JP6931385B2 - コアシェル粒子、コアシェル粒子の製造方法およびフィルム - Google Patents

コアシェル粒子、コアシェル粒子の製造方法およびフィルム Download PDF

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Description

本発明は、コアシェル粒子およびその製造方法ならびにコアシェル粒子を含有するフィルムに関する。
コロイド状の半導体ナノ粒子(いわゆる量子ドット)への応用が期待される半導体微粒子として、これまでにII−VI族半導体微粒子、およびIII−V族半導体微粒子等が知られている。
これらの半導体微粒子の粒径は、数ナノメートルから十数ナノメートル程度である。
また、このようなナノスケールの粒子は、いわゆる量子サイズ効果により、一般に粒径が小さくなるほどバンドギャップが大きくなり、紫外領域または近紫外領域等の短波長領域における発光を示す。
そのため、このような半導体微粒子特有の光学特性を活かすべく、圧電素子、電子デバイス、発光素子、レーザー等、さまざまなデバイスへの応用が研究開発されている。
例えば、特許文献1には、発光効率が高く、量子ドットとして有用なコアシェル粒子として、III族元素およびV族元素を含有するコアと、コアの表面の少なくとも一部を覆うII族元素およびVI族元素を含有するシェルとを有するコアシェル粒子であって、X線光電子分光分析により測定される、III族元素のピーク強度比に対するII族元素のピーク強度比の割合が0.25以上である、コアシェル粒子が記載されている(請求項1)。
国際公開第2016/080435号
本発明者は、特許文献1に記載された粒子について検討したところ、合成プロセス(例えば、原料、反応温度など)によっては、発光効率が劣る場合があることを明らかとした。
そこで、本発明は、発光効率が高く、量子ドットとして有用なコアシェル粒子およびその製造方法、ならびに、コアシェル粒子を用いたフィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、III−V族半導体からなるコアとII−VI族半導体からなるシェルとを有し、ラマン分光分析により測定される、上記III族元素および上記V族元素の結合を示すピーク強度に対する、上記III族元素および上記II族元素の結合を示すピーク強度の割合が所定の範囲内となることにより、発光効率が良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] III族元素およびV族元素を含有するコアと、上記コアの表面の少なくとも一部を覆うII族元素およびVI族元素を含有するシェルとを有するコアシェル粒子であって、
ラマン分光分析により測定される、上記III族元素および上記V族元素の結合を示すピーク強度に対する、上記III族元素および上記II族元素の結合を示すピーク強度の割合が0.16以上0.33以下である、コアシェル粒子。
[2] 上記III族元素がInであり、上記V族元素がP、NおよびAsのいずれかである、上記[1]に記載のコアシェル粒子。
[3] 上記III族元素がInであり、上記V族元素がPである、上記[2]に記載のコアシェル粒子。
[4] 上記II族元素がZnであり、上記VI族元素がSまたはSeである、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子。
[5] 上記II族元素がZnであり、上記VI族元素がSである、上記[4]に記載のコアシェル粒子。
[6] 上記III族元素がInであり、上記V族元素がPであり、
上記II族元素がZnであり、上記VI族元素がSであり、
ラマン分光分析により測定される、上記III族元素および上記V族元素の結合を示すピークが340〜365cm−1に存在し、上記III族元素および上記II族元素の結合を示すピークが200〜230cm−1に存在する、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子。
[7] III族元素を含むIII族原料と、II族元素を含むII族原料とを、上記III族原料に対する上記II族原料のモル比1.5以上で混合し、溶解した混合溶液を調製する第1工程と、
上記混合溶液に、V族元素を含むV族原料を添加し、上記III族元素および上記V族元素を含有するコアを形成する第2工程と、
上記コアを形成した後の混合溶液に、VI族元素を含むVI族原料を添加し、上記コアの表面の少なくとも一部に、上記II族元素および上記VI族元素を含有するシェルを形成する第3工程と
を有し、
上記第3工程が255℃以上295℃以下の温度で行われる、コアシェル粒子の製造方法。
[8] 上記III族元素がInであり、上記V族元素がP、NおよびAsのいずれかである、上記[7]に記載のコアシェル粒子の製造方法。
[9] 上記III族元素がInであり、上記V族元素がPである、上記[8]に記載のコアシェル粒子の製造方法。
