<<第一の実施形態>>
以下、本発明の第一の実施形態を説明する。本実施形態では、保守員が携帯する携帯端末のセンサを用い、エレベーターの乗りかごの床面と乗り場の床面との段差を検出する。
図1は、本実施形態のエレベーター点検システム500の要部構成を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のエレベーター点検システム500は、エレベーター300の乗りかご311の昇降を制御するエレベーター制御装置320と、保守員が携帯する携帯端末100と、管制センタに配置される管制センタ装置400と、を備える。
エレベーター制御装置320と、携帯端末100と、管制センタ装置400とは、ネットワーク200を介してデータ通信可能に接続される。
ネットワーク200は、インターネットやLTE(Long Term Evolution)、LAN(Local Area Network)等に代表される広域通信回線網である。ネットワーク200に接続される各装置は、ネットワーク200を介して各種データをやり取りする。
[エレベーター]
エレベーター制御装置320および携帯端末100の機能の詳細な説明に先立ち、エレベーター制御装置320が制御するエレベーター300の概要を説明する。説明においては、図1の、本実施形態のエレベーター300の一例の構成を示す立断面図を用いる。なお、ここでは、本実施形態の説明に必要な構成のみ抜粋して図示し、説明する。
本実施形態のエレベーター300は、建物内に設置される。本実施形態のエレベーター300は、エレベーター制御装置320と、乗りかご311と、ロータリエンコーダ312と、駆動装置313と、ロープ314と、カウンタウエイト315と、ドア316と、乗り場317と、を備える。
乗りかご311は、昇降路318内を走行し、乗客を運搬する箱型の乗り物である。
ロープ314は、乗りかご311とカウンタウエイト315とに接続し、駆動装置313を支点に双方の釣り合いを担う。
カウンタウエイト315は、乗りかご311と釣り合いをとり、乗りかご311の昇降時の負担を軽減するための重りである。
ドア316は、乗客が安全に乗りかご311に乗降するためのドアであり、乗り場317に着床した時のみ開くよう、エレベーター制御装置320により制御される。
乗り場317は、建物の各階床である。乗りかご311は、乗り場317の床面と同じ高さに停止するよう、エレベーター制御装置320により制御される。
駆動装置313は、エレベーター制御装置320からの指令に従って、駆動装置313が備える回転機を動作させる。これにより、回転機にかかるロープ314を動作させ、間接的に乗りかご311を上下方向に動作させる。
ロータリエンコーダ312は、駆動装置313の回転機の速度や回転数等の状態を捕捉可能なデータをエレベーター制御装置320に出力する。エレベーター制御装置320は、このデータにより、乗りかご311の位置や速度を把握できる。
エレベーター制御装置320では、ロータリエンコーダ312からの出力と各種の制御指令とに応じ、乗りかご311の走行を制御する。特に、本実施形態では、乗客から指定された目的階の乗り場317の床面(階床床面)と乗りかご311の床面(かご床面)とが同じ高さになるよう、乗りかご311を停止させるよう制御する。エレベーター制御装置320から出力される走行指令により、駆動装置313の回転機が回転し、これにかかるロープ314が上下方向に動作することで、乗りかご311が走行する。
[エレベーター制御装置]
次に、上記機能を実現する、本実施形態のエレベーター制御装置320の機能構成を説明する。本実施形態のエレベーター制御装置320は、図2に示すように、送受信部321と、運転制御部322と、段差有無判別部323と、補正値更新部324と、記憶部330と、を備える。
また、記憶部330には、階高値テーブル331と、補正値テーブル332と、計測段差データ333と、が格納される。
送受信部321は、ネットワーク200を介して外部装置とのデータの送受信を制御する。
運転制御部322は、走行指令に従って、乗りかご311の走行を制御する。例えば、かご内ボタンにより指定された目的階に乗りかご311を走行させ、当該目的階の乗り場317に着床させる。また、乗り場317に設けられた乗り場ボタンが押下されると、当該乗り場317に乗りかご311を走行させ、乗りかご311を着床させる。
このとき、目的階に到着すると、運転制御部322は、予め定めた停止位置および当該停止位置を補正する停止位置補正値(以下、単に補正値と呼ぶ)とに従って、乗りかご311の着床を制御する。なお、停止位置および補正値は、記憶部330の階高値テーブル331と、補正値テーブル332と、にそれぞれ、格納される。
なお、本実施形態では、走行指令は、かごボタンおよび乗り場ボタンによるものだけでなく、携帯端末100またはエレベーター制御装置320に接続された操作装置を介して保守員からの指示に応じても生成される。
また、本実施形態の運転制御部322は、記憶部330に格納される設定値を用いて、乗りかご311の運転方法を変更することができる。例えば、携帯端末100または上記操作装置から、段差確認運転実行の指示を受け取ると、段差確認運転を実行する。段差確認運転は、乗りかご311を、指定された階床に指定された走行方向で走行させて着床させ、かご床面と階床床面との間に段差が発生するか否かを確認する運転である。段差の有無は、後述する段差有無判別部323に判別させる。
