JP7074268B2 - 薄膜状成形体、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記板状アルミナ粒子の平均厚さが1000nm以下であり、前記板状アルミナ粒子の板面と前記薄膜状成形体の表面とがなす平均配向角が20°以下である薄膜状成形体。
[2] 前記板状アルミナ粒子の含有量が、前記薄膜状成形体100質量%に対して、5~90質量%である前記[1]に記載の薄膜状成形体。
[3] 前記薄膜状成形体の最も厚い部分の二つの表面の厚さが、0.01~2mmである前記[1]又は[2]に記載の薄膜状成形体。
[4] 前記板状アルミナ粒子の下記式で示されるアスペクト比が5~500である、前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の薄膜状成形体。
アスペクト比=板状アルミナ粒子の平均粒子径L/板状アルミナ粒子の平均厚さD
[5] 前記熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンスルフィド樹脂又はポリアミド樹脂である前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の薄膜状成形体。
[7] 前記樹脂組成物中の板状アルミナ粒子の含有量が、5~90質量%である前記[6]に記載の薄膜状成形体の製造方法。
[8] 前記薄膜状成形体の最も厚い部分の二つの表面の厚さが、0.01~2mmとなる様に成形する、前記[6]又は[7]に記載の薄膜状成形体の製造方法。
[9] 前記板状アルミナ粒子の下記式で示されるアスペクト比が5~500である、前記[6]~[8]のいずれか一項に記載の薄膜状成形体の製造方法。
アスペクト比=板状アルミナ粒子の平均粒子径L/板状アルミナ粒子の平均厚さD
[10] 前記樹脂組成物中の熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンスルフィド樹脂又はポリアミド樹脂である前記[6]~[9]のいずれか一項に記載の薄膜状成形体の製造方法。
本実施形態の薄膜状成形体は、熱可塑性樹脂と、板状アルミナ粒子とを含有し、互いに略平行な二つの表面を有する薄膜状成形体であって、前記板状アルミナ粒子の平均厚さが1000nm以下であり、前記板状アルミナ粒子の板面と前記薄膜状成形体の表面とがなす平均配向角が20°以下である。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、成形材料等に使用される公知慣用の熱可塑性樹脂が用いられうる。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等のポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン-ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体などが挙げられる。中でも、ポリアリーレンスルフィド樹脂が好ましく、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂がより好ましく、カルボキシ基含有ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂が特に好ましい。
(3)ラクタムの開環重合物、例えばε-アミノカプロラクタムの開環重合物であるポリカプラミド[6ナイロン]、ε-アミノラウロラクタムの開環重合物ポリラウリックラクタム[12ナイロン]。
また本発明では、例えばアジピン酸とイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから製造されるポリアミド樹脂なども使用できるし、さらに6ナイロンと6,6ナイロンとの混合物のように2種以上のポリアミド樹脂を配合したブレンド物も使用できる。
板状アルミナ粒子は、平均厚さが1000nm以下の板状アルミナ粒子であれば、限定されない。板状アルミナ粒子の平均厚さが1000nm以下であることで、熱可塑性樹脂と、板状アルミナ粒子とを含有する薄膜状成形体の機械強度、例えば曲げ弾性率、曲げ強度、引張強度、引張弾性率、等を大きくすることができる。
アスペクト比=板状アルミナ粒子の平均粒子径L/板状アルミナ粒子の平均厚さD