[10] 上記II族元素がZnであり、上記VI族元素がSまたはSeである、上記[7]〜[9]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子の製造方法。
[11] 上記II族元素がZnであり、上記VI族元素がSである、上記[10]に記載のコアシェル粒子の製造方法。
[12] 上記III族原料がInの塩化物である、上記[7]〜[11]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子の製造方法。
[13] 上記II族原料がZnの塩化物である、上記[7]〜[12]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子の製造方法。
[14] 上記V族原料が、トリスジアルキルアミノホスフィンである、上記[7]〜[13]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子の製造方法。
[15] 上記VI族原料が、アルキルチオールである、上記[7]〜[14]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子の製造方法。
[16] 上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のコアシェル粒子を含有するフィルム。
本発明によれば、発光効率が高く、量子ドットとして有用なコアシェル粒子およびその製造方法、ならびに、コアシェル粒子を用いたフィルムを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[コアシェル粒子]
本発明のコアシェル粒子は、III族元素およびV族元素を含有するコアと、コアの表面の少なくとも一部を覆うII族元素およびVI族元素を含有するシェルとを有するコアシェル粒子である。
また、本発明のコアシェル粒子は、ラマン分光分析により測定される、III族元素およびV族元素の結合を示すピーク強度に対する、III族元素およびII族元素の結合を示すピーク強度の割合〔以下、「ラマンピーク強度比」ともいう。〕が0.16以上0.33以下である。
本発明において、ラマンピーク強度比は以下の方法で測定する。
光源として、チタンサファイアレーザー(Libra,コヒレント社製;波長800nm,パルス時間幅92fs,出力4.10W,繰り返し周波数1kHz)を用いる。
基本波(800nm)を2つに分割し、ラマン励起光発生と、ラマン検出用白色光の発生に用いる。
ラマン励起光はピコ秒光パラメトリック増幅器により発生させ(530nm,3.5ps、8cm−1)、ラマン検出光は基本波をサファイア板に集光することで発生させる。
ラマン検出光は波長領域532〜680nmを選別した後、チャープミラーにより分散補償をして10fsとする。
ラマン励起光とラマン検出光を放物面鏡でサンプルに照射する。
サンプル溶液は石英セル(光路長1mm)に充填する。
サンプルを透過したラマン検出光は分光器で波長分散された後、CCD(Charge−Coupled Device;電荷結合素子)により検出する。
上記によりラマン信号のスペクトル情報を得たのち、III族元素とV族元素の結合のLO(Longitudinal Optical;縦光学)モードを表すピークのピーク高さを測定し、このピーク高さを1と規格化した際の、III族元素とII族元素の結合を表すピークのピーク高さを「ラマンピーク強度比」とする。
例えば、In−P結合に由来するピークは350cm−1付近(340〜365cm−1)にあり、In−Zn結合に由来するピークは210cm−1付近(200〜220cm−1)にある。
また、例えば、GaとPの結合に由来するピークは405cm−1付近(395〜415cm−1)にあり、GaとNの結合に由来するピークは740cm−1付近(730〜750cm−1)にある。
また、例えば、GaとZnの結合に由来するピークは420cm−1付近(410〜430cm−1)にあり、GaとMgの結合に由来するピークは420cm−1付近(410〜430cm−1)にある。
なお、測定されるIII族元素およびII族元素の結合を示すピーク強度は、III族元素(例えば、In)とII族元素(例えば、Zn)との結合振動について、V族元素(例えば、P)を介した、例えば、In−P−Zn、およびIn−Zn−Pについても検出している可能性がある。
本発明のコアシェル粒子は、ラマンピーク強度比が0.16以上0.33以下となることにより、発光効率が良好となる。
このように発光効率が良好となる理由は、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
ラマンピーク強度比が0.16以上0.33以下の範囲内であると、コアに含まれるIII族元素(例えば、In)およびV族元素(例えば、P)とシェルに含まれるII族元素(例えば、Zn)との合金化が適度に進行し、コアシェル間のIII族元素−II族元素−V族元素合金層の厚みがコアシェル間の格子ミスマッチを緩和するために適した範囲内となるため、発光効率が良好になると考えられる。これは、後述する実施例および比較例の結果からも推察することができる。
