JP7120608B2 - 放射線計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線計測装置に関する。
宇宙環境における放射線計測と地上におけるそれには大きな違いがある。地上ではある決まった核種、エネルギーを対象にして観測することが一般的である。一方、宇宙環境は、電子、陽子から鉄以上の核種が混在するような場であり、またその発生起源が太陽活動や放射線帯、太陽系外と多様であり、放射線粒子の加速機構も異なることから、数eV/nucleonから109eV/nucleonを超えるような幅広いエネルギーで分布している。さらに、粒子の単位時間単位面積あたりに流れる量(以下「フラックス」と呼ぶ)も大きく異なる。太陽活動によりフレア(以下「太陽フレア」と呼ぶ)が発生している場合、到来した陽子1MeVのフラックスが104-5/cm2/sr/sec/MeVを示した観測例や磁気嵐に伴い放射線帯外帯電子0.69MeVのフラックスが107/cm2/sr/sec/MeVを示した観測例があり、これらの環境は平穏時に比べると5桁以上の変化を伴っている。また、地球の自転軸と磁気軸のずれに起因した、地磁気遮蔽効果の弱い領域へ放射線帯の一部が定常的に落ち込む南大西洋磁気異常帯が存在し、宇宙放射線環境は時間的・空間的に大きく変化する。
このような放射線環境を計測する従来の装置には、放射線のもつエネルギー(以下「粒子エネルギー」と呼ぶ)に応じた電圧のパルス波形(以下「パルス波形」と呼ぶ)を発生させ、個々のパルス波形の波高値を分析することで核種やその粒子エネルギーの弁別を行うとともに、このパルス波形を計数することで放射線量を測定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003-194954号公報 特開2016-61614号公報 特許第5555660号明細書
グレン・F.ノル、"放射線計測ハンドブック第3版"、木村逸郎・阪井英次訳、日刊工業新聞社
太陽フレア発生時や南大西洋磁気異常帯通過時といった高計数率環境下では、放射線計測装置に対して先に入射した粒子に起因するパルス波形に、その直後に入射した粒子に起因したパルス波形が積み重なる現象(以下「パイルアップ」と呼ぶ)が生じる場合がある。この場合、本来の波高値よりも高い波高値を示す一つの波形として波高分析器で処理される。つまり、パイルアップが発生すると粒子エネルギーが過大評価されてしまい、正確ではないエネルギー情報が得られる場合がある。特許文献1に記載の放射線計測装置は、パイルアップを検出する機能を備えていない。
微分回路を用いてパイルアップを検知する機能を備えた装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、宇宙環境における放射線のエネルギーの範囲は広く、大きなエネルギーを持つ放射線が入射した後に小さなエネルギーを持つ放射線が入射するパイルアップが発生した場合、従来の微分回路を用いた装置では、大きなエネルギーの微分波形によるアンダーシュートの影響により微分値を検出する閾値を超えず、パイルアップを検出できない場合があった。
パイルアップの検出手段として、所定の閾値レベルを超える加算時間を計測してパイルアップ判定を行う装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、宇宙環境のような幅広いエネルギーが分布している環境下において、閾値レベルをわずかに超える放射線が入射した場合には立ち上がり時間は加算時間に含まれず、その直後に入射した放射線も小さなエネルギーであった場合には計測される加算時間が所定の閾値レベル以内となり、パイルアップを検出できない場合があった。
波形の変化時間より短い時間、すなわち高速で常にサンプリングを行うデジタル波高分析技術が知られている(例えば、非特許文献1の第736頁参照)。しかしながら、波高分析には演算時間を要するため高計数率(例えば、10cps以上)の放射線信号をリアルタイムで処理することは容易ではない。また、宇宙機からダウンリンクするデータ量には制限があるため地上機器によるデジタル波高分析は容易ではない。
また、放射線計測装置を宇宙機に搭載する場合、質量や大きさの制約から小型であることが求められ、また、宇宙環境で使用可能な耐放射線性を持つ半導体デバイスを使用する必要がある。このため、従来の放射線計測装置において一般に使用されているような高性能LSI(Large-Scale Integrated circuit)を備えた大規模計算機のような構成とすることは容易ではない。
本発明の一態様の放射線計測装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、放射線をアナログ信号である第1の電気信号に変換する検出器と、前記第1の電気信号を増幅して第2の電気信号を出力する増幅器と、前記第2の電気信号を一定周期でサンプリングしデジタル信号である第3の電気信号に変換するアナログデジタル変換器と、前記第2の電気信号の波高レベルに基づいて第4の電気信号を出力する比較器と、前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号に基づいて前記放射線の計測処理を行う信号処理回路部と、を備え、前記信号処理回路部は、前記第3の電気信号を時系列に取得し比較することにより前記放射線のピークを検出し、パイルアップが発生していない放射線のピーク時間からゼロクロスする時間が一定であることに基づいて、検出した前記放射線のピークの時間からゼロクロスする時間を算出し、算出した前記ゼロクロスする時間における前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号の少なくとも一方に基づいて前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する。
