JP6944045B2 - 物理蒸着用ターゲット及びそれを用いたナノ複合コーティング膜及びその製造方法 - Google Patents

物理蒸着用ターゲット及びそれを用いたナノ複合コーティング膜及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6944045B2
JP6944045B2 JP2020511987A JP2020511987A JP6944045B2 JP 6944045 B2 JP6944045 B2 JP 6944045B2 JP 2020511987 A JP2020511987 A JP 2020511987A JP 2020511987 A JP2020511987 A JP 2020511987A JP 6944045 B2 JP6944045 B2 JP 6944045B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
atomic
alloy
vapor deposition
nanocomposite coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020511987A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020533482A (ja
Inventor
チャン イ ハン
チャン イ ハン
イル ムン キョン
イル ムン キョン
ベ バン ギュン
ベ バン ギュン
ヨン シン スン
ヨン シン スン
ジュン パク ヒョン
ジュン パク ヒョン
ファン キム テ
ファン キム テ
ウォン ユン ハエ
ウォン ユン ハエ
ピル オー セ
ピル オー セ
ジュン フン
ジュン フン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Korea Academy of Industrial Technology
Original Assignee
Korea Academy of Industrial Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to KR20170110962 priority Critical
Priority to KR10-2017-0110962 priority
Application filed by Korea Academy of Industrial Technology filed Critical Korea Academy of Industrial Technology
Priority to KR1020180103288A priority patent/KR102030456B1/ko
Priority to PCT/KR2018/010147 priority patent/WO2019045519A1/ko
Priority to KR10-2018-0103288 priority
Publication of JP2020533482A publication Critical patent/JP2020533482A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6944045B2 publication Critical patent/JP6944045B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C14/00Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
    • C23C14/22Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the process of coating
    • C23C14/34Sputtering
    • C23C14/3407Cathode assembly for sputtering apparatus, e.g. Target
    • C23C14/3414Metallurgical or chemical aspects of target preparation, e.g. casting, powder metallurgy
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C16/00Alloys based on zirconium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C14/00Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
    • C23C14/0021Reactive sputtering or evaporation
    • C23C14/0036Reactive sputtering
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C14/00Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
    • C23C14/06Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
    • C23C14/0641Nitrides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C2200/00Crystalline structure
    • C22C2200/02Amorphous
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C2200/00Crystalline structure
    • C22C2200/04Nanocrystalline

Description

本発明は、多成分系金属からなり、低摩擦特性に優れた物理蒸着用合金ターゲット、それを用いたナノ複合コーティング膜及びその製造方法に関する。
各種の機械装置の駆動部品や摺動部材あるいは各種の工具類では、優れた潤滑特性を必要とする場面が多数発生する。このような潤滑特性の改善のために、母材の表面に低摩擦特性を有する薄膜を形成する技術が適用可能である。例えば、自動車エンジンの駆動中に発生する各種の部品間の摩擦によってエネルギーの消耗が発生しうる。このような駆動部品間の摩擦を低減させる場合、自動車燃料の消耗を減少させることによって、燃費向上の効果をもたらしうる。このような低摩擦特性を有する薄膜は、苛酷な摩擦環境に耐えなければならないため、低摩擦特性の以外にも、一定程度以上の硬度と母材に対する密着力とを備えなければならず、酸化雰囲気に対する高い抵抗性が要求される。このような低摩擦特性を有する薄膜として高硬度を有する窒化物や炭化物系のセラミック材料、あるいはDLC(diamond like carbon)などが用いられ、物理蒸着法、化学蒸着法、プラズマ溶射コーティング法などによって母材上に塗布される。しかしながら、従来のセラミック系の薄膜は、約2000Hv以上の高硬度を示しているが、母材として用いられる鋼、アルミニウム、マグネシウムのような金属素材とは弾性係数の高い差を示すので、耐久性の側面で不利である。