本発明においては、発光効率がより良好となる理由から、ラマンピーク強度比が0.18〜0.33であるのが好ましく、020〜0.30であるのがより好ましく、0.25〜0.30であるのがさらに好ましい。
〔コア〕
本発明のコアシェル粒子が有するコアは、III族元素およびV族元素を含有する、いわゆるIII−V族半導体である。
<III族元素>
III族元素としては、具体的には、例えば、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、およびガリウム(Ga)等が挙げられ、なかでも、Inであるのが好ましい。
<V族元素>
V族元素としては、具体的には、例えば、P(リン)、N(窒素)、およびAs(ヒ素)等が挙げられ、なかでも、Pであるのが好ましい。
本発明においては、コアとして、上述したIII族元素およびV族元素の例示を適宜組み合わせたIII−V族半導体を用いることができるが、InP、InN、またはInAsであるのが好ましく、発光効率がより高くなり、良好な発光の半値幅を得やすくなる理由から、InPであるのがより好ましい。
〔シェル〕
本発明のコアシェル粒子が有するシェルは、コアの表面の少なくとも一部を覆う材料であって、II族元素およびVI族元素を含有する、いわゆるII−VI族半導体である。
ここで、本発明においては、シェルがコアの表面の少なくとも一部を被覆しているか否かは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)による組成分布解析によっても確認することが可能であるが、後述する実施例および比較例の対比からも明らかな通り、上述したラマンピーク強度比が0.16以上0.33以下であれば、必然的に満たすものである。
<II族元素>
II族元素としては、具体的には、例えば、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、およびマグネシウム(Mg)等が挙げられ、なかでもZnであるのが好ましい。
<VI族元素>
VI族元素としては、具体的には、例えば、硫黄(S)、酸素(O)、セレン(Se)、およびテルル(Te)等が挙げられ、なかでもSまたはSeであるのが好ましく、Sであるのがより好ましい。
本発明においては、シェルとして、上述したII族元素およびVI族元素の例示を適宜組み合わせたII−VI族半導体を用いることができるが、上述したコアと同一または類似の結晶系であるのが好ましい。
具体的には、ZnS、またはZnSeであるのが好ましく、安全性等の観点から、ZnSであるのがより好ましい。
〔配位性分子〕
本発明のコアシェル粒子は、分散性を付与し、表面欠陥を低減する観点から、表面に配位性分子を有していることが望ましい。
配位性分子は、非極性溶媒への分散性等の観点から、脂肪族炭化水素を含むことが好ましい。
また、配位性分子は、分散性を向上する観点から、主鎖の炭素数が少なくとも6以上の配位子であることが好ましく、主鎖の炭素数が10以上の配位子であることがより好ましい。
このような配位性分子としては、飽和化合物であっても不飽和化合物であってもよく、具体的には、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1,2−ヘキサデカンチオール、トリオクチルホスフィンオキシド、および臭化セトリモニウム等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、III−V族半導体の生成を阻害せず、また、酸化物の形成を抑制し、さらに、反応性の低いV族原料(例えば、トリスジアルキルアミノホスフィンなど)を用いた場合でも良好な半導体結晶が得られる理由から、酸素原子を含まないオレイルアミンまたはドデシルアミンなどのアミン系化合物を用いることが望ましい。
〔平均粒子径〕
本発明のコアシェル粒子は、均一なサイズの粒子を合成しやすく、かつ、量子サイズ効果による発光波長の制御が容易となる理由から、平均粒子径は2nm以上であるのが好ましく、10nm以下であるのがより好ましい。
ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で少なくとも20個の粒子を直接観察し、粒子の投影面積と同一面積を有する円の直径を算出し、それらの算術平均の値をいう。
[コアシェル粒子の製造方法]
上述した本発明のコアシェル粒子を合成するコアシェル粒子の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)は、III族元素を含むIII族原料と、II族元素を含むII族原料とを、III族原料に対するII族原料のモル比1.5以上で混合し、溶解した混合溶液を調製する第1工程と、混合溶液に、V族元素を含むV族原料を添加し、III族元素およびV族元素を含有するコアを形成する第2工程と、コアを形成した後の混合溶液に、VI族元素を含むVI族原料を添加し、コアの表面の少なくとも一部に、II族元素およびVI族元素を含有するシェルを形成する第3工程とを有し、第3工程が255℃以上295℃以下の温度で行われる、コアシェル粒子の製造方法である。
