JP6928668B2 - 増大した熱安定性を有する変異型逆転写酵素、ならびにそれに関する生成物、方法および使用 - Google Patents

増大した熱安定性を有する変異型逆転写酵素、ならびにそれに関する生成物、方法および使用 Download PDF

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Description

本発明は、野生型と比較して増大した熱安定性を有する変異型逆転写酵素(RT)、変異型RTをコードする核酸、変異型RTまたは核酸を含む細胞、変異型RTを含むキット、cDNA合成のための変異型RTの使用、変異型RTを使用してcDNAを合成する工程を含むRNAを逆転写するための方法、および変異型RTを使用して試料中のRNAマーカーを検出するための方法に関する。
逆転写酵素(RT)[EC2.7.7.49]はウイルスゲノム複製を担う酵素である。それはRNAおよびDNA依存性DNAポリメラーゼ、ならびにRNase H活性を有する。モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)およびトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)由来のRTはcDNA合成において広く使用されている。それらが高い触媒活性と忠実度を有するからである。cDNA合成には高い反応温度が望ましい。それがRNA二次構造と非特異的プライマー結合を減らすからである。したがって、RTの熱安定性の改善は重要な目的である。MMLV RTの熱安定性(Kotewiczら、1985年;Gerardら、2002年;Mizunoら、2010年)はRNase H活性を排除することによって改善されている。近年、MMLV RTの熱安定性は、鋳型−プライマーとの相互作用に関与している位置への正電荷の導入(Yasukawaら、2010年)によって、ランダム変異誘発(AreziおよびHogrefe、2009年;Baranauskasら、2012年)、および表面疎水性残基から親水性残基への変更(Konishiら、2014年)によってさらに改善された。結果として、cDNA合成に関する反応温度は37〜45℃から50〜55℃に増大している。しかしながら、cDNA合成の効率を改善するため、さらなる安定化が望ましい。
様々な酵素に関して、部位特異的変異誘発および/またはランダム変異が広範囲で実施されており、酵素に望ましい性質、高い触媒活性または熱的安定性などをもたらす様々な変異が確認されている。これらの変異の影響が追加的である場合、多数の変異がある変異体酵素はさらに望ましい性質を有し得る。しかしながら、様々な酵素における活性と安定性の間には妥協点があることが一般に知られている。酵素活性を増大させる変異はタンパク質安定性の低下を伴い、タンパク質安定性を増大させる変異は酵素活性を低下させる(Shoichetら、1995年)。さらに、現在酵素の性質に対する変異の組合せ効果を予想するのは容易ではない。MM3(E286R/E302K/L435R)は、正電荷の増大を目的とした3個の変異の野生型MMLV RTへの導入によって生成した、熱的安定性MMLV RT三重変異体である(Yasukawaら、2010年)。
しかしながら、本発明の目的は、MMLV由来のさらなる熱的安定性変異型逆転写酵素を提供することであった。
このために、29個の変異を設計した。対応する一重変異体を大腸菌において作製し、活性と安定性を特徴付けし、6個の変異(Ala32→Val、Leu41→Asp、Leu72→Arg、Ile212→Arg、Leu272→Glu、およびTrp388→Arg)を選択した。6個の変異の1つまたは複数と、MM3変異を組み合わせることによって15個の多重変異体を設計した。対応する多重変異体を作製し特徴付けした。6重変異体MM3.14(A32V/L72R/E286R/E302K/W388R/L435R)は、野生型または変異型MM3よりも高い熱安定性を示した(実施例2ならびに図4E、図4F、図5および図6参照)。
したがって第1の態様では、本発明は、配列番号1の野生型逆転写酵素(RT)と比較して増大した熱安定性を有する変異型RTであって、
i)配列番号1の野生型RTと比較して、
− 位置32のAlaがVal(A32V)で置換されており、
− 位置72のLeuがArg(L72R)で置換されており、
− 位置286のGluがArg(E286R)で置換されており、
− 位置302のGluがLys(E302K)で置換されており、
− 位置388のTrpがArg(W388R)で置換されており、
− 位置435のLeuがArg(L435R)で置換されている、
6個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列、または
ii)i)のアミノ酸配列と少なくとも95%同一でありi)で定義した6個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、
逆転写酵素活性を示す、変異型RTに関する。
逆転写酵素(RT)は、RNA鋳型からの相補的DNA(cDNA)の生成、逆転写と呼ばれるプロセスに使用される酵素である。それは主にレトロウイルスに関する。しかしながら、非レトロウイルスもRT(例えば、dsDNA−RTウイルスである、B型肝炎ウイルス、ヘパドナウイルス科のメンバー、一方レトロウイルスはssRNAウイルスである)を使用する。レトロウイルスRTは、3個の逐次的生化学的活性、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性、リボヌクレアーゼH、およびDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する。これらの活性は一本鎖ゲノムRNAを二本鎖cDNAに転換するためレトロウイルスにより使用され、これが宿主ゲノム中に組み込まれ、根絶するのが非常に困難であろう長期感染をおそらくもたらす可能性がある。分子クローニング、RNAシークエンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはゲノム解析において使用するため、同じ一連の反応を研究室で広く使用してRNAをDNAに転換している。当技術分野で一般に使用されている逆転写酵素は、モロニーマウス白血病ウイルス由来のMMLV逆転写酵素である。
本発明によれば、変異型RTは逆転写酵素活性を示す。これは変異型RTが、適切な条件下でRNA鋳型からcDNAを生成できることを意味する。転写酵素活性を決定するための方法は本明細書中に記載しており実施例中に示す([H]−dTTPを使用した逆転写アッセイ、蛍光色素PicoGreenおよびcDNA合成を使用した逆転写アッセイを参照)。
さらに、変異型逆転写酵素(RT)は、配列番号1の野生型RTと比較して増大した熱安性を有する。野生型RTと比較して「増大した熱的安定性」または「増大した熱安定性」という用語は、変異型RTが、高温(すなわち、室温を超えるまたは特に40℃を超える温度)で(酵素)活性を失う傾向が低いことを意味する。触媒としてのその可能性を余すところなく実現するため、変性メカニズムの排除を含めた酵素の安定化はバイオテクノロジーにおける重要な目的である。酵素適用例がますます増加するため、酵素の安定化は非常に重要である。安定性の増大は持続的有用性(例えば長期保存、長期有用性など)をもたらす。さらに、cDNA合成には高い反応温度が望ましい。それがRNA二次構造と非特異的プライマー結合を減らすからである。したがって、RTの熱安定性の改善は望ましい。野生型と比較した変異体の安定性の増大は、例えば保存後、または特定の条件(例えば高温、乾燥、バッファー、もしくは塩)に対する曝露後に、両酵素(野生型および変異体)の残存活性を比較することによって決定することができる(絶対的残存活性)。あるいは、例えば変異体が高い相対的残存活性を有する場合、野生型と比較して安定性が改善される。相対的残存活性は、所与の条件(例えば時間、温度)でのインキュベーション後の残存または残留酸度とインキュベーション前の初期活性を比較することによって決定することができる。
用語「酵素活性」およびその決定は当業者にはよく知られている。酵素活性は一般に、時間あたりの基質量の転換として定義される。酵素活性に関するSIユニットはカタール(1カタール=1mol s−1)である。より実用的で一般的に使用される値は酵素ユニット(U)=1μmol min−1である。1Uは16.67ナノカタールに相当し、1分間あたり1マイクロモルの基質の転換を触媒する酵素量として定義される。酵素の比活性は、1ミリグラムの全タンパク質あたりの酵素の活性である(μmol min−1mg−1で表す)。
酵素活性は、基質もしくはコファクターの消費または経時的な産物の形成のいずれかを測定するアッセイで決定することができる。基質と産物の濃度を測定する多数の異なる方法が存在し、当業者に知られている幾つかの異なる方法で多くの酵素をアッセイすることができる。本発明では、問題のRTを例えばRNA鋳型、プライマーおよび適切なdNTP混合物とインキュベートし、cDNAの生成またはdNTPの消費をモニタリングする。モニタリングは、例えば、260nmでのUV吸光度、標識の取り込み(例えば[H]−dTTP、実施例参照)、DNAとマーカーの結合(例えばPicoGreen(登録商標))の測定、またはPCR(実施例参照)などによって行うことができる。
