JP6920969B2 - 走行経路管理システム - Google Patents
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Description
このシステムで用いられている走行経路設定装置では、第1の作業車と第2の作業車との配置位置を選択することで走行経路が算出される。走行経路が算出されると、それぞれの作業車は、自車の位置を測位して、前記走行経路に沿って走行しながら作業を行う。
このような実情に鑑み、作業地の状態やユーザの好みに応じて、自動走行のための走行パターンが選択できるシステムが要望されている。
さらに、本明細書では、作業車の作業環境という語句には、作業車の状態、作業地の状態、人(監視者、運転者、管理者など)による指令なども含めることができ、この作業環境を評価することで状態情報が求められる。この状態情報として、燃料補給や収穫物の排出などの機械的要因や天候の変動や作業地状態などの環境的要因、さらには、不測の作業中断指令などの人的要求を挙げることができる。また、複数台の作業車が協調しながら作業走行する場合には、作業車同士の位置関係なども、作業環境または状態情報の1つとなる。なお、監視者や管理者は、作業車に乗り込んでいてもよいし、作業車の近くに、あるいは作業車から遠く離れていてもよい。
図1には、本発明の走行経路管理システムによる作業走行が模式的に示されている。この実施形態では、作業車は、作業走行として、走行しながら農作物を収穫する収穫作業(刈取作業)を行う収穫機1であり、一般に普通型コンバインと呼ばれている機種である。
収穫機1によって作業走行される作業地は圃場と呼ばれる。圃場における収穫作業では、収穫機1が畦と呼ばれる圃場の境界線に沿って作業を行いながら周回走行した領域が外周領域SAとして設定される。外周領域SAの内側は作業対象領域CAとして設定される。
外周領域SAは、収穫機1が収穫物の排出や燃料補給のための移動用スペース及び方向転換用スペース等として利用される。外周領域SAの確保のため、収穫機1は、最初の作業走行として、圃場の境界線に沿って3〜4周の周回走行を行う。周回走行では、一周毎に収穫機1の作業幅分だけ、圃場が作業されることになるので、外周領域SAは収穫機1の作業幅の3〜4倍程度の幅を有する。このことから、特別に注記しない限り、外周領域SAは既刈地(既作業地)として扱われ、作業対象領域CAは未刈地(未作業地)として扱われる。なお、この実施形態では、作業幅は、刈取り幅にオーバーラップ量を減算した値として取り扱われる。しかしながら、作業幅の概念は、作業車の種類によって異なる。本発明での作業幅は、作業車の種類や作業種類によって規定されるものである。
本発明の走行経路管理システムを組み込んだ収穫機1が、収穫作業を自動走行で行うためには、走行の目標となる走行経路を生成し、その走行経路を管理する走行経路管理装置が必要となる。この走行経路管理装置の基本的な構成と、この走行経路管理装置を用いた自動走行制御の基本的な流れとを、図2を用いて説明する。
走行経路要素群の一例として、図3には、作業対象領域CAを短冊状に分割する多数の平行分割直線を走行経路要素とする走行経路要素群が示されている。この走行経路要素群は2つのノード(両端点であって、ここで経路変更可能である経路変更可能点と称する)を1本のリンクで連結した直線状の走行経路要素を平行に並べたものである。走行経路要素は、作業幅のオーバーラップ量を調整することにより、等間隔を開けて並ぶように設定される。1つの直線で示される走行経路要素の端点から他の直線で示される走行経路要素の端点への移行には、Uターン走行(例えば180°の方向転換走行)が行われる。このような平行な走行経路要素をUターン走行によって繋ぎながら自動走行することを、以降は、『直線往復走行』と称する。このUターン走行には、ノーマルUターン走行と、スイッチバックターン走行とが含まれる。ノーマルUターン走行は、収穫機1の前進だけで行われ、その走行軌跡はU字状となる。スイッチバックターン走行は、収穫機1の前進と後進とを用いて行われ、その走行軌跡はU字状とはならないが、結果的には、収穫機1はノーマルUターン走行と同じ方向転換走行が得られる。ノーマルUターン走行を行うためには、方向転換走行前の経路変更可能点と方向転換走行後の経路変更可能点との間に2本以上の走行経路要素を挟む距離が必要となる。それより短い距離では、スイッチバックターン走行が用いられる。つまり、スイッチバックターン走行は、ノーマルUターン走行と異なって後進を行うため、収穫機1の旋回半径の影響がなく、移行する走行経路要素の選択肢が多い。しかし、スイッチバックターン走行では前後進の切替えが行われるため、スイッチバックターン走行は、基本的には、ノーマルUターン走行と比べて時間がかかる。
