ところで、荷台パネルのような架け渡し部材を、留め具などで固定せずに、前後の座席に対して着脱自在に配置した場合、走行時の振動などにより架け渡し部材が動いてしまう可能性があるため、架け渡し部材の安定性の向上が望まれる。
そこで、本発明は、架け渡し部材の安定性を向上させることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、架け渡し部材を取り付けやすくすることを目的とする。
また、架け渡し部材の規制面を良好に形成することを目的とする。
また、シートの美観を向上させることを目的とする。
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、着脱可能な架け渡し部材を、乗物内の第1部位との間で第1方向に架け渡した状態で支持可能な乗物用シートであって、前記架け渡し部材の端部が係合可能な係合凹部を有し、前記係合凹部は、前記架け渡し部材を架け渡し可能な状態での上下方向と前記第1方向の両方に直交する方向を第2方向として、前記架け渡し部材の前記第2方向の側面が接触可能な規制面を有することを特徴とする。
このような構成によれば、架け渡し部材を係合凹部に係合させたときに架け渡し部材の第2方向の位置を規制面により規制することができるので、架け渡し部材の安定性を向上させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記規制面は、前記架け渡し部材の前記第2方向の一方の側面が接触可能な第1規制面と、前記架け渡し部材の前記第2方向の他方の側面が接触可能な第2規制面とを含む構成とすることができる。
これによれば、架け渡し部材の第2方向の位置を、架け渡し部材の第2方向における両側に設けられた第1規制面と第2規制面により規制することができるので、架け渡し部材の安定性をより向上させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記第1規制面と前記第2規制面は、前記架け渡し部材を架け渡し可能な状態において、前記第1部位に近づくにつれて互いの間隔が大きくなっている構成とすることができる。
これによれば、係合凹部の第1部位側の幅が大きくなって、架け渡し部材を係合凹部に係合しやすくすることができるので、架け渡し部材を取り付けやすくすることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記規制面は、前記架け渡し部材の形状に合致した形状に形成された構成とすることができる。
これによれば、架け渡し部材を係合凹部に嵌め合わせることができ、架け渡し部材の第2方向の位置を規制面により安定的に規制することができるので、架け渡し部材の安定性をより向上させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記規制面は、凹凸のない、なだらかな面である構成とすることができる。
これによれば、規制面を急峻な凹凸のない比較的単純な形状の面とすることができ、架け渡し部材を係合凹部に係合しやすくすることができるので、架け渡し部材を取り付けやすくすることができる。
前記した乗物用シートは、板状フレームと、前記板状フレームを覆う表皮材と、を備え、前記板状フレームは、前記係合凹部に係合した前記架け渡し部材を下から支持する支持壁を有するフレーム凹部を有し、前記フレーム凹部は、前記係合凹部に対応した形状を有する構成とすることができる。
これによれば、板状フレームに設けられたフレーム凹部により係合凹部を形成することができるので、架け渡し部材を支持壁によりしっかりと支えることができる。これにより、架け渡し部材の安定性をより向上させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記表皮材は、前記支持壁を覆う第1表皮と、前記支持壁の周りを覆う第2表皮とを含み、前記第2表皮は、前記支持壁側の端部に、露出した第1部分と、前記第1部分の端から当該第1部分と前記第1表皮の端部との間に折り返された第2部分とを有し、前記第2部分が前記第1表皮の端部に結合された構成とすることができる。
これによれば、第1表皮と第2表皮の結合部分付近に段形状が形成され、この段形状により規制面を形成することができる。これにより、フレーム凹部とその周りを1枚の表皮材で覆って規制面を形成する場合と比較して、規制面を良好に形成することができる。また、第1表皮と第2表皮の結合部分が外部に露出しないため、シートの美観を向上させることができる。
前記した乗物用シートは、前記支持壁と前記表皮材との間に配置されたプレート部材を備え、前記第2部分は、前記第1表皮とともに前記プレート部材に結合され、前記プレート部材は、前記支持壁に固定された構成とすることができる。
これによれば、第1表皮と第2表皮の結合部分付近に形成される段形状をしっかりと保持しつつ、表皮材をプレート部材を介して板状フレームに固定することができるので、規制面をより良好に形成することができる。また、表皮材とプレート部材の結合部分が外部に露出しないため、シートの美観を向上させることができる。
前記した乗物用シートにおいて、前記支持壁は、前記架け渡し部材が配置される側と反対側に向けて凸となる補強ビードを有する構成とすることができる。
これによれば、支持壁の剛性を向上させることができるので、架け渡し部材を支持壁によりさらにしっかりと支えることができる。これにより、架け渡し部材の安定性を一層向上させることができる。