本発明によれば、小型かつ演算量が少なく、エネルギーの異なる多数の放射線を高精度で測定可能な放射線計測装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る放射線計測装置1を示す構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る増幅器3により出力されるバイポーラ波形の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るパイルアップが発生していない1個のパルス波形の処理に伴う時系列信号を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る放射線計測装置1におけるパルス波形の処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係るパイルアップが発生しているパルス波形の処理に伴う時系列信号の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る放射線計測装置1によるパイルアップ判定1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係るパイルアップが発生しているユニポーラ型パルス波形の処理に伴う時系列信号を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るパイルアップが発生しているパルス波形の処理に伴う時系列信号の他の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る放射線計測装置1によるパイルアップ判定2における処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る放射線計測装置1Aを示す構成図である。 本発明の第2の実施形態に係るパイルアップが発生しているパルス波形の処理に伴う時系列信号の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る放射線計測装置1Aによるパイルアップ判定3における処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係るパイルアップが発生しているパルス波形の処理に伴う時系列信号の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る放射線計測装置1によるパイルアップ判定4における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明に係る放射線計測装置のいくつかの実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線計測装置1を示す構成図である。本実施形態に係る放射線計測装置1は、例えば、検出器2と、増幅器3と、アナログデジタル変換器4と、比較器5と、信号処理回路部6を備える。
検出器2は、計測対象となる入射した放射線粒子と相互作用することにより、放射線粒子の持つエネルギーに応じて電荷(以下「第1の電気信号S1」と呼ぶ)を発生させる放射線検出器である。検出器2は、発生させた第1の電気信号S1を、増幅器3に出力する。第1の電気信号S1は、例えば、アナログ信号である。検出器2は、例えば、電離箱、比例計数管、半導体検出器である。また、検出器2は、シンチレーション結晶を取り付けた光電子増倍管のように電荷が間接的に形成される検出器でもよい。
増幅器3は、検出器2から入力された第1の電気信号S1を電圧に変換し、増幅した後、所定の時定数をもつパルス波形(以下「第2の電気信号S2」と呼ぶ)を、アナログデジタル変換器4及び比較器5に出力する。例えば、増幅器3は、前置増幅器と利得を持つ波形整形回路との組み合わせで構成される。放射線が多数入射する環境(以下「高計数率環境」と呼ぶ)では、回路のゼロレベルがシフトするベースラインシフトの対策のために、微分回路により双極性(バイポーラ)波形を出力する波形整形回路や、単極性(ユニポーラ)波形を出力しゼロレベルをスイッチにより再生するベースライン再生回路が用いられる。以下の説明においては、主に、バイポーラ波形を出力する例について説明する。
アナログデジタル変換器4は、増幅器3から入力された第2の電気信号S2のアナログ値をデジタル値へ変換し、このデジタル値に相当するデジタル信号(以下「第3の電気信号S3」と呼ぶ)を信号処理回路部6に出力する。アナログデジタル変換器4は、第2の電気信号S2を一定周期でサンプリングしデジタル信号である第3の電気信号S3に変換する。その際、アナログデジタル変換器4のサンプリング速度は、波高レベルの最大値をとらえられるように十分速いものを用いる。例えば、増幅器3により出力される波形幅が1マイクロ秒である場合、サンプリング速度はサンプリング理論から2Msps以上必要となる。
比較器5(比較器、第1比較器)は、増幅器3から入力された第2の電気信号S2の電圧値が所定の閾値電圧V(第1閾値)に到達した否かを判定し(第1閾値以上であるか否かを判定し)、判定結果(比較結果)に基づいてパルス信号(以下「第4の電気信号S4」と呼ぶ)を信号処理回路部6に出力する。比較器5は、第2の電気信号S2の波高レベルに基づいて第4の電気信号S4を出力する。本実施形態における比較器5は、説明の便宜上ヒステリシスを持たないコンパレータであるものとして説明を行うが、例えば、閾値電圧V付近で比較器5の出力がトグルしないようにヒステリシスが用いられてもよい。また、本実施形態において増幅器3の出力が比較器5と接続されているが、増幅器3が前置増幅器と波形整形回路とで構成される場合、第4の電気信号S4のパルス信号を信号処理回路部6へいち早く出力するために前置増幅器の出力を分岐して比較器5へ出力する構成でもよい。
信号処理回路部6は、アナログデジタル変換器4から入力された第3の電気信号S3及び比較器5から入力された第4の電気信号S4を取得して、放射線の計数、エネルギー演算等の各種処理を行う。信号処理回路部6は、例えば、各種演算処理を実行するマイクロプロセッサと、各種演算結果を読み出し又は記憶する記憶装置と、を備える。マイクロプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等である。記憶装置は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等である。また、信号処理回路部6は、マイクロプロセッサのクロック周期に応じて時間をカウントアップするカウンタC1を備える。カウンタC1は、例えば、マイクロプロセッサの演算処理によって実現される。
(処理)
(パルス波形の時定数)
