蛋白質と共抽出され、方法の他のステップにおいて除去されなかった、脂肪及び脂質の残留物も含有しうる。
当業者は更に、第3の固体画分の単離後、蛋白質単離物の純度を更に上昇させるために、追加の洗浄ステップを使用することができ、それによれば第2の溶媒又は第2の溶媒と水との混合物の新しい部分を第3の固体画分に加え、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される好適な固液分離ステップを続けてよいことを理解するであろう。
ステップg)において加えた第3の溶媒は、第3の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルを含み、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルは、室温において、第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、且つ第2の溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量は、好ましくは全体としての液相が別個の液相に分離しないように選択される。好ましい実施形態では、第3の溶媒の量は1:10~1:1、好ましくは1:5~1:2の第2の溶媒対第3の溶媒の重量比に達するであろう。第3の溶媒の追加は、液相の極性に対する影響を有し、油、脂肪及び脂質の溶解度を変化させるであろうが、蛋白質と非極性不純物との間の相互作用の性質も、これらを蛋白質から分離することができ、後続の固液分離ステップにおいて除去することができるように変化させうる。このようにして、第3の溶媒の追加並びに第1及び第2の溶媒の置換は、蛋白質を効率的に単離すること、及びそうしなければ天然の形態で該蛋白質に会合しており、除去に適さない不純物から蛋白質単離物を精製することを促進する一方、蛋白質は第1及び/又は第2の溶媒中に溶解又は沈殿する。
好ましい実施形態では、室温において、第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、且つ第2の溶媒と完全に混和性である、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルは、0.4未満の相対極性を有する。
本発明の目的は、ヒトの食品における用途のための蛋白質単離物の提供であるため、好適な第3の溶媒の選択は、機能性によって、並びに健康及び安全性への懸念によって決定する。これらの制約のため、この無極性溶媒の最も好ましい選択は酢酸エチルである。酢酸エチルは食品産業において一般に用いられ、GRAS溶媒として認識されている。
ステップg)において得た固液混合物を、濾過、沈降又は遠心分離を用いて、第3の液体画分と第4の固体画分とに分離する。第3の溶媒の作用によって脂質及び他の無極性不純物を除去することによって、蛋白質の純度は更に上昇し、その結果、第4の固体画分の蛋白質含量は、第4の固体画分の総乾燥重量を基準として90重量%を超える。
当業者は、第4の固体画分の単離後、純度を更に上昇させるために、及び又は第4の固体画分から第1及び第2の溶媒の残留物を更に除去するために、追加の洗浄ステップを使用することができ、それによれば第3の溶媒の新しい部分を第4の固体画分に加え、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される好適な固液分離ステップを続けてよいことを理解するであろう。
ステップi)において、第3の溶媒中に浸漬された蛋白質単離物である第4の固体画分を真空乾燥、噴霧乾燥、過熱水蒸気乾燥、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法に供し、蛋白質含量が、蛋白質単離物の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、蛋白質単離物を得る。
好ましい実施形態では、ステップi)において得た蛋白質単離物中の第3の溶媒の残留量は、食品当局によって要求される許容可能なレベル未満であり、典型的には1000ppm未満、好ましくは100ppm未満、更により好ましくは20ppm未満である。
