以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による車両1の構成を示す概略図である。図1では、信号の流れを破線の矢印で示している。車両1は、例えば、シリーズ・パラレル式(パワースプリット式)のハイブリッド車両(ハイブリッド自動車)である。以下、車両1を、自車両と表記することがある。
車両1は、エンジン10、動力分割機構11、第1モータジェネレータ12、減速機構13、第2モータジェネレータ14、フロントディファレンシャルギヤ20、電子制御カップリング21、ドライブシャフト22、26、前輪23、リヤディファレンシャルギヤ25、後輪27、インバータ30、32、バッテリ31、冷却部33、速度センサ40、アクセル開度センサ41、制御装置50を含んで構成される。
エンジン10は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンである。エンジン10は、例えば、ガソリンや軽油などの燃料を燃焼させてピストンを往復運動させる。ピストンの往復運動は、コネクティングロッドを通じてクランクシャフトの回転運動に変換される。クランクシャフトは、エンジン10の出力軸に接続されている。
動力分割機構11は、例えば、サンギヤ、プラネタリギヤ、リングギヤ、キャリアからなる遊星歯車機構を含んで構成される。サンギヤは、第1モータジェネレータ12の回転軸に接続されている。リングギヤは、サンギヤの径方向外側に配置される。リングギヤの中心軸は、サンギヤの中心軸に重なる。リングギヤは、減速機構13に接続されている。プラネタリギヤは、サンギヤとリングギヤとの間に複数配置されており、サンギヤおよびリングギヤに噛み合わされている。キャリアは、複数のプラネタリギヤを回転自在に支持する。キャリアは、エンジン10の出力軸に接続されている。
減速機構13は、複数のギヤ機構を含んで構成される。減速機構13は、動力分割機構11のリングギヤの回転速度および第2モータジェネレータ14の回転速度を減速して出力する。減速機構13は、フロントディファレンシャルギヤ20および電子制御カップリング21に接続されている。フロントディファレンシャルギヤ20は、ドライブシャフト22を介して前輪23に接続されている。
電子制御カップリング21は、プロペラシャフト24を介してリヤディファレンシャルギヤ25に接続されている。リヤディファレンシャルギヤ25は、ドライブシャフト26を介して後輪27に接続されている。電子制御カップリング21は、例えば、クラッチを含んで構成される。電子制御カップリング21は、クラッチに加えられる圧力を制御することで、クラッチ間の締結力を制御する。これにより、電子制御カップリング21では、後輪27側に伝達される動力の配分が制御される。
エンジン10の動力の一部は、動力分割機構11(具体的には、キャリア、プラネタリギヤおよびリングギヤ)および減速機構13を介して前輪23および後輪27に伝達される。また、エンジン10の動力の残りは、動力分割機構11(具体的には、キャリア、プラネタリギヤおよびサンギヤ)を介して第1モータジェネレータ12に伝達される。つまり、動力分割機構11は、エンジン10の動力を、第1モータジェネレータ12を回転させる動力と、前輪23および後輪27を回転させる動力とに分割する。
第1モータジェネレータ12は、主に発電機として機能する。第1モータジェネレータ12は、動力分割機構11のサンギヤの回転に応じて回転子が回転して発電する。インバータ30は、第1モータジェネレータ12によって生成された交流電力を直流電力に変換してバッテリ31に供給する。つまり、第1モータジェネレータ12は、インバータ30を介してバッテリ31を充電する。なお、バッテリ31からインバータ30を介して第1モータジェネレータ12に電力を供給して、第1モータジェネレータ12をモータとして機能させてもよい。
車両1の加速時などでは、インバータ32は、バッテリ31から供給される直流電力を所望の交流電力に変換して第2モータジェネレータ14に供給する。このとき、第2モータジェネレータ14では、インバータ32から供給される電力に応じて回転磁界が生じ、回転子が回転される。つまり、第2モータジェネレータ14は、モータとして機能し、動力を発生する。第2モータジェネレータ14の回転子は、減速機構13に接続されている。第2モータジェネレータ14の動力は、減速機構13を介して前輪23および後輪27に伝達される。つまり、第2モータジェネレータ14は、前輪23および後輪27を駆動する駆動源である。また、車両1の減速時などでは、第2モータジェネレータ14は、発電機として機能し、インバータ32を介してバッテリ31を充電する。
冷却部33は、例えば、冷媒と、冷媒が流通する冷却路とを含んで構成される。冷却路は、例えば、第2モータジェネレータ14のハウジングの周囲に設けられる。冷媒は、例えば、水や油である。冷却部33は、冷媒を冷却路に流通させることで、第2モータジェネレータ14を冷却して加熱を抑える。なお、冷却部33は、ハウジングの周囲に冷却路を設ける態様に限らない。例えば、冷却路が回転子の内部に設けられてもよい。
速度センサ40は、車両1の速度(車速)を検出する。速度センサ40は、車両1の速度を示すパルス信号を制御装置50に送信する。アクセル開度センサ41は、アクセル開度を検出する。アクセル開度センサ41は、検出したアクセル開度を制御装置50に送信する。
制御装置50は、中央処理装置、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。制御装置50は、速度センサ40およびアクセル開度センサ41を含む各種センサの検出結果に基づいて、車両1全体を統括制御する。制御装置50は、プログラムを実行することで、駆動制御部51、モード切替部52、部分線決定部53、モータ冷却制御部54として機能する。
駆動制御部51は、車両1の速度を示すパルス信号から車両1の速度を導出する。また、駆動制御部51は、アクセル開度から要求加速度を導出する。要求加速度は、運転者の要求する加速度を示す。駆動制御部51は、車両1の速度および要求加速度に基づいて、目標トルクおよび目標回転数を導出する。駆動制御部51は、目標トルクおよび目標回転数となるように、エンジン10のトルクおよび回転数、第1モータジェネレータ12および第2モータジェネレータ14のトルクおよび回転数を導出する。そして、駆動制御部51は、導出されたトルクおよび回転数で、エンジン10、第1モータジェネレータ12および第2モータジェネレータ14を制御する。
ここで、車両1には、ハイブリッド走行モード(HV走行モード)と、モータ走行モード(EV走行モード)とが設定されている。ハイブリッド走行モードは、エンジン10の駆動力(前輪23および後輪27を回転させるエンジン10の動力)と、第2モータジェネレータ14の駆動力(前輪23および後輪27を回転させる第2モータジェネレータ14の動力)とによって走行する走行モードである。モータ走行モードは、エンジン10を停止した状態で、第2モータジェネレータ14の駆動力によって走行する走行モードである。走行の際には、ハイブリッド走行モードおよびモータ走行モードのうちいずれか一方の走行モードが選択される。
モード切替部52は、車両1(自車両)の速度および要求加速度に基づいて、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードへの走行モードの切り替え、および、モータ走行モードからハイブリッド走行モードへの走行モードの切り替えを行う。
図2は、走行モードの切り替えについて説明する説明図である。図2に示すマップにおいて、横軸は車両1の速度を示し、縦軸は車両1への要求加速度を示す。モータ走行モードは、速度および要求加速度が比較的小さい領域で選択される。一方、ハイブリッド走行モードは、速度および要求加速度が比較的大きい領域で選択される。図2に示すように、速度、要求加速度および走行モードが関連付けられたマップには、第1境界線Th1および第2境界線Th2が設定されている。
第1境界線Th1は、モータ走行モードが選択されている状況において、モータ走行モードからハイブリッド走行モードへ走行モードを切り替えるか否かを判定するための境界線である。換言すると、第1境界線Th1は、エンジン10を始動するか否かを判定するための境界線である。第1境界線Th1は、速度と要求加速度との関数で示される。なお、速度と要求加速度との関数で示されるとは、速度と要求加速度とが関連付けられた計算式で示されることに限らず、速度と要求加速度とが関連付けられたマップで示されてもよい。判定を行う時点の速度における第1境界線Th1上の要求加速度が、モータ走行モードからハイブリッド走行モードへ走行モードを切り替えるか否かを示す第1閾値である。
モード切替部52は、駆動制御部51において導出された速度および要求加速度から、車両1(自車両)の速度における要求加速度、すなわち、図2のマップ上の位置を導出する。
モード切替部52は、モータ走行モードが選択されている状況において、車両1の速度における要求加速度が第1境界線Th1以下にあるとき、モータ走行モードを継続する。一方、モード切替部52は、モータ走行モードが選択されている状況において、車両1の速度における要求加速度が第1境界線Th1を超えたときに、ハイブリッド走行モードへ走行モードを切り替える。
第1境界線Th1は、第2モータジェネレータ14のモータ連続定格線RCに設定される。モータ連続定格線RCは、モータ(第2モータジェネレータ14)を連続して使用可能な定格値(モータ連続定格値)を、車両1の速度と要求加速度との関数で示したものである。例えば、第1境界線Th1は、速度ゼロから速度V1の範囲では、所定の要求加速度A1に設定されており、速度V1以上では、所定の要求加速度A1から漸減するように設定されている。第1境界線Th1については、後に詳述する。
第2境界線Th2は、ハイブリッド走行モードが選択されている状況において、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードへ走行モードを切り替えるか否かを判定するための境界線である。換言すると、第2境界線Th2は、エンジン10を停止するか否かを判定するための境界線である。第2境界線Th2は、速度と加速度との関数で示される。なお、速度と要求加速度との関数で示されるとは、速度と要求加速度とが関連付けられた計算式で示されることに限らず、速度と要求加速度とが関連付けられたマップで示されてもよい。判定を行う時点の速度における第2境界線Th2上の要求加速度が、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードへ走行モードを切り替えるか否かを示す第2閾値である。
