JP7048475B2 - グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法 - Google Patents

グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7048475B2
JP7048475B2 JP2018207925A JP2018207925A JP7048475B2 JP 7048475 B2 JP7048475 B2 JP 7048475B2 JP 2018207925 A JP2018207925 A JP 2018207925A JP 2018207925 A JP2018207925 A JP 2018207925A JP 7048475 B2 JP7048475 B2 JP 7048475B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glucosinolate
beverage
molar concentration
drink
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018207925A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020074685A (ja
Inventor
悠介 牛田
広樹 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kagome Co Ltd
Original Assignee
Kagome Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kagome Co Ltd filed Critical Kagome Co Ltd
Priority to JP2018207925A priority Critical patent/JP7048475B2/ja
Publication of JP2020074685A publication Critical patent/JP2020074685A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7048475B2 publication Critical patent/JP7048475B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

本発明が関係するのは、グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法である。
アブラナ科植物に特有の成分として含まれるグルコシノレート類は、植物体やヒトの腸内菌叢が持つミロシナーゼによってイソチオシアネートに変換された後、体内に吸収されて多彩な生理作用を示す。特に、ブロッコリースプラウトには、スルフォファラングルコシノレート(以下、「SGS」という)が多く含まれる。SGSから変換されるスルフォラファンの生理作用として、解毒作用、肝機能改善効果、抗酸化作用等が報告されている。
この生理作用に着目し、グルコシノレート、特にSGSを種々の飲食品用途に使用可能とすることで、多くの消費者の健康に貢献できることが見込まれる。
特許文献1が開示するのは、アブラナ科植物由来の搾汁組成物であり、その目的は、グルコシノレート量の増大した搾汁液の製造である。その方法は、特定の加熱条件でケールを加熱し、搾汁することである。
特許文献2が開示するのは、十字花科植物を含む食品の製造方法であり、その目的は、相当量の第二相誘発ポテンシャルを含有し、インドールグルコシノレートとその分解産物および甲状腺腫誘発性のヒドロキシブテニルグルコシノレートを無毒性の濃度で含む食品を提供することである。その方法は、種子の選別、種子の発芽、発芽開始から装用段階までの間に前記新芽を収穫して食品を作成することである。
特許5726535号公報 特開2000-502245号公報
グルコシノレート含有飲食品における課題は、経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制することである。
グルコシノレートから変換されたイソチオシアネート(化1)は、機能性の面から有用な成分である反面、揮発性のため不安定であり、経時的に消失する。そのため、摂取する場合は、摂取する直前、又は体内においてイソチオシアネートに変換されることが好ましい。そのため、飲食品中では安定性の高いグルコシノレートの状態であることが好ましいと考えた。
Figure 0007048475000001
一方、グルコシノレート、特にSGSは、複雑系である飲食品に用いた場合、経時変化により、その含有量が大きく減少してしまうことがあった。一般的に、ミロシナーゼ等の酵素によってグルコシノレートが分解してグルコースとアグリコンになることは知られているが、ミロシナーゼが存在しない、又はミロシナーゼ活性が実質的にない状況下において、このようなグルコシノレートの減少が起こるメカニズムは不明であった。
機能性成分であるグルコシノレートを飲食品に用いる場合、その濃度や量を担保する必要があるため、経時変化による不測の減少は好ましくなく、グルコシノレート量を安定的に担保する必要があった。
つまり、グルコシノレート含有飲食品の製造における課題は、経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制することである。
