JP6989842B2 - 新規トリペプチドを含む骨芽細胞の分化促進および骨形成促進剤 - Google Patents

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本発明は、新規トリペプチドを含む骨芽細胞の分化促進剤および骨形成促進剤に関する。
コラーゲンは、細胞内で-(Gly-X-Y)-(式中、XおよびYはそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)の繰り返し構造を有するポリペプチド鎖として合成され、3本のポリペプチド鎖が三重螺旋構造を形成して細胞外へと分泌される。細胞内で合成された各ポリペプチド鎖は、翻訳後修飾によってXやYがプロリンである場合にその一部が3Hyp(3-ヒドロキシプロリン)や4Hyp(4-ヒドロキシプロリン)などのヒドロキシプロリンへと水酸化される。したがって、コラーゲンには、プロリン、3Hyp、4Hypが混在している。なお、4Hypがコラーゲン三重螺旋構造の安定化に機能していることはよく知られている。
皮膚や骨に存在するI型コラーゲンの場合、3Hypの存在量は1,000アミノ酸残基当たり1残基に満たない程度であり、同約100残基存在する4Hypと比較して非常に少ない。また、腱のI型コラーゲンにおける3Hypの含有量は2残基程度、IV型コラーゲンでは同10残基程度である。
近年、測定技術の発達により微量な3Hypの分析が可能となったことなどから、3Hypに関する研究が盛んとなっている。例えば、3Hypの生理的、病理的役割として、コラーゲン線維形成への寄与(非特許文献1)、骨形成不全症(非特許文献2)や強度近視(非特許文献3)などの疾患との関連、幼若期の腱I型コラーゲンでの3Hypの顕著な増加(非特許文献4)などの報告がある。また、抗体を用いた測定により、IV型コラーゲンに由来する3Hyp含有ペプチドがガン患者の尿中で減少しているとの報告もあり(非特許文献5、特許文献1)、3Hyp含有ペプチドが生体内で何らかの機能を発揮することが示唆される。
近年、コラーゲン加水分解物を経口摂取することにより、Pro-Hypに代表されるコラーゲン由来オリゴペプチドが血中に非常に高濃度で検出されることが報告され、それらペプチドの効果効能に注目が集まっている。その中で、コラーゲン加水分解物摂取による骨代謝改善(特許文献2)、コラーゲン加水分解物による骨分化促進効果(非特許文献6、非特許文献7)、さらにPro-Hypによる骨分化促進効果などが報告されている(非特許文献8)。
更に、Glu-Hyp-GlyやGlu-Hypなどを含有する、前駆軟骨細胞または骨芽細胞の増殖促進剤もある(特許文献3)。これらのペプチドは、ゼラチンにエンド型プロテアーゼおよびエキソ型プロテアーゼの2種以上を組み合わせて加水分解したペプチド混合物自体やこれを部分精製した混合物に含まれるという。ペプチド固相合成法で調製したこれらのペプチドを、マウス正常前駆軟骨細胞ATDC5に添加して細胞増殖率を測定したところ、高い前駆軟骨細胞の増殖促進作用が示され、マウス正常骨芽細胞MC3T3-E1に添加してアルカリホスファターゼ活性(以下、ALP活性と称する。)を測定したところ、高い骨芽細胞の分化促進作用が示され、およびMC3T3-E1細胞に添加して細胞増殖率を測定したところ、高い骨芽細胞の増殖促進作用が示されたという。
特開2006-177811号公報 特開2013-124221号公報 特開2015-59087号公報
Weis MA, et al., "Location of 3-hydroxyproline residues in collagen types I, II, III, and V/XI implies a role in fibril supramolecular assembly", J. Biol. Chem., (2010), 285(4):2580-2590. Cabral WA, et al.,"Prolyl 3-hydroxylase 1 deficiency causes a recessive metabolic bone disorder resembling lethal/severe osteogenesis imperfecta", Nat. Genet., (2007) 39(3):359-365. Hudson DM, et