ここで、記憶部330に格納される階高値テーブル331および補正値テーブル332について説明する。
階高値テーブル331には、乗りかご311の停止位置として、各階床の階高が登録される。図3(a)に、階高値テーブル331の一例を示す。本図に示すように、階床331a毎に、階高値331bが登録される。
階高値331bとしては、例えば、最下階からの高さ(距離;単位mm)が登録される。最下階からの高さは、エレベーター300の据え付け時に乗りかご311を最下階から昇降させ、階床毎に、ロータリエンコーダ312の出力パルス数を記憶し、それを、距離(階高)に換算し、登録される。各階床の階高は、階床毎の停止位置として運転制御部322が乗りかご311の走行制御を行う際に参照される。
補正値テーブル332には、各階床の停止位置に関し、階高値331bからの調整値(補正値)が登録される。図3(b)に、補正値テーブル332の一例を示す。本図に示すように、階床332aの、上昇時(UP)および下降時(DN)、それぞれの走行方向332b毎に、補正値332cが登録される。
なお、最上階は上昇時(UP)、最下階は下降時(DN)のみの補正値が登録される。また、走行方向に加え、さらに、長工程運転等、運転の種類毎に補正値332cが登録されてもよい。
補正値332cは、例えば、後述する補正値更新部324により、登録および更新される。補正値332cは、例えば、階高に対するかご床面の調整量が正負を付して登録される。かご床面が階床床面より、20mm高い場合、段差を解消するために乗りかご311を20mm下方向に移動する必要がある。この場合、−20mmを示すデータが登録される。一方、かご床面が階床床面より10mm低い場合、段差を解消するために乗りかご311を10mm上方向に移動する必要がある。この場合、+10mmを示すデータが登録される。
段差有無判別部323は、エレベーター300に取り付けられた段差センサ340で検出された乗りかご311の停止位置に応じて、かご床面と、目的階の階床床面とに段差があるか否かを判別し、判別結果を出力する。段差有無判別部323は、乗りかご311が目的階で停止する毎に、段差の有無を判別する。
段差センサ340は、例えば、各階床にしゃへい板を設け、乗りかご311の床面がそのしゃへい板を通過してから停止するまでの距離を検出し、予め定めた停止距離と比較する。段差有無判別部323は、両者の差を段差量として算出し、段差量が、予め記憶部330に記憶した判定値以上の場合、段差有りと判別する。
段差有無判別部323は、段差有りと判別した場合、当該段差量を計測段差データ333として、記憶部330に記憶する。このとき、例えば、計測日時、段差が発生した階(段差発生階)の階床を特定する情報、および走行方向に対応づけて記憶する。なお、段差を検出しない場合(段差無しと判別した場合)であっても、段差0であることを、時刻、階床を特定する情報に対応づけて登録してもよい。
また、段差有無判別部323は、段差有りと判別した場合、送受信部321を介して、管制センタ装置400に通報する。
補正値更新部324は、補正値テーブル332に登録される補正値332cを更新する。本実施形態では、段差有無判別部323から段差量を受信した場合、または、携帯端末100から後述する段差補正指令を受信した場合、更新を行う。本実施形態では、段差量または段差補正指令に含まれる修正量を、現状の補正値332cに加算する。
[携帯端末]
次に、本実施形態の携帯端末100について、本実施形態に関連する構成に主眼をおいて説明する。本実施形態では、携帯端末100で、段差を確認する。
まず、携帯端末100の外形形状を説明する。図4(a)に示すように、本実施形態の携帯端末100は、略直方体の筐体101と、直方体の筐体101の一面に設けられた略矩形形状のディスプレイ102と、を備える。なお、図4(b)に示すように、携帯端末100は、カメラ103をさらに備えてもよい。カメラ103は、例えば、筐体101の、ディスプレイ102と対向する面(以下、背面と呼ぶ)104に配される。
なお、本実施形態の携帯端末100は、図中、縦方向の長さ100aは、横方向の長さ100bおよび奥行方向の長さ100cよりも長い。また、横方向の長さ100bは、奥行き方向の長さ100よりも長い。しかしながら、各辺の長さの関係は、これに限定されない。
ディスプレイ102は、携帯端末100のユーザである保守員とのインタフェースである。保守員からの操作指示を受け付けるとともに、ディスプレイ102に後述する制御部120の処理結果を表示する。本実施形態では、例えば、液晶パネルまたは有機ELディスプレイ等の表示デバイスと、タッチパネル等の信号入力装置とを組み合わせた装置をディスプレイ102として用いる。
また、本実施形態の携帯端末100は、図2に示すように、制御部120と、端末記憶部130と、端末送受信部140と、姿勢センサ160と、を備える。
端末記憶部130は、制御部120による各機能を実現するプログラム、プログラム実行時に制御部120が用いるデータ、制御部120の処理により生成されるデータ等を記憶する。
端末送受信部140は、外部装置とネットワーク200を介したデータの送受信を行う通信I/Fの動作を制御する。
