JP6972539B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形体の表面に原料の基材シートに由来する境界部を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体、及びその製造方法に関する。
近年、エネルギー問題、環境問題の観点から、高剛性、高強度で軽量化効果の高い繊維強化樹脂が注目されている。特に、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いる繊維強化熱可塑性樹脂は、加工性、耐衝撃性に優れており、自動車等の車両分野や、建築分野への適用が検討されている。
繊維強化熱可塑性樹脂成形体においては、強度などの観点から1枚の基材で成形されることが望ましいが、自動車部材のような比較的大型の成形体を成形する場合、1枚の基材を用意するには、重量や取り扱いやすさ、コストの点から製造可能な大きさに限度がある。そこで、小さい基材を複数枚並べて配置し、成形体を得る方法が用いられる場合がある。また、複雑な形状の成形体を成形する場合にも、1枚の基材ではなく複数枚の基材を用いて成形体を得る方法が用いられる場合がある。
しかしながら、複数枚の基材を並べて配置して成形された成形体は、基材の連結の境目で繊維が分断されてしまうため、継ぎ部の力学特性が他の箇所に比べて低下してしまうという問題がある。
特許文献1には、比較的大きな繊維強化樹脂成形体を得るために、樹脂を含浸する前に強化繊維基材を部分的に重ね合わせてより大きな基材を作製し、作製された強化繊維基材に樹脂を含浸させて成形体を成形する手法が記載されている。しかしながら、樹脂含浸による成形を行う段階では、大型の成形装置が必要となるため、製造コストが高くなってしまう問題があった。
特許文献2には、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維から成る混合繊維マットの端部同士をニードルパンチして継ぐことにより、継ぎ部が強度的な特異点ないしは欠陥となることを防止する手法が記載されている。しかしながら、ニードルパンチをすることにより継ぎ部の繊維同士が絡み合うため、成形の際の流動性が低下してしまい、複雑形状の成形体を成形することは困難であった。
特許文献3には、ランダムに配向した不連続強化繊維マットで強化された熱可塑性樹脂を、接合断面が傾斜構造を持つように成形することで、接合部の力学特性を保ちながら大型の成形体を得る手法が記載されている。しかしながら、傾斜構造を形成するためには、基材厚みが厚くなると接合長さを長くする必要があり、繊維の絡み合いの多い不連続強化繊維マットでは流動性が十分でなく、成形体の厚み斑が大きくなってしまう問題があった。また、この接合断面においては、表面側の接合面が垂直に近くなっているため、曲げの力が加わった際に、欠点となる問題があった。
特開2010−150368号 特開平10−325072号 特開2014−177117号
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、基材をオーバーラップして成形され、表面に基材シートに由来する境界部を有する成形体であって、大型部材や複雑形状においても大きな厚み斑無く成形することが可能で、且つオーバーラップ部の弾性率、強度においても一定の値が保持される繊維強化熱可塑性樹脂成形体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)2つ以上の基材シート同士が突き合わせ部を形成せず、一部オーバーラップし、そのオーバーラップ部分の接合が溶融接合である繊維強化熱可塑性樹脂成形体であって、前記基材シートは、強化繊維30〜85質量%、熱可塑性樹脂70〜15質量%を含有し、強化繊維はその繊維長が10〜100mmであり、繊維束を形成しており、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している繊維強化熱可塑性樹脂シートであり、成形体の表面には、前記基材シートに由来する境界部を有することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
(2)前記成形体のオーバーラップ部分の長さが、30mm以上であることを特徴とする(1)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
(3)前記繊維強化熱可塑性樹脂成形体の、オーバーラップ部分の曲げ弾性率及び曲げ強度が、オーバーラップ部分以外の部分の弾性率及び曲げ強度と比べ、それぞれ70%以上を保持していることを特徴とする(1)または(2)に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体。
(4)2つ以上の基材シート同士を、突き合わせ部を形成させずに、一部オーバーラップして配し、スタンピング成形して一体化させる、(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
本発明の成形体は、成形体表面に基材シートに由来する境界部を有する成形体であり、基材シートをオーバーラップして成形している。そのため、基材シートの単位面積以上の大型部材の成形が容易となる効果が得られ、さらにオーバーラップ部の弾性率、強度の低下を防ぐ効果も得ることができ、得られる成形体の厚み斑も非常に小さいものである。
