以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置にて、複動シリンダを駆動する場合を示す構成図である。なお、図1は、複数ポート切替及び流量調整装置が4ポートの場合であり、全閉状態を示している。
図1に示すように、水圧駆動複動シリンダ100A(液圧駆動装置)は、複数ポート切替及び流量調整装置1A、複動シリンダ11(駆動部、アクチュエータ)、ポンプ12、水供給源(液体供給源)13、リリーフ弁14、配管21a,21b,21c,21d,21eを備えて構成されている。なお、符号1Bなどは、後記の第2実施形態で説明するものである。
複数ポート切替及び流量調整装置1Aは、バルブV1,V2,V3,V4(流路開閉部材)、流路21f,21g,21h,21i(複数の流路)、連動機構30Aを備えて構成されている。
複動シリンダ11は、円筒形状のチューブ11a、チューブ11a内を軸方向に摺動するピストン11b、ピストン11bに固定されて軸方向に延びるロッド11c、チューブ11aの両端に設けられるエンドプレート11d,11eを備えている。また、複動シリンダ11は、チューブ11aとピストン11bとエンドプレート11dとで囲まれる第1シリンダ室Q1、チューブ11aとピストン11bとエンドプレート11eとで囲まれる第2シリンダ室Q2を有している。第1シリンダ室Q1および第2シリンダ室Q2には、それぞれ水(液体、作動流体)が充填されることで軸方向に往復動作する。
また、複動シリンダ11は、第1シリンダ室Q1と連通するように配管21aの一端が接続されている。配管21aの他端は、複数ポート切替及び流量調整装置1AのAポート15(シリンダ側の第1ポート)に接続されている。また、複動シリンダ11は、第2シリンダ室Q2と連通するように配管21bの一端が接続されている。配管21bの他端は、複数ポート切替及び流量調整装置1AのBポート16(シリンダ側第2ポート)に接続されている。
複数ポート切替及び流量調整装置1Aには、水供給源13側にPポート17(水供給源側の第1ポート)とTポート18(水供給源側の第2ポート)が形成されている。Pポート17は、配管21cの一端が接続されている。配管21cの他端は、水供給源13と接続されている。Tポート18は、配管21dの一端と接続されている。配管21dの他端は、水供給源13と接続されている。
ポンプ12は、配管21cに設けられ、水供給源13から水を吸い上げて、複数ポート切替及び流量調整装置1AのPポート17に供給する。また、ポンプ12は、図示しない制御装置によってON/OFF制御される。
水供給源13は、複動シリンダ11の第1シリンダ室Q1や第2シリンダ室Q2に充填する水を貯溜し、また第1シリンダ室Q1や第2シリンダ室Q2から戻される水を貯溜するものである。
リリーフ弁14は、配管21cと配管21dとを接続する配管21eに設けられている。配管21eの一端は、Pポート17とポンプ12との間の配管21c上に接続されている。なお、リリーフ弁14は、複数ポート切替及び流量調整装置1Aや複動シリンダ11に過大な圧力が付加されたときに開弁して、複数ポート切替及び流量調整装置1AのバルブV1~V4、配管21a~21e、流路21f~21i複動シリンダ11などを保護する機能を有する。
複数ポート切替及び流量調整装置1AのバルブV1~V4は、いずれも同じ構成のものであり、流量を制御することが可能なものである。
連動機構30Aは、バルブV1,V2,V3,V4を連動して動作させるものであり、カムシャフト31、カムシャフト31を正逆両方向に回転させるサーボモータSMを有する駆動部32を備えて構成されている。また、サーボモータSMを用いることによって、カムシャフト31の回転角度を様々な位置に設定できる。なお、連動機構30Aの詳細については後記する。
図2は、第1実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置の全閉状態を示す断面図である。なお、図2は、説明の都合上、図1の水圧駆動複動シリンダ100Aから、複動シリンダ11、ポンプ12、水供給源13、リリーフ弁14および配管21a~21eを取り除いて、構造を詳しく示したものである。また、作動流体として、水を用いた場合について説明する。
図2に示すように、複数ポート切替及び流量調整装置1Aは、筺体40Aと、流路21f,21g,21h,21i(複数の流路)と、バルブV1~V4(流路開閉部材)と、連動機構30Aと、を備えて構成されている。
筺体40Aは、流路21f~21i、バルブV1~V4および連動機構30Aが設けられるものであり、例えば、アルミニウム合金製の鋳造品によって略四角ブロック状に構成されている。なお、図2では、筺体40Aが一体に形成されている状態が図示されているが、実際には、複数のブロックに分けて、パッキンを介してそれぞれを組み合わせることによって筺体40Aが構成されている。
また、筺体40Aには、一端側(図示左側)から他端側(図示右側)に向けてバルブV1~V4が水平方向に並んで配置されている。また、バルブV1~V4は、等間隔に配置されている。また、バルブV1~V4は、筺体40Aの上側から取り付けられている。
また、筺体40Aには、Pポート17とTポート18とが対向して配置されている。Pポート17は、筺体40Aの左側面に形成されている。Tポート18は、筺体の右側面に形成されている。また、筺体40Aの右側面には、Tポート18の下方に、Aポート15とBポート16が形成されている。なお、図2では、説明の便宜上、Aポート15とBポート16とを上下にずらして配置した場合を例示するが、Aポート15とBポート16とを水平方向に並んで配置してもよく、適宜変更できる。
また、筺体40Aには、Pポート17からAポート15につながる流路21fが形成されている。この流路21fは、Pポート17から水平方向にバルブV1の位置まで延びる流路21f1と、この流路21f1の先端から鉛直方向下方に延びる流路21f2と、この流路21f2の下端からAポート15に向けて水平方向に延びる流路21f3と、を有している。流路21f2は、流路21f1,21f3よりも小径に形成されている。
また、筺体40Aには、流路21fの途中からBポート16につながる流路21gが形成されている。この流路21gは、流路21f1からさらに水平方向に延びる流路21g1と、この流路21g1から鉛直方向下方に延びる流路21g2と、この流路21g2の下端からBポート16に向けて水平方向に延びる流路21g3と、を有している。流路21g2は、流路21g1,21g3よりも小径に形成されている。