前記した乗物用シートは、第1シート部と第2シート部を備え、座るときの着座状態と、前記第2シート部が前記第1シート部の上に重なって配置される格納状態とに切替可能であり、前記係合凹部は、前記格納状態における前記第2シート部の上側の面に配置された構成とすることができる。
本発明によれば、架け渡し部材の安定性を向上させることができる。
また、規制面が第1規制面と第2規制面を含むことで、架け渡し部材の安定性をより向上させることができる。
また、第1規制面と第2規制面の間隔を第1部位に近づくにつれて大きくすることで、架け渡し部材を取り付けやすくすることができる。
また、規制面を架け渡し部材の形状に合致した形状に形成することで、架け渡し部材の安定性をより向上させることができる。
また、規制面を、凹凸のない、なだらかな面とすることで、架け渡し部材を取り付けやすくすることができる。
また、板状フレームに係合凹部に対応した形状を有するフレーム凹部を設けることで、フレーム凹部により係合凹部を形成することができ、架け渡し部材の安定性をより向上させることができる。
また、第2表皮の折り返された第2部分を第1表皮の端部に結合することで、規制面を良好に形成することができるとともに、シートの美観を向上させることができる。
また、第2部分を第1表皮とともにプレート部材に結合し、プレート部材をフレーム凹部の支持壁に固定することで、規制面をより良好に形成することができるとともに、シートの美観を向上させることができる。
また、支持壁に補強ビードを設けることで、架け渡し部材の安定性を一層向上させることができる。
以下、添付の図面を参照しながら発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)を基準とする。
図1(a)に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車に搭載される車両用シートSであり、第1シート部の一例としてのシートクッションS1と、第2シート部の一例としてのシートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えて構成されている。車両用シートSは、図1(a)に示す着座状態と、図1(b)に示す格納状態とに切替可能な構成となっている。着座状態は、シートクッションS1に対してシートバックS2が立ち上がった状態、すなわち、人が座るときの状態である。また、格納状態は、シートバックS2が前に倒れてシートクッションS1の上に重なって配置されるとともに、シートクッションS1が着座状態から前側かつ下側に移動して車体(車両)のフロアFLの近くに配置される状態である。
車両用シートSは、図2に示すようなシートフレームFを備えている。そして、シートフレームFは、シートクッションS1のフレームであるクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームであるバックフレームF2と、ヘッドレストS3のフレームであるヘッドレストフレームF3とを備えている。図1(a)および図2に示すように、シートクッションS1は、クッションパッドP1によりクッションフレームF1を覆い、さらにクッション表皮U1によりクッションフレームF1とクッションパッドP1を覆うことで構成されている。また、シートバックS2は、バックパッドP2によりバックフレームF2を覆い、さらに表皮材の一例としてのバック表皮U2によりバックフレームF2とバックパッドP2を覆うことで構成されている。パッドP1,P2は、ウレタンフォームなどからなり、表皮U1,U2は、布地や皮革などからなる。
図2に示すように、クッションフレームF1は、クッションパイプフレーム11と、左右のリアサイドフレーム12と、リアフレーム13と、パンフレーム14とを備えている。
クッションパイプフレーム11は、金属製のパイプを略U字形状に屈曲して形成したフレームであり、略前後に延びる左右のフロントサイドフレーム11Aと、左右のフロントサイドフレーム11Aの前部同士を連結するフロントフレーム11Bとを有している。
リアサイドフレーム12は、板金からなる。リアサイドフレーム12の前部には、フロントサイドフレーム11Aの後部が溶接により接続されている。
リアフレーム13は、パイプからなり、左右のリアサイドフレーム12の後部同士を連結している。
パンフレーム14は、板金からなり、クッションフレームF1の枠状の部分、具体的には、クッションパイプフレーム11、左右のリアサイドフレーム12およびリアフレーム13により形成される枠状の部分の、左右方向における中央付近に配置されている。パンフレーム14は、略前後に延び、溶接により、前端部がフロントフレーム11Bに接続され、後端部がリアフレーム13に接続されていることで、フロントフレーム11Bとリアフレーム13に架け渡された状態で設けられている。
バックフレームF2は、バックパイプフレーム21と、補強部材22と、サイドブラケット23と、板状フレームとしてのバックパネル24とを備えている。
バックパイプフレーム21は、金属製のパイプを略矩形に屈曲し、下部でパイプの端同士を溶接により接続したフレームであり、略上下に延びる左右のサイドフレーム21Aと、アッパーフレーム21Bと、ロアフレーム21Cとを有している。左右のサイドフレーム21Aは、左右方向に離間して配置されている。アッパーフレーム21Bは、左右に延びて、左右のサイドフレーム21Aの上端部同士を連結しており、ロアフレーム21Cは、左右に延びて、左右のサイドフレーム21Aの下端部同士を連結している。アッパーフレーム21Bは、パイプの一部をつぶすことにより形成された平面部21Dを有している。平面部21Dには、ヘッドレストフレームF3を取り付けるための一対のサポートブラケット25が溶接により固定されている。
