JP6930642B1 - 粉粒体供給装置の制御装置およびこれを備えた粉粒体供給システム、粉粒体供給装置の制御方法、制御プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、樹脂成型品の製造現場では、粉粒状の樹脂ペレットを金型内へ供給するために、粉粒体供給装置が導入される場合がある。樹脂ペレットの金型への供給総量は、樹脂成型品あるいは金型のサイズによって予め定められる。定速移動する金型内に樹脂ペレットを一定の供給速度で供給することで、金型の移動が終了した時点で所定総量の樹脂ペレットを供給し終えることができるとともに、金型内に樹脂ペレットを一様に撒くことができる。この場合において、樹脂ペレットの供給開始時点、供給期間および供給終了時点は、金型の移動開始時点、移動期間および移動終了時点とそれぞれ概ね一致するように設定される。
上記した制御方法では、供給速度が変動しても、その後に供給速度を目標値に追従させることは可能である。しかし、供給量の過不足が解消されることなく、供給速度が再び一定に保たれる。このように定速性の重視によって供給量の過不足が看過されると、目標の供給終了時点で所定総量の粉粒体を供給し終えることができない可能性がある。それにより、受容体に粉粒体を一様に撒くことができない可能性がある。
そこで本発明は、外乱によって供給速度が一時的に変動したとしても、所定総量の粉粒体を供給開始から所定期間が経過した時点で供給し終えることを可能にすることを目的としている。
目標既供給量設定部は、所定総量を所定供給期間で除算することで得られた基準供給速度に経過時間を乗算することにより、既供給量の目標値を導出してもよい。
本発明の別の形態に係る粉粒体供給装置の制御装置は、所定総量の粉粒体の供給を所定供給期間が経過した時点で終了すべく動作する粉粒体供給装置を制御するように構成される。制御装置は、粉粒体の供給速度を測定する測定部と、供給速度の目標値を設定する目標供給速度設定部と、供給速度の測定値が目標値に追従するように粉粒体供給装置の操作量を設定する操作量設定部とを備える。目標供給速度設定部は、測定値の変動の有無を判定する。変動がなければ、目標供給速度設定部は、所定総量および所定供給期間から得られる基準値を目標値として設定する。変動があれば、目標供給速度設定部は、基準値から当該変動方向とは逆方向へ変化させた補正値を目標値として設定する。
目標供給速度設定部は、変動によって生じた粉粒体の供給の過不足量を測定し、測定された過不足量が相殺されるまで補正値を目標値として設定してもよい。
前記構成によれば、過不足量を測定し、その過不足量を相殺するまで目標値を基準値から補正値に変更するので、変動によって生じた過不足をより確実に解消することができる。
前記構成によれば、予め設定された相殺期間の経過後に過不足量を相殺することができ、変動に対処する期間を所望どおりに設定することが可能になる。
測定部は、粉粒体供給装置によって支持されている総支持重量を測定してもよい。制御装置が、総支持重量に応じて操作量を調整する調整部を、更に備えてもよい。
操作量設定部は、伝達関数に従って前記測定値と前記目標値との偏差から前記操作量を導出する演算部を有してもよい。調整部は、総支持重量に応じて伝達関数のパラメータを調整するパラメータ設定部を有してもよい。
総支持重量が小さくなると、パラメータ設定部は、偏差に対する操作量の応答が鈍くなるようにパラメータを調整してもよい。
前記構成によれば、総支持重量が小さくなると、偏差に対する操作量の応答が鈍くなるので、測定値を目標値に追従させる制御を安定させることができる。
操作量設定部は、測定値と目標値との偏差に基づいて導出された操作量が所定範囲を超える場合に、操作量が当該範囲の上限値または下限値となるように操作量を制限する操作量制限部を有してもよい。調整部は、総支持重量に応じて上限値および下限値を調整する上下限設定部を有してもよい。
上下限設定部は、総支持重量に応じて操作量の基準値を設定し、基準値に上昇許容量を加算することで上限値を設定し、基準値に下降許容量を減算することで下限値を設定する。
制御装置が、総支持重量に対する操作量の基準値を定義した対応関係を記憶する対応関係記憶部と、測定された総支持重量と操作量設定部によって設定された操作量とに基づいて対応関係を導出する対応関係導出部と、を更に備えてもよい。上下限設定部は、対応関係記憶部に記憶される対応関係に従って、基準値を設定してもよい。対応関係記憶部は、対応関係導出部によって導出された対応関係を更新記憶してもよい。