まず、増幅器3により出力される所定の時定数をもつ第2の電気信号S2(パルス波形)について以下の式1から式3、及び図2を用いて説明する。図2は、増幅器3により出力されるバイポーラ波形の一例を示す図である。増幅器3は、例えば、RC-RC-CR回路とする。この場合、増幅器3の入力Vin(S)に対して、出力Vout(S)は、以下の式1で表される。
Figure 0007120608000001
τ1:1段目RC回路の時定数 (τ1=C)、A:1段目RC回路の利得
τ2:2段目RC回路の時定数 (τ=C)、A:2段目RC回路の利得
τ3:3段目CR回路の時定数 (τ=C)、A:3段目RC回路の利得
上記の式1において、シリコン半導体検出器に対する放射線信号のパルス幅が回路時定数τ、τ、τに比べ十分短い場合、任意の波高値Pに対しインパルス信号Vin(S)=Pとみなすことができる。この場合、式1は以下の式2として表すことができる。
Figure 0007120608000002
説明の便宜上から回路利得A=A=A=1及び回路時定数τ=τ=τ≡τとした場合、式2を逆ラプラス変換すると、式2は以下の式3となる。
Figure 0007120608000003
図2に示すように、式3は任意の波高値Pに依らず、t=(2-√2)τで最大値、t=(2+√2)τで最小値を持ち、t=2τでゼロクロスする波形となる。説明の便宜上、τ=τ=τ≡τとしたが、任意のτ,τ,τの組み合わせに対しても図2のような波形となる。
以上により、本実施形態における信号処理回路部6は、増幅器3により出力されるパルス波形が放射線の核種及びエネルギーによらず、パルス波形のピーク時間(最大値を取る時間、最小値を取る時間)及びゼロクロスする時間は一定であることに基づいて処理を行う。なお、以上においては、バイポーラ波形出力を行う増幅器3を例に挙げて説明したが、ユニポーラ波形出力を行う増幅器3においてもパルス波形のピーク時間は一定となる。
(パイルアップが発生していない場合の信号処理:通常波形処理)
以下、本実施形態に係る信号処理回路部6のパイルアップが発生していない場合の信号処理について説明する。図3は、パイルアップが発生していない1個のパルス波形の処理に伴う時系列信号を示す図である。図4は、放射線計測装置1におけるパルス波形の処理の一例を示すフローチャートである。信号処理回路部6の処理開始時において、比較器5により出力される第4の電気信号S4はローレベルに設定され、信号処理回路部6内のカウンタC1は0に設定されているものとする。
まず、比較器5は、増幅器3から入力された第2の電気信号S2の電圧値が所定の閾値電圧V以上であるか否かを判定する(ステップS101)。比較器5は、第2の電気信号S2の電圧値が所定の閾値電圧V以上ではないと判定した場合、第4の電気信号S4をローレベルに設定する(ローレベルのまま維持する)(ステップS103)。
一方、比較器5は、第2の電気信号S2の電圧値が所定の閾値電圧V以上であると判定した場合、第4の電気信号S4をハイレベルに設定する(ステップS105)。次に、信号処理回路部6は、第4の電気信号S4の立ち上り(ローレベルからハイレベルへの変化)を検知した後、カウンタC1のカウントアップを開始するとともに、アナログデジタル変換器4から第3の電気信号S3であるデジタル値を取得する(ステップS107)。
次に、信号処理回路部6は、取得した第3の電気信号S3の値(以下「今回値V」と呼ぶ)と、ピーク値判定用の値(以下「ピーク候補値V」と呼ぶ)とを比較することでピーク値を検出する(以下「ピーク検出」と呼ぶ)。ピーク候補値Vの初期値は、例えば、閾値電圧Vに相当するデジタル値未満の値で予め設定される。
信号処理回路部6は、例えば、今回値Vがピーク候補値V以上である場合、ピーク候補値Vを今回値Vで更新する(V=V)(ステップS109)。一方、信号処理回路部6は、今回値Vがピーク候補値V未満である場合、ピーク候補値Vは更新せず保持する(V=V)。次に、信号処理回路部6は、ピーク値の検出処理の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS111)。例えば、信号処理回路部6は、ピーク候補値Vが更新されない状態がある一定時間経過ΔT(例えば、4回サンプリングする時間)を経過した場合、ピーク値の検出処理の終了条件を満たすと判定する。信号処理回路部6は、ピーク値の検出処理の終了条件を満たすと判定した場合、その時点におけるピーク候補値Vをピーク値P1として決定し、ピーク検出処理を終了する(ステップS113)。その際、信号処理回路部6は、カウンタC1の値をTに設定し、カウントアップを継続する。カウンタC1に設定するTは、上述したパルスの立ち上り時間Tが一定であることに基づき、T=T+ΔTとする。
次に、信号処理回路部6は、検出したピーク値P1に基づき所定の信号処理を行う(ステップS115)。所定の信号処理とは、例えば、後述するパイルアップ判定処理、メモリへのデータの格納及び読み出し処理、外部機器へ出力処理等である。所定の信号処理が終わると、信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τになるまで計測処理を行わない計測処理及び信号処理停止状態となる。
不感時間τは、第2の電気信号S2のパルス波形がゼロレベルで落ち着くように設定する。例えば、放射線が検出器2へ入射して増幅器3の信号が落ち着くまでの時間T(パルス波形の全体長)を回路調整時に取得しておき、不感時間τをτ=Tと設定する。パルス波形の全体長Tは、例えば、入力エネルギー範囲のうち最大波高値となる模擬信号を入力し、模擬信号入力時間から波形がゼロレベルに落ち着く時間である波形終了時間を計測することで設定する。なお、計測処理及び信号処理停止状態の区間で、比較器5の出力である第4の電気信号S4はローレベルとなる。
次に、信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τを経過したか否かを判定する(ステップS117)。信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τを経過していないと判定した場合、不感時間τを経過したか否かの監視を継続する。一方、信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τを経過したと判定した場合、待機状態に遷移し、カウンタC1を0にリセットする(ステップS119)。その後、信号処理回路部6は、比較器5から入力される第4の電気信号S4が再びハイレベルになると、ピーク処理、信号処理及び信号処理停止、待機を繰り返す。