当該課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討し発見したのは、グルコシノレート含有飲食品に、キレート剤を含有させることである。好ましくは、前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(以下、「EDTA」という)である。より好ましくは、前記グルコシノレート含有飲食品において、前記キレート剤のモル濃度[A]と、鉄イオンのモル濃度[B]との関係は、[A]/[B]≧0.1である。
当該作用は、以下のとおりである。本発明者は、鉄イオンの存在が経時変化におけるグルコシノレート、特にSGSの分解を決定する主要因であることを突き止めた。
鉄イオンの還元反応に関与し、グルコシノレートの分解が促進される。そのため、鉄イオンをキレート剤でトラップすることにより、経時変化におけるグルコシノレート、特にSGSの分解を抑制することができるものと推測される。
本発明が可能にするのは、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制することである。
<グルコシノレート含有組成物>
本発明の実施に係る飲食品(以下、「本飲食品」という。)の製造において、グルコシノレート含有組成物とは、グルコシノレートを含有することを特徴とする組成物であり、例示すると、アブラナ科野菜搾汁、アブラナ科野菜濃縮汁、アブラナ科野菜抽出物、アブラナ科野菜由来粉末、グルコシノレート精製品等である。
<グルコシノレート>
グルコシノレート類とは、化2の構造式で示される、グルコースおよびアミノ酸の誘導体であり、硫黄と窒素を含む有機化合物の一群である。本発明におけるグルコシノレートは、特に限定されないが、例示すると、スルフォラファングルコシノレート(グルコラファニンとも呼ばれる)、シニグリン、グルコエルシン、グルコブラシシン、グルコラフェニン、グルコラファサティン、フェネチルグルコシノレート等であり、本発明においては、特にスルフォラファングルコシノレートであることが好ましい。これらのグルコシノレートのうち1種、又は複数種用いてもよい。
Figure 0007048475000002
<アブラナ科野菜>
本発明におけるアブラナ科野菜とは、野菜であって、アブラナ科に分類されるものをいう。例示すると、キャベツ、ブロッコリー、ケール、クレソン、コマツナ、チンゲンサイ、カイワレダイコン、カリフラワー、ハクサイ、ナバナ、タカナ、コールラビ、等が含まれる。これらの野菜のうち1種、又は複数種用いてもよい。また、これら野菜の部位(花、葉や茎)の全部、又は一部を用いてもよく、スプラウトやシードを用いても良い。本発明において特に好ましい態様は、ブロッコリースプラウトである。
アブラナ科野菜搾汁とは、アブラナ科野菜を破砕して搾汁し或いは裏ごしして得られるアブラナ科野菜搾汁、これを濃縮したアブラナ科野菜濃縮汁、及び、アブラナ科野菜濃縮汁を希釈還元したものを意味する。これらは、さらに他の成分(例えば、少量の食塩や香辛料、食品添加物等)を含有していてもよい。
また、本明細書において、アブラナ科野菜搾汁、及びアブラナ科野菜濃縮汁とは、除パルプアブラナ科野菜搾汁を含む概念であり、除パルプアブラナ科野菜搾汁とは、アブラナ科野菜搾汁に含まれる水不溶性固形分の一部又は全部を除去したもの、及びこれを濃縮したもの、並びに、アブラナ科野菜濃縮汁に含まれる水不溶性固形分一部又は全部を除去したもの、及びこれらを濃縮又は希釈還元したものである。
アブラナ科野菜抽出物とは、アブラナ科野菜から溶媒を用いてアブラナ科野菜に含まれる成分を抽出したもの、及びこれを濃縮したものである。溶媒の種類は、既知の物であれば特に限定されず、親水性、親油性とを問わないが、飲食品用途に用いられることから、飲食に適した溶媒であることが好ましい。
アブラナ科野菜由来粉末とは、アブラナ科野菜そのもの、前記アブラナ科野菜搾汁、アブラナ科野菜濃縮汁、及びアブラナ科野菜抽出物を乾燥させて、粉砕粉末化した物である。乾燥方法は公知の方法であれば特に限定されず、加熱乾燥、凍結乾燥、スプレードライ等の方法が挙げられる。
<野菜又は果物の加工品>
野菜加工品とは、加工された野菜である。その原料を例示すると、トマト、タマネギ、ニンジン、セロリ等である。これらのうち一種または二種以上は、組み合わせて調合される。同様に、果物の加工品とは、加工された果物である。その原料を例示すると、リンゴ、オレンジ、バナナ、ブドウ等である。これらのうち一種または二種以上は、組み合わせて調合される。
<キレート剤>
本発明におけるキレート剤とは、鉄イオンに対してキレート作用を有する物質のことをいう。好ましくは、当該キレート剤が還元作用を有していないものである。具体的には、EDTAであることが、より好ましい。当該キレート剤を調合する際、ハンドリングの観点から、EDTA2NaやEDTACaの形態で用いることもできる。
<食品添加物>
本発明が排除しないのは、食品添加物の使用である。当該食品添加物を例示すると、甘味料、酸味料、核酸類、香辛料抽出物、着色料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤、栄養強化剤、増粘剤等である。
<本飲食品の製造方法>
本飲食品の製造方法(以下、「本製法」という。)を主に構成するのは、調合工程、殺菌工程、充填工程、密封工程、冷却工程である。
<調合>
調合は、複数の原材料を適切な量となるように調合することで、本飲食品の基となる混合物質を製造する工程である。本工程において、本飲食品の呈味、性状、色調、栄養成分濃度、機能性成分濃度等を目標のものとなるよう調整される。本飲食品製造における調合工程では、少なくとも、グルコシノレート含有組成物が配合される。グルコシノレート含有組成物を配合する目的は、本飲食品における、グルコシノレート含有量の担保である。上記に加え、必要に応じて調合されるのは、野菜の加工品、果物の加工品、食品添加物等である。