姿勢センサ160は、携帯端末100に内蔵され、携帯端末100の姿勢を検出する。本実施形態では、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ等で構成され、携帯端末100の所定面が、水平方向と成す角度を検出する。本実施形態の姿勢センサ160は、例えば、図4(c)に示すように、携帯端末100の背面104が、水平面と成す角度(傾き)θを、姿勢として検出し、出力する。
制御部120は、端末記憶部130に格納されるプログラムを実行し、携帯端末100の動作を制御する。本実施形態では、乗りかご311と乗り場との段差を検出するためのプログラムである段差検出プログラム(以下、段差検出アプリと呼ぶ)を実行し、受付表示制御部121と、段差算出部122と、段差修正指令部123と、走行指令部124と、を実現する。
受付表示制御部121は、ディスプレイ102を介してユーザ(保守員)からの指示を受け付け、制御部120に通知する。また、制御部120の処理結果に応じてディスプレイ102に表示する画面データ(表示データ)を生成し、ディスプレイ102に表示する。画面のデータを生成する際に用いる各種のデータは、予め端末記憶部130に記憶される。
段差算出部122は、姿勢センサ160が検出した携帯端末100の傾きに基づいて、乗りかご311の床面(かご床面)と所定の乗り場317の床面(階床床面)との段差を算出段差として算出する。算出の詳細は、後述する。
段差修正指令部123は、段差算出部122が算出した算出段差に応じて、算出段差を算出した乗り場317(算出対象階)の、乗りかご311の停止位置を修正する修正値を算出し、段差修正指令としてエレベーター制御装置320に送信する。送信は、端末送受信部140を介して行う。段差修正指令の詳細は、後述する。
走行指令部124は、走行指令を生成し、エレベーター制御装置320に送信する。走行指令は、例えば、目的階を指定し、当該目的階までの走行を指示する指令である。走行指令の送信は、端末送受信部140を介して行う。
[ハードウェア構成]
本実施形態の携帯端末100は、例えば、保守員が保守作業時に携帯する専用作業端末、携帯電話、タブレット等の可搬型情報処理装置である。図5(a)に示すように、携帯端末100は、CPU171と、メモリ172と、記憶装置173と、入出力インタフェース(I/F)175と、通信I/F174と、カメラ103と、センサ177とを備える。
上述の各機能は、CPU171が、記憶装置173に予め登録されたプログラムを、メモリ172にロードして実行することにより実現される。プログラムは、例えば、通信I/F174を介して取得し、記憶装置173に登録されてもよい。本実施形態では、段差検出アプリと呼ばれるプログラムが予め記憶装置173に登録され、それをCPU171が実行することにより、上記各機能が実現される。
また、本実施形態では、入出力I/F175として、ディスプレイ102が用いられる。端末記憶部130は、記憶装置173に構築される。通信I/F174は、端末送受信部140により制御される。センサ177として、姿勢センサ160が用いられる。
また、エレベーター制御装置320のハードウェア構成の一例を、図5(b)に示す。本図に示すように、エレベーター制御装置320は、CPU371と、メモリ372と、記憶装置373と、通信I/F374とを備える。上述の各機能は、記憶装置373に登録されたプログラムを、CPU371がメモリ372にロードして実行することにより実現される。記憶部330は、記憶装置373に構築される。なお、入出力I/F375を備えていてもよい。
[段差検出の原理]
ここで、姿勢センサ160を用いた、本実施形態の段差検出処理の原理を説明する。
上述のように、エレベーター300では、運転制御部322により、乗りかご311の走行が制御される。運転制御部322は、ロータリエンコーダ312の出力に基づいて、乗りかご311の位置および速度を把握し、階高値テーブル331および補正値テーブル332を参照し、乗りかご311を目的階に着床させる。
しかしながら、例えば、乗りかご311の床面下に設置される図示しない防振ゴムは、経年劣化する。劣化すると、正しく制御を行ったとしても、乗りかご311の床面(かご床面)311fが、目的階の乗り場317の床面(階床床面)317fより低くなることがある。この場合の、乗りかご311の着床の様子を、図6(a)に示す。
また、例えば、巻上機のブレーキ制御の不具合等、乗りかご311の走行に係る各種の部品、機器等の故障等により、逆に、かご床面311fが階床床面317fより高くなることがある。この場合の乗りかご311の着床の様子を、図6(b)に示す。
本実施形態では、保守員が段差の発生している階床に出向き、段差検出アプリの指示に従って、携帯端末100を段差に置き、姿勢センサ160で傾きを検出する。そして、段差検出アプリが検出した傾きから段差を算出する。
図6(c)および図6(d)は、保守員により、かご床面311fと階床床面317fとの間に、携帯端末100が設置された際の断面図である。図6(c)は、かご床面311fと階床床面317fとは、図6(a)の破線部Aを拡大したものであり、かご床面311fが、階床床面317fより低い場合である。図6(d)は、図6(b)の破線部Bを拡大したものであり、かご床面311fが階床床面317fより高い場合である。
これらの図に示すように、保守員は、かご床面311fまたは階床床面317fの、低い方の床面に携帯端末100の下端部を配置し、高い方の床面の、段差側端部(エッジ部、コーナ部)に携帯端末100の背面104をもたせかけるよう、携帯端末100を斜めに配置する。
