本発明の一実施の形態に係る車体構造の代表的な構成は、車両前後方向に延びる部材であり車幅方向に離間して配置される一対のサイドフレームを備える車体構造において、車体構造はさらに、一対のサイドフレームの各々の車幅方向外側の側壁に配置され側壁から車幅方向外側に突出している箱部材を備え、箱部材は、上壁と、下壁と、上壁と下壁とをつなぐ補強部材とを含み、上壁は、車幅方向に延びていて車両前後方向に離間して形成される一対の第1ビードを有し、下壁は、車幅方向に延びていて車両前後方向に離間して形成される一対の第2ビードを有し、補強部材は、車両前後方向に離間していて上壁と下壁とをつなぐ一対の縦壁と、一対の縦壁の間で互いに接近しながら下降するように傾斜して延び上壁から下壁に到達する一対の傾斜壁とを有し、一対の第1ビードおよび一対の第2ビードは、一対の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置していることを特徴とする。
上記構成によれば、箱部材の補強部材は、一対の縦壁と、一対の縦壁の間で傾斜した一対の傾斜壁とを有している。一例として、一対の縦壁と一対の傾斜壁とが上壁で互いに接合され、一対の傾斜壁同士が下壁で接合されていると、補強部材は、側方から見るとM字状の連続した部材となる。また他の例として、補強部材は、一対の天壁と、底壁とをさらに有してもよい。この場合には、一対の天壁を、一対の縦壁から上壁に沿って互いに接近するように延びて一対の縦壁と一対の傾斜壁とをつなぐように形成し、さらに底壁を下壁に沿って一対の傾斜壁同士をつなぐように形成してもよい。このようにすれば、補強部材は、側方から見るとほぼM字状の連続した部材となる。さらに他の例として、補強部材は、一対の縦壁と一対の傾斜壁とを互いに離間した状態で上壁にそれぞれ接合し、さらに一対の傾斜壁同士も互いに離間した状態で下壁にそれぞれ接合してもよい。このような場合、一対の縦壁と一対の傾斜壁とは互いに接合されず、一対の傾斜壁同士も接合されていない状態となる。このため、補強部材は、連続していない4つの部材すなわち一対の縦壁および一対の傾斜壁からなり、側方から見ると、結果的にほぼM字状を成すことになる。
このように、箱部材は、上壁と、下壁と、上壁と下壁とを一対の縦壁および一対の傾斜壁でつなぐ補強部材とを含み、これらによって箱形状が形成されているので、剛性を高めることができる。これにより、箱部材は、側突時に荷重を受けた場合であっても荷重に抗して箱形状を維持できる。
また上壁の一対の第1ビードが一対の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置しているので、上壁のうち一対の傾斜壁の車両前後方向の範囲内における剛性を高めることができる。さらに下壁の一対の第2ビードが一対の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置しているので、下壁のうち一対の傾斜壁の車両前後方向の範囲内の剛性を高めることができる。これにより、箱部材は、側突時に上壁と下壁とを接近させ押し潰すような荷重を受けた場合であっても荷重に抗して箱形状を維持できる。したがって上記構成によれば、サイドフレームの車幅方向外側の側壁に配置された箱部材の剛性を高めて、側突時での箱部材の変形を抑制できる。
本発明の一実施の形態に係る車体構造の他の代表的な構成は、車両前後方向に延びる部材であり車幅方向に離間して配置される一対のサイドフレームを備える車体構造において、車体構造はさらに、一対のサイドフレームの各々の車幅方向外側の側壁に配置され側壁から車幅方向外側に突出している箱部材と、一対のサイドフレームの各々をその内部から補強するバルクヘッドとを備え、箱部材は、上壁と、下壁と、上壁と下壁とをつなぐ補強部材とを含み、補強部材は、車両前後方向に離間していて上壁と下壁とをつなぐ一対の縦壁と、一対の縦壁の間で互いに接近しながら下降するように傾斜して延び上壁から下壁に到達する一対の傾斜壁とを有し、バルクヘッドは、一対の傾斜壁のうちいずれか一方の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置していることを特徴とする。