酢酸エチルなど、本明細書においてこれまでに規定した第3の溶媒を用いることの利点は、高い揮発性及び低い蒸発の潜熱(368kJ/kg)であり、これは水(2260kJ/kg)及びエタノール(841kJ/kg)の潜熱より著しく低く、第1の溶媒若しくは第2の溶媒、又はこれらの組み合わせのみを用いる方法と比較して、方法において用いた溶媒の残留物を除去するためにより少量のエネルギーが必要となること、及び乾燥の際に蛋白質が暴露される温度を低くできることを示唆する。蛋白質は高温の効果への感度が高いことが知られており、例えば、噴霧乾燥の際に激しく変性しうる。例として、乳清蛋白質の最大70%が噴霧乾燥の際に変性しうると報告されている。この点においては、Md. Amdadul Haque、2015、乾燥及び噴霧乾燥プロセスにおける蛋白質の変性(Drying and Denaturation of Proteins in Spray Drying Process)、https://www.researchgate.net/publication/275100415を参照する。
第1及び第2の溶媒を第3の溶媒によって置換することの更に別の利点は、酢酸エチルのようなエステルなどの無極性、親油性溶媒中、高温においてさえ、植物蛋白質の変性の程度が小さいことである。この点においては、D. Fukushima、1969、有機溶媒によるダイズ蛋白質の変性(Denaturation of soy proteins by organic solvents)、http://www.aaccnet.org/publications/cc/backissues/1969/Documents/Chem46_156.pdf.を参照する。
酢酸エチルのような親油性GRAS溶媒を用いて、蛋白質単離物から脂肪及び脂質の残留物を除去することは、脂肪種子などの植物材料から食品グレード蛋白質単離物を生成する方法における、ヘキサンなどの鉱油から誘導された有害な溶媒の使用を陳腐化することにおいて、追加の利点をもたらす。これはまた、ミールからヘキサンの残留物を除去するために産業によって現在使用されている、従来のステップを排除することを示唆するが、該ステップには典型的に蒸気及び高温の使用が関与し、ミール中に存在する蛋白質の抽出性及び機能性を著しく制限している。
非常に好ましい実施形態では、本明細書においてこれまでに規定した方法において用いる溶媒は、実質的にGRAS溶媒からなる。
別の非常に好ましい実施形態では、本明細書においてこれまでに規定した方法を、ヘキサンなどの、6個以上の炭素原子を有する有機又はミネラル溶媒を用いずに実行する。
本発明の方法は、高温又はpHの大幅なシフトなどの極端な条件の使用を必要としない。むしろ反対に、方法全体を通じて蛋白質が暴露される温度は、好ましくは0~50℃の範囲に保たれ、より好ましくは10~20℃であり、pHは好ましくは5~8の範囲に保たれる。
好ましい実施形態では、本明細書においてこれまでに規定した方法のステップi)において得た蛋白質単離物は、乾物を基準として少なくとも95重量%の植物系蛋白質を含む。
別の好ましい実施形態では、本明細書においてこれまでに規定した方法のステップi)において得た蛋白質単離物は、乾物を基準として少なくとも95重量%の植物系蛋白質を含み、75%超の窒素溶解度(NS)、乳化活性指数(EAI)として表される20m/g超のエマルション形成能力を呈する。
更に別の好ましい実施形態では、本明細書においてこれまでに規定した方法のステップi)において得た蛋白質単離物は、乾物を基準として少なくとも70重量%の天然の植物系蛋白質を含む。
本発明の第2の態様では、乾物を基準として、少なくとも70重量%の天然の植物系蛋白質、1重量%未満の炭水化物(単糖)、0.2重量%未満、好ましくは0.15重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満のフェノール性化合物を含み、6個以上の炭素原子を有する有機又はミネラル溶媒を含まない、蛋白質単離物を提供する。
好ましい実施形態では、蛋白質単離物は、乾物を基準として少なくとも95重量%の植物系蛋白質を含み、75%超の窒素溶解度(NS)、乳化活性指数(EAI)として表される20m/g超のエマルション形成能力を呈する。
本発明の第3の態様では、本明細書においてこれまでに規定した方法によって得られる蛋白質単離物を提供する。
好ましい実施形態では、本明細書においてこれまでに規定した蛋白質単離物、又は本明細書においてこれまでに規定した方法によって得られる蛋白質単離物は、乾物を基準として、2重量%未満、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満の脂肪、油又は脂質を含む。
第4の態様では、本発明は、本明細書においてこれまでに規定した蛋白質単離物、又は本明細書においてこれまでに規定した方法によって得られる蛋白質単離物の、食品における使用に関する。
このように、本発明は上に論じた特定の実施形態に言及することによって記載されている。当業者には周知のように、これらの実施形態には、多様な修正形態及び代替形態の余地があることが認識されるであろう。