<殺菌、充填、冷却>
以上に加えて、本製法が適宜採用するのは、殺菌、充填及び冷却である。殺菌方法は、公知の方法で良く、例えば、プレート式殺菌、チューブラー式殺菌方法等がある。当該殺菌工程において、加熱処理を行うことにより、キレート剤と鉄イオンが反応し、錯体が形成されるのを促進する。これにより、グルコシノレートの分解抑制効果が高まる。冷却方法は、公知の方法で良い。充填方法は、公知の方法でよい。本飲食品が充填される(詰められる)容器は、公知の物で良く、例示すると、缶、瓶、紙容器、ポリエチレン製容器等である。
<グルコシノレート含有飲食品>
本発明におけるグルコシノレート含有飲食品とは、グルコシノレートを含有する飲料又は食品のことを示す。飲料は、清涼飲料、スムージー等、一般に飲料と認識されるものであれば、特に限定されない。本飲食品は、スープ等、一部固形分が含まれるものも含む。
<グルコシノレート濃度>
本発明における飲食品のグルコシノレート濃度は、特に限定されないが、最終商品を飲食する際に生理活性を有する量担保するという観点から、1日に摂取する量として、SGSでいうと20mg以上を担保できる程度含有することが好ましい。より好ましくは、1日に摂取する量として、SGSでいうと30mg以上を担保できる程度含有することが好ましい。より具体的に言えば、例えば1日に100ml摂取することを推奨する商品であれば、グルコシノレート濃度として、457μM以上8.74mM以下であることが好ましい。より好ましくは、686μM以上5.96mM以下、さらに好ましくは、686μM以上2.02mM以下である。
<キレート剤モル濃度>
本発明における飲食品のキレート剤モル濃度[A]は、飲食品が含有するキレート剤のモル濃度を意味する。キレート剤は、好ましくはEDTAである。当該キレート剤モル濃度は、特に限定されないが、好ましくは、0μMより大きく、1000μM以下である。また、好ましくは、100μM以上である。より好ましくは、100μM以上、1000μM以下である。さらに好ましくは、100μM以上300μM以下である。
<鉄イオンモル濃度>
本発明における飲食品の鉄イオンモル濃度[B]は、本飲食品が含有する鉄イオンのモル濃度を意味する。本発明における鉄イオンモル濃度とは、II価、又はIII価にイオン化された鉄イオン合計のモル濃度のことをいう。ここでは、キレート剤と錯体を形成している鉄イオンも含むが、イオン化されていない鉄の濃度は含まない。当該鉄イオンモル濃度は、特に限定されないが、好ましくは0μMより大きく、200μM以下である。また好ましくは、1μM以上200μM以下である。
本飲食品における鉄の濃度の測定は、既知の方法を用いることができる。本飲食品における鉄イオン濃度測定法の例として、イオンクロマトグラフィーを用いた方法、トリアジン法等が挙げられる。また、本飲食品が含有する、鉄濃度を測定する方法として、ICP-MS(誘導結合プラズマ分析)、ICP発光分析法等が挙げられる。鉄イオン濃度は、飲食品の不溶性固形部等を除去する等して、測定することができる。
<キレート剤モル濃度[A]と鉄イオンモル濃度[B]との関係>
本発明における飲食品のキレート剤モル濃度[A]と鉄イオンモル濃度[B]との関係は、好ましくは[A]/[B]≧0.1である。より好ましくは、[A]/[B]≧0.5である。さらに好ましくは、[A]/[B]≧1.0である。また、好ましくは、[A]が、1μM以上、100μM未満のとき、[B]は、1μM以上、10μM以下である。より好ましくは、[A]が、1μM以上、30μM以下のとき、[B]は、1μM以上、10μM以下である。さらに好ましくは、[A]が、1μM以上、10μM以下のとき、[B]は、1μM以上、10μM以下である。あわせて、好ましくは、[A]が、100μM以上のとき、[B]は、1μM以上、200μM以下である。当該範囲を逸脱すると、経時変化によるグルコシノレートの減少が大きくなる。
<本飲食品のpH>
本発明における調合液のpHは、特に限定されないが、一般的な野菜又は果実含有飲食品を想定した場合、3.8~4.4程度であることが好ましい。測定手段を例示すると、pH計(pH METER F-52 HORIBA社製)である。
<本飲食品>
前記製造方法によって製造された本飲食品は、野菜又は果実含有飲食品であることが好ましい。野菜又は果実の合計の含有割合は、特に限定されないが、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
野菜又は果実には、鉄分を含む物も多い。その観点から、本発明の範囲となるように鉄分を含むような野菜又は果実を選定、及び調合量を調整することが好ましい。
また、本飲食品は、容器詰であることが好ましい。これによって、市場への流通が容易となる。また、容器に詰めることで、空気中の酸素との接触が抑えられ、グルコシノレートの分解をより抑制することができる。さらに、グルコシノレートによる生理活性担保の観点から、本飲食品におけるグルコシノレート濃度は、457μM(20mg/100ml)以上であることが好ましい。より好ましくは、686μM(30mg/100ml)以上であることが好ましい。
<流通温度>
本飲食品において、グルコシノレート濃度の低下の観点から、市場に行おいて流通される温度は、37℃以下の温度帯であって構わない。ただし、低温(10℃以下)で流通されることにより、グルコシノレートの経時変化による分解は、より抑制される傾向にある。
<生理活性>
