本発明の実施形態による撮像装置について説明する。本実施形態では、撮像のための撮影光学系と、撮像素子と、撮像素子から出力される映像信号を処理するための映像処理装置と、を有する撮像装置を、本発明の実施形態の一例として説明する。ただし、映像処理装置は、必ずしも撮像装置の一部として構成される必要はなく、撮像素子及び撮影光学系とは別のハードウェアにより構成されていてもよい。また、映像処理装置の機能の全部又は一部を、撮像素子に搭載するようにしてもよい。
(撮像装置の構成)
図1(a)及び図1(b)は、本実施形態における撮像装置の一例としてのデジタルスチルモーションカメラの外観図である。図1(a)は、撮像装置の正面図を示しており、図1(b)は、撮像装置の背面図を示している。撮像装置100は、筐体151と、筐体151の正面部に設けられた撮影光学系152と、筐体151の上面部に設けられたスイッチST154及びプロペラ162とを有している。また、撮像装置100は、筐体151の背面部に、表示部153と、スイッチMV155と、撮影モード選択レバー156と、メニューボタン157と、アップダウンスイッチ158、159と、ダイアル160と、再生ボタン161とを有している。
筐体151は、撮像素子、シャッター装置等の撮像装置100を構成する種々の機能部品を収納する容器である。撮影光学系152は、被写体の光学像を結像するための光学系である。表示部153は、撮影情報や映像を表示するための表示装置により構成される。表示部153には、必要に応じて画面の向きを変えるための可動機構が設けられていてもよい。表示部153は、ダイナミックレンジの広い映像もその輝度範囲を抑制することなく表示できるだけの表示輝度範囲を有している。スイッチST154は、主に静止画の撮影を行うために使用するシャッターボタンである。スイッチMV155は、動画撮影の開始及び停止を行うためのボタンである。撮影モード選択レバー156は、撮影モードを選択するための切り替えスイッチである。メニューボタン157は、撮像装置100のモードを撮像装置100の機能設定を行う機能設定モードへ移行させるためのボタンである。アップダウンスイッチ158、159は、各種の設定値を変更する際に用いるボタンである。ダイアル160は、各種の設定値を変更するためのダイアルである。再生ボタン161は、撮像装置100に収納されている記録媒体に記録されている映像を表示部153上で再生する再生モードへ移行するためのボタンである。プロペラ162は、空中からの撮影を行うために撮像装置100を空中に浮上させるためのものである。
図2は、本実施形態による撮像装置100の概略構成を示すブロック図である。撮像装置100は、図2に示すように、絞り181、絞り制御部182、光学フィルタ183、撮像素子184、デジタル信号処理部187、タイミング発生部189を有している。また、撮像装置100は、システム制御CPU178、スイッチ入力手段179、映像メモリ190、飛行制御装置200、取得手段201を有している。また、撮像装置100は、表示部153、表示インターフェース部191、記録インターフェース部192、記録媒体193、プリントインターフェース部194、外部インターフェース部196、無線インターフェース部198を有している。
撮像素子184は、撮影光学系152を介して結像された被写体の光学像を電気的な映像信号に変換するためのものである。なお、図中に一点鎖線で示された光軸180は、撮影光学系152の光軸を示している。撮像素子184は、例えば、CMOS型のイメージセンサであり得る。撮像素子184の仕様は、特に限定されるものではないが、例えば、UHDTV(Ultra High Definition Television)の規格を満たすに十分な画素数、信号読み出し速度、色域、ダイナミックレンジを有している。絞り181は、撮影光学系152を通る光の量を調節するためのものである。絞り制御部182は、絞り181を制御するためのものである。光学フィルタ183は、撮像素子184に入射する光の波長又は被写体像の空間周波数を制限するためのものである。
取得手段201は、被写体から射出され、撮像素子184に入射される光に基づいて少なくとも、被写体の輝度変化周期を取得する。このとき、取得手段201は、被写体の輝度変化のデューティー(Duty)比又は被写体の輝度変化の位相を更に取得してもよい。このデューティー比は、例えば、被写体の輝度が所定値を超えている期間(光源の点灯期間)の割合であり得る。あるいは、取得手段201は、あらかじめ設定された値を映像メモリ190、記録媒体193等の記録装置から読み出すことにより光の周期、デューティー比又は位相を取得してもよい。あるいは、取得手段201は、スイッチ入力手段179等のユーザインターフェースによりユーザからの入力を受け付けることにより、光の周期、デューティー比又は位相を取得してもよい。
デジタル信号処理部187は、撮像素子184から出力されるデジタル信号の映像信号に対して各種の補正を行った後、映像データを圧縮するためのものである。タイミング発生部189は、撮像素子184、デジタル信号処理部187に各種タイミング信号を出力するためのものである。システム制御CPU178は、タイミング発生部189とともに、各種演算の実行や撮像装置100の全体の制御を司る制御手段として機能する。また、システム制御CPU178は、撮像素子184で取得された信号から周期、デューティー(Duty)比又は位相を算出することにより、上述の取得手段201として機能してもよい。あるいは、システム制御CPU178は、記録装置又はユーザインターフェースから光の周期、デューティー比又は位相を取得することにより、上述の取得手段201として機能してもよい。
映像メモリ190は、映像データを一時的に記憶するためのものである。表示インターフェース部(表示I/F)191は、撮影された映像を液晶ディスプレイ等の表示部153に表示するためのシステム制御CPU178と表示部153との間のインターフェースである。記録媒体193は、映像データや付加データ等を記録するための半導体メモリ等の記録媒体であり、撮像装置100に備え付けられていてもよく、着脱可能であってもよい。記録インターフェース部(記録I/F)192は、記録媒体193に記録又は記録媒体から読み出しを行うためのシステム制御CPU178と記録媒体193との間のインターフェースである。外部インターフェース部(外部I/F)196は、外部コンピュータ197等の外部機器と通信するためのシステム制御CPU178と外部機器との間のインターフェースである。プリントインターフェース部(プリントI/F)194は、撮影された映像を小型インクジェットプリンタ等のプリンタ195に出力し印刷するためのシステム制御CPU178とプリンタ195との間のインターフェースである。無線インターフェース部(無線I/F)198は、インターネット等のネットワーク199と通信するためのシステム制御CPU178とネットワーク199との間のインターフェースである。スイッチ入力手段179は、スイッチST154、スイッチMV155、各種モードの切り替えを行う複数のスイッチを含む。飛行制御装置200は、空中からの撮影を行うためにプロペラ162を制御して撮像装置100を飛行させるための制御装置である。
図3は、本実施形態による撮像装置100における撮像素子184の画素の構成例を示す回路図である。撮像素子184は、複数の画素50が行列状に配列された画素アレイを有する。図3においては、撮像素子184の複数の画素50のうち、1行1列目(1,1)の画素50と最終行であるm行1列目(m,1)の画素50のみを示している。1行1列目(1,1)の画素50とm行1列目(m,1)の画素50の回路構成は同一であるため、対応する素子には同じ符号が付されている。
各画素50は、図3に示すように、フォトダイオード500、転送トランジスタ501A、501B、502A、502B、503、リセットトランジスタ504、増幅トランジスタ505及び選択トランジスタ506を含む。
フォトダイオード500のアノードは、接地線に接続されている。フォトダイオード500のカソードは、転送トランジスタ501Aのソース、転送トランジスタ501Bのソース及び転送トランジスタ503のソースに、それぞれ接続されている。転送トランジスタ501Aのドレインは、転送トランジスタ502Aのソースに接続されている。転送トランジスタ501Aのドレインと転送トランジスタ502Aのソースとの間の接続ノードは、信号保持部507A(第2の信号保持部)を構成する。転送トランジスタ501Bのドレインは、転送トランジスタ502Bのソースに接続されている。転送トランジスタ501Bのドレインと転送トランジスタ502Bのソースとの間の接続ノードは、信号保持部507B(第1の信号保持部)を構成する。
転送トランジスタ502Aのドレイン及び転送トランジスタ502Bのドレインは、リセットトランジスタ504のソース及び増幅トランジスタ505のゲートに接続されている。転送トランジスタ502Aのドレイン、転送トランジスタ502Bのドレイン、リセットトランジスタ504のソース及び増幅トランジスタ505のゲートの接続ノードは、フローティングディフュージョン領域508を構成する。増幅トランジスタ505のソースは、選択トランジスタ506のドレインに接続されている。リセットトランジスタ504のドレイン及び増幅トランジスタ505のドレインは、電源線520に接続されている。転送トランジスタ503のドレインは、電源線521に接続されている。選択トランジスタ506のソースは、信号出力線523に接続されている。
このように、本実施形態による撮像素子184の画素50は、光電変換部として機能する1つのフォトダイオード500に対して2つの信号保持部507A、507Bを有している。信号保持部を有する撮像素子の基本構造は、例えば、特許文献1にて開示されているため、ここでの詳細な説明は省略する。
複数の画素50は、行方向に配された制御線に接続されている。各行の制御線は、転送トランジスタ501A、502A、501B、502B、503、リセットトランジスタ504及び選択トランジスタ506のゲートにそれぞれ接続された複数の制御線を含む。転送トランジスタ501Aは転送パルスφTX1Aで制御され、転送トランジスタ502Aは転送パルスφTX2Aで制御される。転送トランジスタ501Bは転送パルスφTX1Bで制御され、転送トランジスタ502Bは転送パルスφTX2Bで制御される。リセットトランジスタ504はリセットパルスφRESで制御され、選択トランジスタ506は選択パルスφSELで制御される。転送トランジスタ503は転送パルスφTX3で制御される。各制御パルスは、撮像装置100のシステム制御CPU178からの制御信号に基づいて、撮像素子184に設けられた不図示の垂直走査回路から送出される。各トランジスタは、制御パルスがハイレベルのときにオンとなり、制御パルスがローレベルのときにオフとなる。