本発明の成形体における、基材シートのオーバーラップの例(上から見た概略図)である。 実施例における、成形体を成形するための基材シートの配置方法(E)と成形後の成形体(F)を示した概略図である。 比較例における、成形体を成形するための基材シートの配置方法(G)と成形後の成形体(H)を示した概略図である。 実施例における、成形体から曲げ試験片を切り出した位置と、曲げ試験の圧子接触部を示した概略図(上面図(I)、側面図(J))である。 比較例における、成形体から曲げ試験片を切り出した位置と、曲げ試験の圧子接触部を示した概略図(上面図(K)、側面図(L))である。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形体は、成形体表面に基材シートすなわち繊維強化熱可塑性樹脂シートに由来する境界部を有する成形体であり、金型内に2枚以上の基材シートを突合せ部が生じないようにオーバーラップして配し、一体成形することにより得られる。
本発明における成形体表面の基材シートに由来する境界部とは、オーバーラップされた基材シートのうち、成形体表面側にオーバーラップされた基材シートの端部を境界として、成形体の表面が不連続に見えている箇所を指す。成形体の反対側の表面(裏面側)にも、同様の境界部を有する。
基材シートを一部オーバーラップして配し、一体成形する際に、基材シートがオーバーラップした部分は溶融して流動し、成形体の表面は平坦になっている。本発明の成形体の表面は、基材シートをオーバーラップすることに起因する段差は無いが、境界部は目視で確認できる。
本発明に使用される基材シートは、強化繊維30〜85質量%、熱可塑性樹脂70〜15質量%を含有し、強化繊維はその繊維長が10〜100mmであり、繊維束を形成しており、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している繊維強化熱可塑性樹脂シートである。
本発明に使用される基材シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、次のような工程を経る製造方法が好ましい。熱可塑性樹脂の融点以上に温度調節されたスクリュータイプ押出機のホッパーに熱可塑性樹脂と任意成分の安定剤などを所定割合に予備混合して供給する。溶融樹脂をギアポンプの回転数にて計量して、樹脂の融点以上に温度調節された含浸用押出機の上流に供給する。一方、ロービング状の強化繊維を拡張開繊し、含浸用押出機の下流に供給する。下流先端に開口部を絞ったスリットダイを備えた含浸用押出機中で樹脂圧により、強化繊維ロービングに樹脂を含浸・脱泡し、下流開口部から吐出された、所定の強化繊維と熱可塑性樹脂の質量割合からなるテープ状の強化繊維と熱可塑性樹脂からなるプリプレグを冷却し、このテープ状プリプレグを10mm以上100mm以下の所定の長さにカットする。所定の長さにカットしたテープ状プリプレグ(短冊状プリプレグ)を平面状にランダムにばらまき積層させ、あらかじめ熱可塑性樹脂の融点以上に温度調節した金型をセットした圧縮成形機を使用して圧縮し、金型を冷却した後、型開きをして、板状の基材シートを得るといった方法などにより製造されるものが好ましい。
基材シート中では、強化繊維は繊維束を形成している。基材シート中における繊維束は、短冊状である。ここでは、単繊維の表面の間隔が30μm以下にあり、それらの単繊維の長さ軸の方位角の差が15度以下である単繊維が50本以上からなるものを繊維束と呼ぶ。上記の好ましい製造方法で基材シートを製造した場合、強化繊維は繊維束を形成している。基材シート中の繊維束は、基材シートを約500℃にて熱可塑性樹脂を焼却して、残存した繊維束から単繊維数を計測することでも確認できる。
基材シート中では、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している。上記の好ましい製造方法で基材シートを製造した場合、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している。繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向していることは、基材シートをマイクロスコープで100倍程度に拡大して、任意の視野に観察される繊維束について配向角を求めて、配向角がランダムであることからも確認できる。
上記基材シートは、成形の際に重ね合わせても積層構造が保たれるため、弾性率、強度の低下が抑制されることや、短冊状プリプレグ層間ですべりを生じながら流動するため流動性が良い、即ち成形性に優れることからも好ましい。
本発明に使用される基材シートの大きさは特に制限されないが、重量や取り扱いやすさ、コストなどの観点から、投影面積0.25m以下であることが好ましい。
本発明に使用される基材シートの厚みは1mm以上であることが好ましい。1mm未満では、テープの積層枚数が少なく、強化繊維の補強効果が得られにくいことや、成形時の流動性が低下することから好ましくない。基材シートの厚みの上限は、特に制限されないが、重量や取り扱いやすさの観点から10mm以下であることが好ましい。
本発明に使用される基材シート中の強化繊維の繊維長は、10mm以上であり、15mm以上であることがより好ましい。10mm未満では、力学物性が低くなり好ましくない。力学物性上は連続繊維が好ましいが、成形時の金型内における流動性が必要なことから、テープ状プリプレグをより短く切断されたもの(短冊状プリプレグ)が使用される。したがって強化繊維の繊維長は、短冊状プリプレグの長さに相当するものであり、繊維長の上限は、100mm程度であることが好ましい。