本発明の好ましい実施形態では、変異がないそれぞれのRTと比較した変異型RTの増大した熱安定性を決定し、ストレス状態インキュベーション前の初期活性に対する、ストレス状態インキュベーション(例えば10分間、例えば60℃、または実施例中に示した任意の他の条件)後の残存活性として表すことができる(実施例参照)。このため、酵素反応は前述通りまたは実施例中でモニタリングすることができ、活性の変化を計算することができる。加熱インキュベート試料に関して得た値はそれぞれの非ストレス状態試料(100%活性に設定した値)と比較することができ、活性率((活性(ストレス状態試料)/活性(非ストレス状態試料)*100))で計算することができる。したがって、野生型酵素で得た値より高い変異体の値は熱安定性の改善を表す。[変異体の残存活性%]−[野生型の残存活性%]>0である場合、安定性は増大する。あるいは、変異体の残存活性は活性率として表すこともでき、以下のように計算することができる:[変異体の残存活性%]/[野生型の残存活性%]*100%。生じた値が100%を超える場合、野生型と比較した変異体の安定性は増大する。安定性を決定するのに適した個々の試験は実施例中に記載する。リアルタイムPCRを用いたcDNA合成試験(図5参照)は最高感度試験となるようである。
増大した熱安定性を決定するのに適した方法は実施例に詳述する。ストレス条件の例示的条件は、48〜65℃(特に60℃)で10分間のプレインキュベーション、および[H]−dTTPを使用した逆転写アッセイ、蛍光色素PicoGreenを使用した逆転写アッセイ、または好ましくはリアルタイムPCRを用いたcDNA合成試験によるその後の試験であり得る。
本発明のRTは、75kDaモノマーであるMMLV RTに由来する。それは指、掌、親指、結合部分、およびRNase Hドメインで構成される。DNAポリメラーゼ反応の活性部位は指/掌/親指ドメイン中に存在し、一方RNase H反応の活性部位はRNase Hドメイン中に存在する。
アミノ酸のナンバリングを含めた野生型RTと呼ばれるRTのアミノ酸配列は以下の通りである:
Figure 0006928668
対応する核酸配列は以下の通りである:
Figure 0006928668
「変異型逆転写酵素」(RT)という用語は、そのアミノ酸配列が少なくとも6個の変異により配列番号1のアミノ酸配列と異なるRT酵素に関する。前に詳述したように、本発明の変異型RTには、配列番号1の野生型RTと比較して、
− 位置32のAlaがVal(A32V)で置換されており、
− 位置72のLeuがArg(L72R)で置換されており、
− 位置286のGluがArg(E286R)で置換されており、
− 位置302のGluがLys(E302K)で置換されており、
− 位置388のTrpがArg(W388R)で置換されており、
− 位置435のLeuがArg(L435R)で置換されている、
6個の必須的アミノ酸置換がある。
前述の6個の必須的変異のみが、配列番号1の野生型RTと異なる変異型RTのアミノ酸配列を配列番号2のアミノ酸配列と呼び、それは以下の通りである:
Figure 0006928668
6個の必須的変異は太字と下線によって示し、それぞれのアミノ酸番号によってそれらの位置を指定する。
対応する核酸配列は以下の通りである:
Figure 0006928668
しかしながら、変異型RTは1つまたは複数のさらなるアミノ酸置換、付加、欠失またはこれらの組合せを有し得る。本発明によれば、本発明の変異型RTは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可能性もあり、前に定義した6個の必須的アミノ酸置換がある(A32V/L72R/E286R/E302K/W388R/L435R)。
本発明の一実施形態では、本発明による変異型RTは、1つまたは複数のアミノ酸置換、特に置限られた数の換(例えば最大30、20、または特に10個のアミノ酸置換)、特に保存的置換を含み得る。「保存的アミノ酸置換」は、ある残基から、類似の側鎖を有する異なる残基への置換を指し、したがって典型的には、ポリペプチド中のアミノ酸から、同一または類似の規定クラスのアミノ酸内のアミノ酸への置換を指す。例えば、限定されないが、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は、別の脂肪族アミノ酸、例えばアラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンで置換することができる。ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸、例えばセリンおよびスレオニンで置換される。芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有する別のアミノ酸、例えばフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒスチジンで置換される。塩基性側鎖を有するアミノ酸は、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸、例えばリシンおよびアルギニンで置換される。酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別のアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸で置換され、疎水性または親水性アミノ酸は、それぞれ別の疎水性または親水性アミノ酸で置き換えられる。保存的アミノ酸置換の例には以下に列挙した置換がある:
元の残基 保存的置換
Ala、Leu、Val、Ile 他の脂肪族残基(Ala、Leu、Val、Ile)
他の無極性残基(Ala、Leu、Val、Ile、Gly、Met)
Gly、Met 他の無極性残基(Ala、Leu、Val、Ile、Gly、Met)
Asp、Glu 他の酸性残基(Asp、Glu)
Lys、Arg 他の塩基性残基(Lys、Arg)
Asn、Gln、Ser、Thr 他の極性残基(Asn、Gln、Ser、Thr)
His、Tyr、Trp、Phe 他の芳香族残基(His、Tyr、Trp、Phe)
Cys、Pro なし
本発明の一実施形態では、本発明による変異型RTは、1つまたは複数のアミノ酸付加、特に少数の(例えば、最大30、20、または特に10個のアミノ酸)内部または末端アミノ酸付加を含み得る。
本発明の一実施形態では、本発明による変異型RTは、1つまたは複数のアミノ酸欠失、特にNおよび/またはC末端欠失を含み得る。欠失は少数であってよい(例えば、各末端に最大5、4、3、2、特に1個のアミノ酸)。好ましい実施形態では、変異型RTは、前に定義した必須的変異に加えて、配列番号1のアミノ酸配列が異なり、配列番号1のN末端において最大5個のアミノ酸が欠失し、かつ/または配列番号1のC末端において最大5個のアミノ酸が欠失している。
別の実施形態では、本発明による変異型RTの配列は、必須的変異(置換)以外に、前に定義した1つまたは複数の欠失、置換または付加の組合せを含み得る。しかしながら変異型RTは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
本明細書中で使用する「少なくとも95%同一」または「少なくとも95%の配列同一性」という用語は、本発明による変異型RTの配列が、100個のアミノ酸の伸張部分内で、少なくとも95個のアミノ酸残基が配列番号2の対応配列の配列と同一であることを特徴とする、アミノ酸配列を有することを意味する。他の割合の配列同一性はそれに応じて定義する。
本発明による配列同一性は、例えば配列比較の型の配列アライメントの方法によって決定することができる。配列アライメントの方法は当技術分野ではよく知られており、様々なプログラムおよびアライメントアルゴリズムを含む。さらに、the NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxと共に使用するため、the National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda、MD)を含めた幾つかの供給元、およびインターネット上から入手可能である。例えば配列番号2のアミノ酸配列と比較した本発明による変異体の配列同一率は、標準設定でNCBI Blast blastpを使用して典型的に特徴付けられる。あるいは、標準設定でソフトウェアGENEiousを使用して配列同一性を決定することができる。アライメントの結果は、例えばアライメントタイプとしてフリーエンドギャップ、およびコストマトリックスとしてBlosum62でグローバルアライメントプロトコールを使用して、ソフトウェアGeneious(バージョンR8)から得ることができる。
前に詳述したように、本発明の変異型RTは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、変異型RTは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも96%、97%、98%、または99%、特に100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列同一性は前に記載したように決定することができる。
さらに別の好ましい実施形態では、変異型RTは、変異型MM3と比較して同等またはさらに増大した熱安定性を有し、MM3は、位置286のGluがArg(E286R)で置換されており、位置302のGluがLys(E302K)で置換されており、位置435のLeuがArg(L435R)で置換されている、3個のアミノ酸置換のみが、配列番号1のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する。MM3(E286R/E302K/L435R)は、正電荷の増大を目的とした3個の変異の野生型MMLV RTへの導入によって生成した、熱的安定性MMLV RT三重変異体である(Yasukawaら、2010年)。
