以下、エレベータ及びガバナロープの振動抑制装置における一実施形態について、図1〜図10を参照しながら説明する。なお、各図(図11〜図22も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
図1に示すように、本実施形態に係るエレベータ1は、ユーザが乗るためのかご1aと、かご1aに接続されるかごロープ1bと、かごロープ1bに接続される釣合錘1cと、かご1a及び釣合錘1cを昇降させる巻上機1dとを備えている。巻上機1dは、かごロープ1bが巻き掛けられる綱車1eと、綱車1eを回転させる駆動源(図示していない)とを備えている。
また、エレベータ1は、かご1aを案内するかごレール1fと、釣合錘1cを案内する錘レール1gと、かご1aの移動速度を検出する調速機1hとを備えている。調速機1hは、無端円状のガバナロープ1iと、ガバナロープ1iとかご1aとを接続する接続部1jと、ガバナロープ1iが巻き掛けられる車部1kと、ガバナロープ1iに張力が働くように、ガバナロープ1iが巻き掛けられる張車1mとを備えている。
これにより、かご1aとガバナロープ1iとが接続されており、ガバナロープ1iが車部1kに巻き掛けられているため、調速機1hは、車部1kの回転速度に基づいて、かご1aの移動速度を検出する。なお、かご1aは、かごレール1fに対して停止するために作動する停止装置1nを備えている。そして、かご1aの移動速度が設定速度を超えた際に、調速機1hがガバナロープ1iを把持し、その結果、停止装置1nが起動し、かご1aがかごレール1fに対して停止する。
本実施形態においては、かごロープ1bの一端部がかご1aに固定され、かごロープ1bの他端部が釣合錘1cに固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ1bの両端部がそれぞれ昇降路の上部に固定され、かごロープ1bがかご1aのシーブ及び釣合錘1cのシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ1bがかご1a及び釣合錘1cにそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
また、本実施形態に係るエレベータ1は、巻上機1dを機械室の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室が備えられておらず、エレベータ1は、巻上機1dを昇降路の内部に配置する、という構成でもよい。
また、本実施形態に係るエレベータ1は、ロープ式の駆動方式である、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、油圧式の駆動方式である、という構成でもよく、また、リニアモータ式の駆動方式である、という構成でもよい。
ところで、エレベータ1は、かご1aとガバナロープ1iとを接続する振動抑制装置2を備えている。図2及び図3に示すように、振動抑制装置2は、ガバナロープ1iに接続されるベース体3と、ベース体3に対して移動可能な可動体4と、可動体4に力を加える加力部5とを備えている。
ベース体3は、ケース状に形成されるベース本体部3aと、ガバナロープ1iに連結されるロープ連結部3b,3bとを備えている。ベース本体部3aの形状は、特に限定されないが、本実施形態においては、ベース本体部3aは、長尺な筒状に形成されている。また、ロープ連結部3bは、ベース本体部3aのそれぞれの端部に連結され、ガバナロープ1iとベース本体部3aとを接続している。なお、ロープ連結部3bは、ガバナロープ1iに回転可能に連結されている。
可動体4は、接続部1jに回転可能に連結されることによって、かご1a(図1参照)に接続されている。そして、可動体4は、ベース本体部3aの内部に収容されている。これにより、可動体4がベース本体部3aに対して移動する際に、ベース本体部3aの内周面は、可動体4の外周面を案内する。したがって、可動体4は、ベース本体部3aの長手方向に沿って、ベース本体部3aに対して移動する。
なお、接続部1jがベース本体部3aの内部から外部へ亘って配置されるように、ベース本体部3aは、接続部1jに挿通される開口部3cを備えている。そして、開口部3cは、ベース本体部3aの長手方向に沿って延びている。これにより、可動体4がベース本体部3aに対して移動する際に、接続部1jは、開口部3cの内部を移動することができる。
加力部5は、可動体4がベース体3に対する基準位置に戻るように、可動体4に力を加えている。具体的には、可動体4が基準位置から離れるほど、可動体4に対して基準位置に向けて加える力が大きくなるように、加力部5は、可動体4に力を加えている。
なお、加力部5の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、加力部5は、弾性材5aを備えている。弾性材5aは、ベース本体部3aの内部に収容されている。そして、複数の弾性材5aは、ベース本体部3aの長手方向で、可動体4を挟むように配置されている。なお、弾性材5aの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、弾性材5aは、弦巻バネとしている。
