JP6933547B2 - 電気ケーブル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[2]前記発泡介在物は、前記EVAの他に、EVA以外の1種以上のポリマを含有することを特徴とする前記[1]に記載の電気ケーブル。
[3]前記1種以上のポリマは、融点100℃以上のポリマであることを特徴とする前記[2]に記載の電気ケーブル。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の電気ケーブルを製造するための電気ケーブルの製造方法であって、前記発泡介在物は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を40質量%以上含有する樹脂組成物と、発泡用マスターバッチとを使用して発泡成形されたものであることを特徴とする電気ケーブルの製造方法。
[5]前記発泡用マスターバッチは、ベースポリマとしてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン及びポリスチレンから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする前記[4]に記載の電気ケーブルの製造方法。
[6]前記発泡用マスターバッチは、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を含有することを特徴とする前記[4]又は[5]に記載の電気ケーブルの製造方法。
[7]前記発泡介在物は、前記発泡用マスターバッチを2種以上使用して発泡成形されたものであることを特徴とする前記[4]〜[6]のいずれか1つに記載の電気ケーブルの製造方法。
[8]前記樹脂組成物に含有される前記EVAは、2種以上のEVAの混合物であることを特徴とする前記[4]〜[7]のいずれか1つに記載の電気ケーブルの製造方法。
[9]前記樹脂組成物に含有される前記EVAは、酢酸ビニル含量が5質量%以上50質量%未満であることを特徴とする前記[4]〜[8]のいずれか1つに記載の電気ケーブルの製造方法。
上記樹脂組成物(介在用ポリマ)のベースポリマがEVAのみ又はEVAを主体としたポリマ構成で20%以上の発泡度とする場合、発泡用マスターバッチのポリマや発泡剤は以下の観点から自由に設計できる。
発泡用マスターバッチのポリマは介在用ポリマのベースポリマと同様のEVAを選択したほうが良く、発泡剤はADCA、OBSHのどちらを用いても良い。発泡用マスターバッチ中のポリマにEVAを推奨する理由は介在用ポリマに用いたEVAと親和させ、発泡の起点となる核の数を減少させるためである。発泡核が少なくなることで大径発泡が形成される。発泡剤のADCAとOBSHを比較すると、発泡する成分の組成差から、OBSHの方が若干大きめの発泡を形成する。ここでいう大径とは250μmφ以上で構成されるものをいう。
発泡用マスターバッチのポリマは介在用ポリマのベースポリマとグレードの異なるポリマを選択したほうが良く、発泡剤はADCAを選定した方が良い。グレードの異なるポリマがEVAを主体とするマトリックス中で、細径分散し、そこを核に発泡するからである。ここでいう小径とは200μmφ以下で構成されるものをいう。
(実施例1〜12のケーブル)
円形圧縮導体1(3mmφ)(品番5.5SQ)に絶縁体2としてシラン架橋ポリエチレンを肉厚が1.0mmtとなるように被覆してケーブル線心3を作製した。その後、3本のケーブル線心3をピッチ180mmでS撚り(右撚り)し、撚り合せコア4を得た。得られた撚り合せコア4の周囲に2層ヘッド付押出機を用いて発泡介在物5(内層)及びPVCシース6(外層)を設け、図1の構造の電気ケーブル10を得た。発泡介在物5は、表1に示す介在用ポリマ(P1〜P18)に表2に示す発泡用マスターバッチ(M1〜M9)を表3に示す組み合わせにしたがって混合した樹脂組成物(試料No.1〜12、21、22)及び表3に示す試料No.13〜20の樹脂組成物をそれぞれ押出機に供給し、充実押出法で撚り合せコア4の周囲に被覆した。PVCシース6の材料は既存の材料を用い、厚さは1.5mmtで固定し、仕上がり外径12.5mmφとした。発泡介在物5及びPVCシース6の押出条件は、表4の通り固定条件で行った。
上記実施例と同様にして得た撚り合せコア4にPPヤーンを挿入しながらピッチ180mmでS撚り(右撚り)し、PETテープ巻を施した。その後、PVCシースを押出成形し、従来の電気ケーブルを得た。
発泡介在物5(内層)に替えて発泡させていない介在物を表1及び3に示す樹脂組成物を用いて設けた点を除き、上記実施例1〜12の電気ケーブルと同様にして製造した。
PVCシース6を剥いで、介在物と撚り合せコア4とにした後、介在物の剥離作業を手作業で行った。介在物が手で容易に剥離できて、撚り合せコア4(架橋ポリエチレンからなる絶縁体2)側に介在物が残らないものを◎(合格:優良)、剥離時抵抗を感じたり、撚り合せコア4(架橋ポリエチレンからなる絶縁体2)から介在物を剥離できるが1回では付着を完全に除去できないものを○(合格:良)、撚り合せコア4から介在物を手作業で剥離できないものを×(不合格)とした。
PVCシース6を剥いで、発泡介在物5を撚り合せコア4から分離させた後、発泡介在物5をJISK6723準拠の型枠(幅6mm、長さ38mm)を用いて打ち抜き、試験片を作製した。この試験片を用いて耐寒性試験(JISK6723準拠)を実施した。試験結果が−20℃以下のものを◎(合格:優良)、−20℃未満−15℃以下のものを○(合格:良)、−15℃未満のものを×(不合格)とした。