モード切替部52は、ハイブリッド走行モードが選択されている状況において、車両1の速度における要求加速度が第2境界線Th2以上にあるとき、ハイブリッド走行モードを継続する。一方、モード切替部52は、ハイブリッド走行モードが選択されている状況において、車両1の速度における要求加速度が第2境界線Th2を下回ったときに、モータ走行モードへ走行モードを切り替える。
第2境界線Th2は、車両1の速度が同速度のときの要求加速度が第1境界線Th1よりも低くなるように設定されている。つまり、第2境界線Th2と第1境界線Th1とは、所謂ヒステリシスを構成している。このため、車両1の速度における要求加速度が第2境界線Th2を下回ってハイブリッド走行モードからモータ走行モードへ切り替わった後、すぐにハイブリッド走行モードへ戻ることが抑制される。また、車両1の速度における要求加速度が第1境界線Th1を超えてモータ走行モードからハイブリッド走行モードへ切り替わった後、すぐにモータ走行モードへ戻ることが抑制される。つまり、第2境界線Th2と第1境界線Th1との間に要求加速度に基づいた所定のヒステリシスを設けることで、走行モードが頻繁に切り替わって(走行モードがハンチングして)車両1の搭乗者に煩雑感を与えることを抑制することができる。
ここで、車両1を徐々に減速させるときなどでは、アクセル開度が小さな状態で維持されることがある。以後、アクセル開度が小さいことを微開度と呼ぶことがある。アクセル開度が微開度の状態では、要求加速度がゼロまたはゼロ近傍となる。なお、要求加速度がゼロまたはゼロ近傍となる状況は、アクセル開度が微開度の場合に限らない。例えば、車両の性能(重量や動力性能など)や、走行環境(勾配など)によっては、アクセル開度が大きくても要求加速度がゼロまたはゼロ近傍となることがある。
モータ走行モードで走行している状況において要求加速度がゼロまたはゼロ近傍にされたとき、速度によっては、車両1の速度における要求加速度が意図せず第1境界線Th1を超えて、走行モードがハイブリッド走行モードへ切り替わる場合がある。この場合、例えば、車両1を徐々に減速させるのにエンジン10を始動することとなり、燃費が低下する。
そこで、第1実施形態では、要求加速度ゼロを含む所定範囲内(ゼロ近傍の所定範囲内)に着目する。そして、第1実施形態の車両1では、第1境界線Th1のうちの要求加速度ゼロを含む所定範囲内にある第1境界線Th1である第1部分線Th1Pが、モータ連続定格線RC以上となるように決定される。つまり、第1実施形態の車両1では、要求加速度ゼロを含む所定範囲内において、モータ走行モードが継続される領域を拡大する。
なお、第1部分線Th1Pをモータ連続定格線RC以上に設定すると、第2モータジェネレータ14の出力がモータ連続定格値を超えることがある。しかし、第2モータジェネレータ14の出力がモータ連続定格値を超えたとしても、超える時間が短時間であれば、第2モータジェネレータ14が損傷することはない。
要求加速度ゼロは、車両1の抵抗(例えば、路面抵抗など)と第2モータジェネレータ14およびエンジン10から出力されるトルク(またはパワー)とが均衡して、車両1の速度が維持されるときの要求加速度である。車両1の抵抗に比べ、トルク(またはパワー)が大きいと、要求加速度は、ゼロより大きくなる(正の値となる)。つまり、この場合、車両1は増速される。車両1の抵抗に比べ、トルク(またはパワー)が小さいと、要求加速度は、ゼロより小さくなる(負の値となる)。つまり、この場合、車両1は減速される。
要求加速度ゼロを含む所定範囲は、例えば、実験やシミュレーションによって設定される。例えば、要求加速度ゼロを含む所定範囲は、車両1の速度におけるアクセル開度が所定開度以下(微開度)となる範囲で設定される。例えば、要求加速度ゼロを含む所定範囲は、車両1の増速量が所定増速量以下であり、かつ、車両1の減速量が所定減速量以下となるように設定される。
図2において、要求加速度AUは、所定増速量に相当する要求加速度であり、要求加速度ゼロを含む所定範囲の上限値である。要求加速度AUは、速度ゼロのときの第2境界線Th2の要求加速度A2と、要求加速度ゼロとの間に設定される。なお、要求加速度AUは、要求加速度ゼロに設定されてもよい。要求加速度ADは、所定減速量に相当する要求加速度であり、要求加速度ゼロを含む所定範囲の下限値である。要求加速度ADは、要求加速度ゼロ以下に設定される。なお、要求加速度ADは、要求加速度ゼロに設定されてもよい。つまり、要求加速度AUと要求加速度ADとの間が、要求加速度ゼロを含む所定範囲内に相当する。
以後、要求加速度ゼロを含む所定範囲(要求加速度AUと要求加速度ADとの間)を、微加減速領域MAと呼ぶことがある。微加減速領域MAにおける要求加速度ゼロと要求加速度AUとの間の要求加速度は、車両1が徐々に増速するような大きさの要求加速度である。また、微加減速領域MAにおける要求加速度ゼロと要求加速度ADとの間の要求加速度は、車両1が徐々に減速するような大きさの要求加速度である。
第1部分線Th1P(第1境界線Th1のうちの微加減速領域MA内にある第1境界線Th1)は、モータ瞬間定格線RU以下に設定される。モータ瞬間定格線RUは、モータ(第2モータジェネレータ14)の出力が超えてはならない値を、車両1の速度と要求加速度との関数で示したものである。モータ瞬間定格線RUは、モータ連続定格線RC以上に設定される。
また、微加減速領域MA内では、第1部分線Th1Pの候補が複数レベル設けられている。例えば、図2では、第1部分線Th1Pの候補として、最大線Th1X、第1中間線Th1C1、第2中間線Th1C2、モータ連続定格線RCが設けられている。最大線Th1X、第1中間線Th1C1、第2中間線Th1C2は、モータ走行モードの継続性や第2モータジェネレータ14の発熱などを考慮して、実験やシミュレーションなどによって決定される。そして、後に詳述するが、第1部分線Th1Pの候補の中から一の線が第1部分線Th1Pに決定される。
最大線Th1Xは、第1部分線Th1Pの候補のうち車両1の速度における要求加速度が、他の候補に比べて最も大きなものである。第1中間線Th1C1および第2中間線Th1C2は、最大線Th1Xとモータ連続定格線RCとの間に設定される。第1中間線Th1C1は、第2中間線Th1C2と最大線Th1Xとの間に設定される。つまり、第1部分線Th1Pの候補は、モータ連続定格線RC、第2中間線Th1C2、第1中間線Th1C1、最大線Th1Xの順に段階的に大きくなっている。
例えば、第1部分線Th1P(第1境界線Th1)と要求加速度AUとの交点に対応する速度を速度V2とし、第1部分線Th1P(第1境界線Th1)と要求加速度ADとの交点に対応する速度を速度V5とする。速度V2は、速度V1よりも大きく、速度V5よりも小さい。また、速度V3は、速度V2と速度V5との間にあり、速度V4は、速度V3と速度V5との間にある。
最大線Th1Xは、速度V2と速度V3との間では、要求加速度AUに設定される。つまり、速度V1と速度V2との間の第1境界線Th1と、速度V2と速度V3との間の最大線Th1Xとのなす角度が、90度から180度の間に設定される。
また、最大線Th1Xは、速度V3と速度V4との間では、モータ瞬間定格線RUを超えることなく、速度が大きくなるに連れてモータ瞬間定格線RUに沿って漸減している。つまり、速度V3と速度V4との間において、最大線Th1Xは、モータ瞬間定格線RUに平行となっている。
また、最大線Th1Xは、速度V4と速度V5との間では、速度V3と速度V4との間に比べ、漸減の程度が大きくなっている。つまり、速度V4と速度V5との間の最大線Th1Xと、速度V5以上の第1境界線Th1とのなす角度が、90度から180度の間に設定される。
また、速度V4と速度V5との間の最大線Th1Xは、速度を示す横軸に垂直となっておらず傾斜している。このため、車両1では、最大線Th1Xが横軸に垂直となる態様に比べ、横軸に垂直となる部分の速度において走行モードが切り替わるタイミングが不安定になることを防止することができる。
モータ連続定格線RCのうち、速度V2と速度V5との間(微加減速領域MA内)のモータ連続定格線RCは、速度が大きくなるに連れて漸減している。速度V2と速度V5との間のモータ連続定格線RCの傾斜角度は、速度V1と速度V2との間のモータ連続定格線RCの傾斜角度と同程度となっている。
以後、第1部分線Th1Pとモータ連続定格線RCとに囲まれた領域を拡大領域EA1と呼ぶことがある。例えば、第1部分線Th1Pが最大線Th1Xに決定された場合、モータ連続定格線RCと最大線Th1Xとに囲まれた領域が拡大領域EA1である。図2では、このときの拡大領域EA1をハッチングで示している。拡大領域EA1は、概ね台形状に形成されている。
第1中間線Th1C1および第2中間線Th1C2は、第1部分線Th1Pが最大線Th1Xに決定された場合の拡大領域EA1を三等分するように設定される。例えば、第1中間線Th1C1は、モータ連続定格線RCと第1中間線Th1C1とに囲まれた台形の領域の面積が、モータ連続定格線RCと最大線Th1Xとに囲まれた台形の領域の面積の三分の二になるように設定される。第2中間線Th1C2は、モータ連続定格線RCと第2中間線Th1C2とに囲まれた台形の領域の面積が、モータ連続定格線RCと最大線Th1Xとに囲まれた台形の領域の面積の三分の一になるように設定される。
図1および図2に示すように、部分線決定部53は、複数の第1部分線Th1Pの候補の中から一の候補を選択して第1部分線Th1Pを決定する。決定された第1部分線Th1Pは、第1境界線Th1のうちの微加減速領域MA内の第1境界線Th1である。
部分線決定部53は、基本的には、第1部分線Th1Pを最大線Th1Xに決定する。これにより、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内にあるときに、モータ走行モードが継続されることとなる。つまり、車両1では、拡大領域EA1分だけモータ走行モードが継続され易くなる。
また、部分線決定部53は、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内に滞在する時間の累積時間に応じて、複数の第1部分線Th1Pの候補の中から一の候補を選択し、選択した候補に第1部分線Th1Pを決定する。以下、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内に滞在する時間を、滞在時間と呼ぶことがある。