このように、エレベータ1が振動抑制装置2を備えているため、かご1aの振動がガバナロープ1iに伝達されることを抑制することができる。これにより、かご1aの振動がガバナロープ1iの振動になることを抑制することができる。一方で、振動抑制装置2は、かご1aの移動をガバナロープ1iに瞬時に伝達させる必要がある。
そこで、振動抑制装置2は、ベース体3との間に摩擦力を生じさせる摩擦機構2aを備えている。摩擦機構2aは、ベース本体部3aの内部に収容されており、また、摩擦機構2aは、可動体4に接続されており、可動体4に固定されている。これにより、摩擦機構2aは、可動体4と一体になってベース体3に対して移動可能である。そして、図4及び図5に示すように、摩擦機構2aは、ベース体3との間に摩擦力を生じさせる摩擦体6と、当該摩擦力を変更して保持する変更手段7とを備えている。
摩擦体6は、ベース本体部3aの内部に収容されている。そして、摩擦体6は、ベース本体部3aの内周面に接するように配置されている。これにより、摩擦体6がベース本体部3aの内周面と加圧して接することによって、摩擦体6とベース体3との間に摩擦力(以下、単に「摩擦体6の摩擦力」ともいう)が発生する。
なお、摩擦体6の材質は、特に限定されないが、摩擦体6は、ベース体3(ベース本体部3a)との間の摩擦係数が他の部材(例えば、後述する「保持部7f」)よりも大きい材質で形成されていることが好ましい。また、摩擦体6の個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、摩擦体6は、二つ備えられている。
変更手段7は、摩擦体6の摩擦力を変更する際に操作される雄ネシ部7aと、雄ネジ部7aと螺合する雌ネジ部7bとを備えている。そして、変更手段7は、摩擦体6に対して移動可能な移動部7cと、移動部7cと摩擦体6との間に配置される弾性部7dとを備えている。
なお、雄ネジ部7aの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、雄ネジ部7aは、ボルトとしている。そして、雄ネジ部7aの操作部7eは、ベース体3のベース本体部3aの外部に配置されている。即ち、操作部7eは、ベース本体部3aから露出している。また、移動部7cの構成は、特に限定されないが、移動部7cは、剛性を有して形成されている。また、弾性部7dの構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、弾性部7dは、弦巻バネとしている。
変更手段7は、摩擦体6、弾性部7d及び移動部7cを保持する保持部7fを備えている。保持部7fは、可動体4に固定されている。そして、保持部7fは、摩擦体6、弾性部7d及び移動部7cの一部を凹部で収容することによって、摩擦体6、弾性部7d及び移動部7cは、保持部7fに保持されている。
なお、保持部7fは、当該凹部で移動部7cを案内している。また、保持部7fは、雌ネジ部7bと連結されている。なお、保持部7fの構成は、特に限定されない。例えば、摩擦体6と保持部7fとの間には、隙間がある、という構成でもよく、また、例えば、摩擦体6は、保持部7fと接している、という構成でもよい。
さらに、変更手段7は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動を、摩擦体6に対する移動部7cの移動に変換させる変換部7gを備えている。変換部7gは、スライドし合う第1スライド部7h及び第2スライド部7iを備えている。第1スライド部7hは、雄ネジ部7aに連結されており、第2スライド部7iは、移動部7cに連結されている。
そして、第1スライド部7h及び第2スライド部7iは、それぞれ傾斜面でスライドしている。なお、弾性部7dが、摩擦体6だけでなく、第2スライド部7iにも力を加えているため、第2スライド部7iは、第1スライド部7hに加圧して接している。また、第1スライド部7hは、雄ネジ部7aの端部に回転可能に連結されている。
ここで、摩擦体6の摩擦力の変更方法について、図5及び図6を参照しながら説明する。
図5に示すように、雄ネジ部7aの操作部7eが露出されているため、操作部7eを操作することによって、図6に示すように、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動する。そして、第1スライド部7h及び第2スライド部7iがスライドし合うため、移動部7cが摩擦体6に対して移動する。具体的には、移動部7cが摩擦体6に近づくように移動する。
これにより、弾性部7dがさらに圧縮の弾性変形をすることになるため、弾性部7dから摩擦体6へ加えられる力は、変更される(変化する)。したがって、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動することによって、摩擦体6の摩擦力は、変更される。
なお、雄ネジ部7aの操作が停止されると、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの位置が保持されるため、弾性部7dの弾性変形量が保持される。これにより、弾性部7dから摩擦体6及び移動部7cへ加えられる力が、保持されるため、摩擦体6の摩擦力も、保持される。
