JP6959186B2 - 人力駆動車用制御装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的の1つは、人力駆動車の推進をアシストするモータを、少ない実測データを用いて制御できる人力駆動車用制御装置を提供する。
第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクが1回転する間で連続的に人力駆動力を検出しなくても、クランクが1回転する間で連続しない少なくとも2つの角度範囲における人力駆動力に応じて、人力駆動車の推進をアシストするモータを制御することができる。第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、少ない実測データでモータを制御できる。
第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1クランクアームに与えられる人力駆動力と、第2クランクアームに与えられる人力駆動力との両方を、モータの出力トルクに反映させることができる。
第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動力が最も大きくなりやすい角度における人力駆動力を用いることによって、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを決定しやすくなる。
第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の状態、人力駆動車の仕様、人力駆動車の搭乗者の搭乗状態、人力駆動車の搭乗者の身体的特徴、および、人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、連続的に人力駆動力を検出しなくても、人力駆動力に応じてモータを制御することができる。人力駆動車の状態、人力駆動車の仕様、人力駆動車の搭乗者の搭乗状態、人力駆動車の搭乗者の身体的特徴、および、人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の車速、クランクの回転速度、人力駆動車の加速度、クランクの回転速度に対する駆動輪の回転速度の比率、人力駆動車の傾斜の少なくとも1つに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、サドルからクランクのクランク軸までの長さ、人力駆動車のフレームの形状、フレームの種類、および、ビンディングペダルの装着状態の少なくとも1つに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、サドルに着座している状態、立ち漕ぎ状態、および、ペダルの一方にのみ荷重をかけて走行している状態の少なくとも1つに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第10側面の人力駆動車用制御装置によれば、前記サドルに加わる荷重の状態に応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第11側面の人力駆動車用制御装置によれば、脚の長さに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第12側面の人力駆動車用制御装置によれば、走行路の種類、走行路の傾斜、走行路の形状、風速、および風向きの少なくとも1つに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、複数の予め定める角度範囲外におけるモータの出力トルクを変化させることができる。
第13側面の人力駆動車用制御装置によれば、制御部は、人力駆動車の仕様、および、人力駆動車の搭乗者の身体的特徴の少なくとも1つを簡単に取得できる。
第14側面の人力駆動車用制御装置によれば、連続的に人力駆動力を検出しなくても、ビンディングペダルを用いてクランクを回転させる場合においても、適切にモータの出力トルクを変化させることができる。
第15側面の人力駆動車用制御装置によれば、例えば、坂道および加速時など、人力駆動力の最大値が大きくなる場合において、人力駆動車を操作しやすくなる。
第16側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の走行抵抗が増加する場合において、人力駆動車を操作しやすくなる。
第17側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の走行抵抗が減少する場合において、人力駆動車を操作しやすくなる。
第18側面の人力駆動車用制御装置によれば、所定の角度範囲外の場合における人力駆動力を推定しやすい。
第19側面の人力駆動車用制御装置によれば、制御部の処理の負荷を低減することができる。
第20側面の人力駆動車用制御装置によれば、データの送受信経路において物理的接点が無いことから接点の摩耗のような物理的劣化がない。