本実施形態の撮像素子184は、1つのフォトダイオード500に対して2つの信号保持部507A、507Bを有している。これにより、撮像装置100は、第1の画像信号である動画と第2の画像信号である静止画とをほぼ同時に撮影することが可能となっている。
以上が本実施形態における撮像装置100の基本的な構成である。続いて撮像装置100を用いた静止画と動画の同時撮影(以降、デュアル撮影と呼称する)の動作について説明する。
(デュアル撮影のフロー)
図4は本実施形態による撮像装置100におけるデュアル撮影の動作を示すフローチャートである。この動作は、システム制御CPU178又はシステム制御CPU178により制御される撮像装置100の各部により実行される。また、図5は、図4のフローチャートのステップS401からS403における各種設定を行う際に、表示部153に表示される撮影条件設定画面を示す模式図である。
ユーザが撮像装置100の撮影モード選択レバー156を回転させると、撮像装置100は、デュアル撮影を行うためのデュアル撮影モードに移行し、図4のフローチャートの処理が開始する。なお、撮像装置100がアクションカメラ等の小型のカメラである場合において、撮像装置100は、常にデュアル撮影モードで動作するものであってもよい。この場合、撮影モード選択レバー156は省略可能である。
図4のステップS401において、撮像装置100のスイッチ入力手段179等は、デュアル撮影における基本撮影条件を設定するためのユーザの操作を受け付ける。ここで、図5を参照して、撮影条件設定画面の構成、パラメータ等の内容について説明する。
表示部153の上段には、動画フレームレート表示窓340、露出モード表示窓341、ISO感度設定表示窓342及び蓄積分割数表示窓370が表示されている。動画フレームレート表示窓340、露出モード表示窓341、ISO感度設定表示窓342及び蓄積分割数表示窓370の中には、動画フレームレート、露出モード、ISO感度設定及び蓄積分割数がそれぞれ表示される。
また、表示部153の中段は、動画(Picture A)及び静止画(Picture B)のそれぞれについての設定又はパラメータの表示窓が表示されている領域である。表示部153の動画(Picture A)の行には、ISO感度表示窓323、シャッタースピード表示窓325、露出補正値表示窓351及びピクチャーモード表示窓327が表示されている。表示部153の静止画(Picture B)の行には、ISO感度表示窓324、シャッタースピード表示窓326、露出補正値表示窓352及びピクチャーモード表示窓328が表示されている。更に、表示部153の動画(Picture A)の行及び静止画(Picture B)の行には、これらに共通の絞り値表示窓322が表示されている。ISO感度表示窓323、324には、ISO感度の値が表示されている。シャッタースピード表示窓325、326には、シャッタースピードの値が表示されている。絞り値表示窓322には絞り値が表示されている。露出補正値表示窓351、352には、露出補正値が表示されている。ピクチャーモード表示窓327、328には、ピクチャーモードが表示されている。
表示部153の下段には、輝度表示部361及び優先順位表示部360が表示されている。輝度表示部361には、検出された被写体の輝度が表示されている。優先順位表示部360には、デュアル撮影時の電荷の蓄積において、動画と静止画のうちのどちらを優先するかを示す優先順位が表示されている。ユーザは、アップダウンスイッチ158、159、ダイアル160等を操作することにより、表示部153に表示されている設定又は値を変更することができる。
図4のステップS401において、ユーザは、基本撮影条件として、動画フレームレート、露出モード及びISO感度設定の3つのパラメータを設定する。また、ユーザはこれに加えて、露出補正値、ピクチャーモード、優先順位等のパラメータを設定してもよい。撮像装置100は、これらの設定を受け付ける。
動画フレームレートは、動画撮影時における画像の取得頻度を決めるためのパラメータである。動画フレームレートが大きいほど、画像を取得する頻度が大きくなるため、滑らかな動画を撮影することができるが、処理負荷及びデータ量が増大する。そのため、ユーザは、これらを考慮して、動画フレームレートの値を適切に設定する。図5の動画フレームレート表示窓340に示されているように、本実施形態では、動画フレームレートの値は60fps(frames per second)に設定されている。動画フレームレートの逆数は動画周期、すなわち、画像を取得する時間間隔であり、本実施形態では1/60秒である。
露出モードとISO感度設定は、シャッタースピード、絞り値及びISO感度の3つのパラメータのうち、いずれを手動で設定し、いずれを自動で設定するかを決めるものである。シャッタースピード、絞り値及びISO感度は、撮影する画像の明るさ(露出)を決める要素であり、これらは、総称として露出パラメータと呼称されることもある。
ユーザは、自身の撮影意図に基づき、露出パラメータのうちの手動で設定するものを決めて、それを設定するための適切な露出モード及びISO感度設定を選択する。例えば、高速で動く被写体を鮮鋭に撮影したい場合には、シャッタースピードをなるべく短くすることが望まれる。そのため、ユーザは、露出モードをシャッター優先AE(Auto Exposure)モード(いわゆる、Tvモード等)に設定し、手動でシャッタースピードを短い値に設定できるようにする。
また、被写体の背景をぼかしたい場合には、絞り値をなるべく小さくすることが望まれる。そのため、ユーザは、露出モードを絞り優先AEモード(いわゆる、Avモード等)に設定し、手動で小さい絞り値設定できるようにする。
また、なるべくノイズの少ない画像を得たい場合には、小さいISO感度で撮影を行うことが望まれる。そのため、ユーザは、ISO感度設定を手動に設定し、ISO感度の値を100等の小さい値に設定する。
また、ユーザが全てのパラメータを自動で設定させることを望む場合には、ユーザは、露出モードをプログラムAEモード(いわゆる、Pモード等)に設定し、ISO感度設定をオート(AUTO)にそれぞれ設定すればよい。
デュアル撮影時においては、静止画と動画とをそれぞれ異なるシャッタースピード及びISO感度に制御しながら撮影を行うため、露出パラメータの設定はなるべく自動化されている方がユーザの操作が簡易である。したがって、本実施形態では、図5の露出モード表示窓341に示されているように、露出モードはPモードである。また、図5のISO感度設定表示窓342に示されているように、ISO感度設定はオートである。
露出補正値及びピクチャーモードは、静止画及び動画の画質を調整するためのパラメータである。撮像装置100は、1フレームごとにそれぞれ独立した静止画及び動画の画像を取得するため、露出補正値及びピクチャーモードの設定は、静止画及び動画に対しそれぞれ独立して行うことができる。
静止画と動画の優先順位の設定は、蓄積タイミングの重複、処理負荷の増大等により、デュアル撮影を行うことが困難になった場合に、静止画と動画のどちらを優先して画像取得及び記録を行うかに関する設定である。
なお、ステップS401で設定された動画フレームレート、露出モード、ISO感度設定等のパラメータは、基本的にはデュアル撮影中には変化しない。言い換えると、これらのパラメータはデュアル撮影中に変わらないように固定的に適用されるパラメータである。
図4のステップS402において、撮像装置100のシステム制御CPU178等は、適切な露出の画像を撮影できるようにするための測光及び露出制御を行う。この処理では、被写体の輝度を測定し、その後、得られた輝度値と露出モードの設定と、ISO感度設定に基づき、露出パラメータを最適な値に自動設定する。
被写体の輝度の測定には様々な公知の測光手法が用いられ得る。露出パラメータの自動設定は、APEX(Additive system of Photographic EXposure)システムと呼称される計算方法に基づくAE線図を用いて行われる。
APEXシステムは、露出制御に関わる計算を容易に行うための計算方法である。シャッタースピード、絞り値及びISO感度は、それぞれTv(Time value)、Av(Aperture value)、Sv(Sensitivity value)に換算される。更に、測光により得られた被写体の輝度値をBv(Brightness value)、露出をEv(Exposure value)とする。これらの5つの値は総称としてAPEX値とも呼称される。
このとき、5つのAPEX値が以下の(式1)に示す関係式を満たすように露出パラメータを設定することで、適露出の画像を得ることができる。
Ev = Tv + Av = Bv + Sv (式1)
本実施形態では露出モードをPモードに設定し、ISO感度設定をオートに設定しているため、APEX値のうちのTv、Av及びSvがいずれも未指定であり、これらは1通りの値には定まらない。そこで、撮像装置100は、あらかじめこれらの関係を規定するAE線図を備えており、AE線図を参照することでこれらのAPEX値を決定し、露出パラメータを設定する。
図6は本実施形態の撮像装置100における、デュアル撮影時のプログラムAE線図である。このAE線図は、露出モードがPモードであり、ISO感度設定がオートである場合を前提としたものである。図6において、横軸はTvを示しており、縦軸はAvを示している。横軸及び縦軸にはそれぞれ対応するシャッタースピード及び絞り値を付記している。また、斜め方向の破線は等Ev線を示している。
また、図6には、実線で静止画のプログラム線388が示されておりと破線でプログラム線389が示されている。更に、図6中の左上の領域386には動画におけるBvとISO感度の関係が図示されており、領域387には静止画におけるBvとISO感度の関係が図示されている。
図6に示されているように、静止画の撮影と動画の撮影において、撮像装置100は、それぞれ異なる露出制御を行う。具体的には、静止画の撮影においては鮮鋭な画像を得るために、シャッタースピードが比較的小さい値(例えば、1/1000秒以下)となるようにプログラム線388が設定されている。一方、動画の撮影においては再生時にジャーキネスを感じにくい画像を得るために、シャッタースピードが動画フレームレートの逆数に近い値(例えば、1/60秒)となるようにプログラム線389が設定されている。
また、共通の撮影光学系152を用いたデュアル撮影を実現するため、これらのプログラム線は互いに、同じ被写体輝度値に対して同じ絞り値になるように設定されている。例えば、Bvが12の被写体の撮影においては、静止画の等Ev線381は、プログラム線388と交点383において交わるため、シャッタースピードは1/1000秒、絞り値は11と決定される。同様に、動画の等Ev線384は、プログラム線389と交点382において交わるため、シャッタースピードは1/60秒、絞り値は11と決定される。
