以下、本発明による座席発券状況表示装置について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による座席発券状況表示装置1を列車に搭載した状態を模式的に示す概略ブロック図である。図1に示す列車は、4両編成とされ、1号車11、2号車12、3号車13及び4号車14が順次連結されている。1号車11及び4号車14は、同一構成を有し、いずれか一方が先頭車両となり他方が最後尾車両となる。もっとも、本発明による座席発券状況表示装置1が搭載される列車を構成する車両台数は、何ら限定されず、1台以上であればよい。
図1に示す列車には、モニタ装置(モニタシステム)が搭載されている。このモニタ装置は、各車両11〜14にそれぞれ搭載されている各種機器(空調装置、放送機器、各種表示器、室内灯などの補助機器、扉の開閉状態の検知器、扉の開閉装置)21の情報を車両内ネットワークを経由して収集し、車両運転状況や車両搭載機器の状態監視、自動放送や表示装置の設定機能、空調装置や室内灯などの補助機器の制御機能、各種機器21の自動試験機能、故障情報の収集・記録などの機能を提供する。
このモニタ装置は、1号車11及び4号車14にそれぞれ搭載されたモニタ制御装置31及びタッチパネル式情報表示器32と、各号車11〜14にそれぞれ搭載されたモニタ端末器33と、各モニタ制御装置31及び各モニタ端末器33間を図1に示すように接続するネットワークケーブル34とを備えている。図面には示していないが、各モニタ制御装置31及び各モニタ端末器33は、ネットワークケーブル34と共に所定のプロトコル(例えば、ARCNET)による列車内ネットワークを構成する通信インターフェースを有している。モニタ制御装置31は、列車全体の管理や処理を行う。各モニタ端末器33は各号車11〜14の各種機器21と情報の授受を行う。タッチパネル式情報表示器32は、例えばタッチパネル式液晶ディスプレイからなり、モニタ制御装置31の制御下で、乗務員へのマンマシンインターフェースを提供する。タッチパネル式情報表示器32には、例えば、運転士モードでは列車の編成状態や次の停車駅などが表示され、車掌モードでは扉の開閉状態や各車両の室温などが表示される。
モニタ制御装置31は、前記列車の所定の車軸の回転に従ってパルス信号を出力するタコジェネレータ35の出力信号に基づいて、自列車の位置を認識する位置認識機能を有している。また、モニタ制御装置31は、乗務員による操作器(図示せず)の操作に応じて出力される扉の開閉を指令する扉指令を受け取り、その扉指令に従った扉制御信号を各モニタ端末器33に供給し、各モニタ端末器33が扉の開閉装置を制御して扉を開閉させる。なお、図面には示していないが、モニタ制御装置31は、必要に応じて、他の信号や指令も受ける。
図面には示していないが、モニタ制御装置31は、主に、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置、前記通信インターフェース、及び、タッチパネル式情報表示器32との間で信号を授受するための入出力インターフェースを備えている。また、モニタ端末器33は、主に、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置、前記通信インターフェース、及び、各種機器21との間で信号を授受するための入出力インターフェースを備えている。
本実施の形態による座席発券状況表示装置1は、前記モニタ装置を利用して構成されている。すなわち、モニタ制御装置31、タッチパネル式情報表示器32及びモニタ端末器33が座席発券状況表示装置1の構成要素としても動作するように構成され、前記モニタ装置とは別の、座席発券状況表示装置1の構成要素として、座席発券状況表示灯41、I/Oユニット42、ネットワークケーブル43及び無線送受信器44が追加されている。モニタ制御装置31、タッチパネル式情報表示器32及びモニタ端末器33の、前記モニタ装置の構成要素としての動作については公知であるので、これ以上の説明は省略する。
本実施の形態では、座席発券状況表示灯41が、前記列車の客室内の座席51(図2参照)の付近に当該座席に対応して設けられた表示器を構成している。座席発券状況表示灯41の配置例を図2に示している。
図2は、図1に示す列車の乗客の座席51の付近を、通路から窓側を見た様子の一例を模式的に示す概略図である。図2に示す例では、各座席発券状況表示灯41は、座席51の上方の荷物棚52の下部傾斜壁部52aに印刷等で表示された座席番号(図2中の「7C」、「7B」、「8C」、「8D」など)の近傍において、荷物棚52の上部通路側垂直壁部52bに設けられている。図2中、53は荷物棚52上の荷物の飛び出しを防止するための長尺部材である。なお、図2に示す例では、図2には通路側の座席51のみが現れているが、通路側の座席51の図2中の紙面奥側に窓側の座席51が存在している。
本実施の形態では、図1に示すように、全車両11〜14の乗客の座席51にそれぞれ対応して座席発券状況表示灯41が設けられているが、例えば指定席となる可能性のない座席51などについては、座席発券状況表示灯41を設けなくてもよい。
本実施の形態では、座席発券状況表示灯41として、フルカラーLED(赤・緑・青の3つのLEDが1つのパッケージに封印されたもので、3つのLEDの明るさを変えることで種々の色を発光表示できるLED)が用いられている。フルカラーLEDに代えて、他の可変色表示灯(例えば、赤・緑の2つのLEDが1つのパッケージに封印されたもの)を用いてもよい。また、座席発券状況表示灯41に代わる表示器として、例えば、発光色は変わらずに発券状況に応じた文字を浮かび上がらせたりその文字を指し示すような発光表示を行う表示器を採用してもよい。
本実施の形態では、図1に示すように、I/Oユニット42は、各号車11〜14毎に、4つの座席発券状況表示灯41毎に1つずつ設けられている。各I/Oユニット42は、対応する4つの座席発券状況表示灯41をそれぞれ独立して点灯駆動する点灯駆動回路を有している。I/Oユニット42の点灯駆動回路の各座席発券状況表示灯41に対する駆動出力ポートを点灯ポートと呼ぶ。本実施の形態では、各I/Oユニット42は4つの点灯ポートを有している。各号車11〜14毎に、モニタ端末器33と各I/Oユニット42との間が、ネットワークケーブル43によってマルチドロップ接続されている。図面には示していないが、各号車11〜14毎に、モニタ端末器33及び各I/Oユニット42は、ネットワークケーブル43と共に所定のプロトコル(例えば、RS−485)によるネットワークを構成する通信インターフェースを有している。各号車11〜14毎に、各I/Oユニット42の点灯駆動回路は、1号車11のモニタ制御装置31の制御下でモニタ端末器33からネットワークケーブル43によるネットワークを介して受けた制御指令(対応する4つの座席発券状況表示灯41をそれぞれ、消灯させるかそれとも何色で点灯させるかを示す制御指令)に従って、対応する4つの座席発券状況表示灯41をそれぞれ、消灯させるかあるいは当該制御信号が示す色で点灯させる。