熱安定性は、熱処理後、特に60℃で10分間のインキュベーション後に測定される変異体の逆転写酵素活性の測定によって決定されることが好ましい。追加的または代替的に、野生型RTまたは変異型MM3と比較して少なくとも10%、20%、30%または40%、好ましくは少なくとも50%熱安定性が増大している。これらの実施形態に関する詳細は前で示している。
変異型RT(非ストレス状態)の逆転写酵素活性は、野生型の逆転写酵素活性の少なくとも50%、特に少なくとも60%、より特に少なくとも70%、特に少なくとも80%であることがさらに好ましい。追加的または代替的に、逆転写酵素活性は、37℃でのRT媒介dTTP取り込みによって決定される(実施例参照)。酵素活性の決定に関する詳細は前で示している。
別の実施形態では、変異型RTをさらなるタンパク質と融合させることができる。融合タンパク質は、2個以上の本来別々のタンパク質またはペプチドの接合によって作製されたタンパク質である。この手順によって、原型タンパク質のそれぞれに由来する機能性があるポリペプチドが生じる。したがって、目的とするRTの使用に応じて、それをさらなるペプチドまたはタンパク質と組合せ融合タンパク質にすることができる。タンパク質はリンカーまたはスペーサーを介して融合させることが可能であり、それによってタンパク質が独立にフォールディングし予想通りに挙動する可能性が増大する。特にリンカーがタンパク質精製を可能にする場合、タンパク質またはペプチド融合体中のリンカーを、2つの別個のタンパク質の遊離を可能にするプロテアーゼまたは化学物質を用いて切断部位で時折遺伝子操作する。二量体または多量体融合タンパク質は、人工タンパク質二量体化または多量体化を誘導する、ペプチドドメインの原型タンパク質との融合による遺伝子操作によって製造することができる(例えば、ストレプトアビジンまたはロイシンジッパー)。融合タンパク質は、それらと結合した毒素または抗体を用いて生成することもできる。他の融合は、脂質化シグナル配列、分泌シグナル配列、グリコシル化シグナル配列、転位シグナルペプチドなどのシグナル配列の付加を含む。
本発明の融合タンパク質は、タグを含むことが好ましい。タグは様々な目的で、例えば精製を容易にするため、タンパク質の適切なフォールディングを支援するため、タンパク質の沈殿を予防するため、クロマトグラフィーの性質を変えるため、タンパク質を修飾するため、またはタンパク質を印付けもしくは標識するためにタンパク質に結合させる。タグの例には、Arg−タグ、His−タグ、Strep−タグ、Flag−タグ、T7−タグ、V5−ペプチド−タグ、GST−タグおよびc−Myc−タグがある。本発明中で好ましいタグは、6個のヒスチジン残基からなるHis−タグである。
さらなる態様では、本発明は、本発明の変異型RTをコードする核酸に関する。
本明細書中で使用する「核酸」という用語は、一般に、本発明の変異型RTをコードし様々な長さであり得る任意のヌクレオチド分子に関する。本発明の核酸の例には、それだけに限定されないが、例えばイオン交換クロマトグラフィーを含めた標準的分子生物学的手順によって単離することができる、プラスミド、ベクター、または任意の種類のDNAおよび/またはRNA断片(複数可)がある。本発明の核酸は、特定の細胞または生物のトランスフェクションまたは形質導入に使用することができる。
本発明の核酸分子は、例えばクローニングによって得られ、または化学合成技法もしくはこれらの組合せによって生成する、mRNAもしくはcRNAなどのRNAの型、または例えばcDNAおよびゲノムDNAを含めたDNAの型であってよい。DNAは三本鎖、二本鎖または一本鎖であってよい。一本鎖DNAは、センス鎖としても知られるコード鎖である可能性があり、または一本鎖DNAは、アンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖である可能性がある。本明細書中で使用する核酸分子は、特に一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖RNAと二本鎖RNAの混合物であるDNA、および一本鎖領域と二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖または、より典型的には二本鎖、または三本鎖であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子、または一本鎖領域と二本鎖領域の混合物も指す。さらに、本明細書中で使用する核酸分子は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNA両方を含む三本鎖領域を指す。
さらに、核酸は1つまたは複数の修飾塩基を含有し得る。このような核酸は、例えばリボース−リン酸骨格中に、生理的環境におけるこのような分子の安定性と半減期を増大させるための修飾も含有し得る。したがって、安定性または他の理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAは、その特徴を本明細書中で目的とする「核酸分子」である。さらに、2例のみ挙げると、イノシンなどの稀な塩基、またはトリチル化塩基などの修飾塩基を含むDNAまたはRNAは、本発明の文脈内では核酸分子である。当業者に知られている多くの有益な目的を果たす非常に様々な修飾が、DNAおよびRNAに施されていることは理解される。本明細書中で利用する核酸分子という用語は、このような化学、酵素または代謝修飾型の核酸分子、ならびに特に単純細胞と複雑細胞を含めたウイルスおよび細胞に特徴的な化学型のDNAおよびRNAを包含する。
さらに、本発明の変異型RTをコードする核酸分子を、標準クローニング技法などの標準技法を使用して、制御配列、リーダー配列、異種マーカー配列または異種コード配列などの任意の所望配列に機能的に結合させ、融合タンパク質を作製することが可能である。
本発明の核酸を、一般に、エンドヌクレアーゼおよび/またはエクソヌクレアーゼおよび/またはポリメラーゼおよび/またはリガーゼおよび/またはリコンビナーゼによる核酸の操作、または核酸を生成するための当業者に知られている他の方法によって、in vitroまたは細胞中、培養中に最初に形成することができる。
本発明の核酸は発現ベクター中に含まれる可能性があり、核酸は、宿主細胞中で核酸の発現を促進することができるプロモーター配列に作動可能に連結している。
本明細書中で使用する「発現ベクター」という用語は、細胞中で目的のタンパク質を発現させるために使用することができる任意の種類の核酸分子を一般に指す(本発明の核酸に関する前述の詳細も参照)。特に、本発明の発現ベクターは、それだけに限定されないが、哺乳動物細胞、細菌細胞、および酵母細胞を含めた特定の宿主細胞中でタンパク質を発現させるのに適した、当業者に知られている任意のプラスミドまたはベクターであってよい。本発明の発現構築物は本発明のRTをコードする核酸である可能性もあり、これを各ベクター中への後のクローニングに使用して発現を保証する。適切なベクターは実施例中に記載し図2中に例証する。タンパク質発現用のプラスミドおよびベクターは当技術分野でよく知られており、例えばPromega(Madison、WI、USA)、Qiagen(Hilden、ドイツ)、Invitrogen(Carlsbad、CA、USA)、またはMoBiTec(ドイツ)を含めた多様な供給業者から市販品を購入することができる。タンパク質発現の方法は当業者にはよく知られており、例えばSambrookら、2000年(Molecular Cloning:A laboratory manual、第3版)中に記載されている。
ベクターは、複製起点などの宿主細胞中でベクターを複製できる核酸配列、1つまたは複数の治療遺伝子および/または選択可能マーカー遺伝子、および当技術分野で知られる他の遺伝子エレメント、コードタンパク質の転写、翻訳および/または分泌を誘導する制御エレメントなどを追加的に含み得る。ベクターを使用して、細胞に形質導入、形質転換または感染し、それによってその細胞に固有なもの以外の核酸および/またはタンパク質を細胞に発現させることが可能である。ベクターは、細胞中への核酸の進入の実施を助長する物質、例えばウイルス粒子、リポソーム、タンパク質コーティングなどを任意選択で含む。標準的な分子生物学的技法によって、タンパク質発現に適した多数のタイプの発現ベクターが当技術分野で知られている。このようなベクターは、昆虫、例えばバキュロウイルス発現、または酵母、真菌、細菌またはウイルス発現系を含めた、従来のベクタータイプから選択される。その多数のタイプが当技術分野で知られている、他の適切な発現ベクターもこの目的で使用することができる。このような発現ベクターを得るための方法はよく知られている(例えばSambrookら、上記を参照)。
前に詳述したように、本発明の変異型RTをコードする核酸を宿主細胞中でのタンパク質の発現を駆動するのに適した配列に作動可能に連結させて、タンパク質の発現を保証する。しかしながら、特許請求する発現構築物が、適切な発現ベクター中に後にクローニングされタンパク質の発現を保証する中間産物となり得ることは本発明内に包含される。本発明の発現ベクターは、それだけに限定されないが、ポリアデニル化シグナル、スプライスドナーおよびスプライスアクセプターシグナル、介在配列、転写エンハンサー配列、翻訳エンハンサー配列、薬剤耐性遺伝子(複数可)などを含めた全種類の核酸配列をさらに含み得る。任意選択で、薬剤耐性遺伝子を、内部リボソーム進入部位(IRES)に作動可能に連結させることが可能であり、これは細胞周期特異的または細胞周期非依存的のいずれかであり得る。
