ところで、仮設フェンスの設置現場で基台の内側にコンクリート層を形成する場合には、仮設フェンスの設置に際して基台の準備に比較的時間や手間がかかる上、コンクリート層の形成後は、基台の重量が重くなり、撤去作業等が比較的大変になることが懸念される。また、基台の内側に水や砂を充填する場合には、設置に際しての充填作業、及び、撤去に際しての排出作業が比較的大変になることが懸念される。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、設置、及び、撤去に際しての作業性の向上を図ることのできる仮設フェンスの基台を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.フェンス本体と、当該フェンス本体を設置面から上方に離間させる複数の脚部とを具備する仮設フェンスを起立させた姿勢で支持するための基台において、
設置面に接地する基台本体と、
起立させた姿勢の仮設フェンスの脚部を挿入可能に構成され、挿入された脚部を支持する挿入支持部と、
前記基台本体の上面側に設けられ、寝かせた姿勢の棒状体を支持可能に構成されるとともに、支持した棒状体の少なくとも下部を挿入可能な規制支持部とを備え、
所定の仮設フェンスの第1の脚部を支持する基台の前記規制支持部と、前記所定の仮設フェンスの第2の脚部を支持する基台の前記規制支持部とにかけて棒状体を延在させて支持可能に構成され、
前記規制支持部は、前記基台本体の上面を凹ませて構成された支持凹部であり、
該支持凹部は、前記基台本体の一端部から他端部にわたって設けられていることを特徴とする基台。
手段1によれば、棒状体を基台の錘として利用することができ、基台、ひいては、仮設フェンスの設置状態を安定化させることができる。また、基台(仮設フェンスを支持する構成)の重量を増加させるための作業は、基本的に基台の規制支持部に棒状体を寝かせて載せるだけであり、さらには、棒状体を複数の基台にかけて設置するように構成されていることから、例えば、基台の重量を1つずつ増加させるような場合に比べ、仮設フェンスの設置に際しての作業性を飛躍的に向上させることができる。
また、複数の基台にかけて棒状体を設置した状態とすることにより、前記複数の基台を整列させることができ、仮設フェンスを基台に取付ける作業に際しての作業性の向上を図ることができる。尚、仮設フェンスが設置されるような現場(例えば、建設現場等)では、単管パイプ等の棒状体が使用されるケース(例えば、仮設足場の設置に使用されるケース)も多く、該棒状体を利用して、基台の重量を重くすることができる。また、単管パイプであれば、保管・運搬が比較的容易であり、比較的簡単に利用に供することができる。
仮設フェンスを撤去する場合には、棒状体を持ち上げるだけで、複数の基台から一挙に棒状体を取外すことができる。さらに、棒状体が外されることで、基台の重量を軽くして基台の回収作業を行うことができる。従って、仮設フェンスの撤去作業を比較的スムース、かつ、迅速に行うことができる。
加えて、起立姿勢で支持されたフェンス本体と、設置面との間に隙間が形成されるような場合には、かかる隙間を介して、仮設フェンスで仕切られた領域に空き缶やゴミ等が不法に投棄される等の事態が懸念される。これに対し、仮設フェンスの複数の基台にかけて棒状体が設置されることにより、前記隙間に棒状体が延在することとなり、前記隙間を塞ぐためだけの構成を別途設置しなくても、前記懸念を抑制することができる。
手段2.一対の仮設フェンスの側部同士が、ジョイント部材を介して連結可能に構成された仮設フェンスを支持する基台であって、
少なくとも基台の使用状態において、1乃至複数の基台による複数の前記挿入支持部が、ジョイント部材によって連結された一対の仮設フェンスのうち、連結された側部側の脚部同士の間隔と合致する間隔で、かつ、互いの相対変位が不可能な状態で配置されるよう構成されていることを特徴とする手段1に記載の基台。
手段2によれば、一対の仮設フェンスをジョイント部材だけでなく、基台によっても連結することができる。従って、ジョイント部材、及び、基台を併用して、仮設フェンスの傾き等を防止しつつ、複数の仮設フェンスを好適に連結することができる。
また、例えば、基台の使用状態において、仮設フェンスのうちジョイント部材との連結部と、基台の前記挿入支持部とが、略鉛直方向に延びる同一直線上に位置することとしてもよい。この場合、仮設フェンスを扉のように回動変位させることができる上、連結される一対の仮設フェンス同士のなす角度がいずれであっても、ジョイント部材、及び、基台を併用して連結することができ、利便性の向上等を図ることができる。