第21側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの回転角度が複数の予め定める角度範囲外においても、人力駆動力を推定することができるので、クランクが1回転する間で連続的に人力駆動力を検出しなくてもよい。
第22側面の人力駆動車用制御装置によれば、クランクの回転角度が予め定める角度範囲外においても、人力駆動力を推定することができるので、連続的に人力駆動力を検出しなくてもよい。人力駆動車の状態、人力駆動車の仕様、人力駆動車の搭乗者の搭乗状態、人力駆動車の搭乗者の身体的特徴、および、人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに応じて、適切な角度における人力駆動力を用いて、予め定める角度範囲外における人力駆動力を推定することができる。
図1〜図8を参照して、実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。以後、人力駆動車用制御装置60を、単に制御装置60と記載する。制御装置60は、人力駆動車10に設けられる。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力Hによって駆動することができる車である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動アシスト自転車(E−bike)を含む。本実施形態では、人力駆動車10を自転車として説明する。
制御部62は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部62は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。制御部62および記憶部64は、例えばモータ32が設けられるハウジングに設けられる。
本実施形態では、制御部62は、クランク12に入力される人力駆動力Hを推定する。制御部62は、クランク12の回転角度がクランク12の回転方向に相互に離間している複数の予め定める角度範囲ARの一つにある場合における人力駆動力Hに応じて、クランク12の回転角度が複数の予め定める角度範囲AR外の場合における人力駆動力Hを推定する。
図4に示されるように、人力駆動力Hの周期的な変化は、周期を有する波形に近似して表すことができる。周期を有する波形は、たとえば正弦波で表される。クランクアーム12B,12Cが上死点および下死点に位置するときのクランク12の回転角度に、周期を有する波形の最小ピークを対応させるか、または、クランクアーム12B,12Cが上死点および下死点から90°離れて位置するときのクランク12の回転角度に、周期を有する波形の最大ピークを対応させることによって、予め定めるクランク12の回転角度における人力駆動力Hに基づいて、人力駆動力Hを推定するために用いられる周期を有する波形を定義できる。定義された波形に基づいて、予め定めるクランク12の回転角度以外の回転角度における人力駆動力Hを推定できる。人力駆動力Hを推定するために用いられる周期を有する波形は、例えば、クランク12の回転角度に関する関係式として定義される。
Y=A{sin(2θ−π/2)+1}・・・・(1)
A=Y/{sin(2θ−π/2)+1}・・・・(2)
制御部62は、ステップS12において、検出部72から実測データを受信し、ステップS13に移る。制御部62は、ステップS13において、ステップS12において受信される実測データに基づいて予め定める角度範囲ARの人力駆動力Hを算出し、人力駆動力Hに基づいて目標の出力トルクを算出して、ステップS14に移る。
制御部62は、ステップS14において、クランク角度センサ70の検出結果に応じて、クランク12の回転角度が予め定める角度範囲AR外であるか否かを判定する。制御部62は、クランク12の回転角度が予め定める角度範囲AR外であると判定すると、ステップS15に移り、クランク12の回転角度が予め定める角度範囲ARであると判定すると、ステップS12に移る。
平地を走る人力駆動車10では、たとえば図7(A)に示されるように、人力駆動力Hは、クランク12の回転角度が0°、180°のとき、最小となり、90°、270°のとき最大となる。本実施形態では、人力駆動力Hの最小値をゼロ(0)として説明する。本実施形態では、クランク12の回転角度が90°と270°であるときに、検出部72によって人力駆動力Hを検出する。制御部62は、関係式の(1)式および(2)式と、クランク12の回転角度が90°と270°のときの人力駆動力Hとに基づいて、クランク軸12Aに加わる人力駆動力Hを推定する。図7(B)において、クランク12の回転角度が90°と270°であるときに、検出部72によって検出される人力駆動力Hを黒点で示す。制御部62によって推定される人力駆動力HEの波形は、人力駆動力Hの波形に類似する。制御部62は、検出部72によって検出される人力駆動力H、または、推定される人力駆動力HEと、予め定める比率XAとに基づいて、モータ32の出力トルクを決定する。図7に示されるように、クランク12の回転角度について、人力駆動力Hのピークとモータ32の出力トルクのピークとは一致する。このようにして、人力駆動力Hに応じた出力トルクがモータ32から出力される。
