以下に添付図面を参照して、本発明に係る制御装置、制御プログラム及び液体吐出装置の実施の形態を説明する。以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1を用いて、実施の形態1に係る印刷システム1のシステム構成を説明する。図1は、実施の形態1に係る印刷システム1のシステム構成例を示す図である。
図1に示すように、印刷システム1には、制御装置10と、液体吐出装置20と、ホストPC(Personal Computer)30とが含まれる。制御装置10は、PCやサーバ装置等の情報処理装置であり、液体吐出装置20による液体塗布面の形成前に実施される空吐出での排出量を決定する。ホストPC30は、PC等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読取装置、デジタルカメラ等の撮像装置等のプリンタドライバにより印刷データ等を生成し、液体吐出装置20に出力する。液体吐出装置20は、制御装置10によって決定された空吐出での排出量をもとに空吐出を実施し、ホストPC30から受け付けられた印刷データ等をもとに、媒体上に液体塗布面を形成する。
次に、図2を用いて、実施の形態1に係る制御装置10のハードウェア構成を説明する。図2は、実施の形態1に係る制御装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)12と、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、I/F15とを有する。上記各部は、バス11を介して相互に接続される。
CPU12は、制御装置10の動作を統括的に制御する。CPU12は、RAM14等を作業領域として、ROM13等に格納されたプログラムを実行することで、制御装置10全体の動作を制御する。I/F15は、液体吐出装置20等との通信を制御するインタフェースである。このほか、制御装置10は、キーボードやマウス等の入力装置、各種情報を表示出力する出力装置を備えていても良い。また、制御装置10は、各種データを蓄積する不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)を備えていても良い。
次に、図3を用いて、実施の形態1に係る液体吐出装置20のハードウェア構成を説明する。図3は、実施の形態1に係る液体吐出装置20のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、液体吐出装置20は、制御部200を備える。制御部200は、液体吐出装置20全体の制御を司るCPU201と、ROM202と、RAM203と、不揮発性メモリ(NVRAM)204と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)205とを備える。
ROM202は、CPU201が実行するプログラムや、その他の固定データ等を格納する。RAM203は、画像データ等を一時格納する。不揮発性メモリ204は、液体吐出装置20の電源が遮断されている間もデータを保持する。ASIC205は、各種信号処理や並び替え等を行なう画像処理、その他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
また、制御部200は、I/F206と、印刷制御部207と、主走査モータ駆動部208と、副走査モータ駆動部209と、I/O210とを備える。また、制御部200は、操作パネル211と、環境センサ212とを接続する。
I/F206は、ホストPC30側との間でデータや信号を送受するインタフェースである。具体的には、I/F206は、情報処理装置、画像読取装置、撮像装置等のホストのプリンタドライバが生成した印刷データ等を、ケーブルやネットワーク等を介して受信する。つまり、制御部200に対する印刷データの生成出力は、ホストPC30側のプリンタドライバによって行なわれても良い。CPU201は、I/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。そして、ASIC205にて画像処理やデータの並び替え処理等が行なわれ、画像データが印刷制御部207やヘッドドライバ213に転送される。
印刷制御部207は、液体吐出ヘッド217を駆動するための駆動波形を生成するとともに、液体吐出ヘッド217が液体を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を選択駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データを、ヘッドドライバ213に出力する。
印刷制御部207は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ構成となっていても良い。印刷制御部207は、CPUがROM等に記憶されたプログラムを実行することによって所望の機能を発揮する。
印刷制御部207のCPUが実行するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
さらに、印刷制御部207のCPUが実行するプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることで提供するように構成しても良い。また、印刷制御部207のCPUが実行するプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