このため、粉粒体供給装置の外的変化および内的変化(例えば、季節や気候の変化、装置の経年劣化およびメンテナンス作業による機能回復など)の影響で、操作量に対する制御量あるいは測定値の応答性能が変化したとしても、これに対応することができる。したがって、測定値を目標値に追従させる制御を継続的に安定させることができる。
本発明の一形態に係る粉粒体供給装置の制御方法は、所定総量の粉粒体の供給を所定供給期間が経過した時点で終了すべく動作する粉粒体供給装置の制御方法である。制御方法は、測定工程、目標既供給量設定工程および操作量設定工程を備える。測定工程では、供給済の粉粒体の量である既供給量を測定する。目標既供給量設定工程では、所定総量および所定供給期間から得られる基準供給速度と、供給開始からの経過時間とに応じて、既供給量の目標値を可変的に設定する。操作量設定工程では、既供給量の測定値が目標値に追従するように粉粒体供給装置の操作量を設定する。
これら粉粒体供給システム、制御方法および制御プログラムは、前述した制御装置と同一または対応する特徴を具備し、前述した制御装置と同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態)
(適用例)
図1は、本発明の第1実施形態に係る粉粒体供給システム100を示す。粉粒体供給システム100は、粉粒体91を搬送して排出する粉粒体供給装置2を備えている。粉粒体91の排出には、粉粒体91の自重落下が利用される。
受容体92のサイズ等に照らして、受容体92に供給すべき粉粒体91の総量A1は予め定められている。粉粒体供給システム100は、総量A1の粉粒体91を受容体92に供給する動作を繰り返し実行する。なお、粉粒体91の「量」は、重量(g)でも体積(m3)でもよい。本書では、特段断らない限り重量とする。
受容体92の移動経路および移動速度は、特に限定されるものではなく、粉粒体91を受容体92の内部全体に行き渡らせるために適当に設定される。受容体92は、図1に矢印で示すように水平な一方向に定速で移動してもよいし、水平方向に往復移動してもよい。
上記したような粉粒体供給システム100は、樹脂成型品の製造現場に好適に導入される。この場合、粉粒体91は、樹脂成型品の原料となる樹脂ペレット(例えば、粒径:10-3〜10-6(m))であり、受容体92は、樹脂成型用の金型である。金型の内部全体に樹脂ペレットを均等に撒くことができ、樹脂成型品の品質向上に資する。樹脂ペレットのように比較的大きな粒径を有する粉粒体91を適用対象とする場合には、粉粒体供給装置2の搬送方式として振動式を好適に採用することができる。
粉粒体91は、塩や胡椒のような粒状の調味料または食品添加物でもよい。その場合、受容体92は、調味料または食品添加物を保管するための容器でもよいし、調理途中の加工食品でもよい。粉粒体供給システム100は、全固体電池の製造現場に導入されてもよい。その場合、粉粒体91が正極合剤粉であって、受容体92が正極接合層であってもよい。粉粒体91が負極合剤粉であって、受容体92が負極接合層であってもよい。
粉粒体供給システム100は、ホッパ1、粉粒体供給装置2、ロードセル5、入力装置9および制御装置10を備えている。ここでは詳細説明を省略するが、粉粒体供給システム100が、受容体92を移動させる機構(図示略)と、当該機構の動作を制御する制御器(図示略)を更に備えていてもよい。
ホッパ1は、粉粒体91を貯留する貯留部1aと、貯留部1aに貯留されている粉粒体91をホッパ1の外へ排出する排出ポート1bとを有している。粉粒体91が排出されやすいように、貯留部1aは逆錐状に形成され、排出ポート1bは貯留部1aの底部に設けられている。
粉粒体供給装置2は、ホッパ1から排出された粉粒体91を搬送し、受容体92に供給する。振動フィーダとしての粉粒体供給装置2は、トラフ3および振動発生器4を備えている。
振動発生器4は、トラフ3およびこれに支持されているものを振動させる。これにより、トラフ3上の粉粒体91が、トラフ3の長手方向一端部から長手方向他端部(搬送経路の下流端部)へと搬送されていく。振動発生器4に供給される駆動電圧および駆動電流に応じて、振動周波数および加振力が変化し、それにより、粉粒体91の移動速度(m/sec)あるいは供給速度(g/sec)が変化する。
ロードセル5は、粉粒体供給装置2によって支持されている総支持重量w(g)を検出する。総支持重量wは、振動発生器4からの加振力が作用する組立体の重量と、当該組立体によって支持されている粉粒体91の残量との和である。