補強部材22は、パイプからなり、左右のサイドフレーム21A同士を連結している。補強部材22は、左右に延び、左右の端部が溶接により左右のサイドフレーム21Aの上下方向における中央付近に接続されている。
サイドブラケット23は、板金からなり、断面視略U字形状の上下に長い長尺状に形成されている。サイドブラケット23の上部には、左右のサイドフレーム21Aの下部が溶接により接続されている。
バックパネル24は、板金からなり、前側から見て、バックパイプフレーム21と重なって配置されている。バックパネル24は、バックパイプフレーム21およびサイドブラケット23に溶接により接合されている。バックパネル24には、前側に向けて凸となり、後側から見て凹む形状をなす複数のビードや凸部が形成されている。
車両用シートSは、リンク30を備えている。リンク30は、パイプからなり、左右に並んで2つ設けられている。図3(a)に示すように、リンク30は、上端が第1軸A1を中心としてシートクッションS1に回動可能に連結され、下端が第1軸A1に平行な第2軸A2を中心として車体に回動可能に連結されている。詳しくは、クッションフレームF1の左右のフロントサイドフレーム11Aには、前後方向における中央付近にリンク取付ブラケット41が溶接により固定されている。そして、リンク30は、上端がリンク取付ブラケット41に第1軸A1を中心に前後に回動可能に連結されている。また、リンク30は、下端が車体に固定される第1固定ブラケット42に第2軸A2を中心に前後に回動可能に連結されている。リンク30は、左右方向において、フロントサイドフレーム11Aよりも内側に配置されている(図2参照)。言い換えると、左右のリンク30は、左右方向において、左右のフロントサイドフレーム11Aの間に配置されている。また、左右のリンク30は、左右に延びる連結パイプ35により連結されている。
シートクッションS1は、第1軸A1よりも後方で第1軸A1に平行な第3軸A3を中心としてシートバックS2に回動可能に連結され、シートバックS2は、第2軸A2よりも後方で第1軸A1に平行な第4軸A4を中心として車体に回動可能に連結されている。詳しくは、バックフレームF2のサイドブラケット23には、その上部に連結ブラケット43が溶接により固定されている。連結ブラケット43は、前部がサイドブラケット23から前方に突出するように設けられている。そして、シートクッションS1は、クッションフレームF1を構成するリアサイドフレーム12が連結ブラケット43の前部に第3軸A3を中心に上下に回動可能に連結されている。また、シートバックS2は、サイドブラケット23の下端が車体に固定される第2固定ブラケット44に第4軸A4を中心に前後に回動可能に連結されている。サイドブラケット23の下端部には、図示しないロック機構が配置され、着座状態のときには、シートバックS2の第4軸A4を中心とした回動が規制されている。ロック機構によるロックは、図2に示す、シートバックS2に設けられたストラップ51を上に引っ張ってロック解除機構50を作動させることで解除され、これによって、シートバックS2の第4軸A4を中心とした回動が可能となる。
図1(a)に示すように、本実施形態において、車両用シートSの右側には、車両用シートSRが左右方向に隣接して配置されている。車両用シートSRは、シートクッションSR1とシートバックSR2を備え、車両用シートSと同様に、着座状態と、図1(b)に示す格納状態とに切替可能な構成となっている。車両用シートSRは、車両用シートSと略同じ構成のクッションフレームF1とバックフレームF2(図2参照)を備え、シートクッションSR1がクッションフレームF1をクッションパッドP1およびクッション表皮U1により覆うことで構成され、シートバックSR2がバックフレームF2をバックパッドP5およびバック表皮U5により覆うことで構成されている。車両用シートSRは、ヘッドレストを備えておらず、ヘッドレストを取り付けるためのサポートブラケット25(図2参照)も備えていない。また、車両用シートSRは、ロック解除機構50(図2参照)やストラップ51が車両用シートSと左右対称に設けられている。
また、図4に示すように、本実施形態において、乗物としての車両CR(自動車)内には、車両用シートSの前側に車両用シートSA(助手席)が配置され、車両用シートSAの右側であって車両用シートSRの前側に車両用シートSD(運転席)が配置されている。すなわち、本実施形態において、車両用シートS,SRは、車両用シートSA,SDの後側の座席を構成している。車両用シートSAは、シートクッションSA1とシートバックSA2を備え、人が座るときの着座状態と、シートバックSA2が前に倒れてシートクッションSA1の上に重なって配置される格納状態とに切替可能な構成となっている。なお、車両用シートSAは、着座状態から格納状態に切り替える場合に、シートクッションSA1は動かず、シートバックSA2が前に倒れるだけの構成であってもよいし、車両用シートS,SRと同様に、シートバックSA2が前に倒れるとともに、シートクッションS1がフロアFLに近づくように前側かつ下側に移動する構成であってもよい。