主走査モータ駆動部208は、主走査モータ214を駆動する。主走査モータ214は、駆動により、液体吐出ヘッド217を備えたキャリッジ216を主走査方向に移動させる。副走査モータ駆動部209は、副走査モータ215を駆動する。副走査モータ215は、駆動により、シート等の媒体を副走査方向に搬送する搬送部218を動作させる。
I/O210は、環境センサ212からの情報を取得し、液体吐出装置20の各部の制御に要する情報を抽出する。例えば、環境センサ212は、環境温度や環境湿度等を検出する。なお、I/O210は、環境センサ212以外の各種センサからの検知信号も入力する。操作パネル211は、各種情報の入力や表示を行なう。
ここで、液体吐出装置20における印刷制御処理の概略について説明する。
液体吐出装置20のCPU201は、I/F206の受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行なって印刷制御部207に転送する。
印刷制御部207は、所要のタイミングでヘッドドライバ213に画像データや駆動波形を出力する。詳細には、印刷制御部207は、ROM202に格納されてCPU201で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換して増幅することにより、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成する。
なお、画像出力するための画像データ(ドットパターンデータ)の生成は、例えばROM202にフォントデータを格納して行なっても良いし、ホストPC30側のプリンタドライバで画像データをビットマップに展開して液体吐出装置20に転送するようにしても良い。
ヘッドドライバ213は、入力される画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて、印刷制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、選択的に液体吐出ヘッド217の圧力発生手段に対して印加することにより、液体吐出ヘッド217を駆動する。
次に、図4を用いて、実施の形態1に係る液体吐出装置20の概略を説明する。図4は、実施の形態1に係る液体吐出装置20を概略的に示す斜視図の例である。
図4に示すように、液体吐出装置20は、インクジェットヘッド等である画像形成部219と、搬送部218と、媒体収納部230とを有し、これら各部は装置本体20aの内部に配置される。
媒体収納部230は、液体塗布面の記録用のシートとして、ロール状の媒体231をセットする。媒体収納部230は、幅方向のサイズが異なる媒体231をセットすることが可能である。
媒体231は、媒体軸(図示せず)に対して両側からフランジ232が装着される。そして、媒体231は、媒体収納部230に設けられたフランジ受け233にフランジ232を載置することにより、媒体収納部230に収納される。なお、フランジ受け233の内部には、支持コロ(図示せず)が設けられている。そして、支持コロとフランジ受け233に載置したフランジ232の外周とが当接することで、フランジ232が回転し、媒体231が媒体搬送経路に送り出される。
液体吐出装置20は、画像形成部219を構成するキャリッジ216を媒体231の幅方向に走査させながら液体塗布面を形成する。そして、液体吐出装置20は、1回又は複数回のキャリッジ216の走査が終了した後に媒体231を搬送し、次の記録ラインを形成する。例えば、液体吐出装置20は、いわゆるシリアル型インクジェット式記録装置である。
画像形成部219は、ガイドロッド234及びガイドレール235を図示しない両側板に掛け渡して備えている。キャリッジ216は、これらのガイドロッド234及びガイドレール235に対して矢印A方向に摺動可能に保持される。キャリッジ216は、液体を吐出する液体吐出ヘッド217を備える。例えば、液体吐出ヘッド217は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)等のインクを吐出する。
画像形成部219は、媒体231の幅方向の一方側に配置される主走査モータ214を含む主走査機構241を備える。また、主走査機構241は、駆動プーリ236と、従動プーリ237と、ベルト部材238とを備える。駆動プーリ236は、主走査モータ214によって回転駆動される。従動プーリ237は、媒体幅方向の他方側に配置される。なお、従動プーリ237は、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ236に対して離間する方向にテンションがかけられている。
ベルト部材238は、駆動プーリ236と従動プーリ237との間に掛け回される。ベルト部材238は、キャリッジ216の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、媒体幅方向にキャリッジ216を牽引する。
加えて、画像形成部219は、キャリッジ216の主走査位置を検知するため、エンコーダシートを備える。エンコーダシートは、媒体231の幅方向に沿って配置される。すなわち、キャリッジ216の主走査位置は、キャリッジ216に設けられた図示しないエンコーダセンサによってエンコーダシートを読み取ることにより検知される。
搬送部218は、キャリッジ216における主走査領域のうち記録領域では、媒体231を当該媒体231の幅方向と直交する方向、すなわち、矢印Bで示す媒体の搬送方向に間欠的に搬送する。