また、薄膜は、自動車用エンジンのような重要な駆動部材に適用するには高過ぎる摩擦係数値を示す。一方、DLC膜の場合、境界潤滑環境で摩擦低減効果が大きくなく、準安定相として摩擦部の固体間の接触によって温度上昇を伴う境界潤滑環境下で摩耗による黒鉛化(graphitization、sp3→sp2)が進行して、膜の深刻な摩耗が発生し、潤滑油内の添加された摩擦調整剤(friction modifier)、例えば、有機モリブデン化合物(MoDTC、Molybdenum dialkyldithiocarbamate)などの添加剤と調和せず、添加剤の効率を落とし、DLC膜の摩耗摩擦を促進する問題点が発生しうる。
本発明は、前記問題点を含む多様な問題点を解決するためのものであって、熱的、機械的安定性に優れた合金を用いて低摩擦薄膜及び高硬度特性の薄膜コーティングが可能な物理蒸着用合金ターゲット、該合金ターゲットを用いて具現したナノ複合コーティング膜及びその製造方法の提供を目的とする。しかしながら、このような課題は、例示的なものであって、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
本発明の一態様による物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金を提供する。前記物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金は、低摩擦コーティング膜を形成するための物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金であって、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる。
本発明の他の態様による物理蒸着用ターゲットを提供する。前記物理蒸着用ターゲットは、低摩擦コーティング膜を形成するためにZr−Cu−Si系合金からなる物理蒸着用ターゲットであって、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる。
前記物理蒸着用ターゲットで、前記Zr−Cu−Si系合金は、溶湯を鋳造して具現した鋳造合金である。
他の例として、前記合金は、粉末冶金を利用した焼結法で製造された焼結合金である。
前記物理蒸着用ターゲットで、前記Zr−Cu−Si系合金は、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる非晶質合金またはナノ結晶質合金を複数個で準備する段階;前記複数個の非晶質合金またはナノ結晶質合金を前記非晶質合金またはナノ結晶質合金のガラス遷移温度(Tg)以上結晶化開始温度(Tx)以下の温度範囲で所定時間保持しながら加圧することで第1次収縮する段階;及び前記複数個の非晶質合金またはナノ結晶質合金を前記非晶質合金またはナノ結晶質合金の溶融温度(Tm)の0.7〜0.9倍の温度範囲で所定時間保持しながら加圧することで第2次収縮する段階;を行うことで具現された結晶質合金である。
本発明のさらに他の態様によるナノ複合コーティング膜の製造方法を提供する。前記ナノ複合コーティング膜の製造方法は、物理蒸着用装置の内部に、不活性ガスを投入し、窒素ガス(N)または窒素元素(N)を含有する反応ガスを投入して、Zr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着して窒素を含有するナノ複合コーティング膜を形成する段階を含むが、前記合金ターゲットの組成は、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる。
前記ナノ複合コーティング膜の製造方法は、前記ナノ複合コーティング膜を形成する段階;以前に、前記物理蒸着用装置の内部に、不活性ガスを投入して、Zr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着してZr−Cu−Siコーティングバッファ層を形成する段階;をさらに含みうる。
前記ナノ複合コーティング膜の製造方法は、前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ層を形成する段階;以前に、前記物理蒸着装置内でイオンガンプラズマソース内に不活性ガスを投入し、パワーを印加して、前記不活性ガスをイオン化させ、イオンビームを放出させて、前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ層が形成される対象体の表面を活性化させる前処理段階;をさらに含みうる。
前記ナノ複合コーティング膜の製造方法において、前記膜を形成する段階または前記前処理段階は、プラズマ雰囲気で進行できる。
前記ナノ複合コーティング膜の製造方法において、前記窒素を含有するナノ複合コーティング膜のうちから前記窒素を除いた成分の組成は、Zrが80〜92原子%;Cuが2〜10原子%;及びSiが5〜15原子%;からなる。
本発明のさらに他の態様によるナノ複合コーティング膜を提供する。窒素を含有するナノ複合コーティング膜であって、前記ナノ複合コーティング膜のうちから窒素を除いた成分の組成は、Zrが80〜92原子%;Cuが2〜10原子%;及びSiが5〜15原子%;からなる。
前記ナノ複合コーティング膜は、ZrNまたはZrN基盤の結晶構造を有するものである。
前記ナノ複合コーティング膜は、相手材と接触して摩擦される場合、表面の少なくとも一部領域にトライボ反応膜が形成され、前記トライボ反応膜が形成された領域でのCuの組成が、前記トライボ反応膜が形成されていない領域に比べてさらに高いものである。
この場合、前記トライボ反応膜が形成された領域でのS及びPの組成が、前記トライボ反応膜が形成されていない領域に比べてさらに高い。
前記ナノ複合コーティング膜は、10〜45GPaの硬度と、150〜450GPaの弾性率と、を有しうる。厳格には、前記ナノ複合コーティング膜は、23〜44GPaの硬度と、265〜421GPaの弾性と、を有しながらも、0.008〜0.024の摩擦係数を有しうる。
前記のようになされた本発明の一実施例によれば、薄膜組成の不均一、パーティクル発生及び脆性破壊の問題点を抑制し、物理蒸着時に、均一な薄膜を製造することができる低摩擦特性を有する薄膜を形成しうる物理蒸着用合金ターゲット、前記合金ターゲットを用いて具現するナノ複合コーティング膜及びその製造方法を提供することができる。もちろん、このような効果によって、本発明の範囲が限定されるものではない。