実施形態に係る板状アルミナ粒子に含まれる「アルミナ」は、酸化アルミニウムであり、例えば、γ、δ、θ、κ等の各種の結晶形の遷移アルミナであっても、または遷移アルミナ中にアルミナ水和物を含んでいてもよいが、より機械的な強度または熱伝導性に優れる点で、基本的にα結晶形(α型)であることが好ましい。α結晶形がアルミナの緻密な結晶構造であり、板状アルミナ粒子の機械強度または熱伝導性の向上に有利となる。
実施形態に係る板状アルミナ粒子は、ケイ素及び/又はゲルマニウムを含んでいてもよい。
また、実施形態に係る板状アルミナ粒子は、モリブデンを含んでいてもよい。当該モリブデンは、フラックス剤として用いたモリブデン化合物に由来するものである。
板状アルミナ粒子の製造方法は、特に制限されず、公知の技術が適宜適用されうるが、平均厚さが1000nm以下であり、相対的に低温で高α結晶化率を有するアルミナを好適に制御することができる観点から、好ましくはモリブデン化合物を利用したフラックス法での製造方法が適用されうる。
混合工程は、アルミニウム化合物と、モリブデン化合物と、形状制御剤と、を混合して混合物とする工程である。以下、混合物の内容について説明する。
板状アルミナ粒子におけるアルミニウム化合物は、アルミニウム元素を含むものであり、実施形態に係る板状アルミナ粒子の原料であり、熱処理によりアルミナになるものであれば特に限定されず、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、擬ベーマイト、遷移アルミナ(γ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナなど)、α-アルミナ、二種以上の結晶相を有する混合アルミナなどが使用でき、これら前駆体としてのアルミニウム化合物の形状、粒子径、比表面積等の物理形態については、特に限定されるものではない。
実施形態に係る板状アルミナ粒子を形成するために、形状制御剤を用いることできる。形状制御剤の存在状態は、特に制限されず、例えば、形状制御剤とアルミニウム化合物と物理混合物、形状制御剤がアルミニウム化合物の表面または内部に均一または局在に存在した複合体などが好適に用いることができる。
シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物としては、特に制限されず、公知のものが使用されうる。シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物の具体例としては、金属シリコン、有機シラン、シリコン樹脂、シリカ微粒子、シリカゲル、メソポーラスシリカ、SiC、ムライト等の人工合成シリコン化合物;バイオシリカ等の天然シリコン化合物等が挙げられる。これらのうち、アルミニウム化合物との複合、混合がより均一的に形成できる観点から、有機シラン、シリコン樹脂、シリカ微粒子を用いることが好ましい。なお、シリコン又はケイ素元素を含むケイ素化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明における効果を損なわない限りにおいて、他の形状制御剤と併用して使用してもよい。
形状制御剤として用いる原料ゲルマニウム化合物としては、特に制限されず、公知のものが使用されうる。原料ゲルマニウム化合物の具体例としては、ゲルマニウム金属、二酸化ゲルマニウム、一酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、Ge-C結合を有する有機ゲルマニウム化合物等が挙げられる。なお、原料ゲルマニウム化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明における効果を損なわない限りにおいて、他の形状制御剤と併用して使用してもよい。
モリブデン化合物は、モリブデン元素を含むものであり、後述するように、相対的に低温においてアルミナのα結晶成長にフラックス機能をする。 モリブデン化合物としては、特に制限されないが、酸化モリブデン、モリブデン金属が酸素との結合からなる酸根アニオン(MoOx n-)を含有する化合物が挙げられる。
焼成工程は、モリブデン化合物および形状制御剤の存在下で、アルミニウム化合物を焼成する工程である。焼成工程は、前記混合工程で得られた混合物を焼成する工程であってもよい。
板状アルミナ粒子の製造方法は、焼成工程後、必要に応じてモリブデンの少なくとも一部を除去するモリブデン除去工程をさらに含んでいてもよい。
焼成物は板状アルミナ粒子が凝集して、本発明に好適な粒子径の範囲を満たさない場合がある。そのため、板状アルミナ粒子は、必要に応じて、本発明に好適な粒子径の範囲を満たすように粉砕してもよい。
