JP6990501B2 - 引き裂き性を有する熱収縮チューブ - Google Patents
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Description
しかし、用途によって、必要とされるチューブ径が細くなると、チューブを引き裂くときの引き裂き直進性が十分ではないという課題が生じる。チューブ径が細いと、チューブを引き裂くときのチューブを左右に切り開く(引き裂き)力を、左右均等にチューブに加えることは困難である。引き裂き力が不均一に加えられる場合であっても、チューブの全長に亘って確実に引き裂くためには、優れた引き裂き直進性が必要である。また、カテーテルなどの組み立て治具として使用される場合、引き裂き直進性以外にも、高い熱収縮性が必要であると同時に、組み立てたカテーテルの完成品の寸法精度に影響するため、収縮させたときの寸法精度が要求される。収縮したときの内径、長さ共に数%の誤差が大きな問題となる。
本発明では、ベース樹脂又はベース樹脂以外の樹脂がパーフルオロアルキルビニルエーテルを構成モノマーとして含む共重合体であることが好ましい。構成モノマーとしてのパーフルオロアルキルビニルエーテルは、低温での高い熱収縮率をもたらす。
高分子材料は、それを構成する分子の分子鎖が毛糸だま状に絡まった状態で存在している。高分子材料を成形した成形体においても、この分子の絡み合いの状態を維持しており、成形体の物性は、分子の絡み合いの構造に大きく影響される。本発明は、自社出願の特許文献1を改良した発明であり、チューブを構成する分子の絡み合いの強度の制御によって、優れた引き裂き直進性を有する熱収縮チューブを提供するものである。本発明の引き裂き直進性に優れる熱収縮チューブは、チューブ長手方向の断面において観察される、高分子の絡み合い単位の太さが、9μm以下であることを特徴としている。
高分子の絡み合い単位の太さは、チューブ長手方向の断面の形状を測定し、その断面の形状を波形として表示して算出した。以下に、図3を用いて説明する。断面の形状について、コンフォーカル顕微鏡(レーザーテック(株)製 H1200、対物レンズ 100倍)を用いて、図3のy軸方向に走査して、断面の、高さ方向(表面形状測定においてZ方向と呼ばれる)の測定を行った。測定範囲における波形のZ方向の幅の中心値を算出し中心線を引いた。中心値は、測定範囲で得られる波形の最大値を有するピークと、最小値を有するピークを除いて算出した。その中心線と波形の交差する点から、次の中心線との交差する点までの間隔、つまり一つの山または谷の幅となる中心線の長さを、高分子の絡み合い単位の太さとした。
(引き裂き直進性の試験)
細径のチューブを引き裂くときにも十分な引き裂き直進性が得られるかを、より明確に判断するために、以下の方法で測定した。長さ1000mmの試料の一方の端部に、長さ40mmの切り込みを設ける。切り込みは治具を用いて、チューブの中心に、チューブ長手方向に平行に設ける。切り込み部から、200mm/minの速度でチューブのもう一方の端部まで引き裂く。引き裂かれた二片のチューブの重量をそれぞれ測定し、重量の比率を求める。比率が50%対50%に近いものほど引き裂き直進性が高いと判断できる。細径のチューブを引き裂くには、比率は50%対50%~45%対55%の範囲内にすることが必要である。比率が50%対50%~48%対52%の範囲内、更には50%対50%~49%対51%の範囲内にすることで引き裂き直進性が向上する。
(200℃熱収縮率の測定)
後述するように、内径0.6mm、肉厚0.24mmのチューブ(原管)を破裂する直前まで拡張したチューブ(製品)から無作為に10個抜き取り、内径を測定した後、200℃の恒温槽で20min加熱して熱収縮させた後の内径を測定して、収縮率を算出した。
(収縮率、%)=((収縮前内径)-(収縮後内径))÷(収縮前内径)×100
(160℃熱収縮率の測定)
200℃熱収縮率の測定と同様にして試料を準備した。内径を測定した後、160℃の恒温槽で5min加熱して熱収縮させた後の内径を測定して、上記式に基づいて収縮率を算出した。
(成形材料の作製)
FEP(1):テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(三井デュポンフロロケミカル製FEP-130J)とFEP(2):テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン―ビニリデンフルオライド―パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(THV:ダイネオン製THV815GZ)を、FEP(1)/FEP(2)重量比=80/20で混合し、タンブラーで十分に攪拌した。これをシリンダー径20mmの2軸押出機に投入し、スクリュー回転数45rpm、ダイ温度320℃で押し出し、ペレット成形した。スクリューは、滞留部を4か所設けたパターンのものを使用し、ギャップが0.5mmの組み合わせとした。