(パイルアップが発生した場合の信号処理1:パイルアップ判定1)
次に、信号処理回路部6で行われる信号処理の一例であるパイルアップ判定1について説明する。図5は、パイルアップが発生したパルス波形の処理に伴う時系列信号の一例を示す図である。図6は、放射線計測装置1によるパイルアップ判定1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、第1パルス301がピーク値P1を確定し、ゼロクロスする時間であるパイルアップ判定区間T1に、第2パルス302が入力されて重なったパイルアップ波形304を示している。パイルアップ判定時間T1は、第1パルス301のピーク値P1が確定するまでの時間T=T+ΔTとゼロクロスするまでの時間Tが一定であることから、T1=T-Tとなる。
パイルアップが発生した場合、例えば、従来のピークホールド回路を用いた放射線計測装置では、パイルアップ波形304のピーク値P2を捉え、元の波高値よりも高い波高値を信号処理回路部6が誤って取得する。しかしながら、上述したピーク処理の一例では、第1パルス301のピーク値である1つ目のピーク値P1を取得し、パイルアップ波形304のピーク値である2つ目のピーク値P2を誤って取得することはない。
パイルアップが発生している場合、第2パルス302の影響により、第1パルス301がゼロレベルで落ち着く波形終了時間teを超えても第2の電気信号S2であるパイルアップ波形304はゼロレベルに落ち着いていない(図5の領域a)。従って、パイルアップを検知した場合は、信号処理回路部6で計測処理を停止とする不感時間を延長する。
まず、パイルアップ判定1において、信号処理回路部6は、ピーク値P1を検出した時間からT1経過後(カウンタC1=T)のデジタル値である第3の電気信号S3とゼロレベルを比較して、第3の電気信号S3がゼロレベルに達しているか否かを判定する(ステップS201)。信号処理回路部6は、例えば、第3の電気信号S3が、所定の閾値を以下である場合に、ゼロレベルに達していると判定し、所定の閾値を超える場合に、ゼロレベルに達していないと判定する。
信号処理回路部6は、第3の電気信号S3が、ゼロレベルに達していると判定した場合、パイルアップは発生していないと判定する(ステップS203)。パイルアップが発生していない場合、T経過後に第1パルス301がゼロレベルを下回っていることから、信号処理回路部6は図3に示すような通常波形処理となる。
一方、信号処理回路部6は、第3の電気信号S3が、ゼロレベルに達していていないと判定した場合、パイルアップが発生していると判定する(ステップS205)。パイルアップが発生している場合、T経過後にパイルアップ波形304がゼロレベルを下回っていないことから、信号処理回路部6はパイルアップの発生を検出することができる。ゼロレベルの判定は、デジタル値の上位ビットを比較することで小規模の演算量で実現することが可能である。
信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、計測処理を停止とする不感時間を延長する(S207)。信号処理回路部6は、不感時間を延長するためカウンタC1を0に設定する。その後、信号処理回路部6は、カウンタC1をマイクロプロセッサのクロック周期に応じて時間をカウントアップする。信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τになると、待機状態へ遷移し、カウンタC1を0にリセットする。その後、信号処理回路部6は、比較器5から入力される第4の電気信号S4がハイレベルになると、ピーク処理、信号処理及び信号処理停止、待機を繰り返す。
なお、上記のパイルアップ判定1においては、信号処理回路部6は、ピーク値P1を検出した時間からT1経過後のデジタル値である第3の電気信号S3と、ゼロレベルとを比較して、第3の電気信号S3がゼロレベルに達しているか否かに基づいてパイルアップの発生の有無を判定する例について説明した、しかしながら、信号処理回路部6は、ピーク値P1を検出した時間からT1経過後の比較器5の出力レベルに基づいて、パイルアップの発生の有無を判定してもよい。例えば、信号処理回路部6は、ピーク値P1を検出した時間からT1経過後の比較器5の出力レベルがハイレベルである場合にパイルアップが発生したと判定してもよい。
なお、図5及び図6ではバイポーラ型パルス波形によるパイルアップ判定方法の一例を示したが、ユニポーラ型パルス波形においても同様の判定方法でパイルアップを判定することが可能である。図7は、パイルアップが発生しているユニポーラ型パルス波形の処理に伴う時系列信号を示す図である。図7は、第1パルス306がピーク値P3を確定し、ゼロクロスする時間であるパイルアップ判定区間T1に、第2パルス307が入力されて重なったパイルアップ波形308を示している。パイルアップ判定時間T1は、第1パルス306のピーク値P3が確定するまでの時間T=T+ΔTとゼロクロスするまでの時間Tが一定であることから、T1=T-Tとなる。
上記のバイポーラ型パルス波形によるパイルアップ判定方法と同様に、信号処理回路部6は、ピーク値の検出処理の終了条件を満たすと判定した場合、その時点におけるピーク候補値Vをピーク値P3として決定し、ピーク検出処理を終了する。その際、信号処理回路部6は、カウンタC1の値をTpに設定し、カウントアップを継続する。
信号処理回路部6は、ピーク値P3を検出した時間からT1経過後(カウンタC1=τ)のデジタル値である第3の電気信号S3とゼロレベルを比較して、第3の電気信号S3がゼロレベルに達しているか否かに基づいて、パイルアップの発生の有無を判定することができる。信号処理回路部6は、例えば、第3の電気信号S3が、所定の閾値を以下である場合に、ゼロレベルに達していると判定し、所定の閾値を超える場合に、ゼロレベルに達していないと判定する。