尚、相対変位不可能に配置されている複数の挿入支持部の配置に関する態様例としては、所定の挿入支持部と、規制支持部とが並ぶ方向において、前記所定の挿入支持部と、別の挿入支持部とが並んで配置される第1態様と、所定の挿入支持部と、規制支持部とが並ぶ方向に対して交差する方向(直交する方向)において、前記所定の挿入支持部と、別の挿入支持部とが並んで配置される第2態様と、前記第1態様と、前記第2態様とを組合わせた第3態様とが挙げられる。第3態様としては、例えば、「少なくとも基台の使用状態において、1乃至複数の基台による複数の前記挿入支持部が、ジョイント部材によって連結された一対の仮設フェンスのうち、連結された側部側の脚部同士の間隔と合致する間隔で、平面視の縦方向、及び、横方向に並ぶようにして、互いの相対変位が不可能な状態で配置されるよう構成されていること」が挙げられる。この場合、複数の仮設フェンスを連結する場合に、脚部の相対位置の組合わせのバリエーションを増やすことができる。例えば、互いに隣接する仮設フェンスを前後にずらして配置することで、看板等を通路に突出させることなく配置することも可能となる。
手段3.前記基台本体の上面において、前記規制支持部よりも上方に位置するとともに、前記規制支持部に向けて下方傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の基台。
手段3によれば、棒状体を基台に設置する際に、棒状体を規制支持部に正確に載置しなくても、傾斜部に載置すれば、棒状体が規制支持部側に案内され、規制支持部に設置されることとなる。従って、棒状体の設置に際しての作業性の向上を図ることができる。また、規制支持部の幅を棒状体の外径とほぼ同じとしても、棒状体の設置作業性の低下を回避できることから、規制支持部の幅が棒状体の外径に比べて比較的大きく構成される場合に比べ、棒状体の設置状態の安定化を図ること(複数の基台に支持された棒状体の位置ずれをより確実に防止する、棒状体の向きを一定にする等)ができる。尚、傾斜部は規制支持部の一側部側にのみ設けられることとしてもよいし、両側部側に設けられることとしてもよい。
手段4.前記基台本体の上面において、前記傾斜部の上側から上方に突出する突出部が設けられ、
前記突出部の内側において、上方に開口し、仮設フェンスの脚部を挿入可能な前記挿入支持部が設けられていることを特徴とする手段3に記載の基台。
手段4によれば、基台に設置された棒状体への所定の接触に起因して、棒状体が傾斜部側から脱落するといった事態を防止することができる。また、突出部において挿入支持部が設けられることにより、脚部の挿入支持部への挿入長を増やすことができ、脚部をより安定して支持することができる。
尚、傾斜部が規制支持部の一側部側にのみ設けられる構成において、「前記基台本体の上面において、前記規制支持部を挟んで前記傾斜部の反対側にも上方に突出する突出部が設けられ、当該突出部の内側に前記挿入支持部が設けられていること」としてもよい。この場合、傾斜部に案内された棒状体が勢い余って基台から脱落するといった事態を防止することができる。さらに、脚部を挿入させる挿入支持部の選択肢が増え、仮設フェンスの設置のバリエーションを増加させることができる。
手段5.前記基台本体の側面において基台同士を連結可能とする連結手段が設けられていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の基台。
手段5によれば、基台同士を連結することができ、基台単体を汎用性のあるシンプルな構成としても、仮設フェンスの設置(複数の仮設フェンスの配置)のバリエーションの多様化等を図ることができる。また、連結手段が基台本体の側面に設けられるため、基台本体のうち棒状体の載置に関する構成等(手段1の規制支持部、及び、挿入支持部や、手段3の傾斜部等)を連結手段が阻害してしまうといった事態を回避することができる。
手段6.前記基台本体において、上下方向に貫通し、アンカーピンを挿通可能な挿通孔と、前記挿通孔に挿通されたアンカーピンのフック部を前記挿通孔の形成面よりも下方に収容可能とする収容凹部とが設けられていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の基台。