(試料チューブの成形)
作成したペレットを用いて、シリンダー径20mmの単軸押出機によって、チューブ成形を行った。スクリューは、ダルメージスクリューを使用し、スクリュー回転数10rpm、ダイ温度390℃、引き落とし比DDR50でサイジングプレート法によってチューブ成形を行った。内径0.6mm、肉厚0.24mmのチューブを得た。
(試料チューブの拡張)
成形したチューブを、図4(b)と同じタイプの拡張治具に装着し、治具外部から加熱しながら内部に加圧窒素を注入して、チューブ内径の拡張を行い、長さ1000mmにカットした。
(試料チューブの収縮)
拡張した試料チューブから無作為に10個抜き取り、内径を測定した後、200℃の恒温槽で20min加熱して熱収縮させて試料チューブとした。収縮後の内径を測定して、収縮率を算出した。
さらに、拡張した試料チューブから無作為に10個抜き取り、内径を測定した後、160℃の恒温槽で5min加熱して熱収縮させて試料チューブとし、収縮後の内径を測定して、収縮率を算出した。
(成形材料の作製)
FEP(2)のTHV815GZを、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP:ダイキン製RP-5000)に代えた以外は、実施例1と同様に作製した。
(試料チューブの成形)
実施例1と同様の条件で行った。
(試料チューブの拡張・収縮)
実施例1と同様の条件で行った。
(成形材料の作製)
FEP(1)/FEP(2)重量比=85/15で混合した以外は、実施例1と同様に作製した。
(試料チューブの成形)
実施例1と同様の条件で行った。
(試料チューブの拡張・収縮)
実施例1と同様の条件で行った。
(成形材料の作製)
FEP(1)/FEP(2)重量比=90/10で混合した以外は、実施例1と同様に作製した。
(試料チューブの成形)
引き落とし比DDRを10とした以外は、実施例1と同様に成形した。
(試料チューブの拡張)
成形したチューブを、図4(a)と同じタイプの拡張治具に装着し、治具外部から加熱しながら内部に加圧窒素を注入して、チューブ内径の拡張を行い、長さ1000mmにカットした。
(試料チューブの収縮)
実施例1と同様の条件で行った。
(成形材料の作製)
FEP(2)のTHV815GZを、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE:旭硝子製C-55AP)に代えた以外は、実施例4と同様に作製した。
(試料チューブの成形)
実施例4と同様の条件で行った。
(試料チューブの拡張)
実施例4と同様の条件で行った。
(試料チューブの収縮)
実施例1と同様の条件で行った。
(成形材料の作製)
FEP(1)のFEP-130Jを、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP:三井デュポンフロロケミカル製FEP-100)に代えた以外は、実施例4と同様に作製した。
(試料チューブの成形)
実施例4と同様の条件で行った。
(試料チューブの拡張)
実施例4と同様の条件で行った。
(試料チューブの収縮)
実施例1と同様の条件で行った。
次に、160℃で加熱したときの熱収縮率を表2に示す。
Claims (5)
- ベース樹脂として、少なくともテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンを構成モノマーとして含む共重合体を含み、かつ該ベース樹脂以外の樹脂であって、少なくともテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンを構成モノマーとして含む共重合体を含むチューブであって、チューブ長手方向の断面において観察される、高分子の絡み合い単位の太さが、9μm以下であることを特徴とする引き裂き性を有する熱収縮チューブ。
- 前記ベース樹脂がパーフルオロアルキルビニルエーテルを構成モノマーとして含む共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の引き裂き性を有する熱収縮チューブ。
- 前記ベース樹脂以外の樹脂がパーフルオロアルキルビニルエーテルを構成モノマーとして含む共重合体であることを特徴とする請求項1~2に記載の引き裂き性を有する熱収縮チューブ。
- 200℃に加熱したときの熱収縮率が48%以上であることを特徴とする請求項1~3に記載の引き裂き性を有する熱収縮チューブ。
- 160℃に加熱したときの熱収縮率が38%以上であることを特徴とする請求項1~4に記載の引き裂き性を有する熱収縮チューブ。
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