このとき、本実施形態の撮像装置100は、動画の撮影における適切なISO感度は、静止画の撮影における適切なISO感度よりも低くなる。しかしながら、静止画の撮影が適露出で行われるように撮像素子184の感度設定を行うと、動画の撮影において信号が飽和することがある。これに対し、動画の撮影が適露出で行われるように撮像素子184の感度設定を行うと、静止画の撮影において信号が小さくなるため、S/N比が不十分となることがある。このように、静止画と動画の両方に対して適切な感度設定を行うためには、信号の蓄積方法に工夫が必要となる。
そのため、本実施形態では、静止画の撮影が適露出で行われるように撮像素子184を設定する。これとともに、動画の撮影においては、シャッタースピードに相当する蓄積期間の間に、ほぼ均等の時間間隔で分散された短い期間の蓄積(以下単に短い蓄積と呼ぶこともある)及び転送を複数回行うように制御を行う。これにより、静止画を適露出で撮影しつつ、動画の撮影においても画像信号を飽和させないようにすることができる。また、本制御では、見かけ上のシャッタースピード(最初の短い蓄積を行ってから、最後の短い蓄積を終えるまでの時間)は、動画フレームレートの逆数とほぼ一致するため、ジャーキネスを低減させる効果は維持される。
更に、動画の撮影において上述の短い蓄積を行った時間の合計が、静止画の撮影におけるシャッタースピード(すなわち、静止画の撮影における蓄積時間の合計)と略等しくなるようにしてもよい。これにより、動画と静止画に対し、同じ感度設定が可能になる。
以上のように、本実施形態の撮像装置100は、同一の撮影光学系152を用いて、鮮鋭な静止画と、ジャーキネスが低減された滑らかな動画をほぼ同時に撮影することができる。そのため、高品位な静止画及び動画の撮影が可能なデュアル撮影が実現される。
なお、デュアル撮影における具体的なパラメータの一例としては、以下のものが挙げられる。Bvが12の被写体を撮影する場合、ISO感度は静止画に適した100に設定される。ここで、動画の撮影においては、1/8000秒の短い蓄積を1/480秒の時間間隔で8回行う。なお、1/8000秒は、静止画のシャッタースピードである1/1000秒を8等分した時間であり、1/480秒の時間間隔は、ジャーキネスを感じにくい好適なシャッタースピードである1/60秒を8等分したものである。
以降の説明では、上述のような短い蓄積を複数回行う動画の蓄積方法を、動画の分割蓄積と呼称する。更に、動画を構成する1枚の画像を得る1フレーム期間(一の撮影周期中)において、動画のシャッタースピード(1/60秒等)に相当する期間を動画の蓄積期間と定義する。すなわち、動画の蓄積期間は、1フレーム期間のうちの、信号電荷を蓄積する期間であり、1フレーム期間の間のほぼすべての期間に分割蓄積を行う場合には、動画の蓄積期間は1フレーム期間にほぼ一致する。また、短い蓄積を行った時間の累計を動画の蓄積時間と定義する。また、短い蓄積を行い、蓄積された電荷を転送する転送回数、すなわち蓄積期間の分割数を蓄積分割数と定義する。また、蓄積期間内における短い蓄積の間隔を蓄積間隔と定義し、1回の短い蓄積の時間を単位蓄積時間と定義する。なお、仮に静止画についても同様の定義をするとすれば、静止画の撮影時には分割蓄積を行わないため、蓄積分割数は1である。また、静止画に関しては、蓄積期間、蓄積時間及び単位蓄積時間は全て等しく、これらはいずれもシャッタースピードと一致する。
また、以降の説明では、動画フレームレートの逆数である動画周期をTfと、静止画の蓄積期間(動画の蓄積時間と等しい)をT1と、動画の蓄積期間をT2と、蓄積分割数をNpとそれぞれ表記して適宜用いるものとする。このとき、動画の蓄積間隔及び単位蓄積時間は、それぞれT2/Np及びT1/Npとなる。なお、短い蓄積は少なくとも2回行われ、また、蓄積された電荷は少なくとも2回転送されるため、蓄積分割数Npは2以上の整数である。
なお、上述のBv値が12の場合のように、1フレーム期間内に短い蓄積を8回行う場合(蓄積分割数Np=8)には、見かけ上のシャッタースピード(1/60秒の7/8倍)は動画の蓄積期間(1/60秒)に対してやや短くなる。これにより、ジャーキネスの低減効果はシャッタースピードが1/60秒ちょうどである場合と比べるとやや減少する。しかしながら、この影響は蓄積分割数がある程度の大きさであれば十分に小さい。
この分割蓄積は、動画の蓄積期間とシャッタースピードとを同一とした際に、フレーム間の蓄積間隔(あるフレームで最後の蓄積を開始してから、次のフレームで最初の蓄積を開始するまでの時間)を動画の蓄積間隔と同一とすることができる。すなわち、複数のフレーム期間にわたって常に一定の間隔で分割蓄積を行うことができるため、制御を容易にすることができる。
ただし、ジャーキネスの低減効果をより重視する場合には、1フレーム内で短い蓄積を上述の望ましい蓄積分割数よりも1回多い回数(すなわち、9回)行ってもよい。この場合、動画の見かけ上のシャッタースピードは、蓄積期間と単位蓄積時間の和となり、蓄積期間よりも長くなるため、ジャーキネスをより低減することができる。なお、この場合には単位蓄積期間は、T1/(Np+1)となる。また、この場合には、蓄積期間は少なくとも動画フレームレートよりも短い長さに設定する必要がある。
図4のステップS402においては、以上の手法を適用できるように静止画と動画のそれぞれについての露出パラメータの設定が行われる。露出パラメータの設定が完了すると、図5に示されるように表示部153の各表示窓に設定された露出パラメータが表示される。具体的には、ISO感度表示窓323、324に設定されたISO感度が表示され、シャッタースピード表示窓325、326に設定されたシャッタースピードが表示され、絞り値表示窓322に設定された絞り値が表示される。これにより、ユーザは、設定された露出パラメータを確認することができる。
図4のステップS403において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、動画の蓄積分割数を設定する。一般に、蓄積分割数が大きい程、短い蓄積の間隔が短くなるため、得られる画像はジャーキネスが低減されたより自然な物となる。一方で、蓄積分割数が大きすぎると、撮像素子184における処理速度の限界、蓄積時間の累積誤差等の影響が現れる可能性がある。したがって、蓄積分割数は、撮像素子184の処理速度、ステップS401で設定された動画フレームレート、ステップS402で設定された動画の蓄積期間等を考慮しつつ、適切な値に設定される。蓄積分割数の設定が完了すると、図5に示されるように表示部153の蓄積分割数表示窓370に設定された値が表示される。これにより、ユーザは、設定された蓄積分割数を確認することができる。
図4のステップS404において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、LED(Light Emitting Diode)等の点滅光源の影響の判定を行うための、各種の閾値を設定する。この判定の処理及び閾値の設定については後述する。図4に示されるようにステップS404の処理は、ステップS402、S403の後であることが望ましい。判定に用いられる閾値は、露出パラメータ、蓄積分割数等のパラメータを参照して設定することが望ましいためである。なお、これらの閾値は、表示部153に表示されてもよいが、閾値はユーザの撮影意図と直接関連するものではないため、表示部153に表示されなくてもよい。
図4のステップS405において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、デュアル撮影を開始するか否かの判定を行う。この判定は、ユーザによるスイッチMV155の押下があったか否かに基づいて行われる。ユーザが撮像装置100のスイッチMV155を押下した場合には、ユーザによる動画撮影の開始の指示がなされていることから、撮像装置100は、デュアル撮影を開始すると判定する(ステップS405においてYes)。この場合、処理はステップS406に移行する。ユーザが撮像装置100のスイッチMV155を押下していない場合には、撮像装置100は、デュアル撮影を開始せずに撮影準備を継続するものと判定する(ステップS405においてNo)。この場合、処理はステップS401に移行する。
図4のステップS406からステップS415のループは、デュアル撮影の継続中の処理である。ユーザが再び撮像装置100のスイッチMV155を押下して撮影を終了するまで、ステップS406からステップS415の処理が繰り返される。ステップS406からステップS408の処理は、デュアル撮影中の被写体の輝度変化に対応するためのパラメータの更新処理である。これらの処理は、ステップS402からステップS404と同様の処理であるため詳細な説明を省略する。
ステップS409からステップS413の処理では、点滅光源による画質への影響の有無の判定及び当該影響の低減のためのパラメータの設定が行われる。ステップS414においては、動画及び静止画を生成するための画像信号の取得が行われる。
上述のステップS406からステップS415の処理は動画の撮影周期ごとに実行される。この処理のタイミングは、システム制御CPU178の制御に基づき、タイミング発生部189が動画周期ごとに垂直同期信号等の各種の制御信号を撮像装置100の各部に出力することで制御される。
これにより、ステップS414において、動画周期ごとに撮像素子184から静止画及び動画を生成するための1フレーム分(一の撮影周期分)の画像信号が出力される。なお、当該画像信号は、単に画像、静止画、動画等と呼称されることもある。また、動画の表示に用いられる画像信号は第1の画像信号と呼称されることもあり、静止画の表示に用いられる画像信号は第2の画像信号と呼称されることもある。システム制御CPU178は、これらの画像信号に対し、各種のデータ処理、画像処理等を行い、記録媒体193に保存させる。記録媒体193に保存された静止画及び動画は、撮像装置100の表示部153、各種のタブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビモニタ等の表示手段で再生され得る。
まず、ステップS414における画像の取得についてより詳細に説明する。その後、ステップS409からステップS413における処理についてより詳細に説明する。そして、撮影された静止画及び動画の表示方法及び印刷方法について説明する。
(デュアル撮影の動作タイミング)