手段6によれば、舗装のされていない地面(例えば、比較的地盤の緩い場所)に仮設フェンスを設置する場合において、アンカーピンを用いて基台を地面に固定することが可能になる。さらに、アンカーピンを使用する場合でも、アンカーピンのフック部(上端部が略L字状に折返される等して設けられた引っ掛かりの部分)が収容凹部に収容されて基台本体の上面よりも上方に突出しない。このため、棒状体を支障なく基台に設置することができ、アンカーピンと、棒状体とを併用することもできる。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1、図2等に示すように、仮設フェンス1は、略矩形板状のフェンス本体2と、フェンス本体2を設置面から上方に離間させる一対の脚部3とを備え、脚部3が地面等の設置面に設置される基台11に支持されることで立設されるようになっている。フェンス本体2は、四角枠状の枠部4と、枠部4の内周側に設けられる補強部5とを備えている。また、脚部3は、略円筒状をなしており、枠部4の両側辺部の下端部から下方に突出している。尚、本実施形態の仮設フェンス1は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
図1、図3等に示すように、基台11は、設置面に接地する平面視長四角形状の基台本体12と、基台本体12の上面から上方に突出する略円筒状の突出部13と、基台本体12の上面側に設けられ、棒状体としての単管パイプ21を寝かせた姿勢で支持可能に構成されるとともに、支持した単管パイプ21の下部を挿入可能な規制支持部としての支持凹部14とを備えている。本実施形態では、前記突出部13が基台本体12の長手方向に沿って3つ設けられており、各突出部13の内側において、起立させた姿勢の仮設フェンス1の脚部3を挿入可能に構成され、挿入された脚部3を支持する挿入支持部15が設けられている。
尚、挿入支持部15は上下に貫通して設けられており、挿入支持部15に挿入された仮設フェンス1の脚部3は、その下端部が設置面に設置することとなる。また、本実施形態の基台11は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
さらに、本実施形態の突出部13は、基台本体12の上面において、基台本体12の長手方向両端部に対応してそれぞれ設けられるとともに、一方の突出部13に近接してもう1つの突出部13が設けられている。以下、互いに近接して設けられた一対の突出部13のうち、基台本体12の長手方向における端部に対応して設けられた突出部13を「第1突出部13a」と称するとともに、その挿入支持部15を「第1挿入支持部15a」と称し、第1挿入支持部15aに近接する突出部13を「第2突出部13b」と称するとともに、その挿入支持部15を「第2挿入支持部15b」と称し、もう1つの突出部13を「第3突出部13c」と称するとともに、その挿入支持部15を「第3挿入支持部15c」と称する。
さらに、支持凹部14は、第2突出部13bと、第3突出部13cとの間に配置されるとともに、縦断面略円弧状をなし、基台本体12の短手幅方向全域にわたって設けられている。そして、図1等に示すように、仮設フェンス1の一対の脚部3のうち一方の脚部3(第1の脚部)を支持する基台11の支持凹部14と、他方の脚部3(第2の脚部)を支持する基台11の支持凹部14とにかけて単管パイプ21を延在させて支持可能に構成されている。このように、基台11に単管パイプ21が載置されることにより、単管パイプ21が基台11の錘となり、基台11の変位等が防止されるとともに、仮設フェンス1が安定して支持されるようになっている。本実施形態で使用される単管パイプ21の長さは、仮設フェンス1の横幅の2倍の長さよりも若干長くなっている。
加えて、基台本体12の上面には、支持凹部14と、第3突出部13cとの間において、支持凹部14よりも上方に位置するとともに、支持凹部14から第3突出部13cに向けて上方傾斜する傾斜部16が設けられている。基台本体12の長手方向における傾斜部16の幅は、単管パイプ21の直径よりも広く、単管パイプ21の直径の2倍の長さよりも狭くなっている。さらに、傾斜部16は、支持凹部14の側部と連続して設けられている。第3突出部13cは傾斜部16の上側に設けられている。
尚、本実施形態では、第1突出部13a、第2突出部13b、及び、第3突出部13cの内径、及び、外径が同一であるとともに、上端部の高さ位置が同じとなるように構成されている。また、基台本体12の短手幅は、突出部13の直径よりも若干広い程度であり、基台本体12のうち、その長手方向に沿って延びる側面(長側面)と、第2突出部13bとの間の距離は、基台本体12のうち、その短手方向に沿って延びる側面(短側面)と、第1突出部13a及び第3突出部13cとの間の距離と同等となっている。