上記構成によれば、箱部材は、上壁と、下壁と、上壁と下壁とを一対の縦壁および一対の傾斜壁でつなぐ補強部材とを含み、これらによって箱形状が形成されているので、剛性を高めることができる。これにより、箱部材は、側突時に荷重を受けた場合であっても荷重に抗して箱形状を維持できる。なお補強部材は、上記したように、側方から見て、一対の縦壁および一対の傾斜壁が連続したM字状を成す部材であってもよく、また、一対の天壁および底壁をさらに有することで連続したほぼM字状を成す部材であってもよい。さらに補強部材は、上記したように、連続していない4つの部材すなわち一対の縦壁および一対の傾斜壁からなり、側方から見て、結果的にほぼM字状を成す部材であってもよい。
また上記構成では、サイドフレームをその内部から補強するバルクヘッドが、一対の傾斜壁のうちいずれか一方の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置している。このため、側突時に箱部材の後ろ盾となるサイドフレームは、バルクヘッドを中心として、補強部材のうち上壁と下壁との間を車両前後に斜めに差し渡された傾斜壁を支えることができる。したがって、サイドフレームは、補強部材に加え上壁および下壁を含めた箱部材を前後にわたって十分に支えることができる。したがって上記構成によれば、サイドフレームの車幅方向外側の側壁に配置された箱部材の剛性を高めて、側突時での箱部材の変形を抑制しつつ、側突時に箱部材の後ろ盾となるサイドフレーム自体の変形も抑制でき、箱部材を確実に支えることができる。
上記の上壁は、車幅方向に延びる第1ビードを有し、下壁は、車幅方向に延びる第2ビードを有し、バルクヘッド、第1ビードおよび第2ビードの車両前後方向の位置は、互いに等しいとよい。
これにより、箱部材では、第1ビードによって上壁の剛性が高められ、第2ビードによって下壁の剛性が高められている。さらにバルクヘッド、第1ビードおよび第2ビードの車両前後方向の位置が互いに等しくなっているので、サイドフレームは、剛性が高められた箱部材の上壁、下壁さらには補強部材を、バルクヘッドを中心として確実に支えることができる。
上記の車体構造はさらに、一対のサイドフレーム間に差し渡されたクロスメンバを備え、クロスメンバのサイドフレームへの取付箇所の車両前後方向の位置は、箱部材の一対の傾斜壁のうちいずれか一方の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置するとよい。
このように、クロスメンバをサイドフレームに取付ける取付箇所の車両前後方向の位置を、箱部材の一対の傾斜壁のうちいずれか一方の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置させることで、側突時にクロスメンバが後ろ盾となって箱部材を支えることができる。これにより、側突時にサイドフレームに加えクロスメンバによっても箱部材を確実に支えることができる。また箱部材の後ろ盾となるサイドフレームは、クロスメンバによって支えられることで、側突時の変形を抑制できる。
上記の車体構造はさらに、一対のサイドフレームの各々の下側に配置されたサスペンションブラケットを備え、サスペンションブラケットは、箱部材の一対の傾斜壁のうちいずれか一方の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置するとよい。
ここで、サスペンションブラケットは、後輪を懸架するブラケットであり、高い剛性でサイドフレームに固定されている。したがって上記構成によれば、側突時に箱部材の後ろ盾となるサイドフレームは、サスペンションブラケットによって支えられることで、側突時の変形を抑制できる。またサスペンションブラケットが箱部材の一対の傾斜壁のうちいずれか一方の傾斜壁の車両前後方向の範囲内に位置することで、サイドフレームに加えサスペンションブラケットによっても箱部材を確実に支えることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施例に係る車体構造100および車体構造100に配置されるキャビン102を概略的に示す図である。図中では車体構造100およびキャビン102を斜め下方から見た状態を示している。図2は、図1の車体構造100を上方から見た状態を示す図である。図3は、図2の車体構造100を下方から見た状態の一部を示す図である。図4は、図2の車体構造100のB矢視図である。図5は、図1の車体構造100のA−A断面を模式的に示す図である。以下、各図に示す矢印X、Yは車両前側、車両右側をそれぞれ示している。