クランク12の回転角度が271°〜449°である第4の角度範囲の人力駆動力HEは、クランク12の回転角度が270°のときの人力駆動力Hに応じて決定される。クランク12の回転角度が270°のときの人力駆動力Hが、クランク12の回転角度が90°のときの人力駆動力Hよりも小さくなると、人力駆動力HEの振幅が小さくなるので、図8の2点鎖線に示されるように、第3の角度範囲における出力トルクの振幅T1と、第4の角度範囲における出力トルクの振幅T2とに段差が生じる。制御部62は、出力トルクが急に変化しないように、人力駆動力HEまたはモータ32の目標の出力トルクにフィルタ処理を行ってもよい。
制御部62は、クランク12の回転が停止すると、モータ32を停止させる。制御部62は、クランク12の回転の停止に伴ってモータ32を停止させる場合、クランク12の回転が停止した後に、モータ32の回転数が徐々に小さくなるようにモータ32を制御してもよい。
図6の制御部62のトルク算出処理は、たとえば、制御部62に電力が供給されると開始されてもよく、モータ32が人力駆動車10の推進をアシストしない非アシストモードから、モータ32が人力駆動車10の推進をアシストするアシストモードに制御モードが変更されると開始されてもよい。図6の制御部62のトルク算出処理は、たとえば、制御部62への電力の供給が停止されるか、アシストモードから、非シストモードに制御モードが変更されるまで、処理を繰り返し、制御部62への電力の供給が停止されるか、アシストモードから、非シストモードに制御モードが変更されると、終了する。
図9〜図13を参照して、第2実施形態に係る制御装置60を説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
制御装置60は、好ましくは、ペダル荷重センサ76をさらに含む。ペダル荷重センサ76は、搭乗者の搭乗状態を検出するために用いられる。ペダル荷重センサ76は、ペダル18またはクランク12に設けられる。ペダル荷重センサ76は、ペダル18に加わる荷重を検出する。
制御装置60は、好ましくは、着座荷重センサ78を含む。着座荷重センサ78は、着座状態を検出する。着座荷重センサ78は、サドル16Dに加わる荷重を検出する。着座荷重センサ78は、制御部62と有線または無線によって接続される。
制御装置60は、好ましくは、サドル位置センサ80を含む。サドル位置センサ80は、サドル16Dの高さを検出する。サドル位置センサ80は、制御部62と有線または無線によって接続される。
制御装置60は、好ましくは、周辺センサ82を含む。周辺センサ82は、ハンドルバー16Cまたはフレーム16に設けられる。周辺センサ82は、たとえばカメラを含み、周辺センサ82のカメラは、人力駆動車10の前方エリアを撮影する。周辺センサは、レーダを含んでいてもよい。周辺センサ82は、制御部62と有線または無線によって接続される。
制御装置60は、好ましくは、傾斜センサ84を含む。傾斜センサ84は、たとえばフレーム16に設けられる。傾斜センサ84は、ジャイロを含む。傾斜センサ84は、人力駆動車10の前後方向における傾斜角度、および人力駆動車10の左右方向の傾斜角度の少なくとも一方を検出する。傾斜センサ84は、制御部62と有線または無線によって接続される。
制御装置60は、好ましくは、風圧センサ86を含む。制御装置60は、好ましくは、風向きセンサをさらに含む。風圧センサ86は、風圧を検出する。例えば、風圧センサ86は、ハンドルバー16Cまたはフレーム16に設けられる。風圧センサ86は、制御部62と有線または無線によって接続される。
図14は、図7(B)に示す場合と比較して、予め定める角度範囲ARの数を増やした例を示す。例えば、クランク12の回転の1周期において、予め定める角度範囲ARの数が、2から8に変更される。これによって、制御部62によって推定される波形を、クランク12に加わる人力駆動力Hの波形により近づけることができる。
人力駆動車10の状態は、人力駆動車10の車速、クランク12の回転速度、人力駆動車10の加速度、クランク12の回転速度に対する駆動輪の回転速度の比率、人力駆動車10の傾斜の少なくとも1つを含む。
人力駆動車10の車速、クランク12の回転速度、人力駆動車10の加速度、クランク12の回転速度に対する駆動輪14の回転速度の比率、および、人力駆動車10の傾斜に応じて、クランク12に加わる人力駆動力Hの波形が変化する場合がある。このため、制御部62は、人力駆動車10の車速、クランク12の回転速度、人力駆動車10の加速度、クランク12の回転速度に対する駆動輪14の回転速度の比率、および、人力駆動車10の傾斜少なくとも1つに応じて、予め定める角度範囲ARの幅、位相、および、数の少なくとも1つを変更してもよい。