また、図3〜図5に示すように、基台本体12の各長側面には、長側面から側方に突出する横断面略台形状の連結突起17と、連結突起17に対応する形状をなす連結凹部18とが設けられている。連結突起17及び連結凹部18は、両方の長側面にそれぞれ設けられているが、一方の長側面において、他方の長側面に設けられた連結突起17と対応する位置に連結凹部18が設けられ、他方の長側面に設けられた連結凹部18と対応する位置に連結突起17が設けられている。そして、一対の基台11の連結突起17と、連結凹部18とを上下に位置合わせし、連結突起17を連結凹部18に挿入させることで、基台11同士が連結されるようになっている。
一対の基台11が連結された場合、支持凹部14に支持される単管パイプ21の延在方向に沿って、第1突出部13a、第2突出部13b、第3突出部13c、及び、支持凹部14が2つずつ並んで配置されることとなる。また、図5に示すように、本実施形態では、互いに連結された一対の基台11のうち第1突出部13a間の距離、第2突出部13b間の距離、及び、第3突出部13c間の距離と、基台本体12の長手方向に沿って並ぶ第1突出部13aと、第2突出部13bとの間の距離とが(ほぼ)同じとなるように構成されている。尚、本実施形態では、連結突起17及び連結凹部18により連結手段が構成されている。加えて、一対の基台11の連結状態では、基台本体12の長側面同士が略当接している。
また、図1等に示すように、仮設フェンス1は、仮設フェンス1を並べて設置する場合に、仮設フェンス1の側部同士を、ジョイント部材23、及び、基台11により連結可能に構成されている。図6、図7に示すように、ジョイント部材23は、長円板状のベース部24と、ベース部24の下面から下方に突出する一対の略円筒状の挿入突起25とを備えている。
これに対し、図1等に示すように、フェンス本体2の枠部4の両側辺部の上部には、上方に開口する挿入凹部6が設けられている。挿入凹部6の内周面は横断面円形状をなしている。本実施形態では、挿入凹部6の中心軸と、脚部3の中心軸とが、鉛直方向に延びる同一直線上に延びるようにして構成されている。さらに、1つの基台11における第1挿入支持部15aと、第2挿入支持部15bとの間の間隔、並びに、互いに連結された一対の基台11のうち第1挿入支持部15a間の間隔、第2挿入支持部15b間の間隔、及び、第3挿入支持部15c間の間隔が、ジョイント部材23によって連結された一対の仮設フェンス1のうち、連結された側部側の脚部3同士の間隔と合致する構成となっている。
このため、例えば、図1等に示すように、一対の仮設フェンス1を同じ向きにして横に並べる場合、互いに隣接する仮設フェンス1のうち一方の仮設フェンス1の脚部3を、互いに連結された一対の基台11のうち一方の基台11の第1挿入支持部15aに挿入し、他方の仮設フェンス1の脚部3を他方の基台11の第1挿入支持部15aに挿入することで、互いに隣接する仮設フェンス1の下端部間が、互いに連結された一対の基台11によって連結される。さらに、互いに隣接する仮設フェンス1のうち基台11によって連結された側の挿入凹部6間の間隔が、ジョイント部材23の一対の挿入突起25間の間隔と合致していることから、互いに隣接する仮設フェンス1の挿入凹部6間にかけてジョイント部材23を取付ける。これにより、互いに隣接する仮設フェンス1の上端部間が、ジョイント部材23によって連結される。
また、本実施形態では、図8、図9に示すように、一対の仮設フェンス1を同じ向きにして横に並べる場合において、互いに隣接する仮設フェンス1のうち、一方の仮設フェンス1の脚部3を第1挿入支持部15aに挿入し、他方の仮設フェンス1の脚部3を第2挿入支持部15bに挿入することで、互いに隣接する仮設フェンス1の下端部間を連結するといった具合に、基台11を単体で使用するパターンを選択することも可能である。当然、この場合においても、互いに隣接する仮設フェンス1の上端部間をジョイント部材23で連結可能である。尚、図8、図9では、単管パイプ21の図示を省略している。
その他、互いに隣接する仮設フェンス1の上端部間をジョイント部材23で連結可能となるパターンとして、互いに連結された一対の基台11のうち一方の基台11の第2挿入支持部15bと、他方の基台11の第2挿入支持部15bとに対し、互いに隣接する仮設フェンス1の脚部3をそれぞれ挿入するパターンと、互いに連結された一対の基台11のうち一方の基台11の第3挿入支持部15cと、他方の基台11の第3挿入支持部15cとに対し、互いに隣接する仮設フェンス1の脚部3をそれぞれ挿入するパターンとを選択することもできる。