加えて、搬送部218における媒体231の幅方向のキャリッジ216の移動領域外、又は、主走査領域のうち一方の端部側領域(例えば、図中の左側)には、メインカートリッジ239が装置本体20aに対して着脱自在に装着される。メインカートリッジ239は、液体吐出ヘッド217のサブタンクに供給する各色のインク等の液体を収容する。
また、搬送部218におけるキャリッジ216の移動領域の一方の端部側領域、すなわち、空吐出位置側(例えば、図中の左側)には、空吐出受け(図示せず)も設けられている。空吐出受けは、増粘したインク等の液体を排出するために液体塗布面の形成に寄与しない液体を吐出する空吐出動作の際に、吐出された液滴を受ける。液体吐出ヘッド217のそれぞれは、所定の条件成立時に、吐出性能の維持又は回復のために、空吐出位置にて空吐出を行なう。本実施の形態において、空吐出での液体の排出量は、制御装置10によって決定される。
さらに、キャリッジ216の移動領域の他方の端部側、すなわち、キャリッジホーム位置側(例えば、図中の右側)には、液体吐出ヘッド217の維持回復を行なう維持回復機構240が配置される。維持回復機構240は、図示を省略しているが、液体吐出ヘッド217の各ノズル面をキャッピングするための各キャップや、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード等を備える。
なお、装置の仕様によっては、例えば空吐出受けをキャリッジホーム位置側に設けて、キャップやワイパーブレードと同様に維持回復機構240に含めた構成としても良い。また、キャリッジホーム位置側及び空吐出位置側の両方に、それぞれ空吐出受けを設ける構成であっても良い。
次に、図5を用いて、実施の形態1に係る制御装置10の機能構成を説明する。図5は、実施の形態1に係る制御装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置10は、取得部101と、判定部102と、決定部103とを有する。
取得部101は、液体塗布面の形成で吐出される吐出滴の構成情報を示す吐出滴構成情報を取得する。より具体的には、取得部101は、液体吐出装置20から、液体吐出装置20の液体吐出ヘッド217から吐出される吐出滴の構成情報(例えば、大滴、中滴及び小滴の組み合わせ)を示す吐出滴構成情報を取得する。液体吐出装置20では、ホストPC30等から送られてきた印刷データから、液体吐出ヘッド217から実際に吐出する吐出滴の構成情報が抽出される。そして、液体吐出装置20では、抽出された吐出滴の構成情報に従って、液体吐出ヘッド217から大滴、中滴及び小滴の液体が順次吐出される。取得部101は、このように液体吐出装置20によって抽出された吐出滴の構成情報を示す吐出滴構成情報を取得する。なお、本実施の形態では、液体吐出ヘッド217から吐出される吐出滴のサイズが大滴、中滴及び小滴の3種類である場合を例に挙げるが、これに限られるものではない。
ここで、図6A~図6Cを用いて、ノズル内のインクの増粘状態とその際の吐出滴の挙動を吐出滴のサイズごとに説明する。図6Aは、大滴を吐出する場合のノズル内のインクの増粘状態とその際の吐出滴の挙動の例を説明する図である。図6Bは、中滴を吐出する場合のノズル内のインクの増粘状態とその際の吐出滴の挙動の例を説明する図である。図6Cは、小滴を吐出する場合のノズル内のインクの増粘状態とその際の吐出滴の挙動の例を説明する図である。なお、図6A~図6Cでは、矢印方向に向かうほど増粘が増している(粘性が高い)ものとする。
図6Aに示すように、ノズルから大滴が吐出される場合は、吐出で使用されるエネルギーも大きくなるため、インクの増粘による影響をあまり受けることなく、正常に吐出することが可能である。
図6Bに示すように、ノズルから中滴が吐出される場合は、インクの微小な増粘であれば影響をあまり受けることなく正常に吐出することが可能であるが、粘性が高くなると、正常に吐出できずに吐出の曲り等が発生する。
図6Cに示すように、ノズルから小滴が吐出される場合は、インクの増粘による影響を受けやすくなり、インクの微小な増粘であっても吐出の曲りが発生し、粘性が高くなると、吐出することもできなくなる。
図7は、吐出滴のサイズと各吐出滴のサイズで正常に吐出可能となる空吐出での排出量との関係の例を説明する図である。なお、各吐出滴のサイズを吐出するノズル内の増粘状態は一定であるものとする。
図7に示すように、より小さいサイズの液滴を正常に吐出するためには、液体塗布面の形成のためのインクの吐出前に、より多量のインクを空吐出により排出し、増粘したインクによる吐出不良の影響を小さくする必要がある。また、液体塗布面の形成のためのインクの吐出前に行なう空吐出での排出量は、より大きいサイズの液滴ほど少ない量であっても良く、少ない排出量であっても正常に吐出することが可能となる。
図8は、吐出滴のサイズそれぞれに対する空吐出での排出量と累計吐出量との関係の例を説明する図である。なお、図8では、左から右に向かって、順次、インクが吐出されるものとする。また、図8の上段は、大滴に対する空吐出での排出量と累計吐出量との関係を示す。つまり、図8の上段に係る吐出滴構成情報は、10の大滴を順次吐出する構成である。図8の中段は、中滴に対する空吐出での排出量と累計吐出量との関係を示す。つまり、図8の中段に係る吐出滴構成情報は、10の中滴を順次吐出する構成である。図8の下段は、小滴に対する空吐出での排出量と累計吐出量との関係を示す。つまり、図8の下段に係る吐出滴構成情報は、10の小滴を順次吐出する構成である。