本明細書中で使用する「作動可能に連結」という用語は、その意図する目的、例えば転写がプロモーターによって開始され本発明のタンパク質をコードするDNA配列を介して進行する点で、それらが共同して機能するように、遺伝子エレメントが配置することを一般に意味する。すなわち、RNAポリメラーゼは融合タンパク質をコードする配列をmRNAに転写し、次いでそれがスプライシングされタンパク質に翻訳される。
本発明の文脈で使用する「プロモーター配列」という用語は、下流コード配列に作動可能に連結した任意の種類の制御DNA配列を一般に指し、前記プロモーターは、RNAポリメラーゼと結合し、細胞中のコードされたオープンリーディングフレームの転写を開始させ、それによって前記下流コード配列の発現を誘導することが可能である。本発明のプロモーター配列は、それだけに限定されないが、構成的プロモーター、誘導的プロモーター、細胞周期特異的プロモーター、および細胞型特異的プロモーターを含めた、当業者に知られている任意の種類のプロモーター配列であってよい。
さらに別の態様では、本発明は、本発明の変異型RTまたは本発明の核酸を含む細胞に関する。細胞は宿主細胞であることが好ましい。本発明の「宿主細胞」は、組換えDNA技術における用途に適した任意の種類の生物であってよく、それだけに限定されないが、1つまたは複数の組換えタンパク質を発現させるのに適した全種類の細菌および酵母菌株を含む。宿主細胞の例には、例えば、様々な枯草菌(Bacillus subtilis)または大腸菌(E.coli)菌株がある。様々な大腸菌細菌宿主細胞が当業者に知られており、それだけに限定されないが、DH5−α、HB101、MV1190、JM109、JM101、またはXL−1ブルーなどの菌株を含み、これらは例えばStratagene(CA、USA)、Promega(WI、USA)またはQiagen(Hilden、ドイツ)を含めた多様な供給業者から市販品を購入することができる。特に適切な宿主細胞、すなわち大腸菌BL21(DE3)細胞は、実施例中にさらに記載する。宿主細胞として使用することができる枯草菌菌株は市販されている。
本発明による宿主細胞の培養は、当業者に知られている通常手順である。すなわち、本発明の変異型RTをコードする核酸を、組換え手段により適切な宿主細胞(複数可)中に導入して各タンパク質を生成することができる。これらの宿主細胞は、容易に培養することができる任意の種類の適切な細胞、好ましくは大腸菌などの細菌細胞であってよい。第1の工程で、この手法は適切なプラスミドベクター中への各遺伝子のクローニングを含み得る。プラスミドベクターは遺伝子クローニング用に広く使用されており、コンピテント状態にした細菌細胞中に容易に導入、すなわち形質転換することができる。各宿主細胞中でタンパク質が発現された後、それだけに限定されないが、例えば、低張塩処理、洗浄剤処理、均質化、または超音波処理を含めた、当業者によく知られている化学的または機械的細胞溶解によって細胞を破壊することができる。
本発明は、本発明の変異型RTを含む、逆転写を実施するためのキットも提供する。逆転写はRNA鋳型からのDNAの合成であり、これは通常逆転写酵素によって媒介され、相補的DNA(cDNA)を生成する。逆転写酵素は、RNA鋳型およびRNAの3’末端と相補的な短鎖プライマーを使用して、第1の鎖cDNAの合成を誘導し、これをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用の鋳型として直接使用することができる。逆転写とPCR(RT−PCR)のこの組合せによって、試料中の少量のRNAの検出および対応するcDNAの生成が可能であり、これによって低コピー遺伝子のクローニングが容易になる。あるいは第1の鎖cDNAを、DNAポリメラーゼIとDNAリガーゼを使用して二本鎖にすることができる。これらの反応産物は、増幅なしで直接クローニングに使用することができる。この場合、RTまたは外部のいずれかから供給されるRNase H活性が必要とされる。目的用途に応じて、キットは、本発明の変異型RT以外に、バッファー、1つまたは複数のプライマーおよびdNTP混合物などのさらなる成分を含むことができる。キットは、PCR、第2のDNA鎖の合成または増幅に必要とされる作用物質(例えばプライマー、プローブ、ポリメラーゼまたはマーカー)などの、さらなる反応に必要とされる作用物質も含むことができる。さらに、キットは説明書マニュアルを含むことができる。
さらなる態様では、本発明は、cDNA合成のための本発明の変異型RTの使用に関する。例えば生存細胞中の遺伝子発現を試験するために使用される一般的な技法は、RNAの細胞補体のDNAコピー(cDNA)を生成することである。この技法は、本来不安定なRNAの直接分析を排除し、生存細胞由来のRNAを試験するための手段となる。(例えば、オリゴdTを利用したアフィニティークロマトグラフィーなどの方法を使用した)任意選択のmRNA単離後、典型的にはオリゴヌクレオチド配列をmRNA分子にアニーリングさせ、鋳型としてRNA/DNAプライマーを利用し、逆転写酵素活性を有する酵素を利用してRNA配列のcDNAコピーを生成することができる。したがって、mRNAの逆転写は多くの型の遺伝子発現解析における重要な工程である。典型的には、プライマー伸長法またはポリメラーゼ連鎖反応による後の分析用に、mRNAがcDNAに逆転写される。本発明の使用では、RNAを本発明の変異型RTおよび典型的にはプライマー配列と接触させ、それをプライマーの3’OHから開始されるDNA合成用にRNA鋳型にアニーリングさせる。目的の核酸配列の各鎖の3’末端に存在する配列と相補的、または実質的に相補的であるプライマーを選択することができる。例示的実施形態では、典型的には約42〜65℃の逆転写酵素反応で、アニーリング温度を使用して逆転写反応を実施する。逆転写反応は、約50℃〜60℃または60℃〜65℃で実施することが好ましい。
本発明は、RNAを逆転写するための方法であって、本発明の変異型RTを使用してRNAからcDNAを合成する工程を含む方法をさらに提供する。cDNA合成のための本発明の変異型RTの使用に関して詳述したように、この方法を実施することができる。
さらに本発明は、試料中のRNAマーカーを検出するための方法であって、
a)変異型RTの活性に資する条件下で、試料を本発明の変異型RTと接触させる工程、
b)本発明の変異型RTを使用してRNAマーカーからcDNAを合成する工程、および
c)ステップb)で合成したcDNAの存在を検出し、それによって試料中のRNAマーカーを検出する工程
を含む方法をさらに提供する。
RNAは様々な適用例においてマーカーとして使用することができる。検出されるRNAはそれ自体を示す可能性があり、またはそれはDNAの存在もしくは目的の遺伝子の発現を示す可能性があり、したがって疾患、病原体の存在などを示す。RNA自体は、ウイルスRNA、特にレトロウイルスRNAの存在を示し得る。レトロウイルスは、例えば、がん、AIDS、自己免疫疾患、中枢神経系、骨および関節の疾患、骨髄性白血病、赤白血病、リンパ性白血病、リンパ腫、肉腫、乳房癌、腎臓癌、再生不良性貧血、溶血性貧血、自己免疫疾患、免疫不全、大理石骨病、関節炎、末梢性ニューロパチー、脳症、神経変性、認知症、肺炎および腺腫症などの様々な疾患を引き起こす。このような疾患を誘導するウイルスには、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)およびマウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)がある。しかしながら、RNAマーカーは遺伝子発現を示し得る。多くの遺伝子は、(疾患状態を含めた)特定条件下、または個別の種でのみ発現される。したがって、タンパク質(または対応するmRNA)の存在は、わずか数例を挙げると、疾患状態、細胞または病原体を示し得る。一例として、がん細胞は特定のマーカーによって特徴付けられ、がん細胞の検出と定量化においてその核酸を使用することができる。言及することができる例は、特にがん遺伝子およびp53などの腫瘍抑制遺伝子、rasファミリーの遺伝子、erb−B2、c−myc、mdm2、c−fos、DPC4、FAP、nm23、RET、WT1など、例えばp53、DCC、APC、Rbなどに関するLOH、およびさらに遺伝性腫瘍におけるBRCA1とBRCA2、MSH2、MLH1、WT1などのマイクロサテライト不安定性、さらにCEAなどの腫瘍性RNA、サイトケラチン、例えばCK20、BCL−2、MUC1、特にその腫瘍特異的スプライス変異体、MAGE3、Muc18、チロシナーゼ、PSA、PSM、BA46、Mage−1など、または他の形態形成RNA、例えばマスピン、hCG、GIP、モチリン、hTG、SCCA−1、AR、ER、PR、様々なホルモンなど、さらに、特に転移プロファイル、すなわち血管形成、運動性、接着およびマトリックス分解に関与する分子の発現に影響を与えるRNAおよびタンパク質、例えばbFGF、bFGF−R、VEGF、VEGF−R1またはVEGF−R2などのVEGF−R、E−カドヘリン、インテグリン、セレクチン、MMP、TIMP、SF、SF−Rなど、細胞周期プロファイルもしくは増殖プロファイルに影響を与えるRNAおよびタンパク質、例えばサイクリン(例えば、サイクリンD、EおよびBの発現比)、Ki67、p120、p21、PCNAなど、またはアポトーシスプロファイルに影響を与えるRNAおよびタンパク質、例えばFAS(L+R)、TNF(L+R)、パーフォリン、グランザイムB、BAX、bcl−2、カスパーゼ3などである。あるいは、RNAはレトロウイルス以外の病原体のDNAを示し得る。