信号処理回路部6は、第3の電気信号S3が、ゼロレベルに達していると判定した場合、パイルアップは発生していないと判定する。一方、信号処理回路部6は、第3の電気信号S3が、ゼロレベルに達していていないと判定した場合、パイルアップが発生していると判定する。パイルアップが発生している場合(パイルアップ波形308においてピーク値P4が発生している場合)、T経過後にパイルアップ波形308がゼロレベルを下回っていないことから、信号処理回路部6はパイルアップの発生を検出することができる。
信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、計測処理を停止とする不感時間を延長する。信号処理回路部6は、不感時間を延長するためカウンタC1を0に設定する。その後、信号処理回路部6は、カウンタC1をマイクロプロセッサのクロック周期に応じて時間をカウントアップする。信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τになると、待機状態へ遷移し、カウンタC1を0にリセットする。その後、信号処理回路部6は、比較器5から入力される第4の電気信号S4がハイレベルになると、ピーク処理、信号処理及び信号処理停止、待機を繰り返す。
(パイルアップが発生した場合の信号処理2:パイルアップ判定2)
次に、信号処理回路部6で処理するパイルアップ判定2について説明する。図8は、パイルアップが発生しているパルス波形の処理に伴う時系列信号の他の例を示す図である。図9は、放射線計測装置1によるパイルアップ判定2における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8は、第1パルス321がピーク値P1を確定し、ゼロクロス後のパイルアップ判定区間T2に、第2パルス322が入力され重なったパイルアップ波形324を示している。パイルアップ判定時間T2は、第1パルス321がゼロクロスするまでの時間Tとパルス波形の全体長Tから、T2=T-Tとなる。
図8に示すパイルアップは、増幅器3がバイポーラ波形を出力する放射線計測装置1において、第1パルス321の波高値が高く、且つ、第2パルス322の波高値が小さい条件で、第2パルス322が第1パルス321のアンダーシュート波形に埋もれ、パイルアップ波形324が所定の閾値電圧V未満であることから、信号処理回路部6に比較器5から入力される第4の電気信号S4がローレベルの出力を継続する事象である。このようなパイルアップが発生すると、上記のパイルアップ判定1ではパイルアップ発生を検出することが出来ない。
図8に示すパイルアップが発生した場合に、第2パルス322の影響により、パイルアップが発生していない場合には第1パルス321がゼロレベルで落ち着くteを超えても、第2の電気信号S2であるパイルアップ波形324はゼロレベル以下になる(図8の領域b)。パイルアップ判定2においては、この第1パルス321がゼロレベルで落ち着くteにおける信号に基づいて、パイルアップ発生を検出する。
図8に示すパイルアップ波形324がゼロレベル以下になる領域bにおいて、再度放射線が入射して第3パルス323が入力された場合、この第3パルス323は第2の電気信号S2の影響を受けたパイルアップ波形324に重畳されることになる。この結果、第3パルス323の波高値は本来の波高値よりも低くなり、その計測を正確に行うことができなくなる。そこで、パイルアップ判定2によりパイルアップ発生が検出された場合には、計測処理を停止とする不感時間を延長する。
まず、パイルアップ判定2における信号処理において、信号処理回路部6は、カウンタC1がτとなったときのデジタル値である第3の電気信号S3がゼロレベルに落ち着いているか否かを判定する(ステップS301)。信号処理回路部6は、例えば、第3の電気信号S3が、所定の閾値を以下である場合に、ゼロレベルに落ち着いていると判定し、所定の閾値を超える場合に、ゼロレベルに落ち着いていないと判定する。実際の回路では検出器や回路に起因するホワイトノイズが重畳することから、ノイズ下限値レベルを考慮した閾値を設定する。
信号処理回路部6は、第3の電気信号S3が、ゼロレベルに落ち着いていると判定した場合、パイルアップは発生していないと判定する(ステップS303)。
一方、信号処理回路部6は、第3の電気信号S3が、ゼロレベルに落ち着いていないと判定した場合、パイルアップが発生していると判定する(ステップS305)。信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、計測処理を停止とする不感時間を延長する(S307)。例えば、信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、不感時間を延長するためカウンタC1を0と設定する。その後、信号処理回路部6は、カウンタC1をマイクロプロセッサのクロック周期に応じて時間をカウントアップする。
信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τになると、再度、第3の電気信号S3がゼロレベルに落ち着いているか否かを判定する(ステップS301)。信号処理回路部6は、ゼロレベルに落ち着いていないと判定した場合、再度放射線が入射しパイルアップが発生したものと判定し(ステップS305)、カウンタC1を0にリセットして、再度、不感時間を延長する(ステップS307)。信号処理回路部6は、ゼロレベルに落ち着いていると判定した場合、パイルアップが発生していないと判定し、カウンタC1を0にリセットし待機状態へ遷移する。その後、信号処理回路部6は、比較器5から入力される第4の電気信号S4がハイレベルになると、ピーク処理、信号処理及び信号処理停止、待機を繰り返す。
すなわち、信号処理回路部6は、第3の電気信号S3を時系列に取得し比較することにより放射線のピークを検出し、パイルアップが発生していない放射線のピーク時間からゼロクロスする時間が一定であることに基づいて、検出した放射線のピークの時間からゼロクロスする時間を算出し、算出したゼロクロスする時間における第3の電気信号S3及び第4の電気信号S4の少なくとも一方に基づいて放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する。