電気ケーブルを300mm長に切断し、150mmを固定、150mmをフリーとした状態で、フリーとなる先端に紐で500gの錘を装着し、たわみ度合を求めた。たわみ量が70mm以上のものを◎(合格:優良)、70mm未満30mm以上のものを○(合格:良)、30mm未満のものを×(不合格)とした。
電気ケーブルを100mm長に切断し、PVCシース6を剥いで、発泡介在物5を取出し、その発泡度を比重法より算出した。具体的には、発泡度(%)=100−(発泡後の比重/発泡前の比重)×100という式により求めた。
・実施例3〜4は、介在用ポリマとしてEVA2種を用いた系である。実施例4は、発泡用マスターバッチ2種をブレンドした系である。
・実施例5は、介在用ポリマとしてEVA3種を用いた系である。
・実施例6〜10は、介在用ポリマとしてEVAにLDPE又はPPをブレンドした系であり、発泡用マスターバッチ2種以上をブレンドした系である。
・実施例11〜12は、介在用ポリマとしてEVAにLDPEをブレンドし、かつ、炭酸カルシウム又は焼成クレーをブレンドした系であり、発泡用マスターバッチ2種以上をブレンドした系である。
・実施例1〜12では、発泡度の制御が容易であり、かつ剥離性、耐寒性、屈曲性のいずれも良好な結果を得ることができた。なお、実施例11〜12では、耐寒性及び屈曲性に若干性能低下が見られた。
・実施例1〜12では、発泡介在物5の発泡度を20%以上とすることができたため、比較例1の電気ケーブルの質量を100とした場合における質量を105以下に抑えることができた。
・実施例1、3、4、6〜12は、発泡介在物5の発泡度が30%以上となった。
・比較例2〜9は非発泡系で種々のポリマを試した系である。PPを用いた比較例2は剥離はできたものの硬く、他の性能を発現することができなかった。比較例3〜9は耐寒性のみ良好であったが他の性能は良くなかった。
(1)ケーブル線心を構成する絶縁体を非極性ポリマーである架橋ポリエチレンとし、発泡介在物を極性ポリマーであるエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)としたため、両者の融着を抑制することができる。
(2)発泡介在物を発泡させるために水を用いることを条件としないために、水以外の発泡剤を用いることにより発泡介在物の発泡度を容易に制御することができる。
(3)発泡介在物を、一般的に耐寒性が低いポリエチレン、ポリプロピレン等のホモポリマーに代えて、一般的に耐寒性に優れたコポリマーであるエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)としたため、耐寒性を向上することができる。
(4)発泡介在物を20%以上の適切な発泡度にしたため、電気ケーブルの屈曲性を所望のものにすることができる。
5:発泡介在物、6:シース
10:電気ケーブル
Claims (9)
- 導体、及び前記導体を被覆する架橋ポリエチレンからなる絶縁体を含む複数のケーブル線心と、
前記複数のケーブル線心の間隙に介在する発泡介在物と、
前記複数のケーブル線心、及び前記発泡介在物を一括被覆するシースと、
を備えた電気ケーブルであって、
前記発泡介在物は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を60〜99質量%、ポリエチレン(PE)を1〜40質量%含有し、発泡度が20%以上であり、前記複数のケーブル線心と前記シースとの間隙に充填されている電気ケーブル。 - 前記発泡介在物は、前記EVAの他に、EVA以外の1種以上のポリマを含有することを特徴とする請求項1に記載の電気ケーブル。
- 前記1種以上のポリマは、融点100℃以上のポリマであることを特徴とする請求項2に記載の電気ケーブル。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気ケーブルを製造するための電気ケーブルの製造方法であって、
前記発泡介在物は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を40質量%以上含有する樹脂組成物と、発泡用マスターバッチとを使用して発泡成形されたものであることを特徴とする電気ケーブルの製造方法。 - 前記発泡用マスターバッチは、ベースポリマとしてエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン及びポリスチレンから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の電気ケーブルの製造方法。
- 前記発泡用マスターバッチは、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を含有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電気ケーブルの製造方法。
- 前記発泡介在物は、前記発泡用マスターバッチを2種以上使用して発泡成形されたものであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の電気ケーブルの製造方法。
- 前記樹脂組成物に含有される前記EVAは、2種以上のEVAの混合物であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の電気ケーブルの製造方法。
- 前記樹脂組成物に含有される前記EVAは、酢酸ビニル含量が5質量%以上50質量%未満であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の電気ケーブルの製造方法。
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