図8の上段に示すように、大滴を吐出する場合は、まず1滴目の大滴を正常に吐出できるように、該大滴に対応した排出量(A)で空吐出が行なわれる。そして、1滴目以降については、1滴目の大滴を吐出する前に排出量(A)で空吐出が行なわれているため、正常にインクを吐出することが可能となる。また、1滴目以降については、液体塗布面の形成のためのインクの吐出により、累計吐出量が増加していくため、より安定してインクを吐出することが可能となる。なお、累計吐出量は、液体塗布面の形成のために順次吐出されるインクの量だけではなく、空吐出での排出量(A)も含む。
図8の中段に示すように、中滴を吐出する場合は、まず1滴目の中滴を正常に吐出できるように、該中滴に対応した排出量(B)で空吐出が行なわれる。そして、1滴目以降については、1滴目の中滴を吐出する前に排出量(B)で空吐出が行なわれているため、正常にインクを吐出することが可能となる。また、1滴目以降については、液体塗布面の形成のためのインクの吐出により、累計吐出量が増加していくため、より安定してインクを吐出することが可能となる。なお、累計吐出量は、液体塗布面の形成のために順次吐出されるインクの量だけではなく、空吐出での排出量(B)も含む。
図8の下段に示すように、小滴を吐出する場合は、まず1滴目の小滴を正常に吐出できるように、該小滴に対応した排出量(C)で空吐出が行なわれる。そして、1滴目以降については、1滴目の小滴を吐出する前に排出量(C)で空吐出が行なわれているため、正常にインクを吐出することが可能となる。また、1滴目以降については、液体塗布面の形成のためのインクの吐出により、累計吐出量が増加していくため、より安定してインクを吐出することが可能となる。なお、累計吐出量は、液体塗布面の形成のために順次吐出されるインクの量だけではなく、空吐出での排出量(C)も含む。
このように、液滴のサイズによって、空吐出での排出量は異なる。詳細には、液滴のサイズが大きくなるほど、空吐出での排出量は少なくて済む。なお、実際の吐出では、サイズが異なる液滴を順次吐出することがある。また、上述した排出量(A)、排出量(B)及び排出量(C)は、「第1の排出量」に対応する。
判定部102は、吐出滴構成情報をもとに累計吐出量を求め、累計吐出量をもとに吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なえるかを判定する。より具体的には、判定部102は、取得部101によって取得された吐出滴構成情報と、1滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なうための空吐出での排出量を示す第1の排出量とから、1滴目からn-1滴目(nは、自然数)までの累計吐出量を求める。例えば、第1の排出量は、1滴目が大滴であれば排出量(A)であり、1滴目が中滴であれば排出量(B)であり、1滴目が小滴であれば排出量(C)である。また、累計吐出量には、第1の排出量も含まれる。
そして、判定部102は、1滴目からn-1滴目までの累計吐出量をもとに、n滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なえるかを判定する。上述したように、実際の吐出では、サイズが異なる液滴を順次吐出することがある。また、直前に吐出した液滴のサイズと同一のサイズの液滴を吐出する場合は、事前に行なわれた空吐出や、直前までに行なわれる吐出から、安定した吐出が可能である。そこで、判定部102は、以下で説明するように、直前に吐出した液滴のサイズとは異なるサイズ(例えば、より小さいサイズ)の液滴を吐出する場合に、累計吐出量に含まれる第1の排出量が、この吐出を正常に行なえる排出量であるかを判定する。つまり、液体塗布面を形成するためのインクの吐出は、異なるサイズの液滴を吐出する時点ではそれ以上増加しないため、異なるサイズの液滴を正常に吐出させるために、累計吐出量に含まれる第1の排出量を増加させる必要があるかも知れない。
図9A及び図9Bは、実施の形態1に係る判定部102による処理の例を説明する図である。なお、図9A及び図9Bでは、左から右に向かって、順次、インクが吐出されているものとする。
図9Aに示すように、吐出滴構成情報が5の大滴の後に小滴を吐出する構成である場合に、判定部102は、1滴目の吐出滴構成情報に対応する大滴の吐出を正常に行なうための空吐出での排出量(第1の排出量)を排出量(A)とする。そして、判定部102は、6滴目に小滴が吐出されることから、排出量(A)と、1滴目から5滴目までの吐出量とを合計した累計吐出量を求める。続いて、判定部102は、求めた累計吐出量と、6滴目の小滴の吐出を正常に行なえる排出量(C)とを比較する。図9Aでは、累計吐出量と排出量(C)とが同一であるものとする。すなわち、判定部102は、比較の結果、累計吐出量が排出量(C)以上であるため、6滴目の小滴の吐出を正常に行なえると判定する。
図9Bに示すように、吐出滴構成情報が5の中滴の後に小滴を吐出する構成である場合に、判定部102は、1滴目の吐出滴構成情報に対応する中滴の吐出を正常に行なうための空吐出での排出量(第1の排出量)を排出量(B)とする。そして、判定部102は、6滴目に小滴が吐出されることから、排出量(B)と、1滴目から5滴目までの吐出量とを合計した累計吐出量を求める。続いて、判定部102は、求めた累計吐出量と、6滴目の小滴の吐出を正常に行なえる排出量(C)とを比較する。図9Bでは、累計吐出量が排出量(C)未満であるものとする。すなわち、判定部102は、比較の結果、累計吐出量が排出量(C)未満であるため、6滴目の小滴の吐出を正常に行なえないと判定する。