更に、この文書及び特許請求の範囲の適切な理解のため、「含む(to comprise)」という動詞及びその活用は、非限定的な意味において用い、その語に続く事項を含むが、具体的に言及していない事項を除外しないことを意味することを理解するべきである。加えて、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞による要素への言及は、文脈上、1つでありただ1つの要素が存在することを明確に要求していない限り、1を超える要素が存在する可能性を除外するものではない。したがって、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞は、通常、「少なくとも1つの」を意味する。
例1
ナタネミールから蛋白質単離物を製造する3つの実施(1a、1b及び1c)を実行した。
実施1aでは、自ら製造した、低温で温めたナタネミールを用いた。このナタネミールは、70℃未満のプロセス温度においてコールドプレスしたナタネケークを、脱油脂し、乾燥させ、温めることによって製造した。ナタネケークは、Grupa Wilmar Marek Wilczynski SKAから得た。脱油脂を、ソックスレー装置において、70℃におけるヘキサンによって実行した。脱油脂した後、ナタネをRTにおいて16時間乾燥させた。次のステップにおいて、乾燥したナタネを蒸気によって1時間、90℃(材料の温度)に温め、次いで60℃において24時間乾燥させた。
実施1bでは、Grupa Wilmar Marek Wilczynski SKAから得た、70℃未満のプロセス温度においてコールドプレスしたナタネケークを用いた。
実施1cでは、外部の供給業者から入手した、市販の高温(約130℃)で温めたナタネミールを用いた。
次のように実施1a、1b及び1cを実行した。
1. すべての実験の前に、粉砕機においてナタネのミール又はケークを微粉砕してふるい分けし、必要な粒子サイズ(1000μm未満)を有するナタネ固体ケークを作製した。ナタネ固体ケークの特徴については表3を参照されたい。
2. このように前処理した微粉砕ナタネ固体ケークを、塩水溶液(2重量%のNaCl及び0.1重量%のNaSO)である第1の溶媒に加え、パドルを用いて穏やかに均一化させ、懸濁液を得た。第1の溶媒対前処理した微粉砕ナタネの重量比は4であった(正確な量については表1を参照されたい)。
3. 体積の最大5%の第1の溶媒を予備投入したALSEOSカラムに、懸濁液を装填した。カラムの作用空間全体(カラム体積、CV)が満たされたとき、カラムをめぐる第1の溶媒の流動を開始した。ALSEOS 7Lシステムの模式図を図1に与える。ALSEOSの動作原理は、WO2016/093698A2において説明されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
4. 第1の溶媒のALSEOS装置への流動、及びALSEOS装置からの濾液(=粗抽出物、=第1の液体画分)の流出を、蠕動ポンプによって制御した。粗抽出物(第1の液体画分)を別の容器に捕集した。合計で約23Lの粗抽出物を捕集した。正確な量及びプロセスパラメータについては表1を参照されたい。抽出中のpHは調整しなかった。
5. 続くステップにおいて、粗抽出物をサンプル採取し、乾物含量、総合蛋白質含量、及び脂肪含量について分析した。粗抽出物の特徴については表3を参照されたい。
6. 一定分量のステップ4)において得た粗抽出物のアリコートを遠心分離(4000g、30分、10℃)し、存在する場合、上部軽相として脂質の残留物、及び重ペレット相として存在する固体デブリの残留物を、清澄化抽出物から分離した。遠心分離後、水相として清澄化抽出物が存在した。遠心分離した清澄化抽出物(第1の液体画分)の特徴については表3を参照されたい。
7. ステップ6)において得た遠心分離後の清澄化抽出物を、UF(限外濾過)法(ポリスルホン膜、フィルタ表面積:0.042m、カットオフ:0.1μm、交差TMP:1.5bar)を実施するために、TFF(タンジェンシャルフロー濾過)システムに装填し、主としてクルシフェリン蛋白質を含有する蛋白質濃縮物、及び膜を通過することができる蛋白質画分を含有するUF透過液を得た。UF蛋白質濃縮物(保持液)及びUF透過液の特徴については、表3を参照されたい。
8. ステップ7)において得た蛋白質濃縮物を、STR(体積5L、2~8℃の温度において撹拌下、追加時間10~15分、続いて磁気撹拌機による撹拌下、10分のインキュベーション時間)において、96体積%エタノール(Honeywell Specialty Chemicals Seelze GmbHによる供給)である第2の溶媒による精製ステップに供した。第2の溶媒を、蛋白質濃縮物の重量の1.85倍に等しい量で適用した。続いて、混合物を遠心分離(4000g、30分、10℃)によって分離し、第3の固体画分(粗製)及び第3の液体画分(粗製)を得た。
