JP6960793B2 - 障子及び建具 - Google Patents
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Description
従来の雨戸が設置された建具では、既設の枠体において障子の屋外側に設けられた下枠及び上枠に雨戸が開閉可能に設置されたものが知られている。例えば、特許文献1に記載された雨戸では、雨戸の下枠と上枠の雨戸案内部に断面略U字状の凹溝が形成され、下枠の雨戸案内部にはレールが設置されている。そして、雨戸の下框にはレール上を走行する2つの戸車が間隔を開けて設置されている。
ところで、一般に雨戸を収納する戸袋内にはレールが設置されていないことが多い。そのため、下枠の雨戸案内部の凹溝より厚みの小さいリフォーム用の雨戸を戸袋から引き出す際、雨戸をレールに乗り上げさせてレール上を走行させることが必要である。
これらの場合、雨戸の上框に厚さ調整部材が設けられていても、戸袋等からの引き出し時に雨戸のずれやガタツキを規制できなかった。
本発明によれば、障子を引き出す際、障子パネルの戸先側の戸車を第一厚さ調整部材によってずれや振れを規制してレール部に乗せることができ、戸尻側の戸車も第二厚さ調整部材によってずれや振れを規制してレール部に乗せることができる。そのため、障子は枠体より見込み方向の幅が小さくても、第一厚さ調整部材及び第二厚さ調整部材によって戸車をレール部に案内できる。
また、障子パネルの戸尻側の戸車の戸先側近傍に設けた第二厚さ調整部材によって、戸尻側の障子の振れを規制して戸尻側の戸車をレール部に案内できる。
障子パネルの戸先側の縦框に設けた第一厚さ調整部材によって、戸車がレール部に乗る前に障子パネルの見込み方向のズレを矯正できる。
障子パネルの戸先側に設けた第一厚さ調整部材と共に枠体と障子との隙間を埋めることができるので、障子のガタツキやずれを規制できる。
枠体の左右いずれの側に戸袋があっても、障子の引き出し時の振れを規制して戸車をレール部に乗せることができる。
本発明によれば、リフォーム用等の障子を戸袋等から引き出す際、枠体よりも障子の見込み方向の幅が小さくても振れを防いで、障子パネルの戸先側の戸車を第一厚さ調整部材によってレール部に案内でき、戸尻側の戸車も第二厚さ調整部材によってレール部に案内できる。
また、障子の戸尻側の戸車の戸先側近傍に設けた第二厚さ調整部材によって、戸尻側の障子の振れを規制して戸尻側の戸車をレール部に案内できる。
障子を左右いずれの側から引き出したとしても、戸車の前側に設けられた各厚さ調整部材によって障子パネルの振れを防いでレール部に案内できる。
レール部のない戸袋から下枠のレール部に障子を引き出す際、厚さ調整部材によって障子の振れを規制して台車をレール部に案内することができる。
図1は本発明の第一実施形態による既設の建具1における、例えば引き違い障子の室外側に設置された雨戸2とその枠体3を示すものである。図上、枠体3の左隣には雨戸2を収納する戸袋4が設置されている。枠体3と戸袋4と雨戸2は例えばアルミ合金で製造されている。図1において、戸袋4のカバー壁面は省略されている。枠体3は上枠6及び下枠7、そして左右の縦枠8とで四角形枠状に形成されており、例えば2枚の雨戸2で閉鎖可能とされている。
下枠7には雨戸案内部として平坦な凹溝7aが上向きに形成され、凹溝7aの両側部に側壁7bが形成されている。凹溝7aに雨戸2を走行させるためのレール部10が設置されている。枠体3の見込み方向の幅に対してリフォームした雨戸2の幅(厚み)は小さく形成されている。例えば下枠7の凹溝7aの幅Mを30mmとすると、リフォーム用の雨戸2の幅Lは20mmである。
戸車本体23は平行な一対の車輪23aとその間に設けた凹部23bとで一体形成されている。レール部10に凹部23bが落ち込んだ状態で戸車20を回転させることで、雨戸2は安定して走行する。
ここで、雨戸2を戸袋4から矢印P方向に引き出すとして、戸先側の縦框15aの下部に設けた厚さ調整部材26を第一厚さ調整部材26Aとし、戸尻側(後端側)の戸車20の直前に設置した厚さ調整部材26を第二厚さ調整部材26Bとする。更に戸尻側の縦框15bの下部に設けた厚さ調整部材26を第三厚さ調整部材26Cとし、戸先側の戸車20の戸尻側(後端側)近傍に設けた厚さ調整部材26を第四厚さ調整部材26Dとする。
上部の厚さ調整部材25の左右方向に設けたテーパ部25a、25bは、雨戸2の戸袋2内への収納時に効果がある。即ち、戸袋4内に1枚目の雨戸2を収納した後、次の雨戸2を収納した際に雨戸パネル11の先端部が1枚目の雨戸2の上部の厚さ調整部材25に衝突することがある。この場合に2枚目の雨戸2の雨戸パネル11の先端部が1枚目の雨戸2の上部の厚さ調整部材25のテーパ部25a、25bに接触してもスライドするため衝撃を緩和できる。