格納状態の車両用シートSのシートバックS2と、格納状態の車両用シートSAのシートバックSA2との間には、架け渡し部材100が、架け渡した状態で取り付け可能となっている。別の言い方をすれば、車両用シートSは、架け渡し部材100を、車両用シートSAとの間で前後方向に架け渡した状態で支持可能な構成となっている。本実施形態において、車両用シートSAは、「乗物内の第1部位」の一例である。また、本実施形態では、前後方向が「第1方向」に相当し、左右方向が、架け渡し部材100を架け渡し可能な状態(格納状態)での上下方向と第1方向の両方に直交する方向である「第2方向」に相当する。
図5に示すように、架け渡し部材100は、略板状に形成され、車両用シートS,SAに架け渡された状態における上側から見て、左右方向の一方の側面である第1側面102と、左右方向の他方の側面である第2側面103と、前後方向の一方の側面である第3側面104と、前後方向の他方の側面である第4側面105とを有している。第1側面102および第2側面103は、後部102A,103Aが、後側に向かうにつれて左右方向内側に位置するように斜めに略まっすぐ延び、後部102A,103Aよりも前側の部分である前部102B,103Bが、前後方向に沿って略まっすぐ延びている。また、第3側面104は、第1側面102と第2側面103の一端(後端)同士をつなぐように左右方向に沿って略まっすぐ延び、第4側面105は、第1側面102と第2側面103の他端(前端)同士をつなぐように左右方向に沿って略まっすぐ延びている。図7に示すように、架け渡し部材100は、一例として、下側が開口したトレイ状のパネル部材10Aと、パネル部材10Aの内側に配置された補強材10Bとを備えて構成することができる。架け渡し部材100は、車両用シートS,SAに対し、取り付けたり、取り外したりすることができる着脱可能な構成となっており、使用しないときには車両CR内の適宜な場所に収納されている。
図5に戻り、車両用シートSは、架け渡し部材100の一端部である後端部が係合可能な係合凹部110を有している。係合凹部110は、格納状態におけるシートバックS2の上側の面(言い換えると、着座状態におけるシートバックS2の背面)に配置されている。係合凹部110は、支持面111と、第1規制面112と、第2規制面113と、第3規制面114とを有し、格納状態での上側および前側が開口している。
支持面111は、格納状態における係合凹部110の下側(底)の面であり、係合凹部110に係合した架け渡し部材100を下から支持する。
第1規制面112および第2規制面113は、架け渡し部材100の左右方向の側面が接触可能な規制面の一例である。具体的には、第1規制面112は、架け渡し部材100の第1側面102の後部102Aが接触可能な面であり、第2規制面113は、架け渡し部材100の第2側面103の後部103Aが接触可能な面である。第1規制面112と第2規制面113は、左右方向に離間し、かつ、互いに向かい合った状態で設けられている。また、第3規制面114は、架け渡し部材100の第3側面104が接触可能な面であり、第1規制面112と第2規制面113の後端同士をつなぐように設けられている。
本実施形態において、第1規制面112、第2規制面113および第3規制面114は、架け渡し部材100の形状に合致した形状に形成されている。詳しくは、格納状態における上側から見て、第1規制面112は、第1側面102の後部102Aの形状に合致した形状に形成され、第2規制面113は、第2側面103の後部103Aの形状に合致した形状に形成されている。また、第3規制面114は、第3側面104の形状に合致した形状に形成されている。具体的には、第1規制面112および第2規制面113は、後側に向かうにつれて左右方向内側に位置するように斜めに略まっすぐ延びる面として形成され、第3規制面114は、左右方向に沿って略まっすぐ延びる面として形成されている。このような構成により、第1規制面112、第2規制面113および第3規制面114は、凹凸のない、なだらかな面として形成されている。また、第1規制面112と第2規制面113は、格納状態において、車両用シートSAに近づくにつれて(前側に向かうにつれて)互いの間隔が大きくなっている。これにより、係合凹部110は、格納状態における上側から見て、シートバックS2の前縁と、第1規制面112と、第2規制面113と、第3規制面114とに囲まれる領域が略台形状をなしている。なお、本発明において、凹凸のない、なだらかな面とは、平坦な面に限定されず、例えば、係合凹部110内に向けて凸となるような曲面や、係合凹部110外に向けて凸となるような曲面であってもよい。
図6に示すように、バックパネル24は、フレーム凹部としての第1凹部245Aを有している。第1凹部245Aは、係合凹部110に対応した形状を有する凹部であり、係合凹部110は、第1凹部245Aをバック表皮U2で覆うことで形成されている。詳しくは、第1凹部245Aは、バックパイプフレーム21のアッパーフレーム21Bに向けて凹む凹部であり、格納状態におけるバックパネル24の前端部に形成されている。格納状態における上側から見て、第1凹部245Aは、上側および前側が開口しており、左右の面が後側に向かうにつれて左右方向内側に位置するように延びている。第1凹部245Aは、後側の面が左右方向に沿って延び、バックパネル24の前縁と、左右の面と、後側の面とに囲まれる領域が略台形状をなしている。