6滴目の小滴の吐出を正常に行なうためには、累計吐出量が排出量(C)以上である必要がある。ここで、累計吐出量には、排出量(B)と、1滴目から5滴目までの吐出量とが含まれる。但し、1滴目から5滴目までの吐出量は、これ以上増加できない。従って、累計吐出量を排出量(C)以上にするためには、累計吐出量に含まれる排出量(B)を、図9Bに示す排出量(D)だけ増加させれば良い。つまり、空吐出での排出量を、排出量(B)+排出量(D)とすることで、6滴目の小滴を吐出する場合に、それまでの累計吐出量が排出量(C)以上となるため、6滴目の小滴を正常に吐出することが可能になる。なお、排出量(B)+排出量(D)は、「第2の排出量」に対応する。第2の排出量を決定する処理は、決定部103によって実行される。
決定部103は、1滴目からn滴目までの吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なうための空吐出での排出量を示す第2の排出量を決定する。より具体的には、決定部103は、判定部102によって、n滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なえないと判定された場合に、累計吐出量が、n滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なえる吐出量以上となるように、1滴目からn滴目までの吐出を正常に行なうための空吐出での排出量を示す第2の排出量を決定する。
決定部103によって決定された第2の排出量の情報は、液体吐出装置20に送られる。これにより、液体吐出装置20は、液体塗布面を形成するための吐出よりも前に、第2の排出量にて、液体吐出ヘッド217に空吐出を行なわせる。そして、液体吐出装置20は、液体吐出ヘッド217からインクを吐出し、媒体上に液体塗布面を形成していく。
次に、図10~図13を用いて、実施の形態1に係る排出量決定処理の流れを説明する。図10~図13は、実施の形態1に係る排出量決定処理の流れの例を示すフローチャートである。図10~図13では、1滴目が大滴である場合の第1の排出量を「PL」とし、1滴目が中滴である場合の第1の排出量を「PM」とし、1滴目が小滴である場合の第1の排出量を「PS」とする。また、図10~図13では、サイズが中滴である液滴を吐出するまでに液体塗布面を形成するために吐出される吐出量を「NM」とし、サイズが小滴である液滴を吐出するまでに液体塗布面を形成するために吐出される吐出量を「NS」とする。なお、「L」は大滴に対応し、「M」は中滴に対応し、「S」は小滴に対応する。
図10に示すように、制御装置10は、液体吐出装置20から吐出滴構成情報を取得する(ステップS101)。そして、制御装置10は、取得した吐出滴構成情報をもとに、1滴目の吐出滴のサイズが小滴Sであるかを判定する(ステップS102)。このとき、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが小滴Sである場合に(ステップS102:Yes)、図11に示す「A」に遷移する。一方、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが小滴Sでない場合に(ステップS102:No)、1滴目の吐出滴のサイズが中滴Mであるかを判定する(ステップS103)。
このとき、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが中滴Mである場合に(ステップS103:Yes)、図12に示す「B」に遷移する。一方、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが中滴Mでない場合に(ステップS103:No)、1滴目の吐出滴のサイズが大滴Lであるかを判定する(ステップS104)。このとき、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが大滴Lである場合に(ステップS104:Yes)、図13に示す「C」に遷移する。一方、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが大滴Lでない場合に(ステップS104:No)、吐出滴の入力情報がないため処理を終了する。
図11に示すように、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが小滴Sである場合に(ステップS102:Yes)、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPSに決定する(ステップS201)。1滴目の吐出滴のサイズが小滴Sである場合は、中滴Mや大滴Lである場合よりも空吐出での排出量が多量になるため、その後の吐出滴のサイズがいかなるサイズであっても正常に吐出可能となる。従って、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが小滴Sである場合は、空吐出での排出量をPSに決定して処理を終了する。