尚、本実施形態における仮設フェンス1の設置作業としては、例えば、先ず、仮設フェンス1の設置予定のラインに沿って単管パイプ21を並べて設置する。続いて、各単管パイプ21を支持するようにして基台11を設置する。さらに、仮設フェンス1の脚部3を基台11に挿入し、仮設フェンス1を立設させる。そして、隣接する仮設フェンス1同士をジョイント部材23で連結することで、仮設フェンス1が設置される。
また、本実施形態では、脚部3(挿入支持部15)の中心軸と、挿入凹部6(ジョイント部材23の挿入突起25)の中心軸とが同一直線上に延びることから、図10〜図12に示すように、仮設フェンス1のうち基台11及びジョイント部材23によって支持された枠部4の一側辺部を中心に、仮設フェンス1を回動変位させることができる。これにより、仮設フェンス1で仕切られた領域に対して出入り可能とする簡易ゲート(門扉)を形成することができる。尚、図11では、ジョイント部材23の図示を省略している。また、回動変位可能な仮設フェンス1を左右一対で設けた場合には、図12に示すように、一対の仮設フェンス1を閉じた状態として(一対の仮設フェンス1の自由端側を突き合わせた状態として)、一対の仮設フェンス1の自由端側の挿入凹部6の間にかけてジョイント部材23を設けることで、簡易ロックを行うことも可能である。
加えて、一対の仮設フェンス1を互いに直交する向きにして連結することも可能である。その場合においても、図1に示すように、一方の仮設フェンス1の脚部3を第1挿入支持部15aに挿入し、他方の仮設フェンス1の脚部3を第2挿入支持部15bに挿入するといった具合に、基台11を単体で使用するパターンと、図13に示すように、一方の仮設フェンス1の脚部3を、互いに連結された一対の基台11のうち一方の基台11の第1挿入支持部15aに挿入し、他方の仮設フェンス1の脚部3を他方の基台11の第1挿入支持部15aに挿入するといった具合に、基台11を連結して使用するパターンとを選択することができる。
また、図14に示すように、基台本体12には、支持凹部14において、基台本体12を上下方向に貫通し、アンカーピン27を挿通可能な挿通孔19と、挿通孔19に挿通されたアンカーピン27のフック部28(上端部が略L字状に折返される等して設けられた引っ掛かりの部分)を、支持凹部14よりも下方に収容可能とする収容凹部20とが設けられている。例えば、舗装のされていない地面であって比較的地盤の緩い場所に仮設フェンス1を設置する場合には、挿通孔19を介してアンカーピン27を地面に打ち込み、基台11を固定することも可能である。また、アンカーピン27のフック部28は、収容凹部20に収容されることから、支持凹部14において、支持凹部14の支持面よりも上方にフック部28が突出することがない。このため、アンカーピン27で固定された基台11の支持凹部14に単管パイプ21を載置することも可能である。尚、フック部28の先端部は基台本体12よりも側方に突出しており、アンカーピン27を抜き取る作業に際してフック部28に工具等を掛け易くなっている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、単管パイプ21を基台11の錘として利用することができ、基台11、ひいては、仮設フェンス1の設置状態を安定化させることができる。また、基台11(仮設フェンス1を支持する構成)の重量を増加させるための作業は、基本的に基台11の支持凹部14に単管パイプ21を寝かせて載せるだけであり、さらには、単管パイプ21を複数の基台11にかけて設置するように構成されていることから、例えば、基台11の重量を1つずつ増加させるような場合に比べ、仮設フェンス1の設置に際しての作業性を飛躍的に向上させることができる。
また、複数の基台11にかけて単管パイプ21を設置した状態とすることにより、前記複数の基台11を整列させることができ、仮設フェンス1を基台11に取付ける作業に際しての作業性の向上を図ることができる。尚、仮設フェンス1が設置されるような現場(例えば、建設現場等)では、単管パイプ21等の棒状体が使用されるケース(例えば、仮設足場の設置に使用されるケース)も多く、単管パイプ21(その他の鋼材でも可能)を利用して、基台11の重量を重くすることができる。また、単管パイプ21であれば、保管・運搬が比較的容易であり、比較的簡単に利用に供することができる。
仮設フェンス1を撤去する場合には、単管パイプ21を持ち上げるだけで、複数の基台11から一挙に単管パイプ21を取外すことができる。さらに、単管パイプ21が外されることで、基台11の重量を軽くして基台11の回収作業を行うことができる。従って、仮設フェンス1の撤去作業を比較的スムース、かつ、迅速に行うことができる。