第1凹部245Aは、格納状態における第1凹部245Aの下側(底)の壁である支持壁245Cを有している。支持壁245Cは、係合凹部110に係合した架け渡し部材100を下から支持する(図7参照)。バックパネル24は、支持壁245Cがアッパーフレーム21Bの複数箇所に溶接により接続されている(溶接部W1参照)。支持壁245Cは、補強ビード245Bと、複数の係合孔245Dとを有している。補強ビード245Bは、支持壁245Cの、架け渡し部材100が配置される側と反対側、具体的には、格納状態における下側に向けて凸となるビードであり、アッパーフレーム21Bと接続される部分の、格納状態における後側に設けられている。補強ビード245Bは、左右方向に延びている。係合孔245Dは、前後方向において、支持壁245Cの、アッパーフレーム21Bと接続される部分と、補強ビード245Bとの間に設けられている。係合孔245Dは、4つが左右方向に並んで配置されている。
図7および図8に示すように、バック表皮U2は、バックパネル24の背面を覆う第1表皮81および第2表皮82と、バックフレームF2の格納状態における前側部分を覆う第3表皮83とを含む。第1表皮81は、バックパネル24に設けられた第1凹部245Aの支持壁245Cを覆い、第2表皮82は、支持壁245Cの左右の端部および後端部を含む支持壁245Cの周りの部分を覆っている。第2表皮82は、支持壁245C側の端部、具体的には、支持壁245Cの左右の端部および後端部と対向する端部に、第1部分82Aと、第2部分82Bとを有している。第1部分82Aは、支持壁245Cの周りで外部に露出している。第2部分82Bは、図7に示すように、第1部分82Aの端から第1部分82Aと第1表皮81の後端部との間に向けて折り返されている。また、第2部分82Bは、図8に示すように、第1部分82Aの端から第1部分82Aと第1表皮81の左右の端部との間に向けて折り返されている。第2部分82Bは、第1部分82Aの裏側に配置されているため、外部に露出していない。第2部分82Bは、第1表皮81の左右の端部および後端部に縫合により結合されている。
第1部分82Aと第2部分82Bの間には、芯部材85が配置されている。第2表皮82の端部(第1部分82Aおよび第2部分82B)は、芯部材85に巻き付くように配置されている。芯部材85は、オレフィン系樹脂などの樹脂からなり、支持壁245Cの左右の端部および後端部に沿って連続して延びるU字形状に形成されている(図5参照)。第1表皮81の左右の端部および後端部と、第2表皮82の第2部分82Bとは、芯部材85に縫合により結合されている。
また、支持壁245Cとバック表皮U2との間には、バック表皮U2よりも硬いプレート部材90が配置されている。プレート部材90は、樹脂などからなる板状の部材であり、略台形状の支持壁245Cに対応した形状を有している。プレート部材90は、支持壁245Cの係合孔245Dと対応する箇所に形成された複数の貫通孔91を有している。貫通孔91には、ピン状のクリップ95が配置されている。第2表皮82の第2部分82Bは、第1表皮81の左右の端部および後端部とともにプレート部材90の左右の端部および後端部に縫合により結合されている。また、プレート部材90は、貫通孔91に配置されたクリップ95を支持壁245Cに設けられた係合孔245Dに係合することで、支持壁245Cに固定されている。これにより、第1表皮81および第2表皮82は、プレート部材90を介して支持壁245Cに固定されている。
第1表皮81、第2表皮82、芯部材85およびプレート部材90を結合する場合は、一例として、まず、第1表皮81の端部と第2表皮82の第2部分82Bを仮縫いして仮固定する。次に、プレート部材90の貫通孔91にクリップ95を配置した後、第1表皮81を、プレート部材90を覆うように配置し、第1表皮81の端部と第2表皮82の第2部分82Bをプレート部材90の端部に縫合する。そして、第2部分82Bに沿うように略U字形状の芯部材85を配置し、第1表皮81の端部と、第2表皮82の第2部分82Bと、プレート部材90の端部を芯部材85に縫合する。第1部分82Aに対し第2部分82Bを折り返すと、縫合部分付近の第1表皮81と第2表皮82との間に段形状が形成され、この段形状により規制面112~114が形成される。バック表皮U2は、プレート部材90とともにバックパッドP2で覆われたバックフレームF2に被せられ、クリップ95をバックパネル24の係合孔245Dに係合することで支持壁245Cに固定される。
図1(a)に示すように、車両用シートSの右側に配置された車両用シートSRは、前述したとおり、シートバックSR2がバックフレームF2(図2参照)をバックパッドP5およびバック表皮U5により覆うことで構成されているが、図1(b)に示すように、シートバックSR2には、架け渡し部材100の端部が係合可能な係合凹部は設けられていない。詳しくは、図9に示すように、車両用シートSRは、バックパネル24の第1凹部245AがバックパッドP5の一部により埋められていることで、バック表皮U5で覆ったときに、外観上、係合凹部がない構成となっている。
図5に示すように、車両用シートSの前側に配置された車両用シートSAは、架け渡し部材100の他端部である前端部が係合可能な係合凹部120を有している。係合凹部120は、格納状態におけるシートバックSA2の上側の面に配置されている。係合凹部120は、架け渡し部材100を下から支持する支持面121と、架け渡し部材100の第1側面102の前部102Bが接触可能な第1規制面122と、架け渡し部材100の第2側面103の前部103Bが接触可能な第2規制面123と、架け渡し部材100の第4側面105が接触可能な第4規制面125とを有し、格納状態での上側および後側が開口している。これにより、車両用シートSAは、架け渡し部材100を、車両用シートSとの間で前後方向に架け渡した状態で支持可能な構成となっている。すなわち、本実施形態においては、車両用シートSAも発明に係る乗物用シートとして構成されており、車両用シートSAを基準として見ると、車両用シートSが「乗物内の第1部位」に相当する。