経路要素選択部63が、順次、次に走行すべき走行経路要素である次走行経路要素を選択する際の選択ルールは、作業走行の前に予め設定される静的ルール(設定された走行パターンに基づくルール)と、作業走行中にリアルタイムで利用される動的ルールとに分けることができる。静的ルールには、設定されている基本的な走行パターンに基づいて走行経路要素を選択すること、例えば、図3に示すようなUターン走行を行いながら直線往復走行を実現するように走行経路要素を選択するルールや、図4に示すような外から内に向かう反時計回りの渦巻き走行を実現するように走行経路要素を選択するルールなどが含まれる。動的ルールには、リアルタイムでの収穫機1の状態、作業地の状態、監視者(運転者や管理者も含む)の指令などが含まれる。原則として、動的ルールは、静的ルールに優先して用いられる。このために、収穫機1の状態、作業地の状態、監視者の指令などを評価して求められる状態情報を出力する作業状態評価部55が備えられる。そのような評価のために必要となる入力パラメータとして種々の一次情報(作業環境)が作業状態評価部55入力される。この一次情報には、収穫機1に設けられている各種センサやスイッチからの信号だけでなく、天候情報や時刻情報や乾燥施設などの外部施設情報なども含まれている。さらに、複数台の収穫機1で協調作業を行う場合には、この一次情報に、他の収穫機1の状態情報も含まれる。
図5は、この実施の形態での説明に採用されている作業車としての収穫機1の側面図である。この収穫機1は、クローラ式の走行機体11を備えている。走行機体11の前部には、運転部12が設けられている。運転部12の後方には、脱穀装置13及び収穫物を貯留する収穫物タンク14が、左右方向に並設されている。また、走行機体11の前方には、収穫部15が高さ調整可能に設けられている。収穫部15の上方には、穀稈を起こすリール17が高さ調節可能に設けられている。収穫部15と脱穀装置13との間には刈取穀稈を搬送する搬送装置16、収穫物タンク14から収穫物を排出する排出装置18が設けられている。収穫物タンク14の下部に収穫物の重量(収穫物の貯留状態)を検出するロードセンサが装備され、収穫物タンク14の内部や周辺に、収量計や食味測定装置が装備されている。食味測定装置からは、品質データとして収穫物の水分値とタンパク値の測定データが出力される。収穫機1には、GNSSモジュールやGPSモジュールなどとして構成される衛星測位モジュール80が設けられている。衛星測位モジュール80の構成要素として、GPS信号やGNSS信号を受信するための衛星用アンテナが走行機体11の上部に取り付けられている。なお、衛星測位モジュール80には、衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法モジュールを含めることができる。
図6には、この収穫機1に構築されている制御系と、通信端末4の制御系が示されている。この実施形態では、収穫機1のための走行経路を管理する走行経路管理装置は、通信端末4に構築された第1走行経路管理モジュールCM1と、収穫機1の制御ユニット5に構築された第2走行経路管理モジュールCM2とから構成されている。
(a)走行パターン(直線往復走行、渦巻き走行、ジグザグ走行等)(b)運搬車CVの支援車の駐車位置や収穫物排出等のための収穫機の駐車位置(c)作業形態(一台の収穫機1による作業、複数台の収穫機1による作業)(d)いわゆる中割ライン(e)収穫対象となる作物種(稲(ジャポニカ米、インディカ米)、麦、大豆、菜種、そば等)に応じた車速や脱穀装置13の回転速度の値等。
特に(e)の情報から、作物種に応じた走行機器パラメータの設定や収穫機器パラメータの設定が自動的に実行されるので、設定ミスが回避される。
領域設定部44は、収穫機1の周回走行の走行軌跡データから外周領域SAと作業対象領域CAを設定する。設定された外周領域SA及び作業対象領域CAの位置座標、つまり外周領域SA及び作業対象領域CAの外形データは、自動走行のための走行経路の生成に用いられる。この実施形態では、走行経路の生成は、収穫機1の制御ユニット5に構築された第2走行経路管理モジュールCM2で行われるので、設定された外周領域SA及び作業対象領域CAの位置座標は、第2走行経路管理モジュールCM2に送られる。