その結果、雄ネジ部7aを操作することによって、摩擦体6の摩擦力を変更させることができ、雄ネジ部7aの操作を停止することによって、摩擦体6の摩擦力を保持させることができる。したがって、摩擦体6の摩擦力を変更させて保持させる作業は、容易である。
ところで、摩擦体6の摩擦力の適正な大きさの範囲は、狭い場合がある。それに対して、移動部7cの移動距離は、雄ネジ部7aの移動距離と、異なっている。具体的には、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離よりも、小さくなっている。
これにより、雄ネジ部7aの回転方向の操作量(例えば、雄ネジ部7aの操作部7eの外周部が回転方向に変位する量)に対して、摩擦体6の摩擦力の変更量(変化量)が小さくなっている。したがって、摩擦体6の摩擦力の微小な変更にも対応することができるため、仮に、摩擦体6の摩擦力の適正な大きさの範囲が狭い場合でも、摩擦体6の摩擦力を適正な大きさにすることができる。
なお、移動部7cの移動方向は、雄ネジ部7aの移動方向と、異なっている。具体的には、可動体4の移動方向(ベース本体部3aの長手方向)視において、摩擦体6に対する移動部7cの移動方向は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動方向と、直交している。
次に、摩擦体6の摩擦力の確認方法について、図7〜図10を参照しながら説明する。
図7に示すように、振動抑制装置2は、ベース体3に対する可動体4の位置を示す表示部8を備えている。具体的には、ベース体3のベース本体部3aは、表示部8を備えている。そして、表示部8は、加力部5(図8〜図10参照)が可動体4を戻そうとする基準位置を示す基準位置表示部8aと、基準位置から離れた第1位置を示す第1位置表示部8bと、基準位置から第1位置よりも離れた第2位置を示す第2位置表示部8cとを備えている。
各位置表示部8a〜8cは、可動体4の所定の位置を示してもよく、又は、可動体4と一体に移動する部分(例えば、雄ネジ部7a等)の位置を示してもよい。即ち、各位置表示部8a〜8cは、可動体4の位置を確認できればよい。本実施形態においては、各位置表示部8a〜8cは、可動体4の上端の位置を示している。
そして、まず、可動体4を操作して(例えば、掴んで)、図8に示すように、可動体4の上端を第1位置表示部8bに合わせるように、可動体4をベース体3に対して移動させる。これにより、可動体4は、第1位置に位置する。その後、可動体4への操作を停止した(例えば、可動体4を離した)際に、可動体4が移動することなく第1位置に留まることを確認する。
即ち、第1位置は、可動体4が摩擦体6の摩擦力によってベース体3に対して移動することを抑制されるべき位置である。なお、仮に、可動体4が基準位置に向けて移動する場合には、摩擦体6の摩擦力が適正な範囲よりも小さいことになる。
次に、可動体4を操作して、図9に示すように、可動体4の上端を第2位置表示部8cに合わせるように、可動体4をベース体3に対して移動させる。これにより、可動体4は、第2位置に位置する。その後、可動体4への操作を停止した際に、図10に示すように、可動体4が基準位置に向けて移動することを確認する。
即ち、第2位置は、可動体4が摩擦体6の摩擦力に対抗してベース体3に対して移動するべき位置である。なお、仮に、可動体4が第2位置に留まる場合には、摩擦体6の摩擦力が適正な範囲よりも大きいことになる。
このように、可動体4を第1位置及び第2位置にそれぞれ位置させることだけで、摩擦体6の摩擦力が適正な大きさであることを確認することができる。したがって、当該確認作業は、容易である。そして、摩擦体6の摩擦力を適正な大きさに設定することによって、かご1aの振動がガバナロープ1iの振動になることを抑制することができ、しかも、かご1aの移動をガバナロープ1iに瞬時に伝達させることができる。
以上より、本実施形態に係るエレベータ1は、前記のガバナロープ1iの振動抑制装置2と、前記可動体4に接続されるかご1aと、前記ベース体3に接続されるガバナロープ1iを有する調速機1hと、を備える。
そして、本実施形態に係る振動抑制装置2は、ガバナロープ1iに接続されるベース体3と、かご1aに接続され、前記ベース体3に対して移動可能な可動体4と、前記可動体4と一体になって前記ベース体3に対して移動可能であって、前記ベース体3との間に摩擦力を生じさせる摩擦体6と、前記摩擦力を変更して保持する変更手段7と、を備える。
斯かる構成によれば、摩擦体6とベース体3との間に、摩擦力が生じており、変更手段7は、当該摩擦力を変更することができ、しかも、保持することができる。これにより、摩擦体6とベース体3との間に生じる摩擦力を適正な大きさにすることができる。
また、本実施形態に係る振動抑制装置2においては、前記変更手段7は、前記摩擦体6と一体になって前記ベース体3に対して移動可能な雌ネジ部7bと、前記雌ネジ部7bと螺合し、前記雌ネジ部7bに対して移動することに伴って前記摩擦力が変更される雄ネジ部7aと、を備える、という構成である。