例えば、部分線決定部53は、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内に滞在している間、滞在時間をインクリメントし、滞在時間の累積時間を増加させる。また、部分線決定部53は、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内に滞在していない間、滞在時間の累積時間がゼロになるまで滞在時間をデクリメントし、滞在時間の累積時間を減少させる。部分線決定部53は、第1部分線Th1Pの決定タイミングにおける滞在時間の累積時間を、判定対象の滞在時間とする。そして、部分線決定部53は、判定対象の滞在時間の長さに応じて、第1部分線Th1Pを決定する。
図3は、滞在時間の長さと第1部分線Th1Pの候補との関係を説明する説明図である。図3において、第1滞在時間Ta1、第2滞在時間Ta2、第3滞在時間Ta3は、いずれも単位時間のうちの滞在時間の累積時間を示す。第1滞在時間Ta1は滞在時間ゼロよりも大きく、第2滞在時間Ta2は第1滞在時間Ta1よりも大きく、第3滞在時間Ta3は第2滞在時間Ta2よりも大きい。
部分線決定部53は、判定対象の滞在時間がゼロと第1滞在時間Ta1との間のとき、第1部分線Th1Pを最大線Th1Xに決定する。また、部分線決定部53は、判定対象の滞在時間が第1滞在時間Ta1と第2滞在時間Ta2との間のとき、第1部分線Th1Pを第1中間線Th1C1に決定する。また、部分線決定部53は、判定対象の滞在時間が第2滞在時間Ta2と第3滞在時間Ta3との間のとき、第1部分線Th1Pを第2中間線Th1C2に決定する。また、部分線決定部53は、判定対象の滞在時間が第3滞在時間Ta3を超えるとき、第1部分線Th1Pをモータ連続定格線RCに決定する。
ここで、拡大領域EA1内では、第2モータジェネレータ14の出力がモータ連続定格値を超えるため、第2モータジェネレータ14の発熱が拡大領域EA1外のときに比べ大きくなる。このため、滞在時間が長くなると、第2モータジェネレータ14および第2モータジェネレータ14を駆動させるインバータ32に熱が多く蓄積され、第2モータジェネレータ14およびインバータ32が損傷するおそれがある。
そこで、上述のように、部分線決定部53は、滞在時間が長くなるほど、第1部分線Th1Pをモータ連続定格線RC側(要求加速度が小さくなる側)にシフトする。第1部分線Th1Pがモータ連続定格線RC側にシフトされると、車両1の速度における要求加速度が、微加減速領域MA内から微加減速領域MA外に出る可能性が高くなる。車両1の速度における要求加速度が微加減速領域MA外に出れば、第2モータジェネレータ14は、モータ連続定格値を超えた状態で駆動されることがなくなる。
これにより、第2モータジェネレータ14およびインバータ32の発熱の増加が継続されることが抑制される。その結果、車両1では、第2モータジェネレータ14およびインバータ32が損傷することを防止することが可能となる。
また、図1に戻って、モータ冷却制御部54は、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1外にあるとき、冷却部33によって第2モータジェネレータ14を通常の強度で冷却させる。ここで、上述のように、拡大領域EA1内では、第2モータジェネレータ14の発熱が拡大領域EA1外のときに比べ大きくなる。
そこで、モータ冷却制御部54は、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内にあるとき、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1外にあるときに比べ、冷却部33による第2モータジェネレータ14の冷却の強度を大きくさせる。例えば、モータ冷却制御部54は、冷媒の温度を通常に比べて低下させる。
これにより、拡大領域EA1内において拡大領域EA1外のときと同様に、第2モータジェネレータ14に蓄積される熱を抑えることができる。その結果、車両1では、第2モータジェネレータ14が損傷することを防止することが可能となる。
なお、冷却の強度を通常に比べて大きくする具体的な態様は、冷媒の温度を低下させる態様に限らない。例えば、モータ冷却制御部54は、冷却路における冷媒の流通速度を通常に比べて大きくしてもよい。
図4は、走行モードの切り替えについて説明するフローチャートである。制御装置50は、図4に示す一連の処理を、所定時間間隔(例えば、所定の割り込みタイミングなど)で実行する。
まず、モード切替部52は、現在の走行モードがモータ走行モードであるか否かを判定する(S100)。現在の走行モードがモータ走行モードである場合(S100におけるYES)、ステップS110以降の処理が行われる。一方、現在の走行モードがモータ走行モードではない場合(S100におけるNO)、現在の走行モードがハイブリッド走行モードであるとみなされ、ステップS300以降の処理が行われる。
現在の走行モードがモータ走行モードである場合(S100におけるYES)、部分線決定部53は、判定対象の滞在時間(現時点における滞在時間の累積時間)が、第1滞在時間以内であるか否かを判定する(S110)。判定対象の滞在時間が第1滞在時間以内である場合(S110におけるYES)、部分線決定部53は、第1部分線Th1Pを最大線Th1Xに決定する(S120)。その後、ステップS200以降の処理が行われる。
判定対象の滞在時間が第1滞在時間以内ではない場合(S110におけるNO)、部分線決定部53は、判定対象の滞在時間が、第2滞在時間以内であるか否かを判定する(S130)。判定対象の滞在時間が第2滞在時間以内である場合(S130におけるYES)、部分線決定部53は、第1部分線Th1Pを第1中間線Th1C1に決定する(S140)。その後、ステップS200以降の処理が行われる。
判定対象の滞在時間が第2滞在時間以内ではない場合(S130におけるNO)、部分線決定部53は、判定対象の滞在時間が第3滞在時間以内であるか否かを判定する(S150)。判定対象の滞在時間が第3滞在時間以内である場合(S150におけるYES)、部分線決定部53は、第1部分線Th1Pを第2中間線Th1C2に決定する(S160)。その後、ステップS200以降の処理が行われる。
判定対象の滞在時間が第3滞在時間以内ではない場合(S150におけるNO)、部分線決定部53は、第1部分線Th1Pをモータ連続定格線RCに決定する(S170)。その後、ステップS200以降の処理が行われる。
なお、ステップS110からステップS170までの処理は、第1部分線Th1Pを決定する第1部分線決定処理に相当する。第1部分線Th1Pが決定されると、第1境界線Th1が確定することとなる。
第1部分線Th1Pの決定後、モード切替部52は、車両1の速度における要求加速度が、第1境界線Th1以内であるか否かを判定する(S200)。車両1の速度における要求加速度が第1境界線Th1以内である場合(S200におけるYES)、モード切替部52は、モータ走行モードを継続するとして、ステップS230の処理に移る。一方、車両1の速度における要求加速度が第1境界線Th1以内ではない(第1境界線Th1を超える)場合(S200におけるNO)、モータ走行モードからハイブリッド走行モードへ走行モードを切り替える(S220)。
ステップS230において、モード切替部52は、車両1の速度における要求加速度が、拡大領域EA1内であるか否かを判定する(S230)。具体的には、モード切替部52は、車両1の速度における要求加速度がモータ連続定格線RC以上であり、かつ、第1部分線Th1P以下であるか否かを判定する。
車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内である場合(S230におけるYES)、モータ冷却制御部54は、冷却部33による第2モータジェネレータ14の冷却の強度を通常に比べて大きくする(S240)。
その後、モード切替部52は、滞在時間をインクリメントし(S250)、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
一方、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内ではない場合(S230におけるNO)、モータ冷却制御部54は、冷却部33による第2モータジェネレータ14の冷却の強度を通常の大きさにする(S260)。
その後、モード切替部52は、滞在時間をデクリメントし(S270)、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
また、ハイブリッド走行モードへ走行モードを切り替えた場合(S220)、モータ冷却制御部54は、冷却部33による第2モータジェネレータ14の冷却強度を通常の大きさにする(S260)。その後、モード切替部52は、滞在時間をデクリメントし(S270)、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
また、現在の走行モードがモータ走行モードではない場合(S100におけるNO)、モード切替部52は、車両1の速度における要求加速度が、第2境界線Th2以上であるか否かを判定する(S300)。
車両1の速度における要求加速度が第2境界線Th2以上である場合(S300におけるYES)、モード切替部52は、ハイブリッド走行モードを継続するとして、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
また、車両1の速度における要求加速度が第2境界線Th2以上ではない(第2境界線Th2を下回る)場合(S300におけるNO)、モード切替部52は、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードへ走行モードを切り替え(S320)、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
以上のように、第1実施形態による制御装置50では、車両1の速度における要求加速度が維持され易い微加減速領域MA内(要求加速度ゼロを含む所定範囲内)において、第1部分線Th1P(第1境界線Th1)がモータ連続定格線RCよりも大きくなるように設定される。このため、第1実施形態の制御装置50では、速度と要求加速度と走行モードとが関連付けられたマップの全範囲において第1境界線Th1をモータ連続定格線RC以上に設定する比較例に比べ、モータ走行モードの継続性を効率よく向上することができる。