9. 続いて、ステップ8)において得た第3の固体画分(粗製)を、5:1の液体対固体の重量比において、第2の溶媒(混合物の70体積%)と水(混合物の30体積%)との混合物を用いて、STR(体積5L、2~8℃の温度において撹拌下、追加時間10~15分、続いて磁気撹拌機による撹拌下、10分のインキュベーション時間)中の第3の固体画分に、第2の溶媒と水との混合物を加えることによって、追加の洗浄ステップに供した。続いて、混合物を遠心分離(4000g、30分、10℃)によって分離し、洗浄された第3の固体画分及び第3の液体画分を得た。
10. 続いて、ステップ9)において得た洗浄された第3の固体画分を、STR(体積5L、2~8℃の温度において撹拌下、追加時間10~15分、続いて磁気撹拌機による撹拌下、10分のインキュベーション時間)中の洗浄された第3の固体画分に、酢酸エチル(CAS:141-78-6、供給業者:Stanlab J.、純度グレード:分析試薬グレード)である第3の溶媒を加えることによって、1:5の液体対固体の重量比において実施される第3の溶媒による精製ステップに供した。続いて、混合物を遠心分離(4000g、30分、10℃)によって分離し、第4の固体画分(粗製)及び第4の液体画分(粗製)を得た。
11. 続いて、ステップ10)において得た第4の固体画分(粗製)を、第3の溶媒を用いて、ステップ10)に記載した方法による追加の洗浄ステップに供した。続いて、混合物を遠心分離(4000g、30分、10℃)によって分離し、洗浄された第4の固体画分及び第4の液体画分を得た。
12. 続いて、ステップ11)において得た洗浄された第4の固体画分を、40℃におけるオーブン中、トレイ上で終夜乾燥させ、乳鉢中、乳棒によって粉砕し、ふるい分けし、粉末形態における蛋白質単離物を得た。
13. ステップ12)において得た蛋白質単離物を、乾物、蛋白質、脂肪、炭水化物(単糖)、ポリフェノール性化合物、及びフィタート含量について分析した(表4参照)。ステップ12)において得た蛋白質単離物を、窒素溶解度及び乳化活性などの機能的特性の観点からも試験した(表4参照)。更に、蛋白質単離物中のアミノ酸組成を評価した(表5参照)。それに加えて、サイズ排除クロマトグラフィーを実行し、存在する蛋白質成分の分子サイズを評価した。図3a、3b及び3cはそれぞれ、実施1a、1b及び1cにおいて得た蛋白質単離物のSECクロマトグラムを示す。SECを用いて、高分子量ポリペプチド(ピーク1、約100分)を低分子量ポリペプチド(ピーク2、約140分)から分離した。高分子量ポリペプチド含有蛋白質であるクルシフェリン140~150kDa(7S)はピーク1として、残りのナピン(画分:26~28kDa)はピーク2として溶出した。蛋白質単離物の構造、アミノ酸組成及び分子サイズのより詳細な調査によれば、得られた蛋白質単離物の主な蛋白質成分は、Svedbergスケールの分類7Sに対応する148+/-10kDの分子サイズを有することを示し、これは得られた蛋白質単離物の主な蛋白質成分が、植物のアブラナ科に存在する貯蔵タンパク質であり、グロブリンのクラスに属する天然クルシフェリンのサブユニットであることを示す。プロセスの模式図を図2に与える。
Figure 0007161518000001
Figure 0007161518000002
Figure 0007161518000003
Figure 0007161518000004
Figure 0007161518000005
Figure 0007161518000006
結論
実施1a、1b及び1cにおいて用いたナタネ供給源材料は、NS%が異なっていた。最も低いNS%(25%)は市販のナタネミール(実施1c)について得られ、最も高いNS(59.9%)はコールドプレスしたナタネケーク(実施1b)について得られた。
ナタネ供給源材料についてのNS%として決定した値は、ALSEOS抽出ユニットにおいて得た蛋白質回収率に一致し、抽出ステップについての最低蛋白質回収率(21.0%)は市販のナタネミール(実施1c)について得たものであり、最高値はコールドプレスしたナタネケークについて得た(63%)。
すべての蛋白質単離物において、脂肪含量は1%未満であった。
コールドプレスしたナタネケーク(実施1b)における脂肪含量は20%であり、蛋白質単離物においては1%未満であり、このことは、水溶液中の溶解性、並びに油及び脂質とエマルションを形成可能であることなどの食品用途の配合物において重要な機能的特性を保持しながら、有害な溶媒、高温及び極端なpHのシフトを使用することなく効率的に脂肪を除去する、方法の能力を実証している。