図7は、ステップS414における、撮像素子184の蓄積、転送及び読み出しのタイミングの第1の例を示すタイミングチャートである。ここで、蓄積とは、撮像素子184のフォトダイオード500において、入射光を光電変換し、発生した電荷をフォトダイオード500に蓄積することを指す。転送とは、フォトダイオード500に蓄積された電荷を信号保持部507A又は507Bへ転送し、信号保持部507A又は507Bに保持させることを指す。したがって、蓄積回数と転送回数は一致する。また、読み出しとは、信号保持部507A又は507Bに保持された電荷を、フローティングディフュージョン領域508に転送し、フローティングディフュージョン領域508の電位に基づく信号を撮像素子184の外部に出力させることを指す。図7において、横軸方向は時刻を示しており、縦軸方向は撮像素子184の画素50の各行をそれぞれ示している。なお、実際の撮像素子184は数千行の画素50を有するが、図7では便宜的に16行分のタイミングを例示的に図示しており、最終行を第m行としている。
本実施形態の撮像素子184はCMOS型のイメージセンサである。そのため、同一の行の画素50は、ほぼ同時に読み出され得る。これに対し、同一の列の画素50は、信号出力線523を共有しているため、読み出しが同時ではなく、順次行われる。そのため、図7に示されるように、異なる行の画素50においては、異なるタイミングで、蓄積、転送及び読み出しが行われる。なお、同一の行の異なる画素50については、同一のタイミングで蓄積、転送及び読み出しが行われるものとする。
図7には、ある1フレーム期間(図7中の動画周期Tfの期間)における静止画及び動画のための蓄積、転送及び読み出しのタイミングが図示されている。また、当該フレームの1つ前のフレームについては、動画の読み出しタイミングのみが図示されている。また、当該フレームの1つ後のフレームについては、動画の蓄積及び転送のタイミングのうちの初回のみと、静止画の蓄積及び転送タイミングとが図示されている。すなわち、図7には、垂直同期信号550、水平同期信号551、静止画蓄積期間561、静止画転送期間562、静止画読み出し期間565、動画蓄積期間563、動画転送期間564、動画読み出し期間566が示されている。
図7に示されている例は、動画周期Tfが1/60秒、静止画の蓄積期間T1が1/1000秒、動画の蓄積期間T2が約1/60秒、蓄積分割数Npの設定値が16である場合を想定したものである。また、図7の例ではステップS401における優先順位の設定において、動画よりも静止画を優先する設定が行われた場合を想定している。そのため、静止画蓄積期間561と動画蓄積期間563とが重複する場合には、静止画の蓄積が優先されている。具体的には、時刻t101からt103の期間においては、静止画蓄積期間561が優先されており、動画の蓄積が行われていない。そのため、蓄積分割数Npの設定値は16であるが、実際には動画蓄積期間563の個数は動画フレーム期間あたり15個となっている。これについての詳細は後述する。
図7に示されているように、静止画については、1つの動画フレーム期間において、撮像装置100は、1回の蓄積(静止画蓄積期間561)を行った後に、転送及び読み出しを行っている(静止画転送期間562及び静止画読み出し期間565)。これに対し、動画については、1つの動画フレーム期間において、撮像装置100は、蓄積分割数Npに近い複数回の蓄積(動画蓄積期間563)及び転送(動画転送期間564)を行い、その後、まとめて読み出しを行っている(動画読み出し期間566)。
これにより、静止画及び動画の撮影が可能なデュアル撮影が実現される。静止画については蓄積期間T1を短く設定することにより、鮮鋭な画像を得ることができる。一方、動画については、蓄積時間を静止画の蓄積期間T1の長さとほぼ同一としつつ、蓄積期間T2を動画周期Tfにほぼ等しい長さとする設定により、ジャーキネスが低減された画像を得ることができる。
撮像素子184の読み出しは、画素行ごとに順次行われるため、画像の読み出しには一定の時間を要する。また、同一行の画素50において、信号保持部507Aからフローティングディフュージョン領域508への転送と、信号保持部507Bからフローティングディフュージョン領域508への転送とを同時に行うことはできない。この制約を考慮して、図7のタイミングチャートにおいては、動画と静止画のそれぞれに対する蓄積、転送及び読み出しのタイミングが設定されている。
時刻t101において第1行目から順に、1つ前のフレームで蓄積された動画の読み出しが開始される(動画読み出し期間566)。読み出しが完了した行から順次、当該フレームの蓄積及び転送の繰り返しが開始される(動画蓄積期間563及び動画転送期間564)。時刻t104において、最終行であるm行目の動画の読み出しが完了すると、静止画の読み出しが第1行目から順に開始される(静止画読み出し期間565)。
静止画の読み出しの前に静止画の蓄積が完了するように、時刻t104よりも静止画の蓄積期間T1以上前である時刻t102において静止画の蓄積が開始される(静止画蓄積期間561)。その後、時刻t104よりも前の時刻t103の時点で静止画の転送を行う(静止画転送期間562)。
時刻t101から動画周期Tfだけ後の時刻t110までの期間において、静止画のm行目の読み出しが完了し、かつ、動画の第1行目の最終回の蓄積及び転送が完了する。時刻t110において、動画の読み出しが第1行目から順に開始される(動画読み出し期間566)。以上の処理を動画周期Tfごとに繰り返すことで、撮像装置100は、動画周期Tfごとに静止画と動画の画像信号を画像1枚分ずつ繰り返し出力することができる。
静止画と動画の優先順位についてより詳細に説明する。上述のように、撮像装置100は、同一行の画素50において、静止画と動画の蓄積を同時に行うことができないため、静止画蓄積期間561と、動画蓄積期間563とを排他的に設定する。しかしながら、露出パラメータ等の設定によっては、動画蓄積期間563を等間隔で配置すると、動画と静止画の蓄積のタイミングに重複が生じる場合がある。具体的には、動画の蓄積間隔T2/Npよりも動画の単位蓄積時間T1/Npと静止画の蓄積期間T1との和が大きくなる場合は、蓄積タイミングに重複が生じる。そのような場合は、例えばステップS401で設定された優先順位の設定に基づいて、動画の蓄積と静止画の蓄積のいずれかがスキップされる。
本実施形態では、優先順位の設定は、静止画を優先する設定であるため、時刻t102から時刻t103の静止画蓄積期間561において、動画の蓄積が1回スキップされている。これにより、動画の実際の蓄積回数は蓄積分割数Npではなく、(Np-1)回となるため、動画の実際の蓄積時間は静止画の蓄積期間T1の長さよりもやや短くなる。しかしながら、蓄積分割数Npが十分に大きい場合には、この差はわずかであるため、画像の影響は小さい。また、静止画の輝度等を参照することにより、この影響を画像補正により除去してもよい。なお、単に蓄積分割数Np等と述べた場合には、実際の蓄積回数ではなく、スキップを考慮せずに設定上の蓄積分割数を指すものとする。
一方、優先順位の設定が動画を優先する設定である場合には、静止画の蓄積タイミングに動画の蓄積タイミングが重複した時点で、一旦静止画の蓄積を中断して、動画の蓄積を行い、動画の蓄積の完了後、静止画の蓄積を再開することができる。このように、静止画の蓄積においても分割蓄積を採用してもよい。この場合、静止画の蓄積期間T1が若干長くなるものの、同様に蓄積分割数Npが十分に大きく、動画の単位蓄積期間T1/Npが大きすぎない場合には、画像への影響は小さい。
続いて、図7に示すタイミングで蓄積、転送及び読み出しを行うために撮像素子184の画素50に入力される制御信号について説明する。図8は、図7に示す第1の例における画素50に入力される各制御信号を示すタイミングチャートである。図8において、信号φVは垂直同期信号であり図7の垂直同期信号550に相当する。また、図8において、信号φHは水平同期信号であり、図7の水平同期信号551に相当する。図8には、最初の行である第1行と最終行である第m行のタイミングが示されている。
時刻t1において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φV及び水平同期信号φHがハイレベルになる。この時刻t1は、図7に示されている垂直同期信号550が立ち上がる時刻t101に相当する。
垂直同期信号φVがハイレベルになるのに同期した時刻t2において、垂直走査回路から供給される第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルになる。これにより、第1行のリセットトランジスタ504がオフとなり、フローティングディフュージョン領域508のリセット状態が解除される。同時に、第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第1行の選択トランジスタ506がオンとなり、第1行の画素50からの画像信号の読み出しが可能となる。
時刻t3において、垂直走査回路から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第1行の転送トランジスタ502Bがオンとなり、直前の撮影周期(時刻t1に終了する撮影周期)中に信号保持部507Bに蓄積された動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域508に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域508の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ505及び選択トランジスタ506を介して信号出力線523に読み出される。信号出力線523に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて動画の第1行の画像信号として外部に出力される(図7の動画読み出し期間566に相当)。なお、信号保持部507Bに蓄積された動画の信号電荷は、第1の信号電荷と呼称されることもある。
時刻t4において、垂直走査回路から供給される第1行の転送パルスφTX2B(1)及び全行の転送パルスφTX2A(転送パルスφTX2A(1)、φTX2A(m))がローレベルからハイレベルになる。これにより、第1行の転送トランジスタ502B及び全行の転送トランジスタ502Aがオンとなる。このとき、既に全行のリセットパルスφRES(リセットパルスφRES(1)、φRES(m))がハイレベルになっており、リセットトランジスタ504はオン状態になっている。これにより、全行のフローティングディフュージョン領域508、全行の信号保持部507A、第1行の信号保持部507Bがリセットされる。このとき、第1行の選択パルスφSEL(1)はローレベルになっており、第1行の画素50は非選択の状態に戻っている。