本発明の方法の第1の工程では、変異型RTの活性に資する条件下で、試料を本発明の変異型RTと接触させる。適切な条件は本明細書中に詳述し、当業者にはよく知られている。接触させる試料は、対象由来の試料を含めた、問題のRNAを含有する疑いがある任意の試料であってよい。試料とは、その多量の材料(複数可)と同一であると考えられそれを表す限られた量の材料である。試料を得る作業は人力によって、または自動的に行われる。試料は、試験、解析、検査、調査、実証、または臨床用途のために入手または提供され得る。時折、サンプリングは連続的に進行され得る。試料は、固体、液体または気体を含むかまたはこれらからなる可能性がある。試料は、ゲルもしくは喀痰、組織、生物、またはこれらの組合せなどの、幾つかの中間的性質の材料であり得る。試料は、容易に分配し得る液体または懸濁液であることが好ましい。
試料材料が個々の品目として計数不能である場合でさえ、試料の量は依然として、その体積、質量、サイズ、または他のこのような寸法に関して記載可能である。固体試料は1個または数個の別々の塊にすることができ、または断片状、顆粒状、もしくは粉末状にすることができる。
本発明の文脈における試料は、検出または測定し定量化する1つまたは複数の核酸を含有する疑いがあるある量の材料である。本明細書中で使用するこの用語は、限定されないが、検体(例えば、生検材料または医療用検体)、培養物(例えば、微生物培養物)または水もしくは土などの環境試料を含む。試料は動物またはヒトなどの対象由来であってよく、それらは流体、固体(例えば大便)、懸濁液または組織であってよい。「対象由来の試料」という用語は、任意の所与の対象から単離した全ての生体液、排出物および組織を含む。対象は動物であることが好ましく、哺乳動物であることがより好ましく、またはヒトであることがさらにより好ましい。試料は、全ての様々な科の家畜動物、およびそれだけに限定されないが、有蹄類、クマ、魚類、げっ歯類などの動物を含めた野獣または野生動物から得ることができる。
前に詳述したように、「試料」は、定量化する目的の核酸を含有する疑いがある一定量の材料を意味する。本明細書中で使用するこの用語は、検体(例えば、生検材料または医療用検体)または培養物(例えば、微生物培養物)を含む。試料は植物またはヒトを含めた動物由来であってよく、試料は流体、固体(例えば大便)または組織であってよい。試料は、それだけに限定されないが、培養物、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、喀痰、精子、針吸引物などを含めた患者から得た材料を含み得る。試料は、全ての様々な科の家畜動物、およびそれだけに限定されないが、有蹄類、クマ、魚類、げっ歯類などの動物を含めた野獣または野生動物から得ることができる。ヒトに関して、試料または「組織試料」または「患者試料」または「患者細胞もしくは組織試料」または「検体」は、対象もしくは患者の組織から得た類似細胞または生物学的もしくは生化学的化合物の集合体をそれぞれ意味する。組織試料の供給源は、新鮮、凍結および/または保存臓器または組織試料または生検材料または吸引物、血液または任意の血液成分、脳脊髄液、羊水、腹膜液、または間質液などの体液、または対象の任意の摂取時もしくは発生時由来の細胞などに由来する固体組織であり得る。組織試料は、天然組織と本来混在していない化合物、例えば防腐剤、抗凝血薬、バッファー、固定剤、栄養剤、抗生物質などを含有し得る。
試料の例には、それだけに限定されないが、細胞または組織培養物、血液、血清、血漿、針吸引物、尿、精子、精液、精漿、前立腺液、排出液、涙、唾液、汗、生検材料、腹水、脳脊髄液、胸膜液、羊水、腹膜液、間質液、喀痰、乳、リンパ液、気管支および他の洗浄試料、または組織抽出試料がある。試料の供給源は、新鮮、凍結および/または保存臓器または組織試料または生検材料または吸引物、または対象の任意の摂取時もしくは発生時由来の細胞などに由来する固体組織であり得る。方法の好ましい実施形態では、試料は、特にヒト、動物または植物、特にヒトの、体液、血液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、スワブ、臨床検体、臓器試料および組織試料からなる群から選択される。あるいは、または追加的に、対象は、細胞培養物、汚染の疑いがある供給源、または対象から得られたものであり、特に対象は、ヒト、動物および植物、特にヒトからなる群から選択される。
工程a)の後、本発明の変異型RTを使用してRNAマーカーからcDNAを合成する。この工程に関する詳細は前に示している。その後、合成されたcDNAの存在を検出し、それによって試料中のRNAマーカーを検出する。DNAを検出するための方法は当技術分野でよく知られており、PCR法、標識(例えば、放射性もしくは蛍光)または挿入剤を用いた特異的プローブの使用を含む。好ましい実施形態では、リアルタイムPCRと組み合わせて逆転写酵素を、RNAマーカーの検出に使用する。
本発明の方法および使用は、診断または治療モニタリングなどの医療分野において特に興味深いものがあり、これらを使用して、特異的微生物、細胞、ウイルス、細菌、真菌、哺乳動物種、遺伝子状態または疾患を示す目的の核酸を検出および/または定量化することができる。これによれば、病原体の検出において本発明の方法を使用することができる。病原体には疾患を引き起こす可能性がある。典型的には、ウイルス、細菌、プリオン、真菌、またはさらに別の微生物などの感染因子を記載するため病原体が使用される。当然ながら、本発明の方法を使用して非病原性微生物を検出することもできる。したがって、方法の好ましい別の実施形態では、RNAマーカーは微生物、細胞、ウイルス、細菌、真菌、哺乳動物種、遺伝子状態または疾患を示す。
例示的病原体は、限定されないが、以下のものを含む:
− 細菌:ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、シュードモナス、バークホルデリア、マイコバクテリウム、クラミドフィラ、エーリキア、リケッチア、サルモネラ、ナイセリア、ブルセラ、マイコバクテリウム、ノカルジア、リステリア、フランシセラ、レジオネラ、およびエルシニア
− ウイルス:アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、パピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、TBEウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、ロタウイルスおよびエボラウイルス
− 真菌:カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ヒストプラズマ、ニューモシスティスおよびスタキボトリス
− 寄生体:原生動物寄生体、ぜん虫寄生体および節足動物寄生体。
病原体の確実な検出、および任意選択の定量化は、疾患の存在と重症度の診断において非常に関連性があり得ることは明らかである。
他に定義しない限り、本明細書中で使用する、全ての技術用語および科学用語ならびに任意の頭字語は、本発明の技術分野の当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。分子生物学における一般用語の定義は、Oxford University Pressにより出版されたBenjamin Lewin、Genes V、1994年(ISBN 0−19−854287−9)、Blackwell Science Ltd.により出版されたKendrewら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology、1994年(ISBN 0−632−02182−9)、およびVCH Publishers,Inc.により出版されたRobert A.Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference、1995年(ISBN 1−56081−569−8)中で見ることができる。
本発明は、本明細書中に記載する特定の方法、プロトコール、および試薬に限られない。それらは変わり得るからである。本明細書中に記載するものと類似または同等の任意の方法および材料が本発明を実施する際に使用できるが、好ましい方法、および材料を本明細書中に記載する。さらに、本明細書中で使用する用語は単に個々の実施形態を記載する目的であり、本発明の範囲を限定する意図はない。
本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用する、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の事を示さない限り複数形の言及を含む。同様に、「含む」、「含有する」および「包含する」という語句は、排他的ではなく包括的に解釈される。同様に、「または」という語句は、文脈が明らかに他の事を示さない限り「および」を含むものとする。「複数」という用語は2個以上を指す。
以下の図面と実施例は、本発明の様々な実施形態を例証するものとする。このように、論じる具体的な修正は本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。様々な均等物、変更、および修正を本発明の範囲から逸脱せずに作製できることは当業者には明らかであり、したがって、こうした均等な実施形態が本明細書中に含まれることは理解される。