また、第1実施形態による制御装置50では、第1境界線Th1のうちの微加減速領域MA内の第1境界線Th1である第1部分線Th1Pがモータ連続定格線RCよりも大きく設定され、微加減速領域MA外の第1境界線Th1は、モータ連続定格線RCに設定される。このため、第1実施形態による制御装置50では、速度と要求加速度と走行モードとが関連付けられたマップの全範囲において第1境界線Th1をモータ連続定格線RCよりも大きく設定する比較例に比べ、バッテリ31のSOCの低下を少なくすることができる。なお、SOCは、電気容量に対して充電されている電気量を比率で表したものであり、バッテリ31の電気残量を示す。
したがって、第1実施形態による制御装置50によれば、バッテリ31のSOCの低下を抑制しつつ、モータ走行モードの継続性を向上することができる。そして、第1実施形態による制御装置50によれば、効率よく燃費を向上することができる。
また、第1実施形態による制御装置50では、第1境界線Th1がモータ瞬間定格線RU以下に設定される。このため、第1実施形態による制御装置50によれば、第2モータジェネレータ14が損傷することを防止することができる。
また、第1実施形態による制御装置50では、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1に滞在する滞在時間に応じて、第1部分線Th1P(第1境界線Th1)が決定される。このため、第1実施形態による制御装置50によれば、第2モータジェネレータ14の損傷を防止しつつ、モータ走行モードの継続性を向上させることが可能となる。
また、第1実施形態による制御装置50では、車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内にある場合、通常よりも大きな強度で第2モータジェネレータ14が冷却される。このため、第1実施形態による制御装置50によれば、第2モータジェネレータ14の損傷を防止することができる。
また、第1実施形態では、第1境界線Th1が第2モータジェネレータ14のモータ連続定格線RCに設定されていた。しかし、第1境界線Th1は、第2モータジェネレータ14のモータ連続定格線RCに設定される態様に限らない。第1境界線Th1は、少なくともモータ瞬間定格線RUよりも小さくなっていればよい。例えば、第1境界線Th1は、第2モータジェネレータ14の短時間定格線に設定されてもよい。短時間定格線は、モータ(第2モータジェネレータ14)を短時間で使用可能な定格値(短時間定格値)を、車両1の速度と要求加速度との関数で示したものである。短時間定格値は、例えば、1分定格値や30秒定格値などである。この態様では、第2モータジェネレータ14の出力が短時間定格値を超えたとしても、超える時間が短時間定格値で規定される時間よりも短ければ、第2モータジェネレータ14が損傷することはない。
(第1実施形態の第1変形例)
図5は、第1実施形態の第1変形例による走行モードの切り替えについて説明する説明図である。図5では、微加減速領域MA内において、第1境界線Th1と第2境界線Th2との間に補助境界線ThAが設けられている。補助境界線ThAは、車両1の速度が同速度のときの要求加速度が、モータ連続定格線RCよりも低くなっている。
そして、図5では、この補助境界線ThAとモータ連続定格線RCとに囲まれた領域であるプレ領域PAが設けられている。換言すると、プレ領域PAは、拡大領域EA1よりも低速度側および低要求加速度側に設定されている。図5では、プレ領域PAがハッチング(拡大領域EA1とは異なるハッチング間隔のハッチング)により示されている。
例えば、モータ走行モードで走行しており、車両1の速度における要求加速度が、微加減速領域MA内であり、拡大領域EA1外であり、かつ、プレ領域PA外である領域にあるとする。この状況から要求加速度が増加すると、車両1の速度における要求加速度が、拡大領域EA1内に滞在する前に、プレ領域PA内に滞在することとなる。
そこで、第1実施形態の第1変形例では、車両1の速度における要求加速度がプレ領域PA内に滞在したときに、冷却部33による第2モータジェネレータ14の冷却の強度を通常よりも大きくさせる。
図6は、第1実施形態の第1変形例による走行モードの切り替えについて説明するフローチャートである。図6のフローチャートは、ステップS400、ステップS410およびステップS420が追加された点において第1実施形態の図4のフローチャートと異なる。なお、図6では、図4のフローチャートにおけるステップS100からステップS170までの処理、および、ステップS300からステップS320までの処理の表記を省略している。
図6のフローチャートにおいて、車両1の速度における要求加速度が第1境界線Th1以内である場合(S200におけるYES)、モード切替部52は、モータ走行モードを継続するとして、ステップS400の処理に移る。
ステップS400において、モード切替部52は、車両1の速度における要求加速度が、プレ領域PA内にあるか否かを判定する(S400)。具体的には、モード切替部52は、車両1の速度における要求加速度が補助境界線ThA以上であり、かつ、モータ連続定格線RC以下であるか否かを判定する。
車両1の速度における要求加速度がプレ領域PA内にある場合(S400におけるYES)、モータ冷却制御部54は、冷却部33による第2モータジェネレータ14の冷却の強度を通常に比べて大きくする(S410)。
その後、モード切替部52は、滞在時間をデクリメントし(S420)、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
一方、車両1の速度における要求加速度がプレ領域PA内にない場合(S400におけるNO)、モード切替部52は、車両1の速度における要求加速度が、拡大領域EA1内にあるか否かを判定する(S230)。ステップS230以降の処理は、図4と同様である。
以上のように、第1実施形態の第1変形例では、車両1の速度における要求加速度がプレ領域PA内にある場合、通常よりも大きな強度で第2モータジェネレータ14が冷却される。つまり、第1実施形態の第1変形例では、後に車両1の速度における要求加速度が拡大領域EA1内に入る可能性が高いプレ領域PAにおいて、事前に第2モータジェネレータ14の冷却の強度が大きくされる。このため、第1実施形態の第1変形例による制御装置50によれば、第2モータジェネレータ14の損傷をより防止することができる。
(第1実施形態の第2変形例)
図7は、第1実施形態の第2変形例による走行モードの切り替えについて説明する説明図である。図7は、上記第1実施形態の図2を、縦軸を要求トルクに変更して表現したものに相当する。
図7において、第1境界線Th1aは、図2における第1境界線Th1に相当し、速度と要求トルクとの関数で示される。例えば、第1境界線Th1aは、速度ゼロから速度V1の範囲では、所定の要求トルクTq1に設定されており、速度V1以上では、要求トルクTq1から反比例的に漸減するように設定されている。また、第1境界線Th1aは、例えば、モータ連続定格値を車両1の速度と要求トルクとの関数で示したモータ連続定格線RCaに設定される。また、第1境界線Th1aは、モータ瞬間定格値を車両1の速度と要求トルクとの関数で示したモータ瞬間定格線RUaよりも小さい。
第2境界線Th2aは、図2における第2境界線Th2に相当し、速度と要求トルクとの関数で示される。例えば、第2境界線Th2aは、速度ゼロから速度V1の範囲では、所定の要求トルクTq2に設定されており、速度V1以上では、要求トルクTq2から反比例的に漸減するように設定されている。また、第2境界線Th2aは、車両1の速度が同速度のときの要求トルクが第1境界線Th1aよりも低くなるように設定されており、第2境界線Th2aと第1境界線Th1aとは、所謂ヒステリシスを構成している。
なお、第1境界線Th1aおよび第2境界線Th2aについて、速度と要求トルクとの関数で示されるとは、速度と要求トルクとが関連付けられた計算式で示されることに限らず、速度と要求トルクとが関連付けられたマップで示されてもよい。
また、破線AUaは、微加減速領域MAの上限値である要求加速度AUに相当する要求トルクを示す。破線ADaは、微加減速領域MAの下限値である要求加速度ADに相当する要求トルクを示す。両矢印で示す微加減速領域MAaは、微加減速領域MAに相当する要求トルクの範囲を示す。実線AZaは、車両1の抵抗と出力トルクとが均衡して要求加速度がゼロとなる要求トルクを示す。破線AUa、ADaおよび実線AZaは、速度が増速するにしたがって要求トルクが増加するとともに要求トルクの増加量が増えるように設定される。
第1実施形態の第2変形例では、第1境界線Th1aのうちの微加減速領域MAa内にある第1境界線Th1aである第1部分線Th1Paが、モータ連続定格線RCa以上となるように決定される。また、微加減速領域MAa内では、第1部分線Th1Paの候補が複数レベル設けられている。例えば、第1部分線Th1Paの候補としては、大きなものから順に、最大線Th1Xa、第1中間線Th1C1a、第2中間線Th1C2a、モータ連続定格線RCaが設けられている。
速度V2は、第1部分線Th1Pa(第1境界線Th1a)と破線AUaとの交点に対応する速度である。速度V5は、第1部分線Th1Pa(第1境界線Th1a)と破線ADaとの交点に対応する速度である。最大線Th1Xaは、速度V2と速度V2よりも大きな速度V3との間では、破線AUaに沿って漸増している。また、最大線Th1Xaは、速度V3と速度V3よりも大きな速度V4との間では、モータ瞬間定格線RUaを超えることなく、速度が大きくなるに連れてモータ瞬間定格線RUaに沿って漸減している。また、最大線Th1Xaは、速度V4と速度V4よりも大きな速度V5との間では、速度V3と速度V4との間に比べ、漸減の程度が大きくなっている。速度V4と速度V5との間で漸減の程度が大きくなっているため、速度V5において走行モードが切り替わるタイミングが不安定になることを防止することができる。
以後、第1部分線Th1Paとモータ連続定格線RCaとに囲まれた領域を拡大領域EA1aと呼ぶことがある。第1中間線Th1C1aおよび第2中間線Th1C2aは、第1部分線Th1Paが最大線Th1Xaに決定された場合の拡大領域EA1aを三等分するように設定される。
第1実施形態の第2変形例による駆動制御部51は、アクセル開度から要求トルクを導出する。要求トルクは、運転者の要求するトルクを示す。
第1実施形態の第2変形例による部分線決定部53は、駆動制御部51において導出された速度および要求トルクから、車両1(自車両)の速度における要求トルク、すなわち、図7のマップ上の位置を導出する。