ナタネ供給源材料の品質は、得た蛋白質単離物の特性に対する重大な影響を有していた。最も高いNS%(82.2%)及びEAI(24.3m/g)を有する蛋白質単離物は、実施1bにおいて得たものであり、供給源材料はコールドプレスしたナタネケークであった。
例2
蛋白質単離物を4つの異なる供給源から製造した4つの実施(2a、2b、2c及び2d)を、下に記載するプロトコルを適用して、本発明の方法により実行した。
実施2aでは、未加工(脱脂していない)ダイズを用いた。実施2bでは、Grupa Wilmar Marek Wilczynski SKAから得た、70℃未満のプロセス温度においてコールドプレスしたナタネケークを用いた。実施2cでは、現地の市場から得た市販のヒマワリケークを用いた。実施2dでは、現地の市場から得た未加工レンズマメ種子を用いた。前述の実施のすべてにおいて、植物材料を粉砕し、1mmシーブを通してふるいにかけた。
例2において用いた未加工植物材料の物理化学的特徴を表7に示す。下に記載するように、方法は7つの主なプロセスステップを含む。これらのステップに関する重要なパラメータ及びプロセス情報を下に示す。
1. 抽出
a) 抽出媒体:水、2%NaCl、0.1%NaSO
b) 温度:15℃
c) 抽出のpH:自然
d) 抽出物の目標体積 14kg(2CV)
e) 媒体の目標流速:3.5kg/h、到達できない場合は調整可能
f) 抽出時間:4時間
2. 遠心分離
a) 時間 30分
b) 温度 4℃
c) 相対遠心力 4000G
3. UF/DF
a) カットオフ膜:10kDa
b) 材料繊維:PS
c) 膜面積:0.12m
d) 繊維i.d.1mm、カートリッジ長 33cm、 Cat.No.GE UFP-10-E-5A
4. EtOHステップ1
a) 96%EtOH- 1.85×UF/DF濃縮物の量(w/w)
b) 投与時間- 10分
c) インキュベーション時間- 10分
5. EtOHステップ2
a) 70%EtOH- 5×湿潤蛋白質沈殿
b) 投与時間- 10分
c) インキュベーション時間- 10分
6. EAステップ
a) EA-酢酸エチル- 5×EtOHステップ2の後の湿潤蛋白質沈殿
b) 投与時間- 素早く1回で投与
c) インキュベーション時間- 30分
7. 乾燥
a) 時間:24~48時間
b) 温度:50℃
c) 真空乾燥機内の圧力:10mbar
方法の模式図を図2に与える。
実施2a~2dに適用した最も重要なプロセスパラメータの概要を表8に与える。実験2において得た蛋白質単離物の物理化学的及び機能性特徴を表9に示す。
Figure 0007161518000007
Figure 0007161518000008
Figure 0007161518000009
Figure 0007161518000010
例3
例3の狙いは、先行技術(WO2013/013949A1)において記載されているナタネ蛋白質単離物を得るための方法と、同じ中間生成物(UF/DFステップ後の蛋白質濃縮物)を加工する本発明による方法とを比較することであった。
出発材料は表11に提示する特徴を有する、WILMAR GROUP Marek Wilczynski S.K.A.から得た外皮除去ナタネケーク(DRC)(バッチ番号A-00#27)であった。STR装置における抽出ステップに関係する実験条件を表12に与える。
例3において適用した方法の概略図を図4に示す。
実験3において得たナタネ蛋白質単離物の物理化学的特徴を表13に示す。例3において用いた主な機器を表14に記載する。
例3において得たサンプルの脂肪含量の比較は、先行技術(WO2013/013949A1)において記載されている方法に対する、第3の溶媒(酢酸エチル)を用いる本発明の方法の利点を明確に示している。
先行技術において記載されている方法において得たナタネ蛋白質単離物1は脂肪含量が高い(5.73%DW)が、本発明による方法において得たナタネ蛋白質単離物2(0.22%DW)のサンプルは脂肪が効率的に除去されていることが、実証された。
Figure 0007161518000011
Figure 0007161518000012
Figure 0007161518000013
Figure 0007161518000014
実施例において用いた分析方法の記載
未加工植物材料及び蛋白質単離物を特性評価するために用いた方法
蛋白質含量
未加工植物材料及び蛋白質単離物の蛋白質含量を、AOCS991.20公式法に従い、ケルダール法によって決定した。6.25の換算係数を用いて、蛋白質の量(重量%)を決定した。
乾物含量