al., "Post-translationally Abnormal Collagens of Prolyl 3-Hydroxylase-2 Null Mice Offer a Pathobiological Mechanism for the High Myopia Linked to Human LEPREL1 Mutations", J. Biol. Chem., (2015) 290(13):8613-8622. Taga Y, et al., "Developmental stage-dependent regulation of prolyl 3-hydroxylation in tendon type I collagen", J. Biol. Chem., (2016) 291(2):837-847. Saito J, et al., "ELISA measurement for urinary 3-hydroxyproline-containing peptides and its preliminary application to healthy persons and cancer patients", Anticancer Res., (2010) 30(3):1007-1014. Guillerminet F, et al., "Hydrolyzed collagen improves bone metabolism and biomechanical parameters in ovariectomized mice: an in vitro and in vivo study", Bone, (2010) 46(3):827-834. Liu J, et al., "Bovine collagen peptides compounds promote the proliferation and differentiation of MC3T3-E1 pre-osteoblasts", PLoS One, (2014) 9(6):e99920. Kimira Y, et al., "Collagen-derived dipeptide prolyl-hydroxyproline promotes differentiation of MC3T3-E1 osteoblastic cells", Biochem. Biophys. Res. Commun., (2014) 453(3):498-501. Hudson DM., et al., "Collagen prolyl 3-hydroxylation: a major role for a minor post-translational modification?", Connect Tissue Res. 2013;54(4-5):245-51.
前述のように、コラーゲンタンパク質における3Hypの機能に関する報告はあるが、3Hypを含有するオリゴペプチドの機能や効果効能についての研究はほとんど行われていない。上記非特許文献5、特許文献1で測定されている3Hyp含有ペプチドもアミノ酸数10のポリペプチドである。配列が特定された3Hyp含有オリゴペプチドが存在すれば、3Hypを含有するペプチドの効果をより正確に評価することができる。
一方、非特許文献8では、Pro-Hypにより前駆骨芽細胞MC3T3-E1細胞の分化が促進され、特許文献3ではGlu-Hyp-GlyやGlu-HypなどによりMC3T3-E1細胞の分化、増殖促進作用が示されたというが、より分化能や骨形成促進作用に優れるペプチドの開発が望まれる。
上記現状に鑑み、本発明は、Gly-3Hyp-4Hypを含む骨芽細胞の分化促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、Gly-3Hyp-4Hypを含む骨形成促進剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、3Hyp含有ペプチドについて詳細に検討したところ、Gly-3Hyp-4Hypが骨芽細胞の分化を促進することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、Gly-3Hyp-4Hyp またはその医学的に許容可能な塩を含有する、骨芽細胞の分化促進剤を提供するものである。