人力駆動車10の仕様の違いに応じて、クランク12に加わる人力駆動力Hの波形が変化する場合がある。このため、制御部62は、サドル16Dからクランク12のクランク軸12Aまでの長さ、人力駆動車10のフレームの形状、フレームの種類、および、ビンディングペダルの装着状態の少なくとも1つに応じて、予め定める角度範囲ARの幅、位相、および、数の少なくとも1つを変更してもよい。
制御部62は、ペダル荷重センサ76、クランク回転センサ66および着座荷重センサ78の少なくとも1つから出力される信号に基づいて、搭乗者の搭乗状態を判定する。ペダル荷重センサ76は、左右のペダル18、または、第1クランクアーム12Bおよび第2クランクアーム12Cのそれぞれに設けられることが好ましい。制御部62は、たとえば、着座荷重センサ78から出力される信号に基づいて、着座している状態を判定する。制御部62は、たとえば、着座荷重センサ78およびクランク回転センサ66からの出力される信号に基づいて、立ち漕ぎ状態を判定する。制御部62は、たとえば、左右のペダル18の荷重の差または、第1クランクアーム12Bおよび第2クランクアーム12Cの荷重の差に基づいて、一方にペダル18にのみ荷重がかかっている状態を判定する。
搭乗者の搭乗状態の違いに応じて、クランク12に加わる人力駆動力Hの波形が変化する場合がある。このため、制御部62は、サドル16Dに着座している状態、立ち漕ぎ状態、および、ペダル18の一方にのみ荷重をかけて走行している状態の少なくとも1つに基づいて、予め定める角度範囲ARの幅、位相、および、数の少なくとも1つを変更してもよい。検出部72によって、ペダル18に加わる荷重を検出できる場合、ペダル荷重センサ76は省略し、制御部62は、検出部72から出力される信号に基づいて、搭乗者の搭乗状態を判定してもよい。
制御部62は、サドル16Dの位置およびクランク軸12Aの間の長さと、脚の長さとの差または比に基づいて、予め定める角度範囲ARの位相を変更してもよい。脚の長さが、サドル16Dの位置とクランク軸12Aとの間の長さよりも長く、かつ、その差が規定値よりも大きい場合、クランク12の回転角度が90°において脚の曲がりが大きくなり、クランク12に加わる人力の最大になるクランク12の回転角度は、90°よりも大きくなる。制御部62は、脚の長さが、サドル16Dの位置とクランク軸12Aとの間の長さよりも長く、かつ、その差が規定値よりも大きい場合、予め定める角度範囲ARの位相をクランク12の回転方向の下流側にシフトする。
走行路の種類は、舗装道路および非舗装道路を含む。走行路の傾斜は、平坦、上り坂、急な上り坂、下り坂、および急な下り坂を含む。走行路の形状は、急なカーブ、緩やかなカーブ、折れ曲がり、および、直線を含む。制御部62は、たとえば、走行路の種類が非舗装道路であること、走行路の傾斜が平坦以外であること、および、走行路の形状が直線以外であること、の少なくとも1つが成立する場合に、予め定める角度範囲ARの幅および数の少なくとも一方を増加させてもよい。
第3実施形態に係る制御装置60を説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
制御部62は、クランク12の回転角度が予め定める角度範囲ARにある場合に得られる人力駆動力Hに応じて、クランク12の回転角度が予め定める角度範囲AR外にある場合においてモータ32を制御する。加えて、制御部62は、人力駆動車10の状態、人力駆動車10の仕様、人力駆動車10の搭乗者の搭乗状態、人力駆動車10の搭乗者の身体的特徴、および、人力駆動車10の走行環境の少なくとも1つに応じて、予め定める角度範囲ARの幅、位相、および、数の少なくとも1つを変更する。
各実施形態において、制御部62は、次の構成を含んでもよい。
制御部62は、クランク12にビンディングペダルが装着されている場合、クランク12にビンディングペダルが装着されていない場合よりも、モータ32の出力トルクの最大値および最小値との差が小さくなるように、モータ32を制御する。ビンディングペダルは、クリップレスペダル、または、クリップインペダルともいう。
図15に示されるように、制御部62は、さらに、Yの平均値が増大するようにする(1)式を変形し、(3)式を得る。
Y=A{sin(2θ−π/2)+1}+B・・・・(3)
(3)式は、(1)式の右辺に定数項Bを加えた式である。図15には、(1)式に対応する波形を2点鎖線で示し、(3)式に対応する波形を実線で示している。(3)式を用いて、人力駆動力HEを推定することによって、人力駆動車10にビンディングペダルが装着されている場合に、モータ32によって適切なアシスト力を付与できる。(3)式は、たとえば記憶部64に登録されている。制御部62は、ビンディングペダルの装着状態に関する信号に基づいて、人力駆動力HEを推定に使用する関係式を(1)式から(3)式に変更する。ビンディングペダルの装着状態に関する信号は、たとえば、入力装置40を用いて制御部62に与えられる。