図1に示すように、車体構造100は、車幅方向に離間して配置される一対のサイドフレーム104、106と、一対のサイドフレーム104、106間に差し渡された複数のクロスメンバ108a〜108iとを備えている。車体構造100は、これらの部材によって図示のような枠状のフレーム構造を形成している。また車体構造100は、図示のようにフレーム構造の上方にキャビン102を配置するような形式の車両に適用可能である。
キャビン102は、一対のサイドシル110、112を備える。一対のサイドシル110、112は、フロアパネル114の側縁に沿って車両前後方向に延びる部材であって、一対のサイドフレーム104、106から車幅方向外側にそれぞれ離間している(図5参照)。
車体構造100はさらに、剛性の高い一対の箱部材116、118を備える。箱部材116は、図5に示すように、サイドフレーム104の車幅方向外側の側壁120に配置されている。箱部材116は、側壁120とサイドシル110との間に位置し側壁120から車幅方向外側に突出している。なお箱部材116は、側壁120から車幅方向外側に寸法Laだけ突出することで、サイドシル110との間隙を寸法Laよりも小さい寸法Lbとして、サイドシル110に十分に接近している。一方、箱部材118は、サイドフレーム106の車幅方向の側壁122(図2参照)に配置され、側壁122から車幅方向外側に突出して、図1に示すサイドシル112に接近している。
図2に示すようにサイドフレーム104、106は、車両前後方向に延びていて、互いに対称な形状を有している。またサイドフレーム104、106は、矩形状の閉断面124(図5参照)を有する部材である。
さらにサイドフレーム104、106の各々には、図2に示すように末広がり部126、128、平行部130、132および変曲部134、136が形成されている。末広がり部126、128は、車両後方にゆくほど車幅方向外側に向かう部位である。平行部130、132は、末広がり部126、128の後側に位置し互いに対して平行に延びる部位である。変曲部134、136は、末広がり部126、128と平行部130、132との境界となる部位である。
つまりサイドフレーム104、106は、図2に示すように、末広がり部126、128において車両後方にゆくほど車幅方向の間隔が大きくなり、変曲部134、136を経た平行部130、132において互いに平行な状態となる。このため、サイドフレーム104、106の変曲部134、136は、車幅方向外側に凸形状となっていて、側突に伴う荷重を受けると、自身の形状を保つべく荷重に抗する反発力を生じる剛性の高い部位となっている。ここで側突としては、一例として、車両前後方向に対して約75度の角度Rで車幅方向外側の斜め前方から図中点線で示すポール138(電柱)が衝突する場合を想定している。図中には、このような側突により箱部材116が入力荷重(矢印D参照)を受ける状況を例示している。
箱部材116、118は、このような剛性の高い変曲部134、136を跨いでサイドフレーム104、106の車幅方向外側の側壁120、122に配置され、側壁120、122から車幅方向外側に突出している。このため、箱部材116、118は、側突時の荷重を受けた場合、サイドフレーム104、106の変曲部134、136によって支えられることになる。
図2に示すように、クロスメンバ108a〜108iのうち、車両前側から4番目・5番目には、クロスメンバ108d、クロスメンバ108eが位置している。クロスメンバ108dは、車幅方向両端部が車幅方向中央部よりも車両前側に位置するように屈曲していて、車幅方向両端部がブラケット140a、140bを介してサイドフレーム104、106にそれぞれ接合されている。
クロスメンバ108eは、クロスメンバ108dよりも車両後側で一対のサイドフレーム104、106に差し渡されていて、車幅方向両端部が車幅方向中央部よりも車両後側に位置するように屈曲している。クロスメンバ108eは、車幅方向両端部がブラケット142a、142bを介してサイドフレーム104、106にそれぞれ接合されている。このため、一対のサイドフレーム104、106の各々のクロスメンバ108eの取付箇所は、ブラケット142a、142bの位置に対応している。
ブラケット142a、142bは、クロスメンバ108eに平行な一辺144a、144bと、サイドフレーム104、106に平行な一辺146a、146bと、クロスメンバ108eに交差する一辺148a、148bとを少なくとも含む。このため、ブラケット142a、142bは、図2に示すように多角形状(ここでは三角形状)となっているが、これに限定されない。一例としてブラケット142a、142bは、一辺148a、148bの一部を屈曲させて、辺144a、144bや辺146a、146bのいずれかと平行として台形状を成してもよい。