これらの図に示すように携帯端末100を配置することにより、携帯端末100の姿勢センサ160により、携帯端末100の水平方向に対する傾きθが検出される。
図6(e)に示すように、かご床面311fまたは階床床面317fと、携帯端末100の背面104と、段差Yと、により形成される直角三角形610において、傾きθが得られ、かつ、斜辺の長さZが(以下、単に斜辺Zと呼ぶ)得られれば、段差Yは、以下の式(1)に従って算出できる。
Y=Z・sinθ ・・・(1)
例えば、斜辺Zが100mm、傾きθが15度の場合、段差Yは、25.9mmと算出される。
本実施形態では、斜辺Zの長さは、予め定められる。保守員は、段差計測時、斜辺Zが予め定めた長さとなるよう、携帯端末100を配置する。
本実施形態では、この時の保守員を支援するため、受付表示制御部121は、例えば、図7に示す、段差計測画面710を生成し、ディスプレイ102に表示する。段差計測画面710は、段差検出ガイドライン(以下、ガイドライン)711と、メッセージ712と、算出の指示を受け付ける算出指示受付領域(算出ボタン)713と、を備える。なお、メッセージ712は、表示されなくてもよい。
ガイドライン711は、携帯端末100の下端部から、距離Zの位置に表示される。保守員は、ガイドライン711に、床面の高い方の段差側端部を合わせて携帯端末100を配置することにより、段差計測時に正確な長さの斜辺Zを得ることができる。図7には、かご床面311fが、階床床面317fより高い場合を例示する。従って、保守員は、ガイドライン711の延長線上にかご床面311fの段差側端部のエッジライン318eがくるように、携帯端末100を配置する。
算出ボタン713は、保守員による、段差算出の指示を受け付けるボタンである。受付表示制御部121は、算出ボタン713の押下を受け付けると、段差算出部122に段差を算出させる。すなわち、段差算出部122は、携帯端末100の下端部からガイドライン711までの距離Zと、姿勢センサ160が検出した傾きθとを用い、上記式(1)に従って、段差Yを得る。
携帯端末100により段差を算出する際、段差計測画面710をディスプレイ102に表示することにより、保守員によらず、正確な距離Zを得ることができる。これにより、段差算出部122は、姿勢センサ160による出力と斜辺Zの長さとを用いて、段差Yを正確に算出できる。
なお、このとき、かご床面311fと階床床面317fとのいずれが高いかにより、算出段差Yの正負を予め定めておく。例えば、かご床面311fが、階床床面317fより高い場合の値を正、階床床面317fがかご床面311fより高い場合を負とする。
いずれの床面が高いかについては、保守員が、算出時に入力するよう構成する。例えば、段差計測画面710の上方に、かご床面311fであるか、階床床面317fであるかを選択する領域を設けてもよい。ここで、かご床面311fが選択された場合、段差算出部122は、かご床面311fの方が高いと判断し、階床床面317fが選択された場合は、階床床面317fの方が高いと判断する。
[表示画面]
以下、本実施形態の受付表示制御部121が、段差算出処理のために生成し、携帯端末100のディスプレイ102に表示させる、その他の画面例を図8(a)〜図8(e)を用いて説明する。なお、上記の段差計測画面710も含め、各表示画面を生成する際に用いるデータは、他の処理部から受け取るか、あるいは、予め端末記憶部130に格納される。
図8(a)は、初期画面720である。初期画面720には、この携帯端末100で実行可能なアプリケーションプログラムが、それぞれ、選択可能な態様で表示される。例えば、各アプリケーションプログラムを示すアイコン画像が表示される。ユーザは、アイコン画像を選択することにより、当該アイコン画像に対応するアプリケーションプログラムの実行を指示する。
本実施形態では、段差検出アプリを示すアイコン画像721が表示される。保守員により、このアイコン画像721が選択されると、受付表示制御部121は、選択を受け付け、図7に示す段差計測画面710を表示させる。
段差計測画面710の算出ボタン713の押下を受け付けると、受付表示制御部121は、段差算出部122に段差を算出させる。そして、受付表示制御部121は、段差算出部122から算出結果を受け付けると、ディスプレイ102に、図8(b)に示す、段差表示画面730を表示する。
段差表示画面730は、算出された段差を表示する段差表示領域731と、修正の指示を受け付ける修正指示受付領域(修正指示ボタン)732とを備える。
受付表示制御部121は、修正指示ボタン732の押下を受け付けると、段差修正指令部123に、段差修正指令を出力させる。段差修正指令は、補正値テーブル332の補正値332cを、段差算出部122が算出した段差を加味した値に修正させる指示である。段差修正指令部123は、算出段差を段差算出部122から受け取って修正値とし、階床、走行方向を示す情報を加えて段差修正指令を生成し、端末送受信部140を介してエレベーター制御装置320に出力する。
図8(c)に示す完了通知画面740は、エレベーター制御装置320から、補正値テーブル332の修正完了の通知を受け付けた場合、表示される画面である。本実施形態では、端末送受信部140を介して、当該通知を受け取ると、受付表示制御部121が生成してディスプレイ102に表示させる。
[処理の流れ]