各実施形態において、さらに、制御部62は、次の構成を含んでもよい。
制御部62は、人力駆動力Hの最大値が所定値以上の場合、人力駆動力Hの最大値が所定値未満の場合よりも、モータ32の出力トルクの最大値および最小値との差が小さくなるように、モータ32を制御する。
例えば、制御部62は、人力駆動力Hの最大値が所定値以上の場合に、モータ32に適切なアシスト力を出力させるために関係式の(1)式を調整し、調整された式を用いてモータ32を制御するための目標の出力トルクを算出する。制御部62は、人力駆動力Hの推定に用いられる関係式の(1)式を、Yの最大値と最小値との差が適切な値となるように変形する。例えば、制御部62は、Yの最大値が変化しないで、Yの最小値が大きくなるように(1)式を変形する。(1)式と(2)式とを含んで第1関係式とし、(1)式から変形して得られる変形式と、(2)式とを含んで第2関係式とする。人力駆動力Hの最大値が所定値以上である場合にはモータ32の脈動が大きくなりやすいが、本実施形態ではモータ32の脈動を抑制できる。
各実施形態において、さらに、制御部62は、次の構成を含んでもよい。
制御部62は、人力駆動車10の走行抵抗が増加する場合、モータ32の出力トルクの最大値および最小値との差が小さくなるように、モータ32を制御する。また、制御部62は、人力駆動車10の走行抵抗が減少する場合、モータ32の出力トルクの最大値および最小値との差が大きくなるように、モータ32を制御する。
走行抵抗=CdS(V−Va)2+μmg+μgsinθ+mVx・・・(4)
CdS(V−Va)2は、空気抵抗を表す。
μmgは、転がり抵抗を表す。
μgsinθは、勾配抵抗を表す。
mVxは、加速抵抗を表す。
「g」は重力加速度を意味する。重力加速度に関する情報は、たとえば記憶部64に予め記憶されている。
「m」は、質量を意味する。ここでは、「m」は、人力駆動車10の質量と搭乗者の体重と荷物との総質量を意味する。質量に関する情報は、たとえば、記憶部64に予め記憶されていてもよく、入力装置40によって記憶部64に記憶または設定されてもよい。
「CdS」は、前方投影面積、空気密度、および人力駆動車10の形状から決まる空気抵抗係数を意味する。空気抵抗係数に関する情報は、たとえば記憶部64に予め記憶されている。
「μ」は、転がり摩擦係数を意味する。転がり摩擦係数に関する情報は、たとえば記憶部64に予め記憶されている。
「θ」は、傾斜角度を意味する。
「Va」は、風速を意味する。好ましくは、制御装置60は、たとえば風速センサをさらに含む。風速センサは、制御部62に接続される。
「V」は、車速を意味する。
「Vx」は、加速度を意味する。制御装置60は、たとえば加速度センサをさらに含む。車速センサ68によって検出される車速から制御部62が加速度を算出してもよい。
本実施形態では、走行抵抗には、空気抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗および加速抵抗が含まれているが、走行抵抗には、空気抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗および加速抵抗のうちの少なくとも1つのみが含まれていてもよく、任意の2つまたは3つのみが含まれていてもよい。
・各実施形態において、制御部62は、クランク12が予め定める角度範囲ARにおいて検出部72から実測データを受信するように検出部72に電力を供給して検出部72を起動させ、クランク12が予め定める角度範囲AR外になると、検出部72への電力の供給を停止して、検出部72を停止させるようにしてもよい。これによって、電力の消費を低減することができる。制御部62は、クランク12が予め定める角度範囲ARになるとたとえばクランク12に設けられる磁石の磁力に応じて状態が変化するスイッチを含み、制御プログラムを必要としないで、検出部72への電力の供給を開始および停止する構成としてもよい。
・第2実施形態において、入力装置40、ペダル荷重センサ76、着座荷重センサ78、サドル位置センサ80、周辺センサ82、傾斜センサ84、および、風圧センサ86のうちの少なくとも1つを除く構成は、省略することができる。たとえば、第2実施形態において、入力装置40、ペダル荷重センサ76、着座荷重センサ78、サドル位置センサ80、周辺センサ82、傾斜センサ84、および、風圧センサ86のうちの任意の1つ、任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ、任意の5つ、任意の6つの構成を省略してもよい。
Claims (24)
- クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含む人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車は、ペダル、および、前記モータの回転力が伝達される出力部を有し、