更に本発明は、Gly-3Hyp-4Hypまたはその医学的に許容可能な塩を含有する、骨形成促進剤を提供するものである。
本発明によれば、Gly-3Hyp-4Hyp、およびGly-3Hyp-4Hypを含む骨分化促進剤等が提供される。
本発明の第一は、Gly-3Hyp-4Hypまたはその医学的に許容可能な塩である。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)Gly-3Hyp-4Hyp
3本のポリペプチド鎖からなる三重螺旋構造を構成するコラーゲンは、細胞内でポリペプチド鎖として合成された後、-(Gly-X-Y)-で示される繰り返し構造において、Yに位置するプロリンのほぼ全てが、プロリル-4-ヒドロキシラーゼ(prolyl 4-hydroxylase)によって水酸化され4Hypとなる。それに対し、Xに位置するプロリンは、Yが4Hypの場合に、その一部がプロリル-3-ヒドロキシラーゼ(prolyl 3-hydroxylase)によって水酸化され3Hypとなる(非特許文献9)。ただし、コラーゲンを構成する一次アミノ酸配列-Gly-Pro-Pro-のごく一部が-Gly-3Hyp-4Hyp-に変換されるに過ぎない。例えば、ウシI型コラーゲンα1鎖には、1,000アミノ酸残基当たり約40の-Gly-Pro-Pro-配列が含まれるが、-Gly-3Hyp-4Hyp-に由来する3Hypの含有量は、後記する実施例に示すように、ウシ皮膚由来I型コラーゲンの場合0.1%程度である。しかも、配列の存在が推定されても、トリペプチドGly-3Hyp-4Hypが単離されたことはなく、その作用も解明されていない。
本発明で使用するGly-3Hyp-4Hypの製造方法は、特に限定はない。例えば、魚類、肉類その他のコラーゲン含有材料にコラーゲンをGly-X-Y単位で分解するコラゲナーゼを作用させ、生成したGly-3Hyp-4Hypを液体クロマトグラフィーその他の方法で精製して調製することができる。コラーゲンを構成するプロリンは、細胞内で翻訳後に水酸化されるため、DNA配列やアミノ酸配列からGly-3Hyp-4Hypの存在や含有量を知ることはできない。しかしながら、後記する実施例に示すように、同じ一次アミノ酸配列を持つアキレス腱I型コラーゲンと皮膚I型コラーゲンまたは水晶体嚢IV型コラーゲンを原料として比較したところ、コラーゲン含有組織やコラーゲン型によってGly-3Hyp-4Hypの含有量が相違することが確認された。組織やコラーゲン型を適宜選択することで、コラーゲン含有組織からGly-3Hyp-4Hypを製造することができる。
また、「固相合成法」や「液相合成法」などの公知のペプチド合成法によって製造することもできる。固相合成法としては、Fmoc法、Boc法の何れであってもよい。例えば、表面をアミノ基で修飾した樹脂ビーズを固相として用い、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を用いる。トリペプチドのC-末端にあたる4HypのN-末端をFmoc基で保護し、上記樹脂ビーズのアミノ基とペプチド結合させる。固相を溶媒で洗浄し、その後固相に結合している4HypのFmoc基の脱保護を行う。溶媒で樹脂ビーズを洗浄後、Fmoc-3Hyp-OH、DICおよびHOBtをそれぞれ反応溶液に加える。反応後、樹脂ビーズを溶媒で洗浄し、N-末端のFmoc基を脱保護し、溶媒で樹脂ビーズを洗浄後、Fmoc-Gly-OH、DICおよびHOBtをそれぞれ加え、固相上でペプチドを合成する。その後、N-末端のFmoc基を除去し、減圧乾燥した後に得られた乾燥樹脂ビーズをTFAで処理し、樹脂ビーズからGly-3Hyp-4Hyp粗生成物をTFAに溶出させる。得られた粗生成物を精製水に溶解し、液体クロマトグラフィー等で精製し、Gly-3Hyp-4Hypを単離する。