斯かる構成によれば、雄ネジ部7aが操作され、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動することに伴って、摩擦体6とベース体3との間に生じる摩擦力は、変更される。一方、雄ネジ部7aの操作が停止されると、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの位置が保持されるため、摩擦体6とベース体3との間に生じる摩擦力は、保持される。これにより、雄ネジ部7aを操作することによって、摩擦力を変更させることができ、雄ネジ部7aの操作を停止することによって、摩擦力を保持させることができる。
また、本実施形態に係る振動抑制装置2においては、前記変更手段7は、前記摩擦体6に対して移動することによって、前記摩擦力を変更させる移動部7cと、前記摩擦体6に対する前記移動部7cの移動距離が前記雌ネジ部7bに対する前記雄ネジ部7aの移動距離よりも小さくなるように、前記雌ネジ部7bに対する前記雄ネジ部7aの移動を、前記摩擦体6に対する前記移動部7cの移動に変換させる変換部7gと、を備える、という構成である。
斯かる構成によれば、変換部7gは、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動を、摩擦体6に対する移動部7cの移動に変換させる。このとき、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離よりも、小さくなっている。そして、移動部7cが摩擦体6に対して移動することによって、摩擦体6とベース体3との間に生じる摩擦力が、変更される。これにより、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離に対して、当該摩擦力の変更量を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る振動抑制装置2は、前記可動体4が前記ベース体3に対する基準位置から離れるほど前記可動体4に対して前記基準位置に向けて加える力が大きくなるように、前記可動体4に力を加える加力部5と、前記ベース体3に対する前記可動体4の位置を示す表示部8と、を備え、前記表示部8は、前記可動体4が前記摩擦力により前記ベース体3に対して移動することを抑制される第1位置を示す第1位置表示部8bと、前記基準位置から前記第1位置よりも離れており前記可動体4が前記摩擦力に対抗して前記ベース体3に対して移動する第2位置を示す第2位置表示部8cと、を含む、という構成である。
斯かる構成によれば、摩擦体6とベース体3との間に生じる摩擦力が、変更された後に、表示部8に基づいて、当該摩擦力が適正な大きさであるか確認することができる。具体的には、可動体4が第1位置表示部8bの位置でベース体3に対して移動することを抑制され、且つ、可動体4が第2位置表示部8cの位置でベース体3に対して移動する場合に、当該摩擦力が適正な大きさであることを確認することができる。
なお、エレベータ1及び振動抑制装置2は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及び振動抑制装置2は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
(1)上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、変換部7gは、それぞれ傾斜面でスライドし合う第1スライド部7h及び第2スライド部7iを備えている、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、図11及び図12に示すように、変換部7gは、外周面が移動部7cにスライドするカム機構9を備えている、という構成でもよい。
図11及び図12に示すように、カム機構9は、可動体4に固定される軸部9aと、軸部9aに回転可能に連結されるカム体9bとを備えている。カム体9bは、移動部7cにスライドするスライド部9cと、雄ネジ部7aに接触されるネジ接触部9dとを備えている。以下、図11及び図12に係る摩擦体6の摩擦力の変更方法について、説明する。
図11に示す状態から、操作部7eを操作することによって、図12に示すように、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動する。そして、ネジ接触部9dが雄ネジ部7aに押されるため、カム体9bが回転し、移動部7cが摩擦体6に対して移動する。これにより、弾性部7dがさらに弾性変形することになるため、弾性部7dから摩擦体6へ加えられる力は、変更される。したがって、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動することによって、摩擦体6の摩擦力は、変更される。
そして、雄ネジ部7aの操作が停止されると、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの位置と、可動体4に対するカム体9bの位置とが、保持されるため、弾性部7dの弾性変形量が保持される。これにより、弾性部7dから摩擦体6及び移動部7cへ加えられる力も、保持されるため、摩擦体6の摩擦力も、保持される。
また、カム機構9は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動を、摩擦体6に対する移動部7cの移動に変換している。そして、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離よりも、小さくなっている。これにより、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離に対して、摩擦体6の摩擦力の変更量が小さくなっている。
