JP7087591B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ワンピースゴルフボールもしくはコアと1層または複数層のカバーを有するゴルフボール、特に練習用ゴルフボールに好適に採用されるゴルフボールに関する。
特開2012-228452号公報には、練習用ゴルフボールのコアのゴム組成物にメタクリル酸亜鉛を用いる場合、十分な耐久性を確保できないため、代わりにメタクリル酸を用いた配合が提案されている。しかしながら、メタクリル酸は酸として金属を腐食させる力を持つため、製造設備を設計する上で耐酸仕様にしなければならないなど、高額な設備投資を必要とする。また、プロセス上でも安全に配慮しなくてはならず、非常に生産への負担が大きい。
特開平10-85367号公報には、ゴルフボール用ゴム組成物に存在する水分を極力減らすことにより、コア反発性の低下を抑制する技術が提案されている。
また、特開2002-102388号公報には、練習用のゴルフボールの反発性を廉価(安価)に落とすための手段の一つとして、ゴム組成物に吸湿させた粉末ゴムを添加する試みがなされている。
上記の先行技術は、反発を低減させる方法、及び高い耐久性を保持するための手法については言及している。しかしながら、上記の先行技術には、生産設備への負担を低減して良好な生産性を確保することができることは何ら言及していない。
特開2012-228452号公報 特開平10-85367号公報 特開2002-102388号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、非常に高い耐久性を保持し、経時的に反発性の低下が少なく、更には、生産設備への負担を低減し、良好な生産性を確保することができるゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、コアを、(A)基材ゴム、(B)有機過酸化物、(C)水、(D)メタクリル酸金属塩、及び(E)酸化亜鉛の(A)~(E)成分を配合したゴム組成物の加熱成形物を採用することにより、割れ難く、経時的な反発の低下が少ないコア材料を、大きな設備投資を必要とせず、安全に得る方法を見出した。そして、これらのコア材料を、ワンピースゴルフボール全体、もしくはゴルフボールのコアに適用した場合、そのゴルフボールは耐久性に優れ、長期使用で物性の変化が生じ難いものであることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
1.ワンピースゴルフボール、もしくはコアと1層または複数層のカバーを有するゴルフボールにおいて、上記ワンピースゴルフボール又はコアが下記(A)~(E)成分
(A)基材ゴム
(B)有機過酸化物
(C)水
(D)メタクリル酸金属塩
(E)酸化亜鉛
を配合するゴム組成物の加熱成形物により形成されるものであり、且つ、(D)成分の配合量が(A)成分の100質量部に対して30~45質量部であり、(C)及び(D)成分のモル比(C)/(D)が、下記式
0.9<(C)/(D)<1.1
を満たすと共に、上記コアの初速度V0が、72.0m/s以上75.0m/s以下であることを特徴とするゴルフボール。
2.成形後のゴルフボールにおいて、カバーを剥がした後に測定したコア初速をV0とし、該V0の測定から60日後に測定したコア初速をV60とするとき、(V0-V60)≦0.8が成立する上記1記載のゴルフボール。
3.上記コアの表面硬度から中心硬度を引いたJIS-C硬度差の値が4以上20以下である上記1又は2記載のゴルフボール。
4.1層または複数層のカバーを有するゴルフボールであって、少なくとも一つのカバー層がウレタン樹脂を主材として形成される上記1~3のいずれかに記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールは、経時的に反発性の低下が少なく、非常に高い耐久性を保持し、更に生産において設備への負担が小さく、良好な生産性を確保することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明は、ワンピースゴルフボール、もしくはコアと1層または複数層のカバーを有するゴルフボールにおいて、上記ワンピースゴルフボール又はコアが下記(A)~(E)成分
(A)基材ゴム
(B)有機過酸化物
(C)水
(D)メタクリル酸金属塩
(E)酸化亜鉛
を配合するゴム組成物の加熱成形物により形成される。
上記(A)成分の基材ゴムについては、特に制限されるものではないが、特にポリブタジエンを用いることが好適である。