次に、保守員が、携帯端末100を使って、かご床面311fと階床床面317fとの段差を検出し、補正値を更新する場合の段差点検処理の流れを説明する。ここでは、各装置間のデータの流れも説明するため、エレベーター制御装置320、管制センタ装置400および携帯端末100それぞれの処理を説明する。図9は、本実施形態の段差点検処理の処理フローである。
本処理は、エレベーター制御装置320で、目的階着床時に段差が発生したことが検出された場合に、開始される。なお、段差の検出は、上述のように、段差有無判別部323により行われる。
エレベーター制御装置320が、目的階に到着すると、段差有無判別部323は、上記手法で、本来、乗りかご311が停止すべき停止位置と、実際の停止位置との差を求め、段差量を算出し、段差の有無を判別する。そして、段差有りと判別した場合、段差有無判別部323は、検出した段差を時刻に対応づけて、計測段差データ333に登録する。
さらに、段差有無判別部323は、段差有り、と判別した場合、送受信部321を介して、段差が発生したことを、管制センタ装置400に通報する(ステップS1101)。このとき、通報には、エレベーター300を特定する情報(エレベーター情報)と、段差の発生した乗り場317の階床を特定する情報(階床情報)と、乗りかご311の走行方向を特定する情報(走行方向情報)と、が含まれる。なお、走行方向情報は、段差が発生した際の、乗りかご311の走行方向が上昇方向であるか、下降方向であるかを特定する情報である。
管制センタ装置400は、通知を受けると(ステップS1201)、送信元のエレベーター300を担当する保守員の携帯端末100に出動指示を行う(ステップS1202)。出動指示には、エレベーター300を特定する情報(エレベーター情報)と、段差が発生した階床を特定する段差情報(階床情報)と、走行方向を特定する情報(走行情報)と、が含まれる。これらの情報は、端末記憶部130に一時的に格納される。
なお、出動指示は、予めエレベーター300毎に、担当する保守員の携帯端末100を登録したデータベースを保持していてもよいし、人が介在してもよい。人が介在する場合、管制センタの担当者が決定し、決定した保守員の携帯端末100に出動指示を送信する。
出動指示を受け取ると(ステップS1301)、保守員は、その携帯端末100を持ち、段差の発生したエレベーター300の階床に向かう。そして、到着すると、携帯端末100に対し、段差計測アプリの起動指示を行う。なお、その前に、乗りかご311を、走行方向情報に従って、走行させてもよい。走行指示は、走行指令部124が走行指令をエレベーター制御装置320に送信することにより行われる。
携帯端末100側では、受付表示制御部121は、初期画面720をディスプレイ102に表示し、段差計測アプリの起動指示を待つ。
受付表示制御部121は、段差計測アプリ起動の指示を受け付けると(ステップS1302)、段差計測アプリを起動し(ステップS1303)、ディスプレイ102に、段差計測画面710を表示する。
段差計測画面710が表示されると、保守員は、上述のように、ガイドライン711に床面のエッジライン318eが合うように携帯端末100を配置し、算出ボタン713を押下し、算出開始の指示を行う。
受付表示制御部121では、算出開始の指示を受け付けると(ステップS1304)、段差算出部122に段差算出を指示する。段差算出部122では、指示を受け、段差を算出する(ステップS1305)。そして、受付表示制御部121に算出した段差(算出段差)を受け渡す。受付表示制御部121は、受け取った算出段差を用いて段差表示画面730を生成し、ディスプレイ102に表示する(ステップS1306)。
保守員は、表示された算出段差を確認し、所定値以上であれば、エレベーター制御装置320に対し、補正値テーブル332に格納されている補正値332cの修正指示を行う(ステップS1307)。ここでは、修正指示ボタン732を押下することにより、修正指示の意思を示す。
修正指示ボタン732が押下されたことを受け付けると、受付表示制御部121は、段差修正指令部123に段差修正指令を生成させる。段差修正指令部123は、端末記憶部130に記憶した算出段差と階床情報と走行方向情報とを用いて、これらの情報を含む段差修正指令を生成する。そして、生成した段差修正指令を、端末送受信部140を介してエレベーター制御装置320に送信する(ステップS1308)。
なお、段差修正指令部123は、段差算出部122が算出した算出段差の絶対値が、予め定めた閾値以上の場合、保守員の指示を待たず、エレベーター制御装置320に、段差補正指令を送信するよう構成してもよい。この場合、判別に用いる閾値は、予め端末記憶部130に保持しておく。
次に、携帯端末100から段差修正指令を受信したエレベーター制御装置320側の処理を説明する。送受信部321を介して段差修正指令を受信すると(ステップS1102)、補正値更新部324は、受信した修正指令に含まれる修正値を用い、補正値テーブル332の補正値332cを更新する(ステップS1103)。このとき、補正値更新部324は、段差修正指令に含まれる階床および走行方向の、登録されている補正値332cを、受信した修正値を加えた値に更新する。
補正値テーブル332の更新を終えると、補正値更新部324は、補正値テーブル332の更新を終えたことを、運転制御部322に通知する。通知を受けて、運転制御部322は、上述の段差確認運転を実行する(ステップS1104)。そして、該当する階床において、段差有無判別部323に段差の有無を判別させる。そして、判別結果を、段差修正指令の送信元の携帯端末100に送信する(ステップS1105)。