粉粒体供給装置2が動作すると、粉粒体91はホッパ1からトラフ3へ排出され続けるとともに、粉粒体91がトラフ3から受容体92へ供給され続ける。本実施形態では、加振力がホッパ1にも伝達されるため、粉粒体91がホッパ1から円滑に排出される。
入力装置9は、一例として、製造現場に設置される操作盤であり、製造現場の作業員によって操作される。入力装置9は、粉粒体供給装置2を稼働させる事前に、粉粒体供給装置2の動作条件の入力操作を受け付ける。
一例として、動作条件には、1回の供給動作で受容体92に供給すべき粉粒体91の総量A1と、1回の供給動作で受容体92に粉粒体91を供給する供給期間T1とが含まれる。入力装置9は、粉粒体供給装置2の供給動作の開始指令や、粉粒体供給装置2の緊急停止指令の入力操作を受け付けることができるように構成されていてもよい。
制御装置10は、処理部11、入力部12および出力部13を有している。入力部12は、ロードセル5と接続されている。総支持重量wを示す検出信号が、ロードセル5から入力部12に逐次出力される。入力部12は、所定のサンプリング周期(例えば、5.0msec)おきにロードセル5の検出値を取得する。入力装置9で入力された動作条件に関する情報(例えば、総量A1および供給期間T1)は、入力部12あるいは処理部11に出力される。
出力部13は、処理部11で設定された操作量Uに基づいて振動発生器4を駆動する。このようにして、粉粒体供給装置2の動作が、総量A1の粉粒体91を供給開始から所定の供給期間T1が経過した時点で受容体92に供給し終えるように制御される。
図2は、第1実施形態に係る制御装置10を示す。本実施形態に係る制御装置10は、重量(既供給量)のフィードバック制御を通じて、粉粒体供給装置2の動作を制御する。制御装置10の処理部11は、条件設定部20、測定部21、目標既供給量設定部22および操作量設定部23を有している。操作量設定部23には、演算部24および操作量制限部25が含まれる。
測定部21は、入力部12で取得された総支持重量wの検出値に基づいて、既供給量を測定する。一例として、既供給量の測定値Amは、粉粒体91の供給開始時点tsにおける総支持重量w(ts)から、現時点tにおける総支持重量w(t)を減算することによって導出される。
より詳細には、供給速度の基準値vrefは、総量A1を供給期間T1で除算することで得られ、経過時間Tに関わらず一定の値である。目標値Atは、基準値vrefに経過時間Tを乗算することで得られる。測定値Amが目標値Atに追従し続けている限りにおいて、供給速度は基準値vrefに保たれ、既供給量は図3で示すように線形に増加していくことになる。
演算部24は、伝達関数に従って偏差δAから操作量Upidを導出する。本実施形態では、演算部24が、比例部24a、積分部24bおよび微分部24cを有し、PID制御を実行する。
操作量制限部25は、演算部24によって導出された操作量Upidが所定範囲を超える場合に、操作量Upidを制限するリミット処理を行い、制限後の操作量Uを出力する。
制御装置10の処理部11は、調整部31、対応関係記憶部32および対応関係導出部33を更に有している。調整部31は、パラメータ設定部31aおよび上下限設定部31bを有し、総支持重量wに応じて操作量Uを調整する。
パラメータ設定部31aは、演算部24にて操作量Upidを導出するために用いられる伝達関数のパラメータの値を、総支持重量wに応じて設定する。公知のとおり、伝達関数のパラメータには、例えば、比例部24aにおける比例ゲインKp、積分部24bにおける積分ゲインKiまたは積分時間Ti、および、微分部24cにおける微分ゲインKdまたは微分時間Tdがある。パラメータ設定部31aは、これらパラメータのうち少なくともいずれか1つを調整する。本実施形態では、単なる一例として、比例ゲインKp、積分ゲインKiおよび微分ゲインKdを調整対象とする。
図4(A)および(B)も参照して、対応関係記憶部32は、総支持重量wに対するパラメータの値を定義した第1対応関係41と、総支持重量wに対する操作量の基準値Urefを定義した第2対応関係42とを記憶している。
次に、総支持重量wを横軸、パラメータの最適値を縦軸とする二次元直交座標系内で、総支持重量wに対応した最適値をプロットする。そして、粉粒体供給装置2の試験的稼働回数に応じて得られた複数のプロットに対し、公知の近似法(例えば、最小二乗法)を用いて、直線または曲線を当て嵌める。