また、筺体40Aには、Tポート18から流路21g3につながる流路21iが形成されている。この流路21iは、Tポート18から水平方向にバルブV4の位置まで延びる流路21i1と、この流路21i1から鉛直方向下方に延びて流路21g3と連通する流路21i2と、を有している。流路21i2は、流路21i1,21g3よりも小径に形成されている。
また、筺体40Aには、流路21iの途中から流路21fの途中までつながる流路21hが形成されている。この流路21hは、流路21i1からさらに水平方向に延びる流路21h1と、この流路21h1から鉛直方向下方に延びて流路21f3に連通する流路21h2と、を有している。流路21h2は、流路21h1,21f3よりも小径に形成されている。
バルブV1は、弁箱41、ニードル弁42A、押え板43、コイルバネ44を備えて構成されている。なお、バルブV2~V4についても、バルブV1と同様に構成されている。
バルブV1の弁箱41は、上面が開放するように形成される凹部41aと、この凹部41aの底面から流路21f1と連通するように鉛直方向下方に延びる貫通孔41bと、を有している。また、貫通孔41bの軸中心は、流路21f2の軸中心と一致している。また、貫通孔41bは、ニードル弁42Aが摺動可能に形成されるとともに、流路21f2よりも太く形成されている。
バルブV2の弁箱41において、貫通孔41bの軸中心は、流路21g2の軸中心と一致している。バルブV3の弁箱41において、貫通孔41bの軸中心は、流路21h2の軸中心と一致している。バルブV4の弁箱41において、貫通孔41bの軸中心は、流路21i2の軸中心と一致している。
ニードル弁42Aは、凹部41aに配置される基部42aと、基部42aの下端に固定され、貫通孔41b内を摺動可能に挿入されるピン部42bと、を有している。ピン部42bは、基部42aよりも小径に形成されている。ピン部42bの先端(下端)は、流路21f2の開口(バルブシート)vs1に進退自在に挿入される先細部42cが形成されている。基部42aの上端には、円板状の鍔部42dが形成されている。開口vs1の縁が円形である。先細部42cは、輪切り断面が円形である。よって、先細部42cの周面が開口vs1の縁全体に接した状態で、バルブV1が閉じるようになっている。
押え板43は、リング状に形成され、ニードル弁42Aに挿通され、鍔部42dの下面に当接して、ニードル弁42Aから脱落しないようになっている。
コイルバネ44は、圧縮した状態で凹部41a内に挿入され、軸方向の一端(図示下端)が凹部41aの底面で支持され、他端(図示上端)が押え板43で支持されている。このコイルバネ44の弾性力によって、ニードル弁42Aに対して上方に付勢する力が作用している。
バルブV2は、ニードル弁42Bの先部が流路21g1内を横切るように貫通するとともに、流路21g2の開口(バルブシート)vs2に進退自在に挿入されている。バルブV3は、ニードル弁42Cの先部が流路21h1内を横切るように貫通するとともに、流路21h2の開口(バルブシート)vs3に進退自在に挿入されている。バルブV4は、ニードル弁42Dの先部が流路21i1内を横切るように貫通するとともに、流路21i2の開口(バルブシート)vs4に進退自在に挿入されている。なお、バルブV2~V4は、バルブV1と同様に、先細部42cの周面が開口vs2~vs4の縁全体に接した状態で、バルブV2~V4が閉じるようになっている。
連動機構30Aのカムシャフト31は、筺体40Aの一端から他端に向けて延びる軸31sを有している。軸31sは、筺体40Aの両端に設けられた軸受31t,31tによって回転自在に支持されている。また、軸31sには、カム(板カム)31A,31B,31C,31Dが固定されている。カム31Aは、バルブV1のニードル弁42Aと接する位置に配置されている。カム31Bは、バルブV2のニードル弁42Bと接する位置に配置されている。カム31Cは、バルブV3のニードル弁42Cと接する位置に配置されている。カム31Dは、バルブV4のニードル弁42Dと接する位置に配置されている。
駆動部32は、軸31sに正逆両方向に回転力を与えることで、すべてのカム31A~31Dが同時に回転する。カム31A~31Dが回転することで、バルブV1~V4が開閉する。また、駆動部32は、サーボモータSM(図1参照)を用いることで、軸31sの回転角度を段階的に設定できるようになっている。
図3(a)は図2のIIIA-IIIA断面図、(b)は図2のIIIB-IIIB断面図、(c)は図2のIIIC-IIIC断面図、(d)は図2のIIID-IIID断面図である。なお、図3(a)~(d)は、図2のX方向から見たときの断面図である。
図3(a)に示すように、カム31Aは、軸31sの中心からの半径R1が同じに形成される第1カム面m1を有している。第1カム面m1は、図3(a)の点P1から図示右側のカム面を通って点P2までである。なお、点P1から点P2までは、約180度の角度範囲である。また、カム31Aは、軸31sの中心からの半径R2が徐々に小さくなるように形成される第2カム面m2を有している。第2カム面m2は、図3(a)の点P2から点P3までで、約140度の角度範囲である。
図3(a)に示すバルブV1は、カム31Aが点P2の位置でニードル弁42Aに接している。つまり、最も半径の大きい位置でニードル弁42Aの上端(先細部とは反対側の軸方向の上端)と接している。この状態では、ニードル弁42Aがコイルバネ44の付勢力に抗して最も押し下げられ、ニードル弁42Aによって流路21f2の開口vs1が閉じられている。
図3(b)に示すように、カム31Bは、軸31sの中心からの半径が同じに形成される第1カム面m3を有している。第1カム面m3は、図3(b)の点P4から図示左側のカム面を通って点P5までである。なお、点P4から点P5までは、約180度の角度範囲である。また、カム31Bは、軸31sの中心からの半径が徐々に小さくなるように形成される第2カム面m4を有している。第2カム面m4は、図3(b)の点P5から点P6までで、約140度の角度範囲である。
図3(b)に示すバルブV2は、カム31Bが点P5の位置でニードル弁42Bに接している。つまり、最も半径の大きい位置でニードル弁42Bの上端(先細部とは反対側の軸方向の上端)と接している。この状態では、ニードル弁42Bがコイルバネ44の付勢力に抗して最も押し下げられ、ニードル弁42Bによって流路21g2の開口vs2が閉じられている。
