JP7139511B2 - ペプチド化合物の製造方法、保護基形成用試薬、及び、縮合多環芳香族炭化水素化合物 - Google Patents
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Description
固相法は、反応後の単離及び精製をレジンの洗浄だけで行える点で有利ではある。しかし、固相法は、本質的に不均一相の反応であり、低い反応性を補うために反応試剤又は試薬を過剰量用いる必要があったり、反応の追跡、及び、担体に担持された状態での反応生成物の解析が困難であったりという問題点があった。
一方、液相法は、反応性も良好で、縮合反応の後に抽出洗浄、単離等により中間体ペプチドの精製を行えるという利点を有している。しかし、液相法は、カップリング反応及び脱保護の各工程において、残留試薬及び副生成物を除去するため、非極性有機溶媒、及び、酸性又は塩基性水溶液による抽出洗浄工程、又は、結晶化などの単離精製工程が必要であるなど、製造工程が複雑化する問題があった。
また、本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、収率に優れる保護基形成用試薬を提供することである。
また、本発明の更に他の一実施形態が解決しようとする課題は、新規な縮合多環芳香族炭化水素化合物を提供することである。
<1> 下記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を用いる工程を含むペプチド化合物の製造方法。
<3> 上記C末端保護工程におけるアミノ酸化合物又はペプチド化合物が、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物である<2>に記載のペプチド化合物の製造方法。
<4> 上記C末端保護工程で得られたN末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護するN末端脱保護工程、及び、
上記N末端脱保護工程で得られたC末端保護アミノ酸化合物又はC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させるペプチド鎖延長工程
を更に含む<3>に記載のペプチド化合物の製造方法。
<5> 上記ペプチド鎖延長工程で得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿させる沈殿工程を更に含む<4>に記載のペプチド化合物の製造方法。
<6> 上記沈殿工程の後に、
得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護する工程、
得られたC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させる工程、及び、
得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿する工程
をこの順で1回以上更に含む<5>に記載のペプチド化合物の製造方法。
<7> C末端保護基を脱保護するC末端脱保護工程を更に含む<1>~<6>のいずれか1つに記載のペプチド化合物の製造方法。
<8> 上記環Aが、ナフタレン環である<1>~<7>のいずれか1つに記載のペプチド化合物の製造方法。
<9> 全てのRAが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80である<1>~<8>のいずれか1つに記載のペプチド化合物の製造方法。
<10> 上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物が、下記式(10)~式(30)のいずれかで表される化合物である<1>~<9>のいずれか1つに記載のペプチド化合物の製造方法。
<14> 下記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を含む保護基形成用試薬。
<16> 上記保護基形成用試薬が、アミノ酸化合物又はペプチド化合物のC末端保護基形成用試薬である<14>又は<15>に記載の保護基形成用試薬。
<17> 下記式(1a)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物。
<19> 全てのRAが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80である<17>又は<18>に記載の縮合多環芳香族炭化水素化合物。
<20> 上記式(1a)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物が、下記式(10a)~式(30a)のいずれかで表される化合物である<17>~<19>のいずれか1つに記載の縮合多環芳香族炭化水素化合物。
また、本発明の他の一実施形態によれば、収率に優れる保護基形成用試薬を提供することができる。
また、本発明の更に他の一実施形態によれば、新規な縮合多環芳香族炭化水素化合物を提供することができる。
また、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、下記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物(以下、式(1)で表される化合物ともいう。)を用いる工程を含む。
上記の効果は少なくとも1つのRAが有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、18以上でより優れた効果を発揮する。その理由は炭素数が増加することで分子全体に占める疎水性の寄与率が大きくなり、疎水性溶剤に溶解しやすくなり、また、親水性溶媒に対しては、炭素数が増加することで凝集力がより増加し、晶析しやすくなるためと推定している。
また、本開示に係る式(1)で表される化合物は、縮合多環芳香族炭化水素環に結合するYAを有することにより、従来のベンジルアルコール型の保護基形成用試薬よりも、脱保護速度に優れる。これはベンジルアルコールよりも縮合多環芳香族炭化水素環の方が電子供与性に優れるためと推定している。本開示に係る式(1)で表される化合物によれば、アミノ酸側鎖の保護基は残したまま、C末端保護基のみを選択的に脱保護すること、すなわち、各アミノ酸の側鎖保護基との切り分けが可能となる。脱保護されたC末端に、長鎖ペプチドのフラグメントを縮合反応させる等の、後続反応にも利用できる。また、強酸に不安定なペプチドの場合は、ペプチド鎖の分解を抑制することができ、収率向上にも繋がる。また、酸での脱保護速度に優れることで、酸に不安定なペプチドの合成に好適である。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法において、式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物は、保護基の形成だけでなく、ペプチド化合物の変性、水又は有機溶媒等への溶解度の調整、結晶化性の改良、多量体化等に用いることができる。
中でも、式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物は、保護基の形成に用いることが好ましく、アミノ酸化合物又はペプチド化合物におけるC末端保護基の形成に用いることがより好ましい。
本開示に係る式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を、以下に示す。
環Aは、脱保護速度、晶析性、及び、収率の観点から、2環~4環の縮合多環芳香族炭化水素環であることが好ましく、2環又は3環の縮合多環芳香族炭化水素環であることがより好ましく、2環の縮合多環芳香族炭化水素環であることが特に好ましい。
中でも、環Aは、脱保護速度、晶析性、及び、収率の観点から、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、トリフェニレン環、ピレン環、又は、クリセン環であることが好ましく、ナフタレン環、アントラセン環、又は、フェナントレン環であることがより好ましく、ナフタレン環であることが特に好ましい。
また、環Aは、収率の観点から、ベンゼン環が2環縮環した構造(ナフタレン環構造)を少なくとも有する環であることが好ましい。
更に、環Aは、置換基を有していてもよく、後述するように、2以上の置換基が結合して環構造を形成していてもよく、環Aに脂肪族炭化水素環、脂肪族複素環、複素芳香環等が更に縮環した構造であってもよい。
また、式(1)において、YAを2つ有する場合、2つのYAは同じ基であることが好ましい。