ここで、II族元素、III族元素、V族元素およびVI族元素については、上述した本発明のコアシェル粒子において説明したものと同様である。
以下に、各処理工程における原料および条件について詳述する。
〔第1工程〕
第1工程は、III族元素を含むIII族原料と、II族元素を含むII族原料とを、III族原料に対するII族原料のモル比1.5以上で混合し、溶解した混合溶液を調製する工程である。
本発明の製造方法においては、得られるコアシェル粒子の表面に上述した配位性分子を形成させる観点から、第1工程において、上述した配位性分子を含有する溶液中に、III族原料およびII族原料を添加し、溶解させる態様が好ましい。
<III族原料>
III族元素を含むIII族原料としては、具体的には、例えば、塩化インジウム、酸化インジウム、硝酸インジウム、硫酸インジウムおよびインジウム酸;リン酸アルミニウム、アセチルアセトナトアルミニウム、塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アセチルアセトナトガリウムおよび塩化ガリウム;ならびに、フッ化ガリウム、酸化ガリウム、硝酸ガリウムおよび硫酸ガリウム;等が挙げられる。
これらのうち、反応性の低いV族原料(例えば、トリスジアルキルアミノホスフィンなど)を用いた場合でも良好な半導体結晶(コア)が得られ、かつ、酸化が起こりにくいという理由から、Inの塩化物である塩化インジウムを用いるのが好ましい。
<II族原料>
II族元素を含むII族原料としては、具体的には、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、亜鉛カルボキシル酸塩、アセチルアセトナト亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、亜鉛過塩素酸塩、および硫酸亜鉛等が挙げられる。
これらのうち、酸化が起こりにくく、かつ、後述する任意の配位性分子との相溶性および非極性溶媒への溶解性が比較的高いという理由から、Znの塩化物である塩化亜鉛を用いるのが好ましい。
<III族原料に対するII族原料のモル比>
第1工程において上述したIII族原料とII族原料とを混合する際のIII族原料のモル数xに対するII族原料のモル数yの比の値[y/x]を「III族原料に対するII族原料のモル比」という。さらに、III族原料に対するII族原料のモル比を「II族/III族比」と表す場合がある。
本発明の製造方法において、II族/III族比は1.5以上であり、1.5〜5.0であるのが好ましく、1.5〜3.0であるのがより好ましく、1.5以上3.0未満であるのがより好ましく、2.0以上3.0未満であるのがさらに好ましく、2.0超3.0未満であるのがいっそう好ましい。
<配位性分子>
第1工程において上述したIII族原料およびII族原料とともに、上述した配位性分子を用いる場合は、上述した通り、酸素原子を含まないオレイルアミンまたはドデシルアミンなどのアミン系化合物を用いることが望ましい。
<非極性溶媒>
本発明の製造方法においては、第1工程において、上述したIII族原料およびII族原料ならびに任意の配位性分子とともに、非極性溶媒を用いるのが好ましい。
非極性溶媒としては、具体的には、例えば、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサデカンおよびn−オクタデカンなどの脂肪族飽和炭化水素;1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンなどの脂肪族不飽和炭化水素;ならびに、トリオクチルホスフィン;等が挙げられる。
これらのうち、炭素数12以上の脂肪族不飽和炭化水素が好ましく、1−オクタデセンがより好ましい。
<溶解条件>
第1工程において、上述したIII族原料およびII族原料ならびに任意の配位性分子等を溶解する方法は特に限定されず、例えば、100〜180℃の温度に加熱して溶解させる方法が好ましい。なお、この際に、減圧条件下で加熱することより、溶解させた混合溶液から溶存酸素および水分などを除去することが好ましい。
また、上述した加熱溶解に要する時間は、30分以上であることが好ましい。
〔第2工程〕
第2工程は、III族原料およびII族原料を溶解した混合溶液に、V族元素を含むV族原料を添加し、III族元素およびV族元素を含有するコアを形成する工程である。
ここで、本発明の製造方法においては、上述した第1工程においてII族原料を添加しているため、第2工程においてコアを形成する際に、シェルの原料であるII族原料が存在していることになるが、II族原料は、コアの形成には殆ど消費されず、その多くが形成されたコアの表面に存在していると考えられる。
