JP7006004B2 - 吸着フィルム - Google Patents
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Description
粘接着剤を用いる(化学的)接着方法は、被着体の表面の状態、物性により接着力等の特性が変わってしまうので、その都度、粘接着剤の選定を行う必要がある。そして、粘接着剤を使用した場合には剥離後の糊残り(粘接着剤の被着体上への残留)及び可塑剤等粘接着剤中成分の被着体への転移等が生じて、被着体表面を汚染してしまうという問題がある。
また、該吸着フィルムの表面に、さらに、パターン状に特定径の複数の開口凹部を、賦型により、重ねて形成することで得た吸着フィルムも、吸着力によるすぐれた(物理的)接着を実現することを見出した。
[1]フィルム基材と吸着層からなる吸着フィルムであって、前記吸着層は、内部に多数の気泡を含む発泡粘弾性体であり、その表面には平均直径が0.05~50μmの複数の発泡開口凹部が一面に分布して形成され、吸着層内の多数の内部気泡は多くが発泡開口凹部及び/又は他の内部気泡に連通し、吸着層の厚みが50~100μmである吸着フィルム。
[2][1]の吸着フィルムの表面に、さらに、パターン状に、平均直径が1000~5000μmの複数の開口凹部が賦型により形成され、かつ、該賦型開口凹部は少なくとも一つの前記発泡開口凹部と重なっている吸着フィルム。
[3]吸着層の粘弾性体が、アクリル系粘弾性体及びウレタン系粘弾性体から選択される少なくとも1種以上である[1]又は[2]に記載の吸着フィルム。
[4]吸着層のマルテンス硬さが1.0~1000N/mm2であり、PSTC-6法によるローリングボールタックが#2~#14である[1]~[3]のいずれかに記載の吸着フィルム。
[5]吸着層である発泡粘弾性体の、JIS K7127:1999又はISO527-3に準拠して得られるヤング率が0.1~100MPaである[1]~[4]のいずれかに記載の吸着フィルム。
[6]水性樹脂エマルション中に発泡剤を混ぜて、加温加圧下に発泡させて水性樹脂発泡体エマルションを得る工程と、得られた水性樹脂発泡体エマルションをフィルム基材上に塗布する工程と、塗布した水性樹脂発泡体エマルションを乾燥して吸着層とする工程とを含む、[1]、[3]、[4]、[5]のいずれかに記載の吸着フィルムの製造方法。
[7]吸着層の表面に、さらに、複数の賦型開口凹部を形成する[6]に記載の吸着フィルムの製造方法。
[8][1]~[5]のいずれかに記載の吸着フィルムを用いるマスキングフィルム。
発泡開口凹部の開口部面積の吸着層表面の全面積に対する割合は、30~80%であり、内部気泡は、発泡開口凹部及び/又は他の内部気泡に連通しているものが多い。
発泡開口凹部に近い内部気泡が、発泡開口凹部やそれとつながる他の内部気泡と連通して、発泡開口凹部がミクロ吸盤機能を果たすことに寄与するが、内部気泡の大きさ(平均直径)も発泡開口凹部と同様、0.05~50μmであることが好ましく、吸着層の厚みは50~100μmなので、発泡粘弾性体内の多くの気泡が発泡開口凹部のミクロ吸盤機能に関係しているといえる(図2参照)。
また、発泡開口凹部の表面形状は平面、曲面のいずれでもよいが、発泡開口凹部およびそれに連通する内部気泡への空気の流通による吸着等が容易且つ確実に行える点から、滑らかに湾曲した曲面が好ましい。
フィルム基材の厚さとしては、上述した発泡粘弾性体からなる吸着層を積層することができ、吸着層を支持する基材として用いることができるものであれば特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上100μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の厚さが薄すぎる場合は、本発明の吸着フィルムに十分な強度を付与することが困難となり、フィルム基材の厚さが厚すぎる場合は、吸着フィルムの薄膜化、軽量化を図ることが困難となる。
アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの水性樹脂エマルション中にアゾジカルボンアミドなどの発泡剤を混ぜて、加温加圧下に発泡させて水性樹脂発泡体エマルションを得、次いで、得られた水性樹脂発泡体エマルションをポリカーボネート樹脂などのフィルム基材上に塗布し、これを乾燥して吸着層とすることにより、所定の平均直径の複数の発泡開口凹部が表面に分布して形成された、所定の厚みの発泡粘弾性体からなる吸着層を有する本発明の吸着フィルムを得る。
ウレタン樹脂の水性樹脂エマルションに発泡剤としてアゾジカルボンアミドを加え、加温加圧下に発泡させて水性樹脂発泡体エマルションを得、これをポリカーボネート樹脂フィルム基材上に(乾燥後の)吸着層の厚みが70μmとなるように塗布して乾燥し、吸着フィルム1を得た。
吸着フィルム1のマルテンス硬さは16.87N/mm2、ローリングボールタックは#5、ヤング率は4.0Mpaであった。
[実施例2]
水性樹脂エマルションをアクリル樹脂エマルションとした他は実施例1と同様にして、吸着フィルム3を得た。
吸着フィルム1のマルテンス硬さは17.01N/mm2、ローリングボールタックは#5、ヤング率は3.8Mpaであった。
吸着フィルム1~3は、いずれも、初期の剥離力が0.11N/25mmであり、室温下、250時間後の剥離力が0.15N/25mmであった。
Claims (6)
- フィルム基材と吸着層からなる吸着フィルムであって、前記吸着層は、内部に多数の気泡を含む発泡粘弾性体であり、その表面には平均直径が0.05~50μmの複数の発泡開口凹部が一面に分布して形成され、吸着層内の多数の内部気泡は多くが発泡開口凹部及び/又は他の内部気泡に連通し、吸着層の厚みが50~100μmであり、前記吸着層の表面に、さらに、パターン状に、平均直径が1000~5000μmの複数の賦型開口凹部を有し、該賦型開口凹部は少なくとも一部が前記発泡開口凹部と重なっている吸着フィルム。
- 前記吸着層の粘弾性体が、アクリル系粘弾性体及びウレタン系粘弾性体から選択される少なくとも1種以上である請求項1に記載の吸着フィルム。
- 前記吸着層のマルテンス硬さが1.0~1000N/mm2であり、PSTC-6法によるローリングボールタックが#2~#14である請求項1又は2に記載の吸着フィルム。
- 吸着層である発泡粘弾性体の、JIS K7127:1999又はISO527-3に準拠して得られるヤング率が0.1~100MPaである請求項1~3のいずれか1項に記載の吸着フィルム。
- 水性樹脂エマルション中に発泡剤を混ぜて、加温加圧下に発泡させて水性樹脂発泡体エマルションを得る工程と、得られた水性樹脂発泡体エマルションをフィルム基材上に塗布する工程と、塗布した水性樹脂発泡体エマルションを乾燥して吸着層とする工程とを含み、さらに、複数の賦型開口凹部を形成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸着フィルムの製造方法。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の吸着フィルムを用いるマスキングフィルム。
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