式(1)におけるnは、1であることが好ましい。
Rにおけるアルキル基としては、炭素数(「炭素原子数」ともいう。)1~30のアルキル基が挙げられ、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、メチル基、及び、エチル基がより好ましく挙げられる。
Rにおけるアラルキル基(「アリールアルキル基」ともいう。)としては、炭素数7~30のアラルキル基が挙げられ、炭素数7~20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数7~16のアラルキル基(例えば、炭素数6~10のアリール基に炭素数1~6のアルキレン基が結合した基)がより好ましく挙げられる。好適な具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、1-ナフチルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基がより好ましく挙げられる。
中でも、Rは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は、炭素数7~16のアラルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、又は、ベンジル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
また、式(1)で表される化合物は、環A上に有する上記置換基又はRAとして、環A、YA及びRAを有する基、又は、環A及びYAを有する基を有していてもよい。すなわち、式(1)で表される化合物は、2量体等の多量体であってもよい。多量体としては、合成のし易さの観点から2量体~6量体であることが好ましく、2量体~4量体であることがより好ましく、2量体であることが特に好ましい。
「脂肪族炭化水素基」とは、直鎖、分岐状、若しくは環状の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基であり、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数5~60の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数5~30の脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数10~30の脂肪族炭化水素基が特に好ましい。
本明細書中、RAにおける「脂肪族炭化水素基を有する有機基」とは、その分子構造中に脂肪族炭化水素基を有する一価(環Aに結合する結合手が1つ)の有機基である。
「脂肪族炭化水素基を有する有機基」における「脂肪族炭化水素基」の部位は、特に限定されず、末端に存在しても(1価基)、それ以外の部位に存在してもよい(例えば二価基)。
「脂肪族炭化水素基」としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられ、
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、アラキル基、ベヘニル基、オレイル基、イソステアリル基等の一価の基、及び、それらから誘導される二価の基(上記一価の基から水素原子を1つ除いた二価の基)や、各種ステロイド基から水酸基などを除外した基などが挙げられる。
「アルキル基」としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基等が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
「シクロアルキル基」としては、例えば、炭素数3~6のシクロアルキル基等が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。また、これらが繰り返し連結してもよい。
「アルケニル基」としては、例えば、炭素数2~6のアルケニル基等が好ましく、例えば、ビニル、1-プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等が挙げられる。
「アルキニル基」としては、例えば、炭素数2~6のアルキニル基等が好ましく、例えば、エチニル、プロパルギル、1-プロピニル等が挙げられる。
「ステロイド基」としては、例えば、コレストロールやエストラジオール等が好ましい。
上記置換基は更にシリル基、シリルオキシ構造を有する炭化水素基、パーフルオロアルキル構造を有する有機基で置換されてもよい。
上記シリルオキシ構造を有する炭化水素基におけるシリルオキシ構造としては、トリアルキルシリルオキシ構造であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基を3つ有するシリルオキシ構造であることがより好ましい。
また、上記シリルオキシ構造を有する炭化水素基は、シリルオキシ構造を1~3個有することが好ましい。
更に、上記シリルオキシ構造を有する炭化水素基の炭素数は、10以上であることが好ましく、10~100であることがより好ましく、16~50であることが特に好ましい。
上記パーフルオロアルキル構造を有する有機基は、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル構造を有するアルキル基、又は、パーフルオロアルキル構造及びアルキル鎖中にアミド結合を有するアルキル基であることが好ましい。
上記パーフルオロアルキル構造を有する有機基の炭素数は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、10~100であることが更に好ましく、16~50であることが特に好ましい。
上記パーフルオロアルキル構造を有する有機基としては、例えば、下記に示す基が好ましく挙げられる。
「脂肪族炭化水素基」以外の「炭化水素基」としては、例えば、芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、例えば、アリール基等の一価の基、及び、それらから誘導される二価の基が用いられる。
「アリール基」は、例えば、炭素数6~14のアリール基等が好ましく、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、ビフェニリル、2-アンスリル等が挙げられる。中でも、炭素数6~10のアリール基がより好ましく、フェニルが特に好ましい。
また、上記脂肪族炭化水素基、上記脂肪族炭化水素基以外の炭化水素基は、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子)、オキソ基等から選択される置換基で置換されていてもよい。
また、本開示に係る式(1)で表される化合物は、少なくとも1つのRAにおいて炭素数12以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有する化合物であり、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、少なくとも1つのRAにおいて、炭素数12~100の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましく、炭素数18~40の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有する化合物であることがより好ましく、炭素数20~36の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有する化合物であることが更に好ましい。
更に上記脂肪族炭化水素基は、晶析性、及び、収率の観点から、アルキル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。
また、1つのRAの炭素数はそれぞれ独立に、溶剤溶解性、晶析性、及び、収率の観点から、12~200であることが好ましく、18~150であることがより好ましく、18~100であることが更に好ましく、20~80であることが特に好ましい。
式(f1)におけるX9及びX10はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、又は、-CONH-であることが好ましく、-O-であることがより好ましい。
式(f1)におけるR9はそれぞれ独立に、炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