つまり、メッシュ直線同士の交点及び端点が収穫機1の経路変更を許す経路変更可能点として機能する。
設定可能な車速には、収穫走行時の車速、非作業旋回(Uターン走行など)時の車速、収穫物排出時や燃料補給時の作業対象領域CAから離脱して外周領域SAを走行する際の車速などが含まれる。自動走行制御部511は、衛星測位モジュール80によって得られた測位データに基づいて実車速を算出する。出力処理部7は、実車速が設定された車速に合うように、走行への変速操作指令等を車両走行機器群71に送る。
走行経路管理システムにおける自動走行の例を、直線往復走行を行う例と、渦巻き走行を行う例とに分けて説明する。
この収穫機1は、走行完了した走行経路要素から次の走行経路要素移行する際に、図9で示すように、少なくとも2つの走行経路要素を挟んで次の走行経路要素に移行するノーマルUターン走行と、2つ以下の走行経路要素を挟んで、つまり隣接する走行経路要素へ移行することができるスイッチバックターン走行とが可能である。ノーマルUターン走行は、移行元の走行経路要素の端点から外周領域SAに入ると、約180°の方向転換を行い、移行先の走行経路要素の端点に入る。なお、移行元の走行経路要素と移行先の走行経路要素との間隔が大きい場合は、約90°の旋回の間に相応な直進が入ることになる。つまり、ノーマルUターン走行は、前進走行のみで実行される。これに対して、スイッチバックターン走行は、移行元の走行経路要素の端点から外周領域SAに入ると、一旦約90°旋回した後、約90°旋回でスムーズに移行先の走行経路要素に入れる位置まで後進してから、移行先の走行経路要素の端点に向かう。これにより、操舵制御は複雑になるが、互いの間隔が短い走行経路要素への移行も可能である。
図13を用いて、Uターン経路算出部603がUターン走行経路を生成する基本原理を説明する。図13では、LS0で示された旋回元の走行経路要素からLS1で示された旋回先の走行経路要素に移行するUターン走行経路が示されている。通常の走行では、LS0が作業対象領域CAにおける走行経路要素であれば、LS1が外周領域SAでの走行経路要素(=中間直進経路)となり、逆に、LS1が作業対象領域CAにおける走行経路要素であれば、LS0が外周領域SAでの走行経路要素(=中間直進経路)となるのが一般的である。走行経路要素LS0とLS1の直線式(または直線上の2点)がメモリに記録されており、これらの直線式からその交点(図13ではPXで示されている)及び交差角(図13ではθで示されている)が算出される。次に、走行経路要素LS0及び走行経路要素LS1に接するとともに、収穫機1の最小旋回半径と等しい半径(図13ではrで示されている)の接円が算出される。この接円と走行経路要素LS0及びLS1との接点(図13ではPS0,PS1で示されている)を結ぶ円弧(接円の一部)が、旋回経路となる。そこで、走行経路要素LS0とLS1との交点PXと、円との接点までの距離Yを、Y=r/(tan(θ/2))で求める。最小旋回半径が収穫機1の仕様により実質的に決まっているため、rは規定値である。なお、rは、最小旋回半径と同一の値でなくても良く、無理のない旋回半径を予め通信端末4等によって設定し、その旋回半径となるような旋回操作をプログラミングしてあれば良い。走行制御的には、収穫機1は、旋回元の走行経路要素LS0を走行中に、交点までの距離がYである位置座標(PS0)に到達すると、旋回走行を開始し、次いで、旋回走行中に収穫機1の方位と旋回先の走行経路要素LS1の方位との差が許容値に収まれば旋回走行を終了する。その際、収穫機1の旋回半径は正確に半径rに一致しなくてもよい。旋回先の走行経路要素LS1との距離及び方位差に基づいて操舵制御されることで、収穫機1は旋回先の走行経路要素LS1に移行することができる。