次に、本実施形態に係る車両用シートSの作用効果について説明する。
図3(a)に示す着座状態からロック解除機構50(図2参照)を操作してシートバックS2のロックを解除し、シートバックS2をシートクッションS1に対して前に倒していくと、バックフレームF2が第4軸A4を中心に前側に回動する。これにより、第3軸A3が第4軸A4を中心に前側に回動し、クッションフレームF1が前側に移動していく。また、クッションフレームF1が前側に移動すると、第1軸A1が第2軸A2を中心に前側かつ下側に回動することで、リンク30が第2軸A2を中心に前へ倒れるように回動し、クッションフレームF1が前側かつ下側に移動する。そして、図3(b)に示すように、シートバックS2がシートクッションS1の上に重なると、車両用シートSは、格納状態に切り替わる。
一方、格納状態からシートバックS2をシートクッションS1に対して起こしていくと、バックフレームF2が第4軸A4を中心に上側に回動する。これにより、第3軸A3が第4軸A4を中心に上側に回動し、クッションフレームF1が上側に移動していく。また、クッションフレームF1が上側に移動すると、第1軸A1が第2軸A2を中心に上側かつ後側に回動することで、リンク30が第2軸A2を中心に立ち上がるように回動し、クッションフレームF1が上側かつ後側に移動する。そして、図3(a)に示すように、シートバックS2がシートクッションS1に対して所定の角度で立ち上がると、シートバックS2がそれ以上後ろに倒れないようにロック機構が作用し、車両用シートSは、着座状態に切り替わる。
架け渡し部材100を取り付ける場合には、車両用シートSを格納状態に切り替えるとともに、車両用シートSAもシートバックSA2を前に倒した格納状態に切り替える(図4参照)。そして、図7に示すように、架け渡し部材100を、シートバックS2に設けられた係合凹部110の支持面111およびシートバックSA2に設けられた係合凹部120の支持面121の上に置くように配置して、その後端部を係合凹部110に係合させるとともに、前端部を係合凹部120に係合させる。これにより、架け渡し部材100が車両用シートS,SAの間に架け渡された状態で取り付けられ、シートバックS2の背面、架け渡し部材100の上面およびシートバックSA2の背面により連続した荷台を形成することができる。架け渡し部材100を取り外す場合には、架け渡し部材100を持ち上げて、架け渡し部材100の前後の端部と係合凹部110,120との係合を解除する。取り外された架け渡し部材100は、車両CR内の適宜な場所に収納される。
本実施形態によれば、図8に示すように、架け渡し部材100を係合凹部110に係合させたときに、架け渡し部材100の左右方向の位置を規制面112,113により規制することができる。また、図7および図8に示すように、架け渡し部材100の前後方向の位置を規制面114,125により規制することができる。これにより、着脱可能な架け渡し部材100の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態では、規制面として、架け渡し部材100の第1側面102が接触可能な第1規制面112と、第2側面103が接触可能な第2規制面113とを含むので、架け渡し部材100の左右方向の位置を、架け渡し部材100の左右方向における両側に設けられた第1規制面112と第2規制面113により規制することができる。また、架け渡し部材100の第3側面104が接触可能な第3規制面114と、第4側面105が接触可能な第4規制面125とを有するので、架け渡し部材100の前後方向の位置を、架け渡し部材100の前後方向における両側に設けられた第3規制面114と第4規制面125により規制することができる。これにより、架け渡し部材100の安定性をより向上させることができる。
また、第1規制面112と第2規制面113は、前側に向かうにつれて互いの間隔が大きくなっているので、係合凹部110の車両用シートSA側(前側)の幅が大きくなって、架け渡し部材100を係合凹部110に係合しやすくすることができる。これにより、架け渡し部材100をシートバックS2に取り付けやすくすることができる。
また、規制面112,113が架け渡し部材100の形状に合致した形状に形成されているので、架け渡し部材100を係合凹部110に嵌め合わせることができ、架け渡し部材100の左右方向の位置を規制面112,113により安定的に規制することができる。これにより、架け渡し部材100の安定性をより向上させることができる。
また、規制面112,113が凹凸のない、なだらかな面であるので、規制面112,113を急峻な凹凸のない比較的単純な形状の面とすることができ、架け渡し部材100を係合凹部110に係合しやすくすることができる。これにより、架け渡し部材100をシートバックS2により取り付けやすくすることができる。
また、バックパネル24に設けられた第1凹部245Aが係合凹部110に対応した形状を有するので、第1凹部245Aにより係合凹部110を形成することができる。これにより、架け渡し部材100をバックパネル24の支持壁245Cによりしっかりと支えることができるので、架け渡し部材100の安定性をより向上させることができる。