上記のポリブタジエンは、そのポリマー鎖中に、シス-1,4-結合を60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上有することが好適である。ポリブタジエン分子中の結合に占めるシス-1,4-結合が少なすぎると、反発性が低下する場合がある。
また、上記ポリブタジエンに含まれる1,2-ビニル結合の含有量としては、そのポリマー鎖中に、通常2%以下、好ましくは1.7%以下、更に好ましくは1.5%以下である。1,2-ビニル結合の含有量が多すぎると、反発性が低下する場合がある。
上記ポリブタジエンは、(ML1+4(100℃))が、好ましくは20以上、より好ましくは30以上であり、上限としては、好ましくは120以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは80以下である。
なお、本発明でいうムーニー粘度とは、回転可塑度計の1種であるムーニー粘度計で測定される工業的な粘度の指標(JIS K6300)であり、単位記号としてML1+4(100℃)を用いる。また、Mはムーニー粘度、Lは大ロータ(L型)、1+4は予備加熱時間1分間、ロータの回転時間は4分間を示し、100℃の条件下にて測定したことを示す。
上記ポリブタジエンは、希土類元素系触媒やVIII族金属化合物触媒を用いて合成したものを使用することができ、本発明では特に希土類元素系触媒で合成したものを好適に使用することができる。また、必要に応じてこれらの触媒に有機アルミニウム化合物、アルモキサン、ハロゲン含有化合物及びルイス塩基等を組み合せて使用することも任意である。本発明において、上記で例示した各種化合物は、特開平11-35633号公報に記載されているものを好適に使用することができる。
上記希土類元素系触媒の中でも、特にランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が推奨され、この場合、1,4-シス結合が高含量、1,2-ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得ることができる。
なお、基材ゴム中には、上記ランタン系希土類元素化合物とは異なる触媒にて合成されたポリブタジエンゴムを配合してもよい。また、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等を配合してもよく、これら1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
次に、本発明に用いられる(B)有機過酸化物としては、特に制限されるものではないが、1分間半減期温度が110~185℃である有機過酸化物を用いることが好適であり、1種または2種以上の有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物の配合量としては、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限値としては、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。上記の有機過酸化物は、市販品を用いることができ、具体的には、商品名「パークミルD」、「パーヘキサC-40」、「ナイパーBW」、「パーロイルL」等(いずれも日油社製)、または、Luperco 231XL(アトケム社製)などを例示することができる。
本発明では、(C)成分として、コア材料に直接的に水(水を含む材料も含む。)を配合することにより、コア配合中のメタクリル酸亜鉛の一部がイオン化し、その状態から加硫反応を開始させることで、より強靭な加硫物を得ることができる。なお、水は有機過酸化物の分解を促進する性質も持っており、高い温度で加硫し過ぎると、分解したラジカル量が多くなりすぎてしまい、ラジカル同士で再結合や不活性化してしまうことになる。その結果、架橋に有効に働くラジカルが減ることになる。コア表面付近は加硫モールドの温度とほぼ同程度を維持しているが、コア中心付近は外側から分解していった有機過酸化物の分解熱が蓄積されるため、モールド温度よりもかなり高温になり、水による有機過酸化物の分解が助長され、通常のコア配合よりもコア中心の硬度が軟らかくなり易い。なお、必要以上の内外硬度差を有するコアは耐久性には不利なため、適切な温度で加硫を制御する必要がある。
(C)成分の水については、特に制限はなく、蒸留水であっても水道水であってもよいが、特には、不純物を含まない蒸留水を使用することが好適に採用される。水の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは2質量部以上であり、上限としては、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは3.5質量部以下である。上記ゴム組成物の水添加量が少なすぎると、初速を低く抑えることができず、多すぎると、コアが軟らかくなりすぎてしまい、必要以上にコア初速が低下し、耐久性に悪影響を及ぼす場合がある。