Gly-3Hyp-4Hypは、塩を形成するものであってもよい。塩は、医学的に許容可能な塩であることが好ましい。「医学的に許容可能な塩」とは、薬理学的に許容可能であり、投与された対象に対して略無毒である塩形態をいう。例えば、無毒の有機酸塩または無機酸塩がある。無機酸としては、塩化水素酸、硫酸、またはリン酸などがある。有機酸としては、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸があり、たとえば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチル酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、フマル酸、琥珀酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、グルタル酸、2-または3-グリセロリン酸、ならびに当業者には周知の他の鉱物の酸がある。また、無機塩基や有機塩基との塩であってもよい。無機塩基としては、アルカリまたはアルカリ土類金属(たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、またはマグネシウム)水酸化物、アンモニア、アンモニウム水酸化物などがある。また、有機塩基としては、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N-メチルグルカミン、ベンジルアミン、ピペリジン、ピロリジンなどがある。
(2)骨芽細胞の分化促進剤
Gly-3Hyp-4Hypやその医学的に許容可能な塩は、骨芽細胞の分化促進剤として使用することができる。
骨組織が形成されることを骨化といい、膜内骨化と軟骨内骨化とに大別される。膜内骨化は頭蓋骨等で観察され、間葉系細胞が直接、骨芽細胞に分化して骨基質を産生する骨形成様式をいう。一方、軟骨内骨化とは、未分化間葉系細胞が軟骨細胞に分化して軟骨原基を形成し、軟骨細胞が肥大軟骨細胞に分化し、周囲の軟骨膜に含まれる細胞が骨芽細胞に分化し、これらによって石灰化した軟骨組織を骨組織に置換する骨形成様式をいう。何れの骨形成過程でも骨芽細胞が関与する点で共通する。
マウス頭蓋冠由来MC3T3-E1細胞は、胎児マウスの頭蓋骨より樹立された前駆骨芽細胞株である。骨芽細胞へと分化誘導されるとアルカリホスファターゼ(ALP)を発現するため、骨芽細胞の分化の指標としてALP活性が用いられている。よって、MC3T3-E1細胞培養時にサンプルを添加し、未処置対照に対するサンプル添加時のALP活性を求めると、骨芽細胞への分化に対する作用を調べることができる。骨芽細胞の分化誘導は、生体を構成する種々の骨形成にポジティブに寄与して、骨形成が促進されると考えられる。ただし、ALP活性の上昇と細胞増殖とは同義ではない。一般の細胞分化の過程では増殖が止まってから分化が起こり、MC3T3-E1細胞も同様である。後記する実施例に示すように、Gly-3Hyp-4Hypは、骨芽細胞の分化を促進し、骨芽細胞の分化促進剤として使用することができる。
(3)骨形成促進剤
Gly-3Hyp-4Hypやその医学的に許容可能な塩は、骨形成促進剤として使用することができる。上記したように、Gly-3Hyp-4Hypやその医学的に許容可能な塩は、骨芽細胞の分化促進作用があり、この分化促進作用によって骨形成を促進することができる。しかも、後記する実施例に示すように、骨芽細胞による石灰化(リン酸カルシウムの一種であるハイドロキシアパタイトの沈着)を促進する作用を有する。
(4)剤型等
骨芽細胞の分化促進剤や骨形成促進剤は、経口的、または非経口的に投与することができる。経口投与の場合は、Gly-3Hyp-4Hypやその医学的に許容可能な塩をそのまま散剤、顆粒剤、丸剤としてもよく、表面に糖衣その他で加工したコーティング剤や、カプセルに充填したカプセル剤、適当な溶媒に溶解した経口液剤や懸濁剤、乳化剤によって乳化してなる乳剤などの何れであってもよい。非経口投与の場合は、ローション剤、軟膏剤、貼付剤(パップ剤)、注射剤、坐剤、点鼻剤等がある。
上記骨芽細胞の分化促進剤や骨形成促進剤には、剤型に応じて賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、保存料、抗酸化剤、界面活性剤、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、無機充填剤、結合剤、希釈剤、着色料、香料、紫外線吸収剤などを添加してもよい。なお、Gly-3Hyp-4Hypとして、コラーゲン含有材料を分解して精製したものに限定されず、精製を行わずGly-3Hyp-4Hypを含有するタンパク質加水分解物を使用してもよい。