時刻t5において、垂直走査回路から供給される全行の転送パルスφTX3(転送パルスφTX3(1)、φTX3(m))がハイレベルからローレベルになる。これにより、全行の転送トランジスタ503がオフとなり、全行のフォトダイオード500のリセットが解除される。そして、全行のフォトダイオード500において、動画の信号電荷の蓄積が開始される(図7の動画蓄積期間563に相当)。
時刻t7の直前に、垂直走査回路から供給される全行の転送パルスφTX1B(転送パルスφTX1B(1)、φTX1B(m))がローレベルからハイレベルになる。これにより、全行の転送トランジスタ501Bがオンとなり、全行のフォトダイオード500に蓄積された信号電荷が信号保持部507Bに転送される。
時刻t7において、垂直走査回路から供給される全行の転送パルスφTX1B(m)(転送パルスφTX1B(1)、φTX1B(m))がハイレベルからローレベルとなる。これにより、全行の転送トランジスタ501Bがオフとなり、全行のフォトダイオード500に蓄積された信号電荷の信号保持部507Bへの転送が終了する。ここで時刻t5から時刻t7までの期間が、動画の1回の蓄積時間(T1/16)に相当する。
また、時刻t7において、全行の転送パルスφTX3(転送パルスφTX3(1)、φTX3(m))がローレベルからハイレベルとなる。これにより、全行の転送トランジスタ503がオンとなり、全行のフォトダイオード500がリセット状態になる。
時刻t1から開始する撮影周期における動画の第1回目の蓄積期間の開始の時刻t5から水平同期信号φHの間隔Thの2倍の時間が経過した時刻t8に、動画の第2回目の動画蓄積が開始される。
時刻t8から始まり時刻t10に終了する動画の第2回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様であるため、説明は省略する。
ここで、動画の第1回目、第2回目の蓄積期間の動作において、これらの2回の蓄積期間の間に生じた動画の信号電荷は、信号保持部507Bにおいて加算されて保持される。
時刻t11から、動画の第6回目の蓄積期間が開始される。ここで動画の第6回目の蓄積期間の開始の時刻t11は、垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1から、時間T(=6×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。ここで、Thは水平同期信号φHの時間間隔であり、Tbは垂直同期信号φVがハイレベルになる時刻t1とフォトダイオード500で動画の第1回目の蓄積期間が開始される時刻t5との時間間隔である。
時刻t11から始まり時刻t13に終了する動画の第6回目の蓄積動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積動作と同様であるため、説明は省略する。
次に、時刻t14から第1の映像信号である静止画の蓄積期間が開始される。本実施形態では1撮影周期中の静止画の蓄積期間の回数は1回である。垂直同期信号φVに対する静止画の読み出し期間(図7の静止画読み出し期間565に相当)の開始時間は固定されている。そのため、垂直同期信号φVに対する静止画の蓄積期間の終了時刻は固定されており、静止画の蓄積時間は時刻t19(図7の時刻t103に相当)に終了するように設定されている。したがって、撮像装置100は、設定された静止画の蓄積期間T1に基づいて、静止画の蓄積期間の開始時刻を制御する。
静止画の蓄積期間の終了の時刻t19より時間T1だけ遡った時刻t14(図7の時刻t102に相当)において、全行の転送パルスφTX3(転送パルスφTX3(1)、φTX3(m))がハイレベルからローレベルとなる。これにより、全行の転送トランジスタ503がオフとなり、全行のフォトダイオード500のリセットが解除される。そして、全行のフォトダイオード500での静止画の信号電荷の蓄積期間が開始される(図7の静止画蓄積期間561に相当)。
時刻t15において、垂直走査回路から供給される第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルになる。これにより、第m行のリセットトランジスタ504がオフとなり、フローティングディフュージョン領域508のリセット状態が解除される。同時に、垂直走査回路から供給される第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第m行の選択トランジスタ506がオンとなって、第m行の画素50からの映像信号の読み出しが可能となる。
時刻t16において、第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第m行の転送トランジスタ502Bがオンとなり、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期中に信号保持部507Bに蓄積された動画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域508に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域508の電位の変化に応じた信号が、増幅トランジスタ505及び選択トランジスタ506を介して信号出力線523に読み出される。信号出力線523に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて動画の第m行の画像信号として外部に出力される(図7の動画読み出し期間566に相当)。
これにより、時刻t1に終了する1つ前の撮影周期の動画の読み出しが完了し、次に、時刻t1から開始する撮影周期の静止画の読み出しが行われる(図7の静止画読み出し期間565に相当)。
時刻t17において、第m行の転送パルスφTX2B(m)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第m行の転送トランジスタ502Bがオンとなる。このとき既に第m行のリセットパルスφRES(m)はハイレベルになっており、リセットトランジスタ504はオン状態になっている。これにより、第m行のフローティングディフュージョン領域508及び第m行の信号保持部507Bは、リセットされる。このとき、第m行の選択パルスφSEL(m)もローレベルになっており、第m行の画素50は非選択の状態に戻っている。
時刻t18において、第1行のリセットパルスφRES(1)がハイレベルからローレベルになる。これにより、第1行のリセットトランジスタ504がオフとなり、フローティングディフュージョン領域508のリセット状態が解除される。同時に、第1行の選択パルスφSEL(1)がローレベルからハイレベルとなる。これにより、第1行の選択トランジスタ506がオンとなり、第1行の画素50からの画像信号の読み出しが可能となる。
時刻t19の直前に、垂直走査回路から供給される全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1)、φTX1A(m))がローレベルからハイレベルになる。これにより、全行の転送トランジスタ501Aがオンとなり、全行のフォトダイオード500に蓄積された信号電荷は静止画の電荷を保持する信号保持部507Aに転送される。
時刻t19において、全行の転送パルスφTX1A(φTX1A(1)、φTX1A(m))がハイレベルからローレベルになる。これにより、全行の転送トランジスタ501Aがオフとなり、全行のフォトダイオード500に蓄積された信号電荷の信号保持部507Aへの転送が終了する。
時刻t14から時刻t19までの時間が、静止画の蓄積期間T1の長さに相当する。本実施形態では、1つの撮影周期中の静止画の蓄積は1回であるため、静止画の蓄積時間と蓄積期間とは同一である。
時刻t20において、第1行の転送パルスφTX2A(1)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第1行の転送トランジスタ502Aがオンとなり、第1行の信号保持部507Aに蓄積された静止画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域508に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域508の電位の変化に応じた信号が、第1行の増幅トランジスタ505及び選択トランジスタ506を介して信号出力線523に読み出される。信号出力線523に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて静止画の第1行の画像信号として外部に出力される(図7の静止画読み出し期間565に相当)。なお、信号保持部507Aに蓄積された静止画の信号電荷は、第2の信号電荷と呼称されることもある。
時刻t21から、動画の第7回目の蓄積期間が開始される。ここで、動画の第7回目の蓄積期間の開始の時刻t21は、垂直同期信号φVのハイレベルとなる時刻t1から、時間T(=(7+2)×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。
時刻t21から始まり時刻t23に終了する動画の第7回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様であるため、説明は省略する。
更に、時刻t24から、時刻t1から開始する撮影周期における動画の最後の第14回目の蓄積期間が開始される。ここで、動画の第14回目の蓄積期間の開始の時刻t24は、垂直同期信号φVがハイレベルとなる時刻t1から、時間T(=(14+2)×2×Th+Tb)が経過した後の時刻に設定されている。
時刻t24から始まり時刻t26に終了する動画の第14回目の蓄積期間の動作は、前述の時刻t5から始まり時刻t7に終了する動画の第1回目の蓄積期間の動作と同様であるため、説明は省略する。このように、本撮影モードにおいて、動画の蓄積期間は、時刻t5から時刻t26の間である。
時刻t27において、第m行のリセットパルスφRES(m)がハイレベルからローレベルになる。これにより、第m行のリセットトランジスタ504がオフとなり、フローティングディフュージョン領域508のリセット状態が解除される。同時に、第m行の選択パルスφSEL(m)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第m行の選択トランジスタ506がオンとなり、第m行の画素50からの映像信号の読み出しが可能となる。