本飲食品は、グルコシノレートの有する機能性が強化されている。当該観点から、本飲食品は、肝機能改善効果、血糖値改善効果、糖尿病予防効果、ピロリ菌除菌効果、肺活量・呼吸機能改善効果、LDLコレステロール低下効果、大気汚染物質の排泄促進効果、便通改善効果、記憶力や注意力改善効果、統合失調症緩和効果、肥満予防・改善効果、脂肪肝予防・改善効果、認知症予防効果、認知機能改善効果、腸内菌叢改善効果、うつ病予防効果、前立腺予防効果、からなる群より選択される少なくとも1つの機能性を有するものであっても良い。
<グルコシノレート残存率>
本発明におけるグルコシノレート残存率とは、製造時のグルコシノレート濃度に対する、製造から対象となる日時経過後のグルコシノレート濃度の割合を百分率(%)で表したものを意味する。
本飲食品を具現化したのは、試験例1乃18、並びに20及び21である。ただし、これらの実施例によって、本発明に係る特許請求の範囲が限定されるものではない。
<グルコシノレート含有組成物>
本実施例では、グルコシノレート含有組成物として、ブロッコリースプラウト由来の水抽出物(以下、「BSエキス」という)を使用した。BSエキスは、ブロッコリーの種子(Caudill Seed Co., Inc.)を発芽させ、発芽後1日間栽培してブロッコリースプラウトを得た。これを95℃の熱水で30分間抽出を行った後、ブロッコリースプラウトの残渣を除去して、抽出液を得た。当該抽出液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。当該グルコシノレート含有組成物のBrixは、15.0、SGS濃度は、30±3mg/100gであった。
<SGS濃度の測定>
本測定で採用したSGSの測定方法は、HPLC法である。試料は適宜希釈し、フィルター濾過したものを検体とした。詳細な測定条件は、以下のとおりである。
<HPLC測定条件>
装置:ACQUITY UPLC H-Classシステム(Waters社製)
カラム:ACQUITYCSH C18(Φ2.1×100mm, 1.7μm)(Waters社製)
カラム温度:30℃
サンプル注入量:10μL
移動相A:超純水:トリフルオロ酢酸=99.95:0.05(v:v)
移動相B:メタノール:トリフルオロ酢酸=99.95:0.05(v:v)
グラジエント:5分間 移動相B割合0%を維持
10分間で移動相B割合0→10%のリニアグラジエント
5分間で移動相B割合10→100%のリニアグラジエント
5分間 移動相B割合100%を維持
2分間で移動相B割合100→0%のリニアグラジエント
5分間 移動相B割合0%を維持
流速:0.1mL/min
検出波長:235nm
<糖度(Brix)の測定>
本測定で採用した糖度(Brix)の測定器は、デジタル屈折計RX5000i(ATAGO社製)である。測定時の品温は、摂氏20度であった。
<野菜原料(BSエキス)中の鉄濃度の測定>
本測定で採用した野菜原料(BSエキス)中の鉄濃度の測定方法は、ICP-MS法である。測定機は、Agilent 7500cs(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用い、当該機器の測定手順に従い分析を行った。
<pHの測定>
本測定で採用したpHの測定器は、pH計(pH METER F-52 HORIBA社製)である。測定時の品温は、摂氏20度であった。
<SGS残存率>
本実施例においてSGS残存率は、製造から対象となる日時経過後のグルコシノレート濃度を、製造時のSGS濃度で除し、100を乗じることで算出した。表1及び表2に記載の数値は、いずれもn=3における平均値である。試験区分の経時変化観察の際の保管温度は、全て37℃であった。
<試験例1~4、比較例1>
試験例1~4では、前記BSエキス、EDTA2Na(株式会社同人化学社製)、蒸留水、及び1NHCL(pH調整用)を用いて、pH4.3±0.1のモデル液を調合し、93℃達温でホットパックによる加熱殺菌を行った後、冷却した。当該モデル液のSGS濃度、EDTAモル濃度、及び鉄イオンモル濃度は、表1に記載のとおりであった。各試験区分について37℃で0日、72日、120日保管し、各日数経過時のSGS濃度を測定した。試験例1~4の対照区分は、上記区分にEDTA2Naを添加調合しない、比較例1とした。鉄イオン濃度が低い区分では、SGSの減少が緩やかであるため、長期間の経過観察を行った。なお、比較例1で示す1μMの鉄オイン濃度は、前記BSエキス由来のものである。
<試験例5~8、比較例2>
試験例5~8では、前記BSエキス、EDTA2Na、塩化鉄(II)(FeCl)、蒸留水、及び1NHCl(pH調整用)を用いて、pH4.3±0.1のモデル液を調合し、93℃達温でホットパックによる加熱殺菌を行った後、冷却した。当該モデル液のSGS濃度、EDTAモル濃度、及び鉄イオンモル濃度は、表1に記載のとおりであった。各試験区分について37℃で72日、120日保管し、各日数経過時のSGS濃度を測定した。試験例5~8の対照区分は、上記区分にEDTA2Naを添加調合しない、比較例2とした。
<試験例9~21、比較例3~6>
試験例9~21では、前記BSエキス、EDTA2Na、塩化鉄(II)(FeCl)、蒸留水、及び1NHCl(pH調整用)を用いて、pH4.3±0.1のモデル液を調合し、93℃達温でホットパックによる加熱殺菌を行った後、冷却した。比較例3~6では、EDTA2Naを使用せず、前記同様の手順で作製した。当該モデル液のSGS濃度、EDTAモル濃度、及び鉄イオンモル濃度は、表1に記載のとおりであった。各試験区分について37℃で2週間保管し、2週間経過後のSGS濃度を測定した。試験例9~12の対照を比較例3、試験例13~15の対照を比較例4、試験例16~18の対照を比較例5、試験例19~21の対照を比較例6とした。
<試験例22~39、比較例7~12>