本実施の形態では、座席51の発券状況が未発売である場合には、当該座席51に対応する座席発券状況表示灯41を青で点灯させ、座席51の発券状況が大人用発売済みである場合には、対応する座席発券状況表示灯41を緑で点灯させ、座席51の発券状況が小人用発売済みである場合には、対応する座席発券状況表示灯41をアンバーで点灯させる。もっとも、本発明では、各表示色はこれらの色に限らない。さらに、発売済み種別は大人用と小人用に限らず、発売済み種別を3種以上としてもよいし、発売済み種別を問わずに、発券状況を未発売であるか発売済みであるかのみとしてもよい。
本実施の形態では、発券状況(未発売、大人用発売、小人用発売)に応じた表示はいずれも点灯表示である。もっとも、本発明では、例えば、未発売を消灯、大人用発売を緑の点灯表示、小人用発売をアンバーの点灯表示としてもよい。しかし、例えば、座席発券状況表示灯41の緑LEDが故障して点灯不能状態(いわゆる球切れ)となった場合、大人用発売に応じて座席発券状況表示灯41を緑で点灯表示しようとしても消灯となるため、未発売が表示されてしまい、誤表示となってしまう。したがって、このような球切れ時の誤表示を回避するためには、発券状況に応じた表示はいずれも点灯表示にすることが好ましい。
図3は、座席発券システムを構成するサーバ61と図1中の無線送受信器44との間の通信路を模式的に示す概略図である。
無線送受信器44は、図1及び図3に示すように、1号車11に搭載され、1号車11のモニタ制御装置31による制御下で、基地局62aを含む移動体通信網を含むネットワーク62を介して、サーバ61とデータの授受を行う。無線送受信器44は、基地局62aと無線通信するように前記移動体通信の携帯端末と同様に構成されているが、モニタ制御装置31による制御を受けて後述する動作を行うように構成されている。前記移動体通信網は、移動体通信業者が提供しているものでもよいし、例えば、鉄道システム専用のものでもよい。ネットワーク62は、インターネット、公衆交換電話網(PSTN)、パケット交換網(PSN)、ISDN(Integrated Services Digital Network)などを含んでいてもよい。
サーバ61は、図1に示す列車の各座席51の発券状況を示す最新の座席発券状況情報を保有し、無線送受信器44からの要求に応じてその座席状況情報を無線送受信器44に送信する機能を有する。このような機能を有していれば、サーバ61は必ずしも座席発券システムを構成する必要はない。この場合、サーバ61は、座席発券システムから最新の座席状況情報を取得するなどして、無線送受信器44からの要求に応じてその座席状況情報を無線送受信器44に送信すればよい。
図4は、図1に示す列車が走行する線路100上の、図1に示す列車の各停車駅と情報取得位置との位置関係の例を模式的に示す説明図である。図4では、図1に示す列車は、線路100上を走行方向Xへ走行し、停車駅A、B、C、D、E・・・を順次停車して行くものとしている。以下の説明では、停車駅A,B間区間を停車駅間区間A→Bと表記し、停車駅B,C間区間を停車駅間区間B→Cと表記し、他の停車駅間区間についても同様に表記する。停車駅間区間A→Bを区画する手前側の停車駅は停車駅Aであり、停車駅間区間B→Cを区画する手前側の停車駅は停車駅Bである。
列車がある停車駅間区間に位置しているときに座席発券状況表示灯41に座席発券状況に応じた点灯表示を表示させようとする場合、当該停車駅間区間を区画する手前側の停車駅を出発した後に通過する当該停車駅間区間内の位置を、前記手前側の停車駅から走行方向Xへ予め設定された距離だけ離れた情報取得位置として予め決め、その情報取得位置を運行パターン情報と関連づけて、1号車11のモニタ制御装置31のメモリ内に記憶させておく。無線送受信器44と基地局62aとの間の通信が良好となる範囲でできるだけ前記手前側の停車駅に近い位置を、情報取得位置として設定することが好ましい。
図4に示す例では、停車駅間区間A→B,B→C,D→E,E→Fにおいて座席発券状況表示灯41に座席発券状況に応じた点灯表示を表示させるべく、停車駅Aから例えば20m離れた位置を情報取得位置Paとして設定し、停車駅Bから例えば40m離れた位置を情報取得位置Pbとして設定し、停車駅Dから例えば20m離れた位置を情報取得位置Pdとして設定し、停車駅Eから例えば10m離れた位置を情報取得位置Peとして設定している。また、図4に示す例では、停車駅間区間C→Dの距離は所定距離(例えば1km)以下であって検札業務を行わない区間であるので、駅間区間C→Dにおいて座席発券状況表示灯41は消灯させたままとするべく、駅間区間C→D内の情報取得位置は設定されていない。
図5は、図1中のタッチパネル式情報表示器32の「座席確認」画面の表示例を示す図である。「座席確認」画面は、車掌モード時にメニューにて選択表示される画面である。ここでは、本実施の形態による座席発券状況表示装置1の動作に関連する表示画面を、「座席確認」画面と称する。「座席確認」画面は車掌が見たりタッチ操作したりするものである。
次に、本実施の形態による座席発券状況表示装置1の動作について、図6を参照して説明する。図6は、図1に示す座席発券状況表示装置1の動作を示す概略フローチャートである。
本実施の形態による座席発券状況表示装置1は、乗務員がタッチパネル式情報表示器32を操作して自列車の列車番号及び系統番号を入力し、始発駅を出発すると、動作を開始する。入力された列車番号及び系統番号は、「座席確認」画面の上部に表示され、これに応じた列車のイラスト(図5に示す例では6両編成のイラスト)が表示される。図5に示す例では、列車番号は「T5001」とし、系統番号は「1234」としている。動作開始時の初期状態として、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32に、「座席確認」画面における「座席確認列番」、「モニタ駅間」、「受信列番」、「受信駅間」及び「受信状態」の各内容を非表示にさせておく。また、動作開始の初期状態として、全ての座席51の座席発券状況表示灯41を消灯させておく。なお、前述したように、入力された列車番号に対応する運行パターン情報に関連して、前述したように情報取得位置(図4に示す例では、Pa,Pb,Pd,Pe・・・)を予め設定しておく。
本実施の形態による座席発券状況表示装置1が動作を開始すると、まず、1号車11のモニタ制御装置31が、自身のメモリ内のカウント値nを0にリセットする(ステップS1)。このカウント値nは、繰り返しの発呼回数をカウントするためのものである。
次に、1号車11のモニタ制御装置31は、自列車が次の情報取得位置(自列車が次に通過するべき情報取得位置)を通過したか否かを判定し(ステップS2)、自列車が次の情報取得位置を通過するのを待つ。自列車が次の情報取得位置を通過すると、ステップS3へ移行する。
