JP6972539B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents
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(1)2つ以上の基材シート同士が突き合わせ部を形成せず、一部オーバーラップし、そのオーバーラップ部分の接合が溶融接合である繊維強化熱可塑性樹脂成形体であって、前記基材シートは、強化繊維30〜85質量%、熱可塑性樹脂70〜15質量%を含有し、強化繊維はその繊維長が10〜100mmであり、繊維束を形成しており、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している繊維強化熱可塑性樹脂シートであり、成形体の表面には、前記基材シートに由来する境界部を有することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
(2)前記成形体のオーバーラップ部分の長さが、30mm以上であることを特徴とする(1)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
(3)前記繊維強化熱可塑性樹脂成形体の、オーバーラップ部分の曲げ弾性率及び曲げ強度が、オーバーラップ部分以外の部分の弾性率及び曲げ強度と比べ、それぞれ70%以上を保持していることを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
(4)2つ以上の基材シート同士を、突き合わせ部を形成させずに、一部オーバーラップして配し、スタンピング成形して一体化させる、(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
基材シートを一部オーバーラップして配し、一体成形する際に、基材シートがオーバーラップした部分は溶融して流動し、成形体の表面は平坦になっている。本発明の成形体の表面は、基材シートをオーバーラップすることに起因する段差は無いが、境界部は目視で確認できる。
基材シート中では、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している。上記の好ましい製造方法で基材シートを製造した場合、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している。繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向していることは、基材シートをマイクロスコープで100倍程度に拡大して、任意の視野に観察される繊維束について配向角を求めて、配向角がランダムであることからも確認できる。
12000本の炭素繊維からなるロービング(三菱レイヨン社TR50)を拡張開繊して所定の速度で含浸台のダイヘッドに供給した。一方、酸変性ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製G2H、開発品)を、260℃に温度調節されたスクリュー式押し出し機のホッパーに投入し、溶融樹脂をギアポンプにより所定量を計量して、含浸台のダイヘッドに供給した。含浸台で加圧含浸、脱泡後、幅10mm・高さ0.2mmのダイから含浸被覆されたテープ状プリプレグを押し出し、圧縮賦形固化した後、カッティングし、炭素繊維67質量%、樹脂33質量%の組成からなる幅15mm、長さ35mm、厚み0.1mmのカットした短冊状プリプレグを作製した。
このカットした短冊状プリプレグを金型内で、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向するように平面状にばら撒き、積層された状態のまま230℃の温度で加熱プレスを行い、樹脂を溶融させた後、100℃の金型内で冷却プレスを行い、2mm厚の基材シートを得た。
その後、得られた基材シートから、横380mm、縦400mmの大きさに2枚切り出して、IRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型の中央で、図2(E)のように基材シートを50mm重ね合わせ、成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に基材シートに由来する境界部を有する、長さ750mm、2mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。この成形体のオーバーラップ部の長さは75mmであった。
得られた成形体から、幅60mm、長さ100mmの試験片を切り出し、3点曲げ試験を実施した。3点曲げ試験の試験片は、図4に示したように、オーバーラップ部の流動端(境界部)が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないようにオーバーラップ部を避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部を有する試験片は2.3mm、境界部の無い試験片は2.3mmであった。3点曲げ試験は、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離80mmで実施した。境界部を有する試験片については、圧子を境界部の裏側に接するように当て、境界部が引張側となるように設定した。3点曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は36GPa、曲げ強度は340MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は36GPa(保持率100%)、曲げ強度は310MPa(保持率91%)であった。
実施例1と同様の方法で4mm厚の基材シートを作製し、横380mm、縦400mmの大きさに2枚切り出して、IRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型の中央で、図2(E)のように基材シートを50mm重ね合わせ、成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に基材シートに由来する境界部を有する、長さ750mm、4mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。この成形体のオーバーラップ部の長さは、75mmであった。