図12に示すように、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが中滴Mである場合に(ステップS103:Yes)、吐出滴構成情報をもとに、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれるかを判定する(ステップS301)。このとき、制御装置10は、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれていない場合に(ステップS301:No)、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPMに決定する(ステップS304)。
1滴目の吐出滴のサイズが中滴Mである場合は、大滴Lである場合よりも空吐出での排出量が多量になるため、その後の吐出滴のサイズに大滴Lが含まれていても正常に吐出可能となる。従って、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが中滴Mである場合は、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれているかを確認する。そして、制御装置10は、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれていない場合に、その後の吐出滴のサイズは大滴L又は中滴Mとなるため、いずれのサイズであっても正常に吐出可能となる。従って、制御装置10は、空吐出での排出量をPMに決定して処理を終了する。
一方、制御装置10は、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれている場合に(ステップS301:Yes)、「PS>PM+NS」であるかを判定する(ステップS302)。このとき、制御装置10は、「PS>PM+NS」である場合に(ステップS302:Yes)、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量を「PM+(PS-NS)」に決定する(ステップS303)。一方、制御装置10は、「PS>PM+NS」でない場合に(ステップS302:No)、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPMに決定する(ステップS304)。
制御装置10は、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれている場合に、小滴Sを吐出するまでに吐出された累計吐出量(PM+NS)が小滴Sの吐出に要する空吐出での排出量PS以上であるかを確認する。累計吐出量(PM+NS)が小滴Sの吐出に要する空吐出での排出量PS以上である場合は、中滴Mの吐出に要する空吐出での排出量PMで正常に吐出可能となる。累計吐出量(PM+NS)が小滴Sの吐出に要する空吐出での排出量PS未満である場合は、中滴Mの吐出に要する空吐出での排出量PMに、PS-NSを加えた排出量で正常に吐出可能となる。なお、このような処理は、以下で説明する図13でも同様である。
図13に示すように、制御装置10は、1滴目の吐出滴のサイズが大滴Lである場合に(ステップS104:Yes)、吐出滴構成情報をもとに、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれるかを判定する(ステップS401)。そして、制御装置10は、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれていない場合に(ステップS401:No)、吐出滴構成情報をもとに、サイズが中滴Mである吐出滴が含まれるかを判定する(ステップS402)。続いて、制御装置10は、サイズが中滴Mである吐出滴が含まれていない場合に(ステップS402:No)、全ての吐出滴のサイズは大滴Lであるため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPLに決定する(ステップS403)。
また、制御装置10は、サイズが中滴Mである吐出滴が含まれている場合に(ステップS402:Yes)、「PM>PL+NM」であるかを判定する(ステップS404)。このとき、制御装置10は、「PM>PL+NM」でない場合に(ステップS404:No)、中滴Mの吐出に要する累計吐出量が足りているため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPLに決定する(ステップS403)。一方、制御装置10は、「PM>PL+NM」である場合に(ステップS404:Yes)、中滴Mの吐出に要する累計吐出量が足りていないため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量を「PL+(PM-NM)」に決定する(ステップS405)。
また、制御装置10は、サイズが小滴Sである吐出滴が含まれる場合に(ステップS401:Yes)、吐出滴構成情報をもとに、サイズが中滴Mである吐出滴が含まれるかを判定する(ステップS406)。そして、制御装置10は、サイズが中滴Mである吐出滴が含まれていない場合に(ステップS406:No)、「PS>PL+NS」であるかを判定する(ステップS407)。このとき、制御装置10は、「PS>PL+NS」でない場合に(ステップS407:No)、小滴Sの吐出に要する累計吐出量が足りているため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPLに決定する(ステップS403)。一方、制御装置10は、「PS>PL+NS」である場合に(ステップS407:Yes)、小滴Sの吐出に要する累計吐出量が足りていないため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量を「PL+(PS-NS)」に決定する(ステップS408)。