本発明の実施例による物理蒸着用合金ターゲットを構成する合金であるZr−Cu−Si合金の三元系状態図である。 実施例4の組成に該当するターゲット試片の微細組織をSEM及びBSEで観察した画像である。 実施例5に該当する組成のターゲット試片を製造するためにZr、Cu及びSi粉末をボールミルに投入して機械的合金化後、粉末の状態をSEMで観察した画像である。 前記粉末の組成をEDSで分析した画像である。 機械的合金化が完了した粉末の粒度をPSA(particle size analyzer)で分析した分布図である。 機械的合金化が行われた粉末を用いてスパークプラズマ焼結法で焼結した試片の微細構造をSEM及びBSEで観察した画像である。 本発明の実施例のコーティング膜を形成する物理蒸着工程条件を示す表、XRD分析条件を示す表、及び分析結果を示す回折チャートである。 実施例5に該当するコーティング膜のXRDの結果を示す回折チャートである。 実施例5に該当するコーティング膜の表面及び断面をSEMで観察した画像である。 図10(a)は、実施例5に該当するコーティング膜の微細構造をTEMで観察した画像である。図10(b)は、SEAD(selective area diffraction)分析を行った回折パターンである。 本発明の一部の実施例及び比較例によるコーティング膜に対して往復動摩擦試験の条件及び結果を示す図面である。 リングライナースカッフィング抵抗性の試験結果を示すグラフである。 本発明の実施例によるコーティング膜が形成されたタペットのAFM光学顕微鏡写真である。 本発明の実施例によるコーティング膜が形成されたタペットのLFMを利用した摩擦係数マッピング図である。 本発明の比較例によるコーティング膜が形成されたタペットのAFM光学顕微鏡写真である。 本発明の比較例によるコーティング膜が形成されたタペットのLFMを利用した摩擦係数マッピング図である。 本発明の実施例によるコーティング膜が形成されたタペットのAES分析結果のためのSEM画像である。 本発明の比較例によるコーティング膜が形成されたタペットのAES分析結果のためのSEM画像である。 実施例によるトライボ反応層の断面をTEMで観察した画像である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例を詳しく説明する。しかしながら、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態として具現可能なものであって、以下の実施例は、本発明の開示を完全にし、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。また、説明の便宜上、図面では、構成要素がその大きさが誇張または縮小されうる。本明細書で言及する膜は、膜の厚さによって薄膜または厚膜とも名付けられる。
本発明において、合金が所定の含量範囲を有する特定元素「からなる(consist of)」とは、意図していない不可避な不純物を除いた前記特定元素以外の他の元素は有意な含量範囲を有しながら、前記合金の組成に関与しないということを意味する。
本発明の一態様によれば、物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金を提供する。前記物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金は、低摩擦コーティング膜を形成するための物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金であって、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる。
物理蒸着(physical vapor deposition)は、固相の蒸着源であるターゲットを溶融させて気化させるか、スパッタリング(sputtering)させて母材の表面にコーティングを行う技術を言い、例えば、スパッタリング法、蒸発法、アーク蒸着法(arc deposition)、イオンビーム蒸着法(ion beam deposition)などを含みうる。
一方、本発明の他の態様によれば、物理蒸着用ターゲットを提供する。前記物理蒸着用ターゲットは、低摩擦コーティング膜を形成するためにZr−Cu−Si系合金からなる物理蒸着ターゲットであって、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる。
図1は、本発明の実施例による物理蒸着用合金ターゲットを構成する合金であるZr−Cu−Si合金の三元系状態図であり、下記表1は、本発明の実施例による物理蒸着用合金ターゲットを構成する合金の組成を示す。
図1及び表1を参照すれば、本発明の一態様による物理蒸着ターゲット用合金は、3種類の金属原素からなり、具体的には、銅(Cu)が4.0〜14.0原子%、ケイ素(Si)が4.0〜8.0原子%及び残部がジルコニウム(Zr)からなる。すなわち、物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金は、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる。
本発明のZr−Cu−Si系合金で前述した組成範囲を満足する場合、このような合金からなる物理蒸着ターゲットを用いて具現した物理蒸着物質膜は、23GPa以上の高い硬度と265GPa以上の高い弾性とを同時に具現しながらも、0.024よりも低い摩擦係数を具現することができる。一方、例えば、Zrの組成が82原子%よりも低い場合、合金の耐酸化性が相対的に低くなり、Cuの組成が16原子%を超過する場合、さらに厳格には、Cuの組成が14原子%を超過する場合、物理蒸着合金膜の摩擦係数が顕著に高くなる問題点が発生し、Siの組成が26原子%を超過する場合、さらに厳密には、Siの組成が8原子%を超過する場合、Siは窒化物に固溶されず、過度に析出されて物理蒸着合金膜の硬度と弾性とが低くなる問題点が発生する。
表1に示された本発明の実施例は、前述した組成範囲を満足する。例えば、実施例1による合金ターゲットは、Zr82Cu13.5Si4.5の化学組成(原子%)を有し、実施例2による合金ターゲットは、Zr84.1Cu10.4Si5.5の化学組成(原子%)を有し、実施例3による合金ターゲットは、Zr86.3Cu7.2Si6.5の化学組成(原子%)を有し、実施例4による合金ターゲットは、Zr88.4Cu4.1Si7.5の化学組成(原子%)を有し、実施例5による合金ターゲットは、Zr89.6Cu3.3Si7.1の化学組成(原子%)を有する。
一実施例として、前記物理蒸着ターゲットを構成する前記Zr−Cu−Si系合金は、溶湯を鋳造して具現した鋳造合金である。例えば、前記合金は、プラズマアークメルティング法を用いて製造した溶湯を鋳造してインゴットを製造した後、それを切断加工してターゲットを製造することができる。表2には、本実施例で使われたプラズマアークメルティング条件が示されている。
他の実施例として、前記物理蒸着ターゲットを構成する前記Zr−Cu−Si系合金は、粉末冶金法によって製造された焼結合金である。例えば、Zr、Cu及びSi粉末をボールミルなどを用いて機械的合金化した後、機械的合金化された粉末を焼結して製造することができる。前記焼結は、例えば、熱間焼結、スパークプラズマ焼結(spark plasma sintering)、ホットプレス(hot press)、高温等圧(hot isostatic press)焼結などを含みうる。表3には、ホットプレス及びスパークプラズマ焼結に対する工程条件が例示されている。