前記クランクは、クランク軸、第1クランクアーム、および、第2クランクアームを含み、
前記制御部は、
前記クランクの回転角度が前記クランクの回転方向に相互に離間している複数の予め定める角度範囲にある場合に得られる前記人力駆動力に応じて、前記クランクの回転角度が前記複数の予め定める角度範囲外にある場合において、出力トルクが変化するように前記モータを制御し、
前記人力駆動力は、前記出力部、前記第1クランクアームおよび前記第2クランクアームの少なくとも一方、前記ペダル、または、搭乗者の靴底に設けられる検出部によって検出される、人力駆動車用制御装置。 - クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含む人力駆動車用制御装置であって、
前記制御部は、
前記クランクの回転角度が前記クランクの回転方向に相互に離間している複数の予め定める角度範囲にある場合に得られる前記人力駆動力に応じて、前記クランクの回転角度が前記複数の予め定める角度範囲外にある場合において、出力トルクが変化するように前記モータを制御し、
前記複数の予め定める角度範囲の幅、位相、および、数の少なくとも1つは変更可能である、人力駆動車用制御装置。 - 前記クランクは、第1クランクアームおよび前記第1クランクアームとは回転位相が180度異なる第2クランクアームを含み、
前記複数の予め定める角度範囲は、第1の角度範囲および第2の角度範囲を含み、
前記第1の角度範囲は、前記クランクが第1方向に回転する場合において、前記第1クランクアームが上死点から下死点に移動する範囲に設けられ、
前記第2の角度範囲は、前記クランクが第1方向に回転する場合において、前記第2クランクアームが上死点から下死点に移動する範囲に設けられる
請求項1または2に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記第1の角度範囲は、前記クランクが第1方向に回転する場合において、前記第1クランクアームが上死点から90°回転した角度を含み、
前記第2の角度範囲は、前記クランクが第1方向に回転する場合において、前記第2クランクアームが上死点から90°回転した角度を含む
請求項3に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記複数の予め定める角度範囲のうちの少なくとも1つの予め定める角度範囲の位相は、変更可能である
請求項1から4のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記制御部は、前記人力駆動車の状態、前記人力駆動車の仕様、前記人力駆動車の搭乗者の搭乗状態、前記人力駆動車の搭乗者の身体的特徴、および、前記人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに応じて、前記複数の予め定める角度範囲の幅、位相、および、数の少なくとも1つを変更する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - クランクを有する人力駆動車の推進をアシストするモータを、前記クランクに入力される人力駆動力に応じて制御する制御部を含む人力駆動車用制御装置であって、
前記制御部は、
前記クランクの回転角度が予め定める角度範囲にある場合に得られる前記人力駆動力に応じて、前記クランクの回転角度が予め定める角度範囲外にある場合において前記モータを制御し、
前記人力駆動車の状態、前記人力駆動車の仕様、前記人力駆動車の搭乗者の搭乗状態、前記人力駆動車の搭乗者の身体的特徴、および、前記人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに応じて、前記予め定める角度範囲の幅、位相、および、数の少なくとも1つを変更する人力駆動車用制御装置。 - 前記人力駆動車の状態は、前記人力駆動車の車速、前記クランクの回転速度、前記人力駆動車の加速度、前記クランクの回転速度に対する駆動輪の回転速度の比率、前記人力駆動車の傾斜の少なくとも1つを含む
請求項6または7に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記人力駆動車の仕様は、サドルから前記クランクのクランク軸までの長さ、前記人力駆動車のフレームの形状、前記フレームの種類、および、ビンディングペダルの装着状態の少なくとも1つを含む
請求項6から8のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記人力駆動車の搭乗者の搭乗状態は、サドルに着座している状態、立ち漕ぎ状態、および、ペダルの一方にのみ荷重をかけて走行している状態の少なくとも1つ、を含む
請求項6から9のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記人力駆動車の搭乗者の搭乗状態は、サドルに加わる荷重の状態を含む、