また、このように、コアの形成時にシェルの材料であるII族原料が存在することにより、得られるコアシェル粒子の発光効率がより高くなる。これは、第3工程においてVI族原料を添加してシェルを形成させる際に、予めコアの表面に存在しているII族原料とVI族原料とが反応することにより、より均一な被覆が形成されるともに、コアとシェルとの界面が僅かに非局在化している(固溶状態となっている)ためと考えられる。
<V族原料>
V族元素を含むV族原料としては、具体的には、例えば、トリストリアルキルシリルホスフィン、トリスジアルキルシリルホスフィンおよびトリスジアルキルアミノホスフィン;酸化砒素、塩化砒素、硫酸砒素、臭化砒素およびヨウ化砒素;ならびに、一酸化窒素、硝酸および硝酸アンモニウム;等が挙げられる。
これらのうち、トリストリアルキルシリルホスフィン、またはトリスジアルキルアミノホスフィンを用いるのが好ましく、安全性およびコストなどの観点から、トリスジアルキルアミノホスフィンを用いるのがより好ましく、具体的には、トリスジメチルアミノホスフィンを用いるのがさらに好ましい。
<加熱条件>
第2工程は、上述したV族原料を溶解させ、III族原料との反応性を高める観点から、加熱条件下で行うことが好ましい。
第2工程において、第1工程で調製した混合溶液にV族原料を添加する時の温度(以下、「V族原料添加時温度」という場合がある。)は、特に限定されず、第1工程で調製した混合溶液およびV族原料の種類などによって、適宜設定することができるが、オストワルド熟成の影響を抑制し、コアの粒径を均一にする観点から、230℃未満であることが好ましく、100℃〜220℃の範囲内であることがより好ましく、120℃〜200℃の範囲内であることがさらに好ましく、150℃〜180℃の範囲内であることがいっそう好ましい。
例えば、トリスジメチルアミノホスフィンを用いた場合には、120℃以上200℃以下であるのがより好ましく、150℃以上180℃以下であるのがさらに好ましい。120℃以上200℃以下の温度で加熱することにより、形成されるコアの不均一性が低減し、発光の半値幅を小さい値に制御しやすくなる。
また、第2工程において、第1工程で調製した混合溶液にV族原料を添加した後の温度(以下、「コア形成温度」という場合がある。)は、特に限定されず、第1工程で調製した混合溶液およびV族原料の種類などによって、適宜設定することができるが、250℃以下であることが好ましく、200℃〜240℃の範囲内であることがより好ましく、210℃〜240℃の範囲内であることがさらに好ましく、220℃〜240℃の範囲内であることがいっそう好ましい。
一方、加熱時間(以下、「コア形成時間」という場合がある。)は、特に限定されず、コアの粒子サイズによって適宜設定することができる。コア形成時間は、量子ドットに用いられる一般的なコアのサイズを考慮すると、0.5分間から120分間の範囲内に設定することが好ましい。
〔第3工程〕
第3工程は、コアを形成した後の混合溶液に、VI族元素を含むVI族原料を添加し、コアの表面の少なくとも一部に、II族元素およびVI族元素を含有するシェルを形成する工程であり、255℃以上295℃以下の温度で行うことを特徴とする工程である。
<VI族原料>
VI族元素を含むVI族原料としては、具体的には、例えば、硫黄、アルキルチオール、トリアルキルホスフィンスルフィド、トリアルケニルホスフィンスルフィド、アルキルアミノスルフィド、アルケニルアミノスルフィド、イソチオシアン酸シクロヘキシル、ジエチルジチオカルバミン酸およびジエチルジチオカルバミン酸;ならびに、トリアルキルホスフィンセレン、トリアルケニルホスフィンセレン、アルキルアミノセレン、アルケニルアミノセレン、トリアルキルホスフィンテルリド、トリアルケニルホスフィンテルリド、アルキルアミノテルリドおよびアルケニルアミノテルリド;等が挙げられる。
これらのうち、得られるコアシェル粒子の分散性が良好となる理由から、アルキルチオールを用いるのが好ましく、具体的には、ドデカンチオールおよび/またはオクタンチオールを用いるのがより好ましく、ドデカンチオールを用いるのがさらに好ましい。
<加熱条件>
第3工程における加熱温度(以下、「シェル形成温度」という場合がある。)は、上述した通り、255℃以上295℃以下であり、260℃以上290℃以下であるのが好ましく、270℃以上290℃以下であるのがより好ましい。
本発明の製造方法においては、シェル形成温度を255℃以上295℃以下とすることにより、コアに含まれるIII族元素(例えば、In)およびV族元素(例えば、P)とシェルに含まれるII族元素(例えば、Zn)との合金化が適度に促進され、上述したラマンピーク強度比が0.16以上0.33以下となる。
一方、加熱時間(以下、「シェル形成時間」という場合がある。)は、特に限定されず、適宜設定することができる。シェル形成時間は、発光効率がより良好となる理由から、シェル形成温度が255℃以上295℃以下であるとき、1時間以上に設定することが好ましく、7時間以上に設定することがより好ましい。
本発明の製造方法の第3工程においては、発光効率がより良好となる理由から、VI族原料だけでなく、上述したII族原料をさらに添加してもよい。
[フィルム]
本発明のフィルムは、上述した本発明のコアシェル粒子を含有するフィルムである。