一方、他の例として、前記物理蒸着ターゲットを構成する前記Zr−Cu−Si系合金は、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる非晶質合金またはナノ結晶質合金を複数個で準備する段階;前記複数個の非晶質合金またはナノ結晶質合金を前記非晶質合金またはナノ結晶質合金のガラス遷移温度(Tg)以上結晶化開始温度(Tx)以下の温度範囲で所定時間保持しながら加圧することで第1次収縮する段階;及び前記複数個の非晶質合金またはナノ結晶質合金を前記非晶質合金またはナノ結晶質合金の溶融温度(Tm)の0.7〜0.9倍の温度範囲で所定時間保持しながら加圧することで第2次収縮する段階;を行うことで具現された結晶質合金である。
本発明のさらに他の態様によるナノ複合コーティング膜は、物理蒸着装置の内部に、不活性ガスを投入し、窒素ガス(N)または窒素元素(N)を含有する反応ガスを投入して、前述したZr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着して具現することができる。
前記ナノ複合コーティング膜は、窒素を含有するナノ複合コーティング膜であり、窒素を含有するナノ構造膜、ナノ窒化膜またはナノ構造複合膜などと理解される。
例えば、物理蒸着工程は、スパッタリング法である。表4には、本実施例で使用したスパッタリング法によるコーティング工程条件が示されている。
物理蒸着工程において、反応性ガスとして、窒素ガス(N)または窒素(N)を含むガス、例えば、アンモニア(NH)のようなガスをスパッタリングチャンバ内部に導入しながら反応性スパッタリングを行う場合、合金内で窒素と反応性である高いジルコニウム(Zr)が窒素と反応してジルコニウム窒化物(ZrN)を形成しうる。その他の元素は、ジルコニウム窒化物に固溶されるか、金属相で存在することもできる。
前記薄膜は、金属の窒化物相または1つ以上の金属相が互いに混合されている構造を有し、前記金属の窒化物相は、窒化物の構成元素であって、例えば、ジルコニウムを含みうる。この際、前記窒素を含有するナノ複合コーティング膜は、ジルコニウム窒化物の結晶構造を示し、他の金属原素は、窒化物の形態でジルコニウム窒化物に固溶される。この際、ジルコニウム窒化物は、物理蒸着時に、窒素を含む反応性ガスの条件によって、ZrNまたはZrNのうち何れか1つ以上が含まれる。
窒素を含有するナノ複合コーティング膜で金属の窒化物相は、数ないし数十ナノメートルサイズレベルの結晶粒からなるナノ結晶質構造を有する。これに比べて、金属相は、このようなナノ結晶粒界に微量分布される。例えば、金属相は、数個の原子単位で分布し、特別な結晶構造を成さない形態で存在することができる。但し、このような金属相は、特定領域に集中的に分布するものではなく、薄膜全体に均一に分布する。
窒素を含有するナノ複合コーティング膜が塗布された母材の特性をさらに向上させるために、窒素を含有するナノ複合コーティング膜の下部、すなわち、母材と窒素を含有するナノ複合コーティング膜との間には、バッファ層(buffer layer)がさらに形成されうる。この際、バッファ層は、例えば、窒素を含有するナノ複合コーティング膜の母材に対する接着力をさらに向上させるための接着層(adhesion layer)として機能することができる。他の例として、母材と窒素を含有するナノ複合コーティング膜との応力を弛緩させるための応力弛緩層になり、さらに他の例として、耐蝕性を向上させるための耐蝕層にもなりうる。しかし、バッファ層は、これに限定されず、薄膜の構造的な側面で窒素を含有するナノ複合コーティング膜と母材との間に介在される層をいずれも称することもできる。
このようなバッファ層としては、前記物理蒸着装置の内部に、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)を投入し、前述したZr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着して具現したZr−Cu−Siコーティングバッファ層が用いられうる。具体的に、物理蒸着チャンバ内に合金ターゲットを装着した後、物理蒸着で母材をコーティングする工程で、前記物理蒸着チャンバ内部に不活性ガスを導入しながら非反応性物理蒸着工程で母材の上部にバッファ層を所定の厚さほど形成した後、前記物理蒸着チャンバ内部に窒素ガスを導入しながら物理蒸着を行って窒素を含有するナノ複合コーティング膜を形成しうる。この場合、同じ合金ターゲットを用いてバッファ層及び窒素を含んだナノ構造膜をインサイチュ(in−situ)で形成しうる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
前記バッファ層及び窒素を含有するナノ複合コーティング膜の界面は、窒素または前記バッファ層を構成する元素が傾斜組成化された境界層を含みうる。すなわち、界面で組成が急激に変化されず、漸進的に変化されて組成が傾斜を有する境界層が形成されうる。
前述した本発明の技術的思想による窒素を含有するナノ複合コーティング膜は、エンジン用ピストン部品であるピストンピン、ピストンリングまたはタペットの表面に形成されるコーティング膜として適用可能である。以下、このような適用例を説明する。
本発明の技術的思想による窒素を含有するナノ複合コーティング膜がコーティングされたピストンピン、ピストンリングまたはタペットの製造方法は、ピストンピン、ピストンリングまたはタペットを物理蒸着装置の内部に配置した後、不活性ガスを投入し、窒素ガス(N)または窒素元素(N)を含有する反応ガスを投入して、Zr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着することにより、窒素を含有するナノ複合コーティング膜を前記ピストンピン、ピストンリングまたはタペットの表面に形成する段階を含む。この場合、前記合金ターゲットの組成は、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる。
物理蒸着法のうち、スパッタリングで蒸着する場合、前記窒素を含有するナノ複合コーティング膜を前記ピストンピン、ピストンリングまたはタペットの表面に形成する段階は、前記不活性ガス及び前記反応ガスを前記スパッタリング装置内に供給しながら物理蒸着プラズマソースに50〜350kHzの周波数領域を有するパルスパワーまたはDC電源を前記Zr−Cu−Si系合金ターゲットに単位面積当たり最小6W/cmを印加してプラズマを放電させて、活性化された反応ガスから生成された窒素イオンが前記合金ターゲットの金属イオンと結合して、前記ナノ複合コーティング膜を形成する段階を含みうる。
一方、本発明の技術的思想による窒素を含有するナノ複合コーティング膜がコーティングされたピストンピン、ピストンリングまたはタペットの製造方法は、前記ナノ複合コーティング膜を形成する前に、前記物理蒸着装置の内部に、不活性ガスを投入して、前記Zr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着してZr−Cu−Siコーティングバッファ膜を前記ピストンピン、ピストンリングまたはタペットの表面に形成する段階をさらに含みうる。