また、制御装置10は、サイズが中滴Mである吐出滴が含まれる場合に(ステップS406:Yes)、「PS-NS>PM-NM」であるかを判定する(ステップS409)。つまり、制御装置10は、小滴Sを吐出可能な排出量から小滴Sまでに吐出される吐出量を引いた値が、中滴Mを吐出可能な排出量から中滴Mまでに吐出される吐出量を引いた値よりも大きいかを判定する。そして、制御装置10は、「PS-NS>PM-NM」でない場合に(ステップS409:No)、「PM>PL+NM」であるかを判定する(ステップS410)。このとき、制御装置10は、「PM>PL+NM」でない場合に(ステップS410:No)、中滴Mの吐出に要する累計吐出量が足りているため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPLに決定する(ステップS403)。一方、制御装置10は、「PM>PL+NM」である場合に(ステップS410:Yes)、中滴Mの吐出に要する累計吐出量が足りていないため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量を「PL+(PM-NM)」に決定する(ステップS411)。
また、制御装置10は、「PS-NS>PM-NM」である場合に(ステップS409:Yes)、「PS>PL+NS」であるかを判定する(ステップS412)。このとき、制御装置10は、「PS>PL+NS」である場合に(ステップS412:Yes)、小滴Sの吐出に要する累計吐出量が足りていないため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量を「PL+(PS-NS)」に決定する(ステップS413)。一方、制御装置10は、「PS>PL+NS」でない場合に(ステップS412:No)、小滴Sの吐出に要する累計吐出量が足りているため、液体塗布面の形成前に実施する空吐出での排出量をPLに決定する(ステップS403)。
上述したように、制御装置10は、液体塗布面の形成で吐出される吐出滴の構成情報を示す吐出滴構成情報と、1滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なうための空吐出での排出量を示す第1の排出量とから、1滴目からn-1滴目までの累計吐出量を求める。そして、制御装置10は、累計吐出量をもとに、n滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なえるかを判定する。続いて、制御装置10は、n滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なえない場合に、累計吐出量が、n滴目の吐出滴構成情報に対応する吐出を正常に行なえる吐出量以上となるように、空吐出での排出量(第2の排出量)を決定する。換言すると、制御装置10は、第1の排出量と、1滴目からn-1滴目までの吐出量との合計である累計吐出量を求め、累計吐出量がn滴目の吐出のための空吐出の排出量以上となるように、空吐出での新たな排出量を決定する。これらの結果、制御装置10は、n滴目の吐出を正常に行なうための最低限の排出量にて空吐出を行なうので、空吐出するインクの量を削減することができる。
上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータ等を含む情報は、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、図示した装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、装置の分散又は統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に、分散又は統合することができる。
例えば、上述してきた制御装置10の各機能は、液体吐出装置20によって実現することもできる。図14は、実施の形態1に係る液体吐出装置20の機能構成例を示すブロック図である。
図14に示すように、液体吐出装置20は、取得部21と、判定部22と、決定部23と、ヘッド制御部24とを有する。取得部21、判定部22及び決定部23の機能は、取得部101、判定部102及び決定部103の機能と同様であるため、詳細な説明を省略する。
上述したように、液体吐出装置20では、ホストPC30等から送られてきた印刷データから、液体吐出ヘッド217から実際に吐出する吐出滴の構成情報(吐出滴構成情報)が抽出される。液体吐出装置20では、吐出滴構成情報に従って、液体吐出ヘッド217から大滴、中滴及び小滴のサイズの液体が順次吐出される。取得部21は、この吐出滴構成情報を取得する。
ヘッド制御部24は、第2の排出量にて、液体吐出ヘッド217に空吐出を行なわせるように制御する。より具体的には、ヘッド制御部24は、液体塗布面を形成するための吐出よりも前に、決定部23によって決定された第2の排出量にて、液体吐出ヘッド217に空吐出を行なわせるように制御する。上述したように、空吐出は、空吐出位置側に設けられた空吐出受けに対して行なわれる。