未加工植物材料のサンプル(未加工植物材料については2.0±0.5g、蛋白質単離物については1.0±0.5g)を105℃の温度において、水分分析装置に載置した。乾燥前後のサンプル重量における差から、水分含有量を決定した。
脂肪含量
Weibull-Stoldt法によって脂肪含量を決定した。10%(v/v)HCl溶液によってサンプル(未加工植物材料及び蛋白質単離物)を加水分解し、赤外線加熱システムを用いて300℃に加熱した。抽出システムにおいて、加水分解サンプルを石油エーテルによって抽出した。
脂肪含量(X)を重量%として、式:
Figure 0007161518000015

によって計算し、
式中、
aは乾燥後のサンプル脂肪を含むガラスサンプルチューブの質量(g)であり;
bは乾燥後のガラスサンプルチューブの質量(g)であり;及び
cはサンプルの質量(g)である。
フェノール性含量
フェノール性化合物の含量を、Sigerら、脂肪種子作物(Oilseed Crops)、2004、XXV、263~274頁に記載されているように、フォリン-チオカルト法によって決定した。λ725nmにおける吸光度を測定した。
フィタート含量
フィチン酸(フィタート)/総リンアッセイ手順K-PHYTY 08/14に従い、Megazymeのフィチン酸(総リン)アッセイキットによって、フィタート含量分析を行った。
炭水化物含量
炭水化物(単糖)濃度を、G.L.Miller、分析化学(Analytical Chemistry)、1959、31、426~428頁に記載されているように、アルカリ性且つ高温の媒体における還元糖と3,5-ジニトロサリチル酸(DNS)との呈色生成物への化学反応によって決定した。λ540nmにおいて、分光光度的に赤褐色の強度を測定した。実際の炭水化物含量は、標準としてグルコースを用いた検量線から導出した。
窒素溶解度(NS%)
未加工植物材料をサンプル(植物材料については2重量%の、蛋白質単離物については1重量%の濃度)において150mM NaCl中に溶解させることによって蛋白質溶液を製造し、0.1M HClによって、又は0.1M NaOHによってpHを7.0に調節した。得られた溶液を激しく振とうしながら、22℃において1時間インキュベーションした。続いて、サンプルを4000gにおいて30分遠心分離し、得られた上澄みを捕集した。上澄みの溶解性蛋白質含有量及び植物材料中の溶解性蛋白質を、ケルダール法(×6.25)によって分析した。窒素溶解度(NS%)は
Figure 0007161518000016

として規定した。
乳化活性指数(EAI)及び乳化安定指数(ESI)
蛋白質単離物(0.25重量%の濃度)をサンプルチューブ中の150mM NaClに溶解させることによって、蛋白質溶液を製造した。得られた溶液のpHを、0.1M HCl又は0.1M NaOHによって7.0に調節した。5gの蛋白質溶液を、450rpmにおいて1時間振とうした。続いて、溶液を5gのナタネ油と、6000gにおいて5分均一化させ、乳化させた。50μlのエマルションをサンプルチューブから直ちに取り、7.5mLの0.1%SDS中に希釈した後、ボルテックスした。次いで、希釈液のλ500nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて決定した。10分後、吸光度測定を繰り返した。
EAI(m/g)及びESI(分)は
Figure 0007161518000017

として規定し、
式中、
は均一化直後の希釈エマルションの吸光度であり;
ΔAは0分と10分の間の吸光度の差(A-A10)であり;
tは時間の間隔(10分)であり;
cは体積当たりの蛋白質の重量[g/ml]であり;
Figure 0007161518000018

はエマルションの油の体積部分であり;及び
Nは希釈倍数である。
アミノ酸分析
3つの異なる加水分解法によって、蛋白質単離物のアミノ酸分析を実行した。
1. 酸化していないアミノ酸組成を決定するために、M. G. Davis及びA. J. Thomas、J. Agric. Food Agric.、1973、24、1525頁に記載されている方法によって、蛋白質の酸性加水分解を実施した。
2. 含硫アミノ酸を分離するために、E. Schram、S. Moore、E. J. Bigwood、Biochem. J.、1954、57(1)、33~37頁に記載されている方法によって、蛋白質の加水分解を実施した。
3. トリプトファン含有量を決定するために、P. Slawinski、K. Tyczkowska、Roczn. Technol. i Chemii Zywn.、1974に記載されている方法によって、アルカリ性加水分解を実施した。
イオン交換クロマトグラフィーによってアミノ酸を分離した。カラムを60℃及び74℃に順に加熱した。装置は、440nm(プロリンについて)及び570nm(その他のすべてについて)における波長の光度検出によって、ニンヒドリン誘導体化アミノ酸を識別した。