例えば、スパッタリングの場合、前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ膜を形成する段階は、前記不活性ガスを前記物理蒸着装置内に供給しながらスパッタリングプラズマソースに50〜350kHzの周波数領域を有するパルスパワーまたはDC電源を前記Zr−Cu−Si系合金ターゲットに単位面積当たり最小6W/cmを印加してプラズマを放電させて、活性化された反応ガスから生成された窒素イオンが前記合金ターゲットの金属イオンと結合して、前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ膜を形成する段階を含みうる。
さらに、本発明の技術的思想による窒素を含有するナノ複合コーティング膜がコーティングされたピストンピン、ピストンリングまたはタペットの製造方法は、前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ膜を形成する段階;以前に、前記物理蒸着装置内でイオンガンプラズマソース内に不活性ガスを投入し、パワーを印加して、前記不活性ガスをイオン化させ、イオンビームを放出させて、前記ピストンピン、ピストンリングまたはタペットの表面を活性化させる前処理段階;をさらに含みうる。この場合、前記前処理段階で前記パワーは、0.3〜1.0Aの電流及び1000〜2000Vの電圧条件を満足することができる。
前述した製造方法によって具現されたピストンピン、ピストンリングまたはタペットは、前記ピストンピン、ピストンリングまたはタペットの表面に形成された窒素を含有するナノ複合コーティング膜を含むが、前記ナノ複合コーティング膜のうちから窒素を除いた成分の組成は、Zrが80〜92原子%;Cuが2〜10原子%;及びSiが7原子%〜15原子%;からなる。前記窒素を含有するナノ複合コーティング膜は、10〜45GPaの硬度と150〜450GPaの弾性率とを有しながらも、0.008〜0.024の摩擦係数を有する。
以下、本発明の理解を助けるために実施例を提供する。但し、下記の実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明が、下記の実施例によって限定されるものではない。
表5は、本発明の実施例1ないし実施例5及び比較例1ないし比較例5によるスパッタリングターゲットの組成と物理蒸着工程条件によって具現されたナノ複合コーティング膜の組成、厚さ、粗度、硬度、弾性、摩擦係数を示したものである。基板としては、浸炭されたSCM415を使用した。
実施例1ないし実施例4に該当するスパッタリングターゲットは、プラズマアークメルティング法で製造した鋳造合金であり、実施例5に該当するスパッタリングターゲットは、スパークプラズマ焼結法で製造した焼結合金である。
実施例1ないし実施例5によれば、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなるスパッタリングターゲットをスパッタリング装置内に装着し、スパッタリング装置の内部に、不活性ガスを投入し、窒素ガス(N)または窒素元素(N)を含有する反応ガスを投入して、Zr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着して窒素を含有するナノ複合コーティング膜を形成する場合、前記ナノ複合コーティング膜のうちから窒素を除いた成分の組成は、Zrが80〜92原子%;Cuが2〜10原子%;及びSiが5〜15原子%;からなることを確認することができる。
一方、比較例1ないし比較例2は、Zr−Cu−Si系合金ターゲットを使用してナノ複合コーティング膜を形成したが、合金ターゲットが前述した組成範囲を満足していない場合であり、比較例3は、Zr−Cu−Si系合金ターゲットではなく、Zr−Si 2元系合金ターゲットを使用してコーティング膜を形成した場合に該当し、比較例4は、従来技術であるSi−DLCコーティング膜を適用した場合に該当し、比較例5は、コーティング膜を別途に適用していない場合に該当する。
図2は、実施例4の組成に該当するターゲット試片の微細組織をSEM及びBSEで観察した画像である。前記ターゲット試片の相対密度は、約99%であって、非常に高い値を示した。一方、図2に示すように、鋳造された試片は、デンドライト構造(dendrite structure)を示した。各試片の組成均一度を調査するするためにEDS分析を進行し、全体として均一な組成分布を有することを確認した。
図3は、実施例5に該当する組成のターゲット試片を製造するためにZr、Cu及びSi粉末をボールミルに投入して機械的合金化後、粉末の状態をSEMで観察した画像であり、図4(a)ないし図4(c)は、前記粉末の組成をEDSで分析した画像である。図3及び図4を参照することにより、投入されたZr、Cu及びSi粉末は、機械的合金化によって均一な分布を有するように合金化されたことを確認することができる。図5は、機械的合金化が完了した粉末の粒度をPSAで分析した結果であって、全体として均一な粒度を有することを確認することができる。
図6は、機械的合金化が行われた粉末を用いてスパークプラズマ焼結法で焼結した試片の微細構造をSEMで観察した画像である。全体として非常に微細な結晶粒で構成された均一な微細組織を示し、EDS分析を通じて全体として均一な組成分布を有することを確認することができた。
図7は、本発明の実施例2に該当するコーティング膜を形成するスパッタリング工程条件とXRD分析条件及び結果を示す回折チャートであり、図8は、実施例5に該当するコーティング膜のXRDを示す回折チャートである。図7及び図8を参照することにより、製造されたコーティング膜は、ZrNを基盤とするナノ複合結晶構造を有しいることが確認され、これより前記コーティング膜は、ZrN結晶構造を基本構造とするが、Cu及びSiが、前記ZrN結晶構造に含まれるナノ複合結晶構造を有することが分かる。
図9(a)及び図9(b)には、実施例5に該当するコーティング膜の表面及び断面をSEMで観察した画像が示されている。図9(a)及び図9(b)を参照することにより、製造されたコーティング膜は、非常に滑らかな表面を示し、柱状組織(columnar structure)を有することが分かる。
図10(a)は、実施例5に該当するコーティング膜の微細構造をTEMで観察した画像であり、図10(b)は、SEAD分析を行った回折パターンである。図10(a)を参照することにより、結晶粒のサイズは、5〜20nmの範囲の非常に微細な結晶粒サイズを有することが分かる。また、図10(b)を参照することにより、ナノ複合コーティングで確認されるリングパターン(ring−pattern)が表われることが分かる。
