JP7141619B2 - 多角形形状の加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Description
本発明によれば、汎用性の高い工具や装置を用いて任意の角数の多角形形状の周面を加工可能な加工方法及び加工装置を提供することができる。
本第1実施形態の加工装置10は、図1及び図2に示すように、被削材Wを支持して第1軸L1を中心に回転駆動させる第1回転駆動部11と、第1回転駆動部11とは第1軸L1に沿う方向に離間して配置されて、第1軸L1と離間して平行に並設された第2軸L2を中心に切削工具13を回転駆動可能であるとともに、切削工具13を第2軸L2に沿って進退可能な第2回転駆動部12と、を備えている。
第2回転駆動部12に下孔14を穿設可能なドリル等の孔あけ工具を装着し、第2軸L2を第1回転駆動部11の第1軸L1に同軸に配置し、第1回転駆動部11により被削材Wを第1軸L1周りに回転駆動させつつ、孔明け工具により第1軸L1を中心にして下孔14を形成する。
この実施形態の加工装置における被削材Wと切削刃Tとの位置関係を図3に模式的に示す。図3中、被削材Wの第1軸L1と直交するx-y座標系において、被削材Wの第1軸L1に沿う方向をz、被削材Wの下孔14の第1軸L1に対する半径をRW、第1軸L1に対する第2軸L2の偏心量をε、切削刃Tの回転半径、即ち、第2軸L2に対する切削刃Tの刃先の距離をRT、被削材Wの角速度をωW、切削刃Tの角速度をωT、切削刃Tの第2軸L2方向の送り速度をfT、時間をtとして示す。
一方、各面が平坦に形成される場合の偏心量εの値に比べ、偏心量εの値を大きく設定することで、多角形形状の各辺を構成する各面を内側に凹んだ形状とすることができる。このような曲面形状にすることで、多角形形状の内周面をヘックスローブ形状(トルクス(登録商標)のレンチ形状)に形成することができる。
本実施形態では、以上のような各種の加工条件で被削材Wを全長にわたり継続して加工することで、被削材Wに所望の多角形形状の周面を形成することができる。
図4(a)の開始位置から、切削刃Tが120度で被削材Wが100度の状態(b)、切削刃Tが240度で被削材Wが200度の状態(c)、切削刃Tが360度で被削材Wが300度の状態(d)のように加工が進行することで、六角形の一つ目の角部に対応する軌跡が形成される。
その後、このような6:5の回転比で加工が進行することで、6角形の三つ目から六つ目の角部に対応する軌跡が形成され、さらに所定の送り量でこのような回転比による加工を継続することで、6角形形状の内周面を形成することができる。
第2実施形態は、被削材Wに正多角形形状の外周面を加工する一例として四角形形状の外周面を作製する。
加工装置10は、図5に示すように、被削材Wを支持して第1軸L1を中心に回転駆動させる第1回転駆動部11と、第1回転駆動部11とは第1軸L1に沿う方向に離間して配置されて、第1軸L1と離間して平行に並設された第2軸L2を中心に切削工具13を回転駆動可能であるとともに、切削工具13を第2軸L2に沿って進退可能な第2回転駆動部12と、を備えている。
ここでは(切削刃Tの角速度ωT):(被削材Wの角速度ωW)の回転比を、精度よく4:3に設定している。
図6(a)の開始位置から、切削刃Tが120度で被削材Wが90度の状態(b)、切削刃Tが240度で被削材Wが180度の状態(c)、切削刃Tが360度で被削材Wが270度の状態(d)のように加工が進行することで、四角形の一つの面及び一つ目の角部に対応する軌跡が形成される。
その後、このような4:3の回転比で加工が進行することで、四角形の2つ目から4つ目までの面及び角部に対応する軌跡が形成され、さらに所定の送り量でこのような回転比による加工を継続することで、四角形形状の内周面を形成することができる。
例えば上記実施形態では、n角形形状の周面における各面をそれぞれ平坦な面により形成した例を説明したが、各面が曲面からなるn角形形状の周面であっても目的に応じて適宜選択することが可能である。
さらに上記実施形態では、多角形形状を被削材Wの全長に形成した例について説明したが、多角形形状の有底穴や柱状突起などであっても加工可能である。
また上記第1及び第2実施形態では、一つの切削刃Tを装着した切削工具13を使用したが、複数の切削刃Tを装着した切削工具13であっても使用可能である。
[実施例1]
図1及び図2に示すような加工装置10として、ターニングセンタ(OKUMA SPACE TURN LB3000EX、複合旋盤)を用い、被削材Wに正六角形形状の内周面加工を行った。
実施例1と同様の加工装置10を用い、被削材Wに正六角形形状の内周面加工を行った。被削材Wは、アルミニウム合金A5052からなる直径40mmの円柱を用いた。
被削材Wが第1軸L1を中心に回転駆動可能となるように、加工装置10の第1回転駆動部11に装着し、回転させつつ第1軸L1を中心に直径10mmの下孔14を貫通して設けた。
次に、下孔14内に挿入して第2軸L2を中心に回転駆動可能なボーリングバーからなる工具を第2回転駆動部12に装着した。ボーリングバーからなる工具には鋼用サーメットからなる切削刃Tを装着した。