加えて、起立姿勢で支持されたフェンス本体2と、設置面との間に隙間が形成されるような場合には、かかる隙間を介して、仮設フェンス1で仕切られた領域に空き缶やゴミ等が不法に投棄される等の事態が懸念される。これに対し、仮設フェンス1の複数の基台11にかけて単管パイプ21が設置されることにより、前記隙間に単管パイプ21が延在することとなり、前記隙間を塞ぐためだけの構成を別途設置しなくても、前記懸念を抑制することができる。
また、本実施形態では、各基台11の第1挿入支持部15aと、第2挿入支持部15bとの間の間隔、互いに連結された一対の基台11の第1挿入支持部15a間の間隔、第2挿入支持部15b間の間隔、及び、第3挿入支持部15c間の間隔が、それぞれジョイント部材23によって連結された一対の仮設フェンス1のうち、連結された側部側の脚部3同士の間隔と合致するように構成されている。このため、一対の仮設フェンス1をジョイント部材23だけでなく、基台11によっても連結することができる。従って、ジョイント部材23、及び、基台11を併用して、仮設フェンス1の傾き等を防止しつつ、複数の仮設フェンス1を好適に(仮設フェンス1の上端部と、下端部とにおいて)連結することができる。
また、例えば、基台11の使用状態において、仮設フェンス1のうちジョイント部材23との連結部である挿入凹部6と、基台11の挿入支持部15とが、略鉛直方向に延びる同一直線上に位置するようになっている。このため、図10にように、仮設フェンス1を扉のように回動変位させることができる上、連結される一対の仮設フェンス1同士のなす角度がいずれであっても、ジョイント部材23、及び、基台11を併用して連結することができ、利便性の向上等を図ることができる。
加えて、1つの基台11の第1挿入支持部15aと第2挿入支持部15bとの間隔、連結された一対の基台11の第1挿入支持部15a同士の間隔、第2挿入支持部15b同士の間隔、及び、第3挿入支持部15c同士の間隔は同じであるため、複数の仮設フェンス1を連結する場合に、脚部3の相対位置の組合わせのバリエーションを増やすことができる。例えば、図8、図9に示すように、互いに隣接する仮設フェンス1を前後にずらして配置することで、看板等を通路に突出させることなく配置することも可能となる。また、例えば、連結された一対の基台11の一対の第1挿入支持部15aと、一対の第3挿入支持部15cとに対してそれぞれ脚部3を挿入させるようにして、仮設フェンス1を2列にして設けることも可能である。この場合、仮設フェンス1の両側を通路可能とする通路の仕切りとして使用することができ、単管パイプ21については、通行人の妨げにならない位置に設置することができる。
また、基台本体12の上面には、支持凹部14に向けて下方傾斜する傾斜部16が設けられている。このため、単管パイプ21を基台11に設置する際に、単管パイプ21を支持凹部14に正確に載置しなくても、傾斜部16に載置すれば、単管パイプ21が支持凹部14側に案内され、支持凹部14に設置されることとなる。従って、単管パイプ21の設置に際しての作業性の向上を図ることができる。また、支持凹部14の幅を単管パイプ21の外径とほぼ同じとしても、単管パイプ21の設置作業性の低下を回避できることから、支持凹部14の幅が単管パイプ21の外径に比べて比較的大きく構成される場合に比べ、単管パイプ21の設置状態の安定化を図ること(複数の基台11に支持された単管パイプ21の位置ずれをより確実に防止する、単管パイプ21の向きを一定にする等)ができる。
さらに、基台本体12の上面には、傾斜部16の上側から上方に突出する円筒状の第3突出部13cが設けられている。このため、基台11に設置された単管パイプ21への所定の接触に起因して、単管パイプ21が傾斜部16側から脱落するといった事態を防止することができる。加えて、支持凹部14を挟んで傾斜部16の反対側には、第2突出部13bが設けられている。このため、傾斜部16に案内された単管パイプ21が勢い余って基台11から脱落するといった事態を防止することができる。加えて、突出部13において挿入支持部15が設けられることにより、脚部3の挿入支持部15への挿入長を増やすことができ、脚部3をより安定して支持することができる。