図17には、上述した渦巻き走行において、走行経路要素の経路変更可能点である交点での経路変更に用いられる方向転換走行の一例が示されている。以降、この方向転換走行をαターン走行と称する。このαターン走行における走行経路(αターン走行経路)は、いわゆる切り返し走行経路の一種であり、走行元の走行経路要素(図17ではLS0で示されている)と旋回先の走行経路要素(図17ではLS1で示されている)の交点から、前進での旋回経路を経て、後進での旋回経路で旋回先の走行経路要素に接する経路である。αターン走行経路は基準化されているので、走行元の走行経路要素と旋回先の走行経路要素との交差角に応じて生成されたαターン走行経路が予め登録されている。したがって、経路管理部60は、算出された交差角に基づいて適正なαターン走行経路を読み出し、経路設定部64に与える。この構成に代えて、交差角毎の自動制御プログラムを自動走行制御部511に登録しておき、経路管理部60によって算出された交差角に基づいて、自動走行制御部511が適正な自動制御プログラム読み出すような構成を採用してもよい。
このαターン走行経路が、渦巻き走行を作り出す走行パターンが設定されている際に、経路要素選択部63によって選択される方向転換走行経路である。
経路要素選択部63は、管理センタKSから受け取った作業計画書や通信端末4から人為的に入力された走行パターン(例えば、直線往復走行パターンや渦巻き走行パターン)と、自車位置と、作業状態評価部55から出力される状態情報とに基づいて、走行経路要素を順次選択する。即ち、設定された走行パターンのみを基準にして全走行経路を形成してしまう場合とは異なって、作業前には予測し得ない事態に対応した好適な走行経路が形成されたことになる。また、経路要素選択部63には、上述した基本的なルール以外に、以下のような経路選択ルールA1からA11が予め登録可能であり、走行パターンと状態情報とに応じて、好適な経路選択ルールが適応される。
また、『旋回エリアが狭くなっています。御注意下さい。』等といった報知を行うように構成してあっても良い。
上述した実施形態では、圃場の作業走行は1台の収穫機1で行われていた。もちろん、本発明は、複数台の作業車の使用にも適用可能である。ここでは、理解のしやすさのために、2台の収穫機1によって作業走行(自動走行)する形態を説明する。図19には、マスタ収穫機1mとして機能する第1作業車と、スレーブ収穫機1sとして機能する第2作業車とが協調して、1つの圃場を作業走行する様子が示されている。マスタ収穫機1mには、監視者が乗り込んでおり、監視者は、マスタ収穫機1mに持ち込まれた通信端末4を操作する。便宜的に、マスタ及びスレーブという用語を使用したが、これらに主従関係はなく、マスタ収穫機1m及びスレーブ収穫機1sは、上述した走行経路設定ルーチン(走行経路要素の選択ルール)に基づいてそれぞれ独自にルート設定して自動走行を行う。ただし、マスタ収穫機1mとスレーブ収穫機1sとの間はそれぞれの通信処理部70を介してデータ通信可能であり、状態情報の交換を行う。通信端末4は、マスタ収穫機1mに監視者の指令や走行経路に関するデータなどを与えるだけでなく、通信端末4とマスタ収穫機1mとを介して、スレーブ収穫機1sにも監視者の指令や走行経路に関するデータを与えることができる。例えば、スレーブ収穫機1sの作業状態評価部55から出力された状態情報はマスタ収穫機1mにも転送され、マスタ収穫機1mの作業状態評価部55から出力された状態情報はスレーブ収穫機1sにも転送される。したがって、双方の経路要素選択部63は、双方の状態情報と双方の自車位置とを考慮して次走行経路要素を選択する機能を有する。また、通信端末4に、経路管理部60と経路要素選択部63が構築されている場合には、双方の収穫機1が、状態情報を通信端末4に与え、そこで選択された次走行経路要素を受け取ることになる。
例えば、一方の収穫機1に直線往復走行パターンが設定されている場合は、他方の収穫機1にも直線往復走行パターンが設定される。
マスタ収穫機1mとスレーブ収穫機1sとが協調して作業走行する場合、通常マスタ収穫機1mには、監視者が搭乗しているので、マスタ収穫機1mについては、必要に応じて、通信端末4を通じて、自動走行制御における車両走行機器群71や作業装置機器群72に対するパラメータの値を微調整できる。マスタ収穫機1mの車両走行機器群71や作業装置機器群72に対するパラメータの値を、スレーブ収穫機1sにおいても実現するため、図27に示すように、マスタ収穫機1mからスレーブ収穫機1sのパラメータを調整できる構成を採用することができる。ただし、通信端末4は、スレーブ収穫機1sにも備えられていても何ら問題はない。なぜならば、スレーブ収穫機1sも、単独自動走行をする場合も、マスタ収穫機1mとして使用される場合もあるからである。