図4に示す例では、始発駅Aを出発した当初は、ステップS2における次の情報取得位置は情報取得位置Paであり、自列車が情報取得位置Paを通過した後のステップS2における次の情報取得位置は情報取得位置Pbであり、自列車が情報取得位置Pbを通過した後のステップS2における次の情報取得位置は情報取得位置Pdである。なお、1号車11のモニタ制御装置31は、前述したように自列車の現在位置を認識しているので、認識された自列車の現在位置と予め設定された情報取得位置とに基づいて、ステップS2の判定を行う。
ステップS3において、1号車11のモニタ制御装置31は、先に入力された自列車の列車番号及び自列車が現在位置している停車駅間区間(例えば、自列車が現在図4中の停車駅間区間A→Bに位置している場合には、停車駅間区間A→B)を指定して、自列車の当該停車駅間区間における各座席51の発券状況を示す現在の座席発券状況情報を要求する旨の発呼を、無線送受信器44に指示し、この指示に応答して、無線送受信器44はサーバ61に対してその発呼を行う。
次に、1号車11のモニタ制御装置31は、カウント値nを1だけインクリメントし(ステップS4)、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32に、「座席確認」画面の「受信状態」の欄に「受信中」を例えば黄色の文字色で表示させる(ステップS5)。4号車14のタッチパネル式情報表示器32が車掌モードである場合には、1号車11のモニタ制御装置31は、ネットワークケーブル34によるネットワーク及び4号車14のモニタ制御装置31を経由して、4号車14のタッチパネル式情報表示器32に「座席確認」画面に関する制御を行う。
引き続いて、無線送受信器44は、ステップS3で発呼してから所定時間T1内にサーバ61から応答があったか否かを判定する(ステップS6)。
ステップS6で所定時間T1内にサーバ61から応答がなかったと判定されると、ステップS16へ移行する。一方、ステップS6で所定時間T1内にサーバ61から応答があったと判定されると、ステップS7へ移行する。
ステップS7において、無線送受信器44は、ステップS3の発呼で要求した座席発券状況情報の受信が完了したか否かを判定する。ステップS7で受信が完了したと判定されると、ステップS8へ移行する。一方、ステップS7で受信が完了していないと判定されると、無線送受信器44は、受信エラーが発生した(所定時間T2以上サーバ61から応答がないかあるいはサーバ61からエラーが発生した旨の通知があった)か否かを判定する(ステップS15)。ステップS15で受信エラーが発生していないと判定されると、ステップS7へ戻る。一方、ステップS15で受信エラーが発生したと判定されると、ステップS16へ移行する。
なお、サーバ61は、ステップS3の発呼に応答して、要求された座席発券状況情報を無線送受信器44に送信する際には、座席発券状況情報と共に、当該座席発券状況情報に属性として関連づけられている列車番号(列車識別情報)及び停車駅間区間も、無線送受信器44に送信する。ステップS3の発呼で要求した座席発券状況情報のみならず、サーバ61から送信されて来たこれらの列車番号及び停車駅間区間も受信し終わったときに、ステップS7で受信完了と判定する。
ステップS16において、1号車11のモニタ制御装置31は、カウント値nがN(Nは2以上の整数)であるか否か(すなわち、発呼をN回繰り返しても要求した座席発券状況情報の受信が完了しなかったか否か)を判定する。ステップS16でカウント値nがNであると判定されると、ステップS17へ移行する。一方、ステップS16でカウント値nがNでないと判定されると、ステップS3へ戻る。
ステップS17において、1号車11のモニタ制御装置31は、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32に、「座席確認」画面の「受信状態」の欄に「発呼NG」を例えば赤色の文字色で表示させる。この「発呼NG」の表示により、前記座席発券状況情報を取得することができなかった旨が車掌に報知される。
その後、1号車11のモニタ制御装置31は、扉の開閉状態の検知器から扉開検知信号が得られたか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18で扉開検知信号が得られたと判定されると、ステップS13へ移行する。一方、ステップS18で扉開検知信号が得られなかったと判定されると、ステップS19へ移行する。
ステップS18の時点で扉が開くということは、事故等がない限り、ステップS18の直前のステップS2で通過したと判定された情報取得位置の次の停車駅に停車したことを意味する。例えば、図4に示す例では、ステップS18の直前のステップS2で通過したと判定された情報取得位置が情報取得位置Pbであれば、自列車が情報取得位置Pbの次の停車駅Cに停車したことを意味し、ステップS18の直前のステップS2で通過したと判定された情報取得位置が情報取得位置Pdであれば、自列車が情報取得位置Pdの次の停車駅Eに停車したことを意味する。モニタ制御装置31は、ステップS18において、扉の開閉状態の検知器から扉開検知信号が得られたか否かを判定する代わりに、扉開指令信号を受けたか否かを判定してもよいし、あるいは、前記列車が次の停車駅に到着したか否かを判定してもよいし、あるいは、前記列車が次の停車駅に到着しかつ前記扉開検知信号が得られたか否かを判定してもよいし、あるいは、前記列車が次の停車駅に到着しかつ扉開指令信号を受けたか否かを判定してもよい。前記列車が次の停車駅に到着したか否かは、例えば、モニタ制御装置31が認識している自列車の現在位置が運行パターン情報による次の停車駅の位置と実質的に一致したか否かによって判定してもよいし、あるいは、モニタ制御装置31が認識している自列車の現在位置が運行パターン情報による次の停車駅の位置と実質的に一致しかつ自列車の速度がゼロになったか否かによって判定してもよい。これらの点は、後述するステップS11についても同様である。
ステップS19において、1号車11のモニタ制御装置31は、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32の「座席確認」画面の「強制受信」の矩形領域がタッチ操作されることで発せられる強制受信指令を受けたか否かを判定する。4号車14のタッチパネル式情報表示器32が車掌モードである場合には、4号車14のタッチパネル式情報表示器32からの強制受信指令は、4号車14のモニタ制御装置31及びネットワークケーブル34によるネットワークを経由して、1号車11のモニタ制御装置31に送られるようになっている。
ステップS19で強制受信指令を受けていないと判定されると、ステップS18へ戻る。一方、ステップS19で強制受信指令を受けたと判定されると、1号車11のモニタ制御装置31が、自身のメモリ内のカウント値nを0にリセットし(ステップS20)、その後、ステップS3へ戻る。