得られた成形体から、幅60mm、長さ200mmの試験片を切り出した。試験片は実施例1と同様、図4に示したように、オーバーラップ部の流動端(境界部)が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないようにオーバーラップ部を避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部の無い試験片は4.1mm、境界部を有する試験片は4.3mmであった。切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法にて3点曲げ試験を実施し、曲げ弾性率と曲げ強度を評価した。3点曲げ試験は、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離160mmで実施した。3点曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は31GPa、曲げ強度は250MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は30GPa(保持率97%)、曲げ強度は190MPa(保持率76%)であった。
実施例1と同様の方法で4.5mm厚の基材シートを作製し、横215mm、縦430mmのシートAと、横215mm、縦215mmのシートBをそれぞれ2枚ずつ切り出した。切り出したシートをIRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型に、図3(G)に示すようにシートAとシートBを突合せて配置し、突合せ部が同じ位置にならないように2段に重ねて配置して成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に境界部を有する長さ750mm、4mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。
得られた成形体から、実施例2と同様に幅60mm、長さ200mmの曲げ試験片を切り出した。切り出した試験片を用いて、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離160mmで3点曲げ試験を実施した。試験片は図5に示したように、境界部が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないように避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部の無い試験片は4.0mm、境界部を有する試験片は4.2mmであった。切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法にて曲げ試験を実施し、曲げ弾性率と曲げ強度を評価した。曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は30GPa、曲げ強度は240MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は20GPa(保持率67%)、曲げ強度は100MPa(保持率42%)であった。
実施例1と同様の方法で2mm厚の基材シートを作製し、横400mm、縦430mmのシートAと、横400mm、縦270mmのシートBをそれぞれ2枚切り出した。切り出したシートをIRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型に、図3(G)に示すようにシートAとシートBを突合せて配置し、突合せ部が同じ位置にならないように2段に重ねて配置して成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に境界部を有する長さ750mm、4mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。
得られた成形体から、実施例2と同様に幅60mm、長さ200mmの曲げ試験片を切り出した。切り出した試験片を用いて、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離160mmで曲げ試験を実施した。試験片は比較例1と同様、図5に示したように、境界部が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないようにオーバーラップ部を避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部の無い試験片は3.8mm、境界部を有する試験片は4.1mmであった。切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法にて曲げ試験を実施し、曲げ弾性率と曲げ強度を評価した。曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は35GPa、曲げ強度は270MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は27GPa(保持率77%)、曲げ強度は180MPa(保持率67%)であった。
1−1 曲げ試験の圧子接触部
2 境界部のない試験片
3 境界部を有する試験片
3−1 曲げ試験の圧子接触部
4 境界部のない試験片
Claims (2)
- 2つ以上の基材シート同士が突き合わせ部を形成せず、一部オーバーラップし、そのオーバーラップ部分の接合が溶融接合である繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
前記成形体のオーバーラップ部分の長さが、30mm以上であり、
前記基材シートは、強化繊維30〜85質量%、熱可塑性樹脂70〜15質量%を含有し、強化繊維はその繊維長が10〜100mmであり、繊維束を形成しており、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している繊維強化熱可塑性樹脂シートであり、
前記基材シートは、所定の強化繊維と熱可塑性樹脂の質量割合からなるテープ状の強化繊維と熱可塑性樹脂からなるプリプレグを10mm以上100mm以下の所定の長さにカットしたテープ状プリプレグ(短冊状プリプレグ)を平面状にランダムにばらまき積層させ、あらかじめ熱可塑性樹脂の融点以上に温度調節した金型をセットした圧縮成形機を使用して圧縮して得ており、
成形体の表面には、前記基材シートに由来する境界部を有し、
2つ以上の基材シート同士を、突き合わせ部を形成させずに、一部オーバーラップして配し、スタンピング成形して一体化させる、繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法。 - 前記繊維強化熱可塑性樹脂成形体の、オーバーラップ部分の曲げ弾性率及び曲げ強度が、オーバーラップ部分以外の部分の弾性率及び曲げ強度と比べ、それぞれ70%以上を保持していることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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JP2016222173A JP6972539B2 (ja) | 2016-11-15 | 2016-11-15 | 繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法 |
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