表5を見れば、本発明の実施例によるナノ複合コーティング膜は、23〜44GPaの高い硬度と265〜421GPaの高い弾性とを有しながらも、0.008〜0.024の低い摩擦係数を有することを確認することができる。一方、本発明の比較例によれば、硬度及び弾性は高いが、摩擦係数が相対的に高く(比較例1、比較例2)、摩擦係数は低いが、硬度や弾性が相対的に低く(比較例3)、あるいは硬度と弾性は低く、摩擦係数は高くて(比較例4、比較例5)、低摩擦用コーティング膜に適しないことを確認することができる。
図11は、本発明の一部の実施例及び比較例によるコーティング膜に対して往復動摩擦試験の条件及び結果を示す図である。
図11を参照することにより、本発明の実施例による窒素を含有するナノ複合コーティング膜の摩擦係数は、DLCコーティング膜に比べて著しく低いことを確認した。したがって、母材上にDLCが形成された場合よりも母材上に本発明の実施例による窒素を含有するナノ複合コーティング膜が形成された場合、低摩擦特性にさらに優れていることを確認することができる。
図12は、リングライナースカッフィング抵抗性の試験結果を示すグラフであるる。コーティング膜が形成される試験材は、ピストンリングであり、試験相手材は、シリンダーライナーであった。潤滑剤は、5W30とMoDTCとを混合して使用した。本試験では、実施例5に該当するコーティング膜で試験し、これに対する比較例としては、別途に製作された2種類のTaC(tetrahedral amorphous carbon)コーティング膜TaC(1)(比較例7)、TaC(2)(比較例8)を使用した。図12を参照すれば、本発明の実施例5によるコーティング膜が、比較例7及び比較例8に比べて格段に優れた特性を示すことを確認することができる。
表6には、ライナースカッフィング抵抗性の試験前後、実施例5、比較例7及び比較例8の粗度変化が示されている。表6を参照することにより、実施例5のコーティング膜の場合、試験が完了した後にも、ライナーの損傷が発生せず、コーティング膜表面自体も摩耗がほとんど起こらなかった。一方、比較例7及び比較例8の場合には、コーティング膜の激しい摩耗によって粗度の変化が顕著に表われた。
以下、本発明の実施例及び比較例によるコーティング膜のトライボ反応層(tribo−reaction layer)の分析結果を説明する。試片であるタペットの表面には、実施例2及び比較例4に該当するコーティングを形成し、往復動摩擦試験が完了した後、表面に形成されたトライボ反応層を分析した。コーティングされたタペットは、往復動型高温摩擦試験機を用いて5W30及びMoDCTの潤滑状態で1時間、摩擦試験が行われた。このとき適用された荷重は、75Nであり、往復動距離は、10mm、速度5Hz(100mm/秒)、温度100℃で行われた。各サンプルは、LFM分析前、表面の残余潤滑成分の除去のために1分間エタノールと共に超音波バス(ultrasonic bath)で洗浄した。その後、ナノ複合コーティング膜に生成されたトライボ反応層の摩擦特性を詳しく調べるために、AFM装備を用いてLFMモードで摩擦係数を求めた。LFM測定条件は、スキャン速度0.5Hz、10mNの荷重で20X20μmの領域を測定し、該測定された摩擦係数は、マッピング(mapping)で示した。
LFM(Lateral Force Microscopy)の原理は、AFM(Atomic Force Microscopy)と非常に類似している。AFMの場合、コンタクトモード(Contact mode)では、カンチレバー(cantilever)の垂直方向への反り程度を測定して試料表面の情報を収集する一方、LFMでは、カンチレバーの水平方向への反り程度を測定する。カンチレバーで試料表面を測定時に、試料表面の形状、摩擦係数(friction coefficient)、カンチレバーの移動方向、カンチレバーの水平バネ定数によって、その反り程度が変わる。それを通じて異なる成分で構成された材料表面でカンチレバー傾度差を測定することにより、試料表面の摩擦特性を分析することができる。
図13A及び図13Bは、本発明の実施例2によるコーティング膜が形成されたタペットのAFM光学顕微鏡写真及びLFMを利用した摩擦係数マッピング図である。図14A及び図14Bは、本発明の比較例4によるコーティング膜が形成されたタペットのAFM光学顕微鏡写真及びLFMを利用した摩擦係数マッピング図である。
LFMで測定された摩擦係数の結果、ナノ複合コーティング膜(実施例2)が蒸着されたタペットは、Si−DLC(比較例4)が蒸着されたタペットに比べて顕著に低い摩擦係数を示した。これは、図13及び図14のLFM結果から分かる。各組成の摩擦部位を測定するためのSEM観察結果を見れば、図13Aのナノ複合コーティング膜(実施例2)の場合、ダーク(dark)領域とブライト(bright)領域とが確実に差があるのが確認された。一方、図14Aのコーティング膜(比較例4)は、相対的に大きな差がないことが分かる。図13Aのナノ複合コーティング膜(実施例2)で確認されたダーク領域は、トライボ反応層と判断され、ブライト領域は、このようなトライボ反応層が形成されていない領域と判断される。
摩擦によって形成されるトライボ反応層は、合計300〜600nmの厚さであって、そのうち、反応層の最外郭に形成される有機物層は、2〜100nmの厚さを有し、図17には、例示的に摩擦反応層の断面をTEMで観察した結果が示されている。
LFMで測定された摩擦係数マッピング(friction coefficient mapping)イメージを図13B及び図14Bに示した。実施例2のコーティング膜は、平均摩擦係数0.016であり、測定された全領域にわたって低い摩擦係数を示す。特に、摩擦試験のうち、固相接触(solid contact)が起こるダーク領域では、低い摩擦係数が確認され、ブライト領域では、高い摩擦係数が確認された。一方、図14Bを参照することにより、比較例4の場合、平均摩擦係数が0.032であって、全領域にわたって高い摩擦係数が確認され、測定された領域内の極小領域のみで低い摩擦係数が確認された。
トライボ反応層のさらに詳細な成分分析のためにAES測定を実施した。図15は、本発明の実施例2によるコーティング膜が形成されたタペットのAES分析結果のためのSEMイメージであり、表7は、本発明の実施例2によるコーティング膜が形成されたタペットに対してトライボ反応層に対するポイント分析結果を示したものである。
図16は、本発明の比較例4によるコーティング膜が形成されたタペットのAES分析結果のためのSEMイメージであり、表8は、本発明の比較例4によるコーティング膜が形成されたタペットに対してトライボ反応層に対するポイント分析結果を示したものである。
AESポイント分析を通じて図15及び図16のSEMイメージで確認された各サンプルのトライボ反応層と判断されるダーク領域とトライボ反応層のないブライト領域との元素(element)分析を進行した。AES分析結果、2つのサンプルの全域にわたってコーティング層構成成分と潤滑組成がいずれも検出された。表7にナノ複合コーティング膜(実施例2)のダーク領域とブライト領域との含量変化を示した。ダーク領域では、コーティング組成のうち、Cuがブライト領域に比べて高い含量を示し、Zr、Siの含量は、むしろブライト領域で高い値を示した。また、潤滑油成分のうち、トライボ反応層として作用すると知られたS、Pと低い摩擦特性を示すMo、Ca、Kがダーク領域で高く検出された。