ステップS8において、1号車11のモニタ制御装置31は、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32に、「座席確認」画面の「受信状態」の欄に「OK」を例えば緑色の文字色で表示させ、「座席確認」画面の「座席確認列番」の欄にステップS3の発呼の際にサーバ61へ送信して指定した自列車の列車番号を表示させ、「座席確認」画面の「モニタ駅間」の欄にステップS3の発呼の際にサーバ61へ送信して指定した停車駅間区間を表示させ、「座席確認」画面の「受信列番」の欄にステップS7で受信が完了したと判定された「列車番号」を表示させ、「座席確認」画面の「受信駅間」の欄にステップS7で受信が完了したと判定された停車駅間区間を表示させる。これにより、「座席確認列番」及び「モニタ駅間」と「受信列番」及び「受信駅間」とがそれぞれ比較し得るように車掌に報知される。
次に、1号車11のモニタ制御装置31は、ステップS7で受信が完了したと判定された座席発券状況情報に応じた制御指令を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、それぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、当該座席発券状況情報が未発売と示す座席51の座席発券状況表示灯41を青で点灯させ、当該座席発券状況情報が大人用発売済みと示す座席51の座席発券状況表示灯41を緑で点灯させ、当該座席発券状況情報が小人用発売済みと示す座席51の座席発券状況表示灯41をアンバーで点灯させる(ステップS9)。
次いで、1号車11のモニタ制御装置31は、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32の「座席確認」画面の「座席表示灯消灯」の矩形領域がタッチ操作されることで発せられる座席発券状況表示灯消灯指令を受けたか否かを判定する(ステップS10)。4号車14のタッチパネル式情報表示器32が車掌モードである場合には、4号車14のタッチパネル式情報表示器32からの座席発券状況表示灯消灯指令は、4号車14のモニタ制御装置31及びネットワークケーブル34によるネットワークを経由して、1号車11のモニタ制御装置31に送られるようになっている。
ステップS10で座席発券状況表示灯消灯指令を受けたと判定されると、ステップS12へ移行する。一方、ステップS10で座席発券状況表示灯消灯指令を受けていないと判定されると、1号車11のモニタ制御装置31は、ステップS18と同様に、扉の開閉状態の検知器から扉開検知信号が得られたか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で扉開検知信号が得られなかったと判定されると、ステップS10へ戻る。一方、ステップS11で扉開検知信号が得られたと判定されると、ステップS12へ移行する。
ステップS12において、1号車11のモニタ制御装置31は、全ての座席51の座席発券状況表示灯41を消灯させるための制御指令を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、各I/Oユニット42に供給することによって、全ての座席51の座席発券状況表示灯41を消灯させる。ステップS12の後にステップS13へ移行する。
ステップS13において、1号車11のモニタ制御装置31は、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32に、「座席確認」画面において、「座席確認列番」、「モニタ駅間」、「受信列番」、「受信駅間」及び「受信状態」の各内容を非表示にさせる。
その後、1号車11のモニタ制御装置31は、次の情報取得位置が存在する(自列車が次に通過するべき情報取得位置が存在する)か否かを判定する(ステップS14)。ステップS14で存在すると判定されると、ステップS1へ戻る。一方、ステップS14で存在しないと判定されると、本実施の形態による座席発券状況表示装置1は一例の動作を終了する。
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、無線送受信器44が、「前記列車の全ての又は一部の停車駅間区間について、前記列車が当該停車駅間区間を区画する手前側の停車駅を出発した後に当該停車駅間区間に位置しているときに、当該停車駅間区間おける前記座席の発券状況を示す現在の座席発券状況情報を、前記列車外に設けられた車外装置から取得する座席発券状況情報取得部」に相当している。また、本実施の形態では、モニタ制御装置31、モニタ端末器33及びI/Oユニット42が、「前記座席発券状況情報取得部により取得された前記座席発券状況情報が示す前記座席の前記発券状況に応じた表示を、前記列車が当該停車駅間区間に位置しているときに前記表示器に行わせる表示制御部」としての機能を担っている。
本実施の形態によれば、列車が所定の停車駅間区間(図4に示す例では、停車駅間区間A→B,B→C,D→E,E→Fなど)に位置しているときに、当該停車駅間区間における座席発券状況を示す現在の座席発券状況情報が無線送受信器44によってサーバ61から取得され、前記列車が当該停車駅間区間に位置しているときに、取得された当該座席発券状況情報が示す座席発券状況に応じた表示(本実施の形態では、具体的には、未発売に応じた青色点灯表示、大人用発売済みに応じた緑色点灯表示、小人用発売済みに応じたアンバー色点灯表示)が、座席51の付近に当該座席51に対応して設けられた座席発券状況表示灯41に表示される。これにより、前記列車が所定の停車駅間区間に位置しているときに、その停車駅間区間における最新の座席発券状況が、座席51の付近の座席発券状況表示灯41に表示される。
したがって、本実施の形態によれば、前記列車の乗務員は、検札対象とすべき座席51(例えば、未発売(青色点灯表示)の座席51)であるのに乗客が座っている座席51や、小人用発売(アンバー色点灯表示)の座席51であるのに大人が座っている座席51など)を一目で知ることができるため、各座席51毎の乗車券読み取り装置を要しないとともに乗客の手を煩わせることなく、検札業務の効率化を図ることができる。
もし本実施の形態と異なり座席発券状況表示灯41がなければ、乗務員は、座席51の上方等に表示されている座席番号と、自分の手元の携帯端末の表示(例えば、座席番号と当該座席番号の座席の発券状況との対応関係を示す表示)又は自分の手元の記録紙等の記載(座席番号と当該座席番号の座席の発券状況との対応関係を示す記載)とを、いちいち交互に見比べて、視線を移動させながら各座席51の発券状況を確認した上で、当該座席51を検札対象とすべきか否か判断しなければならず、検札業務を効率良く行うことができない。また、このような視線移動に起因して、乗務員は、走行中の揺れている車内において、乗客や荷物と接触する危険性が高まるとともに自身の体勢が不安定となる。これに対し、本実施の形態によれば、前述したように検札業務の効率化を図ることができるのみならず、このような危険性や体勢の不安定さも低減することができる。
そして、本実施の形態によれば、列車が所定の停車駅間区間に位置しているときに、その停車駅間区間における最新の座席発券状況が、座席51の付近の座席発券状況表示灯41に表示されるので、その停車駅間区間よりも手前の停車駅間区間を列車が走行していたときに得た古い座席発券状況が表示されてしまうようなことがなく、正確な座席発券状況情報を表示することできる。