上記ペプチドの投与量は、対象の状態や体重、剤型、投与経路等によって異なるが、成人1日当たり、経口投与の場合は、1~5000mg、好ましくは2~2000mg、より好ましくは5~500mgである。患部に直接投与する場合は、0.1~500mg、好ましくは0.2~200mg、より好ましくは0.5~50mgである。製剤は、1日1~数回に分けて投与してもよく、または1~数日に1回投与してもよい。
上記骨芽細胞の分化促進剤や骨形成促進剤は、飲食物に添加してもよい。このような飲食物として、野菜やフルーツ、乳酸菌などを含むジュースその他の飲料、ゼリー、ヨーグルト、プリン、アイスクリームなどの半流動性食品などがあり、また他の食材に混練して固形食品に調製してもよい。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
以下の方法により、Gly-3Hyp-4Hypを調製した。
ウシ皮膚由来I型コラーゲン、ウシアキレス腱由来I型コラーゲン、およびウシ水晶体嚢由来IV型コラーゲンを0.05mg/mLとなるように、5mMのCaClを含む0.1MのTris-HCl(pH7.6)緩衝液で希釈し、これを60℃で30分間加熱した。この溶液にグリモンティア・ホリセー由来コラゲナーゼ(和光純薬工業社製)を、コラーゲンに対して質量換算で1/20倍量加え、37℃で16時間反応させた。得られたペプチド溶液を下記LC/MS測定条件で分析し、各組織由来コラーゲン1gあたりのGly-3Hyp-4Hypの生成量を定量した。結果を表1に示す。
(1)LC/MS測定条件
高速液体クロマトグラフ:1200Series(Agilent Technologies)、
質量分析装置:3200QTRAP(AB Sciex)、
分析カラム:Ascentis Express F5 5μm, 4.6mmi.d.×250mm(SUPELCO)、
カラム温度:40℃
移動相:A液;0.1%ギ酸、B液;100%アセトニトリル、
グラジエント条件:
0~7.5分:A液100%、
7.5~15分:A液100~10%;B液0~90%、
15~20分:A液10%;B液90%、
20~25分:A液100%、
流速:0.4mL/min、
(2)質量分析条件:
イオン化:ESI、ポジティブ、
分析モード:Multiple Reaction Monitoring(MRM)モード、
イオンスプレー電圧:3kV、
イオンソース温度:700℃
(結果)
同じ一次アミノ酸配列を持つウシアキレス腱I型コラーゲンとウシ皮膚I型コラーゲンで比較すると、ウシアキレス腱I型コラーゲンから約3倍のGly-3Hyp-4Hypを生成することができ、ウシ水晶体嚢IV型コラーゲンからはウシ皮膚I型コラーゲンの約5倍のGly-3Hyp-4Hypを生成することができた。コラーゲン型や由来組織を選択すれば、効率的にGly-3Hyp-4Hypを製造し得ることが判明した。
(実施例2)
マウス頭蓋冠由来骨芽細胞株MC3T3-E1細胞を用いて、Gly-3Hyp-4Hypの骨芽細胞分化促進効果について評価を行った。
MC3T3-E1細胞は、10%ウシ胎児血清含有アルファMEM中に5×10細胞/ウェルの条件で24-ウェル細胞培養プレート中に準備した。翌日、細胞がコンフルエントになっていることを確認後、培地を分化培地(10%透析済みウシ胎児血清(Thermo Scientific社製)、100μg/mLアスコルビン酸、10mMグリセロール2-リン酸二ナトリウム含有アルファMEM)で置換し、Anygen社のカスタム合成サービスによりFmoc-3Hyp(AnaSpec社製)を用いて化学合成したGly-3Hyp-4Hypを終濃度200nmol/mLになるように添加した。対照には、蒸留水を添加した。2日おきに分化培地を交換し、終濃度200nmol/mLのGly-3Hyp-4Hypを添加した。6日間培養後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、3.7%ホルムアルデヒドにて固定した。
PBS、Tween20を含むトリス緩衝生理食塩水、Tween20を含むTNM溶液(0.1M Tris-HCl、pH9.5、0.1M NaCl、0.05M MgCl)で洗浄後、NBT/BCIP(18.75mg/mL p-ニトロブルーテトラゾリウムクロリド、9.4mg/mL 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸p-トルイジン塩を67%メチルスルホキシド(v/v)に溶解した液)をTNM溶液で50倍希釈し、各ウェルに300μLずつ添加してALP染色を行った。Image Jにてウェル中でALP陽性を示す面積を数値化した。