変異型RT MM3.14のヌクレオチド配列(配列番号3)とアミノ酸配列(配列番号2)の図である。野生型に対する6個の必須的変異(置換A32V、L72R、E286R、E302K、W388RおよびL435R)を示す。 変異型RT MM3.14のヌクレオチド配列(配列番号3)とアミノ酸配列(配列番号2)の図である。野生型に対する6個の必須的変異(置換A32V、L72R、E286R、E302K、W388RおよびL435R)を示す。 MMLV−RT用の発現プラスミドの図である。星印は停止コドンを示す。 一重変異体の活性と安定性の図である。(A)比活性。dTTPの取り込み反応は37℃で実施した。1ユニットは、10分間でポリ(rA)−p(dT)15中に1nmolのdTTPを取り込む量として定義する。相対比活性は、野生型の比活性に対する変異体の比活性の比として定義する。(B、C)熱安定性。ポリ(rA)−p(dT)15(28μM)の存在下において10分間、100nMのRTを46℃(B)または49℃(C)でインキュベートした。次いで、dTTPの取り込み反応を37℃で実施した。相対活性は、インキュベーションなしでの初期反応速度に対する、46℃または49℃における10分間のインキュベーションでのRTの初期反応速度の比として定義する。 一重変異体の活性と安定性の図である。(A)比活性。dTTPの取り込み反応は37℃で実施した。1ユニットは、10分間でポリ(rA)−p(dT)15中に1nmolのdTTPを取り込む量として定義する。相対比活性は、野生型の比活性に対する変異体の比活性の比として定義する。(B、C)熱安定性。ポリ(rA)−p(dT)15(28μM)の存在下において10分間、100nMのRTを46℃(B)または49℃(C)でインキュベートした。次いで、dTTPの取り込み反応を37℃で実施した。相対活性は、インキュベーションなしでの初期反応速度に対する、46℃または49℃における10分間のインキュベーションでのRTの初期反応速度の比として定義する。 多重変異体の活性と安定性の図である。(A、B)比活性。(A)dTTPの取り込み反応は37℃において5nM RTで実施した。1ユニットは、10分間でポリ(rA)−p(dT)15中に1nmolのdTTPを取り込む量として定義する。相対比活性は、野生型の比活性に対する変異体の比活性の比として定義する。(B)PicoGreenの取り込み反応は37℃において5nM RTで実施した。初期反応速度(ΔFI/分)を計算し、1.0として野生型の初期反応速度で標準化した。(C〜F)熱安定性。ポリ(rA)−p(dT)15(28μM)の存在下において10分間、100nMのRTを49℃または51℃でインキュベートした。次いで、dTTPの取り込み反応(C、E)またはPicoGreenの取り込み反応(D、F)を37℃において10nM RTで実施した。相対活性は、熱処理なしのRTの初期反応速度に対する、10分間の熱処理をしたRTの初期反応速度の比として定義する。 多重変異体の活性と安定性の図である。(A、B)比活性。(A)dTTPの取り込み反応は37℃において5nM RTで実施した。1ユニットは、10分間でポリ(rA)−p(dT)15中に1nmolのdTTPを取り込む量として定義する。相対比活性は、野生型の比活性に対する変異体の比活性の比として定義する。(B)PicoGreenの取り込み反応は37℃において5nM RTで実施した。初期反応速度(ΔFI/分)を計算し、1.0として野生型の初期反応速度で標準化した。(C〜F)熱安定性。ポリ(rA)−p(dT)15(28μM)の存在下において10分間、100nMのRTを49℃または51℃でインキュベートした。次いで、dTTPの取り込み反応(C、E)またはPicoGreenの取り込み反応(D、F)を37℃において10nM RTで実施した。相対活性は、熱処理なしのRTの初期反応速度に対する、10分間の熱処理をしたRTの初期反応速度の比として定義する。 多重変異体の活性と安定性の図である。(A、B)比活性。(A)dTTPの取り込み反応は37℃において5nM RTで実施した。1ユニットは、10分間でポリ(rA)−p(dT)15中に1nmolのdTTPを取り込む量として定義する。相対比活性は、野生型の比活性に対する変異体の比活性の比として定義する。(B)PicoGreenの取り込み反応は37℃において5nM RTで実施した。初期反応速度(ΔFI/分)を計算し、1.0として野生型の初期反応速度で標準化した。(C〜F)熱安定性。ポリ(rA)−p(dT)15(28μM)の存在下において10分間、100nMのRTを49℃または51℃でインキュベートした。次いで、dTTPの取り込み反応(C、E)またはPicoGreenの取り込み反応(D、F)を37℃において10nM RTで実施した。相対活性は、熱処理なしのRTの初期反応速度に対する、10分間の熱処理をしたRTの初期反応速度の比として定義する。 野生型、MM3、またはMM3.14によるcDNA合成に関する温度依存性の図である。cDNA合成反応は、55℃で5分間の加熱インキュベーションを施したRT(B)または加熱インキュベーションをしなかったRT(A、C〜E)を使用して、50(A)、55(B、C)、60(D)、または65℃(E)で10分間実施した。次いで、PCRを実施した。cDNA合成産物を使用したリアルタイムPCRの蛍光を示した。クロッシングポイント(CP)は、野生型、MM3、およびMM3.14に関してそれぞれ、28.01、25.22、および25.67分(A)、MM3およびMM3.14に関してそれぞれ、24.95および26.74分(B)、MM3.14に関して30.52分(C)、MM3およびMM3.14に関してそれぞれ、28.48および29.14分(D)、ならびにMM3.14に関して32.51分(E)であった。 野生型、MM3、またはMM3.14によるcDNA合成に関する温度依存性の図である。cDNA合成反応は、55℃で5分間の加熱インキュベーションを施したRT(B)または加熱インキュベーションをしなかったRT(A、C〜E)を使用して、50(A)、55(B、C)、60(D)、または65℃(E)で10分間実施した。次いで、PCRを実施した。cDNA合成産物を使用したリアルタイムPCRの蛍光を示した。クロッシングポイント(CP)は、野生型、MM3、およびMM3.14に関してそれぞれ、28.01、25.22、および25.67分(A)、MM3およびMM3.14に関してそれぞれ、24.95および26.74分(B)、MM3.14に関して30.52分(C)、MM3およびMM3.14に関してそれぞれ、28.48および29.14分(D)、ならびにMM3.14に関して32.51分(E)であった。 cDNA合成によって評価した野生型、MM3、またはMM3.14の安定性の図である。ポリ(rA)−p(dT)15(28μM)の存在下において10分間、100nMのRTを48、54、57、60、または63℃でインキュベートした。次いで、45℃で30分間、16pg cesARNA、0.5μM RV−R26プライマーを用いてcDNA合成を実施した。RVとF5のプライマーの組合せを用いてPCRを実施した。増幅産物は1%アガロースゲルに施し、次に臭化エチジウム(1μg/ml)で染色した。
方法
RT濃度および標準RNA
標準としてウシ血清アルブミン(ナカライテスク株式会社、京都、日本)を含むプロテインアッセイCBB溶液(ナカライテスク株式会社)を使用して、Bradford(Bradford、1976年)の方法に従いRT濃度を決定した。バチルス・セレウス(Bacillus cereus)のcesA遺伝子のDNA配列8353〜9366(GenBank受託番号DQ360825)に相当する1014ヌクレオチドのRNAであった標準RNAは、in vitro転写によって調製した。
プラスミドの構築
MMLV RT変異体の発現プラスミドを、野生型MMLV RT、pET−MRTHis用の発現プラスミド(図2)、または鋳型として熱的安定性変異体MM3、pET−MM3、および宿主として大腸菌BL21(DE3)[F、ompT、hsdS(r )galdcm(DE3)]を使用して、部位特異的変異誘発によって構築した。変異型MMLV RT遺伝子のヌクレオチド配列を立証した。
一重MMLV RT変異体の発現および精製
50μg/ml アンピシリンを含有する3mlのLブロスを、形質転換BL21(DE3)のグリセロールストックに接種し、30℃で攪拌しながら16時間インキュベートした。RT遺伝子の発現は、自動誘導システム(Novagen、Darmstadt、ドイツ)によって誘導した。MMLV RTは、HisLink Spinタンパク質精製システム(Promega、Madison、WI)を使用して培養培地から精製した。簡単に言うと、培養物へのFastBreak細胞溶解試薬、次にHisLinkタンパク質精製樹脂の添加によって細菌細胞を破壊した。次いで試料をHisLink Spinカラムに移し、そこで非結合タンパク質を洗浄除去した。0.2mlの100mM HEPES−NaOHバッファー(pH7.5)、500mMイミダゾールを用いた溶出によってMMLV RTを回収した。50mMトリス−HClバッファー(pH8.3)、200mM KCl、50%グリセロールで平衡化した事前充填PD−10ゲル濾過カラム(GE Healthcare)を使用して活性分画を脱塩処理し、−80℃で保存した。
多重MMLV RT変異体の発現および精製