部分線決定部53は、車両1の速度における要求トルクが拡大領域EA1a内に滞在する時間(滞在時間)の累積時間に応じて、複数の第1部分線Th1Paの候補の中から一の候補を選択し、選択した候補に第1部分線Th1Paを決定する。また、部分線決定部53は、拡大領域EA1a内の滞在時間が長くなるにしたがって第1部分線Th1Paをモータ瞬間定格線RUa側にシフトする。一方、部分線決定部53は、拡大領域EA1a内の滞在時間が短くなるにしたがって第1部分線Th1Paをモータ連続定格線RCa側にシフトする。決定された第1部分線Th1Paは、第1境界線Th1aのうちの微加減速領域MAa内の第1境界線Th1aである。
以上のように、第1実施形態の第2変形例では、第1境界線Th1aのうちの微加減速領域MAa内の第1境界線Th1aである第1部分線Th1Paがモータ連続定格線RCaよりも大きく設定され、微加減速領域MAa外の第1境界線Th1aがモータ連続定格線RCaに設定される。
したがって、第1実施形態の第2変形例によれば、第1実施形態と同様に、バッテリ31のSOCの低下を抑制しつつ、モータ走行モードの継続性を向上することができる。そして、第1実施形態の第2変形例によれば、効率よく燃費を向上することができる。
(第1実施形態の第3変形例)
図8は、第1実施形態の第3変形例による走行モードの切り替えについて説明する説明図である。図8は、上記第1実施形態の図2を、縦軸を要求パワーに変更して表現したものに相当する。
図8において、第1境界線Th1bは、図2における第1境界線Th1に相当し、速度と要求パワーとの関数で示される。例えば、第1境界線Th1bは、速度ゼロから速度V1の範囲では、要求パワーがゼロから所定の要求パワーPw1まで比例的に漸増し、速度V1以上の範囲では、要求パワーPw1に設定されている。また、第1境界線Th1bは、例えば、モータ連続定格値を車両1の速度と要求パワーとの関数で示したモータ連続定格線RCbに設定される。また、第1境界線Th1bは、モータ瞬間定格値を車両1の速度と要求パワーとの関数で示したモータ瞬間定格線RUbよりも小さい。
第2境界線Th2bは、図2における第2境界線Th2に相当し、速度と要求パワーとの関数で示される。例えば、第2境界線Th2bは、速度ゼロから速度V1の範囲では、要求パワーがゼロから所定の要求パワーPw2まで比例的に漸増し、速度V1以上の範囲では、要求パワーPw2に設定されている。また、第2境界線Th2bは、車両1の速度が同速度のときの要求パワーが第1境界線Th1bよりも低くなるように設定されており、第2境界線Th2bと第1境界線Th1bとは、所謂ヒステリシスを構成している。
なお、第1境界線Th1bおよび第2境界線Th2bについて、速度と要求パワーとの関数で示されるとは、速度と要求パワーとが関連付けられた計算式で示されることに限らず、速度と要求パワーとが関連付けられたマップで示されてもよい。
また、破線AUbは、微加減速領域MAの上限値である要求加速度AUに相当する要求パワーを示す。破線ADbは、微加減速領域MAの下限値である要求加速度ADに相当する要求パワーを示す。両矢印で示す微加減速領域MAbは、微加減速領域MAに相当する要求パワーの範囲を示す。実線AZbは、車両1の抵抗と出力パワーとが均衡して要求加速度がゼロとなる要求パワーを示す。破線AUb、ADbおよび実線AZbは、速度が増速するにしたがって要求パワーが増加するとともに要求パワーの増加量が増えるように設定される。
第1実施形態の第3変形例では、第1境界線Th1bのうちの微加減速領域MAb内にある第1境界線Th1bである第1部分線Th1Pbが、モータ連続定格線RCb以上となるように決定される。また、微加減速領域MAb内では、第1部分線Th1Pbの候補が複数レベル設けられている。例えば、第1部分線Th1Pbの候補としては、大きなものから順に、最大線Th1Xb、第1中間線Th1C1b、第2中間線Th1C2b、モータ連続定格線RCbが設けられている。
速度V2は、第1部分線Th1Pb(第1境界線Th1b)と破線AUbとの交点に対応する速度である。速度V5は、第1部分線Th1Pb(第1境界線Th1b)と破線ADbとの交点に対応する速度である。最大線Th1Xbは、速度V2と速度V2よりも大きな速度V3との間では、破線AUbに沿って漸増している。また、最大線Th1Xbは、速度V3と速度V3よりも大きな速度V4との間では、モータ瞬間定格線RUbを超えない値となっている。また、最大線Th1Xbは、速度V4と速度V4よりも大きな速度V5との間では、速度が大きくなるに連れて漸減している。速度V4と速度V5との間で漸減の程度が大きくなっているため、速度V5において走行モードが切り替わるタイミングが不安定になることを防止することができる。
以後、第1部分線Th1Pbとモータ連続定格線RCbとに囲まれた領域を拡大領域EA1bと呼ぶことがある。第1中間線Th1C1bおよび第2中間線Th1C2bは、第1部分線Th1Pbが最大線Th1Xbに決定された場合の拡大領域EA1bを三等分するように設定される。
第1実施形態の第3変形例による駆動制御部51は、アクセル開度から要求パワーを導出する。要求パワーは、運転者の要求するパワーを示す。
第1実施形態の第3変形例による部分線決定部53は、駆動制御部51において導出された速度および要求パワーから、車両1(自車両)の速度における要求パワー、すなわち、図8のマップ上の位置を導出する。
部分線決定部53は、車両1の速度における要求パワーが拡大領域EA1b内に滞在する時間(滞在時間)の累積時間に応じて、複数の第1部分線Th1Pbの候補の中から一の候補を選択し、選択した候補に第1部分線Th1Pbを決定する。また、部分線決定部53は、拡大領域EA1b内の滞在時間が長くなるにしたがって第1部分線Th1Pbをモータ瞬間定格線RUb側にシフトする。一方、部分線決定部53は、拡大領域EA1b内の滞在時間が短くなるにしたがって第1部分線Th1Pbをモータ連続定格線RCb側にシフトする。決定された第1部分線Th1Pbは、第1境界線Th1bのうちの微加減速領域MAb内の第1境界線Th1bである。
以上のように、第1実施形態の第3変形例では、第1境界線Th1bのうちの微加減速領域MAb内の第1境界線Th1bである第1部分線Th1Pbがモータ連続定格線RCbよりも大きく設定され、微加減速領域MAb外の第1境界線Th1bがモータ連続定格線RCbに設定される。
したがって、第1実施形態の第3変形例によれば、第1実施形態と同様に、バッテリ31のSOCの低下を抑制しつつ、モータ走行モードの継続性を向上することができる。そして、第1実施形態の第3変形例によれば、効率よく燃費を向上することができる。
(第1実施形態の第4変形例)
第1実施形態の第4変形例では、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbを、モータ連続定格線RC、RCa、RCbよりも大きくなるように(例えば、最大線Th1X、Th1Xa、Th1Xbに)予め設定しておく。
第1実施形態の第4変形例による部分線決定部53は、拡大領域EA1、EA1a、EA1b内に車両1の速度における要求加速度、要求トルクまたは要求パワーが滞在する時間(滞在時間)が長くなるにしたがって、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbをモータ連続定格線RC、RCa、RCb側にシフト(補正)する。例えば、部分線決定部53は、滞在時間が第1滞在時間Ta1を超えた場合、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbを第1中間線Th1C1、Th1C1a、Th1C1bに変更する。
また、部分線決定部53は、滞在時間が短くなるにしたがって、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbをモータ連続定格線RC、RCa、RCbから離れる側にシフト(補正)してもよい。この場合、部分線決定部53は、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbを当初の設定(例えば、最大線Th1X、Th1Xa、Th1Xb)に戻してもよい。
第1実施形態の第4変形例によれば、第1実施形態と同様に、バッテリ31のSOCの低下を抑制しつつ、モータ走行モードの継続性を向上することができる。そして、第1実施形態の第3変形例によれば、効率よく燃費を向上することができる。また、第1実施形態の第4変形例によれば、第1実施形態と同様に、第2モータジェネレータ14の損傷を防止しつつ、モータ走行モードの継続性を向上させることが可能となる。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態による車両100の構成を示す概略図である。第2実施形態の車両100は、制御装置50に代えて制御装置150を有する点において第1実施形態の車両1と異なる。制御装置150は、プログラムを実行することで、駆動制御部51、モード切替部52、部分線決定部53として機能する。つまり、第2実施形態の制御装置150は、モータ冷却制御部54が設けられていない点において第1実施形態の制御装置50と異なる。また、第2実施形態では、モード切替部52および部分線決定部53の具体的な動作が第1実施形態と異なる。
図10は、第2実施形態による走行モードの切り替えについて説明する説明図である。第2実施形態では、第1境界線Th1がモータ連続定格線RCに固定して設定されている。
また、第2実施形態では、第2境界線Th2が、第1境界線Th1との間に所定のヒステリシスを構成するような基準線Th2Bに設定されている。基準線Th2Bは、走行モードの切り替えによるハンチングを十分に防止することができるように実験やシミュレーションなどによって決定される。そして、第2実施形態では、第2境界線Th2のうちの微加減速領域MA内(要求加速度ゼロを含む所定範囲内)にある第2境界線Th2である第2部分線Th2Pが、基準線Th2Bよりも大きくなるように決定される。また、第2部分線Th2Pは、モータ連続定格線RC(第1境界線Th1)以下に決定される。
微加減速領域MA内では、第2部分線Th2Pの候補が複数レベル設けられている。例えば、図10では、第2部分線Th2Pの候補として、最大線Th2X、第1中間線Th2C1、第2中間線Th2C2、基準線Th2Bが設けられている。最大線Th2X、第1中間線Th2C1、第2中間線Th2C2は、モータ走行モードへの切り替えの容易性や、走行モードの切り替えによるハンチングを考慮して、実験やシミュレーションなどによって決定される。そして、後に詳述するが、第2部分線Th2Pの候補の中から一の線が第2部分線Th2Pに決定される。