図3(c)に示すように、カム31Cは、カム31Bと同様に構成されている。図3(d)に示すように、カム31Dは、カム31Aと同様に構成されている。
このように、バルブV1に対応するカム31AとバルブV4に対応するカム31Dが、同じ形状かつ同じ配置である。バルブV2に対応するカム31BとバルブV3に対応するカム31Cが、同じ形状かつ同じ配置である。カム31B,31Cは、前記したカム31A,31Dと左右が反転した配置である。
図3(a)~(d)に示すように、バルブV1~V4がすべて閉じた状態では、Pポート17(図2参照)とAポート15(図2参照)との連通が遮断されているので(ニードル弁42Aによって流路21f2の開口vs1が閉じられているので)、Pポート17からの水は、流路21f1のニードル弁42Aの位置で遮断される。また、Pポート17(図2参照)とBポート16(図2参照)との連通が遮断されているので(ニードル弁42Bによって流路21g2の開口vs2が閉じられているので)、Pポート17からの水は、ニードル弁42Aと流路21f1との間に形成された隙間を通って(図3(b)参照)、流路21g1のニードル弁42Bの位置で遮断される。
また、Tポート18(図2参照)とAポート15(図2参照)との連通が遮断されているので(ニードル弁42Cによって流路21h2の開口vs3が閉じられているので)、Tポート18に戻る水は、流路21h1のニードル弁42Cの位置で遮断される。また、Tポート18(図2参照)とBポート16(図2参照)との連通が遮断されているので(ニードル弁42Dによって流路21i2の開口vs4が閉じられているので)、Tポート18に戻る水は、流路21i1のニードル弁42Cの位置で遮断される。
図4は、第1実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置が第1連通状態を示す断面図である。
図4に示すように、複数ポート切替及び流量調整装置1Aは、駆動部32の駆動力によって軸31sが所定の方向に回転すると、バルブV1~V4が連動して動作する。すなわち、軸31sが所定角度回転することで、バルブV2,V3が閉じたまま、バルブV1,V4が開く。このとき、流路21f2の開口vs1が開くようにニードル弁42Aが動作することで、Pポート17とAポート15とが連通する。また、流路21i2の開口vs4が開くようにニードル弁42Dが動作することで、Tポート18とBポート16とが連通する。
これにより、ポンプ12(図1参照)によって水供給源13(図1参照)から吸い上げられた水は、Pポート17に導入され、流路21f1,21f2,21f3を通ってAポート15から導出される。Aポート15から導出された水は、配管21a(図1参照)を介して複動シリンダ11の第1シリンダ室Q1(図1参照)に導入される。第1シリンダ室Q1に水が導入されると、第1シリンダ室Q1の内圧(水圧)が高まることで、第1シリンダ室Q1を拡大する方向にピストン11b(図1参照)が動作する。
また、ピストン11b(図1参照)の動作力によって、第2シリンダ室Q2(図1参照)の水が配管21b(図1参照)を介してBポート16に押し戻される。Bポート16に押し戻された水は、流路21g3,21i2,21i1を通ってTポート18から押し戻される。Tポート18から押し戻された水は、配管21d(図1参照)を介して水供給源13に戻される。
また、バルブV3が閉じているので、Pポート17からAポート15に流れた水が、流路21f3から流路21h2に入り込んだとしても、Tポート18に連通する流路21h1に漏れ出ることがない。また、バルブV2が閉じているのでBポート16に戻された水が、流路21g3から流路21g2に入り込んだとしても、Pポート17に連通する流路21g1に漏れ出ることがない。
図5(a)は図4のVA-VA断面図、(b)は図4のVB-VB断面図、(c)は図4のVC-VC断面図、(d)は図4のVD-VD断面図である。なお、図5(a)~(d)は、図3と同様に、図4のX方向から見た断面図である。
図5(a)に示すカム31Aは、図3(a)に示すカム31AをW1方向(反時計回り方向)に所定角度(例えば、45度)回転させた状態である。これにより、カム31Aは、第2カム面m2がニードル弁42Aの上端と摺動しながら回転する。第2カム面m2は、点P2から点P3に向けて軸31sの中心からの半径が徐々に小さくなるように形成されているので、ニードル弁42Aがコイルバネ44の弾性力によって徐々に上昇する。これによって、ニードル弁42Aの先端が流路21f2の開口vs1から抜け出るので、バルブV1が開く。バルブV1が開くと、流路21f1からの水が、流路21f2,21f3に流れ込む。
図5(b)に示すカム31Bは、図3(b)に示すカム31BをW1方向(反時計回り方向)に同様の角度(例えば、45度)回転させた状態である。これにより、カム31Bは、第1カム面m3がニードル弁42Bの上端と摺動しながら回転する。第1カム面m3は、点P5から点P4に向けて軸31sの中心からの半径が同じに形成されているので、ニードル弁42Bが持ち上がることがない。
図5(c)に示すカム31Cは、バルブV2と同様に動作するので、ニードル弁42Cが持ち上がることがない。図5(d)に示すカム31Dは、バルブV1と同様に動作するので、ニードル弁42Dがコイルバネ44の弾性力によって徐々に上昇する。これによって、ニードル弁42Dの先端が流路21i2の開口vs4から抜け出るので、バルブV4が開く。バルブV4が開くと、流路21g3,21i2からの水が流路21i1に流れ込む。
図6は、第1実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置が第2連通状態を示す断面図である。
図6に示すように、複数ポート切替及び流量調整装置1Aは、駆動部32の駆動力によって軸31sが図4とは逆方向に回転すると、バルブV1~V4が連動して動作する。すなわち、軸31sが所定角度回転することで、バルブV1,V4が閉じたまま、バルブV2,V3が開く。このとき、ニードル弁42Bが動作して流路21g2の開口vs2が開くことで、Pポート17とBポート16とが連通する。また、ニードル弁42Cが動作して流路21h2の開口vs3が開くことで、Tポート18とAポート15とが連通する。