(2)上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、変換部7gは、それぞれ平面で円滑にスライドし合う第1スライド部7h及び第2スライド部7iを備えている、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。
例えば、第1スライド部7hの表面は、雄ネジを備えており、第2スライド部7iの表面は、当該雄ネジと螺合する雌ネジを備えている、という構成でもよい。斯かる構成によれば、第1スライド部7h及び第2スライド部7iは、上記実施形態に係る雄ネジ部7a及び雌ネジ部7bを兼用することができる。
(3)また、上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離よりも、小さい、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離よりも、大きい、という構成でもよく、また、例えば、図13及び図14に示すように、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離と、同じ、という構成でもよい。
図13及び図14に係る変更手段7においては、雄ネジ部7aは、移動部7cに接触している。即ち、図13及び図14に係る変更手段7は、変換部7gを備えていない、という構成である。そして、移動部7cの移動方向は、雄ネジ部7aの移動方向と、同じである。具体的には、雄ネジ部7aの移動方向は、移動部7c、弾性部7d及び摩擦体6が並ぶ方向である。以下、図13及び図14に係る摩擦体6の摩擦力の変更方法について、説明する。
図13に示す状態から、操作部7eを操作することによって、図14に示すように、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動する。そして、雄ネジ部7aが移動部7cを押すため、移動部7cが摩擦体6に対して移動する。これにより、弾性部7dがさらに弾性変形することになるため、弾性部7dから摩擦体6へ加えられる力が、変更される。したがって、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動することによって、摩擦体6の摩擦力は、変更される。
そして、雄ネジ部7aの操作が停止されると、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの位置が保持されるため、弾性部7dの弾性変形量が保持される。これにより、弾性部7dから摩擦体6及び移動部7cへ加えられる力も、保持されるため、摩擦体6の摩擦力も、保持される。なお、移動部7cは、雄ネジ部7aと一体になって移動している。したがって、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離と、同じである。
(4)また、上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、雄ネジ部7aの操作部7eを操作し、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動することに伴って、ベース体3と摩擦体6との間に発生する摩擦力が変更される、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、図15及び図16に示すように、変更手段7は、ベース体3と摩擦体6との間に発生する摩擦力を変更するために、二つの操作される部分7m,9bを備えている、という構成でもよい。
図15及び図16に係る変更手段7は、外周面が移動部7cにスライドするカム機構9と、カム機構9を可動体4に対して固定させる固定手段7jとを備えている。カム機構9は、可動体4に固定される軸部9aと、軸部9aに回転可能に連結されるカム体9bとを備えている。カム体9bは、移動部7cにスライドするスライド部9cを備えている。なお、カム体9bが所定方向のみに回転するように、変更手段7は、ラチェット機構を備えている、という構成でもよい。
また、固定手段7jは、軸部9aの端部に連結される雄ネジ部7kと、雄ネジ部7kに螺合される雌ネジ部7mとを備えている。そして、雌ネジ部7mと可動体4との間に、カム体9bが挟持されることによって、カム体9bは、可動体4に固定されている。即ち、図15及び図16に係るネジ部7k,7mは、カム機構9のカム体9bを固定するための手段である。以下、図15及び図16に係る摩擦体6の摩擦力の変更方法について、説明する。
図15に示す状態から、雌ネジ部7mを操作することによって、可動体4に対するカム体9bの固定が解除される。そして、図16に示すように、カム体9bを操作して回転させることによって、移動部7cが摩擦体6に対して移動する。これにより、弾性部7dがさらに弾性変形することになるため、弾性部7dから摩擦体6へ加えられる力は、変更される。