本発明に使用される強化繊維としては、使用される熱可塑性樹脂の加工温度で固体である高弾性率繊維が挙げられ、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、スチール繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ケナフ、コットンなどが使用できる。これらの中では、弾性率が特に高いガラス繊維と炭素繊維が好ましく、特に炭素繊維が好ましい。炭素繊維としては、その製造方法は特に制限されないが、ポリアクリロニトル繊維やセルロース繊維などの繊維を空気中で200〜300℃にて処理した後、不活性ガス中で1000〜3000℃以上で焼成され炭化製造された引っ張り強度2GPa以上、引っ張り弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。本発明に使用される単繊維径は、特に制限されないが、複合化の製造ライン工程から3〜9μmが好ましい。3μm未満では、含浸や脱泡が難しく、9μmを超えると、比表面積が小さくなり、複合化の効果が小さくなることがある。本発明に使用される炭素繊維は、空気や硝酸による湿式酸化、乾式酸化、ヒートクリーニング、ウイスカライジングなどによる接着性改良のための処理されたものが好ましい。また本発明における基材シートの製造に使用される炭素繊維は、作業工程の取り扱い性から、120℃以下で軟化する収束剤により収束されていることが好ましい。
本発明に使用される基材シート中の強化繊維の含有率は、30質量%〜85質量%であり、55質量%〜70質量%が好ましい。30質量%未満では、強化繊維の補強効果が不十分となるため好ましくない。逆に85質量%を超える場合、熱可塑性樹脂の含浸が困難となってしまうため好ましくない。
本発明に使用される熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、代表例としては、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド46などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。また、これら各樹脂の変性体を用いてもよいし、複数種の樹脂をブレンドして用いてもよい。中でも、取り扱いやすさ、コストの観点より、ポリアミド系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。変性ポリオレフィン系樹脂の変性は、強化繊維との接着強度を上げるために、酸、エポキシ、またはイソシアネートによる変性が好ましい。
本発明に使用される基材シートには、熱可塑性樹脂と供に、物性改良、成形性改良、耐久性改良を目的として、結晶核剤、滑剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤が配合できる。これらの成分は、合計量で熱可塑性樹脂100質量部に対して、5質量部以下が好ましい。
本発明の成形体のオーバーラップ長さは、30mm以上であることが好ましい。オーバーラップ長さが30mm未満である場合や、成形体にシートの突合せ部を有する場合、継ぎ部の曲げ弾性率、曲げ強度が低下してしまい好ましくない。
ここで、成形体のオーバーラップ部の長さとは、図2、図4に示すように、得られた成形体の表面と裏面に生じる、基材シートに由来する境界部の端部間の長さ(両矢印で示す長さ)を言う。この場合の長さは、成形体を上面から見た投影図での距離である。
上記のようなオーバーラップ長さを有する成形体は、突合せ部を有さず、成形体のオーバーラップ長さが30mm以上となるのであれば、どのように基材シートを重ねても構わない。例えば、図1(A)、(B)のように、矩形、台形の基材シート同士を、それぞれの基材の端面が平行となるようにオーバーラップしても良いし、図1(C)のように、片方の基材シートがもう片方の基材シートよりも狭幅なものをオーバーラップし成形しても良い。また、図1(D)のように、片方の基材シートが斜めに配置され、オーバーラップ部が三角形状となっても良い。この場合のオーバーラップ長さは、三角形の頂点付近の境界部と、底辺の境界部間の最小の長さを言う。図1の(A)〜(D)において、両矢印で示す長さが、オーバーラップ部の長さである。
本発明の成形体は、後記でも説明するように、2つ以上の基材シートを配してスタンピング成形等を行うことで得られる。そのため、成形体の接合部は、溶融接合している。2つ以上の基材シートは、原料の種類や配合量が同じものであっても、異なるものであっても良い。均質な特性を有する成形体を得る観点からは、2つ以上の基材シートは、原料の種類や配合量が同じものであることが好ましい。2つ以上の基材シートは、形状が同じものであっても、異なるものであっても良い。
本発明の成形体における接合部の断面の構造は、成形体表面の境界線付近ではオーバーラップした部分の流動に由来する傾斜部を有し、接合部中央付近では水平部を有する構造となっている。スタンピング成形等の成形時に、オーバーラップした基材シート部分が、短冊状プリプレグの単位で、すべりを生じながら流動するため、このような断面形状になると考えられる。この成形体表面の境界線付近の傾斜部の角度は、15度以下であることが好ましい。傾斜部が垂直に近くなると、曲げ荷重が加わった際に、破壊の欠点となってしまうため好ましくない。
本発明の成形体のオーバーラップ部付近の曲げ弾性率、曲げ強度は、オーバーラップ部以外の部分の曲げ弾性率、曲げ強度の値の70%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。70%未満の場合、オーバーラップした部分の力学特性が満足でなく、破壊の起点となってしまうため好ましくない。曲げ弾性率、曲げ強度の測定の詳細は、後記する実施例の項に記載している。
本発明の成形体のオーバーラップ部の厚みは、オーバーラップ部以外の部分の厚みに対して±10%以内であることが好ましい。オーバーラップ部以外の厚みに対して±10%を超える場合、物性のばらつきが大きくなってしまうため好ましくない。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を成形するには、スタンピング成形が適当な成形法である。例えば、赤外線加熱や高周波加熱により、基材シートを使用する熱可塑性樹脂の融点以上に加熱溶融し、融点以下の温度に調整された金型に供給し、腑形冷却後脱型することにより、成形される。金型温度、圧縮保持する時間、圧力などの成形条件については、用いる熱可塑性樹脂により適宜設定すればよい。