図4(A)では、直線が当て嵌められ、比例ゲインKp用の演算式(Kp=fp(w))が一次関数であるが、これは単なる一例である。第1対応関係41は、非線形の演算式によって表されてもよい。
上下限設定部31bは、まず、図4(B)に示される第2対応関係42に従って操作量の基準値Urefを設定し、次いで、上限値Umaxおよび下限値Uminを設定する。
この試験動作中に粉粒体91の残量が漸次減少していく過程で、測定値の目標値への追従を実現することができた操作量の値が、そのときの総支持重量wと紐づけして記録される。この「目標値への追従を実現することができた操作量の値」が、基準値Urefとして取り扱われる。
図4(B)では、直線が当て嵌められ、演算式が一次関数であるが、これは単なる一例である。第2対応関係42も、非線形の演算式によって表されてもよい。
上昇許容量ΔU1および下降許容量ΔU2は、同じ値でも異なる値でもよい。上昇許容量ΔU1および下降許容量ΔU2は、総支持重量wに関わらず一定の値でもよい。基準値Urefが総支持重量wに応じて可変的に設定されるため、上昇許容量ΔU1および下降許容量ΔU2が一定値でも、上限値Umaxおよび下限値Uminは総支持重量wに応じて変化する。
第2対応関係42によれば、総支持重量wが小さいほど、基準値Urefが減少し、上限値Umaxおよび下限値Uminも減少する。
導出方法は、上記した実用前の試験動作で用いられた方法と同じでよい。この方法によれば、粉粒体供給装置2の連続運転中にも第2対応関係42を導出することができる。
対応関係導出部33によって導出された第2対応関係42は、対応関係記憶部32において更新記憶される。
図5は、第1実施形態に係る粉粒体供給装置2の制御プログラムPおよび制御方法を示す。まず、測定部21が、入力部12に出力されたロードセル5からの検出信号に基づいて、現時点tの総支持重量w(t)を測定し(S11)、既供給量を測定する(S12)。既供給量の測定値Amは、供給開始時点tsの総支持重量w(ts)から現時点tの総支持重量w(t)を減算することで得られる。
次に、測定値Amと目標値Atとの間の偏差δAが導出される(S14)。
偏差δAから操作量Upidを導出する(S15)に先立ち、パラメータ設定部31aが、今回の処理で用いる伝達関数のパラメータの値Kp(t),Ki(t),Kd(t)を設定する(S31)。パラメータ設定部31aは、対応関係記憶部32に記憶される第1対応関係41を参照して、測定部21によって測定された現時点tの総支持重量w(t)に応じて、各値を設定する。なお、ステップS31は、ステップS11とステップS15との間であれば、どのタイミングで実行されてもよい。
操作量Upidのリミット処理を実行する(S16)に先立ち、上下限設定部31bが、今回の処理で用いる上限値Umax(t)および下限値Umin(t)を設定する(S32)。上下限設定部31bは、対応関係記憶部32に記憶される第2対応関係42を参照して、測定部21によって測定された現時点tの総支持重量w(t)に応じて、操作量の基準値Uref(t)を導出する。更に、上下限設定部31bは、この基準値Uref(t)に基づいて、上限値Umax(t)および下限値Umin(t)を設定する。なお、ステップS32は、ステップS11とステップS16との間であれば、どのタイミングで実行されてもよい。
次に、出力部13が、操作量設定部23によって設定された(操作量制限部25から出力された)操作量Uで振動発生器4を駆動する(S17)。
測定部21によって測定された既供給量の測定値Amが総量A1未満であれば(S19:N)、ステップS11に戻って上記の処理が繰り返される。一方、既供給量の測定値Amが総量A1に達していれば(S19:Y)、第2対応関係42の更新を要するか否かを判定する(S33)。
図6および図7も参照して、上記した制御装置10、制御プログラムPおよび制御方法の作用について説明する。
図6は、重量フィードバック制御を採用したことで得られる作用を示すグラフである。
本実施形態によれば、測定値Amが目標値Atに追従していると、供給速度は、基準値vrefに保たれる。フィードバック制御系に対する外乱が発生すると、供給速度が変動して基準値vrefからずれる。ここで、外乱とは、例えば、粉粒体91の大きさの不均一性や粘度、あるいは、外的に付加された振動等に起因する粉粒体91の供給の乱れを意味している。