近年の座席発券システムでは、携帯情報端末等の活用によって乗客は乗車直前まで指定席券や特急券等の購入が可能となってきている。したがって、本実施の形態と異なり、列車が停車駅に停車して列車の扉が開いているときに無線送受信器44がサーバ61から座席発券状況情報を取得するとすれば、無線送受信器44が取得した座席発券状況情報には、列車の扉が閉まって停車駅を出発する時点の直前に指定席券等を購入して当該列車に駆け込み乗車した乗客の座席51の発券状況は反映されなくなってしまう。
これに対し、本実施の形態によれば、無線送受信器44は、前記列車が当該停車駅間区間を区画する手前側の停車駅から出発した後にサーバ61から現在の前記座席発券状況情報を取得するので、列車の扉が閉まって停車駅を出発する時点の直前に指定席券等を購入して当該列車に駆け込み乗車した乗客の座席の発券状況も反映された、当該停車駅間区間における確定後の最新の座席発券状況情報を取得することができる。したがって、本実施の形態によれば、より正確な座席発券状況情報を表示することできる。
さらに、本実施の形態によれば、無線送受信器44は、列車が停車駅間区間に位置しているときに、その停車駅間区間における座席発券状況情報をサーバ61から取得するので、他の停車駅間区間における座席発券状況情報も併せて取得する場合に比べて、サーバ61から無線送受信器44へ伝送すべきデータ量が少なくてすむとともに、座席発券状況情報の更新等の管理はサーバ61に任せればよいため、当該列車上で2重に管理する必要がない。
また、本実施の形態によれば、図6中のステップS16でNOの場合にステップS3へ戻るので、座席発券状況情報が取得されるまでN回(2回以上)まで前記発呼(座席発券状況情報の要求)が繰り返されるので、1回要求してサーバ61から前記座席発券状況情報を取得することができない場合にその取得を断念する場合に比べて、前記座席発券状況情報を適切に取得することができる確率が高まる。
さらに、本実施の形態によれば、座席発券状況に応じた表示はいずれも点灯表示(具体的には、未発売に応じた青色点灯表示、大人用発売済みに応じた緑色点灯表示、小人用発売済みに応じたアンバー色点灯表示)であり、N回まで前記発呼を繰り返しても座席発券状況を取得することができない場合には、座席発券状況表示灯41が消灯のまま維持されるので、現状と異なる誤った表示を回避することができる。
さらにまた、本実施の形態によれば、図6中のステップS17で「発呼NG」が表示され、前記座席発券状況情報を取得することができなかった旨が車掌に報知されるので、必要に応じて、座席発券状況表示灯41による表示を利用せずに従来と同様の検札業務を行うなど、乗務員による適切な運用が可能となる。
また、本実施の形態によれば、座席発券状況に応じた表示はいずれも点灯表示であり、前記列車の扉が開いたときに図6中のステップS12で座席発券状況表示灯41が消灯されるので、事実上前記列車が次の前記列車が次の停車駅で停止したときに座席発券状況表示灯41が消灯されて非表示状態にされることになることから、古い座席発券状況情報による表示や不確定状態の座席発券状況情報による表示を回避することができる。
さらに、本実施の形態によれば、座席発券状況に応じた表示はいずれも点灯表示であり、乗務員によるタッチ操作により発せられる座席発券状況表示灯消灯指令を受けたときに(図6中のステップS10でYESの場合に)、図6中のステップS12で座席発券状況表示灯41が消灯されるので、乗務員は、当該停車駅間区間における検札終了後、自己の操作により、座席発券状況表示灯を消灯させて非表示状態にすることができる。このように座席発券状況表示灯41を消灯させれば、検札終了後に、指定席券を購入していない不正な乗客が、座席発券状況表示灯41が発売済みを表示している空席を探してその席に着座してしまうような事態を防止することができる。一方、タッチ操作による消灯を行わずに、当該停車駅間区間における検札終了後も座席発券状況表示灯41による点灯表示を継続させれば、座席発券状況表示灯41による表示の意味を乗客に周知させておくことで、座席発券状況表示灯41が青点灯表示により未発売を表示している座席51に着座している乗客が不正着座していることが他の乗客に明白となるため、他の乗客の人目を気にして不正着座が行われなくなるという不正着座抑止効果を得ることができる。したがって、本実施の形態によれば、乗務員の運用によって、発売済みの空席に対する不正着座を防止する効果、及び、未発売の座席に対する不正着座抑止効果のいずれの効果を重視するかを、選択することができる。
なお、本発明では、図5に示す「座席確認」画面において「座席表示灯消灯」矩形領域を取り除き、図6においてステップS12を取り除いてステップS9の後に直ちにステップS11へ移行してもよい。この場合、発売済みの空席に対する不正着座を防止する効果を得ることはできないものの、未発売の座席に対する不正着座抑止効果は得ることができる。
また、本実施の形態によれば、ステップS8において、「座席確認列番」及び「モニタ駅間」と「受信列番」及び「受信駅間」とがそれぞれ比較し得るように車掌に報知されるので、乗務員は、サーバ61に要求した座席発券状況情報の属性である列車の識別情報(「座席確認列番」)及び停車駅間区間(「モニタ駅間」)と、これに応じてサーバ61から送られてきた座席発券状況情報の属性である列車の識別情報(「受信列番」)及び停車駅間区間(「受信駅間」)とを比較することができる。本来両者はそれぞれ一致しているはずであるが、通信路の伝送品質やサーバ61の誤動作等によって両者が一致しない可能性がある。その場合には、無線送受信器44がサーバ61から取得した座席発券状況情報は誤っている可能性が高い。本実施の形態によれば、乗務員が前記比較を行うことで、両者がそれぞれ一致しているか否かによって、取得された座席発券状況情報が正しいか否かを確認することができる。
なお、本実施の形態のように乗務員の判断に任せるのではなく、1号車11のモニタ制御装置31が「座席確認列番」及び「モニタ駅間」と「受信列番」及び「受信駅間」とをそれぞれ比較し、両者が一致すると判定される場合にのみステップS9を行うようにしてもよい。
ところで、本実施の形態による座席発券状況表示装置1は、製品出荷前や出荷後の保守点検などの際に、タッチパネル式情報表示器32に対して所定操作を行うことで、座席発券状況表示灯41の動作を検査する検査モードに移行するように構成されている。検査モードへ移行した当初は、車両11〜14のいずれの座席発券状況表示灯41のいずれの色のLEDも消灯している。この状態を全消灯状態と呼ぶ。
図7は、この検査モード時の図1中の1号車11のタッチパネル式情報表示器32の画面の表示例を示す図である。本実施の形態では、この検査モードには、第1の検査モードと第2の検査モードの2種類がある。図7に示す画面中の領域R1は、第1の検査モードに関する操作・表示を行う部分である。図7に示す画面中の領域R2は、主に第2の検査モードに関する操作・表示を行う部分である。