請求項6から10のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記人力駆動車の搭乗者の身体的特徴は、脚の長さを含む
請求項6から11のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記人力駆動車の走行環境は、走行路の種類、走行路の傾斜、走行路の形状、風速、および風向きの少なくとも1つを含む
請求項6から12のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記制御部は、操作装置が操作されることによって、前記人力駆動車の仕様、および、前記人力駆動車の搭乗者の身体的特徴の少なくとも1つを取得する、
請求項6から13のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記制御部は、前記クランクにビンディングペダルが装着されている場合、前記クランクにビンディングペダルが装着されていない場合よりも、前記モータの出力トルクの最大値および最小値との差が小さくなるように、前記モータを制御する
請求項1から14のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記制御部は、前記人力駆動力の最大値が所定値以上の場合、前記人力駆動力の最大値が前記所定値未満の場合よりも、前記モータの出力トルクの最大値および最小値との差が小さくなるように、前記モータを制御する
請求項1から15のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記制御部は、前記人力駆動車の走行抵抗が増加する場合、前記モータの出力トルクの最大値および最小値との差が小さくなるように、前記モータを制御する
請求項1から16のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記制御部は、前記人力駆動車の走行抵抗が減少する場合、前記モータの出力トルクの最大値および最小値との差が大きくなるように、前記モータを制御する
請求項1から17のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記制御部は、周期的な振幅を有する波形の一部を用いて、前記クランクの回転角度が前記予め定める角度範囲外の場合における前記人力駆動力を推定する
請求項1から18のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記人力駆動力を検出する検出部を含み、
前記制御部は、前記クランクが前記予め定める角度範囲のときだけ人力駆動力に関する信号を前記検出部から取得する
請求項1から19のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。 - 前記検出部は、前記人力駆動力に関する信号を無線で前記制御部に送信する
請求項20に記載の人力駆動車用制御装置。 - クランクに入力される人力駆動力を推定する制御部を含む人力駆動車用制御装置であって、
人力駆動車は、ペダルを有し、
前記クランクは、クランク軸、第1クランクアーム、および、第2クランクアームを含み、
前記制御部は、
前記クランクの回転角度が前記クランクの回転方向に相互に離間している複数の予め定める角度範囲にある場合に得られる前記人力駆動力に応じて、前記クランクの回転角度が前記複数の予め定める角度範囲外の場合における前記人力駆動力を推定し、
前記人力駆動力は、前記第1クランクアームおよび前記第2クランクアームの少なくとも一方、前記ペダル、または、搭乗者の靴底に設けられる検出部によって検出される、人力駆動車用制御装置。 - クランクに入力される人力駆動力を推定する制御部を含む人力駆動車用制御装置であって、
前記制御部は、前記クランクの回転角度が前記クランクの回転方向に相互に離間している複数の予め定める角度範囲にある場合に得られる前記人力駆動力に応じて、前記クランクの回転角度が前記複数の予め定める角度範囲外の場合における前記人力駆動力を推定し、
前記複数の予め定める角度範囲の幅、位相、および、数の少なくとも1つは変更可能である、人力駆動車用制御装置。 - クランクに入力される人力駆動力を推定する制御部を含む人力駆動車用制御装置であって、
前記制御部は、
前記クランクの回転角度が予め定める角度範囲にある場合おける前記人力駆動力に応じて、前記クランクの回転角度が予め定める角度範囲外における前記人力駆動力を推定し、
人力駆動車の状態、前記人力駆動車の仕様、前記人力駆動車の搭乗者の搭乗状態、前記人力駆動車の搭乗者の身体的特徴、および、前記人力駆動車の走行環境の少なくとも1つに応じて、前記予め定める角度範囲の幅、位相、および、数の少なくとも1つを変更する、人力駆動車用制御装置。
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