携帯端末100では、受付表示制御部121は、受信した段差確認運転の結果をディスプレイ102に表示し(ステップS1309)、処理を終了する。
保守員は、表示された段差確認運転の結果を見て、段差が解消されたか否かを判別する。このとき、段差が解消されていない場合は、ステップS1302からの処理を繰り返してもよい。あるいは、必要に応じて、部品の交換や部品の調整を行うよう構成してもよい。
なお、本実施形態では、段差点検処理を、エレベーター制御装置320が段差を検出した場合、エレベーター制御装置320から通報を受けて、開始される場合を例にあげて説明したが、開始の契機はこれに限定されない。
例えば、エレベーター300の乗客、あるいは、エレベーター300の設置された建物の所有者等が発見して管制センタ等へ行った通報を契機に開始されてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、保守員が携帯する携帯端末100が、自装置の傾きを検出する姿勢センサ160と、エレベーター300の乗りかご311の乗りかご床面と当該乗りかご床面に最寄りの階床である算出対象階の乗り場床面との間に配置された際、姿勢センサ160が検出した傾きに基づいて、乗りかご床面と乗り場床面との段差を、算出段差として算出する段差算出部122と、算出段差に応じて算出対象階の乗りかご311の停止位置を修正する修正指令を生成し、エレベーター制御装置320に送信する段差修正指令部123と、を備える。
このように、本実施形態によれば、保守員は、この携帯端末100で、現場の段差を算出できる。従って、本実施形態によれば、簡易な構成で、エレベーター300のかご床面311fと階床床面317fとの段差を検出できる。
また、本実施形態の携帯端末100は、段差算出時、ディスプレイ102の、携帯端末100の下端から所定の距離の位置に、段差検出用のガイドライン711を表示させる。保守員は、このガイドライン711が、高い方の床面の端部に合うように携帯端末100を配置することにより、段差と携帯端末100とで形成される直角三角形の斜辺Zの長さを精度よく得ることができる。これにより、精度よく段差を算出できる。
また、本実施形態によれば、携帯端末100が段差検出アプリを備えていれば、保守員でなくても、段差を算出できる。例えば、乗客、建物の所有者等が段差を算出でき、管制センタ等に通報できる。従って、段差の早期発見、早期通報にもつながる。
<<第二の実施形態>>
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。本実施形態では、エレベーター制御装置320側で検出した段差と、携帯端末100で算出した段差との整合性を確認し、整合している場合、補正値の修正を実行する。
本実施形態では、2つの別個独立した装置で段差を取得し、許容範囲内で整合した場合、段差有りと決定し、当該段差の補正値332cを修正する。従って、段差の検出自体の信頼性がより高まる。これに伴い、センサ不良等により誤った段差が算出され、それに基づいて誤った補正がなされる可能性が低減する。これにより、補正値修正の精度も向上し、全体として、乗りかご311の着床位置の精度も向上する。
本実施形態のエレベーター300は、基本的に第一の実施形態と同様の構成を有する。以下、本実施形態について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
エレベーター制御装置320の構成は、第一の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、段差有無判別部323は、携帯端末100からの要求に応じて、検出した段差を要求元の携帯端末100に送信する。
一方、携帯端末100の段差検出アプリが実現する機能は、第一の実施形態の機能に加え、図10に示すように、さらに、整合性判別部125と、再計測指示部126とを含む。
また、本実施形態の段差算出部122は、段差を算出すると、それを整合性判別部125に出力する。
整合性判別部125は、段差算出部122が算出段差を得ると、エレベーター制御装置320から送信された段差(計測段差)と、算出段差との整合性を判別する。本実施形態では、両者の値の差の絶対値が、予め定めた閾値(整合判別閾値)未満であれば、整合していると判別する。整合判別閾値は、予め端末記憶部130に記憶する。
本実施形態の整合性判別部125は、段差算出部122が、算出段差を算出する毎に、判別を行う。また、判別に先立ち、通報元のエレベーター制御装置320に計測段差の要求を行い、要求に応じて送信された計測段差を用いて、判別を行う。
判別結果は、受付表示制御部121に送信する。受付表示制御部121は、判別結果を用いて、整合性表示画面を生成し、ディスプレイ102に表示する。
整合性表示画面750の一例を、図8(d)および図8(e)に示す。図8(d)は、整合したと判別された場合の表示画面例であり、図8(e)は、不整合と判別された場合の表示画面例である。
これらの図に示すように、整合性表示画面750は、整合性判別部125による判別結果を表示する結果表示領域751と、指示受付領域752とを備える。なお、結果表示領域751には、算出段差の値と、計測段差の値とを併せて表示してもよい。