(1)上述の実施形態では、事前の周回走行によって、直線往復走行におけるUターン走行にとっても、渦巻き走行におけるαターン走行にとっても十分な広さのスペースが確保されることを前提に自動走行の説明をした。しかし、一般的には、Uターン走行に要するスペースは、αターン走行に要するスペースよりも広い。そのため、事前の周回走行により形成されるスペースは、Uターン走行にとって十分でないことが有り得る。例えば、図28に示すように、1台の収穫機1によって作業を行っている際に、Uターン走行をするときに、畦にデバイダ等が接触して、畦を崩してしまう虞がある。そこで、走行パターンとして直線往復走行パターンが設定された場合には、前述のように畦を崩してしまう事態を回避するべく、作業走行が開始されたら、先ずは、作業対象領域CAの最外周部分において、少なくとも一周を自動で作業走行することにより、外周領域SAを内周側に拡張する。事前の周回走行によって形成された外周領域SAの幅がUターン走行にとって不十分であったとしても、このように、外周領域SAを内周側に拡張することによって、問題なくUターン走行を行うことが可能となる。また、圃場の周囲に停車された作業支援車への収穫物排出等のために収穫機1を規定の駐車位置に停車させる際は、効率良い作業のために、収穫機1を駐車位置に、ある程度正確に、かつ、支援作業に好適な姿勢(向き)で停車させる必要がある。これは、自動走行であろうが手動走行であろうが同じである。作業対象領域CAの外周ラインうちUターン走行が行われる側の外周ラインは直線往復走行によっては変動しないため、外周領域SAが狭いと、収穫機1が未作業地である作業対象領域CAに突入して農作物などに損傷を与えたり、畦に接触して畦を崩してしまったりする可能性がある。このため、直線往復走行による作業対象領域CAの走行作業を開始する前に、追加的な周回走行(追加周回走行)を行うことが好適である。このような追加周回走行は、監視者の指示によって行われてもよいし、自動的に行われてもよい。なお、上述したように、外周領域SAを作り出す事前の周回走行は、通常複数周、渦巻き状に行われる。一番外側の周回走行経路は、走行経路が複雑で、圃場毎に異なるので、人為操舵が採用される。それ以降の周回走行は、自動操舵または人為操舵で行われる。また、図28に示すように、駐車位置PPとUターン経路群ULとが重複している場合、収穫機1が駐車位置PPに駐車している間は、その収穫機1により、別の収穫機1のUターン走行が阻害されてしまう事態が想定される。そのため、事前の周回走行が完了した時点で、駐車位置PPとUターン経路群ULとが重複している場合は、上述の追加周回走行を行うことが望ましい。
<ステップ#01>
事前の周回走行によって、圃場は、収穫作業が終わった外周領域SAと、これから収穫作業が行われる作業対象領域CAとに区分けされる。事前の周回走行後においては、図28のステップ#01に示すように、駐車位置PPとUターン経路群ULとが外周領域SAにおいて重複している。そして、外周領域SAにおけるUターン経路群ULが設定されている部分の幅は、直線往復走行だけでは拡張されることはない。したがって、この部分の幅を拡張するために、自動的に、あるいは監視者の指示に基づいて、図28のステップ#02で示す追加周回走行が実行される。
<ステップ#02>
この追加周回走行では、矩形状の周回走行経路を構成する複数の周回走行経路要素(図28で太線)が算出される。この周回走行経路要素には、直線往復走行のために算出された走行経路要素における左端の走行経路要素Lsと右端の走行経路要素Leとが含まれる。なお、走行経路要素Ls及び走行経路要素Leは、いずれも直線状である。また、矩形状の周回走行経路において、走行経路要素Lsと走行経路要素Leとは対辺となる。また、ここでは、周回走行経路要素は、走行経路要素Lsと、走行経路要素Leと、走行経路要素Ls及び走行経路要素Leの上端同士を接続する走行経路要素と、走行経路要素Ls及び走行経路要素Leの下端同士を接続する走行経路要素と、である。自動走行が開始されると、この追加的な周回走行経路に適合する周回走行経路要素が経路要素選択部63によって選択され、自動走行(周回走行での作業走行)が実行される。
<ステップ#03>