また、信号処理回路部6は、第3の電気信号S3を時系列に取得し比較することにより放射線のピークを検出し、予め取得した放射線波形がゼロレベルに落ち着くまでの波形終了時間を、検出した放射線のピークの時間から算出し、算出した波形終了時間における第3の電気信号S3がゼロレベルに達しているか否かに基づいて、放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する。
以上において説明した第1の実施形態の放射線計測装置1によれば、小型かつ演算量が少なく、エネルギーの異なる多数の放射線を高精度で測定することが可能である。放射線計測装置1は、パイルアップを検出するために、高性能LSIを含む大規模信号処理回路や微分回路等を設けないため、装置を小型化することが可能である。また、放射線計測装置1は、例えば、デジタル波高分析技術と比較して、演算量を少なくすることが可能である。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る放射線計測装置について説明する。図10は、本実施形態に係る放射線計測装置1Aの構成図である。第1の実施形態の放射線計測装置1と比較して、本実施形態の放射線計測装置1Aは、第2比較器7をさらに備える点が異なる。本実施形態の放射線計測装置1Aは、第2比較器7から信号処理回路部6に出力される第5の電気信号S5に基づいてパイルアップの発生の有無を検出する。図11は、図8と同様なパイルアップが発生したパルス波形の処理に伴う時系列信号を示す図であり、第5の電気信号S5が追加されている。なお、第1の実施形態と重複する構成、動作については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
(構成)
図10に示す第2比較器7は、第2の電気信号S2の電圧値が所定の閾値電圧V以下(第2閾値以下)であると判定した場合、第5の電気信号S5をハイレベルに設定するコンパレータである。所定の閾値電圧Vは、検出器及び回路系に起因するホワイトノイズで動作することを避けるために、ノイズレベル以下に設定する(例えば、-10mV以下)。このため、第2比較器7は、待機状態ではローレベルの第5の電気信号S5を出力している。増幅器3から入力される第2の電気信号S2が所定の閾値電圧V以下となるとハイレベルの第5の電気信号S5を出力する。
(パイルアップが発生した場合の信号処理3:パイルアップ判定3)
図11及び12を用いてパイルアップ判定3における処理について説明する。図11は、パイルアップが発生しているパルス波形の処理に伴う時系列信号の一例を示す図である。図12は、放射線計測装置1Aによるパイルアップ判定3における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、パイルアップ判定3において、信号処理回路部6は、パイルアップ波形324が信号処理回路部6へ入力されカウンタC1が不感時間τになったときに、第5の電気信号S5に基づきパイルアップが発生したか否かを判定する。信号処理回路部6は、カウンタC1がτとなったときの第5の電気信号S5がハイレベルとなっているか否かを判定する(ステップS401)。信号処理回路部6は、第5の電気信号S5がハイレベルとなっていないと判定した場合(第5の電気信号S5がローレベルである場合)、パイルアップは発生していないと判定する(S403)。
一方、信号処理回路部6は、第5の電気信号S5がハイレベルとなっていると判定した場合、パイルアップが発生していると判定する(S405)。信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、計測処理を停止とする不感時間を延長する(S407)。例えば、信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、カウンタC1を0に設定する。その後、信号処理回路部6は、カウンタC1をマイクロプロセッサのクロック周期に応じて時間をカウントアップする。
信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τになると、再度、第5の電気信号S5がハイレベルとなっているか否かを判定する(ステップS401)。信号処理回路部6は、第5の電気信号S5がハイレベルとなっていると判定した場合、再度放射線が入射しパイルアップが発生したものと判定し(ステップS405)、カウンタC1を0にリセットして、再度、不感時間を延長する(ステップS407)。信号処理回路部6は、第5の電気信号S5がハイレベルとなっていないと判定した場合、パイルアップが発生していないと判定し、カウンタC1を0にリセットし待機状態へ遷移する。その後、信号処理回路部6は、比較器5から入力される第4の電気信号S4がハイレベルになると、ピーク処理、信号処理及び信号処理停止、待機を繰り返す。
すなわち、信号処理回路部は、第3の電気信号S3を時系列に取得し比較することにより放射線のピークを検出し、予め取得した放射線波形がゼロレベルに落ち着くまでの波形終了時間を、検出した放射線のピークの時間から算出し、算出した波形終了時間における第5の電気信号S5に基づいて、放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する。
以上において説明した第2の実施形態の放射線計測装置1Aによれば、小型かつ演算量が少なく、エネルギーの異なる多数の放射線を高精度で測定することが可能である。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る放射線計測装置について説明する。第1の実施形態と比較して、本実施形態の放射線計測装置1における信号処理回路部6は、パイルアップ判定区間T2において第4の電気信号S4がハイレベルに立ち上るか否かに基づいてパイルアップの発生の有無を検出する点が異なる。なお、第1の実施形態と重複する構成、動作については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
(パイルアップが発生した場合の信号処理4:パイルアップ判定4)
次に、信号処理回路部6によって行われるパイルアップ判定4について説明する。図13は、パイルアップが発生したパルス波形の処理に伴う時系列信号の一例を示す図である。図13は、図8と同様に、第1パルス341がピーク値P1を確定し、ゼロクロス後のパイルアップ判定区間T2において、第2パルス342が入力され重なったパイルアップ波形344を示している。図13に示すパイルアップが、図8のパイルアップと異なる点は、第2パルス342の波高値が大きく、パイルアップ波形344が所定の閾値電圧V以上となり、比較器5から信号処理回路部6に入力された第4の電気信号S4がハイレベルとなる点である。