最大線Th2Xは、第2境界線Th2の候補のうち車両1の速度における要求加速度が、他の候補に比べて最も大きなものである。第1中間線Th2C1および第2中間線Th2C2は、最大線Th2Xと基準線Th2Bとの間に設定される。第1中間線Th2C1は、第2中間線Th2C2と最大線Th2Xとの間に設定される。つまり、第2部分線Th2Pの候補は、基準線Th2B、第2中間線Th2C2、第1中間線Th2C1、最大線Th2Xの順に段階的に大きくなっている。
例えば、第2部分線Th2P(第2境界線Th2)と要求加速度AUとの交点に対応する速度を速度V12とし、第2部分線Th2P(第2境界線Th2)と要求加速度ADとの交点に対応する速度を速度V15とする。速度V12は、速度V1よりも大きく、速度V15よりも小さい。また、速度V13は、速度V12と速度V15との間にあり、速度V14は、速度V13と速度V15との間にある。
最大線Th2Xは、速度V12と速度V13との間では、要求加速度AUに設定される。つまり、速度V1と速度V12との間の第2境界線Th2と、速度V12と速度V13との間の最大線Th2Xとのなす角度が、90度から180度の間に設定される。
また、最大線Th2Xは、速度V13と速度V14との間では、第1境界線Th1を超えることなく、速度が大きくなるに連れて第1境界線Th1に沿って漸減している。つまり、速度V13と速度V14との間において、最大線Th2Xは、第1境界線Th1に平行となっている。
また、最大線Th2Xは、速度V14と速度V15との間では、速度V13と速度V14との間に比べ、漸減の程度が大きくなっている。つまり、速度V14と速度V15との間の最大線Th2Xと、速度V15以上の第2境界線Th2とのなす角度が、90度から180度の間に設定される。
また、速度V14と速度V15との間の最大線Th2Xは、速度を示す横軸に垂直となっておらず傾斜している。このため、車両100では、最大線Th2Xの線が横軸に垂直となる態様に比べ、横軸に垂直となる部分の速度において走行モードが切り替わるタイミングが不安定になることを防止することができる。
基準線Th2Bのうち、速度V12と速度V15との間(微加減速領域MA内)の基準線Th2Bは、速度が大きくなるに連れて漸減している。速度V12と速度V15との間の基準線Th2Bの傾斜角度は、速度V1と速度V12との間の基準線Th2Bの傾斜角度と同程度となっている。
以後、第2部分線Th2Pと基準線Th2Bとに囲まれた領域を拡大領域EA2と呼ぶことがある。例えば、第2部分線Th2Pが最大線Th2Xに決定された場合、基準線Th2Bと最大線Th2Xとに囲まれた領域が拡大領域EA2である。図10では、このときの拡大領域EA2をハッチングで示している。拡大領域EA2は、概ね台形状に形成されている。
第1中間線Th2C1および第2中間線Th2C2は、第2部分線Th2Pが最大線Th2Xに決定された場合の拡大領域EA2を三等分するように設定される。例えば、第1中間線Th2C1は、基準線Th2Bと第1中間線Th2C1とに囲まれた台形の領域の面積が、基準線Th2Bと最大線Th2Xとに囲まれた台形の領域の面積の三分の二になるように設定される。第2中間線Th2C2は、基準線Th2Bと第2中間線Th2C2とに囲まれた台形の領域の面積が、基準線Th2Bと最大線Th2Xとに囲まれた台形の領域の面積の三分の一になるように設定される。
図9および図10に示すように、部分線決定部53は、複数の第2部分線Th2Pの候補の中から一の候補を選択して第2部分線Th2Pを決定する。決定された第2部分線Th2Pは、第2境界線Th2のうちの微加減速領域MA内の第2境界線Th2である。
また、モード切替部52は、走行モードを切り替える際、走行モードの切り替え回数をカウントする(積算する)。走行モードの切り替え回数は、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードへ切り替える際の切り替え回数と、モータ走行モードからハイブリッド走行モードへ切り替える際の切り替え回数との合計値である。モード切替部52は、例えば、走行モードの切り替え回数のカウントの際、走行モードの切り替え回数を、カウントするときの時刻と関連付けて記憶する。
そして、部分線決定部53は、予め設定された時間(単位時間)あたりの走行モードの切り替え回数に応じて、第2部分線Th2Pを決定する。予め設定された時間は、例えば、現時点から直前の10分間などであるが、この例に限らず、10分間より大きくてもよいし小さくてもよい。
具体的には、部分線決定部53は、現時点の走行モードの切り替え回数と、10分前の走行モードの切り替え回数との差分を導出し、導出された差分を判定対象の切り替え回数とする。そして、部分線決定部53は、判定対象の切り替え回数が判定基準の切り替え回数以上である場合、第2部分線Th2Pのレベル(大きさ)を現時点の第2部分線Th2Pよりも一段階大きくする。
例えば、モード切替部52は、現時点の第2部分線Th2Pが基準線Th2Bに決定されている場合には、第2部分線Th2Pを第2中間線Th2C2に設定し、現時点の第2部分線Th2Pが第2中間線Th2C2に決定されている場合には、第2部分線Th2Pを第1中間線Th2C1に決定し、現時点の第2部分線Th2Pが第1中間線Th2C1に決定されている場合には、第2部分線Th2Pを最大線Th2Xに決定する。なお、現時点の第2部分線Th2Pが最大線Th2X線に決定されている場合には、最大線Th2Xが維持される。
一方、部分線決定部53は、判定対象の切り替え回数が判定基準の切り替え回数よりも小さい場合、第2部分線Th2Pのレベル(大きさ)を現時点の第2部分線Th2Pよりも一段階小さくする。
例えば、モード切替部52は、現時点の第2部分線Th2Pが最大線Th2Xに設定されている場合には、第2部分線Th2Pを第1中間線Th2C1に決定し、現時点の第2部分線Th2Pが第1中間線Th2C1に決定されている場合には、第2部分線Th2Pを第2中間線Th2C2に決定し、現時点の第2部分線Th2Pが第2中間線Th2C2に決定されている場合には、第2部分線Th2Pを基準線Th2Bに決定する。なお、現時点の第2部分線Th2Pが基準線Th2Bに決定されている場合には、基準線Th2Bが維持される。
図11は、第2実施形態による走行モードの切り替えについて説明するフローチャートである。制御装置150は、図11の一連の処理を、所定時間間隔(例えば、所定の割り込みタイミングなど)で実行する。
まず、モード切替部52は、現在の走行モードがモータ走行モードであるか否かを判定する(S500)。現在の走行モードがモータ走行モードである場合(S500におけるYES)、ステップS510以降の処理が行われる。一方、現在の走行モードがモータ走行モードではない場合(S500におけるNO)、現在の走行モードがハイブリッド走行モードであるとみなされ、ステップS600以降の処理が行われる。
現在の走行モードがモータ走行モードである場合(S500におけるYES)、モード切替部52は、車両100の速度における要求加速度が、第1境界線Th1以下であるか否かを判定する(S510)。車両100の速度における要求加速度が第1境界線Th1以下である場合(S510におけるYES)、モード切替部52は、モータ走行モードを継続するとして、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
一方、車両100の速度における要求加速度が第1境界線Th1以下ではない(第1境界線Th1を超えた)場合(S510におけるNO)、モード切替部52は、モータ走行モードからハイブリッド走行モードへ走行モードを切り替える(S530)。その後、モード切替部52は、走行モードの切り替え回数をインクリメントする(S540)。このとき、モード切替部52は、インクリメントした走行モードの切り替え回数を現時刻に関連付けて記憶する。その後、モード切替部52は、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
また、現在の走行モードがモータ走行モードではない場合(S500におけるNO)、部分線決定部53は、予め設定された単位時間あたりの走行モードの切り替え回数(上述の判定対象の切り替え回数)が、所定回数(判定基準の切り替え回数)以上であるか否かを判定する(S600)。
単位時間あたりの走行モードの切り替え回数が所定回数以上ではない(所定回数を下回る)場合(S600におけるNO)、部分線決定部53は、現時点の第2部分線Th2Pが最大線Th2Xに決定されているか否かを判定する(S610)。
現時点の第2部分線Th2Pが最大線Th2Xに決定されている場合(S610におけるYES)、部分線決定部53は、第2部分線Th2Pを最大線Th2Xに維持するとして、ステップS700の処理に移る。一方、現時点の第2部分線Th2Pが最大線Th2Xに決定されていない場合(S610におけるNO)、部分線決定部53は、第2部分線Th2Pのレベルを現時点の第2部分線Th2Pに対して一段階アップする(S630)。その後、ステップS700以降の処理が行われる。
一方、単位時間あたりの走行モードの切り替え回数が所定回数以上である場合(S600におけるYES)、部分線決定部53は、現時点の第2部分線Th2Pが基準線Th2Bに決定されているか否かを判定する(S640)。
現時点の第2部分線Th2Pが基準線Th2Bに決定されている場合(S640におけるYES)、部分線決定部53は、第2部分線Th2Pを基準線Th2Bに維持するとして、ステップS700の処理に移る。一方、現時点の第2部分線Th2Pが基準線Th2Bに決定されていない場合(S640におけるNO)、部分線決定部53は、第2部分線Th2Pのレベルを現時点の第2部分線Th2Pに対して一段階ダウンする(S660)。その後、ステップS700以降の処理が行われる。
なお、ステップS600からステップS660までの処理は、第2部分線Th2Pを決定する第2部分線決定処理に相当する。第2部分線Th2Pが決定されると、第2境界線Th2が確定することとなる。
第2部分線Th2Pの決定後、モード切替部52は、車両100の速度における要求加速度が第2境界線Th2以上であるか否かを判定する(S700)。
車両100の速度における要求加速度が第2境界線Th2以上である場合(S700におけるYES)、モード切替部52は、ハイブリッド走行モードを継続するとして、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