このように、ブラケット142a、142bを三角形状または台形状などの多角形状とすることで、クロスメンバ108eをサイドフレーム104、106に高い剛性で取付けることができる。またクロスメンバ108d、108eは、図示のように、互いの車幅方向中央部が接合部材150で接合され、平面視でX字状に形成されている。
図6に示すように、ブラケット142aは、側方から見て箱部材116の少なくとも前端部152に重なっている。左右対称であるため図示省略するがブラケット142bと箱部材118の前端部154との関係も同様である。また図3に示すサイドフレーム104、106の各々の下側には、サスペンションブラケット156、158が配置されている。サスペンションブラケット156、158は、後輪(不図示)を懸架するブラケットであり、高い剛性でサイドフレーム104、106にそれぞれ固定されている。サスペンションブラケット156、158は、側方から見て、箱部材116、118の少なくとも後端部160、162に重なっている(図6参照)。
またサイドフレーム106の車幅方向内側の側壁164には、マウントブラケット166が取付けられている。マウントブラケット166は、不図示の駆動系部品(例えばデファレンシャルギヤ)が搭載されるブラケットであり、高い剛性でサイドフレーム106に固定されている。マウントブラケット166は、図示のように側方から見て箱部材118に重なっている。なお駆動系部品は、マウントブラケット166に加え、クロスメンバ108eとサイドフレーム106との間に斜めに差し渡された他のマウントブラケット168も用いることで配置される。
以下図4および図6を参照して、サイドフレーム104の内部、箱部材116の内部およびその周辺の構成について主に説明する。ただしサイドフレーム106の内部、箱部材118の内部およびその周辺も同様の構成および機能などを有する。
箱部材116は、図4(a)に示すように、サイドフレーム104の末広がり部126と平行部130との境界となる車幅方向外側に凸形状の変曲部134を跨いで、サイドフレーム104の車幅方向外側の側壁120に配置されている。そして箱部材116は、サイドフレーム104の側壁120から車幅方向外側に突出している。
サイドフレーム104は、車外側に位置し側壁120を形成するアウタ部材170と、車内側に位置するインナ部材172とを有し、これらの部材が接合することで矩形状の閉断面124(図5参照)を形成している。
図4(b)は、図4(a)のサイドフレーム104のアウタ部材170およびインナ部材172、箱部材116などを省略し、サイドフレーム104の内部を示している。
サイドフレーム104の内部には、図4(b)に示すように、上側部材174、下側部材176およびバルクヘッド178が配置されている。上側部材174および下側部材176は、サイドフレーム104の末広がり部126から変曲部134を経た平行部130にわたって、インナ部材172に配置されている(図5参照)。また下側部材176は、上側部材174から離間して配置されている。
さらに上側部材174、下側部材176は、図5に示すように、インナ部材172の上側角部180、下側角部182に配置され、上側角部180、下側角部182とともに閉断面をそれぞれ形成している。このようにして、上側部材174および下側部材176は、サイドフレーム104をその内部から補強している。
バルクヘッド178は、図4(b)に示すように、サイドフレーム104の変曲部134の内部に配置されていて、変曲部134をその内部から補強している。バルクヘッド178は、プレート状の本体部184と、本体部184から延びる複数のフランジ185a〜185dとを有する。なお本体部184は、サイドフレーム104の矩形状の閉断面124に正対している。
フランジ185a〜185dは、図4(b)に示すようにサイドフレーム104の変曲部134の内部で、車両上側、車両下側、車外側および車内側に向かって延び、変曲部134を形成するアウタ部材170やインナ部材172にそれぞれ接合されている。このようにして、バルクヘッド178は、変曲部134の内部に確実に接合される。