図13に示すようなパイルアップが発生した場合、第2パルス342の影響により、第1パルス341がゼロレベルで落ち着くteを超えても第2の電気信号S2であるパイルアップ波形344はゼロレベルに落ち着いていない(図13の領域c)。従って、パイルアップを検知した場合は、信号処理回路部6で計測処理を停止とする不感時間を延長する。
まず、パイルアップ判定3において、信号処理回路部6は、パイルアップ判定区間T2において第4の電気信号S4がハイレベルに立ち上るか否か判定する(ステップS501)。パイルアップが発生していない場合、パイルアップ判定区間T2では第1パルス341が所定の閾値電圧V未満となるため、第4の電気信号S4はハイレベルとならない。このため、信号処理回路部6は、第4の電気信号S4がハイレベルに立ち上らないと判定した場合、パイルアップは発生していないと判定する(ステップS503)。
一方、パイルアップが発生した場合、パイルアップ判定区間T2ではパイルアップ波形344が所定の閾値電圧Vを超過することから、第4の電気信号S4がハイレベルとなる。このため、信号処理回路部6は、第4の電気信号S4がハイレベルに立ち上ると判定した場合、パイルアップが発生したと判定する(ステップS505)。信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、計測処理を停止とする不感時間を延長する(S507)。例えば、信号処理回路部6は、パイルアップの発生を検出後、カウンタC1を0に設定する。その後、信号処理回路部6は、カウンタC1をマイクロプロセッサのクロック周期に応じて時間をカウントアップする。
信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τになる間に、第4の電気信号S4がハイレベルに立ち上がった場合は再度放射線信号が入射してパイルアップが発生したと判定し(ステップS505)、カウンタC1を0にリセットしカウントアップを始めることで不感時間を延長する(ステップS507)。信号処理回路部6は、カウンタC1が不感時間τになる間に、第4の電気信号S4がハイレベルに立ち上がらない場合、カウンタC1を0にリセットし待機状態へ遷移する。その後、信号処理回路部6は、比較器5から入力される第4の電気信号S4がハイレベルになると、ピーク処理、信号処理及び信号処理停止、待機を繰り返す。
すなわち、信号処理回路部6は、第3の電気信号を時系列に取得し比較することにより放射線のピークを検出し、パイルアップが発生していない放射線のピーク時間からゼロクロスする時間が一定であることに基づいて、検出した放射線のピークの時間からゼロクロスする時間を算出し、予め取得した放射線波形がゼロレベルに落ち着くまでの波形終了時間を、検出した放射線のピークの時間から算出し、算出したゼロクロスする時間と、算出した波形終了時間との間における、第4の電気信号の変化に基づいて、放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する。
以上において説明した第3の実施形態の放射線計測装置1によれば、小型かつ演算量が少なく、エネルギーの異なる多数の放射線を高精度で測定することが可能である。また、放射線計測装置1において、パイルアップの発生を検出した時点で不感時間を延長することができ、不感時間を最小化することが可能である。
(パイルアップ判定方法の組み合わせ)
以上、本発明のパイルアップ判定方法をパイルアップ判定1から4で示した。ここで、本発明のパイルアップ判定方法は、増幅器3の出力波形がユニポーラ型であれば、パイルアップ判定1のみで実現可能である。また、本発明のパイルアップ判定方法は、増幅器3の出力波形がバイポーラ型であれば、パイルアップ判定2のみで実現可能である。ただし、パイルアップ判定2のみの場合は、信号処理回路部6のカウンタC1がτとなった時点での判定となり、τ単位で不感時間が延長される。
また、本発明のパイルアップ判定方法は、パイルアップ判定1、パイルアップ判定2、及びパイルアップ判定3を組み合わせることにより、パイルアップと判定された時点で不感時間を延長することができ、不感時間を最小化することが可能になり、また、パイルアップの検出精度を向上させることが可能である。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
1、1A・・・放射線計測装置
2・・・検出器
3・・・増幅器
4・・・アナログデジタル変換器
5・・・比較器
6・・・信号処理回路部
7・・・第2比較器

Claims (9)

  1. 放射線をアナログ信号である第1の電気信号に変換する検出器と、
    前記第1の電気信号を増幅して第2の電気信号を出力する増幅器と、
    前記第2の電気信号を一定周期でサンプリングしデジタル信号である第3の電気信号に変換するアナログデジタル変換器と、
    前記第2の電気信号の波高レベルに基づいて第4の電気信号を出力する比較器と、
    前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号に基づいて前記放射線の計測処理を行う信号処理回路部と、
    を備え、
    前記信号処理回路部は、
    前記第3の電気信号を時系列に取得し比較することにより前記放射線のピークを検出し、
    パイルアップが発生していない放射線のピーク時間からゼロクロスする時間が一定であることに基づいて、検出した前記放射線のピークの時間からゼロクロスする時間を算出し、
    算出した前記ゼロクロスする時間における前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号の少なくとも一方に基づいて前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する、
    放射線計測装置。
  2. 前記信号処理回路部は、算出した前記ゼロクロスする時間における前記第3の電気信号がゼロレベルに達しているか否かに基づいて、前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する、