式(f1)におけるR10はそれぞれ独立に、炭素数5~60の一価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数12~50の一価の脂肪族炭化水素基がより好ましく、炭素数18~40の一価の脂肪族炭化水素基が更に好ましく、炭素数20~32の一価の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、R10はそれぞれ独立に、直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。
式(f1)におけるm10は、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(f1)におけるAr1は、(m10+1)価の芳香族基であることが好ましく、ベンゼンから(m10+1)個の水素原子を除いた基、又は、ナフタレンから(m10+1)個の水素原子を除いた基であることがより好ましく、ベンゼンから(m10+1)個の水素原子を除いた基であることが特に好ましい。
式(f2)におけるm11は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(a1)におけるX20はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、又は、-CONH-であることが好ましく、-O-であることがより好ましい。
式(a1)におけるR20は、炭素数5以上の二価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数5~60の二価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数8~40の二価の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数12~32の二価の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、R20は、直鎖アルキレン基であることが好ましい。
式(b1)におけるb1~b4はそれぞれ独立に、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(b1)におけるXb1~Xb4はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、又は、-CONH-であることが好ましく、-O-であることがより好ましい。
式(b1)におけるRb2及びRb4はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、又は、炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、水素原子、メチル基、又は、炭素数8~40のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、又は、炭素数12~32のアルキル基であることが特に好ましい。
式(b1)におけるRb3は、炭素数5~60の、一価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数5~60の一価の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数8~40の一価の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数12~32の一価の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。また、Rb3は、直鎖アルキル基であることが好ましい。
また、式(1)で表される化合物が多量体である場合、環A上に有していてもよい置換基としては、下記式(M)で表される基が好ましく挙げられる。
また、置換基として式(M)で表される基を有する場合、式(1)で表される化合物は、後述する式(20)で表される化合物であることが好ましい。
式(10)におけるn10は、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
式(20)におけるn20及びn21はそれぞれ独立に、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
式(20)における2つのYAは、同じ基であることが好ましい。
また、式(20)における2つのRAは、同じ基であることが好ましい。
式(30)におけるn30は、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
式(30)における2つのRAは、同じ基であることが好ましい。
式(10)、式(20)又は式(30)におけるRSはそれぞれ独立に、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、Rst-CO-NRst-、-CON(Rst)2、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、又は、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又は、アリール基であることがより好ましく、アルコキシ基、又は、アルキル基であることが更に好ましい。
本開示に係る式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物の製造方法としては、特に限定されないが、公知の方法を参照して製造することができる。
製造に用いる原料化合物は、特に述べない限り、市販されているものを用いてもよいし、自体公知の方法、又は、これらに準ずる方法に従って製造することもできる。
また、必要に応じ、製造した式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を公知の精製方法により、精製してもよい。例えば、再結晶、カラムクロマトグラフィー等によって単離及び精製する方法、及び、溶液温度を変化させる手段や溶液組成を変化させる手段等によって再沈殿により精製する方法等を行うことができる。
また、本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、ペプチド化合物の合成容易性、及び、収率の観点から、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物によりアミノ酸化合物又はペプチド化合物のカルボキシ基又はアミド基を保護するC末端保護工程に加え、上記C末端保護工程で得られたN末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護するN末端脱保護工程、及び、上記N末端脱保護工程で得られたC末端保護アミノ酸化合物又はC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させるペプチド鎖延長工程を更に含むことがより好ましく、上記ペプチド鎖延長工程で得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿させる沈殿工程を更に含むことが更に好ましく、上記沈殿工程の後に、得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護する工程、得られたC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させる工程、及び、得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿する工程をこの順で1回以上更に含むことが特に好ましい。
また、本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、C末端保護基を脱保護するC末端脱保護工程を更に含むことが好ましい。
更に、本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、上記C末端保護工程の前に、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を溶媒に溶解する溶解工程を更に含むことが好ましい。
以下、上述した各工程等について詳細に説明する。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、上記C末端保護工程の前に、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を溶媒に溶解する溶解工程を含むことが好ましい。