板状アルミナ粒子は、平均粒子径を調整し、粉体の流動性を向上するため、またはマトリックスを形成するためのバインダーに配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理される。「分級処理」とは、粒子の大きさによって粒子をグループ分けする操作をいう。
本実施形態の互いに略平行な二つの表面を有する薄膜状成形体の製造方法としては、熱可塑性樹脂と平均厚さが1000nm以下の板状アルミナ粒子とを含有する樹脂組成物を、板状アルミナ粒子の板面と前記薄膜状成形体の表面とがなす平均配向角が20°以下となるよう、薄膜状に成形する方法であれば、特に限定されず、公知の押出シート成形法、射出成型法、プレス成形法、延伸成形法、ダイレクトブロー成形、2軸延伸ブロー成形、チューブ成形、サーモフォーミング成形等の成形方法を採用することができる。平均配向角が20°以下となるよう、薄膜状に成形する方法の具体的条件は、前記熱可塑性樹脂及び及び板状アルミナ粒子の性状、前記樹脂組成物の組成等により異なるが、前記薄膜状成形体の最も厚い部分の二つの表面の厚さを薄くすることで、前記平均配向角を小さくできる傾向にある。前記熱可塑性樹脂の溶融開始温度の+5℃以上の温度で成形することが好ましい。
[合成例1]板状アルミナ粒子の合成
水酸化アルミニウム(日本軽金属株式会社製、平均粒子径2μm)142.3gと、二酸化珪素(関東化学株式会社製、特級)2.8gと、三酸化モリブデン(太陽鉱工株式会社製)4.7gと、を乳鉢で混合し、混合物を得た。得られた混合物を坩堝に入れ、セラミック電気炉にて5℃/分の条件で1200℃まで昇温し、1200℃で10時間保持し焼成を行なった。その後5℃/分の条件で室温まで降温後、坩堝を取り出し、95gの薄青色の粉末を得た。得られた粉末を乳鉢で、106μm篩を通るまで解砕した。
合成例1で得られた板状アルミナ粒子(以下、「EF1」ということがある。)について、レーザー回折式粒度分布計HELOS(H3355)&RODOS(株式会社日本レーザー製)を用い、分散圧3bar、引圧90mbarの条件でメディアン径D50(μm)を求め、平均粒子径Lとした。平均粒子径Lは、5μmであった。
上記試料について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、50個の厚さを測定した平均値を採用し、平均厚さD(μm)とした。平均厚さDは、0.200μmであった。
アスペクト比=板状アルミナ粒子の平均粒子径L/板状アルミナ粒子の平均厚さD
作製した試料を0.5mm深さの測定試料用ホルダーにのせ、一定荷重で平らになる様充填し、それを広角X線回折装置(株式会社リガク製 Rint-Ultma)にセットし、Cu/Kα線、40kV/30mA、スキャンスピード2度/分、走査範囲10~70度の条件で測定を行った。α-アルミナと遷移アルミナの最強ピーク高さの比よりα化率を求めた。
蛍光X線分析装置PrimusIV(株式会社リガク製) を用い、作製した試料約70mgをろ紙にとり、PPフィルムをかぶせて組成分析を行った。
圧力計、温度計、コンデンサ、デカンター、精留塔を連結した撹拌翼付き150リットルオートクレーブにp-ジクロロベンゼン(以下、「p-DCB」と略記する。)33.222kg(226モル)、N-メチル-2-ピロリドン(以下、「NMP」と略記する。)2.280kg(23モル)、47.23質量%NaSH水溶液27.300kg(NaSHとして230モル)、及び49.21質量%NaOH水溶液18.533g(NaOHとして228モル)を仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で173℃まで5時間掛けて昇温して、水27.300kgを留出させた後、オートクレーブを密閉した。脱水時に共沸により留出したp-DCBはデカンターで分離して、随時オートクレーブ内に戻した。脱水終了後のオートクレーブ内は微粒子状の無水硫化ナトリウム組成物がp-DCB中に分散した状態であった。この組成物中のNMP含有量は0.069kg(0.7モル)であったことから、仕込んだNMPの97モル%(22.3モル)がNMPの開環体(4-(メチルアミノ)酪酸)のナトリウム塩(以下、「SMAB」と略記する。)に加水分解されていることが示された。オートクレーブ内のSMAB量は、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.097モルであった。仕込んだNaSHとNaOHが全量、無水Na2Sに変わる場合の理論脱水量は27.921gであることから、オートクレーブ内の残水量621g(34.5モル)の内、401g(22.3モル)はNMPとNaOHとの加水分解反応に消費されて、水としてオートクレーブ内に存在せず、残りの220g(12.2モル)は水、あるいは結晶水の形でオートクレーブ内に残留していることを示していた。オートクレーブ内の水分量はオートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.053モルであった。