これにより、ポンプ12(図1参照)によって水供給源13(図1参照)から吸い上げられた水は、Pポート17に導入され、流路21f1,21g1,21g2,21g3を通ってBポート16から導出される。Bポート16から導出された水は、配管21b(図1参照)を介して複動シリンダ11の第2シリンダ室Q2(図1参照)に導入される。第2シリンダ室Q2に水が導入されると、第2シリンダ室Q2の内圧(水圧)が高まることで、第2シリンダ室Q2を拡大する方向にピストン11b(図1参照)が動作する。
また、ピストン11b(図1参照)の動作力によって、第2シリンダ室Q1(図1参照)の水が配管21a(図1参照)を介してAポート15に押し戻される。Aポート15に押し戻された水は、流路21f3,21h2,21h1,21i1を通ってTポート18から押し戻される。Tポート18から押し戻された水は、配管21d(図1参照)を介して水供給源13に戻される。
また、バルブV4が閉じているので、Pポート17からBポート16に流れた水が、流路21g3から流路21i2に入り込んだとしても、Tポート18に連通する流路21i1に漏れ出ることがない。また、バルブV1が閉じているので、Aポート15からTポート18に流れた水が、流路21f3から流路21f2に入り込んだとしても、Pポート17に連通する流路21f1に漏れ出ることがない。
図7(a)は図6のVIIA-VIIA断面図、(b)は図6のVIIB-VIIB断面図、(c)は図6のVIIC-VIIC断面図、(d)は図6のVIID-VIID断面図である。
図7(a)に示すカム31Aは、図3(a)に示すカム31AをW2方向(時計回り方向)に同様の角度(例えば、45度)回転させた状態である。これにより、カム31Aは、第1カム面m1がニードル弁42Aの上端と摺動しながら回転する。第1カム面m1は、点P2から点P1に向けて軸31sの中心からの半径が同じに形成されているので、ニードル弁42Aがコイルバネ44の付勢力によって持ち上がることがない。
図7(b)に示すカム31Bは、図3(b)に示すカム31BをW2方向(時計回り方向)に所定角度(例えば、45度)回転させた状態である。これにより、カム31Bは、第2カム面m4がニードル弁42Bの上端と摺動しながら回転する。第2カム面m4は、点P5から点P6に向けて軸31sの中心からの半径が徐々に小さく形成されているので、ニードル弁42Bがコイルバネ44の弾性力によって徐々に上昇する。これによって、ニードル弁42Bの先端が流路21g2の開口vs2から抜け出るので、バルブV2が開弁する。バルブV2が開弁すると、流路21g1からの水が、流路21g2,21g3に流れ込む。
図7(c)に示すカム31Cは、カム31Bと同様に動作するので、ニードル弁42Cがコイルバネ44の弾性力によって徐々に上昇する。これによって、ニードル弁42Cの先端が流路21h2の開口vs3から抜け出るので、バルブV3が開く。バルブV3が開くと、流路21f3,21h2からの水が流路21h1に流れ込む。図7(d)に示すカム31Dは、バルブV1と同様に動作するので、ニードル弁42Dがコイルバネ44の付勢力によって持ち上がることがない。
図8は、カムの回転角度と流量との関係を示すグラフである。なお、図8では、回転角度の方向については考慮していない。また、図3(a),(d)に示すように、カム31A,31Dが点P2においてニードル弁42A,42Dと接している状態を0度、図3(b),(c)に示すように、カム31B,31Cが点P5においてニードル弁42B,42Cと接している状態を0度とする。
カム31Aは、点P2から点P3に向けて半径が小さくなるように形成された第2カム面m2を有しているので、ニードル弁42Aが流路21f2の開口vs1から抜け出ることで、流路21f2の開口vs1が徐々に拡大する。つまり、図8に示すように、回転角度(サーボモータのストローク)が大きくなるにつれて(図3(a)→図5(a)参照)、流路21f1から流路21f2に流れる水の流量が増加する。
カム31Dは、カム31Aと同様に、回転角度(サーボモータのストローク)が大きくなるにつれて(図3(d)→図5(d)参照)、流路21i2から流路21i1に流れる水の流量が増加する。
カム31Bは、点P5から点P6に向けて半径が小さくなるように形成された第2カム面m4を有しているので、ニードル弁42Bが流路21g2の開口vs2から抜け出ることで、流路21g2の開口vs2が徐々に拡大する。つまり、図8に示すように、回転角度(サーボモータのストローク)が大きくなるにつれて(図3(b)→図7(b)参照)、流路21g1から流路21g2に流れる水の流量が増加する。
カム31Cは、カム31Dと同様に、回転角度(サーボモータのストローク)が大きくなるにつれて(図3(c)→図7(c)参照)、流路21h2から流路21h1に流れる水の流量が増加する。
以上説明したように、第1実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置1Aは、筺体40Aと、筺体40A内に設けられた流路21f~21iと、流路21f~21iの開閉を行う複数のバルブV1~V4と、複数のバルブV1~V4を連動させて流路21f~21iを開閉する連動機構30Aと、を備える。これによれば、連動機構30Aによって複数のバルブV1~V4を連動させて同時に動かすことができるので、バルブV1~V4の制御が簡単になるとともに、バルブV1~V4の動作機構(構造)を簡単にできる。
また、第1実施形態は、連動機構30Aが、バルブV1~V4の開閉を行う複数のカム31A~31Dおよび軸31sによって構成されている。バルブV1~V4をカム31A~31Dによって動作させることで、作動流体の流量の制御が容易になる。
また、第1実施形態では、流路開閉部材がニードル弁42A~42Dであり、流路21f~21i(流路)がニードル弁42A~42Dの軸方向Gの往復動作によって開閉される。これによれば、ニードル弁42A~42Dの軸方向の動作によってバルブV1~V4を開閉することで、作動流体として水を用いた場合、内部漏れを抑制でき、中立位置でほぼ流量ゼロを実現でき、水用の複数ポート切替及び流量調整装置1Aとしての性能を向上できる。また、中立位置で流量をゼロにできるため、複数ポート切替及び流量調整装置1Aを水圧駆動シリンダ100Aに適用した場合、中立位置にてフィードバック制御することなく、アクチュエータ(複動シリンダ11)を停止させることが可能になる。