時刻t28において、第m行の転送パルスφTX2A(m)がローレベルからハイレベルになる。これにより、第m行の転送トランジスタ502Aがオンとなり、第m行の信号保持部507Aに蓄積された静止画の信号電荷がフローティングディフュージョン領域508に転送される。すると、フローティングディフュージョン領域508の電位の変化に応じた信号が、第m行の増幅トランジスタ505及び選択トランジスタ506を介して信号出力線523に読み出される。信号出力線523に読み出された信号は、不図示の読み出し回路に供給されて静止画の第m行の画像信号として外部に出力される(図7の静止画読み出し期間565に相当)。
時刻t100において、タイミング発生部189から供給される垂直同期信号φVがローレベルからハイレベルになり、次の撮影周期が開始される。この時刻t100は、図7に示されている垂直同期信号550が立ち上がる時刻t110に相当する。
以上、図7及び図8を用いて説明した動作により、本実施形態の撮像装置100は、図4に示すステップS414における、静止画及び動画の画像信号の取得を行う。なお、静止画及び動画の蓄積、転送及び読み出しのタイミングは図7に示した例に限定されるものではなく、適宜変更することができる。以下、動作タイミングの2つの変形例(第2の例及び第3の例)を示す。第2の例及び第3の例の説明において、第1の例と共通する部分についての説明は省略することもある。
図9は、ステップS414における、撮像素子184の蓄積、転送及び読み出しのタイミングの第2の例を示すタイミングチャートである。図7に示した第1の例では、画素行ごとに蓄積期間のタイミングが異なる。そのため、動きが速い被写体を撮影すると、画像上の被写体に歪み(いわゆるローリング歪み)が発生する場合がある。そこで、図9に示す第2の例では、全ての画素行で同時に動画の蓄積を行うようにする。
時刻t201から時刻t202の期間において、行ごとに順次、1つ前のフレームで蓄積された動画の読み出しが開始される(動画読み出し期間566)。最終行であるm行目の動画の読み出しが完了すると、時刻t202から時刻t203の期間において、全画素行で同時に動画の蓄積及び転送が行われる(動画蓄積期間563及び動画転送期間564)。時刻t203の後の時刻t210以降、行ごとに順次、動画の読み出しが開始される(動画読み出し期間566)。なお、図9では転送が完了する時刻t203から所定時間経過後に時刻t210で読み出しが開始されているが、転送が完了した直後に読み出しが開始されてもよい。すなわち、時刻t203と時刻t210とが同時刻であってもよい。
静止画の蓄積及び転送は、時刻t201から時刻t202の間の期間に行われる(静止画蓄積期間561及び静止画転送期間562)。また、静止画の読み出しは、時刻t202から時刻t210の間の期間に行われる(静止画読み出し期間565)。
第2の例においては、動画の蓄積期間T2が第1の例の場合よりも短くなるため、ジャーキネスの低減効果は相対的に小さくなるものの、すべての画素行で蓄積期間のタイミングが同一であるため、ローリング歪みを低減することができる。
図10は、ステップS414における、撮像素子184の蓄積、転送及び読み出しのタイミングの第3の例を示すタイミングチャートである。図7に示した第1の例では、一部の画素行において、動画の蓄積及び転送がスキップされることがある。これにより、画素行ごとの露出差(露出ムラ)が生じる場合がある。そこで、図10に示す第3の例では、水平同期信号551を基準として各行の蓄積及び転送を行う。この場合、動画の蓄積及び転送のタイミングと静止画の蓄積及び転送のタイミングとが重複しないため、画素行ごとの露出差の発生を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態の撮像装置100は、動画と静止画のデュアル撮影を行う。このとき、主として動画の撮影において、分割蓄積が行われる。ここで、LED等の高速で点滅する光源下で分割蓄積による撮影を行うと、撮影された動画には特有の露出差が表れることがある。また、静止画のように分割蓄積を行わない場合であっても、動画周期ごとに繰り返し静止画の連写を行う場合には、連写された複数の画像間に露出差が生じる場合がある。このように点滅光源に起因して露出差が生じることがある。この現象は、フリッカー現象と呼称されることもある。
そこで、本実施形態の撮像装置100は、デュアル撮影時のステップS409からステップS413において、静止画と動画のそれぞれについて、点滅光源による画質への影響の有無の判定及び当該影響の低減のためのパラメータの設定を行う。この処理について詳細に説明する。
(点滅光源による露出差の説明)
まず、点滅光源による露出差の発生について説明する。図11(a)、図11(b)、図12(a)及び図12(b)は、点滅光源による露出差の発生に関する第1の例を説明する図である。図13、図14(a)及び図14(b)は、点滅光源による露出差の発生に関する第2の例を説明する図である。
図11(a)及び図11(b)は、本実施形態の撮像装置100における、点滅光源による露出差の第1の例を示すタイミングチャートである。図11(a)及び図11(b)は、図7に示した蓄積及び転送のタイミングチャートの一部に対して、被写体から撮像素子184に入射される光(以下、被写体光と呼称する)の波形を追加した図である。図11(a)と図11(b)とは、互いに異なるフレームにおける蓄積及び転送のタイミングを示している。なお、図11(a)及び図11(b)において、読み出し期間の図示は省略されている。本例において、光源はLED等の高速で点滅する点滅光源を想定している。そのため、光源から射出され、被写体で反射される光の波形は、図11(a)及び図11(b)に示されるように明滅を繰り返す波形となる。
また、図11(a)及び図11(b)において、タイミングチャートの右方には、各行に対応する静止画及び動画の画像の相対的な露出値(明るさの度合い)が図示されている。また、以降の説明の便宜上、各画素行のタイミングチャートに被写体光の点滅波形を重畳させて図示している。なお、光源の点滅波形は、仮想的なものであり、実際のLED等の点滅波形を詳細に反映したものではない。本実施形態が適用され得る光源の点滅波形は特に限定されるものではなく、図示されたものと異なる波形であったとしても、本実施形態は、同様に適用され得る。
図11(a)及び図11(b)において、動画及び静止画の蓄積及び転送は、ともに垂直同期信号を基準として行われる。また、図11(a)及び図11(b)では、被写体光の光源の点滅周期(以降、単に光源周期と呼称する)Tsの整数倍が、動画の蓄積間隔T2/Npにほぼ等しい。このとき、図11(a)のように、すべての画素行で露出値が大きいタイミングに同期して動画の蓄積を行うフレームと、図11(b)のように、すべての画素行で露出値が小さいタイミングに同期して動画の蓄積を行うフレームとが混在する。したがって、露出値が相対的に大きいフレームと、露出値が相対的に小さいフレームとが繰り返される動画が撮影される。
これに対し、静止画の撮影については、分割蓄積を行わないため、蓄積期間T1の長さは、光源周期Tsの数倍の長さである。したがって、図11(a)及び図11(b)に示されるように、異なるフレーム間で、蓄積のタイミングに対する被写体光の点滅波形の位相が変化したとしても、露出値はほとんど変化せず、一定の露出の静止画が得られる。
図12(a)及び図12(b)は、図11(a)及び図11(b)に示す第1の例において得られる動画及び静止画の画像である。図12(a)及び図12(b)には点滅光源801により照らされている被写体800が図示されている。被写体800は、例えば、屋内で運動をしている人物であり、点滅光源801は、例えば、高速で点滅するLED照明である。図12(a)は、動画の経時的変化を示しており、図12(b)は、フレームごとに撮影される複数の静止画を経時的に並べたものを示している。
図12(a)に示されるように、撮影された動画は、明るいフレームと暗いフレームとを繰り返すような露出の変化を示す。すなわち、点滅光源下において撮影された動画は、経時的な露出差を生じる。一方、図12(b)に示されるように、静止画については、経時的な露出差はほとんど生じない。
図13は、本実施形態の撮像装置100における、点滅光源による露出差の第2の例を示すタイミングチャートである。図13において、動画及び静止画の蓄積及び転送は、ともに水平同期信号を基準として行われる。また、図13では、光源周期Tsの整数倍が動画の蓄積間隔T2/Npにほぼ等しい。このとき、同一フレームにおいて、露出値が大きいタイミングに同期して動画の蓄積を行う画素行(第n行、第n+3行、第n+6行)と、露出値が大きいタイミングに同期して動画の蓄積を行う画素行(第n+2行、第n+5行)とが混在する。
これに対し、静止画の撮影については、分割蓄積を行わないため、蓄積期間T1の長さは、光源周期Tsの数倍の長さである。したがって、図13に示されるように、露出値はほとんど変化せず、一様の露出の静止画が得られる。
図14(a)及び図14(b)は、図13に示す第2の例において得られる動画及び静止画の画像である。図14(a)は、動画を構成する1つの画像を示しており、図14(b)は、静止画を示している。
図14(a)に示されるように、点滅光源下において撮影された動画は、明るい行と暗い行とが繰り返されるような露出差を示している。これに対し、図14(b)に示されるように、静止画については、露出差はほとんどみられず、一様な露出の画像が得られる。
以上の2つの例より、光源周期Tsが動画の蓄積間隔T2/Npに同期する場合に動画に対して露出差が生じる可能性がある。ここで、光源周期Tsが動画の蓄積間隔T2/Npに同期する状態とは、光源周期Tsが、動画の蓄積間隔T2/Npの整数分の一、あるいは蓄積間隔T2/Npの整数倍に近い場合である。このような場合には、動画の蓄積間隔T2/Np及び単位蓄積時間T1/Npを変えるよう制御することで、露出差の影響を低減することができる。ここで、動画の蓄積期間T2及び静止画の蓄積期間T1は、撮影意図及び露出設定に直結する重要なパラメータであるため、変更することが容易でない場合がある。そのため、本実施形態の撮像装置100では、蓄積分割数Npを変更することで動画の蓄積間隔T2/Np及び単位蓄積時間T1/Npを変える制御を行う。
図4のステップS409からステップS413においては、上述の露出差を低減するためのパラメータ設定の処理が行われる。この処理について、より具体的に説明する。
(動画の露出差低減処理)
再び図4のフローチャートを参照しつつ、動画の露出差低減処理を説明する。まず、図4のステップS409において、撮像装置100の取得手段201は、少なくとも被写体の光源周期Ts(被写体の輝度変化周期)を取得する。なお、本処理において、光源周期Tsは、撮像素子184で取得された画像の輝度等に基づいて取得されてもよいが、事前設定又はユーザ入力による設定値であってもよい。この設定値を用いる手法を採用する場合には、例えば、撮像装置100は、被写体の輝度変化周期に影響する光源の種類(「LED」「電光掲示板」「1000Hz」等)をユーザに入力させるための光源周期設定用のユーザインターフェースを備えていてもよい。例えば、光源の種類として「1000Hz」が入力された場合には、光源周期Tsの値は1/1000秒に設定される。なお、本処理において、取得手段201は、更に、光源周期Tsと同様の手法により被写体の輝度変化のデューティー比Dsを取得してもよい。