本実施の形態では、前記第1の検査モードでは、1号車11のモニタ制御装置31は、検査者が車両1台に対して座席発券状況表示灯41を1つ選択的に指定してかつ当該座席発券状況表示灯41が有する複数の発光部(本実施の形態では、1つのパッケージに封印された赤のLED、緑のLED及び青のLED)のうちの1つを選択的に指定して、前記指定した座席発券状況表示灯41の前記指定した色のLEDを選択的に発光させるように発光指令する操作を行うことを当該検査者に案内する表示を、図7に示す画面中の領域R1において、1号車11のタッチパネル式情報表示器32に表示させる。
そして、前記第1の検査モードでは、1号車11のモニタ制御装置31は、領域R1の操作に応答して1号車11のタッチパネル式情報表示器32から前記発光指令を受けると、前記発光指令で車両11〜14の各々に対して1つずつ指定された座席発券状況表示灯41の1つの色のLEDを選択的に発光させる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、それぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、前記発光指令で車両11〜14の各々に対して1つずつ指定された座席発券状況表示灯41の1つの色のLEDを選択的に発光させる。
具体的には、本実施の形態では、領域R1における「I/Oユニット番号」領域の中央の矩形領域の数字は、現在指定されているI/Oユニット番号を示している。その左側の矢印が付された矩形領域は、現在指定されているI/Oユニット番号を減少させるためのタッチ操作領域を示し、その右側の矢印が付された矩形領域は、現在指定されているI/Oユニット番号を増加させるためのタッチ操作領域を示している。I/Oユニット番号は、各車両11〜14において各I/Oユニット42を識別するために1からM(Mは各車両11〜14におけるI/Oユニット42の数)までの連番で各I/Oユニット42に付された番号であり、同じ車両内のI/Oユニット42には同じI/Oユニット番号は付されていないが、異なる車両のI/Oユニット42には同じI/Oユニット番号が付されている。
図7に示す例では、各I/Oユニット42は8つの点灯ポートを有しているものとしており、領域R1における「点灯ポート」領域の点灯ポート番号「1」〜「8」が付されたの8つの矩形領域は、I/Oユニット42の各点灯ポートを指定するためのタッチ操作領域を示している。なお、各I/Oユニット42が前述したように4つの点灯ポートしか有していない場合には、「点灯ポート」領域に「1」〜「4」の4つの矩形領域のみを設ければよい。各車両11〜14において、I/Oユニット番号と点灯ポート番号との組合せと座席発券状況表示灯41とが1対1に対応している。「点灯ポート」領域の「1」〜「8」の8つの矩形領域のうちのいずれか1つにタッチ操作すると、当該矩形領域に対応する点灯ポートのみが指定されて当該矩形領域の地色が指定状態を示す色となり、他の7つの矩形領域に対応する点灯ポートが非指定状態となって当該他の7つの矩形領域の地色が非指定状態を示す色となる。その後、「点灯ポート」領域の「1」〜「8」の8つの矩形領域のうちの他の1つにタッチ操作すると、当該矩形領域に対応する点灯ポートのみが指定された状態に切り替わる。
領域R1における「点灯色」領域の「赤」、「緑」、「青」がそれぞれ付された3つの矩形領域は、座席発券状況表示灯41のいずれの色(赤、緑、青のうちのいずれの色)のLEDを選択的に発光させるかを指定するためのタッチ操作領域を示している。「点灯色」領域の「赤」、「緑」、「青」の3つの矩形領域のうちのいずれか1つにタッチ操作すると、当該矩形領域に対応する点灯色のみが指定されて当該矩形領域の地色が指定状態を示す色となり、他の2つの矩形領域に対応する点灯色が非指定状態となって当該他の2つの矩形領域の地色が非指定状態を示す色となる。その後、「点灯色」領域の「赤」、「緑」、「青」の3つの矩形領域のうちの他の1つにタッチ操作すると、当該矩形領域に対応する点灯色のみが指定された状態に切り替わる。
前記第1の検査モードでは、検査者が領域R1において前述した操作を行うことで、例えば、I/Oユニット番号を「3」に指定し、点灯ポート番号を「2」に指定し、点灯色を「青」に指定することによって、車両11〜14の各々におけるI/Oユニット番号が「3」でかつ点灯ポート番号が「2」に対応する1つずつの座席発券状況表示灯41の青色LEDを選択的に発光させる発光指令が、1号車11のモニタ制御装置31に供給される。1号車11のモニタ制御装置31は、この発光指令を受けると、前記発光指令で車両11〜14の各々に対して1つずつ指定された座席発券状況表示灯41の青色のLEDを選択的に発光させる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、それぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、前記発光指令で車両11〜14の各々に対して1つずつ指定された合計4つの座席発券状況表示灯41(I/Oユニット番号が「3」でかつ点灯ポート番号が「2」に対応する1つずつの座席発券状況表示灯41)の青色のLEDを選択的に発光させる。
したがって、前記第1の検査モードでは、前記発光指令で指定した座席発券状況表示灯41の1つ色のLEDが実際に発光するか否かを確認することで、1号車11のモニタ制御装置31から座席発券状況表示灯41の1つの色のLEDまでの配線が正しいか否かなどを、容易に検査することができる。
なお、前記発光指令で指定する1つの座席発券状況表示灯41(本実施の形態では、I/Oユニット番号と点灯ポート番号との組合せ)と1つの色のLEDとの組合せを順次変えていくことで、全ての座席発券状況表示灯41の全ての色のLEDについて検査することができる。
なお、本実施の形態では、領域R1による操作により各車両11〜14のいずれかの座席発券状況表示灯41のいずれかの色のLEDが点灯している状態で、図7中の領域R2の「消灯」の矩形領域をタッチ操作すると、領域R1における「点灯ポート」領域の「1」〜「8」の8つの矩形領域及び「点灯色」領域の「赤」、「緑」、「青」の3つの矩形領域の全てが非選択状態となり、1号車11のモニタ制御装置31は、車両11〜14のいずれの座席発券状況表示灯41のいずれの色のLEDも消灯させる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を前記ネットワークを経由してそれぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、車両11〜14のいずれの座席発券状況表示灯41のいずれの色のLEDも消灯させる。これにより、全消灯状態となる。領域R1による操作により各車両11〜14のいずれかの座席発券状況表示灯41のいずれかの色のLEDが点灯している状態で、領域R2における「赤点灯」、「緑点灯」、「青点灯」の3つの矩形領域のいずれかをタッチ操作すると、領域R1における「点灯ポート」領域の「1」〜「8」の8つの矩形領域及び「点灯色」領域の「赤」、「緑」、「青」の3つの矩形領域の全てが非選択状態となり、領域R1の操作による発光指令を発する状態である前記第1の検査モードから、前記第2の検査モードへ移行する。