また、第1実施形態では、カム31A~31Dは、半径R1が同じに形成された第1カム面m1,m3と、半径R2が徐々に小さくなるように形成された第2カム面m2,m4と、を有する(図3、図5、図7参照)。これによれば、第1カム面m1,m3がニードル弁42A~42Dに摺動することで、ニードル弁42A~42Dを閉じたままの状態にでき、第2カム面m2,m4がニードル弁42A~42Dに摺動することで、ニードル弁42A~42Dの開度を制御する(変更する)ことができる。
また、第1実施形態では、ニードル弁42A~42Dが流路21f~21i(流路21f1,21g1,21h1,21i1)に直交する方向から貫通し、流路21f~21iは、ニードル弁42A~42Dの先端(先細部42c)によって開閉される開口vs1,vs2,vs3,vs4を有している。これによれば、ニードル弁42A~42Dを摺動させることなく、バルブV1~V4を開閉することができ、作動流体の内部漏れを抑制できる。
また、第1実施形態では、複数の流路21f~21iに流れる作動流体は水である。これによれば、油圧などの作動流体に比べて、環境負荷を緩和できる。
また、第1実施形態では、複数ポート切替及び流量調整装置1Aを複動シリンダ11に接続して使用できる。これによれば、ホイールローダ、ダンプカーの荷台、二足歩行ロボット、スカラロボット、クローラ、クレーン、産業用ロボット、伸縮アーム、ロボットアームなどの各種の駆動装置に適用することができる。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置を示す断面図である。なお、図9は、複数ポート切替及び流量調整装置1Bが全閉状態を示している。
図9に示すように、複数ポート切替及び流量調整装置1B(複数ポート切替装置)は、筺体40Bと、流路21f,21g,21h,21i(複数の流路)と、バルブV10,V20,V30,V40(流路開閉部材)と、連動機構30Bと、を備えている。
筺体40Bは、流路21f~21i、バルブV10~V40および連動機構30Bが設けられるものであり、例えば、アルミニウム合金製の鋳造品によって略四角ブロック状に構成されている。なお、図9では、筺体40Bが一体に形成されている状態が図示されているが、実際には、複数のブロックに分けて、パッキンを用いてそれぞれを組み合わせることによって筺体40Bが構成されている。
筺体40Bには、一端側(図示左側)から他端側(図示右側)に向けてバルブV10~V40が水平方向に並んで配置されている。また、筺体40Bには、Pポート17とTポート18とが対向して配置されている。Pポート17は、筺体40Bの左側面に形成されている。Tポート18は、筺体の右側面に形成されている。また、筺体40Bの右側面には、Tポート18の下方に、Aポート15とBポート16が形成されている。
また、筺体40Bには、一端側から他端側に貫通する弁箱45が形成されている。この弁箱45内には、バルブV10~V40が軸方向に並んで配置されている。また、弁箱45は、軸方向の中央においてシール部材42aによって左右に区画されている。このシール部材42aによって区画された一方にバルブV10,V20が配置され、他方にバルブV30,V40が配置されている。また、弁箱45の両端には、連動機構30Bの軸31sを回転自在に支持する軸受42b,42bが設けられている。
筺体40Bには、Pポート17からAポート15につながる流路21fが形成されている。この流路21fは、Pポート17から水平方向に延びる流路21f4と、この流路21f4の先端から鉛直方向下方に延びる流路21f5と、を有している。流路21f4の先端は、バルブV10,V20の間まで延びている。流路21f5は、バルブV10とバルブV20との間に形成された流路(空間)21f6と連通している。
また、流路21fは、流路21f6の下部から下方に延びる流路21f7を有している。また、流路21fは、流路21f7の下端からAポート15に向けて水平方向に延びる流路21f8を有している。流路21f7は、流路21f4,21f8よりも小径に形成されている。また、流路21f7の開口vs10(バルブシート)にはバルブV10が位置している。
流路21gは、流路21f6の下部から下方に延びる流路21g7を有している。また、流路21gは、流路21g7の下端からBポート16に向けて水平方向に延びる流路21g8を有している。流路21g7は、流路21f4,21g8よりも小径に形成されている。また、流路21g7の開口vs20(バルブシート)にはバルブV20が位置している。
筺体40Bには、Tポート18からAポート15につながる流路21hが形成されている。この流路21hは、Tポート18から水平方向に延びる流路21h4と、この流路21h4の先端から鉛直方向下方に延びる流路21h5と、を有している。流路21h4の先端は、バルブV30,V40の間まで延びている。流路21h5は、バルブV30とバルブV40との間に形成された流路(空間)21h6と連通している。
また、流路21hは、流路21h6の下部から下方に延びて、流路21f8に連通する流路21h7を有している。この流路21h7は、流路21h4,21f8よりも小径に形成されている。また、流路21h7の開口vs30(バルブシート)にはバルブV30が位置している。
流路21iは、流路21h6の下部から下方に延び、流路21g8に連通する流路21i7を有している。この流路21i7は、流路21h4,21g8よりも小径に形成されている。また、流路21i7の開口vs40(バルブシート)にはバルブV40が位置している。
バルブV10は、弁箱45内を摺動しながら回転する略円柱状に形成された回転体33を有し、この回転体33が軸31sに固定されている。回転体33の外周面には、切欠部32Aが形成されている。この切欠部32Aは、隣り合うバルブV20に向けて徐々に流路21f6の周壁面から離間するようにテーパ状に形成されている。
バルブV20は、弁箱45内を摺動する略円柱状に形成された回転体33を有し、軸31sに固定されている。回転体33には、バルブV10と同様な切欠部32Bが形成されている。この切欠部32Bは、隣り合うバルブV10に向けて徐々に流路21f6の周壁面から離間するようにテーパ状に形成されている。
なお、バルブV30,V40についても、バルブV10,V20と同様にして回転体33の外周面に切欠部32C,32Dが形成され、切欠部32C,32Dが対向するように配置されている。