図4のステップS410において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、ステップS409において取得した情報に基づき、光源が点滅しているか否かを判定する。光源が点滅していないと判定された場合(ステップS410においてNo)は、本実施形態の露出差低減処理を行う必要はないため、処理はステップS414に移行する。一方、光源が点滅していると判定された場合(ステップS410においてYes)は、ステップS411に進む。
図4のステップS411において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、ステップS406において設定された露出パラメータ及びステップS409において取得された光源周期Ts等のパラメータに対し、変化があったか否かを判定する。ここで、変化とは、例えば、前のフレームのパラメータに対する当該フレームのパラメータの差であり得る。撮像装置100は、露出パラメータ及び光源周期Ts等の設定に起因する露出差が軽減されるように、デュアル撮影を行っている間、動的に制御を行う。これらの値に変化が無かった場合には、前のフレームと同様の条件を引き続き用いることができる。そのため、パラメータの変化がないと判定された場合(ステップS411においてNo)、処理はステップS414に移行する。一方、パラメータの変化があると判定された場合(ステップS411においてYes)には、処理はステップS412に移行する。なお、最初に本ステップの処理が行われる際(最初のフレームの画像取得時)には変化の有無を判定するための比較対象が存在しないため、パラメータの変化があると判定された場合と同様に、処理はステップS412に移行する。
図4のステップS412において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、動画の露出差低減処理を行う。ここで、図15を参照してステップS412の処理の詳細を示すサブルーチンを説明する。図15は、動画の露出差低減処理を示すフローチャートである。
図15のステップS4121において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、光源周期Tsが第1の閾値Ts1よりも小さいか否かを判定する。なお、この第1の閾値は、ステップS404又はステップS408で設定又は更新された閾値のことである。以降の説明における各種の閾値についても同様である。光源周期Tsが第1の閾値Ts1よりも小さい場合(ステップS4121においてYes)には、処理はステップS4122に移行する。光源周期Tsが第1の閾値Ts1以上である場合(ステップS4121においてNo)には、露出差低減処理は不要であると判定され、本処理は終了する。
ここで、第1の閾値Ts1は、動画の蓄積期間T2に近い値(例えば1/60秒、1/120秒等)に設定され得る。第1の閾値Ts1による処理の分岐を行う理由を説明する。光源周期Tsが動画の蓄積期間T2よりも大きい場合には、分割蓄積とは関係なく露出差が発生し得る。また、光源周期Tsが1/60秒以上である場合には、肉眼で光源のちらつきが確認されることもある。以上の理由により、光源周期Tsが、第1の閾値Ts1以上である場合、分割蓄積に起因して生じる露出差低減処理の対象外となる。
図15のステップS4122において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、光源周期Tsが第2の閾値Ts2よりも大きいか否かを判定する。光源周期Tsが第2の閾値Ts2よりも大きい場合(ステップS4122においてYes)には、処理はステップS4123に移行する。光源周期Tsが第2の閾値Ts2以下である場合(ステップS4122においてNo)には、露出差低減処理は不要であると判定され、本処理は終了する。
ここで、第2の閾値Ts2は、動画の単位蓄積時間T1/Npに近い値(例えば、1/16000秒、1/32000秒等)に設定され得る。第2の閾値Ts2による処理の分岐を行う理由は、光源周期Tsが動画の単位蓄積時間T1/Npよりも小さい場合には、分割蓄積に起因する露出差はほとんど発生しないので、露出差低減処理の対象外となるためである。
図15のステップS4123において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、動画の蓄積間隔T2/Npが、光源周期Tsの整数倍(nTs)又は整数分の1(Ts/m)と略同一であるか否かを判定する(n及びmは正の整数)。この判定は、動画の蓄積タイミングが光源の点滅周期と同期しているか否かを判定するためのものである。蓄積間隔T2/Npが、nTs又はTs/mと略同一である場合(ステップS4123においてYes)には、露出差低減処理が必要であると判定され、処理はステップS4124に移行する。蓄積間隔T2/Npが、nTs、Ts/mのいずれに対しても略同一でない場合(ステップS4123においてNo)には、露出差低減処理は不要であると判定され、本処理は終了する。
図15のステップS4124において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、蓄積分割数Npが所定の条件を満たすか否かを判定する。所定の条件とは、動画の単位蓄積時間T1/Npに対する光源周期Tsの比の値(Ts/(T1/Np))が、第3の閾値M3より小さく、かつ、蓄積分割数Npが第4の閾値Np4より大きいというものである。上述の条件が満たされている場合(ステップS4124においてYes)には、処理はステップS4125に移行する。上述の条件が満たされていない場合(ステップS4124においてNo)には、処理はステップS4126に移行する。
ここで、第3の閾値M3は、例えば、2乃至4程度の値に設定され得る。また、第4の閾値Np4は、例えば、32、64、128等の比較的大きい値に設定され得る。第3の閾値M3及び第4の閾値Np4による分岐を行う理由は、条件に応じて第1及び第2の露出差低減処理を使い分けるためである。2種類の露出差低減処理について説明する。
上述の条件は、光源周期Tsが非常に短い場合(超高速点滅光源の場合)又は蓄積分割数Npが十分に大きい場合に満たされやすい。この場合には、ステップS4125において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、第1の露出差低減処理(第1の処理)を行う。第1の露出差低減処理は、蓄積分割数Npを小さくすることにより、単位蓄積時間T1/Npを光源周期Ts以上にする処理である。第1の露出差低減処理において、蓄積分割数Npは、動画の単位蓄積時間T1/Npが光源周期Tsと同程度、あるいはそれより大きくなるように設定される。言い換えると、蓄積分割数Npは、単位蓄積時間T1/Npが輝度変化周期以上となるように設定される。これにより、動画の分割蓄積に起因する露出差を低減することができる。
図16は、第1の露出差低減処理の効果を示すタイミングチャートである。図16は、図13で示したタイミングチャートに対して、第1の露出差低減処理を適用した後のタイミングチャートである。図13の場合において、動画の単位蓄積時間T1/Npに対する光源周期Tsの比の値は約1.9である。そこで、図16では蓄積分割数Npをもとの値の1/2にすることにより、動画の単位蓄積時間T1/Npが光源周期Tsと同程度の値になるようにしている。これにより、図16では単位蓄積時間T1/Npと蓄積間隔T2/Npとがそれぞれもとの値の2倍になっている。動画の単位蓄積時間T1/Npと光源の点滅の1周期とがほぼ一致しているため、被写体光の点灯タイミングと動画の蓄積のタイミングが変化しても露出値には大きな変化は生じない。そのため、図13の説明で述べたような露出差を低減することができる。
なお、蓄積分割数Npを小さくすると、ジャーキネスの低減効果が減少するが、元の蓄積分割数Npが十分に大きければ、その影響は問題のない程度に留めることができる。
ステップS4124の条件が満たされない場合、すなわち、光源周期Tsが動画の単位蓄積時間T1/Npよりも十分に大きい場合又は蓄積分割数Npが小さい場合には、上述の第1の露出差低減処理を適用できないことがある。このような場合に、動画の単位蓄積時間T1/Npを光源周期Tsに近づけると、蓄積分割数Npが小さくなりすぎてジャーキネスの低減効果が失われる場合があるためである。また、蓄積分割数Npを最小の値である2に設定したとしても単位蓄積時間T1/Npを光源周期Tsに近づけることができない場合もある。
このような場合には、ステップS4126において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、第2の露出差低減処理(第2の処理)を行う。第2の露出差低減処理は、蓄積分割数Npを変更して、動画の蓄積タイミングが被写体光の点滅の周期に対して同期しないようにする処理である。具体的には、動画の蓄積期間T2と光源周期Tsとのうちの、大きい方の値を小さい方の値で除した数であるT2/Ts又はTs/T2の約数以外の数に、蓄積分割数Npを設定する。より望ましくは、蓄積分割数Npは、T2/Ts又はTs/T2と1以外の公約数を持たないように(互いに素となるように)設定される。なお、ステップS4123の条件が満たされている場合には、T2/Ts又はTs/T2はNpの整数倍に近い値である。
第2の露出差低減処理について、具体例を挙げて説明する。例えば、元の蓄積分割数Npが16であり、T2/Tsが64である場合は、蓄積分割数Npは、T2/Tsの約数である1、2、4、8、16、32、64以外の数、例えば、14、18等に設定される。より望ましくは、蓄積分割数Npは、T2/Tsと1以外の公約数を持たない15や17等に設定される。これにより、動画の蓄積タイミングが被写体光の点滅のタイミングに対して同期しないようにすることができるため、動画の分割蓄積に起因する露出差を低減することができる。
図17(a)及び図17(b)は、第2の露出差低減処理の効果を示すタイミングチャートである。図17(a)は、露出差低減処理を行う前のタイミングチャートを示しており、図17(b)は、露出差低減処理を行った後のタイミングチャートを示している。図17(a)においては、動画の蓄積間隔T2/Npが、光源周期Tsの2倍に近い。そのため、画素行間で露出差が発生している。更に、動画の単位蓄積時間T1/Npに対して、光源周期Tsが3倍以上の長さであるため、上述の第1の露出差低減処理を行うことは困難である。