上記ゴム組成物に水を直接配合することも可能ではあるが、下記の(i)~(iii)の方法を採用することができる。
(i)スチームや超音波によりミスト状の水をゴム組成物(配合材料)の全部または一部にあてる方法
(ii)ゴム組成物の全部または一部を水に浸漬させる方法
(iii)ゴム組成物の全部または一部を恒湿槽等の湿度管理可能な場所において高湿度環境下に一定時間放置する方法
なお、高湿度環境とはゴム組成物等を湿らせることができる環境であれば特に制限されるものではないが湿度40~100%であることが好ましい。
また、水をゼリー状に加工して上記ゴム組成物に配合することができる。或いは、予め水を、充填剤,未加硫ゴム,ゴム粉等に担持した材料を用い、これを上記ゴム組成物に配合することができる。このような態様は、直接水を配合するよりも作業性に優れるため、ゴルフボールの生産効率を向上させることができる。水を所定量含有させた材料の種類については特に制限はないが、十分に水を含有させた充填剤、未加硫ゴム、ゴム粉等が挙げられ、特に、耐久性や反発性を損なうことがない材料を使用することが好適である。上記の材料の水分含有量としては、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、上限として、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
上記ゴム組成物において、上述した(A)~(C)成分のほかに、(D)メタクリル酸金属塩及び(E)酸化亜鉛を配合する。必要に応じて、老化防止剤等の他の配合剤を配合することができる。これらの成分について以下に詳述する。
(D)メタクリル酸金属塩
不飽和カルボン酸の金属塩は共架橋剤の一種として用いられるが、本発明においては、α,β-不飽和カルボン酸としてメタクリル酸を用い、金属塩の金属としては亜鉛を用いる。
上記(D)成分のメタクリル酸亜鉛は、平均粒度3~30μmを有することが好ましく、より好ましくは5~25μm、更に好ましくは8~15μmである。メタクリル酸亜鉛の平均粒度が3μm未満では、ゴム組成物中で凝集しやすく、平均粒度が30μmを超えると、共架橋剤粒子が大きくなり過ぎてしまい、得られるゴルフボールの特性のバラツキが大きくなる。上記(D)成分のメタクリル酸亜鉛の配合量については、基材ゴム100質量部に対して、30~45質量部である。上記配合量が上記範囲より少ないと、耐久性が悪くなったり軟らかくなり過ぎ、上記範囲より多いと、耐久性が悪くなったり硬くなり過ぎて打球感が悪くなる。
上記(C)成分及び(D)成分のモル比(C)/(D)については、下記式
0.9<(C)/(D)<1.1
であることが必要とされる。このモル比が上記範囲を逸脱すると、ゴルフボールの耐久性が悪くなる。
(E)酸化亜鉛
不活性充填剤の一種として、本発明では、酸化亜鉛を用いる。なお、本発明では酸化亜鉛を必須で、それ以外の不活性充填剤、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機充填剤を任意に併用することができる。(E)成分である酸化亜鉛の配合量としては、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、上限としては、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、最も好ましくは15質量部以下である。
本発明では、老化防止剤を必要に応じてゴム組成物に配合することができ、例えば、ノクラックNS-6、同NS-30、同200(大内新興化学工業社製)等の市販品を採用することができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。老化防止剤の配合量については、特に制限はないが、基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.15質量部以上とすることができる。また、その上限は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下とすることができる。老化防止剤の配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると、適正なコア硬度傾斜が得られずに好適な反発性、耐久性及びフルショット時の低スピン効果を得ることができない場合がある。