実施例1と同様の加工装置10を用い、被削材Wに正四角形形状の内周面加工を行った。実施例2と同様の被削材Wを用い、第1軸L1を中心に直径8.9mmの下孔14を貫通して設け、次に下孔14内に挿入して第2軸L2を中心に回転駆動可能な工具を第2回転駆動部12に装着し、第1軸L1に対する第2軸L2の偏心量εを0.75mmとし、工具回転半径RTを5.95mmとした。下孔14の半径RWは、工具回転半径RTと第1軸L1に対する第2軸L2の偏心量εとの差(RT-ε)より小さかった。
切削刃Tの回転速度を2401rpmとするとともに被削材Wの回転速度を2001rpmとすることで回転速度比を6:5とし、(被削材Wの回転速度)/(切削刃Tの回転速度)の値を0.8334とした。直径方向の切り込み量を4.92mmとした。その他は全て実施例1と同じにして加工を行った。
実施例1と同様の加工装置10を用い、被削材Wに正六角形形状の外周面加工を行った。被削材Wは、アルミニウム合金A5650からなる直径18mmの円柱を用いた。被削材Wが第1軸L1を中心に回転駆動可能となるように、加工装置10の第1回転駆動部11に装着した。また第2軸L2を中心に回転駆動可能な工具を第2回転駆動部12に装着した。工具には超硬からなる切削刃Tを装着した。
実施例1と同様の加工装置10を用い、被削材Wに正四角形形状の外周面加工を行った。被削材Wは、アルミニウム合金A5650からなる直径18mmの円柱を用いた。被削材Wが第1軸L1を中心に回転駆動可能となるように、加工装置10の第1回転駆動部11に装着した。また第2軸L2を中心に回転駆動可能な工具を第2回転駆動部12に装着した。工具には超硬からなる切削刃Tを装着した。
切削刃Tの回転速度を2400rpmとするとともに被削材Wの回転速度を1600rpmとすることで、回転速度比を6:4とする他は、全て実施例2と同じにして内周面加工を行ったところ、図13に示すように、六角形等の安定した多角形形状に形成することができなかった。
切削刃Tの回転速度を2400rpmとするとともに被削材Wの回転速度を1200rpmとすることで、回転速度比を6:3とする他は、全て実施例2と同じにして内周面加工を行ったところ、図14に示すように、六角形等の安定した多角形形状に形成することができなかった。
T 切削刃
L1 第1軸
L2 第2軸
10 加工装置
11 第1回転駆動部
12 第2回転駆動部
13 切削工具
14 下孔
15 シャンク部
Claims (7)
- n角形形状の内周面を加工する多角形形状の加工方法であって、
被削材の中心に下孔を設け該下孔の中心を第1軸として被削材を回転させると共に、前記下孔の範囲内における前記第1軸と偏心させた位置に、該第1軸と平行に設けられた第2軸を中心に切削刃を 前記被削材と同じ向きに回転させ、
前記切削刃と前記被削材との回転比をn:n-1にして、前記切削刃により前記被削材の前記内周面を多角形孔形状に加工する、多角形形状の加工方法。 - 目的とする前記n角形形状の内周面における対向面間の距離に応じて、前記第1軸と前記第2軸との間の偏心量と前記第2軸に対する前記切削刃の刃先の距離との差を調整する、請求項1に記載の多角形形状の加工方法。
- 目的とする前記n角形形状の内周面における対角間の距離に応じて、前記第1軸と前記第2軸との間の偏心量と前記第2軸に対する前記切削刃の刃先の距離との和を調整する、請求項1又は2に記載の多角形形状の加工方法。
- 前記第1軸に対する前記第2軸の偏心量と前記第2軸に対する前記切削刃の刃先の距離との差に応じて前記下孔の半径を調整する、請求項1乃至3の何れかに記載の多角形形状の加工方法。
- 前記第1軸に対する前記第2軸の偏心量をεとし、前記第2軸に対する切削刃の刃先の回転半径をRTとしたとき、前記下孔の半径を(RT-ε)より小さくする、請求項4に記載の多角形形状の加工方法。
- (前記被削材の回転速度)/(前記切削刃の回転速度)の値を(n-1)/nから前後にn/10000以内でずれた値にする、請求項1乃至4の何れかに記載の多角形形状の加工方法。
- n角形形状の内周面を加工するための多角形形状の加工装置であって、
被削材を支持して第1軸を中心に回転駆動させる第1回転駆動部と、
前記内周面を切削可能な切削刃を有する切削工具と、
前記第1軸に沿う方向に離間して平行に並設された第2軸を中心にして前記切削工具を回転駆動させる第2回転駆動部と、を備え、
前記被削材の中心に下孔を設け該下孔の中心を第1軸として被削材を回転させると共に、前記下孔の範囲内における前記第1軸と偏心させた位置に、該第1軸と平行に設けられた第2軸を中心に前記切削工具の切削刃を前記第2回転駆動部により前記被削材と同じ向きに回転させ、 前記第1回転駆動部及び前記第2回転駆動部が、前記切削刃と前記被削材との回転比をn:n-1にして前記被削材と前記切削工具とを回転駆動して、前記被削材の前記内周面を多角形孔形状に加工する、多角形形状の加工装置。
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