溶媒としては、一般的な有機溶媒を反応に用いることができるが、上記溶媒における溶解度が高い程、優れた反応性が期待できるため、式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物の溶解度の高い溶媒を選択することが好ましい。具体的にはクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等の非極性有機溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、上記ハロゲン化炭素類や非極性有機溶媒に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類を、式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物が溶解し得る限り、適宜の割合で混合して用いてもよい。
また、Organic Process Research & Development、2017、21、3、365-369に記載の溶剤を使用してもよい。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物によりアミノ酸化合物又はペプチド化合物のカルボキシ基又はアミド基を保護するC末端保護工程を含むことが好ましい。
上記C末端保護工程に用いられるアミノ酸化合物、又は、ペプチド化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物であることが好ましく、Fmoc保護アミノ酸化合物、又は、Fmoc保護ペプチド化合物であることがより好ましい。
また、上記C末端保護工程に用いられるアミノ酸化合物、又は、ペプチド化合物におけるC末端部分以外のヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、アミド基、イミダゾール基、インドール基、グアニジル基、メルカプト基等は後述する保護基等の公知の保護基により保護されていることが好ましい。
反応基質であるアミノ酸化合物又はペプチド化合物の使用量は、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物1モル当量に対し、1モル当量~10モル当量であることが好ましく、1モル当量~5モル当量であることがより好ましく、1モル当量~2モル当量であることが更に好ましく、1~1.5であることが特に好ましい。
式(1)におけるYAが-CH2NHRである上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を用いる場合は、縮合添加剤(縮合促進剤)存在下、縮合剤を添加することが好ましく挙げられる。
縮合添加剤の使用量は、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物1モル当量に対して、0.05モル当量~1.5モル当量であることが好ましい。
中でも、DIC、EDC、EDC・HCl、DMT-MM、HBTU、HATU、又は、COMUが好ましい。
縮合剤の使用量は、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物1モル当量に対して、1モル当量~10モル当量であることが好ましく、1モル当量~5モル当量であることがより好ましい。
触媒の使用量は、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物1モル当量に対して、0モル当量を超え4.0モル当量であることが好ましく、0.05モル当量~1.5モル当量であることがより好ましく、0.1モル当量~0.3モル当量であることが更に好ましい。
中でもメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸が好ましい。
酸触媒の使用量は、上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物1モル当量に対して、0モル当量を超え4.0モル当量であることが好ましく、0.05モル当量~1.5モル当量であることがより好ましく、0.1モル当量~0.3モル当量であることが更に好ましい。
本開示における活性化剤とは、縮合剤との共存化で、アミノ酸を、対応する活性エステル、対称酸無水物などに導いて、ペプチド結合(アミド結合)を形成させやすくする試薬である。
活性化剤としては、ペプチド合成において一般的に用いられる活性化剤を制限なく用いることができ、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール、ボロン酸誘導体、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、エチル 1-ヒドロキシトリアゾール-4-カルボキシレート(HOCt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、3-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾジン-4(3H)-オン(HOOBt)、N-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、N-ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド(HONb)、ペンタフルオロフェノール、エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセタート(Oxyma)等を挙げることができる。中でも、4-ジメチルアミノピリジン、HOBt、HOCt、HOAt、HOOBt、HOSu、HONb、又は、Oxymaが好ましい。
活性化剤の使用量は、アミノ酸化合物又はペプチド化合物に対して、0モル当量を超え4.0モル当量であることが好ましく、0.1モル当量~1.5モル当量であることがより好ましい。
溶媒としては、上記溶解工程において上述した溶剤を好適に用いることができる。
反応の進行の確認は、一般的な液相有機合成反応と同様の方法を適用できる。すなわち、薄層シリカゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、NMR等を用いて反応を追跡することができる。
例えば、得られたN末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物を溶媒に溶解させ、所望の有機合成反応を行った後に得られる生成物を単離するために、N末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物が溶解している溶媒を変化させ(例、溶媒組成の変更、溶媒の種類の変更)、再沈殿させる方法が好ましく挙げられる。
具体的には例えば、N末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物が溶解するような条件下にて反応を行い、反応後、溶媒を留去後、溶媒置換するか、反応後、溶媒を留去せずに、反応系へ極性溶媒を添加することによって凝集物を沈殿化し不純物を淘汰する。置換溶媒としては、メタノール、アセトニトリル、水等の極性有機溶媒を単独又は混合して用いる。すなわち、N末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物が溶解するような条件下にて反応を行い、反応後、溶媒置換としては、例えば溶解にはハロゲン化溶媒、THF等を用いて、沈殿化にはメタノール、アセトニトリルや水等の極性有機溶媒を用いる。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、上記C末端保護工程で得られたN末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護するN末端脱保護工程を含むことが好ましい。
N末端の保護基としては、ペプチド化学等の技術分野で一般的に用いられる後述のアミノ基の保護基が使用可能であるが、本開示においては、tert-ブトキシカルボニル基(以下、Boc基ともいう。)、ベンジルオキシカルボニル基(以下、Cbz基、またはZ基ともいう。)、又は、9-フルオレニルメトキシカルボニル基(以下、Fmoc基ともいう。)が好適に用いられる。
溶媒としては、上記溶解工程において上述した溶剤を好適に用いることができる。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、上記N末端脱保護工程で得られたC末端保護アミノ酸化合物又はC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させるペプチド鎖延長工程を含むことが好ましい。