また、本実施形態では、格納状態における支持壁245Cの下側にバックパイプフレーム21を構成するアッパーフレーム21Bが配置され、支持壁245Cがアッパーフレーム21Bに接続されているので、支持壁245Cおよび架け渡し部材100をアッパーフレーム21Bによりしっかりと支えることができる。これにより、架け渡し部材100の安定性を一層向上させることができる。
また、バック表皮U2を構成する第2表皮82の、折り返された第2部分82Bが第1表皮81の端部に結合されているので、第1表皮81と第2表皮82の結合部分付近に段形状が形成され、この段形状により規制面112~114を形成することができる。これにより、バックパネル24の第1凹部245Aとその周りを1枚のバック表皮で覆って規制面を形成する場合と比較して、規制面112~114を良好に形成することができる。また、第1部分82Aの裏側に折り返された第2部分82Bと、第2表皮82で覆われる第1表皮81の端部とが結合されていることで、第1表皮81と第2表皮82の縫合部分(結合部分)が外部に露出しないため、車両用シートSの美観を向上させることができる。
また、第2部分82Bが第1表皮81の端部とともにバック表皮U2よりも硬いプレート部材90に結合され、プレート部材90が支持壁245Cに固定されているので、プレート部材90を備えない場合と比較して、第1表皮81と第2表皮82の結合部分付近に形成される段形状をしっかりと保持しつつ、バック表皮U2をプレート部材90を介してバックパネル24に固定することができる。これにより、規制面112~114をより良好に形成することができる。また、第1部分82Aの裏側に折り返された第2部分82Bとプレート部材90とが結合されていることで、バック表皮U2とプレート部材90の縫合部分が外部に露出しないため、車両用シートSの美観を向上させることができる。
また、架け渡し部材100を支える支持壁245Cが補強ビード245Bを有するので、支持壁245Cの剛性を向上させることができ、架け渡し部材100を支持壁245Cによりさらにしっかりと支えることができる。これにより、架け渡し部材100の安定性を一層向上させることができる。
以上、発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、バック表皮U2がプレート部材90を介して支持壁245C(バックパネル24)に固定されていたが、これに限定されず、車両用シートは、プレート部材を備えずに、バック表皮がバックパネルに直接固定されていてもよい。
また、前記実施形態では、乗物内の第1部位として、車両用シートSの前側に配置された車両用シートSAを例示したが、これに限定されない。例えば、図10(c)に示すように、第1部位は、車両用シートSLと左右に並んで配置された車両用シートSRであってもよい。当該形態では、一例として、図10(a)示すように、車両用シートSLと、車両用シートSLの右側に離間して配置された車両用シートSRと、車両用シートSLと車両用シートSRの間に配置された車両用シートSCとにより車両用シートSD,SAの後側の座席が構成されている。架け渡し部材100Aを取り付ける場合には、図10(b)に示すように、車両用シートSL,SC,SRを、シートバックを前に倒した格納状態に切り替え、車両用シートSCを前側(車両用シートSDと車両用シートSAの間)に移動させる。そして、図10(c)に示すように、架け渡し部材100Aを、車両用シートSL,SRに設けられた係合凹部110Aに係合し、車両用シートSLと車両用シートSRとの間に架け渡した状態で取り付ける。係合凹部110Aは、架け渡し部材100Aの前後方向の側面が接触可能な規制面114A,115Aを有し、規制面114A,115Aにより架け渡し部材100Aの前後方向の位置を規制することができる。なお、本形態では、車両用シートSL,SRのそれぞれが発明に係る乗物用シート(係合凹部を有する乗物用シート)に相当する。また、本形態では、左右方向が「第1方向」に相当し、前後方向が「第2方向」に相当する。
また、乗物内の第1部位は、車両用シートに限定されず、例えば、車両内の後ろの壁や左右の壁などに設けられた部位であってもよい。一例として、図11(a)は、車両用シートSB(後部座席)の後方に設けられた荷室を形成する左右の壁に、第1部位としての車体側支持部131を設けた構成を示している。図11(b)に示すように、架け渡し部材100Bを取り付ける場合には、車両用シートSBを、シートバックSB2を前に倒してシートクッションSB1の上に重ねて配置した格納状態に切り替え、架け渡し部材100Bを、シートバックSB2に設けられた係合凹部110Bと車体側支持部131に係合し、車両用シートSBと車体側支持部131との間に架け渡した状態で取り付ける。係合凹部110Bは、架け渡し部材100Bの左右方向の側面が接触可能な規制面112B,113Bを有し、規制面112B,113Bにより架け渡し部材100Bの左右方向の位置を規制することができる。