図10(a)は図9のXA-XA断面図、(b)は図9のXB-XB断面図、(c)は図9のXC-XC断面図、(d)は図9のXD-XD断面図であるなお、図10(a)~(d)は、図9のX方向から見たときの断面図である。
図10(a)に示すように、バルブV10の回転体33は、半径R1が同じに形成される外周面m10が形成されている。この外周面m10は、図10(a)の点P10から点P20までの180度以上の角度範囲である。バルブV10の切欠部32Aは、周方向両端から中央に向けて切欠きの体積が徐々に大きくなるように形成されている。換言すると、周方向両端から中央に向けて、切欠部32Aの表面と弁箱45の周壁面とで挟まれる空間が徐々に大きくなるように形成されている。
また、バルブV10は、流路21f7の開口vs10に回転体33の外周面m10が位置することで閉じられている。また、切欠部32Aは、開口vs10と重ならない図示左上に位置している。
図10(b)に示すように、バルブV20は、流路21g7の開口vs20に回転体33の外周面m10が位置することで閉じられている。また、切欠部32Bは、開口vs20と重ならない図示右上に位置している。
図10(c)に示すように、バルブV30は、流路21h7の開口vs30に回転体33の外周面m10が位置することで閉じられている。また、切欠部32Cは、開口vs30と重ならない図示右上に位置している。
図10(d)に示すように、バルブV40は、流路21i7の開口vs40に回転体33の外周面m10が位置することで閉じられている。また、切欠部32Dは、開口vs40と重ならない図示左上に位置している。
図10(a)と図10(d)に示すように、バルブV10の切欠部32AとバルブV40の切欠部32Dが、同じ形状かつ同じ配置である。また、図10(b)と図10(c)に示すように、バルブV20の切欠部32BとバルブV30の切欠部32Cが、同じ形状かつ同じ配置である。
図10(a)~(d)に示すように、バルブV10~V40がすべて閉じた状態では、Pポート17(図9参照)とAポート15(図9参照)との連通が遮断されているので(外周面m10によって開口vs10が閉じられているので)、流路21f6の位置で流路21fが遮断されている。また、Pポート17とBポート16(図9参照)との連通が遮断されているので(外周面m10によって開口vs20が閉じられているので)、流路21f6の位置で流路21gが遮断されている。
また、Tポート18(図9参照)とAポート15との連通が遮断されているので(外周面m10によって開口vs30が閉じられているので)、流路21h7の位置で流路21hが遮断されている。また、Tポート18とBポート16との連通が遮断されているので(外周面m10によって開口vs40が閉じられているので)、流路21i7の位置で流路21iが遮断されている。
図11は、第2実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置が第1連通状態を示す断面図である。
図11に示すように、複数ポート切替及び流量調整装置1Bは、駆動部32の駆動力によって軸31sが回転すると、バルブV10~V40が連動して回転する。すなわち、軸31sが所定角度回転することで、バルブV20,V30が閉じたまま、バルブV10,V40が開く。このとき、回転体33の切欠部32Aが回転して流路21f7の開口vs10が開くことで、Pポート17とAポート15とが連通する。また、回転体33の切欠部32Dが回転して流路21i7の開口vs40が開くことで、Tポート18とBポート16とが連通する。
これにより、ポンプ12(図1参照)によって水供給源13(図1参照)から吸い上げられた水は、Pポート17に導入され、流路21f4,21f5,21f6,21f7,21f8を通ってAポート15から導出される。Aポート15から導出された水は、配管21a(図1参照)を介して複動シリンダ11の第1シリンダ室Q1(図1参照)に導入される。第1シリンダ室Q1に水が導入されると、第1シリンダ室Q1の内圧(水圧)が高まることで、第1シリンダ室Q1を拡大する方向にピストン11b(図1参照)が動作する。
また、ピストン11b(図1参照)の動作力によって、第2シリンダ室Q2(図1参照)の水が配管21b(図1参照)を介してBポート16に押し出される。Bポート16に押し出された水は、流路21g8,21i7,21h6,21h5,21h4を通ってTポート18から押し出される。Tポート18から押し出された水は、配管21d(図1参照)を介して水供給源13(図1参照)に戻される。
また、バルブV30が閉じているので、Pポート17からAポート15に流れた水が、流路21f8から流路21h7に入り込んだとしても、Tポート18に連通する流路21h6に漏れ出ることがない。また、バルブV20が閉じているので、Bポート16からTポート18に水が流れる際、流路21g8から流路21g7に入り込んだとしても、水がPポート17に連通する流路21f6に漏れ出ることがない。
図12(a)は図11のXIIA-XIIA断面図、(b)は図11のXIIB-XIIB断面図、(c)は図11のXIIC-XIIC断面図、(d)は図11のXIID-XIID断面図である。
図12(a)に示すバルブV10は、回転体33を図10(a)に示すW10方向(反時計回り方向)に所定角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面を摺動した後、回転体33の切欠部32Aが開口vs10と対向する。これによって、Pポート17から流路21f4,21f5,21f6を通って供給された水が、切欠部32Aを介して、開口vs10から流路21f7,21f8に流れ込む。このとき、切欠部32Aは、点P10から切欠きが大きくなるように形成されているので、切欠部32Aの位置(回転角度、駆動部32のサーボモータのストローク)によって、開口vs10から流路21f7に流れ込む流量が変化する(上昇する)。
図12(b)に示すバルブV20は、回転体33を図10(b)に示すW10方向(反時計回り方向)に同様の角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面(周壁面)を摺動しながら回転する。バルブV10と同じ角度回転したとしても、切欠部32Bが開口vs10と対向することがないので、バルブV20が閉じたままである。