上記ペプチド鎖延長工程は、上述した縮合剤、縮合添加剤等を使用し、ペプチド化学の分野において一般的に用いられるペプチド合成条件下で好適に行われる。
N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物としては、特に制限はなく、所望のものを用いることができるが、Fmoc保護アミノ酸化合物、又は、Fmoc保護ペプチド化合物を好適に用いることができる。
また、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物におけるC末端部分以外のヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、アミド基、イミダゾール基、インドール基、グアニジル基、メルカプト基等は後述する保護基等の公知の保護基により保護されていることが好ましい。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、上記ペプチド鎖延長工程で得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿させる沈殿工程を更に含むことが好ましい。
上記沈殿工程は、上述した上記C末端保護工程の後に行ってもよい精製における沈殿方法と同様にして行うことができる。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、上記沈殿工程の後に、得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護する工程、得られたC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させる工程、及び、得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿する工程をこの順で1回以上更に含むことが好ましい。
上記3工程を繰り返し行うことにより、得られるペプチド化合物の鎖延長を容易に行うことができる。
上記3工程における各工程は、上述した対応する各工程と同様に行うことができる。
本開示に係るペプチド化合物の製造方法は、C末端保護基を脱保護するC末端脱保護工程を更に含むことが好ましい。
上記C末端脱保護工程において、所望のアミノ酸残基数を有するC末端保護ペプチド化合物における上記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物により形成されたC末端保護基を除去することによって、最終目的物であるペプチド化合物を得ることができる。
C末端保護基の除去方法としては、酸性化合物を用いた脱保護方法が好ましく挙げられる。
例えば、酸触媒を用いた方法や金属触媒を用いて水素添加する方法が挙げられる。酸触媒としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸などが挙げられ、TFAが好ましい。TFAの濃度は、保護基及び脱保護条件に応じ、適宜選択することができ、使用する溶媒の全質量に対し、0.01質量%~100質量%が好ましく、1質量%~100質量%がより好ましい。
また、TFAの濃度は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。本開示においては、弱酸条件でもC末端保護基の脱保護が可能であり、得られるペプチドの副反応を抑制することが可能である。
脱保護時間は、5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましく、1時間以下がさらに好ましい。
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル)、フェニル基、トリチル基、炭素数7~10のアラルキル基(例、ベンジル)、ホルミル基、炭素数1~6のアシル基(例、アセチル、プロピオニル)、ベンゾイル基、炭素数7~10のアラルキル-カルボニル基(例、ベンジルカルボニル)、2-テトラヒドロピラニル基、2-テトラヒドロフラニル基、シリル基(例、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジエチルシリル)、炭素数2~6のアルケニル基(例、1-プロぺニル)等が挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~6のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル)、炭素数1~6のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)、及び、ニトロ基よりなる群から選ばれる1個~3個の置換基で置換されていてもよい。
本開示に係る保護基形成用試薬は、下記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を含む。
本開示に係る保護基形成用試薬は、固体状の試薬であっても、液体状の試薬であってもよい。
本開示に係る保護基形成用試薬における式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物の含有量は、特に制限はないが、保護基形成用試薬の全質量に対し、0.1質量%~100質量%であることが好ましく、1質量%~100質量%であることがより好ましく、3質量%~100質量%であることが更に好ましい。
他の成分としては、公知の成分を含むことができる。例えば、水、有機溶媒、酸化防止剤、pH調整剤等が挙げられる。
本開示に係る化合物は、下記式(1a)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物である。
特に記載のない場合、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける担体は、SNAPKP-Sil Cartridge(Biotage社製)、ハイフラッシュカラムW001、W002、W003、W004又はW005(山善(株)製)を使用した。
カラムクロマトグラフィーに用いる溶離液における混合比は、体積比である。例えば、「ヘキサン:酢酸エチルの勾配溶離=50:50~0:100」は、50%ヘキサン/50%酢酸エチルの溶離液を最終的に0%ヘキサン/100%酢酸エチルの溶離液へ変化させたことを意味する。
また、例えば、「ヘキサン:酢酸エチルの勾配溶離=50:50~0:100、メタノール:酢酸エチルの勾配溶離=0:100~20:80」は、50%ヘキサン/50%酢酸エチルの溶離液を0%ヘキサン/100%酢酸エチルの溶離液へ変化させた後、溶離液を0%メタノール/100%酢酸エチルの溶離液へ切り替え、最終的に20%メタノール/80%酢酸エチルの溶離液へ変化させたことを意味する。
中間体(1-1)(12.00g、15.5mmol)、6-ヒドロキシ-2-ナフト酸メチル(6.26g、30.9mmol)、炭酸カリウム(8.55g、61.9mmol)、N-メチルピロリドン(NMP、155mL)とを混合し、窒素雰囲気下、100℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、シクロペンチルメチルエーテル、水で抽出した。得られた有機層にメタノールを添加することで析出した固体をろ過、減圧乾燥させることにより、中間体(1-2)(13.8g、収率95%)を得た。
窒素雰囲気下、中間体(1-2)(4.00g、4.25mmol)、テトラヒドロフラン(66mL)とを混合し、30℃で撹拌させたところへ、水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムトルエン溶液(3.6M(=3.6mol/L))(3.5mL、12.8mmol)を滴下した。反応溶液を30℃で2時間撹拌し、酒石酸カリウムナトリウム飽和水溶液(50mL)を緩やかに滴下した後、分液し、得られた有機層にメタノールを添加することで析出した固体をろ過・乾燥させることにより化合物(1-1)(3.87g、収率99%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.19-1.82(80H,m),3.94(4H,t),4.82(2H,d),5.10(2H,s),6.42(1H,t),6.61(2H,d),7.20(1H,t),7.24(1H,dd),7.45(1H,dd),7.69-7.78(3H,m).