本発明の成形体の形状は、平板形状に限定されるものではなく、湾曲形状などにおいても同様の効果が得られる。
このような繊維強化熱可塑性樹脂成形体は、例えば、フロントサブフレーム、リアサブフレーム、フロントピラー、センターピラー、サイドメンバー、クロスメンバー、サイドシル、ルーフレール、プロペラシャフトなどの自動車部品や、海底油田用のパイプ、電線ケーブルコア、印刷機用ロール・パイプ、ロボットフォーク、航空機の一次構造材、二次構造材などに使用される。
以下、実施例を挙げて具体的に本発明を説明するが、これらの実施例により制限されるものではない。
(実施例1)
12000本の炭素繊維からなるロービング(三菱レイヨン社TR50)を拡張開繊して所定の速度で含浸台のダイヘッドに供給した。一方、酸変性ポリプロピレン樹脂(東洋紡社製G2H、開発品)を、260℃に温度調節されたスクリュー式押し出し機のホッパーに投入し、溶融樹脂をギアポンプにより所定量を計量して、含浸台のダイヘッドに供給した。含浸台で加圧含浸、脱泡後、幅10mm・高さ0.2mmのダイから含浸被覆されたテープ状プリプレグを押し出し、圧縮賦形固化した後、カッティングし、炭素繊維67質量%、樹脂33質量%の組成からなる幅15mm、長さ35mm、厚み0.1mmのカットした短冊状プリプレグを作製した。
このカットした短冊状プリプレグを金型内で、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向するように平面状にばら撒き、積層された状態のまま230℃の温度で加熱プレスを行い、樹脂を溶融させた後、100℃の金型内で冷却プレスを行い、2mm厚の基材シートを得た。
その後、得られた基材シートから、横380mm、縦400mmの大きさに2枚切り出して、IRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型の中央で、図2(E)のように基材シートを50mm重ね合わせ、成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に基材シートに由来する境界部を有する、長さ750mm、2mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。この成形体のオーバーラップ部の長さは75mmであった。
得られた成形体から、幅60mm、長さ100mmの試験片を切り出し、3点曲げ試験を実施した。3点曲げ試験の試験片は、図4に示したように、オーバーラップ部の流動端(境界部)が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないようにオーバーラップ部を避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部を有する試験片は2.3mm、境界部の無い試験片は2.3mmであった。3点曲げ試験は、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離80mmで実施した。境界部を有する試験片については、圧子を境界部の裏側に接するように当て、境界部が引張側となるように設定した。3点曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は36GPa、曲げ強度は340MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は36GPa(保持率100%)、曲げ強度は310MPa(保持率91%)であった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で4mm厚の基材シートを作製し、横380mm、縦400mmの大きさに2枚切り出して、IRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型の中央で、図2(E)のように基材シートを50mm重ね合わせ、成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に基材シートに由来する境界部を有する、長さ750mm、4mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。この成形体のオーバーラップ部の長さは、75mmであった。
得られた成形体から、幅60mm、長さ200mmの試験片を切り出した。試験片は実施例1と同様、図4に示したように、オーバーラップ部の流動端(境界部)が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないようにオーバーラップ部を避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部の無い試験片は4.1mm、境界部を有する試験片は4.3mmであった。切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法にて3点曲げ試験を実施し、曲げ弾性率と曲げ強度を評価した。3点曲げ試験は、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離160mmで実施した。3点曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は31GPa、曲げ強度は250MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は30GPa(保持率97%)、曲げ強度は190MPa(保持率76%)であった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で4.5mm厚の基材シートを作製し、横215mm、縦430mmのシートAと、横215mm、縦215mmのシートBをそれぞれ2枚ずつ切り出した。切り出したシートをIRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型に、図3(G)に示すようにシートAとシートBを突合せて配置し、突合せ部が同じ位置にならないように2段に重ねて配置して成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に境界部を有する長さ750mm、4mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。