図12(c)に示すバルブV30は、回転体33を図10(c)に示すW10方向(反時計回り方向)に同様の角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面を摺動しながら回転する。バルブV10,V20と同じ角度回転したとしても、切欠部32Cが開口vs30と対向することがないので、バルブV30は閉じたままである。
図12(d)に示すバルブV40は、回転体33を図10(d)に示すW10方向(反時計回り方向)に同様の角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面を摺動した後、回転体33の切欠部32Dが開口vs40と対向する。これによって、Bポート16から流路21g8,21i7を通って戻された水が、切欠部32Dを介して、開口vs40から流路21h6,21h5,21h4に流れ込む。このとき、切欠部32Dは、点P10から切欠きが大きくなるように形成されているので、切欠部32Dの位置(回転角度、駆動部32のサーボモータのストローク)によって、開口vs40から流路21h6,21h5,21h4に流れ込む流量が変化する(上昇する)。
図13は、第2実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置が第2連通状態を示す断面図である。
図13に示すように、複数ポート切替及び流量調整装置1Bは、駆動部32の駆動力によって軸31sが図11とは逆方向に回転すると、バルブV10~V40が連動して回転する。すなわち、軸31sが所定角度回転することで、バルブV10,V40が閉じたまま、バルブV20,V30が開く。このとき、バルブV20の回転体33の切欠部32Aが流路21g7の開口vs20が開くことで、Pポート17とBポート16とが連通する。また、バルブV30の回転体33の切欠部32Cが回転して流路21h7の開口vs30が開くことで、Tポート18とAポート15とが連通する。
これにより、ポンプ12(図1参照)によって水供給源13(図1参照)から吸い上げられた水は、Pポート17に導入され、流路21f4,21f5,21f6,21g7,21g8を通ってBポート16から導出される。Bポート16から導出された水は、配管21b(図1参照)を介して複動シリンダ11の第2シリンダ室Q2(図1参照)に導入される。第2シリンダ室Q2に水が導入されると、第2シリンダ室Q2の内圧(水圧)が高まることで、第2シリンダ室Q2を拡大する方向にピストン11b(図1参照)が動作する。
また、ピストン11b(図1参照)の動作力によって、第1シリンダ室Q1(図1参照)の水が配管21a(図1参照)を介してAポート15に押し出される。Aポート15に押し出された水は、流路21f8,21h7,21h6,21h5,21h4を通ってTポート18から押し出される。Tポート18から押し出された水は、配管21d(図1参照)を介して水供給源13(図1参照)に戻される。
また、バルブV40が閉じているので、Pポート17からBポート16において、水が流路21g8から流路21i7に入り込んだとしても、Tポート18に連通する流路21h6,21h5,21h4に水が漏れ出ることがない。また、バルブV10が閉じているので、Aポート15からTポート18において、水が流路21f8から流路21f7に入り込んだとしても、Pポート17に連通する流路21f6,21f5,21f4に水が漏れ出ることがない。
図14(a)は図13のXIVA-XIVA断面図、(b)は図13のXIVB-XIVB断面図、(c)は図13のXIVC-XIVC断面図、(d)は図13のXIVD-XIVD断面図である。
図14(a)に示すバルブV10は、回転体33を図10(a)に示すW20方向(時計回り方向)に所定角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面を摺動した後も、切欠部32Aが開口vs10と対向することがないので、バルブV10が閉じたままである。
図14(b)に示すバルブV20は、回転体33を図10(b)に示すW20方向(時計回り方向)に同様の角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面を摺動した後、回転体33の切欠部32Bが開口vs20と対向する。これによって、Pポート17(図13参照)から流路21f4,21f5,21f6を通って供給された水が、切欠部32Bを介して、開口vs20から流路21g7,21g8に流れ込む。このとき、切欠部32Bは、点P30から切欠きが大きくなるように形成されているので、切欠部32Bの回転位置(回転角度、駆動部32のサーボモータのストローク)によって、開口vs20から流路21g7に流れ込む流量が変化する(上昇する)。
図14(c)に示すバルブV30は、回転体33を図10(c)に示すW20方向(時計回り方向)に同様の角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面を摺動した後、回転体33の切欠部32Cが開口vs30と対向する。これによって、Aポート15から流路21f8,21h7を通って押し出された水が、切欠部32Cを介して、開口vs30から流路21h6,21h5,21h4に流れ込む。このとき、切欠部32Cは、点P30から切欠きが大きくなるように形成されているので、切欠部32Cの回転位置(回転角度、駆動部32のサーボモータのストローク)によって、開口vs30から流路21h6に流れ込む流量が変化する(上昇する)。
図14(d)に示すバルブV40は、回転体33を図10(d)に示すW20方向(時計回り方向)に同様の角度(例えば、90度)回転させた状態である。これにより、回転体33は、弁箱45の内壁面を摺動した後も、切欠部32Dが開口vs40と対向することがないので、バルブV40が閉じたままである。
以上説明したように、第2実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置1Bは、筺体40Bと、筺体40B内に設けられた流路21f~21iと、各流路21f~21iの開閉を行う複数のバルブV10~V40と、複数のバルブV10~V40を連動させる連動機構30Bと、を備える。これによれば、連動機構30Bによって複数のバルブV10~V40を連動させて同時に動かすことができるので、バルブV10~V40の制御が簡単になるとともに、バルブV1~V4の動作機構(構造)を簡単にできる。