1H-NMR(CDCl3,300MHz)δ=0.88(9H,t),1.19-1.85(96H,m),3.93-4.01(6H,m),4.83(2H,d),5.06(2H,s),6.42(1H,t),6.67(2H,d),7.22-7.26(2H,m),7.46(1H,dd),7.72-7.77(3H,m).
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.24-1.58(64H,m),2.04(4H,m),3.41(4H,t),3.58(4H,t),4.05(4H,t),4.83(2H,d),5.10(2H,s),6.44(1H,t),6.63(2H,d),7.20-7.26(2H,m),7.45(1H,dd),7.72-7.76(3H,m).
窒素雰囲気下、中間体(1-3)(3.52g、3.86mmol)、テトラヒドロフラン(154mL)、メタノール(7.7mL)とを混合し、室温下で撹拌させたところへ、水素化ホウ素ナトリウム(0.292g、7.72mmol)を加えた。反応溶液を40℃で30分間撹拌し、原料の消失を確認後、反応液にシリカゲル(50g)を少量ずつ加え反応を停止した。シリカゲルのろ過、ろ液の減圧下濃縮後、得られた残渣をTHF(15mL)に溶解し、メタノール(100mL)を添加することで析出した固体をろ過・乾燥させることにより化合物(1-4)(3.44g、収率98%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.19-1.80(80H,m),3.92(4H,t),5.17(2H,s),5.22(2H,d),6.40(1H,s),6.58(2H,d),7.29(1H,t),7.37(1H,t),7.53(1H,t),7.80(2H,dd),8.14(1H,d).
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.19-1.85(80H,m),3.95(4H,t),5.06(2H,d),5.18(2H,s),6.42(1H,t),6.63(2H,d),6.82(1H,d),7.38(1H,d),7.48-7.65(2H,m),8.12(1H,d),8.41(1H,d).
中間体(2-1)(346mg、1.00mmol)、1-ブロモドコサン(1166mg、3.00mmol)、炭酸カリウム(897mg、6.5mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)とを混合し、窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、ジクロロメタン、水で抽出し、有機相を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=1/9~3/7(体積比))に供することで精製し、更に、アセトニトリルで再結晶し、ろ過、乾燥させることで化合物(2-1)(200mg、収率21%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.83-1.63(86H,m),3.86-3.92(4H,m),4.79(4H,d),7.12(2H,d),7.20(2H,dd),7.40(2H,d),7.82(2H,d),7.91(2H,d).
中間体(3-1)(132mg、0.7mmol)、1-ブロモドコサン(601mg、1.54mmol)、炭酸カリウム(388mg、2.8mmol)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、3.5mL)、テトラヒドロフラン(3.5mL)とを混合し、窒素雰囲気下、90℃で5時間撹拌した。反応溶液を室温まで降温し、メタノールを添加することで析出した固体をろ取し、水、メタノールでそれぞれ洗った後、減圧乾燥させることにより、中間体(3-2)(480mg、85%)を得た。
窒素雰囲気下、中間体(3-2)(480mg、0.6mmol)、テトラヒドロフラン(90mL)、メタノール(4.5mL)とを混合したところへ、水素化ホウ素ナトリウム(68mg、1.8mmol)を添加した。反応溶液を40℃に昇温し、2時間撹拌した後、シリカゲルを加えることで反応をクエンチした。反応溶液をろ過し、有機相を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン/ジクロロメタン=7/3~1/1(体積比))に供することで精製することで化合物(3-1)(427mg、収率89%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ=0.88(6H,t),1.25-1.53(76H,m),1.80-1.87(4H,m),4.05(2H,t),4.11(2H,t),5.16(2H,d),7.10(1H,d),7.19-7.25(2H,m),7.68(1H,d),8.01(1H,d).
<保護アミノ酸化合物(N末端保護C末端保護アミノ酸(1))の合成>
なお、Fmocは、9-フルオレニルメトキシカルボニル基を表し、Leuはロイシン残基を表す。
N-保護C-保護アミノ酸(1)を得る方法と同様に、化合物(1-2)、化合物(1-3)、化合物(1-4)、化合物(1-5)、化合物(2-1)、化合物(2-2)、化合物(3-1)、比較化合物(2-1)をN-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]-L-ロイシンと縮合させることで、対応するN-保護C-保護アミノ酸を合成した。得られた収率を表1に示す。
なお、上述した以外の各略称の詳細を、以下に示す。
Trp(Boc):Boc保護トリプトファン残基
Boc:t-ブトキシカルボニル基
Ser(tBu):tBu保護セリン残基
tBu:t-ブチル基
Tyr(tBu):tBu保護チロシン残基
dLeu:D-ロイシン残基
Arg(pbf):pbf保護アルギニン残基
pbf:2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル基
Pro:プロリン残基
6-(3,5-ビス(ドコサノイルオキシベンジルオキシ)ナフタレン-2-イルメタノール(上記化合物(1-1)に相当する。「NaphTAG(1)」とも表記する。)(2.74g、3.0mmol)とFmoc-Pro-OH(2.0モル当量)をクロロホルム(6.0mL)中に溶解させ、4-ジメチルアミノピリジン(0.1モル当量)とジイソプロピルカルボジイミド(2.0モル当量)とを添加して撹拌した。縮合反応完結後、メタノール(MeOH、70mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Pro-O-NaphTAG(1)(3.78g、収率99.0%)を得た。
エレクトロンスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)(+)=1,231.9
Fmoc-Pro-O-NaphTAG(1)(2.0g、1.62mmol)をクロロホルム(4.0mL)中に溶解させ、ジアザビシクロウンデセン(DBU、2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-Leu-Arg(pbf)-OH(1.25モル当量)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU、1.25モル当量)を添加して攪拌した。縮合反応完結後、MeOH(140mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(2.72g、収率95.6%)を得た。
ESI-MS(+)=1,752.2
Fmoc-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(2.5g、1.40mmol)をクロロホルム(3.5mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-dLeu-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して撹拌した。縮合反応完結後、MeOH(85mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(2.56g、収率97.1%)を得た。
ESI-MS(+)=1,865.3
Fmoc-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(2.19g、1.17mmol)をクロロホルム(3.0mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-Tyr(tBu)-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して撹拌した。縮合反応完結後、MeOH(75mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(2.44g、収率97.1%)を得た。