このような本発明のフィルムは、発光効率が高く、量子ドットとして有用であるため、例えば、ディスプレイ用途の波長変換フィルム、太陽電池の光電変換(または波長変換)フィルム、生体標識、または薄膜トランジスタ等に適用することができる。
また、本発明のフィルムを構成する母材としてのフィルム材料は特に限定されず、樹脂であってもよく、薄いガラス膜であってもよい。
具体的には、アイオノマー、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、またはナイロン等をベースとする樹脂材料が挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔実施例1〜6、比較例2〜5〕
<第1工程>
フラスコ中に、配位性分子としてのオレイルアミン29.50mL、III族原料としての塩化インジウム1.20g(5.4mmol)、および、II族原料としての塩化亜鉛を下記表1の「Zn/In混合比」に示す値となるように添加し、減圧条件下、100℃で加熱撹拌を行い、原料を溶解させるとともに、50分間脱気を行った。
<第2工程>
次いで、窒素フロー下で、フラスコを下記表1の「V族原料添加時温度(℃)」に示す温度まで昇温し、50分間キープした。
溶液の温度が安定したところで、V族原料としてのトリスジメチルアミノホスフィン1.5mL(8.27mmol)を加え、下記表1の「コア形成温度(℃)」に示す温度を維持した状態で25分間加熱した。
加熱した後、溶液が赤色に着色し、粒子(コア)が形成している様子が確認できた。
<第3工程>
次いで、コアを含む溶液を下記表1の「シェル形成温度(℃)」に示す温度に加熱した状態において、VI族原料としてのドデカンチオールを17.96mL加え、下記表1の「シェル形成温度(℃)」に示す温度を維持した状態で7時間加熱を行なった。
次いで、得られた溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加え、遠心分離を行い、粒子を沈殿させた。
上澄みを廃棄した後、トルエン溶媒に分散させることにより、InおよびPをコアとし、ZnおよびSをシェルとするコアシェル粒子のトルエン分散液を得た。
〔比較例1〕
<(1)InPナノ粒子の作製>
以下の方法により、III−V族半導体であるInPナノ粒子をソルボサーマル法で作製した。
まず、グローブボックスでアルゴンガス雰囲気中、オートクレーブに塩化インジウム(InCl)0.4グラム、界面活性剤であるトリオクチルホスフィン(TOP;Trioctylphosphine)3mLと、ドデシルアミン(DDA;Dodecylamine)2.5gとを加えた。さらに、溶媒としてトルエン5mLを加え、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン(Tris(dimethylamino)phosphine)0.5ミリリットルを入れた。
オートクレーブを電気炉に移して75℃で1時間保った後、さらに180℃に昇温し、24時間でナノ粒子を成長させた。
上記した方法で得られたナノ粒子分散液にトルエン10mLとメタノール6mLとを加え、十分に攪拌した後、10分間遠心分離を行い、遠心分離後、透明な上澄み液を取り出すことによって、InPナノ粒子と反応後の副産物を分離した。
このときの発光効率は約1%と低いものであった。
<(2)水分散のInPナノ粒子の作製>
上記(1)工程で取り出したナノ粒子をブタノールとヘキサンの混合溶液(ブタノール:ヘキサンの体積比は1:2)に分散させた。このとき、吸収スペクトルから、既報の文献(アダムら、ジャーナル オブ ケミカル フィジクス、123巻、084706ページ(2005))の吸光係数を用いて算出された溶液中のナノ粒子の濃度は、約0.3×10−5mol粒子/Lであった。ガラス瓶に小型の攪拌子を入れ、ホットスターラーに乗せ、ヒーターの温度を70℃に設定した。このとき、容器中の溶液は約50℃であった。
ナノ粒子分散液を攪拌しながら、亜鉛イオンと界面活性剤チオグリコール酸が入った混合溶液(ZT溶液)2mLを加えた。このZT溶液中では、亜鉛イオン濃度は0.13mol/L、亜鉛イオンとチオグリコール酸のモル比は1:2.43とした。
さらに、水酸化ナトリウムでZT溶液のpH値を11.0になるように調整した。
攪拌により、有機層のナノ粒子はほぼ全部水層に分配されて、有機層は完全に透明になった。一方で、水層はナノ粒子の粒径によって、黄色や茶色などの色になった。この水溶液をピペットで取り出し、遠沈管に移した。凝集したナノ粒子を取り除くため、遠心分離を掛けた後に、上澄み溶液を採取した。水分散後のナノ粒子はわずかにフォトルミネッセンスを発光した。
さらに遠沈管に上澄み溶液をいれ、貧溶媒としてメタノールを入れると、溶液が懸濁した。これを遠心分離することで、水分散性ナノ粒子の粉末を取り出すことができた。
なお、このInPナノ粒子を水溶液に分散する工程で、水溶液(ZT溶液)の中に界面活性剤が無いと、うまく水溶液に分散できず、沈殿が生じた。また、亜鉛イオンが無いと、溶液攪拌によってナノ粒子が溶解して無くなり、有機層と水層はともに透明になった。