本実施の形態では、前記第2の検査モードでは、1号車11のモニタ制御装置31は、検査者が座席発券状況表示灯41が有する複数の発光部(本実施の形態では、1つのパッケージに封印された赤のLED、緑のLED及び青のLED)のうちの1つを指定して、車両11〜14に設けられた全ての座席発券状況表示灯41の前記指定した色のLEDを一斉に発光させるように指令する操作を行うことを当該検査者に案内する表示を、図7に示す画面中の領域R2において、1号車11のタッチパネル式情報表示器32に表示させる。
そして、前記第2の検査モードでは、1号車11のモニタ制御装置31は、領域R2の操作に応答して1号車11のタッチパネル式情報表示器32から前記発光指令を受けると、車両11〜14に設けられた全ての座席発券状況表示灯41の前記発光指令で指定された1つの色のLEDを一斉に発光させる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、それぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の前記発光指令で指定された1つの色のLEDを一斉に発光させる。
具体的には、本実施の形態では、領域R2における「赤点灯」、「緑点灯」、「青点灯」がそれぞれ付された3つの矩形領域は、座席発券状況表示灯41のいずれの色(赤、緑、青のうちのいずれの色)のLEDを選択的に発光させるかを指定し、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の指定した色のLEDを一斉に点灯させる発光指令を発するためのタッチ操作領域を示している。
「赤点灯」、「緑点灯」、「青点灯」の3つの矩形領域のうちのいずれか1つにタッチ操作すると、当該矩形領域に対応する点灯色のみが指定されて当該矩形領域の地色が指定状態を示す色となり、他の2つの矩形領域に対応する点灯色が非指定状態となって当該他の2つの矩形領域の地色が非指定状態を示す色となる。その後、「赤点灯」、「緑点灯」、「青点灯」の3つの矩形領域のうちの他の1つにタッチ操作すると、当該矩形領域に対応する点灯色のみが指定された状態に切り替わる。
前記第2の検査モードでは、検査者が領域R2における「赤点灯」の矩形領域をタッチ操作すると、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の赤のLEDのみを一斉に点灯させる発光指令が、1号車11のモニタ制御装置31に供給される。1号車11のモニタ制御装置31は、この発光指令を受けると、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の赤のLEDのみを一斉に点灯させる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、それぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の赤のLEDのみを一斉に発光させる。同様に、検査者が領域R2における「緑点灯」の矩形領域をタッチ操作すると、1号車11のモニタ制御装置31は車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の緑のLEDのみを一斉に発光させる。同様に、検査者が領域R2における「青点灯」の矩形領域をタッチ操作すると、1号車11のモニタ制御装置31は車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の青のLEDのみを一斉に発光させる。
したがって、前記第2の検査モードでは、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の前記発光指令で指定した1つ色のLEDが実際に発光するか否かを確認することで、当該1つの色のLEDが点灯不能状態(いわゆる球切れ)となっていないか否かなどを、容易に検査することができる。なお、前記発光指令で指定する色のLEDを順次変えていくことで、全ての座席発券状況表示灯41の全ての色のLEDについて検査することができる。
なお、本実施の形態では、領域R2による操作により車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41のいずれかの色のLEDが点灯している状態で、領域R2の「消灯」の矩形領域をタッチ操作すると、「赤点灯」、「緑点灯」、「青点灯」の3つの矩形領域の全てが非選択状態となり、1号車11のモニタ制御装置31は、車両11〜14のいずれの座席発券状況表示灯41のいずれの色のLEDも消灯させる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を前記ネットワークを経由してそれぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、車両11〜14のいずれの座席発券状況表示灯41のいずれの色のLEDも消灯させる。これにより、全消灯状態となる。領域R2による操作により車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41のいずれかの色のLEDが点灯している状態で、領域R1における「点灯ポート」領域の「1」〜「8」の8つの矩形領域のいずれか又は「点灯色」領域の「赤」、「緑」、「青」のいずれかをタッチ操作すると、領域R2の「赤点灯」、「緑点灯」、「青点灯」の3つの矩形領域の全てが非選択状態となり、領域R2の操作による発光指令を発する状態である前記第2の検査モードから、前記第1の検査モードへ移行する。
本発明では、前記検査モードを次のように変形してもよい。
本発明では、前記第1及び第2の検査モードのうちの一方のみを行うように構成してもよいし、両方とも行わなくてもよい。
また、前記第1の検査モードでは、車両11〜14の各々に対して1つずつ合計4つの座席発券状況表示灯41が指定されるようになっているが、車両11〜14を部分的に指定可能とし、指定された車両の座席発券状況表示灯41のみが指定されるようにしてもよい。
さらに、本発明では、前記第1の検査モードに代えて、次の検査モードを行うように構成してもよい。前記第1の検査モードに代わるこの検査モードでは、1号車11のモニタ制御装置31は、検査者が車両1台に対して又は車両複数台に対して座席発券状況表示灯41を1つ選択的に指定してかつ当該座席発券状況表示灯41に表示させる複数の表示(本実施の形態では、青色点灯表示、緑色点灯表示、アンバー色点灯表示)のうちの1つの表示を選択的に指定して、前記指定した座席発券状況表示灯41に前記指定した表示を行うように表示指令する操作を行うことを当該検査者に案内する案内画面を、1号車11のタッチパネル式情報表示器32に表示させる。