また、基台本体12の長側面には、基台11同士を連結可能とする連結突起17及び連結凹部18が設けられている。このため、基台11単体を汎用性のあるシンプルな構成としても、基台11同士を連結させる等して、仮設フェンス1の設置(複数の仮設フェンス1の配置)のバリエーションの多様化等を図ることができる。さらに、連結突起17及び連結凹部18が基台本体12の側面に設けられるため、基台本体12のうち単管パイプ21の載置に関する構成等(支持凹部14、挿入支持部15、及び、傾斜部16等)を連結突起17及び連結凹部18が阻害してしまうといった事態を回避することができる。
加えて、上記実施形態の基台11には、アンカーピン27を挿通可能な挿通孔19が設けられており、舗装のされていない地面に仮設フェンス1を設置する場合において、アンカーピン27を用いて基台11を地面に固定することができる。さらに、アンカーピン27を使用する場合でも、アンカーピン27のフック部28は収容凹部20に収容されて収容凹部20よりも上方に突出しないようになっている。このため、単管パイプ21を支障なく基台11の支持凹部14に設置することができ、アンカーピン27と、単管パイプ21とを併用することもできる。
また、第1突出部13a、及び、第3突出部13cは、基台本体12の短側面に近接して設けられ、第1突出部13a、第2突出部13b、及び、第3突出部13cは、基台本体12の両長側面に近接して設けられている。このため、仮設フェンス1を基台11で支持する場合には、基台11が仮設フェンス1よりも仮設フェンス1で囲われる領域の外方に比較的大きく突出してしまうといった事態を回避することができる。従って、基台11が仮設フェンス1で囲われる領域の外方を移動する通行人の妨げになってしまうといった事態を防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、1つの基台11において、3つの挿入支持部15(突出部13)と、1つの支持凹部14とが設けられているが、挿入支持部15、及び、支持凹部14の数や配置等は特に限定されるものではなく、少なくとも挿入支持部15及び支持凹部14が1つずつ設けられていればよい。
例えば、図15に示す基台111のように、基台本体12の長手方向に並ぶ3つの挿入支持部15(突出部13)の各間に支持凹部14が1つずつ、合計で2つ設けられるように構成してもよい。支持凹部14にそれぞれ単管パイプ21を設置することで、基台111の錘を増やすことができ、仮設フェンス1をより安定して支持することができる。尚、図15の基台111には、各支持凹部14においてアンカーピン27を挿通可能な挿通孔19(及び収容凹部20)が設けられており、一方の支持凹部14の挿通孔19は、基台本体12の一方の長側面側に設けられ、他方の支持凹部14の挿通孔19は、基台本体12の他方の長側面側に設けられている。
また、図16に示す基台112のように、第3突出部13c(第3挿入支持部15c)を省略することも可能である。尚、図16の基台112は、第3突出部13cが省略されているものの、傾斜部16は設けられており、単管パイプ21の設置に際しての作業性の向上が図られる。さらに、図16の基台112は、基台本体12の長手方向において突出部13を間に介在させることなく2つの支持凹部14が設けられている。この場合、2つの支持凹部14に設置された2本の単管パイプ21の上に単管パイプ21を設置することもでき、基台112の錘を増やすことができる。
加えて、第1突出部13a(第1挿入支持部15a)、及び、第2突出部13b(第2挿入支持部15b)のうち一方又は両方を省略すること(両方を省略する場合には、第3突出部13cを設けること)としてもよい。また、各基台11において、基台本体12の長手方向に並ぶ突出部13(挿入支持部15)を4つ以上設けることとしてもよい。
尚、基台11の重量(錘)を増加させる場合には、単管パイプ21の所定位置に土嚢などを載置したり、傾斜部16にも単管パイプ21を載置したりすることが考えられる。また、単管パイプ21が複数の基台11に載置されていることで、土嚢を単管パイプ21の所定位置に載置した場合には、当該単管パイプ21が載置されている全ての基台11に土嚢の重量を掛けることができる。さらに、支持凹部14に設置される棒状体としても単管パイプ21に限定されるものではなく、山形鋼、I形鋼、H形鋼、丸棒、及び、角パイプ等のその他の鋼材等を利用することも可能である。また、単管パイプ21等の棒状体は、少なくとも下部の一部が支持凹部14に収容される(位置決めされる)ようになっていればよく、例えば、第3突出部13cが省略された形状において、支持凹部14と、設置面との間を跨ぐようにして山形鋼等を設置することも可能である。