N=3で独立して2回くりかえし、計6サンプルの平均値および標準誤差を、対照を1とした相対評価で示した。t検定にて、対照に対してp<0.05で統計的有意差ありと設定した。結果を表2に示す。
(比較例1)
Gly-3Hyp-4Hypに代えてPro-Hyp(Bachem社製)を使用した以外は実施例2と同様に操作し、ALP活性を算出した。結果を表2に示す。
(結果)
MC3T3-E1細胞にGly-3Hyp-4HypおよびPro-Hypを添加すると、それぞれALP活性が上昇した。ただし、ALP活性の上昇はPro-Hypでは対照に対して1.4倍で統計的有意差が認められなかったのに対し、Gly-3Hyp-4Hypは対照に対し1.9倍で統計的有意差が検出された。MC3T3-E1細胞は、骨芽細胞へと分化誘導されるとALPを発現するため、Gly-3Hyp-4Hypは、対照と比較して約2倍の骨芽細胞の分化誘導作用を有すると考えられる。
(実施例3)
マウス頭蓋冠由来骨芽細胞MC3T3-E1細胞を用いて、Gly-3Hyp-4Hypの骨芽細胞石灰化促進効果について評価を行った。
実施例2と同様に、MC3T3-E1細胞を、10%ウシ胎児血清含有アルファMEM中に5×10細胞/ウェルの条件で24-ウェル細胞培養プレート中に準備した。翌日、細胞がコンフルエントになっていることを確認した後、培地を分化培地(10%透析済みウシ胎児血清(Thermo Scientific社製)、100μg/mLアスコルビン酸、10mMグリセロール2-リン酸二ナトリウム含有アルファMEM)で置換し、Anygen社のカスタム合成サービスによりFmoc-3Hyp(AnaSpec社製)を用いて化学合成したGly-3Hyp-4Hypを終濃度200nmol/mLになるように添加した。対照には、蒸留水を添加した。2日おきに分化培地を交換し、終濃度200nmol/mLのGly-3Hyp-4Hypを添加した。7日間培養後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、4%パラホルムアルデヒドにて10分間固定した。
水でウェルを洗浄後に水分を除去し、アリザリンレッド溶液(コスモバイオ社製)を各ウェルに500μLずつ添加してアリザリンレッドにより石灰化した骨結節を染色した。30分後、水でウェルを6回洗浄後に水分を除去し、5%ギ酸を各ウェルに500μLずつ添加して、10分間揺らしながら細胞に染色されたアリザリンレッド溶液を溶出した。その後、溶出された溶液100μLを96ウェルプレートに移し、プレートリーダーFLUOstar OPTIMA-6(BMG LABTECH社製)にて415nmにおける吸光度を測定した。
N=3で独立して2回くりかえし、計6サンプルの平均値および標準誤差を、対照を1とした相対評価で示した。t検定にて、対照に対してp<0.05で統計的有意ありと設定した。結果を表3に示す。
(結果)
MC3T3-E1細胞にGly-3Hyp-4HypおよびPro-Hypを添加すると、沈着したカルシウム量の増加が観察された。Gly-3Hyp-4Hypは対照に対し1.9倍で統計的有意差が検出された。一方、Pro-Hypは対照に対し1.7倍の増加が観察されたが統計的有意差は検出されなかった。
Gly-3Hyp-4Hypの添加によって対照よりも石灰化能が増加していることから、Gly-3Hyp-4Hypによって対照よりも分化誘導が促進され、結果的に骨芽細胞による石灰化が促進されたと考えられる。すなわち、骨芽細胞はリン酸カルシウムの一種であるハイドロキシアパタイトを沈着させる石灰化能を有するため、実施例3の結果は実施例2と同様、Gly-3Hyp-4Hypが対照と比較して約2倍の骨芽細胞の分化誘導作用を有することを示す結果と考えられる。
Figure 0006989842000001
Figure 0006989842000002
Figure 0006989842000003

Claims (2)

  1. Gly-3Hyp-4Hypまたはその医学的に許容可能な塩を含有する、骨芽細胞の分化促進剤。
  2. Gly-3Hyp-4Hypまたはその医学的に許容可能な塩を含有する、骨形成促進剤。
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