本発明におけるコアは、上述したゴム組成物を、公知のゴルフボール用ゴム組成物と同様の方法で加硫・硬化させることによって得ることができる。加硫条件としては、例えば、加硫温度140~200℃、好ましくは150~180℃であり、加硫時間5~40分にて実施する条件が挙げられる。
コアの直径としては、好ましくは30mm以上、より好ましくは33mm以上、更に好ましくは35mm以上であり、上限として、好ましくは41mm以下、より好ましくは40.5mm以下、更に好ましくは40mm以下とすることが推奨される。上記の直径よりも小さすぎると、十分な反発性を得ることができないことがある。また、上記の値よりも大きすぎると、十分な低スピン効果が得られないなど、カバーにて付与される効果を得ることができないことがある。なお、ワンピースゴルフボールの場合にはゴルフボールのルールに従い、42.67mm以上とし、上限は45mm程度が常識的ではあるが、特に制限されるものではない。
また、上記コア(加熱成形物)における初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷した時のたわみ量については、好ましくは2.3mm以上、より好ましくは2.4mm以上であり、上限としては、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.4mm以下であることが推奨される。上記の値よりも大きすぎると、コアが軟らかくなりすぎるため、反発性が低下し、芯のない打感となり、上記の値よりも小さすぎると、硬い打感となり、練習で繰返し多く打撃した場合に手に負担がかかることになる。
次に、コアの硬度について説明する。
コアの中心硬度については、特に制限はないが、JIS-C規格で、好ましくは45以上、より好ましくは50以上であり、上限値としては、好ましくは70以下、より好ましくは65以下である。コアの中心硬度が上記範囲を逸脱すると、打感が悪くなり、または耐久性が低下してしまう場合がある。
コアの表面硬度については、特に制限はないが、JIS-C規格で、好ましくは65以上、より好ましくは70以上、上限値としては、好ましくは90以下、さらに好ましくは85以下である。コアの表面硬度が上記範囲よりも高すぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなる。
コア表面硬度からコア中心硬度を引いたJIS-C硬度差[(コアの表面硬度)-(コア中心硬度)]の値については、割れ耐久性に影響があるため、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、上限としては、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。上記硬度差の値は大きすぎると、ゴルフボールを繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなる。ここで、上記の中心硬度とは、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心において測定される硬度を意味し、表面硬度は上記コアの表面(球面)において測定される硬度を意味する。また、JIS-C硬度とは、JIS K 6301-1975に規定するスプリング式硬度計(JIS-C形)で測定された硬度を意味する。
コアにカバー材料を成形したボールからカバーを取り除いた後に計測したコアの初速をV0とし、該V0の測定日から60日後に測定したコア初速をV60とするとき、V0は、72.0m/s以上であり、上限値としては、75.0m/s以下であり、好ましくは74.0m/sである。また、V60は、V0よりも著しく低くならないことが好ましい。なお、練習用ゴルフボールとしては、72.0~75.0m/sの範囲内にコア初速を調整することが好ましい。ワンピースゴルフボールも同様である。
0-V60の値については、下記式
0-V60<0.9
が成立することが好適であり、より好適には、
0-V60<0.8
を満足することである。
本発明においては、コアに水分がバランスよく配合されている場合、コアが大気に直接に触れていても湿度による影響を受けにくく、コア初速の変化を抑制することができる。
なお、上記のコアの初速は、R&Aの承認する装置であるUSGAのドラム回転式の初速計と同方式の初速測定器を用いて測定することができる。この場合、コアは23±1℃の温度で3時間以上温度調節し、室温23±2℃の部屋でテストすることができる。
上記コアを300℃で加熱したとき、揮発ガス中にメタクリル酸が含まれないことが好適である。即ち、コア加硫時には、コア中心付近の温度は250℃程度になることがあり、この温度付近でのメタクリル酸が検出されないことが好適である。メタクリル酸は酸として金属を腐食させる力を持つため、メタクリル酸が検出されなければ、耐酸仕様の設備を設ける必要がなく、工業的に有利である。