ESI-MS(+)=2,084.4
Fmoc-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(1.63g、0.78mmol)をクロロホルム(2.0mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-Ser(tBu)-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して撹拌した。縮合反応完結後、MeOH(55mL)を加えて攪拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(1.68g、収率96.6%)を得た。
ESI-MS(+)=2,227.5
Fmoc-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(1.07g、0.48mmol)をクロロホルム(1.2mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-Trp(Boc)-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して攪拌した。縮合反応完結後、MeOH(38mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Trp(Boc)-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(1.13g、収率93.5%)を得た。
ESI-MS(+)=2,513.6
3,5-ビス(ドコサノイルオキシ)ベンジルアルコール(「TAG(1)」とも表記する。)(2.27g、3.0mmol)とFmoc-Pro-OH(2.0モル当量)をクロロホルム(6.0mL)中に溶解させ、4-ジメチルアミノピリジン(0.1モル当量)とジイソプロピルカルボジイミド(2.0モル当量)とを添加して撹拌した。縮合反応完結後、MeOH(70mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Pro-O-NaphTAG(1)(3.04g、収率94.0%)を得た。
ESI-MS(+)=1,074.9
Fmoc-Pro-O-TAG(1)(2.0g、1.86mmol)をクロロホルム(4.6mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-Leu-Arg(pbf)-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して攪拌した。縮合反応完結後、MeOH(140mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(2.73g,収率90.1%)を得た。
ESI-MS(+)=1,610.1
Fmoc-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(2.23g、1.40mmol)をクロロホルム(3.5mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-dLeu-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して攪拌した。縮合反応完結後、MeOH(80mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(2.23g、収率92.3%)を得た。
ESI-MS(+)=1,709.2
Fmoc-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(2.00g、1.17mmol)をクロロホルム(3.0mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)を含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-Tyr(tBu)-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して攪拌した。縮合反応完結後、MeOH(75mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-NaphTAG(1)(1.98g、収率87.8%)を得た。
ESI-MS(+)=1,928.3
Fmoc-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(1.63g、0.78mmol)をクロロホルム(2.0mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加えた後、Fmoc-Ser(tBu)-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25モル当量)を添加して攪拌した。縮合反応完結後、MeOH(55mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(1.26g、収率78.2%)を得た。
ESI-MS(+)=2,071.4
Fmoc-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(1.07g、0.48mmol)をクロロホルム(1.2mL)中に溶解させ、DBU(2.0モル当量)を加えて撹拌した。脱保護反応完結後、メタンスルホン酸(2.1モル当量)とN-メチルモルホリン(2.1モル当量)とを含むクロロホルム溶液を加モルえた後、Fmoc-Trp(Boc)-OH(1.25モル当量)、COMU(1.25当量)を添加して撹拌した。縮合反応完結後、MeOH(38mL)を加えて撹拌し、沈殿物をろ過してメタノールとアセトニトリルの混合溶媒(体積比で1:1)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、Fmoc-Trp(Boc)-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-dLeu-Leu-Arg(pbf)-Pro-O-TAG(1)(0.44g、収率38.7%)を得た。
ESI-MS(+)=2,357.56
また、表2に示すように、式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物は、総収率でも、収率に優れることがわかる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (22)
- 下記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物によりアミノ酸化合物又はペプチド化合物のカルボキシ基又はアミド基を保護するC末端保護工程を含む
ペプチド化合物の製造方法。
式(1)中、
環Aは縮合多環芳香族炭化水素環を表し、
YAはそれぞれ独立に、-CH2OH、-CH2NHR、-CH2SH、又は、-CH2X0を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表し、X0はCl、Br又はIを表し、
kは1~5の整数を表し、nは1又は2を表し、
RAはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、
少なくとも1つのRAが有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
環Aは、YA及びRAに加えて更に置換基を有していてもよい。 - 前記C末端保護工程におけるアミノ酸化合物又はペプチド化合物が、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物である請求項1に記載のペプチド化合物の製造方法。
- 前記C末端保護工程で得られたN末端保護C末端保護アミノ酸化合物又はN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護するN末端脱保護工程、及び、
前記N末端脱保護工程で得られたC末端保護アミノ酸化合物又はC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させるペプチド鎖延長工程
を更に含む請求項2に記載のペプチド化合物の製造方法。 - 前記ペプチド鎖延長工程で得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿させる沈殿工程を更に含む請求項3に記載のペプチド化合物の製造方法。