得られた成形体から、実施例2と同様に幅60mm、長さ200mmの曲げ試験片を切り出した。切り出した試験片を用いて、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離160mmで3点曲げ試験を実施した。試験片は図5に示したように、境界部が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないように避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部の無い試験片は4.0mm、境界部を有する試験片は4.2mmであった。切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法にて曲げ試験を実施し、曲げ弾性率と曲げ強度を評価した。曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は30GPa、曲げ強度は240MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は20GPa(保持率67%)、曲げ強度は100MPa(保持率42%)であった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で2mm厚の基材シートを作製し、横400mm、縦430mmのシートAと、横400mm、縦270mmのシートBをそれぞれ2枚切り出した。切り出したシートをIRヒーターであらかじめ230℃の温度まで加熱を行い、130℃の温度まで加熱した成形用金型に、図3(G)に示すようにシートAとシートBを突合せて配置し、突合せ部が同じ位置にならないように2段に重ねて配置して成形圧力38.7MPaでスタンピング成形を行い、成形体表面に境界部を有する長さ750mm、4mm厚の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を得た。
得られた成形体から、実施例2と同様に幅60mm、長さ200mmの曲げ試験片を切り出した。切り出した試験片を用いて、試験片寸法以外はJIS K 7074に準拠し、支点間距離160mmで曲げ試験を実施した。試験片は比較例1と同様、図5に示したように、境界部が丁度試験片表面の中央に来るよう切り出したものと、境界部が入らないようにオーバーラップ部を避けて切り出したものの2種類で評価した。試験片の平均厚みは、境界部の無い試験片は3.8mm、境界部を有する試験片は4.1mmであった。切り出した試験片を用いて、実施例1と同様の方法にて曲げ試験を実施し、曲げ弾性率と曲げ強度を評価した。曲げ試験の結果、境界部のない試験片の曲げ弾性率は35GPa、曲げ強度は270MPaであったのに対し、境界部を有する試験片の曲げ弾性率は27GPa(保持率77%)、曲げ強度は180MPa(保持率67%)であった。
本発明により、曲げ弾性率、曲げ強度の低下が抑制された、成形体表面に境界部を有し、且つ基材の単位面積よりも大きい繊維強化熱可塑性樹脂成形体が得られ、様々な輸送機器の構造部材や部品などへの使用が可能となり、軽量化や省エネルギーの面から産業界に大きく寄与することが期待される。
1 境界部を有する試験片
1−1 曲げ試験の圧子接触部
2 境界部のない試験片
3 境界部を有する試験片
3−1 曲げ試験の圧子接触部
4 境界部のない試験片

Claims (2)

  1. 2つ以上の基材シート同士が突き合わせ部を形成せず、一部オーバーラップし、そのオーバーラップ部分の接合が溶融接合である繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法であって、
    前記成形体のオーバーラップ部分の長さが、30mm以上であり、
    前記基材シートは、強化繊維30〜85質量%、熱可塑性樹脂70〜15質量%を含有し、強化繊維はその繊維長が10〜100mmであり、繊維束を形成しており、繊維束の長さ軸がシート面内でランダムに配向している繊維強化熱可塑性樹脂シートであり、
    前記基材シートは、所定の強化繊維と熱可塑性樹脂の質量割合からなるテープ状の強化繊維と熱可塑性樹脂からなるプリプレグを10mm以上100mm以下の所定の長さにカットしたテープ状プリプレグ(短冊状プリプレグ)を平面状にランダムにばらまき積層させ、あらかじめ熱可塑性樹脂の融点以上に温度調節した金型をセットした圧縮成形機を使用して圧縮して得ており、
    成形体の表面には、前記基材シートに由来する境界部を有し、
    2つ以上の基材シート同士を、突き合わせ部を形成させずに、一部オーバーラップして配し、スタンピング成形して一体化させる、繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記繊維強化熱可塑性樹脂成形体の、オーバーラップ部分の曲げ弾性率及び曲げ強度が、オーバーラップ部分以外の部分の弾性率及び曲げ強度と比べ、それぞれ70%以上を保持していることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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