一方、車両100の速度における要求加速度が第2境界線Th2以上ではない(第2境界線Th2を下回る)場合(S700におけるNO)、モード切替部52は、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードへ走行モードを切り替える(S720)。その後、モード切替部52は、走行モードの切り替え回数をインクリメントする(S730)。このとき、モード切替部52は、インクリメントした走行モードの切り替え回数を現時刻に関連付けて記憶する。その後、モード切替部52は、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
以上のように、第2実施形態による制御装置150では、車両100の速度における要求加速度が維持され易い微加減速領域MA内(要求加速度ゼロを含む所定範囲内)の第2部分線Th2Pが、第1境界線Th1との間に所定のヒステリシスを構成する基準線Th2Bよりも大きくなるように設定される。
このため、第2実施形態による制御装置150では、第2境界線Th2が基準線Th2B以下に設定される態様に比べ、車両100の速度における要求加速度が第2境界線Th2(第2部分線Th2P)を下回り易く、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードに切り替わる可能性が高い。したがって、第2実施形態による制御装置150によれば、エンジン10が停止される可能性が高く、燃費を向上することが可能となる。
また、上述のように、車両100の速度における要求加速度は、微加減速領域MA外に比べ、微加減速領域MA内において維持され易い。これにより、第2実施形態による制御装置150では、車両100の速度における要求加速度が、微加減速領域MA内において第2部分線Th2P(第2境界線Th2)を一度下回ると、その第2部分線Th2P以下の状態が維持され易い。
このため、第2実施形態による制御装置150では、速度と要求加速度と走行モードとが関連付けられたマップの全範囲において第2境界線Th2を基準線Th2Bよりも大きくなるように設定する比較例に比べ、モータ走行モードへ切り替えられた後にモータ走行モードが維持され易い。したがって、第2実施形態による制御装置150によれば、エンジン10の停止時間が長くなる可能性が高く、効率よく燃費を向上することが可能となる。
第2実施形態による制御装置150では、走行モードの切り替え回数が多いとき、第2部分線Th2Pが、第1境界線Th1側にシフトされ、走行モードの切り替え回数が少ないとき、第2部分線Th2Pが、基準線Th2B側にシフトされる。第2部分線Th2Pが第1境界線Th1側にシフトされるほど、より燃費を向上することができる。また、第2部分線Th2Pが基準線Th2B側にシフトされるほど、走行モードのハンチングを抑制することができる。このため、第2実施形態による制御装置150によれば、走行モードの切り替えに起因する煩雑感を車両100の搭乗者に与えることを抑制することと、燃費の向上とを両立させることができる。
なお、第2実施形態では、第2部分線Th2Pが第1境界線Th1以下に設定されていた。しかし、第2部分線Th2Pは、第1境界線Th1以上に設定されてもよい。この場合、走行モードがハイブリッド走行モードに切り替えられてから所定時間が経過するまで、車両100の速度における要求加速度が第2境界線Th2を下回ってもモータ走行モードに切り替わらないようにするのが好ましい。
(第2実施形態の第1変形例)
図12は、第2実施形態の第1変形例による走行モードの切り替えについて説明するフローチャートである。図12は、ステップS800、ステップS810およびステップS820が追加された点において第2実施形態の図11と異なる。
図12のフローチャートにおいて、モード切替部52は、モータ走行モードからハイブリッド走行モードへ走行モードを切り替え(S530)、走行モードの切り替え回数をインクリメントした(S540)後、切替禁止時間の計時を開始し(S800)、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。切替禁止時間は、ハイブリッド走行モードが選択されている状況において、車両100の速度における要求加速度が第2境界線Th2を下回ったとしても、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードへの走行モードの切り替えを禁止する時間である。
また、図12のフローチャートにおいて、モード切替部52は、第2部分線Th2Pの決定の後、切替禁止時間が所定時間経過したか否かを判定する(S810)。切替禁止時間の判定基準である所定時間は、例えば、走行モードのハンチング度合を考慮して設定される。切替禁止時間が所定時間経過していない場合(S810におけるNO)、モード切替部52は、ハイブリッド走行モードを継続するとして、走行モードの切り替えに関する一連の処理を終了する。
一方、切替禁止時間が所定時間経過した場合(S810におけるYES)、モード切替部52は、切替禁止時間の計時をリセットする(S820)。その後、モード切替部52は、車両100の速度における要求加速度が、第2境界線Th2以上であるか否かを判定する(S700)。その後は、図11のフローチャートと同様である。
以上のように、第2実施形態の第1変形例では、ハイブリッド走行モードに切り替えられた後、所定時間(切替禁止時間)が経過するまでは、ハイブリッド走行モードが維持され、モータ走行モードに切り替えられない。このため、第2実施形態の第1変形例では、第2部分線Th2Pが基準線Th2B以上に設定されて第2境界線Th2と第1境界線Th1との間隔が所定ヒステリシスよりも小さくなったとしても、走行モードの切り替えが頻繁に起こること(走行モードのハンチング)を抑制することができる。その結果、第2実施形態の第1変形例では、走行モードの切り替えに起因する煩雑感を車両100の搭乗者に与えることを、より抑制することができる。
(第2実施形態の第2変形例)
図13は、第2実施形態の第2変形例による走行モードの切り替えについて説明する説明図である。図13は、上記第2実施形態の図10を、縦軸を要求トルクに変更して表現したものに相当する。
図13において、第1境界線Th1a、第2境界線Th2a、モータ連続定格線RCa、破線AUa、ADa、実線AZa、微加減速領域MAaは、第1実施形態の第2変形例の図7と同じである。なお、第2境界線Th2aは、第1境界線Th1aとの間に所定のヒステリシスを構成するような基準線Th2Baに設定されている。
第2実施形態の第2変形例では、第2境界線Th2aのうちの微加減速領域MAa内にある第2境界線Th2aである第2部分線Th2Paが、基準線Th2Baよりも大きくなるように決定される。また、第2部分線Th2Paは、モータ連続定格線RCa(第1境界線Th1a)以下に決定される。
また、微加減速領域MAa内では、第2部分線Th2Paの候補が複数レベル設けられている。例えば、第2部分線Th2Paの候補としては、大きなものから順に、最大線Th2Xa、第1中間線Th2C1a、第2中間線Th2C2a、基準線Th2Baが設けられている。
速度V12は、第2部分線Th2Pa(第2境界線Th2a)と破線AUaとの交点に対応する速度である。速度V15は、第2部分線Th2Pa(第2境界線Th2a)と破線ADaとの交点に対応する速度である。最大線Th2Xaは、速度V12と速度V12よりも大きな速度V13との間では、破線AUaに沿って漸増している。また、最大線Th2Xaは、速度V13と速度V13よりも大きな速度V14との間では、第1境界線Th1aを超えることなく、速度が大きくなるに連れて第1境界線Th1aに沿って漸減している。また、最大線Th2Xaは、速度V14と速度V14よりも大きな速度V15との間では、速度V13と速度V14との間に比べ、漸減の程度が大きくなっている。速度V14と速度V15との間で漸減の程度が大きくなっているため、速度V15において走行モードが切り替わるタイミングが不安定になることを防止することができる。
以後、第2部分線Th2Paと基準線Th2Baとに囲まれた領域を拡大領域EA2aと呼ぶことがある。第1中間線Th2C1aおよび第2中間線Th2C2aは、第2部分線Th2Paが最大線Th2Xaに決定された場合の拡大領域EA2aを三等分するように設定される。
第2実施形態の第2変形例による駆動制御部51は、アクセル開度から要求トルクを導出する。要求トルクは、運転者の要求するトルクを示す。
第2実施形態の第2変形例による部分線決定部53は、駆動制御部51において導出された速度および要求トルクから、車両1(自車両)の速度における要求トルク、すなわち、図13のマップ上の位置を導出する。
部分線決定部53は、複数の第2部分線Th2Paの候補の中から一の候補を選択し、選択した候補に第2部分線Th2Paを決定する。また、部分線決定部53は、走行モードの切り替え回数が多くなるにしたがって第2部分線Th2Paを第1境界線Th1a側にシフトする。一方、部分線決定部53は、走行モードの切り替え回数が少なくなるにしたがって第2部分線Th2Paを基準線Th2Ba側にシフトする。決定された第2部分線Th2Paは、第2境界線Th2aのうちの微加減速領域MAa内の第2境界線Th2aである。
以上のように、第2実施形態の第2変形例では、微加減速領域MAa内の第2部分線Th2Paが、第1境界線Th1aとの間に所定のヒステリシスを構成する基準線Th2Baよりも大きくなるように設定される。
したがって、第2実施形態の第2変形例によれば、第2実施形態と同様に、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードに切り替わる可能性が高くなり、燃費を向上することが可能となる。
(第2実施形態の第3変形例)
図14は、第2実施形態の第3変形例による走行モードの切り替えについて説明する説明図である。図14は、上記第2実施形態の図10を、縦軸を要求パワーに変更して表現したものに相当する。
図14において、第1境界線Th1b、第2境界線Th2b、モータ連続定格線RCb、破線AUb、ADb、実線AZb、微加減速領域MAbは、第1実施形態の第3変形例の図8と同じである。なお、第2境界線Th2bは、第1境界線Th1bとの間に所定のヒステリシスを構成するような基準線Th2Bbに設定されている。
第2実施形態の第3変形例では、第2境界線Th2bのうちの微加減速領域MAb内にある第2境界線Th2bである第2部分線Th2Pbが、基準線Th2Bbよりも大きくなるように決定される。また、第2部分線Th2Pbは、モータ連続定格線RCb(第1境界線Th1b)以下に決定される。