本実施形態によれば、既供給量の過不足が、測定値Amに即座に反映される。他方、目標値Atは、変動なく基準値vrefの供給速度で供給し続けることができた場合において現時点tで供給し終えているべき粉粒体91の量を示す。
図7に示すように、総支持重量wが粉粒体91の残量の減少によって総支持重量wが漸次減少したとしても、パラメータが総支持重量wに応じた最適値に設定される。更に、この最適化されたパラメータを用いて演算された操作量Upidに制限をかける。
これにより、総支持重量wが減少して加振力に対する供給速度の応答が敏感になっても、測定値Amの目標値Atへの応答を鈍らせることができる。その結果として、測定値Amを目標値Atに安定して追従させることができ、また、供給速度を基準値vrefで保ち続けることができる。
図8は、本発明の第2実施形態に係る粉粒体供給システム200に備わる制御装置110を示す。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違を中心に説明する。
(制御装置)
<供給速度フィードバック制御>
本実施形態に係る制御装置110は、供給速度のフィードバック制御を通じて、粉粒体供給装置2の動作を制御する。制御装置110の処理部111は、第1実施形態に係る目標既供給量設定部22に代えて、目標供給速度設定部122を有している。
測定部121は、粉粒体91の供給速度を測定する。供給速度は、総支持重量wの時間変化率である。すなわち、供給速度の測定値vmは、現時点tでの総支持重量w(t)と、現時点tに対して所定時間ΔT(例えば、5.0msec)だけ過去の時点での総支持重量w(t-1)との差分値を、当該所定時間ΔTで除算することによって導出される。
図9は、目標供給速度設定部122を示す。目標供給速度設定部122は、基準値設定部151、判定部152、過不足量測定部153および補正値設定部154を有している。
判定部152は、所定の監視周期Tmで測定部121によって測定された供給速度の測定値vmの変動の有無を判定する。この監視周期Tm(例えば、5.0sec)は、フィードバック制御の制御周期(例えば、5.0msec)よりも長い時間に設定される。
過不足量ΔAの測定法は、特に限定されるものではない。一例として、過不足量測定部153は、上記監視周期Tm内で取得された測定値vmの基準値vrefに対する偏差δvを積算することによって、過不足量ΔAを導出してもよい。なお、この基準値vrefは、直近の監視周期Tm内で目標値vtとして設定されていた値でもある。
一例として、補正値vcは、過不足量測定部153で測定された過不足量ΔAを相殺期間Tcで除算して得られる補正量(ΔA/Tc)を、基準値vrefに加算することによって導出される。この場合、相殺期間Tc中、一定の補正値vcが目標値vtとして設定され続ける。
処理部111は、第1実施形態と同様にして、調整部31、対応関係記憶部32および対応関係導出部33を有している。これら各部31〜33の機能は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、フィードバックの対象が既供給量から供給速度に変更されているため、第1対応関係41および第2対応関係42は、この変化に適合するように変更されている。
図10は、第2実施形態に係る粉粒体供給装置2の制御プログラムおよび制御方法を示す。
まず、基準値設定部151が、供給速度の基準値vrefを設定する(S60)。次に、測定部121が、第1実施形態のステップS11と同様にして現時点tの総支持重量w(t)を測定し(S61)、供給速度を測定する(S62)。測定値vmの導出法は、前述したとおりである。
ここで、相殺期間Tc中でなければ(S71:N)、判定部152が、変動の有無を判定するタイミングであるか否かを判定する(S72)。変動の有無を判定するタイミングであれば(S72:Y)、判定部152が、変動の有無を判定する(S73)。
変動の有無を判定するタイミングでない場合(S72:N)、あるいは、変動がないと判定された場合(S73:N)、判定部152は、基準値vrefを目標値vtとして設定する(S63a)。
次に、補正値設定部154が、相殺期間Tcと測定された過不足量ΔAとに基づいて補正値vcを設定する(S75)。そして、判定部152が、補正値vcを目標値vtとして設定する(S63b)。
このようにして目標値vtが設定されると(S63aまたはS63b)、第1実施形態と同様にして、操作量設定部23が操作量Uを設定し、調整部31が操作量Uを調整する。