また、上部の厚さ調整部材25に下向きのテーパ部25dを設置したことで、雨戸2を上枠6の凹溝6a内にケンドンで建て込む際に、雨戸2が斜め方向から凹溝6a内に挿入されても下向きのテーパ部25dが側壁6bにガイドされて凹溝6a内にスムーズに嵌め込むことができる。
図8(a)、(b)は縦框15a、15b及び下框14の各見付け面に取り付ける下部の厚さ調整部材26を示すものである。下部の厚さ調整部材26はその外面が左右両側に形成された逆向きのテーパ部26a、26bと、その間の肉厚で平坦な頂部26cとで凸状に形成されている。下部の厚さ調整部材26の裏面側には脚部26d、26eが階段状に形成されている。脚部26d、26eの間に係止ピン27a、27bと同様な2つの係止ピン29a、29bが形成され、この係止ピン29a、29bが縦框15a、15b及び下框14に設けた孔部33a、33bに嵌合することで係止されている。
図9(a)、(b)、(c)は縦框15bに下部の厚さ調整部材26を取り付けた状態を示すものである。縦框15a、下框14においても同一構成の下部の厚さ調整部材26が同様に装着されている。厚さ調整部材26の装着に際して、縦框15bの下端から上方に向けて取り付け、テーパ部26a、26b及び頂部26cが外側に、脚部26d、26eが内側に位置するように嵌合させる。そして、係止ピン29a、29bを縦框15bの見付け面の孔部33a、33bに嵌合して係止させる。
下部の厚さ調整部材26の左右方向に設けたテーパ部26a、26bも、上部の厚さ調整部材25のテーパ部26a、26bと同様な効果を発揮できる。即ち、戸袋4内に雨戸2を収納した後、次の雨戸2を収納した際に雨戸パネル11の先端部が先の雨戸2の下部の厚さ調整部材26に衝突しても、次の雨戸2の雨戸パネル11の先端部が先の雨戸2の下部の厚さ調整部材26のテーパ部26a、26bに接触してもスライドするため衝撃を緩和できる。
なお、図6〜図9に示す上部の厚さ調整部材25と下部の厚さ調整部材26は一例にすぎず、上記した一方のものだけを用いてもよいし、他の適宜形状のものを用いてもよい。
一般的に新設時の枠体3の上枠6及び下枠7の各凹溝6a、7aと雨戸2は見込み方向の幅が同一に近い寸法に設定されている。劣化した雨戸2を新たなものに交換する場合、図2(a)に示すように、上枠6及び下枠7の凹溝6a、7aに対してリフォームした雨戸2の見込み方向の幅が小さく設定されている場合がある。そのため、リフォームした雨戸2と上枠6の両側壁6b及び下枠7の両側壁7bとの間に隙間が生じるため、ガタツキや横ずれを生じ易い。しかも、戸袋4から引き出した戸車20の凹部23bがレール部10からずれて、車輪23aがレール部10上に乗り上げたり外れたりし易い。
図2(b)に示すように、雨戸パネル11の下部に装着された各厚さ調整部材26の少なくとも一部が下枠7の凹溝7a及び側壁7b内に納まっている。同様に、上部の厚さ調整部材25も少なくとも一部が上枠6の凹溝6a及び側壁6b内に納まっている。
これにより、雨戸パネル11のガタツキや振れを規制できる。そして、戸車20における一対の車輪23a間の凹部23b内に下枠7のレール部10に位置決めされるため、安定して走行できる。
これにより、雨戸パネル11が下枠7のレール部10上を走行するようにガイドすることができる。なお、雨戸2を戸袋4内に戻す際は、引き出し時に既に戸車20の凹部23bがレール部10に着座しているため、位置ずれを生じることなくスムーズに引き戻すことができる。また、第一厚さ調整部材26Aは、戸先側の戸車20の戸先側に近接する見付け面に設置してもよいが、縦框15aに設置することで雨戸パネル11の先端下部を保護できて好ましい。
また、リフォームした雨戸パネル11の下框14に設けた2個の戸車20のそれぞれ進行方向前側に第一厚さ調整部材26Aと第二厚さ調整部材26Bを設けた。そのため、雨戸2を戸袋4から引き出した際に、戸先側の戸車20と戸尻側の戸車20がレール部10に乗り上げるよう見込み方向の位置を案内でき、一対の車輪23a間の凹部23bにレール部10を位置決めでき、雨戸2の走行が安定しスムーズである。
しかも、雨戸2を戸袋4から引き出す際、操作者が戸先側を室内側に引き込む反動で戸尻側が室外側に移動しようとしても、第二厚さ調整部材26Bを少なくとも下框14の室外側に装着したため、雨戸2の横ずれを規制できる。
図10において、戸袋4の開口4aには、雨戸2用の枠体3の下枠7との接続部にガイド部材30が設置されている。枠体3の室内側には、例えば引き違い障子として外障子31と内障子32が設置されている。ガイド部材30は戸袋4に対して下枠7の凹溝7aに雨戸2を引き出す際や、下枠7の凹溝7aから戸袋4内に雨戸2を引き込む際に、雨戸2がスムーズに移動可能としたものである。ガイド部材30は適宜形状を採用できるが、下枠7の凹溝7aから開口4aを通して戸袋4の内部に向けて通路を拡幅するように傾斜するガイド面30aが形成されている。或いは、ガイド部材30として車輪等を設置してもよい。