また、微加減速領域MAb内では、第2部分線Th2Pbの候補が複数レベル設けられている。例えば、第2部分線Th2Pbの候補としては、大きなものから順に、最大線Th2Xb、第1中間線Th2C1b、第2中間線Th2C2b、基準線Th2Bbが設けられている。
速度V12は、第2部分線Th2Pb(第2境界線Th2b)と破線AUbとの交点に対応する速度である。速度V15は、第2部分線Th2Pb(第2境界線Th2b)と破線ADbとの交点に対応する速度である。最大線Th2Xbは、速度V12と速度V12よりも大きな速度V13との間では、破線AUbに沿って漸増している。また、最大線Th2Xbは、速度V13と速度V13よりも大きな速度V14との間では、第1境界線Th1bを超えない値となっている。また、最大線Th2Xbは、速度V14と速度V14よりも大きな速度V15との間では、速度が大きくなるに連れて漸減している。速度V14と速度V15との間で漸減の程度が大きくなっているため、速度V15において走行モードが切り替わるタイミングが不安定になることを防止することができる。
以後、第2部分線Th2Pbと基準線Th2Bbとに囲まれた領域を拡大領域EA2bと呼ぶことがある。第1中間線Th2C1bおよび第2中間線Th2C2bは、第2部分線Th2Pbが最大線Th2Xbに決定された場合の拡大領域EA2bを三等分するように設定される。
第2実施形態の第3変形例による駆動制御部51は、アクセル開度から要求パワーを導出する。要求パワーは、運転者の要求するパワーを示す。
第2実施形態の第3変形例による部分線決定部53は、駆動制御部51において導出された速度および要求パワーから、車両1(自車両)の速度における要求パワー、すなわち、図14のマップ上の位置を導出する。
部分線決定部53は、複数の第2部分線Th2Pbの候補の中から一の候補を選択し、選択した候補に第2部分線Th2Pbを決定する。また、部分線決定部53は、走行モードの切り替え回数が多くなるにしたがって第2部分線Th2Pbを第1境界線Th1b側にシフトする。一方、部分線決定部53は、走行モードの切り替え回数が少なくなるにしたがって第2部分線Th2Pbを基準線Th2Bb側にシフトする。決定された第2部分線Th2Pbは、第2境界線Th2bのうちの微加減速領域MAb内の第2境界線Th2bである。
以上のように、第2実施形態の第3変形例では、微加減速領域MAb内の第2部分線Th2Pbが、第1境界線Th1bとの間に所定のヒステリシスを構成する基準線Th2Bbよりも大きくなるように設定される。
したがって、第2実施形態の第3変形例によれば、第2実施形態と同様に、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードに切り替わる可能性が高くなり、燃費を向上することが可能となる。
(第2実施形態の第4変形例)
第2実施形態の第4変形例では、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを、基準線Th2B、Th2Ba、Th2Bbよりも大きくなるように(例えば、最大線Th2X、Th2Xa、Th2Xbに)予め設定しておく。
第2実施形態の第4変形例による部分線決定部53は、単位時間あたりの走行モードの切り替え回数が多くなるにしたがって、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを基準線Th2B、Th2Ba、Th2Bb側にシフトする。例えば、部分線決定部53は、走行モードの切り替え回数が所定回数を超えた場合、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを第1中間線Th2C1、Th2C1a、Th2C1bに変更する。
また、部分線決定部は、単位時間あたりの走行モードの切り替え回数が少なくなるにしたがって、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを、第1境界線Th1、Th1a、Th1b側にシフトしてもよい。この場合、部分線決定部53は、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを当初の設定(例えば、最大線Th2X、Th2Xa、Th2Xb)に戻してもよい。
第2実施形態の第4変形例によれば、第2実施形態と同様に、ハイブリッド走行モードからモータ走行モードに切り替わる可能性が高くなり、燃費を向上することが可能となる。また、第2実施形態の第4変形例によれば、第2実施形態と同様に、走行モードの切り替えに起因する煩雑感を車両100の搭乗者に与えることを抑制することと、燃費の向上とを両立させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記各実施形態および各変形例を組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、第1部分線Th1Pをモータ連続定格線RC以上に決定するとともに、第2部分線Th2Pを基準線Th2B以上に決定してもよい。この態様によれば、バッテリ31のSOCの低下を抑制しつつ、モータ走行モードの継続性を向上するとともに、モータ走行モードへ切り替え易くすることができる。その結果、この態様によれば、第1実施形態および第2実施形態が単独で適用される態様に比べ、より燃費を向上することができる。
また、上記第1実施形態および各変形例では、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbの候補が、最大線Th1X、Th1Xa、Th1Xb、第1中間線Th1C1、Th1C1a、Th1C1b、第2中間線Th1C2、Th1C2a、Th1C2b、モータ連続定格線RC、RCa、RCbの四段階設定されていた。また、上記第2実施形態および各変形例では、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補が、最大線Th2X、Th2Xa、Th2Xb、第1中間線Th2C1、Th2C1a、Th2C1b、第2中間線Th2C2、Th2C2a、Th2C2b、基準線Th2B、Th2Ba、Th2Bbの四段階設定されていた。しかし、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補の数は、4個に限らず、3個以下であってもよいし、5個以上であってもよい。
また、第1実施形態および各変形例において、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbの候補に所定の係数を乗じたものを第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbとする構成としてもよい。そして、部分線決定部53は、滞在時間に応じて所定の係数を可変させることで、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbを可変させてもよい。同様に、第2実施形態および各変形例において、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補に所定の係数を乗じたものを第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbとする構成としてもよい。そして、部分線決定部53は、走行モードの切り替え回数に応じて所定の係数を可変させることで、第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを可変させてもよい。この態様では、予め設定する第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbの候補の数および第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補の数を減少させることができ、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbの候補および第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補を記憶するROMの容量を節約することができる。
また、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbをマップで導出する態様と、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを計算で導出する態様とを、適宜選択および組み合わせてもよい。例えば、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbのレベルを細かく制御する場合、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補の数を抑え、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを計算で導出してもよい。この態様では、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbの候補および第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補のすべてをマップで定義する態様に比べ、ROMの容量が圧迫されることを防止することができる。また、例えば、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbのレベルを粗く制御する場合、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbの候補および第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbの候補のすべてをマップで定義してもよい。この態様では、第1部分線Th1P、Th1Pa、Th1Pbおよび第2部分線Th2P、Th2Pa、Th2Pbを計算で導出する態様に比べ、処理負荷を軽減することができる。
また、上記各実施形態の車両1、100は、シリーズ・パラレル式のハイブリッド車両であった。しかし、車両1、100は、シリーズ・パラレル式のハイブリッド車両に限らない。車両1、100は、ハイブリッド走行モードとモータ走行モードとを切り替え可能なハイブリッド車両であればよく、例えば、パラレル式のハイブリッド車両やシリーズ式のハイブリッド車両であってもよい。
なお、上記各実施形態および各変形例において、第2モータジェネレータ14が本発明のモータに相当する。また、上記各実施形態および各変形例において、微加減速領域MAが、本発明の要求加速度ゼロを含む所定範囲に相当する。