<(3)コア/シェル構造の半導体ナノ粒子の製造>
上記(2)工程で得られた水分散性ナノ粒子の粉末を、(2)工程に記載したZT溶液に溶解し、既報の文献(村瀬ら、コロイズ アンド サーフェスイズ エー、294巻、33ページ(2007))の方法を参照しながら、紫外光照射してInPナノ粒子の上に硫化亜鉛シェルを作製して、コアシェル粒子の分散液を得た。
〔比較例6〕
<インジウム前駆体溶液の調製>
酢酸インジウム4.0mmolと、オレイン酸12mmolと、1−オクタデセン1.2mLとを100mLの反応器に入れて、約120℃の温度で約1時間反応させた。その後、上記反応器に1−オクタデセン35mLを追加した。結果物であるインジウムオレイン酸(In(OA))溶液は、常温の窒素雰囲気中に保管した。
<亜鉛前駆体溶液の調製>
酢酸亜鉛4.0mmolと、オレイン酸8.0mmolと、1−オクタデセン2.4mLとを100mLの反応器に入れて、約120℃の温度で約1時間反応させた。その後、上記反応器に1−オクタデセン35mLを追加した。結果物である亜鉛オレイン酸(Zn(OA))溶液は、常温の窒素雰囲気中に保管した。
<硫黄前駆体溶液の調製>
硫黄4.0mmolと、トリオクチルホスフィン4.0mmolとを50mLの反応器に入れて、窒素雰囲気中で硫黄が完全に溶けるまで約150℃の温度で攪拌した。結果物を常温に冷却させた後、トリオクチルホスフィンスルフィドの濃度が1mmol/mLになるよう1−オクタデセンを注入した。結果物であるトリオクチルホスフィンスルフィド溶液は、常温の窒素雰囲気中に保管した。
<コアシェル粒子の製造>
インジウムオレイン酸(In(OA))1.0mmol(溶液)と、亜鉛オレイン酸(Zn(OA))3.0mmol(溶液)と、1−オクタデセンとを反応器内に注入した。反応器を窒素雰囲気中で約120℃の温度に約1時間放置して水分と酸素を除去した。その後、反応器の内部を窒素に置換した後、窒素雰囲気を維持しながら反応器の温度が約300℃になるまで反応器に熱を加えた。
続いて、1−オクタデセンとトリオクチルホスフィンスルフィド(TOPS;Trioctylphosphine sulphide)3.0mmol(溶液)とを混合した後、グローブボックス内からトリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMSP;Tris(trimethylsilyl)phosphine)(10wt%ヘキサン溶液)を混合した。
反応器の温度を約300℃に維持しながら、注射器を利用して、トリオクチルホスフィンスルフィド溶液とトリメチルシリルホスフィン溶液との混合物を速やかに注入した。次に、硫黄前駆体の溶液とリン前駆体の溶液の混合物を注入後、40分間温度を約300℃に維持しながら反応させた。
コアとシェルの形成反応がおわると、窒素雰囲気の条件のもとで反応器を常温に冷却させた。
その後、アセトンとエタノールを約10:1の比率にして、過量のアセトンとエタノールを結果物に添加し、結果物を4000rpmの遠心分離器で分離してコアシェル粒子を沈殿させた。
沈殿物中の澄明溶液を除去した後、沈殿物にトルエンを加えて沈殿物を溶媒に再分散させた。
遠心分離と再分散の過程を繰り返してコアシェル粒子のトルエン分散液を得た。
〔ラマンピーク強度比〕
得られたコアシェル粒子の分散液をサンプルとして、ラマンピーク強度比を以下の方法で測定した。光源として、チタンサファイアレーザー(Libra,コヒレント社製;波長800nm,パルス時間幅92fs,出力4.10W,繰り返し周波数1kHz)を用いた。基本波(800nm)を2つに分割し、ラマン励起光発生と、ラマン検出用白色光の発生に用いた。ラマン励起光はピコ秒光パラメトリック増幅器により発生させ(530nm,3.5ps、8cm−1)、ラマン検出光は基本波をサファイア板に集光することで発生させた。ラマン検出光は波長領域532〜680nmを選別した後、チャープミラーにより分散補償をして10fsとした。ラマン励起光とラマン検出光を放物面鏡でサンプルに照射した。サンプル溶液は石英セル(光路長1mm)に充填した。サンプルを透過したラマン検出光は分光器で波長分散された後、CCDにより検出された。
上記によりラマン信号のスペクトル情報を得たのち、350cm−1(In−P結合に由来するピーク)のピーク高さを測定し、このピーク高さを1と規格化した際の、210cm−1(In−Zn結合に由来するピーク)のピーク高さを「ラマンピーク強度比」として求めた。
〔発光効率〕
得られたコアシェル粒子の分散液について、450nmの励起波長において吸光度が0.02程度となるように溶液の濃度を調製し、絶対PL量子収率測定装置C9920−02(浜松ホトニクス社製)を用いて発光効率を測定した。
なお、下記表1中の発光効率は、吸収フォトン数に対する発光フォトン数の割合として算出したものである。
Figure 0006931385