第二実施形態による雨戸40では、戸袋4から下枠7のレール部10への引き出し方向がP方向に設定されている。本実施形態では、雨戸パネル11の下框14の下部に所定間隔を開けて2つの戸車20が設置されている。引き出し方向前方の戸車20の前方の縦框15aの下部見付け面に第一厚さ調整部材26Aが装着されている。引き出し方向後方の戸車20の戸先側近傍における下框14の見付け面に第二厚さ調整部材26Bが装着されている。
これにより、雨戸2の戸袋4からの引き出し時に、第一厚さ調整部材26Aによって引き出し方向前方の戸車20の凹部23bがレール部10に装着される。そして、第二厚さ調整部材26Bによって引き出し方向後方の戸車20の凹部23bがレール部10に装着される。そのため、少ない数の下部の厚さ調整部材26によって、引き出し時の雨戸2のレール部10に対する振れを規制できる。
図12は雨戸42では、戸袋4から下枠7のレール部10への引き出し方向がQ方向に設定されている。この場合、雨戸パネル11の下框14に所定間隔を開けて2個の戸車20が設置されている。引き出し方向前方の戸車20の前方の縦框15bの下部見付け面に第三厚さ調整部材26Cが装着されている。引き出し方向後方の戸車20の前側近傍において、下框14の見付け面に第四厚さ調整部材26Dが装着されている。
そのため、本第三実施形態においても、少ない数の下部の厚さ調整部材26によって、引き出し時の雨戸パネル11のレール部10に対する振れを規制できる。
また、最も戸先側の戸車20に関し、縦框15a、15bに代えて、下框14における戸先側の戸車20の引き出し方向前方(戸先側)近傍の見込み面に厚さ調整部材26を設けてもよい。
また、本発明において下枠7のリフォーム用のレール部10を走行可能な雨戸2について説明したが、雨戸2に限定されることなく、引き違い障子等の各種の障子と障子を備えた建具1に適用できる。この場合、雨戸2は障子に含まれ、雨戸パネル11は障子パネルに含まれる。
2、40、42 雨戸
3 枠体
4 戸袋
6 上枠
7 下枠
7a 凹溝
7b 側壁
10 レール部
13 上框
14 下框
20 戸車
23a 車輪
23b 凹部
25 上部の厚さ調整部材
26 下部の厚さ調整部材
26A 第一厚さ調整部材
26B 第二厚さ調整部材
26C 第三厚さ調整部材
26D 第四厚さ調整部材
30 ガイド部材
Claims (7)
- 枠体内のレール部を走行可能な障子であって、
障子パネルと、
前記障子パネルの下部に間隔を開けて設けられた複数の戸車と、
前記障子パネルにおける戸先側の前記戸車よりも戸先側の見付け面に設けられた第一厚さ調整部材と、
前記障子パネルにおける戸先側の戸車よりも戸尻側であって戸尻側の前記戸車よりも戸先側の見付け面に設けられた第二厚さ調整部材と、を備え、
前記第二厚さ調整部材は、前記障子パネルの下框における戸尻側の前記戸車に近接して設けられていることを特徴とする障子。 - 前記第一厚さ調整部材は、前記障子パネルの戸先側の縦框に設けられている請求項1に記載された障子。
- 前記障子パネルの戸尻側の縦框の下部見付け面に第三厚さ調整部材が設けられている請求項1または2に記載された障子。
- 前記障子パネルの下框における前記戸先側の戸車の戸尻側に近接する見付け面に第四厚さ調整部材が設けられている請求項3に記載された障子。
- 枠体と、
前記枠体の下枠に設けられたレール部と、
前記下枠のレール部を走行可能な障子と、
前記障子の下部に設けられていて前記レール部に沿って走行可能な複数の戸車と、を備えていて、前記下枠よりも前記障子の見込み方向の幅が小さい建具において、
前記障子における戸先側の戸車よりも戸先側の見付け面に設けられた第一厚さ調整部材と、
前記障子における戸尻側の前記戸車よりも戸先側の見付け面に設けられた第二厚さ調整部材と、を備え、
前記第二厚さ調整部材は、前記障子の下框における戸尻側の前記戸車に近接して設けられていることを特徴とする建具。 - 前記第一厚さ調整部材は前記戸先側の縦框に設けられ、前記第二厚さ調整部材は前記戸尻側の戸車に近接して下框に設けられ、
前記障子における前記戸尻側の縦框の見付け面に第三厚さ調整部材が設けられ、前記戸先側の戸車の戸尻側近傍における見付け面に第四厚さ調整部材が設けられている請求項5に記載された建具。 - 前記下枠はレール部を有さない戸袋に接続されており、前記戸袋内の前記障子を引き出す際に前記戸車を前記レール部に乗せるようにした請求項5または6に記載された建具。
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2017
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