図17(b)は、第2の露出差低減処理を適用した後のタイミングチャートである。本例では動画の蓄積期間T2を光源周期Tsで除した数T2/Tsが32であり、蓄積分割数NpがT2/Tsの約数以外の値である18に設定されている。これにより、動画の蓄積間隔T2/Npは、被写体光の光源周期Tsと同期しない状態となる。被写体光の点灯タイミングと動画の蓄積のタイミングが同期しないため、露出値は平均化され、画素行間の露出差は低減される。
以上のように、ステップS4125の第1の露出差低減処理を行った場合とステップS4126の第2の露出差低減処理を行った場合のいずれにおいても露出差を低減する効果が得られる。ステップS4125又はステップS4126により蓄積分割数Npの設定が完了すると、図4のステップS412の動画の露出差低減処理は完了し、処理はステップS413に移行する。
(静止画の露出差低減処理)
図4のステップS413において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、静止画の露出差低減処理を行う。静止画の露出差低減処理は第3の露出差低減処理(あるいは第3の処理)と呼称されることもある。ここで、図18を参照してステップS413の処理を示すサブルーチンを説明する。図18は、静止画の露出差低減処理を示すフローチャートである。
図18のステップS4131において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、光源周期Tsが所定の第5の閾値Ts5よりも大きいか否かを判定する。光源周期Tsが第5の閾値Ts5よりも大きい場合(ステップS4131においてYes)には、処理はステップS4132に移行する。光源周期Tsが第5の閾値Ts5以下である場合(ステップS4131においてNo)には、露出差低減処理は不要であると判定され、本処理は終了する。
ここで、第5の閾値Ts5は、静止画の蓄積期間T1の整数分の1程度の値に設定され得る。第5の閾値Ts5による処理の分岐を行う理由を説明する。光源周期Tsが静止画の蓄積期間T1内に複数個含まれるほど小さい場合には、静止画の蓄積タイミング、被写体光の点滅のタイミング及び光源のデューティー比によらず、露出値はほぼ一定となる。そのため、露出差低減処理を行う必要があまりないためである。
図18のステップS4132において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、光源のデューティー比Dsが第6の閾値Ds6よりも小さいか否かを判定する。この第6の閾値Ds6は、0%から100%までの値に適宜設定され得る。デューティー比Dsが第6の閾値Ds6よりも小さい場合(ステップS4132においてYes)には、露出差低減処理が必要であると判定され、処理はステップS4134に移行する。デューティー比Dsが第6の閾値Ds6以上である場合(ステップS4132においてNo)には、処理はステップS4133に移行する。
図18のステップS4133において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、光源周期Tsが第7の閾値Ts7よりも大きいか否かを判定する。光源周期Tsが第7の閾値Ts7よりも大きい場合(ステップS4133においてYes)には、露出差低減処理が必要であると判定され、処理はステップS4134に移行する。光源周期Tsが第7の閾値Ts7以下である場合(ステップS4133においてNo)には、露出差低減処理は不要であると判定され、本処理は終了する。
ここで、第7の閾値Ts7は、第5の閾値Ts5と同様に静止画の蓄積期間T1の整数分の1程度の値であり、かつ、第5の閾値Ts5よりも大きい値に設定される。この判定を行う理由は、基本的にはステップS4131における判定と同様であるが、閾値のレベルを変更している。この理由は、光源のデューティー比Dsが大きくなるほど露出差は発生しにくくため、ステップS4132でデューティー比Dsがある程度大きいと判定された場合には、光源周期の判定基準を緩和して再度判定を行うことができるためである。
なお、ステップS4132とステップS4133の処理は省略されてもよい。その場合は、ステップS4131で光源周期Tsが第5の閾値Ts5よりも大きい場合には、処理はステップS4134に移行するものとする。
図18のステップS4134において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、光源波形の位相の予測を行う。撮像装置100の取得手段201は、ある時点における撮像装置100の垂直同期信号550に対する被写体光の明滅の位相を取得する。システム制御CPU178は、この位相に基づいて、位相取得時刻以降の各時刻における被写体光の明滅の位相を予測する。
図18のステップS4135において、撮像装置100のシステム制御CPU178は、蓄積及び転送のタイミングをシフトさせる第3の露出差低減処理を行う。この処理では、各フレーム、各画素行について、静止画の蓄積を開始するタイミングを、被写体光の位相に対して一定とするように調節する。これにより、被写体光の明滅による静止画撮影時のフレーム間又は画素行間における露出差を抑制することができる。
図19(a)及び図19(b)は、ステップS4135における静止画の露出差低減処理(第3の露出差低減処理)の効果を示すタイミングチャートである。図19(a)と図19(b)とは、互いに異なる時点における蓄積及び転送のタイミングを示している。図19(a)及び図19(b)は、被写体光の光源周期Tsが静止画の蓄積期間T1の1/2以上と比較的長く、また、デューティー比が小さいため静止画の露出差が生じやすい状況のタイミングチャートである。なお、本例においては、動画の撮影に関しては蓄積間隔T2/Npと光源周期Tsが同期しにくいため、露出差は生じにくい。
図19(a)のタイミングチャートにおいて、垂直同期信号550を基準として、静止画及び動画の蓄積は、垂直同期信号550を基準とした、全画素行に共通のタイミングで行われる。静止画の蓄積を開始するタイミングは、垂直同期信号550に対してTxだけ経過した時刻である。図19(b)のタイミングチャートでは、第3の露出差低減処理による蓄積及び転送のタイミングのシフトが示されている。図19(b)には、タイミングをシフトさせた後の静止画蓄積期間561及び静止画転送期間562に加えて、タイミングをシフトさせる前の静止画蓄積期間5610及び静止画転送期間5620が図示されている。
図19(b)においては、図19(a)の時点と比べて垂直同期信号550に対する被写体光の明滅の位相がずれている。これに伴い、静止画蓄積期間5610及び静止画転送期間5620に対する被写体光の位相もずれる。よって、第3の露出差低減処理を行わない場合には、フレーム間で静止画の露出差が生じ得る。図19(a)及び図19(b)のように、1回の静止画蓄積期間内に被写体光の点灯が1回であるか、2回であるかがフレームごとに変わるためである。
しかしながら、第3の露出差低減処理により、静止画の蓄積開始と光源の点灯タイミングの間隔Tyが一定に保たれるように、図19(b)の矢印601に示すように蓄積及び転送のタイミングをシフトさせる。これにより、フレーム間の露出差の発生が低減される。
ステップS4135又はステップS4126により蓄積及び転送のタイミングをシフトする設定が完了すると、図4のステップS413の静止画の露出差低減処理は完了し、処理はステップS414に移行する。
動画の露出差低減処理は主に蓄積分割数Npを変更するものである。一方、静止画露出差低減処理は、蓄積及び転送のタイミングを調節するものである。そのため、これら、それぞれ独立して設定を行うことができる。よって、デュアル撮影時の動画及び静止画の撮影において、動画及び静止画のそれぞれに適した設定を行うことができる。
(静止画及び動画の表示方法及び印刷方法)
続いて、撮影された動画及び静止画の表示方法及び印刷方法について説明する。図20は、本実施形態の撮像装置100、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビモニタ等の表示手段における、静止画及び動画の表示例を説明する模式図である。図20中の「picture A」は静止画を示しており、「picture B」は動画を示している。なお、表示される静止画及び動画の画像データは、例えばMP4ファイルであり、記録媒体193、ネットワーク上のストレージ等に格納されている。これらから画像データを読み出すことにより、静止画又は動画の表示が行われる。
図20には、第1のMP4ファイルに格納された静止画のフレーム群581と、第2のMP4ファイルに格納された動画のフレーム群571とが模式的に示されている。第1のMP4ファイルと第2のMP4ファイルには撮影時に同じCLIP-UMIDが設定されており、相互に関連付けがなされている。
動画の再生を開始すると、動画のフレーム群571のうちの先頭のフレーム572から順に、所定のフレームレートで画像の再生が進められる。動画の撮影時のシャッタースピードは大きくなりすぎないようにフレームレートに近い値(本例では1/60秒)に設定されている。そのため、再生される映像はジャーキネスの無い高品位なものである。
フレーム573まで動画の再生が進んだ時点でユーザが一時停止の操作を行うと、自動的に当該動画に対応する静止画のファイルから同一タイムコードのフレーム582が検索され、表示される。静止画の撮影時のシャッタースピードは、ストップモーション効果が得られやすいように高速な値(本例では1/1000秒)に設定されている。そのため、フレーム582は、高速で動く被写体の撮影に適した鮮鋭な画像である。静止画と動画は、異なるシャッタースピードの設定で撮影されたものであるが、信号電荷により得られた信号に基づく画像であるため、いずれもS/N比が良好な画像である。
ここで、ユーザが印刷の指示を行うと、静止画のフレーム582のデータがプリントインターフェース部194を介してプリンタ195に対して出力される。プリンタ195はフレーム582のデータに基づく画像を紙等に印刷する。したがって、印刷された画像もストップモーション効果が得られる鮮鋭なものとなる。ユーザが一時停止を解除する操作を行うと、動画のフレーム群571の中のフレーム574から再生が再開される。
以上のように、本実施形態によれば、点滅光源下での撮影において、露出差が低減された動画の撮影が可能な撮像装置100が提供される。この撮像装置100は、更に静止画と動画のデュアル撮影を行うことができ、静止画と動画のそれぞれに対して露出差の低減を行うことができるため、高品位な静止画及び動画の撮影が可能となる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。