図6は、図2の車体構造のC−C断面を示す図である。図中では、箱部材116の内部に加え、箱部材116よりも車幅方向内側に配置された各部材を鎖線で模式的に示している。
箱部材116は、図6に示すように上壁186と、下壁187と、上壁186と下壁187とをつなぐ補強部材188とを含み、側突時の荷重を受けても潰れ難い剛性の高い構造体となっている。上壁186には、一対の第1ビード190a、190bが形成されている。第1ビード190a、190bは、車幅方向に延びていて車両前後方向に離間して形成されている(図4(a)参照)。下壁187には、一対の第2ビード192a、192bが形成されている。第2ビード192a、192bは、車幅方向に延びていて車両前後方向に離間して形成されている(図3参照)。さらに第1ビード190a、190bおよび第2ビード192a、192bは、図6に示すように、その車両前後方向の位置が等しくなっている。
補強部材188は、一対の縦壁194a、194bと、一対の天壁196a、196bと、一対の傾斜壁198a、198bと、底壁199とを有する。縦壁194a、194bは、車両前後方向に離間していて上壁186と下壁187とをつないでいる。天壁196a、196bは、一対の縦壁194a、194bから上壁186に沿って互いに接近するように延びている。傾斜壁198a、198bは、一対の天壁196a、196bからさらに互いに接近しながら下降するように傾斜して延びていて、下壁187に到達している。底壁199は、下壁187に沿って一対の傾斜壁198a、198b同士をつないでいる。このように、補強部材188は、一対の縦壁194a、194b、一対の天壁196a、196b、一対の傾斜壁198a、198bおよび底壁199を有することで、側方から見て、ほぼM字状の連続した部材となっている。
第1ビード190a、190bおよび第2ビード192a、192bは、図示のように、傾斜壁198a、198bの車両前後方向の範囲内に位置している。さらに第2ビード192a、192bは、底壁199の車両前後方向の範囲外に位置している。また、バルクヘッド178の本体部184は、傾斜壁198aの車両前後方向の範囲内に位置している。さらに、バルクヘッド178の本体部184、第1ビード190aおよび第2ビード192aは、その車両前後方向の位置が互いに等しくなっている。
またクロスメンバ108eのサイドフレーム104への取付箇所に対応するブラケット142aは、その車両前後方向の位置が傾斜壁198aの車両前後方向の範囲内に位置している。さらにサスペンションブラケット156は、傾斜壁198bの車両前後方向の範囲内に位置している。
ここで側突時、特に図2に示すように車幅方向外側の斜め前方からポール138がサイドシル110に衝突して、箱部材116に荷重が入力された場合について説明する。箱部材116に入力された入力荷重(矢印D参照)は、箱部材116を車幅方向内側で支えるサイドフレーム104のうち剛性の高い変曲部134に伝達される。
サイドフレーム104の変曲部134に伝達された荷重の一部は、箱部材116の少なくとも前端部152に重なったブラケット142aを介してクロスメンバ108eに分散され、車幅方向中央部に向けて斜め前方に伝達される(矢印E参照)。クロスメンバ108eの車幅方向中央部に伝達された荷重は、接合部材150を介してさらに斜め前方に延びるクロスメンバ108dに伝達される(矢印F参照)。クロスメンバ108dに伝達された荷重は、サイドフレーム106の変曲部136よりも車両前方に位置するブラケット140bを介して、サイドフレーム106にまで分散される。なお図中矢印Gに示すように、サイドフレーム104の変曲部134に伝達された荷重は、クロスメンバ108d、108eだけでなく、クロスメンバ108fも介してサイドフレーム106に分散される。
本実施例にかかる車体構造100において、箱部材116、118は、サイドフレーム104、106の剛性の高い変曲部134、136を跨いで側壁120、122に配置されていて側壁120、122から車幅方向外側に突出している。このため箱部材116、118は、側突時の荷重を受けた場合、サイドフレーム104、106の剛性の高い変曲部134、136によって支えられる。さらに箱部材116、118は、側突時の荷重を受けても潰れ難い剛性の高い構造体となっている。このため、車体構造100によれば、側突を受けてもサイドフレーム104、106が車幅方向内側に変形し難くなり、側突時に箱部材116、118が車幅方向内側に移動してしまうことを防止できる。したがって、車体構造100の上方にキャビン102を配置するような形式の車両において、側突によりキャビン102が変形することを抑制できる。