ここで、測定値Amが総量A1未満であれば(S69:N)、ステップS61に戻って上記の処理が繰り返される。測定値Amが総量A1に達していれば(S69:Y)、第1実施形態と同様にして、第2対応関係42の更新に関する処理(S33,S34)を経て、フローが終了する。
図11も参照して、上記した制御装置110、制御プログラムPおよび制御方法の作用について説明する。なお、調整部31による操作量Uの調整については、第1実施形態と同様の作用が得られる。
図11は、供給速度フィードバック制御の採用により得られる作用を示すグラフである。図11に示すように、外乱等による供給速度の変動がなければ、目標値vtは基準値vrefであり、測定値vmが目標値vtに追従することで供給速度が基準値vrefに保たれ、既供給量は基準値vrefに従って線形に増加していくことになる。
従来一般的な速度定値制御では、供給速度の変動後に測定値を一定の目標値(基準値vrefに相当)に単に戻すだけであった。
相殺期間Tcは、入力装置9にて作業員が動作条件の一つとして入力することができる。このため、粉粒体91の仕様等に応じて、相殺期間Tcを自由に設定することができる。なお、変動の有無を判定する監視周期Tmは、相殺期間Tcと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
このように相殺期間Tcが監視周期Tmよりも長い場合には、少なくとも最終の監視タイミングから目標供給終了時点teまでの期間が、相殺期間Tcよりも短くなると考えられる。この場合において、相殺期間Tcは、条件設定部120で設定されている当初値から、現時点tから目標供給終了時点teまでの期間へと短縮されてもよい。これにより、長い相殺期間Tcが予め設定されていても、目標供給終了時点teで総量A1の粉粒体91を供給し終えることができる。
ホッパ1は粉粒体供給装置2に支持されていなくてもよい。この場合、ホッパ1内の粉粒体91の重量もしくは受容体92内の粉粒体91の重量を検出するため、粉粒体供給システムが別のロードセルを備えていてもよく、これにより既供給量を容易に測定可能になる。
2 粉粒体供給装置
10,110 制御装置
21,121 測定部
22 目標既供給量設定部
23 操作量設定部
24 演算部
25 操作量制限部
31 調整部
31a パラメータ設定部
31b 上下限設定部
32 対応関係記憶部
33 対応関係導出部
41 第1対応関係
42 第2対応関係
91 粉粒体
92 受容体
100,200 粉粒体供給システム
122 目標供給速度設定部
151 基準値設定部
152 判定部
153 過不足量測定部
154 補正値設定部
P 制御プログラム
Claims (15)
- 所定総量の粉粒体の供給を所定供給期間が経過した時点で終了すべく動作する粉粒体供給装置の制御装置であって、
供給済の粉粒体の量である既供給量を測定する測定部と、
前記所定総量および前記所定供給期間から得られる基準供給速度と、供給開始からの経過時間とに応じて、前記既供給量の目標値を可変的に設定する目標既供給量設定部と、
前記既供給量の測定値が前記目標値に追従するように前記粉粒体供給装置の操作量を設定する操作量設定部と、
を備える粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記目標既供給量設定部は、前記所定総量を前記所定供給期間で除算することで得られた前記基準供給速度に前記経過時間を乗算することにより、前記既供給量の前記目標値を導出する、
請求項1記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 所定総量の粉粒体の供給を所定供給期間が経過した時点で終了すべく動作する粉粒体供給装置の制御装置であって、
粉粒体の供給速度を測定する測定部と、
前記供給速度の目標値を設定する目標供給速度設定部と、
前記供給速度の測定値が前記目標値に追従するように前記粉粒体供給装置の操作量を設定する操作量設定部と、
を備え、
前記目標供給速度設定部は、
前記測定値の変動の有無を判定し、
前記変動がなければ、前記所定総量および前記所定供給期間から得られる基準値を前記目標値として設定し、
前記変動があれば、前記基準値から当該変動方向とは逆方向へ変化させた補正値を前記目標値として設定する、
粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記目標供給速度設定部は、
前記変動によって生じた前記粉粒体の供給の過不足量を測定し、