また、指示受付領域752は、当該領域を介して、ユーザである保守員からの指示を受け付ける。例えば、整合した場合は、第一の実施形態同様、補正値テーブル332の補正値332cを修正する指示を受け付ける修正ボタンが表示される。
一方、不整合の場合は、指示受付領域752には、段差を再計測する再計測運転を実行する指示を受け付ける再計測運転指示ボタンが表示される。受付表示制御部121は、再計測運転実行の指示を受け付けると、再計測指示部126に、通知する。
再計測指示部126は、整合性判別部125の判別結果が不整合であり、かつ、再計測運転実行の指示を受け付けた場合、段差を再度計測する再計測運転実行指令を生成する。生成された再計測運転実行指令は、端末送受信部140を介して、通報元のエレベーター制御装置320に送信される。このとき生成される再計測運転実行指令は、通常の段差確認運転の実行を指示する実行指令に加え、段差が発生した階床情報、走行方向情報が含まれる。
エレベーター制御装置320側では、再計測運転実行指令を受信すると、運転制御部322により段差確認運転が実行され、再計測運転実行指令に含まれる階床および走行方向の段差を検出し、送信元の携帯端末100に送信する。そして、送信元の携帯端末100では、整合性判別部125が、再度、整合性の確認を行う。
なお、段差確認運転を実行し、段差を再検出した場合であっても、依然として不整合の場合は、整合性表示画面750に判別結果のみ表示する。これにより、保守員は、適切な対処ができる。例えば、携帯端末100を用いて段差の算出をやり直したり、段差を検出するエレベーター300の機器、部品に不具合があると判断し、これらの部品の調整、取り換え等是正処理を行ったりする。
なお、不整合の場合、1回目から、判別結果の表示のみであってもよい。この場合、保守員は、不整合との結果を見て、携帯端末100による段差の算出をやり直したり、故障個所の是正を行ったりする。
[処理の流れ]
次に、本実施形態の段差点検処理の流れを、図11に沿って説明する。以下、第一の実施形態と同じ処理には、同じ符号を付し、再度の説明は省略する。
本実施形態の段差点検処理も、第一の実施形態同様、エレベーター制御装置320が、段差を検出したことを契機に開始される。第一の実施形態同様、ステップS1101、S1201.S1202、S1301〜S1305まで処理が進み(なお、ここでは、ステップS1302、S1304は不図示)、段差算出部122により、段差が算出される(ステップS1305)と、整合性判別部125は、エレベーター制御装置320に、計測段差を要求する(ステップS2301)。
エレベーター制御装置320では、計測段差の要求を受信すると(ステップS2101)、段差有無判別部323が、ステップS1101の通報の基となった段差(段差有りと判別した段差)を、要求元の携帯端末100へ送信する(ステップS2102)。
計測段差を受信すると(ステップS2302)、携帯端末100の整合性判別部125は、ステップS1305で算出した算出段差と、受信した計測段差とを比較し、整合性を判別する(ステップS2303)。整合性は、上記手法で判別する。
整合した場合、その旨、受付表示制御部121に通知をする。このとき、計測段差も併せて通知する。受付表示制御部121では、ステップS1308へ進み、ステップS1305で受け取った算出段差と、計測段差と、判別結果とを用い、整合性表示画面750を生成しディスプレイ102に表示し、保守員からの修正指示を待つ。
修正指示を受け取ると、受付表示制御部121は、第一の実施形態同様、段差修正指令部123に段差修正指令を生成させ、エレベーター制御装置320に送信させる(ステップS1308)。以下の処理は、第一の実施形態と同様であるため、ここでは、説明を省略する。
一方、ステップS2303で不整合と判別された場合、受付表示制御部121は、整合性表示画面750を表示し、保守員からの再計測指示を待つ。保守員からの再計測指示を受け付けると、受付表示制御部121は、再計測指示部126に通知する。再計測指示部126は、再計測運転実行指令を生成し、エレベーター制御装置320に段差を再計測するよう指示を行う(ステップS2304)。
エレベーター制御装置320側では、再計測運転実行指令を受信すると(ステップS2103)、運転制御部322に段差確認運転を実行させる。そして、段差有無判別部323に、再計測運転実行指令に含まれる階床および走行方向の、段差を再計測させる。そして、再計測した段差(再計測段差)を、指示元の携帯端末100に送信する(ステップS2104)。
携帯端末100では、端末送受信部140を介して再計測段差を受信すると(ステップS2305)、整合性判別部125は、再計測段差と算出段差との整合性を確認する(ステップS2306)。そして、整合していると判別した場合は、ステップS1308へ進む。
一方、ステップS2306で不整合と判別した場合、整合性判別部125は、その旨を受付表示制御部121に通知する。受付表示制御部121は、再計測段差と算出段差とが不整合の場合は、その旨を通知する表示画面を生成し、ステップS1309へ移行し、ディスプレイ102に結果表示として表示する。
保守員は、この結果表示を見て、携帯端末100の配置を変更し、携帯端末100側で再計測を行い、算出段差を再算出してもよい。再算出した場合は、ステップS2303から処理を再度繰り返してもよい。
また、保守員は、エレベーター300の乗りかご311の走行制御、特に、着床制御に関係する部品を再調整したり、修理したりしてもよい。