アミノ酸の分離後、0.2M NaOHによってカラムを再生した。
サイズ排除クロマトグラフィー
参照として標準蛋白質(43000~669000Da)を備えるサイズ排除クロマトグラフィーによって、蛋白質単離物を特性評価した。蛋白質単離物サンプルを、溶出液50mM Tris-HCl、pH=7.5、1M NaClに溶解させた。AKTA avant SEC、Superdex 200Å、175mL、16mm/100cmカラムで、25℃において、定組成溶出及び1.0ml/分の流速を用いて、分離を実行した。蛋白質ピークの検出は、220及び280nmにおけるUV吸収を用いて実行した。
酢酸エチル含有量
ヘキサンによる抽出によってサンプルを製造した後、水素炎イオン化型検出器(GC-FID)によってガスクロマトグラフィー分析を行った。キャピラリカラム(Stabilwax-DA、30m×0.25mm×0.25μm)を用い、注入器S/SLを用いてクロマトグラフィー分離を実行した。検出器及び注入器の温度はそれぞれ250及び200℃であり、注入体積1μL、1mL/分のヘリウムフローであった。オーブンの温度を30℃において5分維持し、次いで2分保持される115℃の最終温度にプログラムした。キャリアガスとして40mL/分の流速における水素を用い、総合空気流速は280mL/分であり、スプリット比は1:25であった。
エタノール含有量
脱イオン水による抽出によってサンプルを製造した後、水素炎イオン化型検出器(GC-FID)によってガスクロマトグラフィー分析を行った。キャピラリカラム(Stabilwax-DA、30m×0.25mm×0.25μm)を用い、注入器PTVを用いてクロマトグラフィー分離を実行した。検出器及び注入器の温度はそれぞれ250及び200℃であり、注入体積0.5μL、1mL/分のヘリウムフローであった。オーブンの温度を70℃において4分維持し、次いで15分保持される230℃の最終温度にプログラムした。キャリアガスとして40mL/分の流速における水素を用い、総合空気流速は280mL/分であり、スプリット比は1:20であった。
粗抽出物(ステップbにおいて得た第1の液体画分)の特性評価に用いた方法
蛋白質含量
第1の液体画分の蛋白質含量を、AOAC公式法991.20(2005)に従い、ケルダール法によって決定した。6.25の換算係数を用いて、蛋白質の量(重量%)を決定した。
乾物含量
第1の液体画分のサンプル(2.0±0.5g)を、105℃の温度において、水分分析装置に載置した。乾燥前後のサンプル重量における差から、水分含有量を決定した。
脂肪含量
第1の液体画分の脂肪含量を、PN-ISO 2446:2010に従い、ゲルベル法によって決定した。

Claims (17)

  1. 植物材料から蛋白質単離物を製造するための方法であって、前記植物材料が乾燥重量基準で10~50重量%の蛋白質を含み、
    a) 植物材料を破砕又は微粉砕して、固体ケークを生成するステップ、
    b) ステップa)において得た固体ケークを、第1の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の水を含む第1の溶媒を用いて抽出して、第1の固体画分と第1の液体画分との混合物を得るステップ、
    c) 第1の固体画分から第1の液体画分を分離するステップ、
    d) ステップc)において得た第1の液体画分から蛋白質濃縮物を製造するステップであって、蛋白質濃縮物が、蛋白質濃縮物の総重量を基準として50~90重量%の水を含み、蛋白質が第1の溶媒中に溶解しており、且つ/又は蛋白質が第2の固体画分中に存在し、濃縮物中の蛋白質含量が、濃縮物の総乾燥重量を基準として少なくとも40重量%である、ステップ、
    e) ステップd)において得た蛋白質濃縮物に第2の溶媒を加えるステップであって、第2の溶媒が、第2の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールを含む、ステップ、
    f) ステップe)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第2の液体画分と第3の固体画分とに分離するステップであって、第3の固体画分の蛋白質含量が、第3の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも60重量%である、ステップ、