そして、雌ネジ部7mを操作することによって、カム体9bが雌ネジ部7mと可動体4とに挟持されるため、可動体4に対してカム体9bが固定される。これにより、可動体4に対するカム体9bの位置が保持されるため、弾性部7dの弾性変形量が保持される。これにより、弾性部7dから摩擦体6及び移動部7cへ加えられる力も、保持されるため、摩擦体6の摩擦力も、保持される。
(5)また、上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、弾性部7dと摩擦体6とは、別の部材で構成されている、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、図17に示すように、弾性部7dと摩擦体6とは、一つの部材で構成されている、という構成でもよい。斯かる弾性部7d及び摩擦体6の構成は、特に限定されないが、例えば、斯かる弾性部7d及び摩擦体6は、ゴムで形成されている、という構成でもよい。
(6)また、上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、変更手段7は、弾性部7dを備えている、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、図18に示すように、変更手段7は、弾性部7dを備えていない、という構成でもよい。図18に係る変更手段7においては、剛性を有する移動部7cは、摩擦体6と加圧して接し、第2スライド部7iは、第1スライド部7hと加圧して接している、という構成である。
(7)また、上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、可動体4は、ベース体3の内部に配置されている、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、図19〜図22に示すように、可動体4は、ベース体3の外部に配置されている、という構成でもよい。以下に、図19〜図22に係る振動抑制装置2の構成を説明する。
(7−1)可動体4は、ケース状に形成されている。そして、可動体4は、接続部1jに回転可能に連結されることによって、かご1a(図1参照)に接続されている。なお、接続部1jは、可動体4の外部に配置されている。また、可動体4の形状は、特に限定されないが、図19及び図20に係る構成においては、可動体4は、長尺な筒状に形成されている。
ベース体3は、長尺に形成されるベース本体部3aと、ガバナロープ1iに連結されるロープ連結部3b,3bとを備えている。ベース本体部3aの形状は、特に限定されないが、図19及び図20に係る構成においては、ベース本体部3aは、長尺なロッド状に形成されている。また、ロープ連結部3bは、ベース本体部3aのそれぞれの端部に連結され、ガバナロープ1iとベース本体部3aとを接続している。
なお、ベース本体部3aの中央は、可動体4の内部に挿入されており、ベース本体部3aの端部とロープ連結部3bとは、可動体4の外部に配置されている。また、ベース体3は、ベース本体部3aの中央に固定される中間部3dを備えている。中間部3dの幅は、ベース本体部3aの幅よりも、大きくなっており、中間部3dは、可動体4の内部に配置されている。そして、中間部3dが可動体4の内部を可動体4の長手方向に沿って移動するように、可動体4は、ベース体3に対して移動可能である。
そして、振動抑制装置2は、ベース体3との間に摩擦力を生じさせる摩擦機構2aを備えている。図19及び図20に係る構成においては、摩擦機構2aは、可動体4の外部に配置されている。なお、摩擦機構2aは、可動体4の内部に配置されている、という構成でもよい。以下に、図21及び図22に係る摩擦機構2aの構成を説明する。
(7−2)図21及び図22に係る摩擦機構2aは、可動体4に接続されており、可動体4に固定されている。これにより、摩擦機構2aは、可動体4と一体になってベース体3に対して移動可能である。そして、摩擦機構2aは、ベース体3との間に摩擦力を生じさせる摩擦体6と、当該摩擦力を変更して保持する変更手段7と、摩擦体6及び変更手段7の一部を覆うカバー部2bを備えている。なお、カバー部2bは、可動体4の端部に固定されており、ケース状に形成されている。
摩擦体6は、可動体4の外部で且つカバー部2bの内部に配置されている。そして、摩擦体6は、ベース本体部3aの外周面に接するように配置されている。これにより、摩擦体6がベース本体部3aの外周面と加圧して接することによって、摩擦体6とベース体3との間に摩擦力が発生する。なお、摩擦体6の個数は、特に限定されないが、図21及び図22に係る構成においては、摩擦体6は、ベース本体部3aを挟むように、二つ備えられている。
変更手段7は、摩擦体6の摩擦力を変更する際に操作される雄ネジ部7aと、雄ネジ部7aと螺合する雌ネジ部7bとを備えている。そして、変更手段7は、摩擦体6に対して移動可能な移動部7cと、移動部7cと摩擦体6との間に配置される弾性部7dとを備えている。
なお、雄ネジ部7aの構成は、特に限定されないが、図21及び図22に係る構成においては、雄ネジ部7aは、ボルトとしている。そして、雄ネジ部7aの操作部7eは、カバー部2bの外部に配置されている。即ち、操作部7eは、カバー部2bから露出している。また、雌ネジ部7bは、可動体4に固定されている。