(薄膜状成形体の作製)
前記板状アルミナ粒子(18.96質量部)及び前記カルボキシ基含有PPS樹脂(PPS-1)(9.72質量部)を、ヘンシェルミキサーによって乾式混合した後、二軸混練押出機(Xplore社製)で、300℃、100rpmの条件で溶融・混練及び押出を行った。押し出されたストランドを冷却し、カットして混合物のペレットを得た。
(薄膜状成形体の作製)
参考例1の薄膜状成形体としてのシートを、290℃の温度で加熱された状態で、互いに直角をなす縦方向及び横方向の二方向に、延伸倍率を共に2倍とし、同時に二軸延伸した。縦方向及び横方向の延伸倍率を共に2倍とし、得られた二軸延伸シートを200℃で10秒間熱固定して、実施例1の薄膜状成形体としての二軸延伸シートを得た。実施例1の薄膜状成形体の厚さは、0.5mmであった。
(薄膜状成形体の作製)
参考例1における、前記板状アルミナ粒子(18.96質量部)及び前記カルボキシ基含有PPS樹脂(PPS-1)(9.72質量部)を、前記板状アルミナ粒子(9.48質量部)及び前記カルボキシ基含有PPS樹脂(PPS-1)(12.96質量部)に、変更したことの他は、参考例1と同様にして、参考例2の薄膜状成形体としてのシートを得た。参考例2の薄膜状成形体の厚さは2mmであった。
(薄膜状成形体の作製)
参考例2の薄膜状成形体としてのシートを、290℃の温度で加熱された状態で、互いに直角をなす縦方向及び横方向の二方向に、延伸倍率を共に2倍とし、同時に二軸延伸した。得られた二軸延伸シートを200℃で10秒間熱固定して、実施例2の薄膜状成形体としての二軸延伸シートを得た。得られた実施例2の薄膜状成形体の厚さは、0.5mmであった。
(薄膜状成形体の作製)
参考例1における、前記板状アルミナ粒子(18.96質量部)を、市販のタルクフィラー(富士タルク工業社製RL-217)(12.96質量部)に変更したことの他は、参考例1と同様にして、厚さが2mmのシートを得た。得られたシートを、290℃の温度で加熱された状態で、互いに直角をなす縦方向及び横方向の二方向に、延伸倍率を共に2倍とし、同時に二軸延伸した。得られた二軸延伸シートを200℃で10秒間熱固定して、比較例1の薄膜状成形体としての二軸延伸シートを得た。タルクフィラーの平均粒子径、平均厚さ、アスペクト比を表1に示した。得られた比較例1の薄膜状成形体の厚さは、0.5mmであった。
(薄膜状成形体の作製)
参考例1における、前記板状アルミナ粒子(18.96質量部)を、市販のアルミナフィラー(フジミ社(米国イリノイ州、Elmhurst)製PWA15)(18.96質量部)に、変更したことの他は、参考例1と同様にして、厚さが2mmのシートを得た。なお、合成例1と同様にアルミナフィラー(PWA15)のゼータ電位の測定を行ったところ、等電点はpH5以上であることが解った。得られたシートを、290℃の温度で加熱された状態で、互いに直角をなす縦方向及び横方向の二方向に、延伸倍率を共に2倍とし、同時に二軸延伸した。得られた二軸延伸シートを200℃で10秒間熱固定して、比較例2の薄膜状成形体としての二軸延伸シートを得た。得られた比較例2の薄膜状成形体の厚さは、0.5mmであった。
参考例1,2のシート並びに実施例1,2及び比較例1,2の二軸延伸シートを、1cm×4cmに切断し、それぞれの薄膜状成形体の曲げ弾性率測定用試料とした。
インストロン製万能試験機インストロン5965を使用して、支持スパン32mm、試験速度2mm/minにて3点曲げ試験を行うことで、曲げ弾性率の測定を行った。結果を表1に示す。
参考例1,2のシート並びに実施例1,2及び比較例1,2の薄膜状成形体(すなわち、二軸延伸シート)を、それぞれ、エポキシ樹脂で包埋し、それぞれの薄膜状成形体の表面に対して直交する断面を観察できる様に、ビューラー社製Automet250pro研磨機によって研磨することにより、薄膜状成形体の直交断面の面出しを行った。
日本電子製の走査型電子顕微鏡(SEM)JCM-7000を用いて、それらの試料の直交断面の状態を観察し、250μm×190μmの視野のSEM像に映り込んでいる板状アルミナ粒子の配向状態を確認した。