- 前記沈殿工程の後に、
得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物のN末端を脱保護する工程、
得られたC末端保護ペプチド化合物のN末端に、N末端保護アミノ酸化合物、又は、N末端保護ペプチド化合物を縮合させる工程、及び、
得られたN末端保護C末端保護ペプチド化合物を沈殿する工程
をこの順で1回以上更に含む請求項4に記載のペプチド化合物の製造方法。 - C末端保護基を脱保護するC末端脱保護工程を更に含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のペプチド化合物の製造方法。
- 前記環Aが、ナフタレン環である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のペプチド化合物の製造方法。
- 全てのRAが有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のペプチド化合物の製造方法。
- 前記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物が、下記式(10)~式(30)のいずれかで表される化合物である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のペプチド化合物の製造方法。
式(10)、式(20)及び式(30)中、YAはそれぞれ独立に、-CH2OH、-CH2NHR、-CH2SH、又は、-CH2X0を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表し、X0はCl、Br又はIを表し、RAはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、少なくとも1つのRAが有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、RSはそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。 - 前記式(10)、式(20)又は式(30)におけるRAがそれぞれ独立に、下記式(f1)又は式(a1)で表される基である請求項9に記載のペプチド化合物の製造方法。
式(f1)中、波線部分はナフタレン環との結合位置を表し、m9は1~3の整数を表し、X9はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R9はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Ar1は(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(a1)中、波線部分はナフタレン環との結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表す。 - 前記式(a1)におけるナフタレン環と結合するX20が、-O-である請求項10に記載のペプチド化合物の製造方法。
- 下記式(1)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物を含む
保護基形成用試薬。
式(1)中、
環Aは縮合多環芳香族炭化水素環を表し、
YAはそれぞれ独立に、-CH2OH、-CH2NHR、-CH2SH、又は、-CH2X0を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表し、X0はCl、Br又はIを表し、
kは1~5の整数を表し、nは1又は2を表し、
RAはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、
少なくとも1つのRAが有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、12以上であり、
全てのR A が有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80であり、
環Aは、YA及びRAに加えて更に置換基を有していてもよい。 - 前記保護基形成用試薬が、カルボキシ基又はアミド基の保護基形成用試薬である請求項13に記載の保護基形成用試薬。
- 前記保護基形成用試薬が、アミノ酸化合物又はペプチド化合物のC末端保護基形成用試薬である請求項13又は請求項14に記載の保護基形成用試薬。
- 下記式(1a)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物。
式(1a)中、
環Aは縮合多環芳香族炭化水素環を表し、
YAはそれぞれ独立に、-CH2OH、-CH2NHR、-CH2SH、又は、-CH2X0を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表し、X0はCl、Br又はIを表し、
kは1~5の整数を表し、nは1又は2を表し、
RAはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、
少なくとも1つのRAが有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、18以上であり、
全てのR A が有する全ての脂肪族炭化水素基の合計炭素数が、36~80であり、
環Aは、YA及びRAに加えて更に置換基を有していてもよい。 - 前記環Aが、ナフタレン環である請求項16に記載の縮合多環芳香族炭化水素化合物。
- 前記式(1a)で表される縮合多環芳香族炭化水素化合物が、下記式(10a)~式(30a)のいずれかで表される化合物である請求項16又は請求項17に記載の縮合多環芳香族炭化水素化合物。
式(10a)、式(20a)及び式(30a)中、YAはそれぞれ独立に、-CH2OH、-CH2NHR、-CH2SH、又は、-CH2X0を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表し、X0はCl、Br又はIを表し、RAはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、少なくとも1つのRAが有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、18以上であり、RSはそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。 - 前記式(10a)、式(20a)又は式(30a)におけるRAがそれぞれ独立に、下記式(f1)又は式(a1)で表される基である請求項18に記載の縮合多環芳香族炭化水素化合物。
式(f1)中、波線部分はナフタレン環との結合位置を表し、m9は1~3の整数を表し、X9はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R9はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表し、Ar1は(m10+1)価の芳香族基、又は、(m10+1)価の複素芳香族基を表し、を表し、m10は、1~3の整数を表し、X10はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R10はそれぞれ独立に、炭素数5以上の一価の脂肪族炭化水素基を表す。
式(a1)中、波線部分はナフタレン環との結合位置を表し、m20は、1~10の整数を表し、X20はそれぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-NHCO-、又は、-CONH-を表し、R20はそれぞれ独立に、二価の脂肪族炭化水素基を表す。 - 前記式(a1)におけるナフタレン環と結合するX20が、-O-である請求項19に記載の縮合多環芳香族炭化水素化合物。
- 下記式(10a)~式(30a)のいずれかで表される化合物である縮合多環芳香族炭化水素化合物。
式(10a)、式(20a)及び式(30a)中、Y A はそれぞれ独立に、-CH 2 OH、-CH 2 NHR、-CH 2 SH、又は、-CH 2 X 0 を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表し、X 0 はCl、Br又はIを表し、R A はそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、又は、脂肪族炭化水素基を有する有機基であり、少なくとも1つのR A が有する少なくとも1つの脂肪族炭化水素基の炭素数が、18以上であり、R S はそれぞれ独立に、置換基を表し、n10は0~6の整数を表し、n20、n21及びn30はそれぞれ独立に、0~5の整数を表す。
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