測定された前記過不足量が相殺されるまで前記補正値を前記目標値として設定する、
請求項3に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記目標供給速度設定部は、
前記補正値が設定される期間である相殺期間を予め設定し、
測定された前記過不足量が前記相殺期間の経過後に相殺されるように前記補正値を導出する、
請求項4に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記測定部は、前記粉粒体供給装置によって支持されている総支持重量を測定し、
前記総支持重量に応じて前記操作量を調整する調整部を、更に備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記操作量設定部は、伝達関数に従って前記測定値と前記目標値との偏差から前記操作量を導出する演算部を有し、
前記調整部は、前記総支持重量に応じて前記伝達関数のパラメータを調整するパラメータ設定部を有する、
請求項6に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記総支持重量が小さくなると、前記パラメータ設定部は、前記偏差に対する前記操作量の応答が鈍くなるように前記パラメータを調整する、
請求項7に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記操作量設定部は、前記測定値と前記目標値との偏差に基づいて導出された操作量が所定範囲を超える場合に、前記操作量が当該範囲の上限値または下限値となるように前記操作量を制限する操作量制限部を有し、
前記調整部は、前記総支持重量に応じて前記上限値および前記下限値を調整する上下限設定部を有する、
請求項6から8のいずれか1項に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記上下限設定部は、前記総支持重量に応じて前記操作量の基準値を設定し、前記基準値に上昇許容量を加算することで前記上限値を設定し、前記基準値に下降許容量を減算することで前記下限値を設定する、
請求項9に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 前記総支持重量に対する前記操作量の前記基準値を定義した対応関係を記憶する対応関係記憶部と、
測定された前記総支持重量と前記操作量設定部によって設定された前記操作量とに基づいて前記対応関係を導出する対応関係導出部と、
を更に備え、
前記上下限設定部は、前記対応関係記憶部に記憶される前記対応関係に従って、前記基準値を設定し、
前記対応関係記憶部は、前記対応関係導出部によって導出された前記対応関係を更新記憶する、
請求項10に記載の粉粒体供給装置の制御装置。 - 粉粒体を供給する粉粒体供給装置と、
請求項1から11のいずれか1項に記載の制御装置と、
を備える粉粒体供給システム。 - 所定総量の粉粒体の供給を所定供給期間が経過した時点で終了すべく動作する粉粒体供給装置の制御方法であって、
供給済の粉粒体の量である既供給量を測定する測定工程と、
前記所定総量および前記所定供給期間から得られる基準供給速度と、供給開始からの経過時間とに応じて、前記既供給量の目標値を可変的に設定する目標既供給量設定工程と、
前記既供給量の測定値が前記目標値に追従するように前記粉粒体供給装置の操作量を設定する操作量設定工程と、
を備える粉粒体供給装置の制御方法。 - 所定総量の粉粒体の供給を所定供給期間が経過した時点で終了すべく動作する粉粒体供給装置の制御方法であって、
粉粒体の供給速度を測定する測定工程と、
前記供給速度の目標値を設定する目標供給速度設定工程と、
前記供給速度の測定値が前記目標値に追従するように前記粉粒体供給装置の操作量を設定する操作量設定工程と、
を備え、
前記目標供給速度設定工程は、
前記測定値の変動の有無を判定する工程と、
前記変動がなければ、前記所定総量および前記所定供給期間から得られる基準値を前記目標値として設定する工程と、
前記変動があれば、前記基準値から当該変動方向とは逆方向へ変化させた補正値を前記目標値として設定する工程と、
を含む、粉粒体供給装置の制御方法。 - 請求項13または14に記載の制御方法をコンピュータに実行させる、
粉粒体供給装置の制御プログラム。
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