    g) ステップf)において得た第3の固体画分に、第3の溶媒を加えるステップであって、前記第3の溶媒が、第3の溶媒の総重量を基準として少なくとも90重量%の、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルを含み、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルが、室温において、第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、且つ第2の溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量が、全体としての液相が別個の液相に分離しないように選択される、ステップ、
    h) ステップg)において得た混合物を、濾過、沈降、遠心分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法を用いて、第3の液体画分と第4の固体画分とに分離するステップであって、第4の固体画分の蛋白質含量が、第4の固体画分の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
    i) 蛋白質単離物を得るために、ステップh)において得た第4の固体画分を、真空乾燥、噴霧乾燥、過熱水蒸気乾燥、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される技法に供するステップであって、蛋白質含量が、蛋白質単離物の総乾燥重量を基準として少なくとも90重量%である、ステップ、
    を含む上記方法。
  2. 植物材料が未加工植物材料である、請求項1に記載の方法。
  3. ステップa)の前に植物材料を、機械的手段を用いて少なくとも部分的に脱脂する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 機械的手段がコールドプレスである、請求項3に記載の方法。
  5. 機械的手段を用いる脱脂ステップにおいて、有機溶媒もミネラル溶媒も用いない、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 植物材料が乾燥重量基準で、少なくとも5重量%脂肪、油及び脂質を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 植物材料が乾燥重量基準で、少なくとも10重量%の脂肪、油及び脂質を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップb)における抽出を低剪断条件下で実行する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. ステップb)における第1の溶媒が、水である、又は塩を含み任意選択により更なる添加剤を含む水溶液である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  10. 1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  11. 1~5個の炭素原子を有し室温で水に混和性であるアルコールがエタノールである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  12. ステップg)において用いる第3の溶媒中の、最大5個の炭素原子を有する無極性且つ親油性の有機エステルが酢酸エチルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ヘキサンなどの、6個以上の炭素原子を有する有機又はミネラル溶媒を用いずに実行する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 植物材料が、野菜、果実、脂肪種子を含む種子、ダイズ及び他の豆を含む豆類、豆果、ヒヨコマメ、赤、緑、黄及び茶レンズマメを含むエンドウ、穀粒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 植物材料が、ナタネ、アブラナ、ヒマワリ種子、亜麻仁、ベニバナ種子、綿実を含む脂肪種子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 蛋白質単離物が、乾物を基準として少なくとも95重量%の植物系蛋白質を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 蛋白質単離物が、乾物を基準として少なくとも70重量%の天然の植物系蛋白質を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
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