加えて、寝かせた姿勢の単管パイプ21を支持する部位(支持凹部14)に関しては、単管パイプ21が回転したり、横にスライドしたりして、単管パイプ21が基台本体12に対して単管パイプ21の径の方向(長手方向に対して交差する方向)に位置ずれし、基台本体12から脱落することが防止されるように構成されていればよい。例えば、凹部の代わりに、少なくとも一対の突起を設け、一対の突起間において単管パイプ21を設置することにより、単管パイプ21が位置決めされた状態で支持されるように構成してもよい。当該構成を採用する場合には、一対の突起の間の部位により規制支持部が構成される。
(b)また、上記実施形態では、挿入支持部15が略円筒状の突出部13の内側に設けられているが、例えば、図17に示す基台113のように、外形状が円筒状ではない基台本体12の一般部位に挿入支持部15を設けることとしてもよい。但し、脚部3の挿入支持部15への挿入長を確保するべく、挿入支持部15が設けられる部位は、支持凹部14の底部よりも高さのある部位であることが望ましい。尚、図17の基台113は、支持凹部14の上下の幅(深さ)が、単管パイプ21の直径よりも長く構成されており、支持凹部14に設置された単管パイプ21の上端部まで支持凹部14に挿入される。さらに、図17の基台113は、傾斜部16が省略されている。
また、上記実施形態では、挿入支持部15は上下に貫通して設けられているが、挿入支持部15を有底状に構成してもよい。さらに、挿入支持部15は必ずしも横断面円形状としなくてもよく、脚部3及び挿入支持部15のうち少なくとも一方が横断面略円形状とされていればよい。加えて、上記実施形態では、傾斜部16は支持凹部14の一側部側にのみ設けられているが、両側部側に設けられることとしてもよい。また、アンカーピン27で基台11を固定可能とする挿通孔19の形成位置については特に限定されるものではなく、例えば、傾斜部16において挿通孔19を設けることとしてもよい。尚、収容凹部20や挿通孔19を省略することも可能である。
さらに、基台11と、基台11に載置された単管パイプ21との間を連結する連結部材を設けることとしてもよい。この場合、単管パイプ21が不用意に動くといった事態を防止することができる。加えて、基台11において、単管パイプ21の盗難を防止するためのロック部材を取付けるための取付部を設けることとしてもよい。例えば、基台11と、基台11に載置された単管パイプ21との間を連結する連結部材に南京錠等が取付可能(基台11の取付孔と、連結部材の取付孔とにかけて南京錠を取付ける等)となるように構成してもよい。
(c)また、上記実施形態では、基台11同士を連結可能に構成されているが、連結が不可能な構成としてもよい。例えば、図18に示す基台114のように、上記実施形態の基台11を2つ連結したような形状に一体的に形成されることとしてもよい。当該構成を採用する場合、例えば、上記実施形態の基台11を2個1セットで使用することを前提とするような場合(第1挿入支持部15aのみを使用して複数の仮設フェンス1を連結する場合)において、基台11同士を連結させる作業を行わなくても済み、設置作業性の向上等を図ることができる。勿論、図18に示す基台114のように、第1挿入支持部15a、第2挿入支持部15b、及び、第3挿入支持部15cが2つずつ設けられる構成においても、連結突起17及び連結凹部18を設ける等して、基台114同士を連結可能に構成してもよい。
(d)また、仮設フェンス1の形状等についても特に限定されるものではなく、例えば、フェンス本体2の横幅を広げることに伴って脚部3を3つ以上設けてもよい。さらに、脚部3が、フェンス本体2の枠部4の側辺部よりもフェンス本体2の横幅方向中央部側に変位した位置に設けられていてもよい。
加えて、単管パイプ21の長さと、仮設フェンス1の横幅との関係についても特に限定されるものではなく、例えば、仮設フェンス1の横幅の2倍よりも単管パイプ21の長さが若干短い、或いは、同じとなっていてもよい。この場合には、仮設フェンス1を支持する基台11に対し、単管パイプ21を支持するため(だけ)の基台11を連結すること(例えば、基台11を3つ以上連結すること)としてもよい。尚、挿入支持部15を、旗竿を立てるポールスタンドとして使用することも可能である。
(e)上記実施形態では、基台11、及び、仮設フェンス1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では特に言及していないが、基台11の突出部13を、別の基台11の基台本体12に挿入させるようにして、基台11同士を重ねて保管可能に構成してもよい。