形質転換体の一晩培養物(5mL)を、アンピシリン(50μg/ml)を含有する500mLのLブロスに加え、37℃において攪拌しながらインキュベートした。OD660が0.6〜0.8に達したとき、0.15mLの0.5M IPTGを加え、3時間30℃で増殖させ続けた。10,000×gで5分間の遠心分離後、細胞を採取し、10mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、pH7.5を含有する10mLの0.02Mリン酸カリウムバッファー(pH7.2)、2.0mMジチオスレイトール(DTT)、10%グリセロール(バッファーA)で懸濁し、超音波処理によって破壊した。20,000×gで40分間の遠心分離後、上清を回収し、バッファーAで平衡化したToyopearl DEAE−650Mゲル(東ソー株式会社、東京、日本)充填カラム[25mm(内径)×120mm]に施した。120mM NaClを含有するバッファーAで洗浄した後、300mM NaClを含有するバッファーAで結合RTを溶出した。固体(NHSOを、40%飽和の最終濃度まで溶出液(30mL)に加えた。溶液は5分間攪拌し、氷上に30分間放置した。4℃における20,000×gで30分間の遠心分離後、ペレットを回収し、100mM NaClを含有する10mLバッファーA中に溶解した。50mMトリス−HClバッファー(pH8.3)、200mM KCl、2mM DTT、10%グリセロール(バッファーB)で平衡化したNi2+−セファロース(HisTrap HP 1mL、GE Healthcare、Buckinghamshire、UK)充填カラムに溶液を施した。50mMイミダゾールを含有するバッファーBで洗浄した後、500mMイミダゾールを含有するバッファーBで結合RTを溶出した。50mMトリス−HClバッファー(pH8.3)、200mM KCl、50%グリセロールで平衡化した事前充填PD−10ゲル濾過カラムを使用して活性分画を脱塩処理し、−80℃で保存した。
SDS−PAGE
還元条件下において10%ポリアクリルアミドゲル中でSDS−PAGEを実施した。2.5%の2−メルカプトエタノールを用いた100℃で10分間の処理によりタンパク質を還元し、次いでゲル上に施した。40mAの定電流を40分間施した。電気泳動後、クーマシーブリリアントブルーR−250でタンパク質を染色した。ウサギ筋肉ホスホリラーゼB(97.2kDa)、ウシ血清アルブミン(66.4kDa)、ニワトリ卵白オボアルブミン(44.3kDa)、およびウシ炭酸脱水酵素(29.0kDa)からなる分子量マーカーキットは、タカラバイオ株式会社(大津、日本)の製品であった。
H]−dTTPを使用した逆転写アッセイ
(dT)15(Fasmac、東京、日本)とポリ(rA)(GE Healthcare、Buckinghamshire、UK)のアニーリングによってポリ(rA)−p(dT)15を調製した。反応は、25mMトリス−HClバッファー(pH8.3)、50mM KCl、2mM DTT、5mM MgCl、25μMポリ(rA)−p(dT)15(この濃度はp(dT)15に基づいて表す)、0.2mM [H]dTTP(1.85Bq/pmol)(GE Healthcare)、および5または10nM MMLV RT中で37℃において実施した。3分と6分にアリコート(20μl)を反応混合物から入手し、すぐにガラスフィルター上にスポットした。取り込まれなかった[H]dTTPは、それぞれ10分間3回の冷却5%(w/v)トリクロロ酢酸(TCA)での洗浄、次に冷却95%エタノールでの1回の洗浄によって除去した。2.5mlのEcoscint H(National Diagnostics、Yorkshire、UK)で、乾燥フィルター上で保持された放射活性を計測した。初期反応速度は、[H]dTTPの取り込みに関する時間行程から推定した。
蛍光色素PicoGreenを使用した逆転写アッセイ
EnzChek逆転写酵素アッセイキット(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を使用した。19mlの水を加えて1×TEバッファーを作製することにより20×TEバッファー(1ml)を希釈した。PicoGreen dsDNA定量化試薬(50μl)は、17.5mlの1×TEバッファーを加えてPicoGreen溶液を作製することによって希釈した。加熱不活性化において使用するためのポリ(rA)−p(dT)16は以下のように調製した。ポリ(rA)(3μl、100mMトリス−HClバッファー(pH8.1)、0.5mM EDTA中1mg/ml、約350塩基)とp(dT)16(3μl、100mMトリス−HClバッファー(pH8.1)、0.5mM EDTA中50μg/ml)を混合し、室温で1時間放置し、次に114μlのPDGT(0.01Mリン酸カリウムバッファー(pH7.6)、2mM DTT、10%グリセロール、0.2%TritonX−100)で希釈した。MMLV RT(500nMの8μl)、ポリ(rA)−p(dT)16(8μl)、およびPDGT(64μl)を混合して、MMLV RT濃度を50nMにした。生成した溶液(80μl中40μl)を49℃または51℃で10分間インキュベートし、次に氷上で30分間インキュベートした。
逆転写アッセイに使用するためのポリ(rA)−p(dT)16は以下のように調製した。ポリ(rA)(5μl)とp(dT)16(5μl)を混合し室温で1時間放置して、次に2mlの重合バッファー(60mMトリス−HClバッファー(pH8.1)、60mM KCl、8mM MgCl、13mM DTT、100μM dTTP)で希釈した。熱処理を施したかまたは施さなかった、ポリ(rA)−p(dT)16(96μl)と40μlの25または50nM MMLV RTを、37℃で10分間インキュベートした。プレインキュベートポリ(rA)−p(dT)16溶液(96μl)に、プレインキュベートMMLV RT溶液(24μl)を加えることによって反応を開始した。2.5、5.0、7.5、および10分にアリコート(25μl)を反応混合物から入手し、これに2μlの200mM EDTAをすぐに加え、次に氷上で30分以上インキュベートした。ブランク溶液は、ポリ(rA)−p(dT)16溶液(20μl)と200mM EDTA(2μl)を混合し、次にMMLV RT溶液(5μl)を加えることによって調製した。それぞれの溶液(27μl)に、PicoGreen溶液(173μl)を加えた。試験管をアルミホイルで覆い、室温で10分間放置した。502nmの励起波長でEnSight(Perkin Elmer)を用いて523nmにおける蛍光を測定した。
cDNA合成
バチルス・セレウスのcesA遺伝子のDNA配列8,353〜9,366(GenBank受託番号DQ360825)に相当する1,014ヌクレオチドのRNAである標準RNAは、in vitro転写によって調製した。cDNA合成用の反応混合物(20μl)は、水(12μl)、10×RTバッファー(250mMトリス−HClバッファー(pH8.3)、500mM KCl、20mM DTT、50mM MgCl)(2μl)、2.0mM dNTP(1μl)、160pg/μl cesA RNA(2μl)、10μM RV−R26プライマー5’−TGTGGAATTGTGAGCGGTGTCGCAATCACCGTAACACGACGTAG−3’(配列番号4)(1μl)および10nM MMLV RT野生型(2μl)を混合することによって調製した。反応は45℃で30分間、および65℃で5分間実施した。PCR用の反応混合物(25μl)は、cDNA合成の反応産物(2μl)、水(17.7μl)、10×PCRバッファー(2.5μl)、2mM dNTP(1.5μl)、10μM F5プライマー5’−TGCGCGCAAAATGGGTATCAC−3’(配列番号5)(0.5μl)および10μM RVプライマー5’−TGTGGAATTGTGAGCGG−3’(配列番号6)(0.5μl)、およびTaqポリメラーゼ(0.3μl)を混合することによって調製した。反応は、95℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で60秒の30サイクル下で実施した。増幅産物は1.0%w/vアガロースゲル上に分離させ、臭化エチジウム(1μg/ml)で染色した。
実施例1
変異の設計および一重変異体の特徴付け
本発明者らは、鋳型−プライマーとの相互作用に関与している位置への正電荷の導入(Yasukawaら、2010年)によって、熱的安定性三重MMLV RT変異体MM3(E286R/E302K/L435R)を以前に作製した。MMLV RTをさらに安定化するため、本発明者らは29個の変異を設計した(表1)。それらは、疎水性コアを安定化する目的の8個の変異、塩架橋を導入する目的の8個の変異、表面電荷を導入する目的の10個の変異、およびジスルフィド結合を排除する目的の3個の変異である。
Figure 0006928668
野生型MMLV RT(WT)、29個の一重変異体、および1個の二重変異体Y146F/D361Lを3ml培養物において発現させ、細胞から精製した。熱的安定性四部分変異体MM4(E286R/E302K/L435R/D524A)(Yasukawaら、2010年)も調製した。Asp524はRNase H活性の触媒残基なので、MM4にはRNase H活性がない。還元条件下でのSDS−PAGE後、精製WTおよび変異体は75kDaの分子量を有する単一バンドを示した。
図3Aは、野生型と30個の変異体に関する逆転写反応の比活性を示す。野生型の比活性は14,000ユニット/mgであった。全ての変異体は3グループに分類することができる。グループ1は、その比活性が野生型の比活性の10%未満であった、V43E、A154I、I261F、L357D、L368R、およびV370Eを含む。グループ2は、その比活性が野生型の比活性の60〜140%であった、L41D、Q63E、L72R、L272E、W388R、およびL410Rを含む。グループ3は、その比活性が野生型の比活性の10〜60%であった他の18個の変異体を含む。
図3Bおよび図Cは、それぞれ49℃と51℃での、グループ2または3に属する野生型、MM4、および24個の変異体の安定性を示す。相対活性は、インキュベーションなしの初期反応速度に対する、T/Pの存在下で49℃または51℃で10分間のインキュベーションありの初期反応速度の比として定義した。49℃での野生型とD524Aの相対活性はそれぞれ66%と120%であり、51℃でのそれはそれぞれ18%と100%であった。49℃または51℃でMM4より高い相対活性を示した変異体はなかった。しかしながらA32V、L72R、I212R、L272E、W388R、およびC409Rは、49℃と51℃の両方で野生型より高い相対活性を示した。