    請求項1に記載の放射線計測装置。
  3. 前記信号処理回路部は、算出した前記ゼロクロスする時間における前記第4の電気信号により示される比較結果に基づいて、前記放射線にパイルアップが発生じているか否かを判定する、
    請求項1に記載の放射線計測装置。
  4. 放射線をアナログ信号である第1の電気信号に変換する検出器と、
    前記第1の電気信号を増幅し第2の電気信号を出力する増幅器と、
    前記第2の電気信号を一定周期でサンプリングしデジタル信号である第3の電気信号に変換するアナログデジタル変換器と、
    前記第2の電気信号の波高レベルに基づき第4の電気信号を出力する比較器と、
    前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号に基づいて前記放射線の計測処理を行う信号処理回路部と、
    を備え、
    前記信号処理回路部は、
    前記第3の電気信号を時系列に取得し比較することにより前記放射線のピークを検出し、
    予め取得した放射線波形がゼロレベルに落ち着くまでの波形終了時間を、検出した前記放射線のピークの時間から算出し、
    算出した前記波形終了時間における前記第3の電気信号がゼロレベルに達しているか否かに基づいて、前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定し、
    前記放射線にパイルアップが発生していると判定した場合、前記パイルアップの発生後、前記放射線の計測処理を停止とする不感時間を延長し、
    前記不感時間は、予め取得した放射線が前記検出器に入射してから前記第2の電気信号の波形がゼロレベルに落ち着くまでの時間である、
    放射線計測装置。
  5. 放射線をアナログ信号である第1の電気信号に変換する検出器と、
    前記第1の電気信号を増幅し第2の電気信号を出力する増幅器と、
    前記第2の電気信号を一定周期でサンプリングしデジタル信号である第3の電気信号に変換するアナログデジタル変換器と、
    前記第2の電気信号の波高レベルが第1閾値以上であるか否かを示す第4の電気信号を出力する第1比較器と、
    前記第2の電気信号の波高レベルが第2閾値以下であるか否かを示す第5の電気信号を出力する第2比較器と、
    前記第3の電気信号、前記第4の電気信号、及び前記第5の電気信号に基づいて前記放射線の計測処理を行う信号処理回路部と、
    を備え、
    前記信号処理回路部は、
    前記第3の電気信号を時系列に取得し比較することにより前記放射線のピークを検出し、
    予め取得した放射線波形がゼロレベルに落ち着くまでの波形終了時間を、検出した前記放射線のピークの時間から算出し、
    算出した前記波形終了時間における前記第5の電気信号に基づいて、前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する、
    放射線計測装置。
  6. 放射線をアナログ信号である第1の電気信号に変換する検出器と、
    前記第1の電気信号を増幅し第2の電気信号を出力する増幅器と、
    前記第2の電気信号を一定周期でサンプリングしデジタル信号である第3の電気信号に変換するアナログデジタル変換器と、
    前記第2の電気信号の波高レベルに基づき第4の電気信号を出力する比較器と、
    前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号に基づいて前記放射線の計測処理を行う信号処理回路部と、
    を備え、
    前記信号処理回路部は、
    前記第3の電気信号を時系列に取得し比較することにより前記放射線のピークを検出し、
    パイルアップが発生していない放射線のピーク時間からゼロクロスする時間が一定であることに基づいて、検出した前記放射線のピークの時間からゼロクロスする時間を算出し、
    予め取得した放射線波形がゼロレベルに落ち着くまでの波形終了時間を、検出した前記放射線のピークの時間から算出し、
    算出した前記ゼロクロスする時間と、算出した前記波形終了時間との間における、前記第4の電気信号の変化に基づいて、前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する、
    放射線計測装置。
  7. 前記信号処理回路部は、
    予め取得した放射線波形がゼロレベルに落ち着くまでの波形終了時間を検出した前記放射線のピークの時間から算出し、
    算出した前記ゼロクロスする時間における前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号の少なくとも一方と、算出した前記波形終了時間における前記第3の電気信号と、の双方に基づいて、前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する、
    請求項1に記載の放射線計測装置。
  8. 前記信号処理回路部は、
    パイルアップが発生していない放射線のピーク時間からゼロクロスする時間が一定であることに基づいて、検出した前記放射線のピークの時間からゼロクロスする時間を算出し、
    算出した前記ゼロクロスする時間における前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号の少なくとも一方と、算出した前記波形終了時間における前記第5の電気信号と、の双方に基づいて、前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する、
    請求項5に記載の放射線計測装置。
  9. 前記信号処理回路部は、算出した前記ゼロクロスする時間における前記第3の電気信号及び前記第4の電気信号の少なくとも一方と、算出した前記ゼロクロスする時間と算出した前記波形終了時間との間における前記第4の電気信号の変化と、の双方に基づいて、前記放射線にパイルアップが発生しているか否かを判定する、
    請求項6に記載の放射線計測装置。
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