なお、上記段差点検処理では、不整合の場合、エレベーター300側での再計測を1回のみ行う場合を例にあげて説明したが、再計測の回数は問わない。
以上説明したように、本実施形態の携帯端末100は、第一の実施形態の構成に加え、段差算出部122が算出段差を算出した後、段差修正指令部123が修正指令を生成する前に、エレベーター制御装置320から、エレベーター制御装置320で取得した計測段差を取得し、算出段差と計測段差とが整合するか不整合かを判別する整合性判別部125と、算出段差と計測段差とが不整合と判別された場合、エレベーター制御装置320に、算出対象階の計測段差の再計測を指示する再計測指示部126と、をさらに備え、段差修正指令部123は、整合性判別部125が整合すると判別した場合、前記修正指令を生成する。
これにより、本実施形態によれば、第一の実施形態と同様の効果を奏する。さらに、本実施形態によれば、2つの別個独立した装置で段差を取得し、許容範囲内で整合した場合、段差有りと決定し、補正値332cを修正する。このように、計測結果をダブルチェックすることで、段差の検出自体の信頼性がより高まる。これに伴い、センサ不良等により誤った補正がなされる可能性が低減し、補正値修正の精度も向上し、全体として、乗りかご311の着床位置の精度も向上する。
<変形例>
上記実施形態では、携帯端末100で、段差を検出する際、保守員への計測支援として、ガイドライン711を表示した段差計測画面710を表示している。しかしながら、段差計測支援は、これに限定されない。
例えば、まず、第一の実施形態と同様に、保守員が、かご床面311fまたは階床床面317fの、低い方の床面に携帯端末100の下端部を配置し、高い方の床面の、段差側端部(エッジ部、コーナ部)に携帯端末100の背面104をもたせかけるよう、携帯端末100を斜めに配置する。このとき、カメラ103を稼働させ、携帯端末100のディスプレイ102に、背面104のカメラ103で撮影した映像と、ガイドライン771とを同時に表示する。これは、例えば、携帯端末100が、カメラ103を備え、ディスプレイ102が、ファインダ機能も兼用する場合に適用可能である。
この場合、受付表示制御部121は、ファインダ(ディスプレイ102)にガイドライン771を表示する。そして、ガイドライン771と、カメラ103が撮影した画像内の、高い方の床面のエッジライン319eとが一致するように携帯端末100を配置するよう、保守員を誘導する。誘導は、音声またはメッセージ表示等で行う。
さらに、携帯端末100が、画像解析部を備え、画像解析部による解析結果に応じて、自動的に算出段差を得るよう構成してもよい。画像解析部は、ディスプレイ102に表示される画像を解析し、エッジライン319eが予め設定されたガイド位置と合致した場合、段差算出部122に段差算出開始を指示する。なお、ガイド位置は、携帯端末100の下端部から距離Zの位置に仮想的に描画されたラインの位置とする。段差算出部122は、指示に従って段差算出を開始する。
なお、画像内の床面のエッジライン319eは、公知の画像解析処理の、例えば、エッジ抽出処理等により抽出する。
例えば、かご床面311fが、階床床面317fよりも高い場合を例にあげて説明する。図12(a)の状態では、携帯端末100の下端部からの距離Zの位置(ガイド位置)に表示されるガイドライン771と、ファインダとして機能するディスプレイ102内に表示される画像の、かご床面311fの端部のエッジライン319eとが一致していない。このため、この状態では、段差算出部122は、携帯端末100の傾きを取得しない。従って、段差も算出しない。
例えば、図12(b)の位置に携帯端末100が配置されると、かご床面311fのエッジライン319eと、ガイドライン771とが一致する。従って、画像解析部は、一致したことを段差算出部122に通知する。これを受け、段差算出部122は、段差を算出する。
このように構成することにより、保守員に、より使い勝手のよい、段差算出機能を備える携帯端末100を提供できる。
なお、上記各実施形態では、携帯端末100およびエレベーター制御装置320の各機能は、CPUがプログラムを実行することにより実現されているが、これに限定されない。例えば、全部または一部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(field−programmable gate array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
また、本発明は上述の各実施形態および変形例に限定されるものではなく、様々な変形態様が含まれる。各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するためのものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。特に、エレベーター制御装置320の各機能構成は、必ずしも、エレベーター制御装置320に含まれなくてもよい。エレベーター300に接続される外部の監視装置に含まれていてもよい。
また、本発明は、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得る。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。