なお、表1中、比較例1の「Zn/In混合比」欄の「0」は、In原料とZn原料を混合していないことを意味する。また、「V族原料添加時温度(℃)」、「コア形成温度(℃)」および「シェル形成温度(℃)」欄の「−」は、コアシェル粒子の製造方法が本発明の製造方法に該当しないことを意味する。
〔結果の説明〕
表1に示すように、コアシェル粒子を製造する際の第一工程において、Zn/In混合比を1.5以上とし、さらに、第三工程においてシェル形成温度を255℃〜295℃の範囲内とすることによって、ラマンピーク強度比を0.16〜0.33の範囲内とすることができた。
ラマンピーク強度比が0.16〜0.33の範囲内である実施例1〜4の発光効率は、その範囲外である比較例1〜6の発光効率に比べて、明らかに良好であることがわかった。
比較例1〜5によって示されるように、ラマンピーク強度比が0.16未満では、発光効率が劣っていた。これは、コアシェル間に形成されたIn−Zn−P合金層の厚みが十分でなく、コアシェル間の格子ミスマッチが緩和されなかったために、発光効率が低下したものと考えられる。
また、比較例6によって示すように、ラマンピーク強度比が0.33超でも発光効率が低下することが判明した。これは、合金化が進み過ぎ、コアシェル間のIn−Zn−P合金層の厚みが厚すぎたためと考えられ、発光効率を向上させるには、最適な合金厚みが存在することが明らかとなった。
以上より、ラマンピーク強度比が0.16〜0.33の範囲内であると、コアシェル間に形成されたIn−Zn−P合金層の厚みが適度であり、コアシェル間の格子ミスマッチを十分に緩和することから、発光効率が良好なものとなると推定される。

Claims (11)

  1. III族元素およびV族元素を含有するコアと、前記コアの表面の少なくとも一部を覆うII族元素およびVI族元素を含有するシェルとを有する量子ドット用のコアシェル粒子であって、
    ラマン分光分析により測定される、前記III族元素および前記V族元素の結合を示すピーク強度に対する、前記III族元素および前記II族元素の結合を示すピーク強度の割合が0.16以上0.33以下であり、
    前記III族元素がInであり、前記V族元素がPであり、
    前記II族元素がZnであり、前記VI族元素がSであり、
    ラマン分光分析により測定される、前記III族元素および前記V族元素の結合を示すピークが340〜365cm−1に存在し、前記III族元素および前記II族元素の結合を示すピークが200〜230cm−1に存在する、コアシェル粒子。
  2. 量子ドット用のコアシェル粒子の製造方法であって、
    III族元素を含むIII族原料と、II族元素を含むII族原料とを、前記III族原料に対する前記II族原料のモル比1.5〜3.0で混合し、溶解した混合溶液を調製する第1工程と、
    前記混合溶液に、V族元素を含むV族原料を添加し、前記III族元素および前記V族元素を含有するコアを形成する第2工程と、
    前記コアを形成した後の混合溶液に、VI族元素を含むVI族原料を添加し、前記コアの表面の少なくとも一部に、前記II族元素および前記VI族元素を含有するシェルを形成する第3工程と
    を有し、
    前記第3工程が255℃以上295℃以下の温度で行われる、コアシェル粒子の製造方法。
  3. 前記III族元素がInであり、前記V族元素がP、NおよびAsのいずれかである、請求項2に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  4. 前記III族元素がInであり、前記V族元素がPである、請求項3に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  5. 前記II族元素がZnであり、前記VI族元素がSまたはSeである、請求項2〜4のいずれか1項に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  6. 前記II族元素がZnであり、前記VI族元素がSである、請求項5に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  7. 前記III族原料がInの塩化物である、請求項2〜6のいずれか1項に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  8. 前記II族原料がZnの塩化物である、請求項2〜7のいずれか1項に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  9. 前記V族原料が、トリスジアルキルアミノホスフィンである、請求項2〜8のいずれか1項に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  10. 前記VI族原料が、アルキルチオールである、請求項2〜9のいずれか1項に記載のコアシェル粒子の製造方法。
  11. 請求項1に記載のコアシェル粒子を含有するフィルム。
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