そして、前記第1の検査モードに代わるこの検査モードでは、1号車11のモニタ制御装置31は、1号車11のタッチパネル式情報表示器32から前記表示指令を受けると、前記表示指令で指定された座席発券状況表示灯41に前記表示指令で指定された1つの表示を行わせる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、それぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、前記表示指令で指定された座席発券状況表示灯41に前記表示指令で指定された1つの表示を行わせる。
したがって、前記第1の検査モードに代わるこの検査モードでは、前記表示指令で指定した座席発券状況表示灯41に前記表示指令で指定した1つの表示が実際に表示されるか否かを確認することで、1号車11のモニタ制御装置31から座席発券状況表示灯41までの配線が正しいか否かなどを、容易に検査することができる。
なお、前記表示指令で指定する座席発券状況表示灯41と1つの表示との組合せを順次変えていくことで、全ての座席発券状況表示灯41の全ての表示について検査することができる。
また、前記第2の検査モードでは、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の指定した色のLEDを一斉に発光させているが、車両11〜14を部分的に指定可能とし、指定された車両の座席発券状況表示灯41のみの指定した色のLEDを一斉に発光させるようにしてもよい。
また、前記第2の検査モードでは、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の指定した色の1つのLEDを一斉に発光させているが、本発明では、車両11〜14の全ての座席発券状況表示灯41の全部又は指定した2つのLEDを一斉に発光させてもよい。例えば、各座席発券状況表示灯41の赤、緑、青の3つのLEDを同時に発光させる場合、球切れ等がなければ白色に点灯するが、1部のLEDに球切れ等があれば、異なる色で点灯することから、球切れ等を容易に見いだすことができる。
さらに、本発明では、前記第2の検査モードに代えて、次の検査モードを行うように構成してもよい。前記第2の検査モードに代わるこの検査モードでは、座席発券状況表示灯41に表示させる複数の表示(本実施の形態では、青色点灯表示、緑色点灯表示、アンバー色点灯表示)のうちの1つの表示を選択的に指定して、車両1台又は車両複数台に設けられた座席発券状況表示灯41に前記指定した表示を一斉に行うように表示指令する操作を行うことを当該検査者に案内する案内画面を、1号車11のタッチパネル式情報表示器32に表示させる。
そして、前記第2の検査モードに代わるこの検査モードでは、1号車11のモニタ制御装置31は、1号車11のタッチパネル式情報表示器32から前記表示指令を受けると、車両1台又は車両複数台に設けられた座席発券状況表示灯41に前記表示指令で指定された表示を一斉に行わせる制御指令(制御信号)を生成し、当該制御指令を、ネットワークケーブル34によるネットワーク、モニタ端末器33、及び、ネットワークケーブル43によるネットワークを経由して、それぞれ対応するI/Oユニット42に供給することによって、車両1台又は車両複数台に設けられた座席発券状況表示灯41に前記表示指令で指定された表示を一斉に行わせる。
したがって、前記第2の検査モードに代わるこの検査モードでは、車両1台又は車両複数台の全ての座席発券状況表示灯41に前記発光指令で指定した1つの表示が実際に表示されるか否かを確認することで、当該表示に関連するLEDが点灯不能状態(いわゆる球切れ)となっていないか否かなどを、容易に検査することができる。なお、前記発光指令で指定する表示を順次変えていくことで、全ての座席発券状況表示灯41の表示について検査することができる。
なお、近年は、車掌が列車内で車掌携帯端末を用いて指定席券を販売した場合や列車内の発券装置によって指定席券を販売した場合には、その販売情報を、前記車掌携帯端末及び/又は前記発券装置からサーバ61にアップロードさせることが行われようになってきている。その場合には、本実施の形態では、そのアップロードされた販売情報は、その後に無線送受信器44がサーバ61から取得する座席発券状況情報において反映されることになる。もっとも、本発明では、車掌携帯端末や発券装置等によって列車内で指定席券を販売しても、必ずしも、その販売情報をサーバ61にアップロードさせる必要はない。
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態による座席発券状況表示装置のタッチパネル式情報表示器32の「座席確認」画面の表示例を示す図であり、図5に対応している。図9は、本発明の第2の実施の形態による座席発券状況表示装置の動作が、図1に示す座席発券状況表示装置1の動作(図6参照)と異なる所を示す一部概略フローチャートである。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32の「座席確認」画面において、図8に示すように「座席表示灯点灯」の矩形領域(タッチ操作のための領域)が追加されている点と、図6に示す動作が図9に示すように改変されている点である。
本実施の形態では、ステップS8の後に、車掌モードのタッチパネル式情報表示器32の「座席確認」画面の「座席表示灯点灯」の矩形領域(図8参照)がタッチ操作されることで発せられる座席発券状況表示灯点灯指令を受けたか否かを判定する(ステップS31)。
ステップS31で座席発券状況表示灯点灯指令を受けたと判定されると、ステップS9へ移行する。一方、ステップS31で座席発券状況表示灯点灯指令を受けていないと判定されると、1号車11のモニタ制御装置31は、ステップS18と同様に、扉の開閉状態の検知器から扉開検知信号が得られたか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32で扉開検知信号が得られなかったと判定されると、ステップS31へ戻る。一方、ステップS32で扉開検知信号が得られたと判定されると、ステップS13へ移行する。
本実施の形態では、タッチパネル式情報表示器32から1号車11のモニタ制御装置31が座席発券状況表示灯点灯指令を受けることを必要条件として、座席発券状況表示灯41を点灯表示させるステップS9が行われる。
したがって、本実施の形態によれば、乗務員が検札業務を開始しようとするタイミングなどの所望のタイミングで、座席発券状況表示灯41に点灯表示を開始させることができる。また、本実施の形態によれば、「座席確認列番」及び「モニタ駅間」と「受信列番」及び「受信駅間」とがそれぞれ比較し得るように乗務員に報知されるので、乗務員は、前記比較を行うことで両者がそれぞれ一致していることを確認することができた場合にのみ、座席発券状況表示灯41に点灯表示を開始させることで、誤った座席発券状況情報の表示を回避することができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。