また、前記実施形態では、車両用シートSは、第1シート部がシートクッションS1であり、格納状態のときに第1シート部の上に重なって配置される第2シート部がシートバックS2であったが、これに限定されない。例えば、図12(a)に示すように、車両用シートSHは、第1シート部がシートバックS12であり、第2シート部がシートクッションS11であってもよい。当該形態では、一例として、車両用シートSHは、シートバックS12が第5軸A5を中心としてシートクッションS11に対し回動可能に設けられ、シートクッションS11が第5軸A5に平行な第6軸A6を中心として車体に回動可能に設けられている。図12(a)に示す着座状態から格納状態に切り替える場合には、シートバックS12を前に回動させて倒し、シートクッションS11の上に重ねる。そして、シートクッションS11を後ろに回動させて反転し、図12(b)に示すように、車体に設けられたシート格納部B1に格納する。車両用シートSHは、図12(b)に示す格納状態において、シートクッションS11がシートバックS12の上に重ねて配置される。架け渡し部材100Cを取り付ける場合には、車両用シートSHを格納状態とし、架け渡し部材100Cを、格納状態におけるシートクッションS11の上側の面に配置された係合凹部110Cと車体側支持部132に係合し、車両用シートSHと車体側支持部132との間に架け渡した状態で取り付ける。係合凹部110Cは、架け渡し部材100Cの左右方向の側面が接触可能な図示しない左右の規制面を有し、当該左右の規制面により架け渡し部材100Cの左右方向の位置を規制することができる。
また、図13(a)に示すように、第1シート部は、左右に隣接して配置された一対の車両用シートの一方(車両用シートSR)であり、第2シート部は、一対の車両用シートの他方(車両用シートSL)であってもよい。当該形態では、一例として、車両用シートSR,SLの二点鎖線で示すシートバックを後ろに倒した上で、図13(b)に示すように、車両用シートSLが車両用シートSRの上に重なって配置される格納状態に切替可能に構成されている。架け渡し部材100Dを取り付ける場合には、車両用シートSR,SLのシートバックを後ろに倒し、車両用シートSLを格納状態とし、架け渡し部材100Dを、車両用シートSLに設けられた係合凹部110Dと、車両CR内の左右の壁に設けられた車体側支持部133に係合し、車両用シートSLと車体側支持部133との間に架け渡した状態で取り付ける。係合凹部110Dは、架け渡し部材100Dの前後方向の側面が接触可能な図示しない前後の規制面を有し、当該前後の規制面により架け渡し部材100Dの前後方向の位置を規制することができる。
また、前記実施形態では、車両用シートSは、格納状態のときに架け渡し部材100を取付可能な構成であったが、これに限定されない。例えば、車両用シートは、格納状態のときではなく、着座状態のときに架け渡し部材を取付可能な構成であってもよい。一例として、車両用シートは、シートクッションの後側の側面に係合凹部を有し、後側に配置された第1部位との間で架け渡し部材を架け渡した状態で支持可能な構成としてもよい。また、車両用シートは、着座状態と格納状態の両方で架け渡し部材を取付可能な構成であってもよい。この場合、車両用シートは、係合凹部を複数有する構成であってもよい。一例として、係合凹部は、第1シート部と第2シート部の両方に設けられていてもよい。また、車両用シートは、着座状態のときに架け渡し部材を取付可能な場合には、着座状態と格納状態とに切り替えできない構成、一例として、シートクッションおよびシートバックが車体に固定されて動かない構成であってもよい。
また、前記実施形態では、バック表皮U2(表皮材)が第1表皮81と第2表皮82を含み、第2表皮82の折り返された第2部分82Bが第1表皮81の端部に結合されることで、結合部分付近の段形状により規制面112~114が形成される構成であったが、これに限定されない。例えば、係合凹部を、シートバックの背面に配置された、樹脂などからなるバックボードの表面に設け、この係合凹部の、架け渡し部材の第2方向の側面が接触可能な面を規制面としてもよい。
また、前記実施形態では、規制面が第1規制面112と第2規制面113とを含む構成、言い換えると、係合凹部110が架け渡し部材100の左右方向(第2方向)における両側に規制面112,113を有する構成であったが、これに限定されない。例えば、架け渡し部材の第2方向の一方の側面が車両内の壁などに接触可能であって、架け渡し部材の位置を当該壁などにより規制できるのであれば、係合凹部は、架け渡し部材の第2方向における片側だけに規制面を有する構成であってもよい。また、前記実施形態では、規制面112,113が凹凸のない、なだらかな面であったが、これに限定されず、例えば、架け渡し部材の側面に形成された凸部および/または凹部と係合可能な凹凸を有する面であってもよい。また、前記実施形態では、規制面112,113が架け渡し部材100の形状に合致した形状に形成されていたが、これに限定されず、架け渡し部材100の側面と接触可能な部分を有する面であれば、架け渡し部材の形状と異なる形状であってもよい。
また、前記実施形態では、係合凹部110がバックパネル24に設けた第1凹部245Aをバック表皮U2で覆うことで形成されていたが、これに限定されない。例えば、バックフレームを覆うバックパッドに係合凹部に対応した形状を有する凹部を形成し、当該凹部をバック表皮で覆うことで係合凹部が形成される構成であってもよい。この場合、バックパネルは、第1凹部(フレーム凹部)が設けられていない構成であってもよい。また、架け渡し部材を、例えば、パイプフレームなどで支持することができるのであれば、車両用シートは、バックパネル(板状フレーム)を備えない構成であってもよい。
また、前記実施形態では、架け渡し部材100が略板状の部材であったが、これに限定されず、例えば、棒状の部材や、網状の棚板のような部材などであってもよい。
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。