試験例22~39では、前記BSエキス、フィチン酸(敷島スターチ株式会社製)、塩化鉄(II)(FeCl)(和光純薬株式会社製)蒸留水、及び1NHCl(pH調整用)を用いて、pH4.3±0.1のモデル液を調合し、93℃達温でホットパックによる加熱殺菌を行った後、冷却した。比較例7~12では、フィチン酸を使用せず、前記同様の手順で作製した。当該モデル液のSGS濃度、フィチン酸モル濃度、及び鉄イオンモル濃度は、表2に記載のとおりであった。各試験区分について37℃で2週間、又は4週間保管し、2週間、又は4週間経過後のSGS濃度を測定した。試験例22~25の対照を比較例7、試験例26~29の対照を比較例8、試験例30~33の対照を比較例9、試験34及び35の対照を比較例10、試験例36及び37の対照を比較例11、試験例38及び39の対照を比較例12とした。
<SGS減少抑制評価>
本試験において、対照区分と比較して、SGS残存率が低い区分をSGS減少抑制評価「×」とした。また、対照区分と比較して、SGS残存率の平均が高い区分を、SGS減少抑制評価「○」とした。そして、対照区分と比較して、SGS残存率の平均が高い区分(有意水準5%以下:Dunnet検定)を、SGS減少抑制評価「◎」とした。
Figure 0007048475000003
Figure 0007048475000004
<まとめ>
以上の試験結果から、経時変化によるSGS減少を抑制するために、キレート剤を用いることが有効であることがわかった。当該作用は、SGSの分解に関わる鉄イオンが、キレート剤によりキレート化されることが原因であると考えられる。キレート剤の中でも、特にEDTAを用いることが有効であることがわかった。一方で、鉄イオンのキレート剤であるフィチン酸では、SGS減少抑制効果は見られなかった。その理由は明確ではないが、フィチン酸は、鉄イオンに対するキレート作用を有すると同時に、高濃度では、鉄イオンに対して還元作用をも有すると推測される。そのため、当該還元作用により、鉄イオンが再還元され、SGSが分解したことが考えられる。本実施例により、本発明の効果を得られた範囲を、表3に示した。
以上のことから、経時変化によるグルコシノレートの分解を抑制するためには、キレート剤、特にEDTAを用いることが好ましく、飲食品が含有するキレート剤モル濃度[A]と、当該飲食品が含有する鉄イオンモル濃度[B]との関係が、[A]/[B]≧0.1とすることが好ましい。また、好ましくは、[A]が、1μM以上、100μM以下のとき、[B]は、1μM以上、10μM以下である。また、好ましくは、[A]が、100μM以上のとき、[B]は、1μM以上、200μM以下である。
Figure 0007048475000005
本発明が有用な分野は、グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法である。

Claims (14)

  1. グルコシノレート含有飲料であって、当該飲料が含有するのは、
    キレート剤であり、当該キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸又はその塩であり、当該飲料のエチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]と、当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]との関係は、
    [A]/[B]≧0.1 である。
  2. 請求項飲料であって、
    前記飲料のキレート剤モル濃度[A]は、0μMより大きく、1000μM以下であり、かつ、
    前記飲料の鉄イオンモル濃度[B]は、0μMより大きく、200μM以下である。
  3. グルコシノレート含有飲料であって、当該飲料が含有するのは、
    キレート剤であり、当該キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸又はその塩であり、
    当該飲料エチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]は、1μM以上、100μM未満であり、かつ 、
    当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]は、1μM以上、10μM以下である。
  4. グルコシノレート含有飲料であって、当該飲料が含有するのは、
    キレート剤であり、当該キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸又はその塩であり、
    当該飲料エチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]は、100μM以上であり、かつ、
    当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]は、1μM以上、200μM以下である。
  5. 請求項1~の何れかの飲料であって、当該飲料のグルコシノレート濃度は、457μM以上である。
  6. 請求項1~の何れかの飲料であって、当該飲料は、容器詰である。
  7. グルコシノレート含有飲料の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも次の工程である。:
    調合:ここで調合されるのは、少なくともグルコシノレート含有組成物、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩であり、 それによって得られる当該飲料のエチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]と、当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]との関係は、