図28のステップ#03で示すように、この追加周回走行により、外周領域SAが拡大される。これにより、駐車位置PPと未作業地との間に、少なくとも収穫機1の作業幅に相当する幅を有するスペースが新たに形成される。次いで、作業対象領域CAが、この追加周回走行での周回数の作業幅分だけ縮小されたことにより、左端の走行経路要素Lsと右端の走行経路要素Leとは、作業対象領域CAが縮小された分だけ内側に移動する。そして、移動された走行経路要素Ls及び走行経路要素Leを対辺とする矩形である新たな作業対象領域CAに対して、直線往復走行パターンによる作業走行経路が決定され、新たな作業対象領域CAの自動作業走行が開始される。
例えば、駐車位置PPが、左端の走行経路要素Lsに向き合って位置する場合がある。この場合は、走行経路要素Lsが最初に選択される直線往復走行が行われることで、駐車位置の周辺領域が拡大されていくので、上述の追加周回走行は、もはや実行されない。あるいは、1周程度の追加周回走行だけが行われても良い。
このケースでは、作業対象領域CAに、縦横の間隔が第1作業幅である縦直線群と横直線群とで走行経路要素群が設定される。横直線群に属する走行経路要素には、その経路番号として、X1からX9の記号が与えられており、縦直線群に属する走行経路要素には、その経路番号として、Y1からY9の記号が与えられている。
しかし、短冊経路要素算出部602を備えずに、メッシュ経路要素算出部601によって算出されたメッシュ状の直線群である走行経路要素を用いて、直線往復走行を実現しても良い。
1m :マスタ収穫機
1s :スレーブ収穫機
4 :通信端末
41 :タッチパネル
42 :作業地データ入力部
43 :外形データ生成部
44 :領域設定部
5 :制御ユニット
50 :通信処理部
51 :走行制御部
511 :自動走行制御部
512 :手動走行制御部
52 :作業制御部
53 :自車位置算出部
55 :作業状態評価部
60 :経路管理部
601 :メッシュ経路要素算出部
603 :Uターン経路算出部
62 :短冊経路要素算出部
63 :経路要素選択部
64 :経路設定部
70 :通信処理部
80 :衛星測位モジュール
SA :外周領域
CA :作業対象領域
Claims (5)
- 作業地を作業しながら自動走行する作業車のための走行経路を決定する走行経路管理システムであって、
前記作業地を外周領域と前記外周領域の内側である作業対象領域とに設定する領域設定部と、
前記作業対象領域を網羅する走行経路を構成する多数の走行経路要素の集合体である走行経路要素群を算出して、読み出し可能に管理するとともに、1つの前記走行経路要素から他の前記走行経路要素への移行のための複数種類の方向転換用経路を読み出し可能に管理する経路管理部と、
前記走行経路要素と前記方向転換用経路との組み合わせで規定される複数種類の走行パターンの内から設定された走行パターンに基づいて、予め全走行経路を決定することなく、次に走行すべき次走行経路要素を順次前記走行経路要素群から選択するとともに、当該次走行経路要素に移行するための前記方向転換用経路を選択する経路要素選択部と、が備えられ、
前記走行パターンの設定が前記作業対象領域での自動走行の開始前にユーザ指示によって人為的に行われる走行経路管理システム。 - 前記走行パターンの種類の1つが、前記作業対象領域を外から内への渦巻き状に作業走行する渦巻き走行であり、前記走行パターンの種類の他の1つが、前記走行経路要素の端点から他の前記走行経路要素の端点への移行のための前記方向転換用経路として前記外周領域におけるUターン走行経路が用いられる往復走行である請求項1に記載の走行経路管理システム。
- 前記Uターン走行経路には、前進だけで行われるノーマルUターン走行を実現する第1Uターン走行経路と、前進及び後進で行われるスイッチバックターン走行を実現する第2Uターン走行経路とが含まれ、
前記経路要素選択部は、前記移行の対象となる互いに平行な移行元の前記走行経路要素と移行先の前記走行経路要素との間隔が大きい場合に前記第1Uターン走行経路を選択し、前記間隔が小さい場合に前記第2Uターン走行経路を選択する請求項2に記載の走行経路管理システム。 - 前記作業対象領域に対する作業走行の途中において、前記走行パターンを変更可能である請求項1から3のいずれか一項に記載の走行経路管理システム。
- 前記走行パターンは、ユーザ入力を通じて人為的に設定される請求項1から4のいずれか一項に記載の走行経路管理システム。
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