図16及び表8によれば、比較例4の場合、ダーク領域でコーティング層組成C、Siが高く検出されている。S、P、Mo、Ca、Kは、ダーク領域に比べてむしろブライト領域でさらに多く検出される。ナノ複合コーティング膜(実施例2)結果と比べる時、Si−DLCのAES分析で確認されたダーク領域とLFMを利用した摩擦係数マッピング結果から確認された極小部位の低摩擦領域は、トライボ反応層ではない残留オイルと判断される。
この結果から、本発明の実施例によるナノ複合コーティング膜のうち、固体潤滑材軟質金属としてよく知られた銅(Cu)が摩擦試験中に潤滑油組成と反応してトライボ反応層の生成に寄与し、これが低い摩擦係数に至らしめることを確認することができる。
本発明は、図面に示された実施例を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるべきである。

Claims (15)

  1. 低摩擦コーティング膜を形成するための物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金であって、
    Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる物理蒸着ターゲット用Zr−Cu−Si系合金。
  2. 低摩擦コーティング膜を形成するためにZr−Cu−Si系合金からなる物理蒸着ターゲットであって、
    Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる物理蒸着用ターゲット。
  3. 前記Zr−Cu−Si系合金は、溶湯を鋳造して具現した鋳造合金であることを特徴とする請求項2に記載の物理蒸着用ターゲット。
  4. 前記Zr−Cu−Si系合金は、粉末を利用した焼結法で製造された焼結合金であることを特徴とする請求項2に記載の物理蒸着用ターゲット。
  5. 低摩擦コーティング膜を形成するためにZr−Cu−Si系合金からなる物理蒸着ターゲットであって、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる物理蒸着用ターゲットの製造方法であって、
    前記Zr−Cu−Si系合金は、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなる非晶質合金またはナノ結晶質合金を複数個で準備する段階と、
    複数個の前記非晶質合金またはナノ結晶質合金を前記非晶質合金またはナノ結晶質合金のガラス遷移温度(Tg)以上結晶化開始温度(Tx)以下の温度範囲で所定時間保持しながら加圧することで第1次収縮する段階と、
    複数個の前記非晶質合金またはナノ結晶質合金を前記非晶質合金またはナノ結晶質合金の溶融温度(Tm)の0.7〜0.9倍の温度範囲で所定時間保持しながら加圧することで第2次収縮する段階と、
    を行うことで具現された結晶質合金であることを特徴とする物理蒸着用ターゲットの製造方法
  6. 物理蒸着装置の内部に、不活性ガスを投入し、窒素ガス(N)または窒素元素(N)を含有する反応ガスを投入して、Zr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着して窒素を含有するナノ複合コーティング膜を形成する段階を含み、
    前記Zr−Cu−Si系合金ターゲットの組成は、Zrが82〜90原子%;Cuが4〜14原子%;及びSiが4〜8原子%;からなることを特徴とするナノ複合コーティング膜の製造方法。
  7. 前記ナノ複合コーティング膜を形成する段階と、
    前記膜を形成する段階の前に、前記物理蒸着装置の内部に、不活性ガスを投入して、Zr−Cu−Si系合金ターゲットを物理蒸着して前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ層を形成する段階と、
    をさらに含む請求項6に記載のナノ複合コーティング膜の製造方法。
  8. 前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ層を形成する段階と、
    前記バッファ層を形成する段階の前に、前記物理蒸着装置内でイオンガンプラズマソース内に不活性ガスを投入し、パワーを印加して、前記不活性ガスをイオン化させ、イオンビームを放出させて、前記Zr−Cu−Siコーティングバッファ層が形成される対象体の表面を活性化させる前処理段階と、
    をさらに含む請求項7に記載のナノ複合コーティング膜の製造方法。
  9. 前記膜を形成する段階または前記前処理段階は、プラズマ雰囲気で進行することを特徴とする請求項8に記載のナノ複合コーティング膜の製造方法。
  10. 前記窒素を含有するナノ複合コーティング膜は、前記窒素を含有するナノ複合コーティング膜の組成が前記窒素を除き、Zrが80〜92原子%;Cuが2〜10原子%;及びSiが7原子%〜15原子%;からなることを特徴とする請求項6に記載のナノ複合コーティング膜の製造方法。
  11. 窒素を含有するナノ複合コーティング膜であって、前記ナノ複合コーティング膜のうちから窒素を除いた成分の組成が、Zrが80〜92原子%;Cuが2〜10原子%;及びSiが5〜15原子%;からなることを特徴とするナノ複合コーティング膜。
  12. 前記ナノ複合コーティング膜は、ZrNまたはZrN基盤の結晶構造を有する請求項11に記載のナノ複合コーティング膜。
  13. 前記ナノ複合コーティング膜は、相手材と接触して摩擦される場合、表面の少なくとも一部領域にトライボ反応膜が形成され、
    前記トライボ反応膜が形成された領域でのCuの組成が、前記トライボ反応膜が形成されていない領域に比べてさらに高い請求項11に記載のナノ複合コーティング膜。
  14. 前記トライボ反応膜が形成された領域でのS及びPの組成が、前記トライボ反応膜が形成されていない領域に比べてさらに高い請求項13に記載のナノ複合コーティング膜。
  15. 前記ナノ複合コーティング膜は、10〜45GPaの硬度と、150〜450GPaの弾性率と、を有することを特徴とする請求項11に記載のナノ複合コーティング膜。
JP2020511987A 2017-08-31 2018-08-31 物理蒸着用ターゲット及びそれを用いたナノ複合コーティング膜及びその製造方法 Active JP6944045B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR20170110962 2017-08-31
KR10-2017-0110962 2017-08-31
KR1020180103288A KR102030456B1 (ko) 2017-08-31 2018-08-31 물리증착용 타겟 및 이를 이용한 나노 복합 코팅막 및 그 제조방법
PCT/KR2018/010147 WO2019045519A1 (ko) 2017-08-31 2018-08-31 물리증착용 타겟 및 이를 이용한 나노 복합 코팅막 및 그 제조방법