実施例2
変異の組合せの設計および多重変異体の特徴付け
図3中に表した結果に基づき、4個の変異(Ala32→Val、Leu72→Arg、Ile212→Arg、Leu272→Glu、およびTrp388→Arg)を安定化変異として選択し、1個の変異(Leu41→Asp)を活性化変異として選択した。10個の変異体(MM3.1〜MM3.10)を、6個の変異中1、2、または3個とMM3変異(Glu286→Arg、Glu302→Lys、およびLeu435→Arg)を組み合わせることによって設計した(表2)。
Figure 0006928668
これらは大腸菌において発現させ精製した。還元条件下でのSDS−PAGEによって、精製変異体は75kDaの分子量を有する一本のバンドを示した。500mlの培養物からの精製酵素の収量は0.38〜4.26mgの範囲内であり、これは野生型の収量(2.27mg)に匹敵した(表3)。
Figure 0006928668
図4Aおよび表3は、[H]−dTTPを使用した逆転写アッセイによる活性を示す。蛍光色素PicoGreenを使用したアッセイにより安定性を評価した。MM3.2(L272E/E286R/E302K/L435R)は活性を欠き、Leu272→Gluの変異はMM3変異と不適合であったことを示した。他の9個の変異体(MM3.1およびMM3.3〜MM3.10)の比活性は野生型の比活性の30〜100%であった。
Figure 0006928668
図4Cおよび表4は[H]−dTTPを使用したアッセイにより評価した安定性を示し、図4DはPicoGreenを使用したアッセイにより評価した安定性を示す。MM3.3、MM3.5、MM3.7、MM3.8、MM3.9、およびMM3.10の相対活性はMM3の相対活性に匹敵し、一方MM3.1、MM3.4、およびMM3.6の相対活性はMM3より低かった。MM3.6(L41D/E286R/E302K/L435R)の相対活性は野生型の相対活性とほぼ同じであり、Leu41→Aspの変異はMM3変異と不適合であったことを示した。
さらに、5個の変異体(MM3.11〜MM3.15;表2参照)を、4個の変異(Ala32→Val、Leu72→Arg、Ile212→Arg、およびTrp388→Arg)の中の2個以上を組み合わせることによって設計した。MM3.11は発現されなかったが、他の4個の変異体(MM3.12〜MM3.15)は大腸菌において発現させ、精製した。図4Eおよび図4Fは、それぞれ[H]−dTTPおよびPicoGreenを使用したアッセイにより評価したそれらの安定性を示す。MM3.14の相対活性はMM3の相対活性より高く、一方MM3.12、MM3.13、およびMM3.15の相対活性はMM3の相対活性より低かった。
MM3.14をさらに評価した。図5は、野生型、MM3、またはMM3.14によるcDNA合成に関する温度依存性を示す。cDNA合成反応後、リアルタイムPCRを実施した。55、60、または65℃において10分間MM3.14でcDNA合成反応を実施すると、PCRにおいて蛍光が増大した。他方で、野生型またはMM3でcDNA合成反応を実施すると、蛍光は増大しなかった。これは、MM3.14はMM3より熱的安定性があり、cDNA合成において使用するのに適していることを示す。
図6は、野生型、MM3、およびMM3.14の熱的安定性の比較を示す。cDNA合成反応は、10分間48〜63℃に曝した野生型、MM3、またはMM3.14で、45℃において30分間実施した。反応産物はPCRに、次いでアガロースゲル電気泳動に施した。cDNAが合成された最高温度はMM3に関して60℃であった。
さらなる実験では、MM3.14(A32V/L72R/E286R/E302K/W388R/L435R)を用いた反応において60℃と65℃でcDNAが合成され、一方MM3(E286R/E302K/L435R)を用いた反応において、それは60℃ではほとんど合成されず65℃では全く合成されなかったことを証明し、MM3.14はこの反応中MM3より熱的安定性があることを示した。
要約すると、MM3.14はMM3より熱的安定性があることを証明することができた。
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Claims (15)

  1. 配列番号1の野生型逆転写酵素(RT)と比較して増大した熱安定性を有する変異型RTであって、
    i)配列番号1の野生型RTと比較して、
    − 位置32のAlaがVal(A32V)で置換され、
    − 位置72のLeuがArg(L72R)で置換され、
    − 位置286のGluがArg(E286R)で置換され、
    − 位置302のGluがLys(E302K)で置換され、
    − 位置388のTrpがArg(W388R)で置換され、および、
    − 位置435のLeuがArg(L435R)で置換されている、
    6個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列、または、
    ii)i)のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であり、i)で定義した6個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列、
    を含み、
    逆転写酵素活性を示し、
    変異型MM3と比較して増大した熱安定性を有し、
    MM3が位置286のGluがArg(E286R)で置換され、位置302のGluがLys(E302K)で置換され、および位置435のLeuがArg(L435R)で置換されている、3個のアミノ酸置換のみが配列番号1のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する、
    前記変異型RT。
  2. 追加的に、配列番号1のN末端における最大5個のアミノ酸の欠失、および/または配列番号1のC末端における最大5個のアミノ酸の欠失が、配列番号1のアミノ酸配列と異なる、請求項1に記載の変異型RT。
  3. 配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項1または2に記載の変異型RT。
  4. 熱安定性が、熱処理後に測定される変異体の逆転写酵素活性の測定によって決定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変異体。
  5. 熱安定性が、60℃で10分間のインキュベーション後の逆転写酵素活性の測定によって決定され、および/または野生型もしくは変異型MM3と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%熱安定性が増大している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変異体。
  6. 変異型RTの逆転写酵素活性が、野生型の逆転写酵素活性の少なくとも50%であり、および/または逆転写酵素活性が、37℃でのRT媒介dTTP取り込みによって決定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の変異体。
  7. さらなるタンパク質と融合した、請求項1〜6のいずれか一項に記載の変異型RT。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の変異型RTをコードする核酸。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の変異型RTまたは請求項8に記載の核酸を含む細胞。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の変異型RTを含む、逆転写を実施するためのキット。
  11. cDNA合成のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の変異型RTの使用。
  12. RNAを逆転写するための方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の変異型RTを使用してRNAからcDNAを合成する工程を含む方法。
  13. 試料中のRNAマーカーを検出するための方法であって、
    a)変異型RTの活性に資する条件下で、試料を請求項1〜7のいずれか一項に記載の変異型RTと接触させる工程、
    b)変異型RTを使用してRNAマーカーからcDNAを合成する工程、および、
    c)ステップb)で合成したcDNAの存在を検出し、それによって試料中のRNAマーカーを検出する工程、
    を含む、前記方法。
  14. 試料が、体液、血液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、スワブ、臨床検体、臓器試料および組織試料からなる群から選択され、ならびに/または試料が、細胞培養物、汚染の疑いがある供給源、もしくは対象から得られたものである、請求項13に記載の方法。
  15. RNAマーカーが、微生物、細胞、ウイルス、細菌、真菌、哺乳動物種、遺伝子状態または疾患を示す、請求項13または14に記載の方法。
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