また車体構造100では、図6に示すように、側方から見て箱部材116、118の後端部160、162に重なるようにサスペンションブラケット156、158を配置している。このため図3に示す側突時においては、サスペンションブラケット156は、箱部材116が荷重を受ける方向(矢印Dの方向)に位置することになる。したがって車体構造100によれば、側突時にサスペンションブラケット156、158が後ろ盾となって箱部材116、118を支えるため、サイドフレーム104、106の剛性をより高めることができる。
また車体構造100では、クロスメンバ108eのブラケット142a、142bを、側方から見て箱部材116、118の前端部152、154に重なるように配置している。このため、側突時には、ブラケット142a、142bが後ろ盾となって箱部材116、118を支えることができる。
図2に示すように、車体構造100では、クロスメンバ108d、108eを平面視でX字状に形成している。このため、箱部材116が受けた荷重をブラケット142aを介して斜め前方に延びるクロスメンバ108eに伝達させ、さらに斜め前方に延びるクロスメンバ108dまで伝達して分散できる。したがって車体構造100によれば、サイドフレーム104、106の剛性をより高めることができる。
図6に示すように、車体構造100では、サイドフレーム106の車幅方向内側の側壁164に取付けられたマウントブラケット166を、側方から見て箱部材118に重なるように配置している。このため、車体構造100では、側突時に剛性の高いマウントブラケット164が後ろ盾になって箱部材118を支えることができ、サイドフレーム106の剛性をより高めることができる。
さらに車体構造100では、サイドフレーム104、106をその内部から補強するバルクヘッド178を、側方から見て箱部材116、118に重なるように配置している。このため車体構造100によれば、側突時に箱部材116、118の後ろ盾となるサイドフレーム104、106自体の変形を抑制し、剛性をより高めることができる。
図6に示すように、本実施例にかかる車体構造100において、箱部材116は、上壁186と、下壁187と、M字状の補強部材188とを含み、これらによって箱形状が形成されているので、剛性を高めることができる。このため、箱部材116は、側突時に荷重を受けた場合であっても荷重に抗して箱形状を維持できる。
また箱部材116では、上壁186の一対の第1ビード190a、190bおよび下壁187の一対の第2ビード192a、192bが一対の傾斜壁198a、198bの車両前後方向の範囲内に位置している。このため箱部材116では、上壁186のうち一対の傾斜壁198a、198bの車両前後方向の範囲内および下壁187のうち一対の傾斜壁198a、198bの車両前後方向の範囲内における剛性を高めることができる。
さらに図6に示すように、箱部材116では、下壁187の一対の第2ビード192a、192bが底壁199の車両前後方向の範囲外に位置している。このため箱部材116では、下壁187のうち底壁199の車両前後方向の範囲外の剛性を高めることができる。
このようにして箱部材116は、側突時に上壁186と下壁187とを接近させ押し潰すような荷重を受けた場合であっても、荷重に抗して箱形状を維持できる。したがって車体構造100によれば、サイドフレーム104、106の側壁120、122に配置された箱部材116、118の剛性を高めて、側突時での箱部材116、118の変形を抑制できる。
また車体構造100では、バルクヘッド178を、傾斜壁198aの車両前後方向の範囲内に位置するように配置している。このため、側突時に箱部材116、118の後ろ盾となるサイドフレーム104、106は、バルクヘッド178を中心として、補強部材188のうち上壁186と下壁187との間を車両前後に斜めに差し渡された傾斜壁198aを支えることができる。つまり、サイドフレーム104、106は、補強部材188に加え上壁186および下壁187を含めた箱部材116、118を前後にわたって十分に支えることができる。