そして、図1の模式図に示すように、薄膜状成形体の表面の輪郭の直線を角度0°とし、その直線に平行な直線に対する各板状アルミナ粒子の配向角(-90°<θ<90°)を見積もり、それらの絶対値の平均値を求めることにより、試料の薄膜状成形体中の板状アルミナ粒子の平均配向角を計算した。
(板状アルミナ粒子含有ナイロン樹脂組成物の作製)
前記板状アルミナ粒子EF1、及び6ナイロン樹脂(DSM製ノバミッド1010J)を、それぞれ24/76質量比となるよう、混練物の作製を行った。混練物の作製は、押出機(ベルストルフ社製同方向回転二軸押出機;ZE40A-2)を用い、スクリュ温度230℃設定、スクリュ回転数150rpmにて実施したところ、良好なストランドが得られていることを確認し、ストランドはペレタイザを通してペレット状混練物(以下DA04と記載する)を取得した。
前記で得た混練物DA04を用い、Tダイ押出成形機(株式会社創研製)を通してフィルム状成形体を作製した。ダイス部の温度は260℃、押出機温度は240℃としてフィルムを作製した。成形機の運転条件については、スクリュ回転数;25rpm、電流値;14~15A、樹脂圧力;3.0~3.2MPa、ロール温度設定;10℃、引き取り速度;3.0m/min、にて行ったところ、平均厚み49μm、幅260~265mmの薄膜状成形体(実施例3)を取得した。
実施例3,4と同様のTダイ押出成形機を使用し、成形機の引き取り速度を2.8m/minとした以外は実施例3と同様の装置運転条件にて、6ナイロン樹脂のみからなる薄膜状成形体を作製した。
実施例3,4及び比較例3の機械強度の評価は、JIS-Z1707に準拠したフィルム突刺し強さにて行った。
実施例1等と同様の方法にて、実施例3,4及び比較例3の薄膜成形体中の板状アルミナ粒子の平均配向角の評価を行った。
Claims (12)
- 熱可塑性樹脂と、板状アルミナ粒子とを含有し、互いに略平行な二つの表面を有する薄膜状成形体であって、
前記板状アルミナ粒子が、Alに対するSiのモル比「Si」/「Al」が0.003以上0.04以下であって、
前記板状アルミナ粒子の平均厚さが1000nm以下であり、前記板状アルミナ粒子の板面と前記薄膜状成形体の表面とがなす平均配向角が20°以下である薄膜状成形体。 - 前記板状アルミナ粒子の含有量が、前記薄膜状成形体100質量%に対して、5~90質量%である請求項1に記載の薄膜状成形体。
- 前記薄膜状成形体の最も厚い部分の二つの表面の厚さが、0.01~2mmである請求項1又は2に記載の薄膜状成形体。
- 前記板状アルミナ粒子の下記式で示されるアスペクト比が5~500である、請求項1~3のいずれか一項に記載の薄膜状成形体。
アスペクト比=板状アルミナ粒子の平均粒子径L/板状アルミナ粒子の平均厚さD - 前記熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項1~4のいずれか一項に記載の薄膜状成形体。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項1~4のいずれか一項に記載の薄膜状成形体。
- 熱可塑性樹脂と平均厚さが1000nm以下の板状アルミナ粒子とを含有する樹脂組成物を、互いに略平行な二つの表面を有する薄膜状に成型する、請求項1に記載の薄膜状成形体の製造方法。
- 前記樹脂組成物中の板状アルミナ粒子の含有量が、前記樹脂組成物の100質量%に対して、5~90質量%である請求項7に記載の薄膜状成形体の製造方法。
- 前記薄膜状成形体の最も厚い部分の二つの表面の厚さが、0.01~2mmとなる様に成形する、請求項7又は8に記載の薄膜状成形体の製造方法。
- 前記板状アルミナ粒子の下記式で示されるアスペクト比が5~500である、請求項7~9のいずれか一項に記載の薄膜状成形体の製造方法。
アスペクト比=板状アルミナ粒子の平均粒子径L/板状アルミナ粒子の平均厚さD - 前記樹脂組成物中の熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項7~10のいずれか一項に記載の薄膜状成形体の製造方法。
- 前記樹脂組成物中の熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項7~10のいずれか一項に記載の薄膜状成形体の製造方法。
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