KR10-2018-0103288 2018-08-31

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020533482A JP2020533482A (ja) 2020-11-19
JP6944045B2 true JP6944045B2 (ja) 2021-10-06

Family

ID=65801094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020511987A Active JP6944045B2 (ja) 2017-08-31 2018-08-31 物理蒸着用ターゲット及びそれを用いたナノ複合コーティング膜及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6944045B2 (ja)
KR (1) KR102030456B1 (ja)
DE (1) DE112018004793T5 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110752357B (zh) * 2019-10-16 2021-01-15 成都新柯力化工科技有限公司 一种锂电池多孔Fe基非晶态合金包覆硅负极及制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20110055399A (ko) * 2009-11-19 2011-05-25 한국생산기술연구원 다성분 합금계 스퍼터링 타겟 모물질 및 다기능성 복합코팅 박막 제조방법
JP5648289B2 (ja) 2010-01-14 2015-01-07 豊田合成株式会社 スパッタリング装置および半導体発光素子の製造方法
KR101501067B1 (ko) * 2013-06-07 2015-03-17 한국생산기술연구원 비정질 형성능을 가지는 결정질 합금, 그 제조방법, 스퍼터링용 합금타겟 및 그 제조방법
KR20160050663A (ko) * 2014-10-30 2016-05-11 한국생산기술연구원 비정질막 및 질소를 포함하는 나노구조막의 제조방법
JP6464740B2 (ja) 2014-12-26 2019-02-06 三菱マテリアル株式会社 電子・電気機器用銅合金、電子・電気機器用銅合金薄板、電子・電気機器用部品、端子及びバスバー

Also Published As

Publication number Publication date
DE112018004793T5 (de) 2020-11-05
KR20190024843A (ko) 2019-03-08
JP2020533482A (ja) 2020-11-19
KR102030456B1 (ko) 2019-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6273563B2 (ja) 被覆膜とその製造方法およびpvd装置
JP4619405B2 (ja) 基板上に硬化面を形成する方法
JP6534123B2 (ja) 被覆膜とその製造方法およびpvd装置
JP6297049B2 (ja) コーティングを有するコンポーネントおよびその製造方法
CN110770362B (zh) 滑动构件及包覆膜
JP2016500761A (ja) コーティングを有するコンポーネントおよびその製造方法
JP6944045B2 (ja) 物理蒸着用ターゲット及びそれを用いたナノ複合コーティング膜及びその製造方法
Hao et al. Microstructure characteristics and mechanical properties of Al-12Si coatings on AZ31 magnesium alloy produced by cold spray technique
Yan et al. In situ synthesis and hardness of TiC/Ti5Si3 composites on Ti-5Al-2.5 Sn substrates by gas tungsten arc welding
JP2003247060A (ja) 非晶質炭素被膜の製造方法及び非晶質炭素被覆摺動部品
JP6967209B2 (ja) 低摩擦コーティング膜が形成されるピストンリング及びその製造方法
US20160289813A1 (en) Method for manufacuring amorphous alloy film and method for manufacturing nanostructured film comprising nitorgen
JP2019066024A (ja) ピストンリング
KR20140144755A (ko) 저마찰 특성을 가지는 나노구조 복합박막, 그 제조방법 및 저마찰 특성 부재 및 그 제조방법
KR102174327B1 (ko) 저마찰 코팅막이 형성된 피스톤 핀 및 그 제조방법
KR102174328B1 (ko) 저마찰 코팅막이 형성된 타펫 및 그 제조방법
Sheveyko et al. Hybrid Technology Combining Vacuum Electrospark Alloying, Cathodic Arc Evaporation, and Magnetron Sputtering for the Deposition of Hard Wear-Resistant Coatings
KR20140143027A (ko) 비정질 형성능을 가지는 결정질 합금, 그 제조방법, 스퍼터링용 합금타겟 및 그 제조방법
KR20160051952A (ko) 비정질막 및 질소를 포함하는 나노구조막의 제조방법
WO2019045519A1 (ko) 물리증착용 타겟 및 이를 이용한 나노 복합 코팅막 및 그 제조방법
KR101517146B1 (ko) 저마찰 특성을 가지는 나노구조 복합박막, 그 제조방법 및 저마찰 특성 부재 및 그 제조방법
KR101552242B1 (ko) 비정질 형성능을 가지는 결정질 합금, 그 제조방법, 스퍼터링용 합금타겟 및 그 제조방법
Kiryukhantsev-Korneev et al. Effect of a Gas Medium on the Mechanical, Tribological, and Anticorrosion Properties of Cr–Ni–Al–C–N Coatings Deposited by the Pulsed Cathodic Arc Evaporation Method
KR20160049255A (ko) 스퍼터링 타겟용 합금 및 이로 이루어진 스퍼터링 타겟
JP5294026B2 (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6944045

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210909