また、第2実施形態は、バルブV10~V40が流路21f~21i内を摺動して回転する回転体33を有し、流路21f~21iは、回転体33の外周面に形成された切欠部32A~32Dの回転動作によって開閉される。これによれば、バルブV10~V40をカムによって動作させることで、バルブV10~V40の開度を制御することができ、作動流体の流量を制御できる。
また、第2実施形態は、切欠部32A~32Dが当該切欠部32A~32Dと流路21f~21iとの間に形成される空間が周方向に向けて変化するように形成されている。これによれば、簡単な構造で、作動流体の流量を制御できる。
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態の複数ポート切替装置として3ポート切替装置を備えた水圧駆動複動シリンダを示す構成図である。
図15に示すように、水圧駆動複動シリンダ100B(液圧駆動複動シリンダ)は、3ポート切替装置(複数ポート切替装置)1C、単動シリンダ11A(駆動部、アクチュエータ)、ポンプ12、水供給源(液体供給源)13、リリーフ弁14、配管21a,21c,21d,21eを備えて構成されている。
3ポート切替装置1Cは、バルブV1,V3(流路開閉部材)、流路21f,21h(複数の流路)、連動機構30Cを備えて構成されている。
単動シリンダ11Aは、円筒形状のチューブ11a、チューブ11a内を軸方向に摺動するピストン11b、ピストン11bに固定されて軸方向に延びるロッド11c、エンドプレート11d,11eを備えている。また、単動シリンダ11Aは、チューブ11aとピストン11bとエンドプレート11dとで囲まれるシリンダ室Q1を有している。また、単動シリンダ11Aは、チューブ11aとピストン11bとエンドプレート11eとで囲まれるシリンダ室にピストン11bをシリンダ室Q1に付勢するコイルバネ11f(付勢部材)を有している。第1シリンダ室Q1には、水(液体、流体)が充填される。
また、単動シリンダ11Aは、シリンダ室Q1に配管21aの一端が接続されている。配管21aの他端は、3ポート切替装置1CのAポート15に接続されている。
バルブV1,V3は、第1実施形態におけるバルブV1,V3と同様に構成されている。すなわち、3ポート切替装置1Cは、図2の第1実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置1Aから、バルブV2,V4、流路21g1,21g2,21g3を除いた構成である。なお、バルブV1,V3は、第2実施形態におけるバルブV10,V30と同様な構成であってもよい。
このような3ポート切替装置1Cでは、連動機構30Cによって、バルブV1が開き、バルブV3が閉じることで、Pポート17とAポート15とが連通する。これにより、水供給源13の水が、ポンプ12の動力によって、配管21cからPポート17に導入される。Aポート15から導出された水は、配管21aを通って、シリンダ室Q1に導入される。シリンダ室Q1に水が導入されることで、シリンダ室Q1の内圧が上昇し、コイルバネ11fの付勢力に抗して、ピストン11bがシリンダ室Q1を拡大する方向に動作する。
また、3ポート切替装置1Cでは、連動機構30Cによって、バルブV1が閉じ、バルブV3が開くことで、Aポート15とTポート18とが連通する。これにより、シリンダ室Q1の水が、コイルバネ11fの付勢力によってAポート15に押し出され、流路21h、配管21を通って水供給源13に戻される。
以上説明したように、第3実施形態の3ポート切替装置1Cは、第1実施形態と同様に、筺体40Aと、筺体40A内に設けられた複数の流路21f,21hと、流路21f,21hの開閉を行う複数のバルブV1,V3と、バルブV1,V3を連動させて流路21f,21hの開閉を行う連動機構30Cを備える。これにより、連動機構30Cによって複数のバルブV1,V3を連動させて同時に動かすことができるので、バルブV1,V3の制御が簡単になるとともに、バルブV1,V3の構造を簡単にできる。
図16(a)は第1実施形態の複数ポート切替及び流量調整装置にて、双方向流体回転モータを駆動する場合を示す構成図、(b)は双方向流体回転モータの内部構造を示す断面図である。
図16(a)に示すように、水圧モータ100C(液圧駆動装置)は、図1の複動シリンダ11(直動シリンダ)に替えて、双方向流体回転モータ9(駆動部)としたものである。双方向流体回転モータ9は、円筒状のハウジング9aと、このハウジング9aの軸方向から突出する出力軸9bと、を有している。この出力軸9bが正逆両方向に回転することで、対象物を駆動できるようになっている。
図16(b)に示すように、双方向流体回転モータ9は、ハウジング9aの内壁に形成された固定壁9cと、ハウジング9aと同心に且つハウジング11に対して回動自在に取り付けられ、外周の一部が固定壁9cに常に当接している出力軸9bと、出力軸9bから半径方向に延在し、先端がハウジング9aの内壁に摺動自在に当接するベーン9dと、を有している。また、双方向流体回転モータ9は、ハウジング9aの内壁面、出力軸9b及びベーン9dとで画成された2つの液圧室を有している。それぞれの液圧室には、流体を導入、排出する配管21a,21bが接続されている。
このように、中立位置で流量をゼロにできるため、複数ポート切替及び流量調整装置1Aを水圧モータ100Cに適用した場合、中立位置にてフィードバック制御することなく、アクチュエータ(双方向流体駆動モータ9)を停止させることが可能になる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、複数ポート切替及び流量調整装置1A,1Bや3ポート切替装置1Cを例に挙げて説明したが、5ポート以上の切替装置に適用してもよい。また、第1実施形態では、カム31A~31Dとして板カムを例に挙げて説明したが、溝カムなどの他の種類のカムを組み合わせてもよい。
また、前記した実施形態では、単一のサーボモータSM(モータ)を有する駆動部32を備えたものを例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではなく、複数のサーボモータSM(モータ)を並列に接続して駆動部を構成してもよい。例えば、モータを2つとして弁(ニードル弁など)を複数個(8個、9個、・・・)並べた組み合わせでもよく、また、モータを3つとして弁(ニードル弁など)を複数個並べた組み合わせでもよい。