    [A]/[B]≧0.1 である。
  8. 請求項の製造方法であって、
    それによって得られる前記飲料エチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]は、0μMより大きく、1000μM以下であり、かつ、
    当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]は、0μMより大きく、200μM以下である。
  9. グルコシノレート含有飲料の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも次の工程である:
    調合:ここで調合されるのは、少なくともグルコシノレート含有組成物、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩であり、
    それによって得られる当該飲料エチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]は、1μM以上、100μM未満であり、かつ、
    当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]は、1μM以上、10μM以下である。
  10. グルコシノレート含有飲料の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも次の工程である:
    調合:ここで調合されるのは、少なくともグルコシノレート含有組成物、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩であり、
    それによって得られる当該飲料エチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]は、100μM以上であり、かつ、
    当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]は、1μM以上、200μM以下である。
  11. 請求項7~10の何れかの製造方法であって、それを更に構成するのは、次の工程である:
    加熱:ここで加熱されるのは、前記調合によって得られたものである。
  12. 請求項7~11の何れかの製造方法であって、それによって得られる前記飲料のグルコシノレート濃度は、457μM以上である。
  13. グルコシノレート含有飲料の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程である。:
    調合:ここで調合されるのは、少なくともグルコシノレート含有組成物、及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩であり、 当該調合によって調整されるのは、当該飲料が含有するエチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]と当該飲料が含有する鉄イオンモル濃度[B]であり、
    それによって得られる当該飲料のエチレンジアミン四酢酸又はその塩のモル濃度[A]と、当該飲料の鉄イオンモル濃度[B]との関係は、
    [A]/[B]≧0.1 である。
  14. 請求項13の方法であって、それを更に構成するのは、次の工程である:
    加熱:ここで加熱されるのは、前記調合によって得られたものである。
JP2018207925A 2018-11-05 2018-11-05 グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法 Active JP7048475B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018207925A JP7048475B2 (ja) 2018-11-05 2018-11-05 グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018207925A JP7048475B2 (ja) 2018-11-05 2018-11-05 グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020074685A JP2020074685A (ja) 2020-05-21
JP7048475B2 true JP7048475B2 (ja) 2022-04-05

Family

ID=70723015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018207925A Active JP7048475B2 (ja) 2018-11-05 2018-11-05 グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7048475B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012149941A1 (en) 2011-05-03 2012-11-08 Københavns Universitet A process for the manufacture of products from cruciferous crops