このため車体構造100によれば、サイドフレーム104、106の側壁120、122に配置された箱部材116、118の剛性を高めて、側突時での箱部材116、118の変形を抑制できる。さらに車体構造100では、側突時に箱部材の後ろ盾となるサイドフレーム104、106自体の変形も抑制でき、箱部材116、118を確実に支えることができる。
また箱部材116では、上壁186に一対の第1ビード190a、190bが形成され、下壁187に第2ビード192a、192bが形成されている。このため、箱部材116では、第1ビード190a、190bによって上壁186の剛性が高められ、第2ビード192a、192bによって下壁187の剛性が高められている。
さらに箱部材116では、バルクヘッド178、第1ビード190a、190bおよび第2ビード192a、192bの車両前後方向の位置が互いに等しくなっている。このため車体構造100では、剛性が高められた箱部材116、118の上壁186、下壁187さらには補強部材188を、サイドフレーム104、106がバルクヘッド178を中心として確実に支えることができる。
また車体構造100では、ブラケット142a、142bの車両前後方向の位置を、傾斜壁198aの車両前後方向の範囲内に位置させているので、側突時にクロスメンバ108eが後ろ盾となって箱部材116、118を支えることができる。このため、車体構造100では、側突時にサイドフレーム104、106に加えクロスメンバ108eによっても箱部材116、118を確実に支えることができる。さらに車体構造100では、箱部材116、118の後ろ盾となるサイドフレーム104、106がクロスメンバ108eによって支えられることで、側突時のサイドフレーム104、106の変形をより確実に抑制できる。
また車体構造100では、サスペンションブラケット156、158を、箱部材116、118の傾斜壁198a、198bの車両前後方向の範囲内に位置させている。このため車体構造100では、側突時に箱部材116、118の後ろ盾となるサイドフレーム104、106が、サスペンションブラケット156、158によって支えられることで、側突時のサイドフレーム104、106の変形を抑制できる。さらに車体構造100では、サイドフレーム104、106に加えサスペンションブラケット156、158によっても箱部材116、118を確実に支えることができる。
上記実施形態では、図6に示すように補強部材188は、一対の縦壁194a、194bと一対の傾斜壁198a、198bに加え、一対の天壁196a、196bと底壁199とをさらに有することで、側方から見てほぼM字状の連続した部材となっている。ただし、補強部材188は、箱部材116、118の上壁186と下壁187とをつないで、箱部材116、118の剛性を高めることが可能であれば、一対の天壁196a、196bおよび底壁199を有さない構成であってもよい。
一例として、補強部材188は、一対の縦壁194a、194bと、一対の縦壁194a、194bの間で傾斜した一対の傾斜壁198a、198bとを有してよい。この場合には、一対の縦壁194a、194bと一対の傾斜壁198a、198bとを上壁186で互いに接合し、一対の傾斜壁198a、198b同士を下壁187で接合すればよい。このようにすれば、補強部材188は、側方から見ると、一対の縦壁194a、194bおよび一対の傾斜壁198a、198bが連続したM字状を成す部材となる。
また他の例として、一対の縦壁194a、194bと一対の傾斜壁198a、198bとを互いに離間した状態で上壁186にそれぞれ接合し、さらに一対の傾斜壁198a、198b同士も互いに離間した状態で下壁187にそれぞれ接合してもよい。この場合には、一対の縦壁194a、194bと一対の傾斜壁198a、198bとは互いに接合されず、さらに一対の傾斜壁198a、198b同士も接合されていない状態となる。このようにすれば、補強部材188は、連続していない4つの部材すなわち一対の縦壁194a、194bおよび一対の傾斜壁198a、198bからなり、側方から見ると、結果的にほぼM字状を成すことになる。
これらの補強部材188はいずれも、箱部材116、118の上壁186と下壁187とを一対の縦壁194a、194bおよび一対の傾斜壁198a、198bでつなぐことが可能であるため、箱部材116、118の剛性を高めることができる。これにより、箱部材116、118は、側突時に荷重を受けた場合であっても荷重に抗して箱形状を維持できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。