さらに、変更手段7は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動を、摩擦体6に対する移動部7cの移動に変換させる変換部7gを備えている。変換部7gは、スライドし合う第1スライド部7h及び第2スライド部7iを備えている。第1スライド部7hは、雄ネジ部7aに回転可能に連結されており、第2スライド部7iは、移動部7cに連結されている。
また、変更手段7は、一方の摩擦体6を支持する摩擦支持部7nと、第1スライド部7hがスライド可能となるように、第1スライド部7hを支持するスライド支持部7pとを備えている。摩擦支持部7n及びスライド支持部7pは、それぞれ可動体4に固定されている。
また、変更手段7は、摩擦体6及び弾性部7dを保持する保持部7fを備えている。保持部7fは、移動部7cに固定されている。そして、保持部7fは、摩擦体6及び弾性部7dを凹部で収容することによって、摩擦体6及び弾性部7dは、保持部7fに保持されている。なお、保持部7fの当該凹部が、摩擦支持部7nに案内されることによって、移動部7cは、案内されている。なお、保持部7fの構成は、特に限定されない。
ここで、以下、図21及び図22に係る摩擦体6の摩擦力の変更方法について説明する。
図21の状態から、操作部7eを操作することによって、図22に示すように、雄ネジ部7aが雌ネジ部7bに対して移動する。そして、第1スライド部7h及び第2スライド部7iがスライドし合うため、移動部7cが摩擦体6に対して移動する。これにより、弾性部7dがさらに弾性変形することになるため、弾性部7dから摩擦体6へ加えられる力は、変更される。したがって、摩擦体6の摩擦力は、変更される。
なお、雄ネジ部7aの操作が停止されると、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの位置が保持されるため、弾性部7dの弾性変形量が保持される。これにより、弾性部7dから摩擦体6及び移動部7cへ加えられる力が、保持されるため、摩擦体6の摩擦力も、保持される。
その結果、雄ネジ部7aを操作することによって、摩擦体6の摩擦力を変更させることができ、雄ネジ部7aの操作を停止することによって、摩擦体6の摩擦力を保持させることができる。なお、図21及び図22に係る振動抑制装置2においては、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離よりも、小さくなっている。
(7−3)なお、図21及び図22に係る振動抑制装置2に対しても、変更することは可能である。例えば、図21及び図22に係る振動抑制装置2に対して、図11及び図12に示すように、変換部7gは、外周面が移動部7cにスライドするカム機構9を備えている、という構成に変更してもよい。
また、例えば、図21及び図22に係る振動抑制装置2に対して、図13及び図14に示すように、摩擦体6に対する移動部7cの移動距離は、雌ネジ部7bに対する雄ネジ部7aの移動距離と、同じ、という構成に変更してもよい。また、例えば、図21及び図22に係る振動抑制装置2に対して、図15及び図16に示すように、変更手段7は、ベース体3と摩擦体6との間に発生する摩擦力を変更するために、二つの操作される部分7m,9bを備えている、という構成に変更してもよい。
(8)また、上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、表示部8は、基準位置表示部8a、第1位置表示部8b及び第2位置表示部8cを備えている、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。
例えば、表示部8は、基準位置表示部8aを備えておらず、第1位置表示部8b及び第2位置表示部8cのみを備えている、という構成でもよい。また、例えば、表示部8は、複数の目盛り(例えば、1mm間隔の目盛り)を有することによって、四つ以上の位置を表示する位置表示部8a〜8cを備えている、という構成でもよい。
(9)また、上記実施形態に係る振動抑制装置2においては、表示部8は、ベース体3(具体的には、ベース本体部3a)に備えらえれいる、という構成である。しかしながら、振動抑制装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、表示部8は、可動体4に備えられている、という構成でもよい。
(10)また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、ガバナロープ1iは、かご1aに接続されている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、ガバナロープ1iは、釣合錘1cに接続されており、停止装置1nは、錘レール1gを把持することによって釣合錘1cを停止させるために、釣合錘1cに設けられている、という構成でもよい。
また、例えば、調速機1hは、複数備えられている、という構成でもよい。具体的には、停止装置1nは、かご1a及び釣合錘1cの両方にそれぞれ設けられており、第1の調速機1hのガバナロープ1iは、かご1aと接続されると共に、第2の調速機1hのガバナロープ1iは、釣合錘1cに接続されている、という構成でもよい。