JP2017178805A (ja) 2016-03-29 2017-10-05 国立大学法人金沢大学 Lps産生抑制剤、及びlps産生抑制用の食品組成物
JP2017217006A (ja) 2015-10-28 2017-12-14 太陽化学株式会社 モリンガエキス

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012149941A1 (en) 2011-05-03 2012-11-08 Københavns Universitet A process for the manufacture of products from cruciferous crops
JP2017217006A (ja) 2015-10-28 2017-12-14 太陽化学株式会社 モリンガエキス
JP2017178805A (ja) 2016-03-29 2017-10-05 国立大学法人金沢大学 Lps産生抑制剤、及びlps産生抑制用の食品組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020074685A (ja) 2020-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5817094B2 (ja) トマト加工品及びその製造方法
Siah et al. Effects of packaging materials and storage on total phenolic content and antioxidant activity of Centella asiatica drinks
EP4070668A1 (en) Acetic acid-containing food or drink
EP4066652A1 (en) Acetic acid-containing food or drink
WO2018159516A1 (ja) トマト加熱処理物及びトマトベース飲食品、ならびにその製造方法
Kadivec et al. Potential of eggplant peel as by-product
JP7048475B2 (ja) グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法
JP7048476B2 (ja) グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法
JP2013005777A (ja) 野菜酢及びこれを用いた加工食品
JP7383084B2 (ja) グルコシノレート含有飲食品、グルコシノレート含有飲食品の製造方法、グルコシノレート含有飲食品の経時変化によるグルコシノレート量の減少を抑制する方法
US20220408761A1 (en) Acetic acid-containing food or beverage
JP6208839B1 (ja) 野菜飲料の製造方法
JP6912784B1 (ja) 酢酸含有飲食品
KR20100137074A (ko) 과채류 보존용 코팅제 조성물
WO2018021276A1 (ja) パスタソース及びその製造方法
JP6821848B1 (ja) 飲料
JP2016198007A (ja) カロテノイドおよびカロテノイド含有飲食品の香味劣化抑制剤
Ali et al. The effect of different cooking methods on antioxidant activity of fruits and vegetables
KR101811795B1 (ko) 홍마늘의 제조방법 및 홍마늘을 유효성분으로 포함하는 곱창용 홍마늘소스 조성물
JP6936455B1 (ja) 酢酸含有飲食品
JP2023094648A (ja) グルコシノレート含有組成物の製造方法、及びグルコシノレート含有植物からのグルコシノレートの抽出効率を高める方法
Mašković et al. CHEMICAL ANALYSIS OF DIFERENT BRANDS OF ORANGE JUICE IN SERBIAN MARKET
Kamble et al. Development and organoleptic evaluation of value added products from gogu (Hibiscus cannabinus L.).
Olaniran et al. Improvement of food aroma and sensory attributes of processed food products using essential oils/boosting up the organoleptic properties and nutritive of different food products
Latif et al. Effect of some chemical preservatives and storage condition on phytochemical components and antioxidant activity of some fruit pulp

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211012

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220324

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7048475

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150