次に、コアを被覆する1層または複数層のカバーについて説明する。
カバー材料については、特に制限はないが、ゴルフボールに用いられている各種のアイオノマー樹脂、熱可塑性ウレタンエラストマー等のポリウレタン樹脂などの材料を使用することができる。カバーのうち最外層の材料としては、耐久性の面からポリウレタン樹脂、特に熱可塑性ウレタンエラストマーを主材とすることが好適である。
本発明におけるカバーを得るには、例えば、ボールの種類に応じて予め作製した単層又は2層以上の多層コアを金型内に配備し、上記混合物を加熱混合溶融し、射出成形することにより、コアの周囲に所望のカバーを被覆する方法等を採用できる。この場合、カバーの製造は、優れた熱安定性、流動性、成形性が確保された状態で作業でき、これにより、最終的に得られたゴルフボールは、反発性が高く、そのうえ、打感が良く、耐久性や耐擦過傷性に優れている。また、カバーの形成方法は、上記のほかに、例えば、本発明のカバー材により予め一対の半球状のハーフカップを成形し、このハーフカップでコアを包んで120~170℃、1~5分間、加圧成形する方法などを採用することもできる。
上記カバーが1層の場合、その厚さは0.3~3mmとすることができる。上記カバーが2層の場合、外層カバーの厚さは0.3~2.0mm、内層カバーの厚さは0.3~2.0mmの範囲とすることができる。また、上記カバーを構成する各層(カバー層)のショアD硬度は、特に制限はないが、40以上とすることが好ましく、より好ましくは42以上であり、上限としては、好ましくは67以下、より好ましくは65以下である。
なお、上記カバーの最外層の表面には、多数のディンプルが形成されるものであり、更にカバー上には下地処理、スタンプ、塗装等種々の処理を行うことができる。特に本発明のカバー材で形成されたカバーにこのような表面処理を施す場合、カバー表面の成形性が良好であるため作業性を良好にして行うことができる。
本発明は、上記ゴム組成物をゴルフボール本体(即ち、ワンピースゴルフボール)もしくは、少なくとも1層のコア材料として使用されるゴルフボールであり、ゴルフボールの種類としては、例えば、ワンピース、ツーピースソリッドゴルフボール、3層構造以上のマルチピースゴルフボール等のソリッドゴルフボールに使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1~4,比較例1~5〕
下記表1に示すポリブタジエンを主成分とするコア用のゴム組成物を調製した後、170℃、25分間により加硫成形することにより直径39.9mmのコアを作製した。
Figure 0007087591000001
上記の配合についての詳細は下記のとおりである。
・ポリブタジエンゴム:商品名「BR01」(JSR社製)
Ni系触媒により重合
・有機過酸化物:ジクミルパーオキサイド 商品名「パークミルD」(日油社製)
・水:蒸留水(和光純薬工業社製)
・メタクリル酸亜鉛:浅田化学工業社製
・メタクリル酸:EVONIK社製
・酸化亜鉛:商品名「三種酸化亜鉛」(堺化学社製)
・老化防止剤:商品名「ノクラックNS-6」(大内新興化学工業社製)
上記で作製した各コアについては、所定荷重変形量、硬度分布、初期初速の他、コア放置後の初速について評価した。
コアの所定荷重変形量
コアに対して初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷したときまでの変形量を測定した値である。30個の平均値として表2に記載した。
コア硬度分布
コアの表面は球面であるが、その球面に硬度計の針をほぼ垂直になるようにセットし、JIS K6301-1975規格に従ってJIS-C硬度でコア表面硬度を計測した。
コアの中心硬度については、コアをファインカッターにより中心を通るように半分にカットし、その断面の中心をJIS-C硬度で計測した。
コア初速V 0 及び60日放置後の初速V 60
ゴルフボールのカバーを剥き取り、コアを用意した。カバーを剥き取った日に計測したコア初速を0日目とし、そこから60日経過後のコア初速を計測した。なお、コアの放置は室温24℃、湿度40%に管理された部屋にて行った。初速は、R&Aの承認する装置であるUSGAのドラム回転式の初速計と同方式の初速測定器を用いて測定した。コアは23±1℃の温度で3時間以上温度調節し、室温23±2℃の部屋でテストされた。20個のコアを各々2回打撃して、6.28ft(1.91m)の間を通過する時間を計測し、初速を計算した。約15分間でこのサイクルを行った。
コアの酸揮発成分検出
熱分解装置(パイロライザー)が取り付けられたGC/MSを用いて、コアから切り出した試料片0.1mgをパイロライザー内に投入し、300℃で加熱、揮発したガスをGC/MSに通して分析を行った。その酸揮発成分の検出の有無を表2に記載した。