また、上述してきた処理は、ノズル単位で実施しても良いし、ノズル列単位で実施しても良い。また、実際の印字がベタ画像等である場合は、各色の任意のノズル(代表ノズル)の吐出滴構成情報をもとに空吐出での排出量を決定し、全てのノズルに適用して空吐出を行なうようにしても良い。
また、第1の排出量や第2の排出量は、環境条件によって異なる場合がある。具体的には、制御装置10は、液体吐出装置20の環境センサ212によって検出された温度や湿度の情報を用いて、空吐出での排出量を変更しても良い。例えば、制御装置10は、温度が高いほどインクが乾燥して増粘するため、通常の空吐出よりも多量に排出するように設定する。また、例えば、制御装置10は、湿度が低いほどインクが乾燥して増粘するため、通常の空吐出よりも多量に排出するように設定する。これにより、制御装置10は、空吐出するインクの量をより適切に決定することができる。
また、第1の排出量や第2の排出量は、吐出滴の種類によって異なる場合がある。具体的には、制御装置10は、吐出されるインクの色に応じて、空吐出での排出量を変更しても良い。例えば、制御装置10は、インクの色によって各インクに含まれる保湿剤の量が異なる場合があるため、乾燥しやすいインクの色に対しては通常の空吐出よりも多量に排出するように設定する。これにより、制御装置10は、空吐出するインクの量をより適切に決定することができる。
また、第1の排出量や第2の排出量は、前回の液体塗布面の形成からの経過時間によって異なる場合がある。ノズル内のインクは、吐出により液体塗布面を形成してから時間が経過するほど増粘する可能性がある。このため、制御装置10は、前回の液体塗布面の形成からの経過時間に応じて、空吐出での排出量を変更しても良い。例えば、制御装置10は、前回の液体塗布面の形成から時間が経過しているほど、通常の空吐出よりも多量に排出するように設定する。これにより、制御装置10は、空吐出するインクの量をより適切に決定することができる。
また、制御装置10で実行される制御プログラムは、一つの様態として、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、制御装置10で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、制御装置10で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。また、制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
制御装置10で実行される制御プログラムは、上述した各部(取得部101、判定部102、決定部103)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が記憶媒体から制御プログラムを読み出して実行することにより、上記各部が主記憶装置上にロードされ、取得部101、判定部102、決定部103が主記憶装置上に生成されるようになっている。
また、上記実施の形態で説明した液体吐出装置20は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけではなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
このような液体吐出装置20は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙にかかわる手段、その他、前処理装置、後処理装置等も含むことができる。
例えば、液体吐出装置20として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、紛体を層状に形成した紛体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、液体吐出装置20は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記の「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するもの等を意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子等の電子部品、紛体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セル等の媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着する全てのものが含まれる。
上記の「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等、液体が一時的にでも付着可能であれば良い。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであれば良く、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、等を含む溶液、懸濁液、エマルジョン等であり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
また、液体吐出装置20は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置等が含まれる。
また、液体吐出装置20としては他にも、用紙の表面を改質する等の目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置等がある。