次に、上記で作製した各コアについて、カバー(外層)の樹脂材料として、ポリウレタンエラストマー(商品名「パンデックスT8195」ディーアイシーコベストロポリマー社製)を用い、1.4mmの厚みで、射出成形法により、コアの周囲にカバーを被覆して2層構造であるツーピースソリッドゴルフボールを得た。この際、全ての実施例及び比較例のボールのカバー表面には、特に図示してはいないが、所定パターンの共通のディンプルが形成された。
これらの実施例及び比較例のゴルフボールの諸特性を下記のとおり評価した。その結果を表2に記載する。
ボールの荷重変形量(mm)
ゴルフボールに対して初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷したときまでの変形量(mm)を測定した。
ボールの初速(m/s)
ボール初速は、上記のコア初速と同様に測定器及び条件で計測した。
ボールの打感(フィーリング)
ゴルフクラブ(W#1)を使用し、ヘッドスピードが35~40m/sのアマチュアゴルファー10人により下記の基準により官能評価を行った。
○:10人中7人以上が良い打感
△:5、6人が良い打感
×:良い打感と感じた人が10人中4人以下
ボールの耐久性
米国Automated Design Corporation製のADC Ball COR Durability Testerにより、ゴルフボールの耐久性を評価した。この試験機は、ゴルフボールを空気圧で発射させた後、平行に設置した2枚の金属板に連続的に衝突させる機能を有する。金属板への入射速度は43m/sとした。ゴルフボールが割れるまでに要した発射回数を測定し、測定個数5個のゴルフボールの平均値を求めた。
○:1000回以上
△:500回以上1000回未満
×:500回未満
Figure 0007087591000002
上記の結果により、本実施例1~4のゴルフボールは、打感が良好であり、非常に高い耐久性を保持し、経時的に反発性の低下が少なく、酸揮発成分が検出されないので耐酸仕様の製造設備を設計する必要がなく、生産設備の負担が小さいものである。
これに対して、比較例1は、コア配合において本発明の(D)成分であるメタクリル酸亜鉛が多い例であり、その結果、ゴルフボールの打感が硬くなる。
比較例2は、コア配合において、本発明の(C)成分/(D)成分のモル比が0.9(本発明の下限値)よりも低く、その結果、ゴルフボールの耐久性が劣る。
比較例3は、コア配合においてメタクリル酸を配合する例であり、本発明の(C)及び(D)成分である水及びメタクリル酸亜鉛が配合された配合と異なり、プロセス中で酸のガスが発生するため、耐酸化設備が必要である。
比較例4は、本発明の(D)成分であるメタクリル酸亜鉛が配合されていないため、コア初速が大きくなり、飛び過ぎ、練習用ゴルフボールとしては適していない。
比較例5は、コア配合において本発明の(D)成分であるメタクリル酸亜鉛が少ない例であり、その結果、ゴルフボールの打感が軟らかく、ボール耐久性にもやや劣る。

Claims (4)

  1. ワンピースゴルフボール、もしくはコアと1層または複数層のカバーを有するゴルフボールにおいて、上記ワンピースゴルフボール又はコアが下記(A)~(E)成分
    (A)基材ゴム
    (B)有機過酸化物
    (C)水
    (D)メタクリル酸金属塩
    (E)酸化亜鉛
    を配合するゴム組成物の加熱成形物により形成されるものであり、且つ、(D)成分の配合量が(A)成分の100質量部に対して30~45質量部であり、(C)及び(D)成分のモル比(C)/(D)が、下記式
    0.9<(C)/(D)<1.1
    を満たすと共に、上記コアの初速度V0が、72.0m/s以上75.0m/s以下であることを特徴とするゴルフボール。
  2. 成形後のゴルフボールにおいて、カバーを剥がした後に測定したコア初速をV0とし、該V0の測定から60日後に測定したコア初速をV60とするとき、(V0-V60)≦0.8が成立する請求項1記載のゴルフボール。
  3. 上記コアの表面硬度から中心硬度を引いたJIS-C硬度差の値が4以上20以下である請求項1又は2記載のゴルフボール。
  4. 1層または複数層のカバーを有するゴルフボールであって、少なくとも一つのカバー層がポリウレタン樹脂を主材として形成される請求項1~3のいずれか1項記載のゴルフボール。
JP2018070849A 2017-06-27 2018-04-02 ゴルフボール Active JP7087591B2 (ja)

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